JP5141983B2 - ニッケル微粉およびその製造方法 - Google Patents
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Description
通常、積層セラミックコンデンサは、誘電体層と内部電極が交互に積層した構造の素子本体と、この素子本体の両端部に形成される一対の外部電極端子とから構成されている。また、その素子本体は、誘電体層となるセラミック誘電体グリーンシート上に内部電極材料である金属粉をペースト化した導電性ペーストを印刷し、この誘電体層と内部電極層を多層積層して加熱圧着したものを、還元雰囲気中、高温で焼成して作製されている。
現状、平均粒径0.3μm以下の微細なニッケル微粉が使用されるようになってきており、将来的には、さらに微細な、例えば平均粒径0.1μm程度のニッケル微粉の使用が予想されている。
特許文献1には、一定温度に保持された反応槽内のスラリーに、含ニッケル溶液を連続的に添加しつつ、このスラリーが所定のpHを保持するようにアルカリ溶液を添加して水酸化ニッケルを生成させた後にスラリーを濾過し、水洗し、乾燥して水酸化ニッケルを得、これを還元剤として水素を用い、還元温度を400〜550℃として加熱還元するニッケル微粉の製造方法が開示されている。しかし、この方法においては、ニッケル微粉の粒径を還元温度のみで制御しているため、0.3μm以下のニッケル微粉末が得られていない。
特許文献2には、アルカリ土類金属を0.002〜1質量%含む水酸化ニッケル微粉を焙焼して酸化ニッケル微粉とし、得られた酸化ニッケル微粉を還元するニッケル微粉の製造方法において、水酸化ニッケル1gに対して0.02〜0.4リットル/分の空気を流すとともに250〜500℃の温度で焙焼して水酸化ニッケル微粉を酸化ニッケル微粉とし、さらに得られた酸化ニッケル微粉を酸化ニッケル微粉1gに対して0.01〜0.2リットル/分の水素を流すとともに300〜500℃の温度で還元してニッケル微粉を得る方法が開示されている。
特許文献3では、アルカリ土類金属とニッケルとの水溶液に苛性アルカリまたは炭酸アルカリを添加して、アルカリ土類金属化合物の沈殿およびニッケル化合物の沈殿を生成させながら混合する第1工程と、第1工程で得られた混合物中のニッケルを金属ニッケルに還元するために、その混合物を水素雰囲気で加熱する第2工程と、第2工程で得られた加熱物中のアルカリ土類金属を酸で溶解し除去する第3工程とからなる球状ニッケル微粉末の製造方法が開示され、この方法を用いることにより、アルカリ土類金属含有量が比較的少ない、微細なニッケル微粉が得られている。
そこで、このような状況を鑑み、本発明は上記問題点を解決し、微細で低不純物品位であるとともに、低比表面積のニッケル微粉を提供することを目的とする。また、工業的に簡易なプロセスで低コスト化が可能なその製造方法を提供することを目的とする。
さらに、本発明のニッケル微粉の製造方法は、工業的に簡易なプロセスで低コスト化が可能であり、工業的価値が高いものである。
(ニッケル微粉の製造方法)
本発明のニッケル微粉の製造方法は、以下の工程を備えるものである。
[工程A]
塩化ニッケルとマグネシウム化合物を含有する水溶液をアルカリ溶液で中和して水酸化物を生成する工程で、水溶液中に含有されるマグネシウム化合物量をニッケルに対するマグネシウム量で800〜2500質量ppmとする。
[工程B]
工程Aで生成した水酸化物を、非還元性雰囲気で加熱処理して酸化ニッケル微粉を生成する工程。
[工程C]
工程Bにより生成した酸化ニッケル微粉を、還元性雰囲気で還元処理してニッケル微粉を生成する工程。
[工程D]
還元処理後のニッケル微粉を有機酸で洗浄する工程。
そこで、このマグネシウム化合物の含有量は、塩化ニッケルとマグネシウム化合物を含有する水溶液中のニッケルに対するマグネシウム量で800〜2500質量ppmであることが必要であり、好ましくは1000〜2500質量ppmである。また、この水溶液に含有されるマグネシウムは、通常10質量%程度が水溶液中に残存するが、他のマグネシウムは、晶析時にニッケルとともに共沈する。
さらに、本発明においてはニッケル源として塩化ニッケルを用いることから、マグネシウムとニッケルの均一な水酸化物の沈殿を形成するためには塩化マグネシウムであることが更に好ましい。
ニッケル微粉中のマグネシウムは、複合酸化物としてニッケル粒子の表面に濃縮しているため、ニッケル微粉を有機酸水溶液中に装入して攪拌することにより、表面を洗い流し、濃縮した複合酸化物としてのマグネシウムを除去するものである。
以下に各工程に関して詳細に説明する。
工程Aは、塩化ニッケルとマグネシウム化合物を含有する混合水溶液をアルカリ水溶液で中和してマグネシウムを含有した水酸化物、即ち水酸化ニッケルを生成する工程である。
この工程Aにおいては、水溶液の濃度、中和条件等は公知の技術が適用できる。この時、均一な特性の水酸化ニッケルを得るために、十分に攪拌されている反応槽内に、混合水溶液とアルカリ水溶液をダブルジェット方式で添加して反応させることが好ましく、pHを一定に保ちながら行うと、沈殿生成速度を一定に保つことができるため、さらに好ましい。
なお、この洗浄時の水溶液の温度は常温で可能であるが、洗浄効果を高めるため加熱してもよい。
また、この硫酸或いは硫酸塩水溶液による洗浄の方法は、予め硫酸或いは硫酸塩濃度を調整した水溶液を準備し、これに撹拌しながら乾燥した水酸化ニッケルの粉末を加える方法も採れるが、濾過ケーキ(含水したままのケーキ状水酸化ニッケル)を使用する方が、均一な処理を行いやすく洗浄の効率が良くなるばかりか、工程の短縮にもなるために好ましい。この濾過ケーキを洗浄する場合には、濾過ケーキに少量の水を加えてスラリー状にした後、添加後に所定の濃度となるように調整した硫酸或いは硫酸塩水溶液を攪拌しながら一度に添加することが、均一な処理のために好ましい。
次に、工程Bは前工程の工程Aで形成した水酸化物の水酸化ニッケルを、非還元性雰囲気で加熱処理して酸化ニッケル微粉を得る工程である。
本発明において、平均粒径0.1〜0.3μmで、粒径の均一性に優れた、すなわち分散性の良いニッケル微粉を得るには、マグネシウムの含有量の制御に加え、本工程において得られる酸化ニッケル微粉の形状、即ち、一次粒子径の制御が重要となる。
用いるガスの種類については、非還元性雰囲気であれば、不活性ガスおよび酸化性ガスなど、その種類は制約されるものではないが、空気雰囲気は、コストおよび取り扱いやすさなどの点から好適である。
この加熱処理に用いる装置は、一般的な焙焼炉を使用することができ、静置式焙焼炉、転動炉、バーナー炉、搬送式連続炉、流動焙焼炉などが用いられる。
工程Cは、先の工程Bで生成した酸化ニッケル微粉を還元性雰囲気下において還元してニッケル微粉を得る工程である。
この還元条件に関しては、その還元温度を350〜550℃とすることが好ましく、より好ましくは、400〜500℃で、さらに好ましくは、400〜450℃である。この還元温度が350℃未満では、酸化ニッケル微粉が十分に還元されない場合や還元するのに長い時間を要する場合があり、生産効率を大きく低下させる。一方、還元温度が550℃を超えると、マグネシウムを添加しても反応を制御できずに、粗大化したニッケル粉が形成されてしまう恐れが大きい。
この工程Dは、還元後のニッケル微粉を、有機酸水溶液とのスラリーとして有機酸でニッケル微粉を洗浄する工程である。その洗浄効果および用いる有機酸については、上記に記載したとおりである。
本発明のニッケル微粉は、上記製造方法によって生成されるもので、平均粒子径が0.1〜0.3μm、BET法で測定された比表面積が10m2/g以下で、マグネシウムの含有量が500質量ppm以下であることを特徴とするもので、微細であり、積層セラミックコンデンサの小型化、高容量化に伴った内部電極の薄膜化、多層化に対応するものである。
実施例における各特性の評価は、以下の手法を用いて行っている。
塩素の含有量は、ニッケル微粉を硝酸で溶解して、蛍光X線定量分析の検量線法により測定した。
マグネシウムの含有量は、ICP発光分光分析法により測定した。
比表面積は、窒素ガス吸着によるBET一点法により測定した。
平均粒径は、走査型電子顕微鏡により観察した倍率10000倍の画像より1000個の粒子を計測して求めた。
塩化ニッケル水溶液に含有されるマグネシウム量を0.04g/L(マグネシウム量667質量ppm)とした以外は実施例1と同様にしてニッケル微粉を生成した。なお、酸化ニッケル粉の比表面積は、29.6m2/gであった。
塩化ニッケル水溶液に含有されるマグネシウム量を0.18g/L(マグネシウム量3000質量ppmとした以外は実施例1と同様にしてニッケル微粉を生成した。なお、酸化ニッケル粉の比表面積は47.1m2/gであり、マグネシウムの含有量は2900質量ppmであった。
濃度0.8質量%のクエン酸水溶液を濃度2.5質量%の硫酸水溶液に変更した以外は実施例1と同様にしてニッケル微粉を生成した。
クエン酸水溶液による洗浄を行わず、水洗のみとした以外は実施例1と同様にしてニッケル微粉を生成した。
このニッケル微粉を、実施例1と同様に評価した結果、平均粒径は0.24μm、比表面積は5.95m2/gであり、塩素の含有量は1200質量ppm、マグネシウムの含有量は720質量ppmであった。
Claims (8)
- ニッケル微粉の製造方法であって、
塩化ニッケルおよびマグネシウム化合物を含有する水溶液をアルカリ溶液で中和して水酸化物を生成する工程Aと、
前記水酸化物を非還元性雰囲気で加熱処理して酸化ニッケル粉を生成する工程Bと、
前記酸化ニッケル粉を還元性雰囲気で還元処理してニッケル粉を生成する工程Cと、
前記ニッケル粉を有機酸で洗浄処理する工程Dを有し、
前記塩化ニッケルおよびマグネシウム化合物を含有する水溶液は、前記水溶液中に含有されるマグネシウム化合物量が、ニッケルに対するマグネシウム量の割合で800〜2500質量ppmであることを特徴とするニッケル微粉の製造方法。 - 前記有機酸が、クエン酸、グルタミン酸、アスコルビン酸、酢酸、酒石酸から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項1に記載のニッケル微粉の製造方法。
- 前記酸化ニッケル粉の比表面積が、20〜60m2/gであることを特徴とする請求項1または2に記載のニッケル微粉の製造方法。
- 前記工程Cにおける酸化ニッケル粉の還元処理が、350〜550℃の温度で行なわれることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のニッケル微粉の製造方法。
- 前記マグネシウム化合物が、塩化マグネシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウムから選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のニッケル微粉の製造方法。
- 前記工程Dにおける洗浄処理が、30〜80℃に加温した状態で処理されることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のニッケル微粉の製造方法。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法によって得られるニッケル微粉であって、平均粒子径が0.1〜0.3μm、BET法で測定された比表面積が10m2/g以下であり、マグネシウムの含有量が500質量ppm以下であることを特徴とするニッケル微粉。
- 前記ニッケル微粉の塩素の含有量が100質量ppm以下であることを特徴とする請求項7に記載のニッケル微粉。
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