本発明は、内燃機関に組み付けられて混合気への点火を行うためのスパークプラグに関するものである。
従来、自動車エンジン等の内燃機関には点火のためのスパークプラグが用いられている。一般的なスパークプラグは、中心電極と、中心電極を軸孔内に保持する絶縁碍子と、絶縁碍子を筒孔内に保持する主体金具と、主体金具に接合され、中心電極との間で火花放電間隙を形成する接地電極とを有している。燃焼室内に火花放電間隙を突き出すようにスパークプラグをエンジンに取り付け、火花放電間隙にて火花放電(気体の絶縁破壊によって行われる火花放電であり、後述する沿面放電と区別するため気中放電ともいう。)を行うことによって、混合気への点火が行われる。
ところで、絶縁碍子は、軸孔内の先端側に中心電極を保持している。また、主体金具は、筒孔内に設けられる保持部を、絶縁碍子の外表面に直接または間接的に当接させて、絶縁碍子を保持している。主体金具と中心電極とは、絶縁碍子のうち、主体金具の保持部が絶縁碍子に直接または間接的に当接するよりも先端側の部位(以下、この部位を「隔絶部位」という。)によって隔てられ、絶縁状態が維持されている。
隔絶部位に隔てられた主体金具と中心電極との間に高い電圧が印加されると、隔絶部位において、絶縁碍子の表面上を火花が這うように放電する、いわゆる沿面放電を生ずる場合がある。電極の消耗によって正規の火花放電間隙(すなわち中心電極と接地電極との間隙)が広がったり、あるいは着火性向上のためスパークプラグの設計において火花放電間隙を広げたりすると、火花放電間隙において気中放電を行うための要求電圧が高くなる。これにあわせて火花放電間隙に印加する電圧を高めた場合、隔絶部位を介して沿面放電を生ずる場合があり、正規の火花放電間隙における火花放電の確実性の低下を招く虞がある。
このような沿面放電の発生を防止するには、隔絶部位を軸線方向に長くして、絶縁距離を延ばすとよい。しかし、単純に隔絶部位を軸線方向に長くする設計を行って絶縁距離を延ばした場合、隔絶部位自体が大きくなって熱容量が増えるため、隔絶部位における熱引き性能が低下する場合がある。するとスパークプラグが低熱価型(いわゆる焼け型)になりやすく、エンジンの要求する熱価条件を満たせなくなる虞がある。これを防止するには、例えば、隔絶部位に凹凸形状のコルゲーションを設け、隔絶部位の軸線方向の長さは変えずに、隔絶部位における沿面放電の絶縁距離を延ばすことが考えられる。このようにすれば、スパークプラグの熱価が大きく変わることはない。また、火花放電の要求電圧が高まっても、沿面放電は発生し難くなり、正規の火花放電間隙で気中放電を生じさせることができる(例えば、特許文献1参照。)。
また、上記したように、主体金具は保持部を絶縁碍子の外表面に当接させて絶縁碍子を保持しているが、その当接位置よりも先端側において、保持部と隔絶部位との間には、主体金具の筒孔と隔絶部位との間の間隙よりも狭い間隙が生ずる。この間隙を大きく確保すれば、汚損時に、保持部と隔絶部位との間隙における飛火の発生を抑制できるのであるが、スパークプラグの小型化の観点から、間隙の大きさを確保することは難しい。そこで、保持部と隔絶部位との間隙を、敢えて小さくし、0.4mm以下としたところ、間隙内への未燃ガスの侵入を防ぎ、間隙内における耐汚損性を向上させ、その結果、飛火の発生を防止できた(例えば特許文献2参照。)。
実開昭50−59428号公報
特開2002−260817号公報
しかしながら、近年、エンジン出力の向上が図られ、燃焼室内の圧力(混合気の圧縮比)が従来よりも高められる傾向にあり、これに伴い火花放電のための要求電圧がさらに高まっている。ここで、燃焼室内の圧力と火花放電の要求電圧との関係において、圧力の上昇に対する要求電圧の上昇の度合いは、沿面放電よりも気中放電の方が大きいことが知られている。このため、燃焼室内の圧力が従来よりも高くなった場合、特許文献1のスパークプラグのようにコルゲーションによって絶縁距離を延ばしたとしても、沿面放電が生じやすくなる虞があった。また、電極間により高い電圧が印加されることによって、保持部と隔絶部位との間隙における汚損は防げても、間隙内で飛火が発生し、隔絶部位における飛火位置が沿面放電の起点となってしまう虞があった。これを防止するには沿面放電の絶縁距離をさらに延ばすとよいが、そのために隔絶部位に極端な凹凸形状を設けると隔絶部位の表面積が増えてしまう。するとエンジンからの受熱量が高まってしまい、スパークプラグが低熱価型になりやすく、エンジンの要求する熱価条件を満たせなくなる虞があった。
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、エンジンの要求する熱価条件を満たしつつも絶縁碍子の隔絶部位における沿面放電の発生を抑制し、確実に、正規の火花放電間隙で火花放電を行うことができるスパークプラグを提供することを目的とする。
本発明の実施態様に係るスパークプラグは、中心電極と、前記中心電極の軸線方向に延びる軸孔を有し、その軸孔内の先端側で前記中心電極を保持する絶縁碍子と、前記軸線方向に延びる筒孔を有すると共に、その筒孔内に、前記絶縁碍子の周方向一周にわたって前記絶縁碍子の外表面に直接または間接的に当接し、前記絶縁碍子を前記筒孔内に保持するための保持部を有する主体金具と、一端部が前記主体金具に接合され、他端部側が前記中心電極の先端部に向けて屈曲されると共に、その他端部と前記中心電極の先端部との間で火花放電間隙を形成する接地電極と、を備えている。また、前記絶縁碍子のうち、前記軸線方向の先端側からみて、前記絶縁碍子が最初に前記保持部と直接または間接的に接触する位置Qよりも、前記軸線方向の先端側の部位を隔絶部位としたときに、前記隔絶部位における前記外表面であって、前記保持部を構成する面のうち前記軸線方向と直交する径方向の内側を向く内向き面と向き合う部分は、前記内向き面に対し、周方向一周にわたって前記径方向に0.4mm以下の間隙で配置されており、前記隔絶部位における前記絶縁碍子の体積V1に対する、前記隔絶部位における前記絶縁碍子の前記外表面の表面積S1の割合(S1/V1)が、1.26≦S1/V1≦1.40[mm−1]を満たすと共に、前記隔絶部位における前記絶縁碍子の最大外径が、前記位置Qにおける前記絶縁碍子の外径以下であることを特徴とする。
本実施態様では、中心電極と主体金具の保持部とを隔てる隔絶部位における外表面と、保持部との間隙を0.4mm以下としており、耐汚損性を確保できる。その上で、絶縁碍子の隔絶部位の体積V1に対する、外表面の表面積S1の割合(S1/V1)を1.26mm−1以上としており、隔絶部位を介した沿面放電の発生を防止するのに十分な絶縁距離を確保できる。従って、エンジンの高出力化を図る上で燃焼圧が上昇し、火花放電のための要求電圧が高くなっても、確実に、正規の火花放電間隙で火花放電を行うことができる。その一方で、表面積S1の増大に伴い燃焼室からの受熱量が増加するが、S1/V1を1.40mm−1以下とするので、中心電極の温度上昇を抑えることができ、熱価条件を維持することができる。従って、従来の寸法比率のままスパークプラグの小型化を図ることができ、エンジンの小型化および高出力化を実現する上で好適である。
ところで、絶縁碍子の隔絶部位の体積V1に対する外表面の表面積S1の割合(S1/V1)が上記範囲を満たせるようにするには、隔絶部位において、例えば、凹凸形状を設けると容易である。このような形状を設けるにあたり、隔絶部位における絶縁碍子の最大外径を、位置Qにおける絶縁碍子の外径以下に抑えることで、隔絶部位が主体金具の筒孔の内周面に近づくことを制限することができる。従って、隔絶部位と筒孔の内周面との間で気中放電(いわゆる横飛火)が生じてしまうことを防止できる。
また、本実施態様に係るスパークプラグにおいて、前記隔絶部位の前記軸線方向先端部が、前記主体金具の先端から1.0mm以上突出してもよい。また、前記隔絶部位の先端部における前記外表面において、先端面と外側面とがなす稜角部分に面取寸法0.4mm以下のR面取りを行ってもよく、前記隔絶部位の先端部における前記絶縁碍子の前記軸孔と前記中心電極との前記径方向の距離を0.05mm以上としてもよい。
主体金具の先端面と筒孔の内周面とがなす稜角部位は、電界強度が高まりやすい部位であるため、絶縁碍子の外表面においてその稜角部位に近い部分は、稜角部位との間での気中放電(横飛火)の起点となりやすい。そして横飛火が生じたときには、その起点と中心電極との間で、絶縁碍子の外表面を這う沿面放電が生ずることとなる。ゆえに、隔絶部位の先端部を主体金具の先端から1.0mm以上突出させれば、沿面放電経路における絶縁距離を延ばすことができるので、稜角部位と中心電極との間の絶縁抵抗を、さらに、高くすることができる。ゆえに、さらなる高出力化を図ったエンジンに、本実施態様に係るスパークプラグを使用する上で、十分な、絶縁性能を得ることができ、横飛火の発生を効果的に防止することができる。
なお、スパークプラグの製造過程において、前記隔絶部位の先端部における先端面と外側面とがなす稜角部分に欠けを生じやすくなる虞がある。このような欠けの発生を防止するには、その稜角部分にR面取りを施すとよい。もっとも、面取寸法が大きくなるほど、面取り部分において絶縁距離が短くなる。さらなる高出力化を図ったエンジンに、本実施態様に係るスパークプラグを使用するには、面取寸法を0.4mm以下として、十分な、絶縁距離を確保するとよい。
また、前記隔絶部位の先端部における絶縁碍子の軸孔と中心電極との間に間隙を設ければ、空気層による絶縁効果によって、主体金具と中心電極との間の絶縁距離を、さらに確保することができる。さらなる高出力化を図ったエンジンに、本実施態様に係るスパークプラグを使用する上で十分な絶縁性を得るには、絶縁碍子の軸孔と中心電極との間の径方向の距離を、0.05mm以上とするとよい。
また、本実施態様に係るスパークプラグにおいて、前記隔絶部位の先端部が、前記軸線方向に延びる円筒形状をなしてもよく、前記軸線方向において、前記主体金具の先端の位置を跨いで配置されてもよい。そして、前記隔絶部の先端部における前記体積V2に対する、前記隔絶部位の先端部における前記表面積S2の割合(S2/V2)が、1.40≦S2/V2≦2.00[mm−1]を満たしてもよい。円筒形状をなす前記隔絶部位の先端部を、軸線方向において、主体金具の先端の位置を跨いで配置させれば、電界強度が高まりやすい稜角部位と、絶縁碍子の外表面との間の距離を確保することができ、横飛火の発生を防止することができる。
そして、確実に、前記隔絶部位の先端部における絶縁距離を確保するためには、上記同様に、前記隔絶部位の先端部における絶縁碍子の体積V2に対する、表面積S2の割合(S2/V2)を規定するとよく、具体的には、S2/V2を、1.40≦S2/V2≦2.00[mm−1]とするとよい。前記隔絶部位の先端部におけるS2/V2が1.40mm−1未満であっても実用範囲としては十分な絶縁距離を確保できるが、エンジンのさらなる高出力化を図り要求電圧が高くなった場合においても、前記隔絶部位の先端部において確実な絶縁距離を確保するには、前記隔絶部位の先端部におけるS2/V2を1.40mm−1以上とするとよい。一方、前記隔絶部位の先端部におけるS2/V2が大きくなれば、前記隔絶部位の先端部における燃焼室からの受熱量が多くなって中心電極の温度上昇を招くため、前記隔絶部位の先端部におけるS2/V2は2.00mm−1以下とするとよい。
また、本実施態様に係るスパークプラグにおいて、前記主体金具が、自身の外周側に、自身を内燃機関に取り付けるためのねじ山が形成された取付部を有してもよい。また、そのねじ山の呼び径がM8〜M12であるとよく、前記径方向において、前記主体金具の先端面と前記筒孔の内周面とがなす稜角部位と、前記隔絶部位における前記絶縁碍子の前記外表面との間の最短距離Lが、前記火花放電間隙の大きさGよりも大きいとよい。
主体金具の稜角部位と、隔絶部位における絶縁碍子の外表面との最短距離Lを、火花放電間隙の大きさGよりも大きくすることで、電界強度が高まりやすい稜角部位を起点とする横飛火の発生を防止することができ、正規の火花放電間隙での火花放電を確実に行うことができる。そして、本発明の適用によって、従来の寸法比率のままスパークプラグの小型化を図っても横飛火や沿面放電の発生を防止できるので、主体金具の取付部のねじ山の呼び径がM8〜M12のスパークプラグに適用すれば、エンジンの小型化および高出力化を同時に実現する上で好適である。
また、本実施態様に係るスパークプラグにおいて、前記隔絶部位における前記絶縁碍子の前記径方向の最小の厚みTを0.5mm以上としてもよい。隔絶部位における絶縁碍子の外表面の表面積S1をより大きくする上で、本実施態様のように、隔絶部位における絶縁碍子の最小の厚みTを0.5mm以上とすれば、絶縁碍子の製造過程において取り扱う際に十分な強度を確保でき、折れ等の不具合の発生を抑制することができる。
なお、本実施態様に係るスパークプラグは、前記隔絶部位における前記絶縁碍子の最大外径と、前記主体金具の前記筒孔の内周面の内径と径差が半径差で0.5mm以上あることを特徴としてもよい。
スパークプラグ100の部分断面図である。
スパークプラグ100の隔絶部位Pを拡大してみた断面図である。
変形例としてのスパークプラグ200の隔絶部位Pを拡大してみた部分断面図である。
変形例としてのスパークプラグ300の隔絶部位Pを拡大してみた部分断面図である。
変形例としてのスパークプラグ400の隔絶部位Pを拡大してみた部分断面図である。
変形例としてのスパークプラグ500の隔絶部位Pを拡大してみた部分断面図である。
沿面放電の発生頻度と、隔絶部位Pにおける絶縁碍子の体積V1に対する表面積S1の割合(S1/V1)との相関関係を示すグラフである。
隔絶部位Pにおける絶縁抵抗値と、隔絶部位Pにおける絶縁碍子の体積V1に対する表面積S1の割合(S1/V1)との相関関係を示す片対数グラフである。
中心電極の先端部の温度と、隔絶部位Pにおける絶縁碍子の体積V1に対する表面積S1の割合(S1/V1)との相関関係を示すグラフである。
隔絶部位Pにおける絶縁碍子の最小の厚みTと、絶縁碍子の製造過程における折れの発生率との関係を示すグラフである。
以下、本発明を具体化したスパークプラグの一実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、図1において、スパークプラグ100の軸線O方向を図面における上下方向とし、下側をスパークプラグ100の先端側、上側を後端側として説明する。
図1に示すように、スパークプラグ100は、概略、中心電極20と、中心電極20を軸孔12内に保持する絶縁碍子10と、絶縁碍子10を筒孔55内に保持する主体金具50と、主体金具50に接合され、中心電極20との間で火花放電間隙GAPを形成する接地電極30と、絶縁碍子10の後端部に設けられる端子金具40とから構成されている。
まず、絶縁碍子10について説明する。絶縁碍子10は周知のようにアルミナ等を焼成して形成され、軸中心に軸線O方向へ延びる軸孔12が形成された筒形状を有する。軸線O方向の略中央には外径が最も大きな鍔部19が形成されており、それより後端側(図1における上側)には後端側胴部18が形成されている。鍔部19より先端側(図1における下側)には後端側胴部18よりも外径の小さな先端側胴部17が形成され、先端側胴部17よりも更に先端側に、先端側胴部17よりも外径の小さな脚長部13が形成されている。脚長部13は先端側へ向けて縮径されており、スパークプラグ100が内燃機関のエンジンヘッド(図示外)に取り付けられた際には、その燃焼室に曝される。また、後述する主体金具50の筒孔55内にて絶縁碍子10を保持すると共に気密維持を図れるように、脚長部13と先端側胴部17との間に段状の部位が設けられており、本実施の形態では、この部位を段部15と呼称する。なお、後述するが、本実施の形態では、この脚長部13において、絶縁碍子10の外表面14が凹凸形状に形成されている。
次に、中心電極20は、インコネル(商標名)600または601等のニッケル系合金から形成された母材24の内部に、その母材24よりも熱伝導性に優れる銅等からなる金属芯23を埋設した構造を有する棒状の電極である。中心電極20は、絶縁碍子10の軸孔12内の先端側に保持されている。中心電極20の先端部22は、絶縁碍子10の先端から突出し、後述する接地電極30の先端部31との間で火花放電間隙GAPを形成する。また、中心電極20は、軸孔12の内部に設けられたシール体4およびセラミック抵抗3を経由して、後方(図1における上方)の端子金具40と電気的に接続されている。端子金具40にはプラグキャップ(図示外)を介して高圧ケーブル(図示外)が接続され、火花放電のための高電圧が印加されるようになっている。
次いで、接地電極30について説明する。接地電極30は耐腐食性の高い金属から構成され、一例として、インコネル(商標名)600または601等のニッケル合金が用いられる。接地電極30は自身の長手方向の横断面が略長方形を有しており、基部32が主体金具50の先端面57に溶接されている。接地電極30の先端部31は、中心電極20の先端部22に向かって屈曲され、両者間に火花放電間隙GAPが形成されている。
次に、主体金具50について説明する。主体金具50は、内燃機関のエンジンヘッド(図示外)にスパークプラグ100を固定するための円筒状の金具である。主体金具50は、絶縁碍子10の後端側胴部18の一部から脚長部13にかけての部位を取り囲むようにして、絶縁碍子10を筒孔55に保持している。主体金具50は低炭素鋼材から形成され、図示外のスパークプラグレンチが嵌合する工具係合部51と、エンジンヘッドのねじ孔(図示外)に螺合するねじ山が形成された取付部52とを有する。
主体金具50の工具係合部51と取付部52との間には、鍔状のシール部54が形成されている。取付部52とシール部54との間の外周面には、板体を折り曲げて形成した環状のガスケット5が嵌められて、配置されている。ガスケット5は、スパークプラグ100をエンジンヘッドの取付孔(図示外)に取り付けた際に、取付孔の開口周縁部とシール部54との間で押し潰されて変形し、両者間を封止することで、取付孔を介した燃焼室内の気密漏れを防止するものである。
主体金具50の内周で取付部52の位置には、筒孔55の内周面59から内向きに突出し、周方向に一周する保持部56が設けられている。この保持部56に、環状の板パッキン8を介し、絶縁碍子10の段部15が保持されている。また、主体金具50の工具係合部51より後端側には薄肉の加締部53が設けられ、シール部54と工具係合部51との間には、加締部53と同様に薄肉の座屈部58が設けられている。工具係合部51から加締部53にかけての主体金具50の筒孔55の内周面59と、絶縁碍子10の後端側胴部18の外表面14との間には、円環状のリング部材6,7が介在されており、更に両リング部材6,7間にタルク(滑石)9の粉末が充填されている。主体金具50の加締部53を内側に折り曲げて加締めることで、絶縁碍子10は筒孔55内で先端側に向け押圧され、加締部53と保持部56との間で支持されて、主体金具50と一体になる。このとき、主体金具50と絶縁碍子10との間の気密性は、保持部56と段部15との間に介在する板パッキン8によって維持され、燃焼ガスの流出が防止される。また座屈部58は、加締めの際に、圧縮力の付加に伴い外向きに撓み変形するように構成されており、タルク9の軸線O方向の圧縮長を長くして主体金具50内の気密性を高めている。
このように構成された本実施の形態のスパークプラグ100では、火花放電の際に、火花放電間隙GAPにて確実に火花放電がなされるように、絶縁碍子10の外表面14上を這う沿面放電の発生を抑制するための構造を有する。以下、絶縁碍子10の構成について、図2を参照して説明する。
前述したように、図2に示す、絶縁碍子10の脚長部13は、絶縁碍子10を主体金具50に保持させるために設けられた段部15よりも先端側に形成された部位である。段部15は板パッキン8を介して主体金具50の保持部56に保持されている。換言すると、主体金具50の保持部56は、板パッキン8を介して間接的に絶縁碍子10の段部15に当接し、絶縁碍子10を保持している。本実施の形態では、絶縁碍子10の外表面14において、板パッキン8が段部15に当接する位置のうち軸線O方向の最も先端の位置をQとする。そして、絶縁碍子10の部位のうち、位置Qよりも軸線O方向の先端側に存在し、中心電極20と保持部56とを絶縁状態に隔てる部位を、隔絶部位Pとしている。具体的に、図2では、絶縁碍子10の隔絶部位Pを実線で示す。
スパークプラグ100の稼働時には、主体金具50と端子金具40(図1参照)との間に高電圧が印加され、主体金具50に接合された接地電極30と、端子金具40に電気的に接続された中心電極20との間の火花放電間隙GAPにて火花放電(気中放電)が生じ、混合気への着火が行われる。このとき、主体金具50と中心電極20との間にも高電圧がかかるので、両者間に介在することとなる隔絶部位Pにおいて沿面放電が発生して中心電極20と主体金具50(保持部56)との間で火花放電が生じないように、両者間には十分な絶縁距離を得ることが肝要である。さらに、従来よりも燃焼室内の圧力が高まった状態でも、確実に、火花放電間隙GAPにて火花放電(気中放電)を生じさせるには、隔絶部位Pの表面に沿った主体金具50と中心電極20との間の距離を延ばすだけでなく、隔絶部位Pにおける絶縁碍子10の外表面14の表面積を、より大きくすることが望ましい。
これを実現するため、本実施の形態のスパークプラグ100では、一例として、隔絶部位Pにおいて、絶縁碍子10の外表面14が凹凸形状に形成されている。この凹凸形状は隔絶部位Pにただ設ければよいというものではなく、エンジンの要求する熱価条件を満たしつつ、隔絶部位Pを介した沿面放電の確実な防止を図るため、以下のような各種規定を設けている。
まず、図2に示すように、絶縁碍子10の隔絶部位Pについて、径方向(軸線Oと直交する方向)に主体金具50の保持部56と向き合う部位を、基端部P1とする。本実施の形態において、基端部P1は、略同一の外径で軸線O方向に延びる、円筒形状をなす。また、基端部P1から軸線O方向の先端側へ向けて、外径が変化しつつ延びる部位を中間部P2とする。上記したように、本実施の形態では、中間部P2における絶縁碍子10の外表面14が、凹凸状をなす。さらに、中間部P2から軸線O方向の先端側へ向けて延びる部位を先端部P3とする。先端部P3は、基端部P1と同様に円筒形状をなして軸線O方向に延び、先端面61が、主体金具50の先端面57よりも軸線O方向先端側に配置されている。
基端部P1において、外表面14は、保持部56を構成する面のうち径方向の内側を向く内向き面60と、向き合う部位Fを有する。部位Fは、内向き面60との間に間隙Jを有するが、周方向一周にわたって間隙Jの大きさ(径方向長さ)が0.4mm以下となるように、基端部P1の大きさ(外径)が設定されている。間隙Jが0.4mmより大きいと、内燃機関の駆動時に未燃焼ガスが間隙J内に入り込み、汚損物質が間隙J内に蓄積する虞がある。汚損物質の蓄積により形成される層が成長し、保持部56の内向き面60と、部位Fにおける絶縁碍子10の外表面14とが汚損物質を介して電気的に接触すると、主体金具50と中心電極20との間の絶縁抵抗が下がって隔絶部位Pを介した沿面放電を生じやすくなる虞がある。一方で、保持部56の内向き面60と、部位Fにおける絶縁碍子10の外表面14との間における気中放電に対する絶縁抵抗を確保するためには、間隙Jの大きさを0.05mm以上確保することが望ましく、0.2mm以上確保できれば、なおよい。
また、間隙Jを構成する保持部56の内向き面60と、部位Fにおける絶縁碍子10の外表面14とが、軸線O方向に延びる長さをHとしたときに、長さHは0.5mm以上を確保するとよい。長さHが0.5mmより小さいと、間隙J内への未燃焼ガスの侵入を効果的に防止することが難しくなる。一方、長さHが長くなるほど、主体金具50の筒孔55内における間隙J内への開口が、軸線O方向のより先端側に近づく。すると、間隙Jの開口付近における隔絶部位Pを介した沿面放電の絶縁距離が短くなるため、間隙Jの開口付近に汚損物質が付着した場合、汚損物質を介した飛火を生ずる虞がある。ゆえに、長さHは2.5mm以下とすることが望ましい。
このように、間隙Jの大きさを規定することで、上記のように耐汚損性は向上するが、気中放電における絶縁抵抗は低下するので、隔絶部位Pにおける絶縁碍子10の体積V1に対する、表面積S1の割合(S1/V1)を規定して、隔絶部位Pにおける沿面放電の絶縁距離を確保している。具体的に、S1/V1が、1.26≦S1/V1≦1.40[mm−1]を満たすことを規定している。隔絶部位Pにおける絶縁碍子10の体積V1に対する、表面積S1の割合(S1/V1)が1.26mm−1未満である場合、隔絶部位Pに十分な大きさの表面積S1を得られず、隔絶部位Pを介した主体金具50と中心電極20との間における沿面放電に対し、絶縁距離を十分に確保できない虞がある。一方、隔絶部位Pの体積V1に対する表面積S1の割合が大きくなることは、同等の大きさのスパークプラグに比べ、隔絶部位Pにおける絶縁碍子10の表面積S1が増えることとなり、燃焼室からの受熱量が多くなる。具体的に、S1/V1が1.40mm−1より大きくなると、隔絶部位Pからの受熱による中心電極20の温度上昇が大きく、スパークプラグ100が低熱価型(いわゆる焼け型)となるため、エンジンの要求する熱価条件を満たせなくなる虞がある。
このように、隔絶部位Pにおける絶縁碍子10の体積V1に対する表面積S1の割合(S1/V1)が1.26≦S1/V1≦1.40[mm−1]を満たすように規定することによって、従来の寸法比率のまま小型化したスパークプラグを、より燃焼圧の高いエンジンに利用することもできる。つまり、本発明を適用すれば、スパークプラグを設計する上で、脚長部を軸線O方向に延ばすことによって主体金具の保持部と中心電極との間の絶縁距離を確保するのではなく、従来の寸法比率のまま小型化しても十分に絶縁距離を確保できるのである。具体的に、主体金具50の取付部52のねじ山の呼び径がM8〜M12のスパークプラグ100に適用すれば、エンジンの小型化および高出力化を同時に実現する上で好適である。
さらに、スパークプラグ100では、隔絶部位Pにおける絶縁碍子10の最大外径が、位置Qにおける絶縁碍子10の外径U以下となることを規定している。本実施の形態では、隔絶部位Pの中間部P2が凹凸形状をなしつつも先端側へ向け縮径しているため、隔絶部位Pにおいて絶縁碍子10の外径が最大となる位置は位置Qと一致する。そうでない場合であっても、この規定によって、隔絶部位Pが位置Qにおける絶縁碍子10の外径Uよりも径方向外方へ突出することはない。これにより、隔絶部位Pにおける絶縁碍子10の外表面14の表面積S1をより大きくする上で、隔絶部位Pが主体金具50の筒孔55の内周面59に近づくことが制限されるので、隔絶部位Pと筒孔55の内周面59との間で気中放電(いわゆる横飛火)が生じてしまうことを防止できる。そして、より好ましくは、主体金具50の筒孔55の内径Xと、隔絶部位Pにおける絶縁碍子10の最大外径との径差を1.0mm以上(半径差で0.5mm以上)確保することが望ましい。
また、主体金具50の先端面57と筒孔55の内周面59とがなす稜角部位Wと隔絶部位Pにおける、絶縁碍子10の外表面14との間の最短距離Lが、火花放電間隙GAPの大きさGよりも大きいことを規定している。稜角をなす部位は電界強度が高まって火花放電の起点となりやすいことが知られているが、稜角部位Wと中心電極20との間で火花放電を生じるには、稜角部位Wと隔絶部位Pとの間での気中放電と、隔絶部位Pの外表面14上にてその気中放電を生じた起点と中心電極20との間での沿面放電とを必要とする。稜角部位Wと隔絶部位Pとの最短距離Lが火花放電間隙GAPよりも大きければ、稜角部位Wと中心電極20との間における絶縁抵抗値が、火花放電間隙GAPにおける絶縁抵抗値を下回りにくく、エンジンの駆動の際に、正規の火花放電間隙GAPにおいて、より確実に火花放電を生じさせることができる。
また、スパークプラグ100の径方向において、隔絶部位Pにおける絶縁碍子10の最小の厚みTが、0.5mm以上となることを規定している。上記のように、隔絶部位Pが主体金具50の筒孔55の内周面59に近づくことを制限しつつ、隔絶部位Pにおける絶縁碍子10の外表面14の表面積S1をより大きくするには、絶縁碍子10の厚みを部分的に薄くすることが考えられる。しかし、絶縁碍子10は、アルミナ等の絶縁粉末を押し固め、切削加工によって成形後、焼成して作製されるが、軸孔12を有するため、径方向の厚みが小さくなると、成形の際に折れ等を生じ歩留まりが悪くなる虞がある。特に、隔絶部位Pにおいては、凹凸形状によって絶縁碍子10の最小の厚みTが小さくなりやすい。これを防止するには、後述する実施例4によれば、隔絶部位Pにおける絶縁碍子10の最小の厚みTを0.5mm以上とし、絶縁碍子10に十分な厚みを確保することが望ましい。
このように各種規定を行うことで、従来よりも燃焼室内の圧力が高まった状態でも、隔絶部位Pを介した沿面放電の発生を十分に防止することができるが、燃焼室内の圧力上昇が、上記の規定で目標とする上昇幅よりもさらに上昇した場合にも対応できるスパークプラグ100を提供するため、本実施の形態では、さらに、以下の規定を設けている。
まず、絶縁碍子10の先端部P3が、軸線O方向において、主体金具50の先端面57よりも先端側へ突出する突出長さNを、1.0mm以上とするとよい。上記したように、主体金具50の稜角部位Wと絶縁碍子10の外表面14との最短距離Lを、火花放電間隙GAPの大きさGよりも大きくすれば、正規の火花放電間隙GAPにおける火花放電を確保できる。ここで燃焼室内の圧力のさらなる上昇に伴い電極間への印加電圧が高められた場合に、隔絶部位Pの外表面14上にて、稜角部位Wと隔絶部位Pとの間での気中放電を生じた起点と、中心電極20との間での沿面放電の発生を抑制するには、その沿面放電が発生し得る部位と、中心電極20との間の絶縁距離を長くすることが肝要である。後述する実施例5によれば、軸線O方向において、絶縁碍子10の先端部P3が、主体金具50の先端面57よりも先端側へ突出する突出長さNを、1.0mm以上とすれば、中心電極20と主体金具50との間における絶縁抵抗を、より高められることがわかった。もちろん、1.0mm未満であっても、実用的な大きさの範囲の絶縁抵抗を得ることができる。このようにすれば、稜角部位Wと中心電極20との間の絶縁抵抗を、さらに、高くすることができる。ゆえに、さらなる高出力化を図ったエンジンにスパークプラグ100を使用する上で、十分な、絶縁性能を得ることができ、横飛火の発生を効果的に防止することができる。一方、突出長さNが長くなれば、先端部P3における燃焼室からの受熱量が増加し、温度上昇を招くため、突出長さNは4.3mm以下、より好ましくは4.0mm以下とするとよい。なお、上記したように、先端部P3が円筒形状をなすが、略同一の外径で軸線O方向に延び、主体金具50の先端面57の位置を跨ぐこと、すなわち、軸線O方向における先端部P3の中腹の位置に、稜角部位Wが配置されることが好ましい。このようにすれば、稜角部位Wと、先端部P3における絶縁碍子10の外表面14との間の絶縁距離(両者間において生じ得る気中放電に対する絶縁距離)を確保でき、横飛火の発生を防止することができる。
なお、スパークプラグ100の製造過程において、絶縁碍子10の先端部P3における先端面61と外側面とがなす稜角部分に欠けを生じやすくなる虞がある。このような欠けの発生を防止するには、その稜角部分にR面取りを施すとよく、その面取寸法Kを0.1mm以上とするとよい。後述する実施例8によれば、面取寸法Kが0.1mm未満の場合、スパークプラグ100の製造過程において、上記の稜角部分に欠けを生じてしまう虞がある。一方、面取寸法Kが大きくなるほど、面取り部分において絶縁距離が短くなってしまうため、面取寸法Kは0.45mm以下、より好ましくは0.40mm以下とするとよい。
また、先端部P3において、絶縁碍子10の軸孔12と中心電極20との間に、径方向において0.05mm以上の間隙Mを有するとよい。具体的には図2に示すように、中心電極20の先端部22の外径を後端側の外径よりも、半径差で0.05mm以上小さくして間隙Mを形成すればよい。もちろん、絶縁碍子10の軸孔12の内径を、先端部P3において、半径差で0.05mm以上大きくして間隙Mを形成してもよいし、あるいは中心電極20と絶縁碍子10の双方に加工を施して上記の間隙Mを形成してもよい。間隙Mを形成することで、隔絶部位Pによる中心電極20と主体金具50との間の絶縁距離をさらに延ばすことができる。後述する実施例6によれば、間隙Mを0.05mmより小さくすると、間隙M内の空気層による絶縁効果が薄れ、隔絶部位Pにおける絶縁抵抗が、実用範囲としては十分ではあるものの、低下する。一方、間隙Mを大きくしすぎると、先端部P3において燃焼室から受熱した熱を中心電極20側へ逃がしにくくなって、熱価条件の低下を招く虞があり、実用範囲として0.47mm以下、より好ましくは0.45mm以下に抑えるとよい。
そして、確実に、先端部P3における絶縁距離を確保するためには、上記同様に、先端部P3における絶縁碍子10の体積V2に対する、表面積S2の割合(S2/V2)を規定するとよい。具体的に、S2/V2が、1.40≦S2/V2≦2.00[mm−1]を満たすことを規定している。後述する実施例7によれば、先端部P3におけるS2/V2が1.40mm−1未満であっても実用範囲としては十分な絶縁距離を確保できるが、要求電圧が高い状況においても先端部P3において確実な絶縁距離を確保するには、先端部P3におけるS2/V2を1.40mm−1以上とするとよい。また、先端部P3におけるS2/V2が大きくなれば、先端部P3における燃焼室からの受熱量が多くなって中心電極20の温度上昇を招くため、先端部P3におけるS2/V2を2.25mm−1以下、より好ましくは2.00mm−1以下とするとよい。
なお、本発明は各種の変形が可能なことはいうまでもない。例えば、図3に示す、スパークプラグ200のように、絶縁碍子210の隔絶部位P(中間部P2)を多段状に形成して、隔絶部位Pにおける絶縁碍子210の外表面214の表面積S1をより大きくし、隔絶部位Pにおける絶縁碍子210の体積V1に対する表面積S1の割合(S1/V1)が1.26〜1.40[mm−1]となるようにしてもよい。なお、主体金具250の保持部256が板パッキン8を介して間接的に絶縁碍子210の段部215に当接する位置のうち、最も先端側の位置を位置Qとし、位置Qよりも先端側に存在し、中心電極20と保持部256とを絶縁状態に隔てる部位(図3において実線でしめす部位)を隔絶部位Pとし、各種規定を設けることや、先端部P3に対して各種規定を設けることも、本実施の形態と同様である。
また、図4に示す、スパークプラグ300のように、絶縁碍子310の隔絶部位Pの基端部P1および中間部P2を、軸線O方向に延ばしつつ径方向の厚みを薄くして、隔絶部位P(図4において実線で示す部位)における絶縁碍子310の体積V1に対する絶縁碍子310の外表面340の表面積S1の割合(S1/V1)が1.26〜1.40[mm−1]を満たすようにしてもよい。つまり、隔絶部位Pを軸線O方向に延ばすことで沿面放電の際の絶縁距離を延ばしつつ、厚みを薄くすることで隔絶部位Pにおける蓄熱量を低下させることができるので、スパークプラグ300が低熱価型にはならないようにすることができる。なお、スパークプラグ300は、主体金具350の保持部356と絶縁碍子310の段部315との間にパッキンを設けない場合の例でもある。さらに、絶縁碍子310は、基端部P1における外径が一定ではない場合の例でもあり、こうした場合でも、保持部356の内向き面360と、基端部P1(保持部356に対応する部位)において内向き面360と向き合う部位Fとの間の間隙Jの大きさ(ここでは最大の大きさ)が、0.4mm以下となればよい。この場合においても、保持部356が直接的に絶縁碍子310に当接する位置のうち、最も先端側の位置を位置Qとし、その位置Qよりも先端側に存在し、中心電極20と保持部356とを絶縁状態に隔てる部位(図4において実線で示す部位)を隔絶部位Pとし、各種規定を設けることや、先端部P3に対して各種規定を設けることも、上記同様である。
また、図5に示す、スパークプラグ400のように、隔絶部位Pの中間部P2を、基端部P1から先端部P3へ向けて外径が次第に小さくなるテーパ状に形成してもよい。さらには図6に示す、スパークプラグ500のように、スパークプラグ500の中間部P2を、複数の段状(ここでは2段)に形成してもよい。いずれのスパークプラグ400,500においても、隔絶部位Pに対して各種規定を設けることや、先端部P3に対して各種規定を設けることも、本実施の形態と同様である。
このように、絶縁碍子10の隔絶部位Pにおける絶縁碍子10の外表面14の表面積S1を大きくする上で上記の各種規定を設けることによって、エンジンの要求する熱価条件を満たしながらも、隔絶部位Pにおける沿面放電の発生を抑制することができる。さらに、先端部P3に対して各種規定を行うことで、隔絶部位Pを介した中心電極20と主体金具50との絶縁性を、より高めることができ、これにより、正規の火花放電間隙GAPにおいて、確実に、気中放電が行われるようにすることができる。
次に、これらの各種規定を設けたことによる効果を確認するため評価試験を行った。まず、隔絶部位Pにおける絶縁碍子の体積V1に対する表面積S1の割合を高めることによって、従来よりも高出力のエンジン(すなわち燃焼圧の高いエンジン)においても十分に、中心電極と主体金具との間で絶縁距離を確保できることを確認するための評価試験を行った。
この評価試験では、主体金具のねじ山の呼び径がM12で熱価6番の従来のスパークプラグの絶縁碍子に取り替えて組み付け可能な絶縁碍子を作製する上で、脚長部(より詳細には隔絶部位Pの中間部P2)の外表面の形状を異ならせたものを7種類、それぞれ3本ずつ用意した。なお、脚長部の軸線O方向の長さは、いずれのサンプルも15mmとした。これらの絶縁碍子の設計寸法から隔絶部位Pにおける外表面の表面積S1と体積V1を計算によって求め、体積V1に対する表面積S1の割合(S1/V1)を求めたところ、1.07,1.13,1.20,1.24,1.26,1.30,1.33[mm−1]であった。そして上記7種21本の絶縁碍子を用いて作製したスパークプラグの各サンプルを、それぞれ、スパークプラグに対する要求熱価が6番で排気量2000ccの直列4気筒DOHC直噴型エンジンに組み付け、テスト走行パターンを5サイクル繰り返す走行試験を行った。なお、テスト走行パターンは、スパークプラグのサンプルを取り付けたエンジンを、外気温、水温、油温が−20℃の状態において始動させ、車速10km/h〜20km/hの間で加減速を10回繰り返した後、駆動停止させることを1サイクルとした走行パターンである。
そして各サンプルについて、走行試験中の沿面放電の発生頻度と、走行試験後の隔絶部位Pにおける絶縁抵抗について評価を行った。具体的に、走行試験中の放電波形を観察し、任意の放電100発分に相当する放電波形を抽出し、そのうち沿面放電に伴う奥飛火が発生したと認められる放電波形を特定し、その発生回数を数えることによって、沿面放電の発生頻度(発生率)を求めた。さらに、走行試験後に、各サンプルの正規の火花放電間隙GAPに絶縁材を配置した状態で中心電極と主体金具との間に高電圧を印加し、沿面放電における絶縁抵抗値を測定した。図7に、走行試験中の沿面放電の発生頻度と、隔絶部位Pにおける絶縁碍子の体積V1に対する表面積S1の割合(S1/V1)との相関関係について評価を行った結果を示す。また、図8に、隔絶部位Pにおける絶縁抵抗値と、隔絶部位Pにおける絶縁碍子の体積V1に対する表面積S1の割合(S1/V1)との相関関係について評価を行った結果を示す。
図7に示すように、隔絶部位Pにおける絶縁碍子の体積V1に対する表面積S1の割合(S1/V1)が大きくなるに従って、沿面放電の発生頻度が低下する傾向が見られた。S1/V1が1.26mm−1以上であれば沿面放電の発生頻度は2%以下となった。また、図8に示すように、S1/V1が大きくなるに従って、隔絶部位Pにおける絶縁抵抗値も対数的に大きくなる傾向が見られた。一般に、絶縁抵抗値が数十MΩあれば中心電極と主体金具との間の沿面放電を抑制でき、S1/V1が1.20mm−1以上あれば足りるが、S1/V1が1.24mm−1以上であれば絶縁抵抗値が100MΩ以上となり、より確実な沿面放電の防止を目指す上で望ましいことがわかった。以上より、S1/V1が1.26mm−1以上であれば、より確実に沿面放電を防止することができることが確認できた。
次いで、隔絶部位Pにおける絶縁碍子10の体積V1に対する表面積S1の割合の上限について確認するため、評価試験を行った。実施例1と同様に、脚長部(隔絶部位Pの中間部P2)の外表面の形状を異ならせ、隔絶部位Pにおける体積V1に対する表面積S1の割合(S1/V1)を1.20〜1.45[mm−1]の範囲で0.05mm−1ずつ異ならせた6種類の絶縁碍子を作製し、主体金具のねじ山の呼び径がM12で熱価6番の従来のスパークプラグの絶縁碍子に取り替えて組み付けたサンプルを用意した。なお、脚長部の軸線O方向の長さは、いずれのサンプルも15mmとした。そして各サンプルを、エンジンヘッドと同様のアルミ材を用いて作製し、25℃の冷却水が巡回する水冷機構を有するアルミブッシュに取り付け、軸線O方向の先端側から垂直にプロパンバーナーを当てて各サンプルを熱し、そのときの中心電極の先端部の温度を測定した。図9に、中心電極の先端部の温度と、隔絶部位Pにおける絶縁碍子の体積V1に対する表面積S1の割合(S1/V1)との相関関係について評価を行った結果を示す。
図9に示すように、S1/V1が大きくなるに従って受熱量が多くなり、中心電極の先端部の温度が高くなっていくことが確認された。そしてS1/V1が1.40mm−1より大きくなると中心電極の先端部の温度は1000℃を超え、プレイグニッション等を発生しやすくなる虞があるため、より高熱価型(冷え型)のスパークプラグを用いる必要が生ずることがわかった。
次に、主体金具の先端面と筒孔の内周面とがなす稜角部位Wと、隔絶部位Pにおける絶縁碍子の外表面との間の最短距離Lが、火花放電間隙GAPの大きさGよりも大きいとよいことを確認するため、評価試験を行った。この評価試験では実施例1と同様に、脚長部(隔絶部位Pの中間部P2)の外表面の形状を異ならせ、主体金具の稜角部位Wと隔絶部位Pにおける絶縁碍子の外表面との間の最短距離Lが、1.0,1.1,1.2,1.3[mm]となるように設計した4種類の絶縁碍子を作製した。そして各絶縁碍子を、主体金具のねじ山の呼び径がM12で熱価6番の従来のスパークプラグの絶縁碍子に取り替えて組み付け、上記最短距離Lの順にサンプル11〜14とした。このとき、各サンプルの火花放電間隙GAPの大きさGは、いずれも1.1mmとなるように調整した。これら各サンプルを加圧チャンバーに取り付け、チャンバー内に不活性ガスを充填し、内圧を1MPaに調整して500回の火花放電を行った。そして、この火花放電の様子を撮影し、500回の火花放電のうち、正規の火花放電間隙GAPで火花放電が生じず、主体金具の稜角部位Wと、隔絶部位Pにおける絶縁碍子の外表面との間で火花放電(いわゆる横飛火)が生じた回数を数えた。この評価試験の結果を表1に示す。
表1に示すように、主体金具の稜角部位Wと隔絶部位Pにおける絶縁碍子の外表面との間の最短距離Lが、火花放電間隙GAPの大きさG以下(1.1mm以下)のサンプル11,12では、横飛火が500回の火花放電のうち3回以上発生し、最短距離Lが小さくなると横飛火の回数が増加したため、望ましくないと判断し「×」で示した。一方、最短距離Lが1.2mmで、火花放電間隙GAPの大きさG(1.1mm)より大きいサンプル13では、500回の火花放電のうち横飛火は2回以下の発生回数であり、横飛火の発生を完全に防止できないものの実用上問題ないと判断し「△」で示した。そして最短距離Lが1.3mmのサンプル14では横飛火は発生せず、望ましいと判断し「○」で示した。これより、主体金具の稜角部位Wと隔絶部位Pにおける絶縁碍子の外表面との間の最短距離Lが、火花放電間隙GAPの大きさより大きければ、稜角部位Wに電界の集中が生じようとも十分に横飛火の発生を抑制でき、正規の火花放電間隙GAPで火花放電を生じさせることができることがわかった。
次に、隔絶部位Pにおける絶縁碍子の最小の厚みTが、0.5mm以上であるとよいことを確認するため、評価試験を行った。実施例1と同様に、主体金具のねじ山の呼び径がM12の従来のスパークプラグの絶縁碍子に取り替えて組み付け可能な絶縁碍子を設計する上で、脚長部(隔絶部位Pの中間部P2)の外表面の形状を異ならせ、隔絶部位Pにおいて最も厚みの薄い部位の厚みTが0.3,0.4,0.5,0.6[mm]の4種類の絶縁碍子を設計した。そして、設計に従い絶縁碍子を作製する過程において、折れ等の不具合が発生した割合(各厚みTごとに100本作製したサンプル中の折れの発生率)を求めた。具体的に、絶縁碍子の製造過程において、アルミナ等の絶縁粉末を押し固めた後に行われる切削加工中に、折れ等の不具合が生ずる虞がある。この評価試験の結果を図10に示す。
図10に示すように、隔絶部位Pにおける絶縁碍子の最小の厚みTが0.3mmの場合、折れの発生率が30%になったが、厚みTが0.4mmでは折れの発生率は2%に減少し、厚みTが0.5mm以上では、折れが発生しなかった。このことより、隔絶部位Pにおける絶縁碍子の最小の厚みTを0.5mm以上とするとよいことがわかった。
次に、隔絶部位Pの先端部P3が主体金具の先端面から突出する突出長さNについて、評価を行った。この評価試験では、主体金具のねじ山の呼び径がM12の従来のスパークプラグの絶縁碍子に取り替えて組み付け可能で、基端部P1から先端部P3へ向けて中間部P2の外径が次第に小さくなるテーパ状をなす(図5参照)絶縁碍子を4本用意した。なお、この絶縁碍子を作製するにあたって、以下の条件が満たされるように設計を行った。スパークプラグに組み付けた際に主体金具の保持部の内向き面と、基端部P1の外周面との間の間隙Jの大きさが0.4mmとなるように、基端部P1の外径を調整した。隔絶部位PのS1/V1比が1.26mm−1となるように、中間部P2に形成したテーパの角度を調整した。先端部P3に施す面取りの面取寸法Kが0.4mmとなるように調整した。また、主体金具と中心電極についても、本評価試験用のものを作製した。主体金具は、軸線O方向における保持部の後端向き面の位置を調整した4種類の主体金具を用意した。中心電極は、組み付け後に絶縁碍子の先端部P3における軸孔内に配置される先端部の外径を、それよりも後端側の部分の外径より、半径差で0.05mm細くしたものを4本用意した。これらの絶縁碍子、主体金具および中心電極を用いてスパークプラグを組み立てたところ、主体金具の先端面から突出する絶縁碍子の先端部P3の突出長さNが、0.8,1.0,4.0,4.3[mm]となった4種類のサンプルが完成し、順に、サンプル21〜24とした。
そして、各サンプルの正規の火花放電間隙GAPに絶縁材を配置した状態で中心電極と主体金具との間に高電圧を印加し、隔絶部位Pを介した沿面放電における絶縁抵抗値を測定した。さらに、各サンプルを、エンジンヘッドと同様のアルミ材を用いて作製し、25℃の冷却水が巡回する水冷機構を有するアルミブッシュに取り付け、軸線O方向の先端側から垂直にプロパンバーナーを当てて各サンプルを熱し、そのときの中心電極の先端部の温度を測定した。各測定結果を表2に示す。
前述したように、一般に、絶縁抵抗値が数十MΩあれば中心電極と主体金具との間の沿面放電を抑制でき、さらに、絶縁抵抗値が100MΩ以上あれば、より確実な沿面放電の防止を目指す上で望ましいとされる。そして、さらなる高出力化を図ったエンジンに使用するには、より高い絶縁抵抗値が必要とされ、具体的には250MΩ以上であることが望ましい。表2に示すように、先端部P3の突出長さNが0.8mmのサンプル21は、絶縁抵抗値について、実用範囲の値を得られている。しかし、先端部P3の突出長さNが1.0mm以上のサンプル22〜24であれば、より望ましい絶縁抵抗値を得られることがわかった。
また、中心電極の温度についても、一般には1000℃以下に抑えられれば、従来のスパークプラグと同等の熱価条件(熱価6番)を満たせるとされている。そして、さらなる高出力化を図ったエンジンに使用するには、より高い熱価条件が求められ、そのためには中心電極の温度として950℃以下の確保が望まれる。表2に示す、先端部P3の突出長さNが4.3mmのサンプル24は、中心電極の温度として1000℃以下を確保できており、実用範囲の値を得られている。しかし、中心電極の温度として950℃以下を確保できる、先端部P3の突出長さNが4.0mm以下のサンプル21〜23であれば、より望ましい熱価条件を満たせることがわかった。
したがって、絶縁抵抗値として250MΩ以上を確保でき、中心電極の温度として950℃以下を確保できる、サンプル22,23であれば、さらなる高出力化を図ったエンジンに対しても十分に使用可能であることがわかった。よって、先端部P3の突出長さNを、1.0mm以上とするとよいことがわかった。
次に、隔絶部位Pの先端部P3における絶縁碍子の軸孔と中心電極との間隙Mの大きさについて、評価を行った。この評価試験では、実施例5と同様の大きさ条件を満たす絶縁碍子を4本用意した。また、中心電極は、組み付け後に絶縁碍子の先端部P3における軸孔内に配置されることとなる先端部の外径を、それよりも後端側の部分の外径と比べ、異なる大きさとしたものを4種類用意した。これらの絶縁碍子と中心電極を用いてスパークプラグを組み立てたところ、間隙Mの大きさが、0.03,0.05,0.45,0.47[mm]となった4種類のサンプルが完成し、順に、サンプル31〜34とした。そして、各サンプルに対し、実施例5と同様の評価試験を行い、各サンプルの絶縁抵抗値と、中心電極の先端部の温度を測定した。各測定結果を表3に示す。
表3に示すように、中心電極の間隙Mが0.03mmのサンプル31は、絶縁抵抗値について、実用範囲の値(100MΩ以上)を得られている。しかし、中心電極の間隙Mが0.05mm以上のサンプル32〜34であれば、より望ましい絶縁抵抗値(250MΩ以上)を得られることがわかった。一方、中心電極の温度について、中心電極の間隙Mが0.47mmのサンプル34は、実用範囲として有効な1000℃以下を確保できているが、中心電極の間隙Mが0.45mm以下のサンプル31〜33であれば950℃以下を確保でき、より望ましい熱価条件を満たせることがわかった。したがって、絶縁抵抗値として250MΩ以上を確保でき、中心電極の温度として950℃以下を確保できる、サンプル32,33であれば、さらなる高出力化を図ったエンジンに対しても十分に使用可能であることがわかった。よって、中心電極の間隙Mの大きさ(外径の半径差)を、0.05mm以上とするとよいことがわかった。
次に、隔絶部位Pの先端部P3における、体積V2に対する表面積S2の割合(S2/V2)について、評価を行った。この評価試験では、隔絶部位PにおけるS1/V1が1.26mm−1、先端部P3の突出長さNが1.0mm、面取寸法Kが0.4mmの各条件を満たし、主体金具への組み付け後の保持部との間の間隙Jが0.4mm以下となるように基端部P1の外径を調整し、且つ、先端部P3におけるS2/V2が1.35〜2.25[mm−1]の範囲で適宜設定されるように、中間部P2に形成したテーパの角度や、基端部P1、中間部P2および先端部P3の軸線方向の長さ等を調整して、5種類の絶縁碍子を設計し、設計寸法に従って絶縁碍子を作製した。また、中心電極は、組み付け後に絶縁碍子の軸孔との間隙Mが0.05mmとなるように、先端部の外径を調整したものを5本用意した。これらの絶縁碍子と中心電極を用いてスパークプラグを組み立てたところ、先端部P3におけるS2/V2が、1.35,1.40,1.60,2.00,2.25[mm−1]となった5種類のサンプルが完成し、順に、サンプル41〜45とした。そして、各サンプルに対し、実施例5と同様の評価試験を行い、各サンプルの絶縁抵抗値と、中心電極の先端部の温度を測定した。各測定結果を表4に示す。
表4に示すように、先端部P3におけるS2/V2が1.35mm−1のサンプル41は、絶縁抵抗値について、実用範囲の値(100MΩ以上)を得られている。しかし、先端部P3におけるS2/V2が1.40mm−1以上のサンプル42〜45であれば、より望ましい絶縁抵抗値(250MΩ以上)を得られることがわかった。一方、中心電極の温度について、先端部P3におけるS2/V2が2.25mm−1のサンプル45は、実用範囲として有効な1000℃以下を確保できているが、先端部P3におけるS2/V2が2.00mm−1以下のサンプル41〜44であれば950℃以下を確保でき、より望ましい熱価条件を満たせることがわかった。したがって、絶縁抵抗値として250MΩ以上を確保でき、中心電極の温度として950℃以下を確保できる、サンプル42〜44であれば、さらなる高出力化を図ったエンジンに対しても十分に使用可能であることがわかった。よって、先端部P3におけるS2/V2を、1.40〜2.00mm−1とするとよいことがわかった。
次に、隔絶部位Pの先端部P3に施す面取りの面取寸法Kについて、評価を行った。この評価試験では、隔絶部位PにおけるS1/V1が1.26mm−1、先端部P3の突出長さNが1.0mmの各条件を満たし、主体金具への組み付け後の保持部との間の間隙Jが0.4mm以下となるように基端部P1の外径を調整し、且つ、先端部P3の面取寸法Kが0.05〜0.45[mm]の範囲で適宜設定されるように、4種類の絶縁碍子を設計し、設計寸法に従って絶縁碍子を作製した。また、中心電極は、組み付け後に絶縁碍子の軸孔との間隙Mが0.05mmとなるように、先端部の外径を調整したものを4本用意した。これらの絶縁碍子と中心電極を用いてスパークプラグを組み立てたところ、先端部P3における面取寸法Kが、0.05,0.1,0.4,0.45[mm]となった4種類のサンプルが完成し、順に、サンプル51〜54とした。そして、各サンプルに対し、実施例5と同様の評価試験を行い、各サンプルの絶縁抵抗値と、中心電極の先端部の温度を測定した。各測定結果を表5に示す。
面取寸法Kを調整しただけでは先端部P3における熱容量に大きな影響を及ぼすことがなく、表5に示すように、いずれのサンプルも中心電極の温度として950℃以下を確保できた。一方、絶縁抵抗値について、面取寸法Kが0.45mmのサンプル54では、実用範囲の値(100MΩ以上)が得られたが、より好ましい250MΩ以上の絶縁抵抗値は得られなかった。また、面取寸法Kが0.1mm以上0.4mm以下のサンプル52,53は、絶縁抵抗値として250MΩ以上を確保できた。しかし、面取寸法Kが0.05mmのサンプル51は、絶縁抵抗値として250MΩ以上を確保できたものの、スパークプラグを製造する過程において、欠けが生じてしまった。したがって、絶縁抵抗値として250MΩ以上を確保でき、中心電極の温度として950℃以下を確保でき、さらに製造過程において欠けの生じにくいサンプル52,53であれば、さらなる高出力化を図ったエンジンに対しても十分に使用可能であることがわかった。よって、先端部P3における面取寸法Kを、0.1mm以上とするとよいことがわかった。