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JP5198213B2 - レーザ顕微鏡装置 - Google Patents
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JP5198213B2 - レーザ顕微鏡装置 - Google Patents

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本発明は、レーザ顕微鏡装置に関するものである。
標本中の分子の特定の振動を利用し、分子からのコヒーレントアンチストークスラマン散乱光を発生させ、この散乱光を検出することで標本の観察を行うコヒーレントアンチストークスラマン散乱顕微鏡が知られている(例えば、特許文献1参照)。このコヒーレントアンチストークスラマン散乱顕微鏡は、標本の分子の特定の振動を利用しているため、蛍光顕微鏡のように、観察対象を蛍光プローブであらかじめ標識する必要がない。また、利用する振動を変更することで観察する分子を変更することができる。
ところで、一般にコヒーレントアンチストークスラマン散乱光には、分子の特定の振動が寄与した共鳴成分と、分子の特定の振動が寄与していない非共鳴成分とが含まれている。非共鳴成分は、いわゆるノイズに相当するため、コヒーレントアンチストークスラマン散乱光により標本の観察を行う場合には、非共鳴成分を取り除いて共鳴成分のみを取り出すことが望ましい。これに対して、従来、周波数の異なる2つのポンプ光と1つのストークス光を用いて2つのコヒーレントアンチストークスラマン散乱光を発生させ、その差分を取ることで非共鳴成分を除去する方法が知られている(例えば、特許文献2参照)。
特表2002−520612号公報 国際公開第2007/050596号パンプレット
しかしながら、3つの異なる周波数のパルスレーザ光を使用することは、それぞれの周波数のパルスレーザ光を発生させるためのレーザ光源または周波数変換装置が必要となるため、装置構成が複雑となり、装置コストの増加および操作の煩雑化を招くという不都合がある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、装置構成の複雑化を抑制しつつ、非共鳴成分を除去して画質を向上させることができるレーザ顕微鏡装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を採用する。
本発明は、標本中の分子の特定の振動周波数に略等しい周波数差を有し、時間軸方向に分布する2つの異なる周波数帯域を有するパルスレーザ光を導光する2つの光路と、該2つの光路の少なくとも一方に設けられ、前記2つの光路に導光されるパルスレーザ光の標本面上におけるパルスレーザ光の時間的タイミングを調節するパルスタイミング調節手段と、前記2つの光路を導光されてきたパルスレーザ光を合波する合波手段と、該合波手段により合波されたパルスレーザ光を前記標本に照射してコヒーレントアンチストークスラマン散乱光を発生させる照射手段と、前記標本から発生したコヒーレントアンチストークスラマン散乱光を検出する光検出手段と、前記パルスタイミング調節手段により時間的タイミングを変化させることによって前記光検出手段により検出される2つのコヒーレントアンチストークスラマン散乱光の差分に基づいて画像を生成する画像生成手段と、フェムト秒パルスレーザ光を発生するレーザ光源と、該レーザ光源から発せられたフェムト秒パルスレーザ光を前記2つの光路に分岐する分岐手段と、前記光路のいずれか一方に設けられ、2つの光路を導光されるフェムト秒パルスレーザ光に標本中の分子の特定の振動周波数に略等しい周波数差を与えるフォトニッククリスタルファイバからなる周波数変換手段と、前記2つの光路の少なくとも一方に設けられ、前記2つの光路を導光されるパルスレーザ光の周波数分散量が略同等となるように調節する周波数分散調節手段と、を備えるレーザ顕微鏡装置を提供する。
本発明に係るレーザ顕微鏡装置によれば、2つの光路を導光される各パルスレーザ光が合波手段により合波され、合波されたパルスレーザ光が照射手段により標本に照射される。ここで、2つの光路を導光される各パルスレーザ光は、標本中の分子の特定の振動周波数に略等しい周波数差を有しているため、標本中の分子の特定の振動に共鳴したコヒーレントアンチストークスラマン散乱光が発生し、光検出手段により検出される。
この際、パルスタイミング調節手段により、標本面上における2つのパルスレーザ光の時間的タイミングを調節することで、2つのパルスレーザ光の周波数差を変化させることができる。これにより、標本中の分子の特定の振動に共鳴する周波数差だけでなく、任意の周波数差を与えた状態でコヒーレントアンチストークスラマン散乱光を発生させることができる。つまり、2つのパルスレーザ光の時間的タイミングの調節に応じて異なる周波数を有するコヒーレントアンチストークスラマン散乱光を発生させることができる。
ここで、コヒーレントアンチストークスラマン散乱光に含まれる標本中の分子の特定の振動が寄与していない非共鳴成分、すなわちノイズは、パルスタイミング調整手段によって標本面上における2つの異なる周波数帯域を有するパルスレーザ光の周波数差を、標本中の分子の特定の振動に略等しくした場合、等しくしない場合のいずれの場合おいても、コヒーレントアンチストークスラマン散乱光中に含まれている。そこで、2つのパルスレーザ光の周波数差を調節し、標本中の分子の特定の振動に略等しくした場合、等しくしない場合の2つの場合において、それぞれコヒーレントアンチストークスラマン散乱光を光検出手段により強度を検出し、それら2つの場合のコヒーレントアンチストークスラマン散乱光の強度の差分に基づいて、画像生成手段により画像を生成することで、非共鳴成分を除去した画像を生成することが可能となる。これにより、信号対雑音比を向上させ高画質な画像で観察を行うことが可能となる。すなわち、本発明に係るレーザ顕微鏡装置によれば、2つの異なる周波数帯域を有するパルスレーザ光を用いてコヒーレントアンチストークスラマン散乱光の非共鳴成分を除去することができる。
また、単一のレーザ光源から発生したフェムト秒パルスレーザ光を分岐し、一方の光路において、標本中の分子の特定の振動周波数に略等しい周波数差を与えるように、フェムト秒パルスレーザ光の周波数を周波数変換手段によって変換し、2つの異なる周波数帯域を有するパルスレーザ光を得ることができるので、周波数帯域の異なる2つのパルスレーザ光の光源を共通化して装置構成を簡略化することができる。
さらに、周波数変換手段がフォトニッククリスタルファイバであるので、簡易かつ安価に、周波数分散が与えられた広い周波数帯域を有するパルスレーザ光を得ることが可能となる。また、用いるフォトニッククリスタルファイバの種類を選定することで、さまざまな周波数成分および周波数帯域を有するパルスレーザ光を得ることができる。このため、標本中の分子のさまざまな振動周波数に一致させるように、2つのパルスレーザ光の周波数差を調節することが可能となる。
上記した発明において、前記照射手段は、前記標本に対し前記レーザ光による2次元的な走査を行うスキャナを備えていることが好ましい。
周波数分散調節手段により、2つの光路を導光される各パルスレーザ光を略等しい周波数分散量となるように調節することで、時間軸上の各時刻において、2つのパルスレーザ光の周波数差を一定にすることができる。これにより、2つのパルスレーザ光のエネルギーを効率的にコヒーレントアンチストークスラマン散乱光の発生に用いることができる。また、周波数分散調節手段により周波数分散量を調節することで、フェムト秒レーザ光のように比較的広い周波数帯域を有するパルスレーザ光であっても、時間軸上の各時刻において、パルスレーザ光の周波数成分を時間軸上に分散させることができる。
上記発明において、前記パルスタイミング調節手段は、前記光検出手段により検出されるコヒーレントアンチストークスラマン散乱光の強度が極大または最大および極小または最小となるように、2つのパルスレーザ光の時間的タイミングを調節することとしてもよい。
コヒーレントアンチストークスラマン散乱光の強度の極大または最大値と極小または最小値との差分を取ることで、非共鳴成分を除去することができる。これにより、信号対雑音比を向上させ高画質な画像を得ることができる。また、2つのパルスレーザ光の周波数差がコヒーレントアンチストークスラマン散乱光の強度が極大または最大値と極小または最小値となる範囲で変化するように、2つのパルスレーザ光の時間的タイミングを一定の振幅、かつ、所定の周波数で周期的に変動させ、それにより得られるコヒーレントアンチストークスラマン散乱光の強度の中で前記所定の周波数で変動する強度成分のみを抽出することで非共鳴成分を除去した画像を生成することもできる。
本発明によれば、装置構成の複雑化を抑制しつつ、非共鳴成分を除去して画質を向上させることができるという効果を奏する。
本発明の一実施形態に係るレーザ顕微鏡装置1について、図面を参照して以下に説明する。
本実施形態に係るレーザ顕微鏡装置1は、図1に示されるように、レーザ光源装置2と、レーザ光源装置2からのレーザ光を標本Aに照射して標本Aを観察するための顕微鏡本体3とを備えている。
レーザ光源装置2は、フェムト秒パルスレーザ光を出射する単一のレーザ光源4と、レーザ光源4から発せられたフェムト秒パルスレーザ光を2つに分岐するビームスプリッタ(分岐手段)5と、ビームスプリッタ5により分岐された2つのフェムト秒パルスレーザ光L1,L2をそれぞれ通過させる2つの光路6,7と、該2つの光路6,7を通過してきた2つのパルスレーザ光L1’,L2’を合波するレーザコンバイナ8とを備えている。
第1の光路6には、フェムト秒パルスレーザ光L1に与える周波数分散量を調節可能な周波数分散装置(周波数分散調節手段)9が設けられている。第2の光路7には、フェムト秒パルスレーザ光L2を通過させるフォトニッククリスタルファイバ(周波数変換手段)10と、フォトニッククリスタルファイバ10通過後のパルスレーザ光L2’の光路長を調節する光路調節装置(パルスタイミング調節手段)11とが設けられている。
周波数分散装置9は、例えば、相互の間隔を調節可能な一対のプリズム(図示略)と、ミラー(図示略)とを備えている。一対のプリズムを通過したフェムト秒パルスレーザ光L1は、ミラーによって折り返された後に再度プリズム対を通過し、同一の光路6上に戻されるようになっている。この場合に、プリズムの間隔を調節することにより、周波数分散装置9を通過するパルスレーザ光L1’に与える周波数分散量を調節することができるようになっている。また、上記プリズム対の代わりに回折格子対(図示略)を用いてもよい。
フォトニッククリスタルファイバ10は、通過させるフェムト秒パルスレーザ光L2の周波数帯域を変更または拡大してパルスレーザ光L2’を生成し、光路6,7を導光されるパルスレーザ光L1’,L2’に標本A中の分子の特定の振動周波数に略等しい周波数差を与えるようになっている。
光路調節装置11は、例えば、ミラー(リフレクタ)により構成される(図示略)。少なくとも2組以上のリフレクタを用いてパルスレーザ光L2’の光路を折り返し、少なくとも2組以上のリフレクタの間隔を調節することでパルスレーザ光L2’の光路長を変化させることができる。これによって、パルスレーザ光L2’のパルスの時間的タイミングを調整することができる。
レーザコンバイナ8は、2つの光路6,7を通過してきた2つのパルスレーザ光L1’,L2’を合波する合波部(図示略)と、パルスレーザ光L2’から所望の周波数帯域の成分を切り出すフィルタ(図示略)とを備えている。このフィルタにパルスレーザ光L2’を通過させることで、コヒーレントアンチストークスラマン散乱光を発生させるために不要な成分を除去することができる。
顕微鏡本体3は、例えば、レーザ走査型顕微鏡であって、レーザ光源装置2から出射されたパルスレーザ光L3を2次元的に走査するスキャナ12およびレンズ群20と、前記スキャナ12により走査されたパルスレーザ光L3を標本A面に集光する集光レンズ(照射手段)13と、標本Aを透過する方向に発生するコヒーレントアンチストークスラマン散乱光を集光する集光レンズ15と、集光レンズ15により集光されたコヒーレントアンチストークスラマン散乱光を検出する第2の光検出器(光検出手段)16と、第2の光検出器16により検出されたコヒーレントアンチストークスラマン散乱光を用いて画像を生成するとともに光路調節装置11を制御する制御部(画像生成手段)21とを備えている。
図中、符号17はダイクロイックミラー、符号18はステージ、符号19はミラーである。なお、標本Aにおいて発生したコヒーレントアンチストークスラマン散乱光は、集光レンズ13により集光され、ダイクロイックミラー17によって分岐されて第1の光検出器14により検出されてもよい。
上記のように構成されたレーザ顕微鏡装置1の作用について以下に説明する。
本実施形態に係るレーザ顕微鏡装置1を使用して、コヒーレントアンチストークスラマン散乱光による標本Aの観察を行うには、レーザ光源4を作動させてフェムト秒パルスレーザ光を出射させる。レーザ光源4から発せられたフェムト秒パルスレーザ光は、ビームスプリッタ5により2つの光路6,7に分岐される。
第1の光路6に分岐されたフェムト秒パルスレーザ光L1は、第1の光路6上に配置されている周波数分散装置9を通過されることにより、初期の周波数分散量が与えられる。一方、第2の光路7に分岐されたフェムト秒パルスレーザ光L2は、ミラー19によって偏向された後、フォトニッククリスタルファイバ10を通過させられることにより、第1の光路6のフェムト秒パルスレーザ光L1に比べて周波数が変更または拡大された広帯域光(パルスレーザ光L2’)となる。また、同時に、パルスレーザ光L2’にはフォトニッククリスタルファイバ10を追加することにより所定の周波数分散が与えられる。
周波数分散装置9によりパルスレーザ光L1’に与えられる初期の周波数分散量とフォトニッククリスタルファイバ10を通過することによりパルスレーザ光L2’に与えられる周波数分散量とが相違する場合、図2(a)に示されるように、時間軸上においてパルスレーザ光L1’,L2’の周波数分布の傾きが相違する。この場合、2つの光路6,7を通過してきたパルスレーザ光L1’,L2’の周波数差Ω’は時間軸上の各時刻において異なり、一定に保たれない。この状態においては、パルスレーザ光L1’,L2’のエネルギーを、標本A中の分子の特定の振動からのコヒーレントアンチストークスラマン散乱光の発生に効率よく利用することができない。
そこで、周波数分散装置9を作動させて、第1の光路6を通過するパルスレーザ光L1’に与える分散量が、第2の光路7のフォトニッククリスタルファイバ10を通過したパルスレーザ光L2’に与えられる分散量と標本A面上において略同等となるように調節する。すなわち、図2(a)の矢印P1に示されるように、時間軸方向の周波数分布の傾きを変化させる。
これにより、図2(b)に示されるように、レーザコンバイナ8に到達する2つの光路6,7のパルスレーザ光L1’,L2’の時間軸方向の周波数分布の傾きが略同じになるように調節される。その後、パルスレーザ光L1’,L2’は、レーザコンバイナ8によって合波され、パルスレーザ光L3となる。
このように合成されたパルスレーザ光L3は、顕微鏡本体3に入射させられ、スキャナ12によって2次元的に走査された後、レンズ群20と集光レンズ13を介して標本A面上に集光される。これにより、パルスレーザ光L3が集光された各位置において、標本A中の分子の特定の振動周波数からコヒーレントアンチストークスラマン散乱光を発生させることができる。
標本Aにおいて発生したコヒーレントアンチストークスラマン散乱光は、標本Aを挟んで集光レンズ13とは反対側に配置された集光レンズ15によって集光され、第2の光検出器16により検出される。そして、パルスレーザ光L3の標本A面上での集光位置の座標と、第2の光検出器16により検出されたコヒーレントアンチストークスラマン散乱光の光強度とを対応づけて記憶することで、制御部21により、2次元的なコヒーレントアンチストークスラマン散乱光画像を生成する。
ここで、上記のように得られたコヒーレントアンチストークスラマン散乱光画像には、分子の特定の振動が寄与した共鳴成分と、分子の特定の振動が寄与していない非共鳴成分とが含まれている。
標本中の分子の特定の振動周波数をΩとすると、この分子から発生するコヒーレントアンチストークスラマン散乱光の強度Iは、分子の3次の非線形感受率χ(3)という物理量を用いて以下の(1)式のように表される。
(Ω)∝|χ(3) (Ω)+χ(3) NR|=|χ(3) (Ω)|+(χ(3) NR+2Reχ(3) (Ω)χ(3) NR・・・(1)
上記の(1)式において、χ(3) は共鳴成分に対応する3次の非線形感受率、χ(3) NRは非共鳴成分に対応する3次の非線形感受率を示している。また、第1項の|χ(3) (Ω)|は共鳴成分の寄与、第2項の(χ(3) NRは非共鳴成分の寄与、第3項の2Reχ(3) (Ω)χ(3) NRは共鳴成分と非共鳴成分の干渉の寄与を表している。ここで、これら各項を重ね合わせて得られるコヒーレントアンチストークスラマン散乱光には、その強度Iが極大(ピーク)となる周波数Ωと強度Iが極小(ディップ)となる周波数Ωとが存在する。
上記の(1)式の第3項のスペクトルの変化を利用することで、非共鳴成分を取り除くことができる。すなわち、第2の光検出器16により、コヒーレントアンチストークスラマン散乱光の強度Iが極大となる周波数Ωおよび極小となる周波数Ωのそれぞれに対してコヒーレントアンチストークスラマン散乱光を検出し、その差分を取ることで非共鳴成分を取り除くことができる。
そこで、第2の光検出器16により検出されるコヒーレントアンチストークスラマン散乱光の強度が極大および極小となるように、2つのパルスレーザ光L1’,L2’の時間的タイミングを変化させる。すなわち、制御部21は、光路調節装置11を作動させて、図2(b)の矢印P2で示されるように、第2の光路7を通過するパルスレーザ光L2’を時間軸方向に遅延させる。
このようにして得られたコヒーレントアンチストークスラマン散乱光の周波数の時間分布が図3(a)および図3(b)に示されている。図3(a)は、コヒーレントアンチストークスラマン散乱光の強度が極大となった状態を示している。この際、2つの光路6,7のパルスレーザ光L1’,L2’の周波数差はΩである。
図3(b)は、図3(a)の状態から、第2の光路7を通過するパルスレーザ光L2’を時間軸方向にΔt遅延させて、コヒーレントアンチストークスラマン散乱光の強度が極小となった状態を示している。この際、2つの光路6,7のパルスレーザ光L1’,L2’の周波数差はΩ+ΔΩ=Ωである。
次に、このようにして得られたコヒーレントアンチストークスラマン散乱光の強度Iの極大値と極小値との差分を取り、該差分に基づいて制御部21により2次元的な画像を生成する。これにより、ノイズが除去され信号対雑音比が向上した高画質なコヒーレントアンチストークスラマン散乱光画像を生成することが可能となる。
以上、説明してきたように、本実施形態に係るレーザ顕微鏡装置1によれば、光路調節装置11により、パルスレーザ光L2’の時間的タイミングを調節することで、パルスレーザ光L1’,L2’の周波数差を変化させ、異なる周波数を有する2つのコヒーレントアンチストークスラマン散乱光を発生させることができる。また、このように発生させた2つのコヒーレントアンチストークスラマン散乱光の強度の差分を取り、該差分に基づいて画像生成手段により画像を生成することで、非共鳴成分の除去した画像を生成することが可能となる。
特に、コヒーレントアンチストークスラマン散乱光の強度の極大または最大値と極小または最小値との差分を取ることで、非共鳴成分を除去し信号対雑音比がより向上した画像で観察を行うことができる。
また、単一のレーザ光源4から発生したフェムト秒パルスレーザ光をビームスプリッタ5により分岐し、第2の光路7において、標本中の分子の特定の振動周波数に略等しい周波数差を与えるように、フェムト秒パルスレーザ光の周波数をフォトニッククリスタルファイバ10によって変換することで、周波数帯域の異なる2つのパルスレーザ光L1’,L2’の光源を共通化して装置構成を簡略化することができる。
また、周波数分散装置9により、2つの光路6,7のパルスレーザ光L1’,L2’の周波数差Ω’を、時間軸上の各時刻において一定となるように周波数分散量を調節することで、パルスレーザ光L1’,L2’のエネルギーを効率的にコヒーレントアンチストークスラマン散乱光の発生に用いることができる。また、周波数分散装置9により周波数分散量を調節することで、フェムト秒レーザ光のように比較的広い周波数帯域を有するパルスレーザ光であっても、時間軸上の各時刻において、パルスレーザ光の周波数成分を時間軸上に分散させることができる。
また、周波数変換手段として、フォトニッククリスタルファイバ10を使用することで、装置をさらに簡易かつ安価に構成することができる。また、光路調節装置11も、ミラー(リフレクタ)により構成されるため、装置をさらに簡易かつ安価に構成することができる。なお、周波数変換手段として、フォトニッククリスタルファイバ10の代わりに、例えば、同様の機能・作用を持つ、バルク、薄膜、フィルム、フォトニック結晶構造体のいずれかを用いても良い。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
例えば、本実施形態において、制御部21が、コヒーレントアンチストークスラマン散乱光の強度の極大または最大値と極小または最小値との差分を取ることとして説明したが、これに代えて、2つのパルスレーザ光の周波数差がコヒーレントアンチストークスラマン散乱光の強度が極大または最大値と極小または最小値となる範囲で変化するように、2つのパルスレーザ光の時間的タイミングを一定の振幅、かつ、所定の周波数で周期的に変動させ、それにより得られるコヒーレントアンチストークスラマン散乱光の強度の中で前記所定の周波数で変動する強度成分のみを抽出することで非共鳴成分を除去した画像を生成するもできる。
また、本実施形態においては、フェムト秒パルスレーザ光を発生する単一のレーザ光源4と、光路6,7に分岐するビームスプリッタ5を用いたが、これに代えて、各光路6,7に1台ずつレーザ光源4を取り付けることにしてもよい。この場合、各レーザ光源4は互いにパルスタイミングの同期がとれている必要がある。
また、周波数分散装置9は、第2の光路7に設けられていてもよいし、両光路6,7にそれぞれ設けられていてもよい。また、レーザ光源4とビームスプリッタ5との間に周波数分散装置が設けられている場合や、レーザ光源4と周波数分散装置とが一体型とされている場合においても、本実施形態と同様の構成とすることで、コヒーレントアンチストークスラマン散乱光の非共鳴成分を除去することができる。
また、少なくとも一方の光路6,7に、減光フィルタのような光量調節手段(図示略)を配置することにしてもよい。これにより、2つの光路6,7を通過してくるパルスレーザ光L1’,L2’の光量バランスを図ることができる。
本発明の一実施形態に係るレーザ顕微鏡装置の全体構成を示すブロック図である。 図1のレーザ顕微鏡装置の2つの光路を伝達されるパルスレーザ光の周波数の時間分布を示すグラフであり、(a)調整前、(b)周波数分散量調整後をそれぞれ示している。 図1のレーザ顕微鏡装置の2つの光路を伝達されるパルスレーザ光のパルスの時間的タイミング調整時のコヒーレントアンチストークスラマン散乱光の強度を示すグラフであり、(a)極大となった状態、(b)極小となった状態をそれぞれ示している。
符号の説明
A 標本
L1,L2 フェムト秒パルスレーザ光
L1’,L2’ パルスレーザ光
Ω,Ω’,Ω,Ω 周波数(差)
1 レーザ顕微鏡装置
4 レーザ光源
5 ビームスプリッタ(分岐手段)
6,7 光路
8 レーザコンバイナ(合波手段)
9 周波数分散装置(周波数分散調節手段)
10 フォトニッククリスタルファイバ(周波数変換手段)
11 光路調節装置
13 集光レンズ
14 第1の光検出器
16 第2の光検出器
21 制御部

Claims (3)

  1. 標本中の分子の特定の振動周波数に略等しい周波数差を有し、時間軸方向に分布する2つの異なる周波数帯域を有するパルスレーザ光を導光する2つの光路と、
    該2つの光路の少なくとも一方に設けられ、前記2つの光路に導光されるパルスレーザ光の標本面上におけるパルスレーザ光の時間的タイミングを調節するパルスタイミング調節手段と、
    前記2つの光路を導光されてきたパルスレーザ光を合波する合波手段と、
    該合波手段により合波されたパルスレーザ光を前記標本に照射してコヒーレントアンチストークスラマン散乱光を発生させる照射手段と、
    前記標本から発生したコヒーレントアンチストークスラマン散乱光を検出する光検出手段と、
    前記パルスタイミング調節手段により時間的タイミングを変化させることによって前記光検出手段により検出される2つのコヒーレントアンチストークスラマン散乱光の差分に基づいて画像を生成する画像生成手段と
    フェムト秒パルスレーザ光を発生するレーザ光源と、
    該レーザ光源から発せられたフェムト秒パルスレーザ光を前記2つの光路に分岐する分岐手段と、
    前記光路のいずれか一方に設けられ、2つの光路を導光されるフェムト秒パルスレーザ光に標本中の分子の特定の振動周波数に略等しい周波数差を与えるフォトニッククリスタルファイバからなる周波数変換手段と、
    前記2つの光路の少なくとも一方に設けられ、前記2つの光路を導光されるパルスレーザ光の周波数分散量が略同等となるように調節する周波数分散調節手段と、
    を備えるレーザ顕微鏡装置。
  2. 前記パルスタイミング調節手段は、前記光検出手段により検出されるコヒーレントアンチストークスラマン散乱光の強度が極大または最大および極小または最小となるように、2つのパルスレーザ光の時間的タイミングを調節する請求項1に記載のレーザ顕微鏡装置。
  3. 前記照射手段は、前記標本に対し前記レーザ光による2次元的な走査を行うスキャナを備えている請求項1又は請求項2に記載のレーザ顕微鏡装置
JP2008268731A 2008-10-17 2008-10-17 レーザ顕微鏡装置 Expired - Fee Related JP5198213B2 (ja)

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