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JP5217792B2 - 光受信機の電力供給制御方法、並びに、デジタル信号処理回路および光受信機 - Google Patents
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JP5217792B2 - 光受信機の電力供給制御方法、並びに、デジタル信号処理回路および光受信機 - Google Patents

光受信機の電力供給制御方法、並びに、デジタル信号処理回路および光受信機 Download PDF

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Description

本発明は、光ファイバ通信に用いる光受信機への電力供給を効率的に行うための制御技術に関し、特に、デジタル信号処理を行う光受信機の電力供給制御方法、並びに、デジタル信号処理回路および光受信機に関する。
現在、光ファイバ通信システムに使用される光受信機についてデジタル受信方式を適用することにより装置コストの削減が図られている。特に、デジタルコヒーレント受信方式を適用した光受信機は、光信号をコヒーレント受信して電気信号に変換した後のデジタル信号処理により分散補償を行うことが可能であり、高価な分散補償ファイバ等を用いた光の状態での分散補償を行わずに済むようになるので、装置コストの大幅な削減が期待されている。
具体的にデジタルコヒーレント光受信機では、受信信号光と局部発振光とを合成して生成した光信号が光電変換素子およびADコンバータでデジタル電気信号に変換される。そして、該デジタル信号を入力とするデジタル信号処理回路において、上記の分散補償を実現する波形等化処理や信号識別処理などが行われる。このデジタル信号処理回路は、デジタル信号の演算処理により様々な機能を実現するため大規模な回路構成となり、その大部分を波形等化のための演算処理を行う回路ブロックが占めることも多い。
上記のようなデジタル信号処理回路における波形等化に関する従来技術としては、例えば有限インパルス応答(FIR:Finite Impulse Response)特性を有するフィルタ等を利用して受信信号のフィルタリングを行うようにし、該FIRフィルタ等の重みである複数の可変パラメータ(タップ係数)を信号品質のモニタ結果に応じて適切に設定することで、波長分散や偏波モード分散に起因した波形劣化を抑制する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2008−35319号公報
しかし、上記のようなFIRフィルタ等を用いて波形等化を実現した従来の光受信機については消費電力が大きいという課題がある。すなわち、光ファイバ伝送路における波長分散の影響は光信号の伝送速度が高速になるほど顕著になり、また、40Gb/s等の超高速な光信号を受信する場合には偏波モード分散の影響も無視できなくなるため、波長分散および偏波モード分散の補償を高い精度で行うことが要求される。そのような高い精度の分散補償を実現するためには、波形等化に用いるフィルタのタップ数を増やし、各々のタップ係数を光ファイバ伝送路の状態に応じて最適化することが必要になる。フィルタのタップ数が増えれば、該フィルタを有効に動作させるために必要な電力も増えるので、光受信機の消費電力が増大する。つまり、従来の光受信機は、デジタル信号処理による波形等化を高い精度で行うのに消費電力の増大は避けられないという問題点がある。
本発明は上記の点に着目してなされたもので、デジタル信号処理を行う光受信機について、高精度の波形等化を実現しながら消費電力の低減を図ることのできる電力供給制御方法、並びに、デジタル信号処理回路および光受信機を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するためにここで提案する光受信機の電力供給制御方法は、光ファイバ伝送路を伝搬した信号光を受信し、該信号光をデジタルの電気信号に変換して得た受信信号のデジタル信号処理により、データを再生する光受信機への電力の供給状態を制御するための方法であって、前記光受信機で行われるデジタル信号処理が、直列に接続された第1フィルタおよび第2フィルタを用いて、前記受信信号を互いに異なる複数の成分に分離し、該各成分に対して可変パラメータをそれぞれ乗じて重みを付けることで、前記受信信号の波形等化を行う過程を含む場合に適用される。この電力供給制御方法は、信号光の運用開始前に、前記光ファイバ伝送路の分散特性に応じて定めた分散補償量に対応させて、前記第1フィルタで用いる可変パラメータを前記成分毎に計算し、信号光の運用開始後には、前記波形等化の行われた受信信号の波形をモニタし、該モニタ波形が理想波形に近づくよう適応的に、前記第2フィルタで用いる可変パラメータを前記成分毎に計算する過程と、前記計算された可変パラメータのうち、予め定めた閾値よりも絶対値が小さい可変パラメータを判別する過程と、前記第1および第2フィルタについて、前記判別された可変パラメータが乗じられる前記成分に対応した回路部分への電力供給を停止させる電力制御信号を生成する過程と、を含むようにした方法である。
上記の提案による光受信機の電力供給制御方法によれば、信号光の運用開始前および運用開始後に計算した第1および第2フィルタの可変パラメータのうち、閾値よりも絶対値が小さくなる可変パラメータ、つまり、受信信号の波形等化への影響が少ない可変パラメータが判別され、該可変パラメータが乗じられる成分に対応した回路部分への電力供給が停止されるようになるため、2段構成のフィルタにより高い精度の波形等化を実現しながら消費電力の増加を抑えることが可能になる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について添付図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明による電力供給制御方法を用いた光受信機の第1実施形態の構成を示すブロック図である。
図1において、本実施形態の光受信機は、例えば、入力信号光を受信して電気信号に変換する光受信部1と、該光受信部1で変換されたアナログの電気信号をデジタルに変換して受信信号を得るAD変換部3と、該AD変換部3で変換された受信信号のデジタル信号処理を行いデータを再生するデジタル信号処理回路5と、を備える。また、デジタル信号処理回路5は、その機能ブロックとして、受信信号の波形等化を行う波形等化部51と、該波形等化部51で用いるタップ係数(可変パラメータ)を計算するタップ係数計算部52と、タップ係数の値に応じて波形等化部51への電力供給を制御する電力供給制御部53と、波形等化部51で波形等化された受信信号を識別処理してデータを再生する識別処理部54を具備している。以下、本光受信機の各部の構成について具体的に説明する。
光受信部1は、例えば、入力信号光として多値の位相シフト変調(Phase Shift Keying:PSK)が施された信号光(以下、「mPSK信号光」と呼ぶ。ただし「m」は2(n=1,2,3,…)である。)をコヒーレント受信する場合を想定すると、図2の左側に示すような構成を適用することが可能である。この図2の例では、光受信機の入力ポートINに接続される図示しない光ファイバ伝送路を伝搬されてきたmPSK信号光が、偏波制御器11を介して光ハイブリッド回路12の一方の入力端子に与えられる。この光ハイブリッド回路12の他方の入力端子には、局部発振光源13から出力される光(以下、「局発光」と呼ぶ)が与えられており、該局発光の偏波状態に対するmPSK信号光の偏波状態が偏波制御器11により可変制御されている。光ハイブリッド回路12は、入力されるmPSK信号光および局発光を合成し、光位相が互いに90度異なる2組の光を光検出器(O/E)14,15にそれぞれ出力する。各光検出器14,15は、光ハイブリッド回路12からの出力光を受光して光電変換検出を行う。
AD変換部3は、例えば図2の右側に示すように、2つのADコンバータ(ADC)31,32およびクロック発生回路(CR)33を有する。各ADコンバータ31,32は、各光検出器14,15から出力されるアナログの受信信号を、クロック発生回路33から出力されるクロック信号CLKに従ってサンプリングすることでデジタル信号に変換する。各ADコンバータ31,32から出力されるデジタル信号I,Qは、デジタル信号処理回路5の波形等化部51に入力される。
なお、光受信部1およびAD変換部3の具体的な構成として、ここではmPSK信号光をコヒーレント受信する場合の一例を挙げたが、本発明の光受信機で処理可能な信号光の変調方式はmPSKに限定されるものではなく、デジタル受信方式を適用可能な公知の変調方式(例えば、mQAM(m-level Quadrature Amplitude Modulation)変調方式等)に対して本発明は有効である。また、本発明における望ましい受信方式としてコヒーレント受信方式を挙げているが、例えば直接検波方式にも本発明を応用することは可能である。
波形等化部51には、例えば、有限インパルス応答(FIR)特性を有する一般的なフィルタ(以下、「FIRフィルタ」と呼ぶ)が適用され、帯域制限を行うことなく受信信号の波形等化が可能な構成になっている。このFIRフィルタは、図3の左上に示すように、直列に接続された複数の遅延回路511と、複数の複素乗算回路512と、加算回路513とを組み合わせた回路構成により実現することが可能である。各遅延回路511は、ADコンバータ31,32からの受信信号I,Qを時間T刻みで遅延させる。遅延前の入力信号および各遅延回路511で遅延された信号は、各々の一部がタップされて対応する複素乗算回路512に送られる。ここでは、タップ番号として、初段の遅延回路511の入力側のタップを0番、出力側のタップを1番、以降各段の遅延回路511の出力側のタップに順次2番からk番までを付与している。各複素乗算回路512は、タップされたi番目(i=0〜k)の成分に対して、タップ係数計算部52で計算されたタップ係数Ciを乗じ、それを加算回路513に出力する。なお、タップ係数Ciは、−1以上1以下の範囲で設定される可変パラメータである。加算回路513は、各複素乗算回路512の出力成分の総和をとる。これにより、タップ係数C0〜Ckの設定に応じたフィルタ特性に従い受信信号I,Qを波形等化した信号I’,Q’が加算回路513から出力されて識別処理部54に送られる。
タップ係数計算部52は、本光受信機の入力ポートINに接続される光ファイバ伝送路の状態に応じて、波形等化部51により最適な分散補償が実現されるように、FIRフィルタの各タップ係数C0〜Ckを計算する。このタップ係数計算部52の計算結果は、FIRフィルタの対応する乗算回路512に与えられると共に、電力供給制御部53にも伝えられる。なお、光ファイバ伝送路の状態は、受信信号光の波形劣化の要因となる波長分散や偏波モード分散の発生量などをパラメータとして表される。これらのパラメータ、特に波長分散は、基本的に、光ファイバ伝送路に用いられている光ファイバの種類および長さと信号波長が分かれば、それに対応した値を予め定めることが可能であり、その値に応じて定められた分散補償量が外部等からタップ係数計算部52に与えられてもよい。
上記のタップ係数計算部52における計算方法の一例を挙げておくと、波長分散値β[s/m]を持つ光ファイバをL[m]伝搬した場合の信号光の伝達関数H(ω)は、次の(1)式で表すことができる。
上記信号光の波長分散を補償するための等化フィルタの伝達関数H−1(ω)は、次の(2)式で表される。
上記の(2)式に対応したFIRフィルタのタップ係数Ckは、ADコンバータ31,32におけるサンプリング周波数の逆数をTとして、次の(3)式に従い計算することが可能である。
電力供給制御部53は、タップ係数計算部52から伝えられる各タップ係数C0〜Ckと、予め定めた閾値Cth(正の数)との比較を行い、タップ係数Cj(j=0〜k)の絶対値が閾値Cthよりも小さくなる場合に、該タップ係数Cjに対応した回路部分への電力の供給を停止させる電力制御信号Si,Sqを生成し、それをFIRフィルタに出力する。ここで、電力制御信号Siは、タップ係数Cjの実部の絶対値と閾値Cthの比較に基づいて、Cjの実部に関する回路部分への電力の供給を停止させるものであり、また、電力制御信号Sqは、タップ係数Cjの虚部の絶対値と閾値Cthの比較に基づいて、Cjの虚部に関する回路部分への電力の供給を停止させるものである。ただし、回路の簡略化のために、タップ係数Cjの実部と虚部を個別に扱わず、複素数Cjの絶対値を閾値Cthと比較した結果に基づいて、Cjの実部・虚部共通の電力制御信号としてSiのみを生成する構成としてもよい。上記の閾値Cthに関しては、光受信機の仕様等に従って定められる、FIRフィルタによる波形等化(分散補償)の誤差の許容値を基にして、適切な値が事前に設定されてもよいし、動作運用中に、回路の消費電力と伝送信号品質の兼ね合いを考慮した上で、適応的に制御してもよいものとする。上記のように電力供給制御部53は、可変パラメータ判定手段および電力制御信号生成手段としての機能を備えている。
図4は、タップ係数計算部52で計算されるFIRフィルタの各タップ係数を分散補償量毎に示した一例である。図の横軸はタップ番号、縦軸はタップ係数を表している。ただし、ここではタップに正および負の番号を付してタップ係数の計算を行っている。上記図3に示したFIRフィルタの構成例は、負のタップ番号には対応していないが、遅延回路511を前方に伸ばして0番のタップよりも前に負の番号のタップを順次つなげていくことで、正および負のタップ番号に対応したFIRフィルタを考えることが可能である。
図4の計算例において、分散補償量が0ps/nmの場合は、正負の番号にわたるタップ係数のうち、0番とその近傍のタップ係数だけが比較的大きな絶対値をとり、その他のタップ係数は略零となる。この場合、図中の破線領域に示すように、0番とその近傍以外のタップ係数の絶対値が閾値Cthよりも小さくなって電力供給の停止対象となる。分散補償量が増加して1000ps/nmになると、タップ番号が0番から±10番前後に該当するタップ係数の絶対値が比較的大きくなり、それらよりタップ番号が離れたタップ係数の絶対値が閾値Cthよりも小さくなって電力供給の停止対象となる。分散補償量がさらに増加して3000ps/nmになると、タップ番号が0番から±30番前後に該当するタップ係数の絶対値が比較的大きくなり、それらよりタップ番号が離れたタップ係数の絶対値が閾値Cthよりも小さくなって電力供給の停止対象となる。さらに、タップ番号が±30番の範囲内であっても、タップ係数の実部または虚部のいずれか一方の絶対値が閾値Cthよりも小さくなるタップ番号(例えばタップ番号±10番の虚部,±17番の実部など)に関しては、一部演算回路について電力供給の停止対象となり得る。分散補償量が5000ps/nmまで増加すると、全てのタップ係数の絶対値が閾値Cth以上となり、この場合は基本的にFIRフィルタの全ての回路部分に電力が供給される。ただし、タップ係数の実部または虚部のいずれか一方の絶対値が閾値Cthよりも小さくなるタップ番号に関しては、一部演算回路について電力供給の停止対象となり得る。
電力供給制御部53から出力される電力制御信号Si,Sqに従って、閾値Cthよりも絶対値の小さいタップ係数Cjに対応した回路部分への電力の供給を停止させる具体的な方法としては、例えば、FIRフィルタのタップ係数Cjが与えられる複素乗算回路512への電力供給を停止させることが可能である。また、加算回路513においてタップ係数Cjに対応した成分を他の成分と合算する回路要素への電力供給を停止させるようにしてもよい。さらに、j番目以降のタップ係数Cj〜Ckが全て閾値Cthよりも小さくなる場合には、j段からk段までの遅延回路511として設けられているバッファ回路への電力供給を停止させるようにしても構わない。加えて、ここでは図示を省略しているが、FIRフィルタに関連してスキュー調整用のバッファ回路が設けられている場合には、そのバッファ回路への電力供給を停止させることも可能である。
なお、上記のような電力供給の停止方法に関しては、制御の対象となる回路部分を駆動するための電力、いわゆる電源を停止させる場合だけではなく、当該回路部分に供給されるクロック信号を停止させるようにすることも可能である。クロック信号を停止させる場合には、当該回路部分の出力が0になる時にクロック信号の供給を止めるか、または、クロック信号の停止と同時に回路出力を強制的に0にする。電源の停止とクロック信号の停止とは、同時に行うことも、或いは、いずれかを単独で行うことも可能であり、電源とクロック信号を同時に停止させれば、光受信機の消費電力を効果的に低減することができる。
識別処理部54は、例えば図3の右側に示すように、周波数/位相補償制御回路541および信号識別回路542を有する。周波数/位相補償制御回路541は、波形等化部51で波形等化された信号I’,Q’に対し、周波数オフセット補償や位相同期などの公知の処理を施して信号識別回路542に出力する。信号識別回路542は、周波数/位相補償制御回路541からの信号の識別処理を行うことによりデータを生成する。当該受信データは、出力ポートを介して光受信機の外部に出力されるか、若しくは、フレーム処理やFEC(Forward Error Correction)デコード処理などの所要の信号処理を行う別の回路ブロックに出力される。
次に、前述した電力供給制御部53による波形等化部51への電力供給の制御動作について、図5のフローチャートを参照しながら詳しく説明する。
本実施形態では、信号光の運用が開始される前の段階、すなわち、本光受信機の入力ポートINに接続される光ファイバ伝送路からの信号光を光受信機が受信する前に、波形等化部51に供給する電力の最適化が電力供給制御部53によって図られる。具体的には、まず、入力ポートINに接続される光ファイバ伝送路の種類、長さに応じて決まる波長分散値に対応させて、受信信号光に生じた波長分散を補償するのに必要な分散補償量が定められ、該分散補償量が光受信機のタップ係数計算部52に与えられる(図5のフローチャートに示すS11)。
タップ係数計算部52では、前述した(3)式に従って、与えられた分散補償量に対応するFIRフィルタのタップ係数C0〜Ckの値が計算される(S12)。具体的に、分散補償量として例えば1000ps/nmが与えられた場合、前述した図4の計算例で考えると、右上に示したような各タップ番号に対応したタップ係数が計算されることになる。このタップ係数計算部52で求められたタップ係数C0〜Ckは、FIRフィルタの対応する複素乗算回路512に与えられると同時に、電力供給制御部53にも伝えられる。
電力供給制御部53では、タップ係数計算部52からの各タップ係数C0〜Ckの絶対値と予め定められた閾値Cthとの比較が行われ、閾値Cthよりも絶対値が小さくなるタップ係数Cjが判別される(S13)。そして、該タップ係数Cjに対応した回路部分への電力の供給を停止させる電力制御信号が生成され、該電力制御信号がFIRフィルタに出力される(S14)。電力供給制御部53からの電力制御信号を受けたFIRフィルタでは、閾値Cthより小さなタップ係数Cjに対応した複素乗算回路512などへの電力供給が停止される(S15)。
上記のようにして運用開始前におけるFIRフィルタへの電力供給制御が完了すると、そのFIRフィルタの各タップ係数の設定および電力供給状態を維持したまま、信号光の運用が開始されて、光ファイバ伝送路を伝搬した信号光が光受信機でデジタルコヒーレント受信される。このとき、デジタル信号処理回路5では、FIRフィルタの各タップ係数C0〜Ckに対応した回路部分のうち、閾値Cth以上の絶対値を持つタップ係数に対応した回路部分のみが電力供給を受けて有効に作動し、該FIRフィルタにより、ADコンバータ31,32からのデジタル信号I,Qの波形等化(分散補償)が行われる。このとき、分散補償への影響が小さく誤差の許容範囲と見なされるタップ係数に対応した回路部分には電力が供給されないので、有効な分散補償により良好な受信特性を実現しながら、光受信機の消費電力を低減することが可能になる。
次に、上記の第1実施形態に関する応用例について説明する。
図6は、第1応用例におけるデジタル信号処理回路の構成を示すブロック図である。なお、第1応用例における光受信機の全体構成は、前述した第1実施形態の構成(図1)と同様である。以下では、第1実施形態の構成と同一または対応する部分には同じ符号を付して当該部分の説明を省略する。
図6に示すデジタル信号処理回路5’は、信号光の運用開始後に、波形等化部51に入出力されるデジタル信号の状態をモニタし、FIRフィルタの各タップ係数C0〜Ckを適応的に可変制御する、いわゆる適応波形等化が行われるようにしている。この適応波形等化は、前述した第1実施形態の場合のように波形等化を行うFIRフィルタに対して、信号光の運用開始前に計算したタップ係数を運用開始後も固定的に与えるのとは、次の点で制御の方式が異なる。すなわち、適応波形等化は、予め定めておいたアルゴリズムに従い、運用開始後において常時または所定の周期で、受信信号の理想的な波形に対する実際の波形の差分などの波形品質情報をモニタし、該モニタ結果に応じてFIRフィルタの各タップ係数を再計算してFIRフィルタにフィードバックすることで、波形等化後の受信信号を理想状態に近づける制御方式である。なお、波形品質情報としては、上述した受信信号の理想的な波形に対する実際の波形の差分の他に、誤り訂正回路によって検出される誤り検出数または誤り訂正数などを用いてもよい。
具体的には、FIRフィルタに入力される信号I,Qの一部とFIRフィルタから出力される信号I’,Q’の一部とが取り出されてタップ係数計算部52’に送られる。タップ係数計算部52’は、送られてくる信号I,Qおよび信号I’,Q’を用い、予め定めたフィルタ最適化のアルゴリズムに従って各タップ係数C0〜Ckを再計算することにより、上記のような適応波形等化を行う。このタップ係数計算部52’で再計算されたタップ係数C0〜Ckは、FIRフィルタの対応する複素乗算回路512に与えられると共に、電力供給制御部53にも伝えられる。
図7のフローチャートは、上記のデジタル信号処理回路5’において運用開始後に行われる電力供給の制御動作を例示している。なお、運用開始前の制御動作は、前述の図5に示したフローチャートに従うためここでの説明を省略する。運用が開始されて光ファイバ伝送路を伝搬した信号光が光受信機で受信されるようになると、まず、タップ係数計算部52’において適応波形等化が行われ、再計算されたタップ係数C0〜Ckが電力供給制御部53に伝えられる(S21)。
電力供給制御部53では、タップ係数計算部52で再計算された各タップ係数C0〜Ckの値と予め定められた閾値Cthとの比較が行われ、閾値Cthよりも絶対値が小さくなるタップ係数Cjが判別される(S22)。そして、該タップ係数Cjに対応した回路部分への電力供給を停止させる電力制御信号が運用開始前のものから更新され、該更新された電力制御信号がFIRフィルタに出力される(S23)。電力供給制御部53からの電力制御信号を受けたFIRフィルタでは、閾値Cthより小さなタップ係数Cjに対応した複素乗算回路512などへの電力供給が停止される(S24)。このようなS21〜S24の一連の処理が運用中常時または所定の周期で繰り返し実行される。
上記のようにデジタル信号処理回路5’で適応波形等化が行われるようにしたことにより、例えば、偏波モード分散に起因して受信信号の波形が時々刻々変化するような場合でも、受信信号の波形が理想状態に近づけられるので良好な受信特性を安定して実現することができる。また、適応波形等化により再計算されるタップ係数C0〜Ckの値に応じてFIRフィルタの不要な回路部分への電力供給が停止されるため、光受信機の消費電力を効率的に低減することが可能になる。
次に、前述した第1実施形態の第2応用例について説明する。
図8は、第2応用例におけるデジタル信号処理回路の構成を示すブロック図である。
図8において、第2応用例のデジタル信号処理回路5’は、2つのFIRフィルタ51A,51Bを直列接続した波形等化部51’を設け、上記の第1応用例で説明した適応波形等化を、前段のFIRフィルタ51Aには適用せず、後段のFIRフィルタ51Bに適用した構成となっている。
各FIRフィルタ51A,51Bの回路構成は、前述の図3左上に示した回路構成と同様である。前段のFIRフィルタ51Aには、ADコンバータ31,32(図2)から出力される受信信号I,Qが、スイッチ51Cを介して入力される。このスイッチ51Cは、後述するように前段のFIRフィルタ51Aを迂回させて後段のFIRフィルタ51Bに入力信号を送る場合に、迂回ルート51Dへの経路の切り替えを可能にしている。前段のFIRフィルタ51Aのタップ係数CA0〜CAkおよび後段のFIRフィルタ51Bのタップ係数CB0〜CBkは、前述した第1応用例の場合と基本的に同様なタップ係数計算部52’で計算される。また、スイッチ51Cを用いる代わりにFIRフィルタ51Aのタップ係数のうち、ある一つを1にして残りのタップ係数への電力供給を停止するようにしてもよい。
図9のフローチャートは、上記のデジタル信号処理回路5’において信号光の運用開始前後に行われるタップ数の計算処理および電力供給の制御動作を例示している。まず、運用開始前の段階においては、本光受信機の入力ポートINに接続される光ファイバ伝送路の種類、長さに応じて決まる波長分散値に対応させて、受信信号光に生じた波長分散や偏波モード分散を補償するのに必要な分散補償量が定められ、該分散補償量がタップ係数計算部52’に与えられる(S31)。
タップ係数計算部52’では、上述した(3)式に従って、与えられた分散補償量に対応する前段のFIRフィルタ51Aのタップ係数CA0〜CAkが計算され、その計算結果がFIRフィルタ51Aの対応する複素乗算回路に与えられると同時に、電力供給制御部53にも伝えられる(S32)。このとき、前段のFIRフィルタ51Aを使用する必要がない場合、すなわち、分散補償量が僅かで後段のFIRフィルタ51Bのみの波形等化でも必要な分散補償が可能なときには、スイッチ51Cが迂回ルート51D側に切り替えられる。なお、後段のFIRフィルタ51Bのタップ係数CB0〜CBkについては、運用開始後に適応波形等化が行われるので、運用開始前の段階では予め定めた初期値が設定される。
電力供給制御部53では、タップ係数計算部52’からの各タップ係数CA0〜CAkの値と予め定められた閾値Cthとの比較が行われ、閾値Cthよりも絶対値が小さくなるタップ係数CAjが判別される(S33)。そして、前段のFIRフィルタ51Aのタップ係数CAjに対応した回路部分への電力の供給を停止させる電力制御信号SAi,SAqが生成されて前段のFIRフィルタ51Aに出力される(S34)。電力供給制御部53からの電力制御信号を受けた前段のFIRフィルタ51Aでは、タップ係数CAjに対応した複素乗算回路などへの電力供給が停止される(S35)。
上記のようにして運用開始前における前段および後段のFIRフィルタ51A,51Bのタップ係数の設定、並びに、前段のFIRフィルタ51Aへの電力供給制御が完了すると、信号光の運用が開始されて光ファイバ伝送路を伝搬した信号光が光受信機でデジタルコヒーレント受信される。信号光の受信処理が開始されると、タップ係数計算部52’において、後段のFIRフィルタ51Bに対する適応波形等化が行われ、受信信号波形を理想状態に近づけるためのタップ係数CB0〜CBkが計算される(S36)。
このとき、後段のFIRフィルタ51Bの伝達関数の調整だけでは所望の波形等化を実現することが困難であれば、前段のFIRフィルタ51Aも含めたタップ係数の最適化を行うようにしてもよい。具体的には、タップ係数計算部52’の計算過程で後段のFIRフィルタ51Bのタップ数の不足などが判定されると(S37)、後段のFIRフィルタ51Bに設定可能な伝達関数を基にして、前段のFIRフィルタ51Aで補うことが必要となる分散補償量が推定され(S38)、前述したS32〜S35に戻って、推定された分散補償量を用いて前段のFIRフィルタ51Aの各タップ係数CA0〜CAkが再計算されると共に電力制御信号SAi,SAqの更新が行われる。
前段および後段のFIRフィルタ51A,51Bの組合せにより所望の波形等化が実現可能になると、電力供給制御部53において、後段のFIRフィルタ51Bの各タップ係数CB0〜CBkと予め定められた閾値Cthとの比較が行われ、閾値Cthよりも絶対値が小さくなるタップ係数CBjが判別され、該タップ係数CBjに対応した回路部分への電力供給を停止させる電力制御信号SBi,SBqが生成されて後段のFIRフィルタ51Bに出力される(S39)。電力供給制御部53からの電力制御信号を受けた後段のFIRフィルタ51Bでは、タップ係数CBjに対応した複素乗算回路などへの電力供給が停止される(S40)。上記のようなS36〜S40の一連の処理が運用中常時または所定の周期で繰り返し実行される。
上記のように2段構成のFIRフィルタ51A,51Bを用いて適応波形等化を行うようにしたことにより、受信信号の波形をより高い精度で理想状態に近づけることが可能になると共に、各々のタップ係数CA0〜CAk,CB0〜CBkの値に応じて各段のFIRフィルタの不要な回路部分への電力供給が停止されるため、FIRフィルタを2段構成としたことによる消費電力の増加を抑えることができる。
次に、本発明による光受信機の第2実施形態について説明する。
前述した第1実施形態およびその応用例では、時間領域の処理であるFIRフィルタを用いて波形等化を行うようにした。これに対して第2実施形態では、周波数領域において波形等化の処理を行う構成例について説明する。
図10は、第2実施形態の光受信機に適用されるデジタル信号処理回路の構成を示すブロック図である。なお、第2実施形態における光受信機の全体構成は、前述した第1実施形態の構成(図1)と同様である。図10に示すデジタル信号処理回路5’’は、高速フーリエ変換(Fast Fourier Transform:FFT)および逆高速フーリエ変換(Inverse Fast Fourier Transform:IFFT)を利用して周波数領域でフィルタリングを行う波形等化部51’’を有する。
この波形等化部51’’は、ADコンバータ31,32からの受信信号I,QをFFT回路514に与えて高速フーリエ変換する。FFT回路514から出力される各周波数成分は、並列配置された複素乗算回路515にそれぞれ与えられる。各複素乗算回路515は、FFT回路514で高速フーリエ変換された各周波数成分に対して、タップ係数計算部52で計算されたタップ係数Ci(i=0〜k)を乗じ、それをIFFT回路516に出力する。IFFT回路516は、各複素乗算回路515から出力される周波数成分を逆高速フーリエ変換して出力する。これにより、周波数領域の処理で波形等化が行われた信号I’,Q’が、波形等化部51’’から識別処理部54に送られる。
ここで、上記のようなFFT/IFFTを利用した波形等化部51’’のタップ係数の計算方法の一例を挙げておく。波長分散値β[s/m]を持つ光ファイバをL[m]伝搬した場合の信号光の伝達関数H(ω)が前述の(1)式で表され、該信号光の波長分散を補償するための等化フィルタの伝達関数H−1(ω)が前述の(2)式で表される場合、波形等化部51’’に与えるタップ係数Ckは、サンプル数をN、サンプリング周波数をΔωとして、次の(4)式に従い計算することが可能である。
上記のようなデジタル信号処理回路5’’においても、前述した第1実施形態の場合と同様にして、信号光の運用開始前に、光受信機に与えられる分散補償量に対応した波形等化部51’’のタップ係数C0〜Ckの値がタップ係数計算部52で計算される。そして、該タップ係数C0〜Ckと予め定められた閾値Cthとの比較が電力供給制御部53で行われ、閾値Cthよりも絶対値が小さなタップ係数Cjに対応した回路部分への電力供給を停止させる電力制御信号Si,Sqが生成され、該電力制御信号Si,Sqが波形等化部51’’に出力される。電力供給制御部53からの電力制御信号Si,Sqを受けた波形等化部51’’では、タップ係数Cjに対応した複素乗算回路515への電力供給が停止されるか、または、FFT回路514若しくはIFFT回路516におけるタップ係数Cjに対応した回路要素への電力供給が停止される。
したがって、FFT/IFFTを利用して周波数領域の処理で波形等化を行うようにした第2実施形態においても、前述したFIRフィルタを用いて時間領域の処理で波形等化を行う第1実施形態の場合と同様の効果、すなわち、有効な分散補償により良好な受信特性を実現しながら、光受信機の消費電力を低減することが可能になる。
なお、上記の第2実施形態では適応波形等化が適用されない場合について説明したが、前述した第1実施形態の第1、2応用例と同様にして、FFT/IFFTを利用した波形等化部51’’に適応波形等化を適用することも可能である。
次に、本発明による光受信機の第3実施形態について説明する。
図11は、第3実施形態の光受信機の構成を示すブロック図である。ここでは、シンボルレートまたはビットレートが異なる信号光を受信処理する光受信機への本発明の適用例を示す。
図11において、本実施形態の光受信機は、上述した第1実施形態と同様の光受信部1およびAD変換部3を備えると共に、複数のレーンに分けられたデジタル信号処理回路5A,5B,5C,…を有し、AD変換部3から出力されるデジタル信号をそのシンボルレートまたはビットレートに応じて選択したレーン数のデジタル信号処理回路を使用して受信処理するものである。各レーンのデジタル信号処理回路5A,5B,5C,…は、上述した第1実施形態のデジタル信号処理回路5と同様の構成となっており、ここでは、各々のデジタル信号処理回路5A,5B,5C,…への電力供給を集中して制御するレーン電力供給制御部55が設けられている。
上記のような構成の光受信機では、例えば、40Gbit/sの信号光を受信する時には、128レーンのデジタル信号処理回路を選択して使用し、10Gbit/sの信号光を受信する時には、32レーンのデジタル信号処理回路を選択して使用して、波形等化や信号識別等の信号処理が行われる。このとき、レーン電力供給制御部55は、使用されていない非選択のレーンを判別し、それに該当するデジタル信号処理回路への電力供給を停止させる電力制御信号を生成する。この電力制御信号に従って、非選択レーンのデジタル信号処理回路への電力またはクロック信号の供給が停止される。なお、使用されるレーンのデジタル信号処理回路については、上述した各実施形態またはその応用例と同様にして、波形等化部のタップ係数の値に応じた電力供給制御が行われる。
上記のように本実施形態の光受信機によれば、シンボルレートまたはビットレートが異なる信号光を受信処理する場合に、複数のレーンに分けられたデジタル信号処理回路の使用状況に応じて各デジタル信号処理回路への電力供給を制御するようにしたことで、光受信機の消費電力を受信信号のシンボルレートまたはビットレートに応じて効率的に低減することが可能になる。
次に、本発明による光受信機の第4実施形態について説明する。
図12は、第4実施形態の光受信機におけるデジタル信号処理回路の構成を示すブロック図である。ここでは、分散補償に加えて非線形歪補償にも対応した応用例を示す。なお、第4実施形態における光受信機の全体構成は、前述した第1実施形態の構成と同様である。
図12に示すデジタル信号処理回路5’’’は、上述した第1実施形態のデジタル信号処理回路5について、波形等化部51の後段に非線形歪補償部56が追加されており、電力供給制御部53’によって波形等化部51および非線形歪補償部56への電力供給が制御される構成となっている。また、ここでは受信信号の非線形歪量をモニタする非線形量モニタ回路543が識別処理部54’内に設けられている。
非線形歪補償部56は、例えば、受信する信号光の変調方式がm=2に該当するQPSKである場合、図13の左側に示すような非線形歪が生じている受信信号を、予め定めたアルゴリズムに従って処理することにより、図13の右側に示すような歪の補償された信号に変換する。この非線形歪補償部56の具体例としては、波形等化部51から出力される信号I’,Q’の一部が入力される電力計算回路561と、該電力計算回路561の計算結果を基に、波形等化部51からの出力信号I’,Q’に位相変調を施す位相変調回路562とからなる構成を適用することが可能である。なお、非線形歪補償の詳細に関しては、例えば、文献1:A.P.T.Lau and J.M.Kahn, "Signal Design and Detection in Presence of Nonlinear Phase Noise", JOURNAL OF LIGHTWAVE TECHNOLOGY, VOL.25, NO.10, OCTOBER 2007.および文献2:K.Kikuchi,"Electronic Post-compensation for Nonlinear Phase Fluctuations in a 1000-km 20-Gbit/s Optical Quadrature Phase-shift Keying Transmission System Using the Digital Coherent Receiver", OPTICS EXPRESS, Vol.16, No.2, January 2008.に具体的に記述されている。
電力供給制御部53’は、非線形歪補償部56におけるアルゴリズムに従った計算処理の過程で得られる係数c(i=0,1,2)と予め定めた閾値cthとの比較を行い、該閾値cthよりも絶対値が小さい係数cを判別し、非線形歪補償部56内の係数cに対応した回路部分への電力供給を停止する電力制御信号Si',Sq’を生成する。または、上記の係数cに代えて、後述する非線形量モニタ回路543でモニタされる非線形量FNLを用い、予め設定した閾値Fthよりも非線形量FNLが小さくなった場合に、非線形歪補償部56内の不要な回路部分への電力供給を停止する電力制御信号Si',Sq’を生成する。なお、電力供給制御部53’は、上述した第1実施形態の場合と同様に、分散補償を行う波形等化部51についての電力供給制御も行っている。
非線形量モニタ回路543は、例えば、周波数/位相補償制御回路541から位相同期後の信号を取り出し、該信号を基に非線形歪の発生量をモニタする。具体的に、位相同期後の信号をS=I+jQ(k=1,2,…N;Nは任意の整数)とすると、受信信号の平均振幅rおよび平均位相θは、次の(5)式および(6)式で表される。
また、振幅方向の標準偏差σおよび位相方向の標準偏差σθは、次の(7)式および(8)式で表される。
非線形量モニタ回路543でモニタされる非線形歪量FNLは、上記の標準偏差σおよび標準偏差σθを用いて、次の(9)式で定義されることになる。
この非線形歪量FNLが、前述した電力供給制御部53’に伝えられ、予め定めた閾値Fthと比較されて、非線形歪補償部56の電力供給制御が行われる。
上記のように本実施形態の光受信機によれば、分散補償に加えて非線形歪補償も行われる場合に、非線形歪補償部56で計算される係数cまたは非線形量モニタ回路543でモニタされる非線形歪量FNLに応じて、非線形歪補償部56への電力供給を制御するようにしたことで、波長分散や偏波モード分散だけでなく非線形歪の発生状態にも対応して光受信機の消費電力を効率的に低減することが可能になる。
なお、上述した第1〜第4実施形態では、mPSK信号光をコヒーレント受信する光受信機の構成例について説明してきたが、本発明はこれに限らず、例えば図14に示すように偏波多重されたmPSK信号光をコヒーレント受信する光受信機にも本発明を応用することが可能である。図14の構成では、入力ポートINに入力される偏波多重mPSK信号光が、偏波ビームスプリッタ(PBS)16で直交する2つの偏波成分に分離されて光ハイブリッド回路12A,12Bにそれぞれ与えられる。また、局部発振光源13からの局発光もPBS17で2つの偏波成分に分離されて光ハイブリッド回路12A,12Bにそれぞれ与えられる。そして、各々の偏波成分毎に上述した各実施形態の場合と同様な受信処理が行われてデータが再生される。
また、例えば図15に示すように単一偏波のmPSK信号光をセルフコヒーレント(Self-coherent)方式により受信処理する光受信機にも本発明を応用することが可能である。図15の構成では、入力ポートINに入力されるmPSK信号光が3分岐されて、1サンプル時間遅延干渉計18,18’および光検出器19にそれぞれ与えられる。そして、各光検出器14,15,19で光電変換された電気信号がADコンバータ31,32,34でデジタル信号に変換された後に、デジタル信号処理回路5’’’’の電場再構築部57に送られて複素電場が再構築される。そして、電場再構築部57から出力される信号I,Qが波形等化部51で波形等化され、MSPE(Multi-Symbol Phase Estimation)回路58で処理されることにより受信データが再生される。なお、セルフコヒーレント受信方式の詳細に関しては、例えば、文献3:Xiang Liu, "Generalized data-aided multi-symbol phase estimation for improving receiver sensitivity in
direct-detection optical m-ary DPSK", OPTICS EXPRESS, Vol.15, No.6, March 2007.に具体的に記述されている。
さらに、上記セルフコヒーレント方式の光受信機についても、前述の図14に示した場合と同様に偏波多重方式に対応することが可能である。偏波多重mPSK信号光をセルフコヒーレント方式で受信する光受信機の構成例を図16に示しておく。
以上の各実施形態に関して、さらに以下の付記を開示する。
(付記1) 光ファイバ伝送路を伝搬した信号光を受信し、該信号光をデジタルの電気信号に変換して得た受信信号のデジタル信号処理により、データを再生する光受信機への電力の供給状態を制御するための方法であって、
前記光受信機で行われるデジタル信号処理が、前記受信信号の波形等化を行う過程を含むとき、
前記光ファイバ伝送路の状態に基づいて、前記受信信号の波形等化で用いる可変パラメータを計算する過程と、
前記計算された可変パラメータのうち、予め定めた閾値よりも絶対値が小さい可変パラメータを判別する過程と、
前記受信信号の波形等化を行う回路について、前記判別された可変パラメータに対応した回路部分への電力供給を停止させる電力制御信号を生成する過程と、
を含むことを特徴とする電力供給制御方法。
(付記2) 付記1に記載の電力供給制御方法であって、
前記受信信号の波形等化が、前記受信信号を互いに異なる複数の成分に分離し、該各成分に対して可変パラメータをそれぞれ乗じて重みを付けることで行われるとき、
前記可変パラメータを計算する過程は、信号光の運用開始前に、前記光ファイバ伝送路の分散特性に応じて定めた分散補償量に対応させて、前記波形等化に用いる可変パラメータを前記成分毎に計算し、
前記電力制御信号を生成する過程は、前記受信信号の波形等化を行う回路について、前記判別された可変パラメータが乗じられる前記成分に対応した回路部分への電力供給を停止させる電力制御信号を生成することを特徴とする電力供給制御方法。
(付記3) 付記2に記載の電力供給制御方法であって、
前記可変パラメータを計算する過程は、信号光の運用開始後に、前記波形等化の行われた受信信号の波形をモニタし、該モニタ波形が理想波形に近づくよう適応的に、前記波形等化手段で用いる可変パラメータを前記成分毎に再計算することを特徴とする電力供給制御方法。
(付記4) 付記2または3に記載の電力供給制御方法であって、
前記可変パラメータを計算する過程は、前記受信信号を時間領域について互いに異なる複数の成分に分離して行われる波形等化に用いる可変パラメータを前記成分毎に計算することを特徴とする電力供給制御方法。
(付記5) 付記2または3に記載の電力供給制御方法であって、
前記可変パラメータを計算する過程は、前記受信信号を周波数領域について互いに異なる複数の成分に分離して行われる波形等化に用いる可変パラメータを前記成分毎に計算することを特徴とする電力供給制御方法。
(付記6) 付記1〜5のいずれか1つに記載の電力供給制御方法であって、
前記電力制御信号を生成する過程は、前記受信信号の波形等化を行う回路について、前記判別された可変パラメータに対応した回路部分に供給されるクロック信号を停止させる電力制御信号を生成することを特徴とする電力供給制御方法。
(付記7) 付記1〜6のいずれか1つに記載の電力供給制御方法であって、
前記光受信機で行われるデジタル信号処理が、前記波形等化の行われた受信信号を互いに異なる複数の成分に分離し、該各成分に対して可変パラメータをそれぞれ乗じて重みを付けることで、前記受信信号に生じた非線形歪を補償する過程を含むとき、
前記可変パラメータを判別する過程は、前記非線形歪の補償に用いられる可変パラメータのうち、予め定めた閾値よりも絶対値が小さい可変パラメータを判別し、
前記電力制御信号を生成する過程は、前記非線形歪の補償を行う回路について、前記判別された可変パラメータが乗じられる前記成分に対応した回路部分への電力供給を停止させる電力制御信号を生成することを特徴とする電力供給制御方法。
(付記8) 光ファイバ伝送路を伝搬した信号光を受信し、該信号光をデジタルの電気信号に変換して得た受信信号のデジタル信号処理により、データを再生する光受信機に用いられるデジタル信号処理回路であって、
前記受信信号の波形等化を行う波形等化手段と、
前記光ファイバ伝送路の状態に基づいて、前記波形等化手段で用いる可変パラメータを計算する可変パラメータ計算手段と、
前記可変パラメータ計算手段で計算される可変パラメータのうち、予め定めた閾値よりも絶対値が小さい可変パラメータを判別する可変パラメータ判別手段と、
前記波形等化手段について、前記可変パラメータ判別手段で判別された可変パラメータに対応した回路部分への電力供給を停止させる電力制御信号を生成する電力制御信号生成手段と、
前記波形等化手段で波形等化された受信信号を識別処理してデータを再生する識別処理手段と、
を備えたことを特徴とするデジタル信号処理回路。
(付記9) 付記8に記載のデジタル信号処理回路であって、
前記波形等化手段は、前記受信信号を互いに異なる複数の成分に分離し、該各成分に対して可変パラメータをそれぞれ乗じて重みを付けることで、前記受信信号の波形等化を行い、
前記可変パラメータ計算手段は、信号光の運用開始前に、前記光ファイバ伝送路の分散特性に応じて定めた分散補償量に対応させて、前記波形等化手段で用いる可変パラメータを前記成分毎に計算し、
前記電力制御信号生成手段は、前記波形等化手段について、前記可変パラメータ判別手段で判別された可変パラメータが乗じられる前記成分に対応した回路部分への電力供給を停止させる電力制御信号を生成することを特徴とするデジタル信号処理回路。
(付記10) 付記9に記載のデジタル信号処理回路であって、
前記可変パラメータ計算手段は、信号光の運用開始後に、前記波形等化手段で波形等化された受信信号の波形をモニタし、該モニタ波形が理想波形に近づくよう適応的に、前記波形等化手段で用いる可変パラメータを前記成分毎に再計算することを特徴とするデジタル信号処理回路。
(付記11) 付記10に記載のデジタル信号処理回路であって、
前記波形等化手段は、直列に接続された第1フィルタおよび第2フィルタを有し、
前記可変パラメータ計算手段は、信号光の運用開始前に、前記光ファイバ伝送路の分散特性に応じて定めた分散補償量に対応させて、前記第1フィルタで用いる可変パラメータを前記成分毎に計算し、信号光の運用開始後には、前記波形等化手段で波形等化された受信信号の波形をモニタし、該モニタ波形が理想波形に近づくよう適応的に、前記第2フィルタで用いる可変パラメータを前記成分毎に再計算することを特徴とするデジタル信号処理回路。
(付記12) 付記9〜11のいずれか1つに記載のデジタル信号処理回路であって、
前記波形等化手段は、前記受信信号を時間領域について互いに異なる複数の成分に分離して波形等化を行うことを特徴とするデジタル信号処理回路。
(付記13) 付記12に記載のデジタル信号処理回路であって、
前記波形等化手段は、前記受信信号を所定の時間刻みで遅延させる遅延回路と、該遅延回路で遅延された時間の異なる成分をタップし、該タップした成分に前記可変パラメータを乗じる複数の乗算回路と、該各乗算回路からの出力成分の総和をとる加算回路と、を有する有限インパルス応答(FIR)フィルタを用いて、前記受信信号の波形等化を行い、
前記電力制御信号生成手段は、前記可変パラメータ判別手段で判別された可変パラメータが与えられる前記乗算回路への電力供給を停止させるか、または、前記加算回路における前記可変パラメータに対応した回路要素への電力供給を停止させる電力制御信号を生成することを特徴とするデジタル信号処理回路。
(付記14) 付記9〜11のいずれか1つに記載のデジタル信号処理回路であって、
前記波形等化手段は、前記受信信号を周波数領域について互いに異なる複数の成分に分離して波形等化を行うことを特徴とするデジタル信号処理回路。
(付記15) 付記14に記載のデジタル信号処理回路であって、
前記波形等化手段は、前記受信信号が与えられる高速フーリエ変換(FFT)回路と、該高速フーリエ変換回路から出力される周波数の異なる成分に前記可変パラメータを乗じる複数の乗算回路と、該各乗算回路からの出力成分が与えられる逆高速フーリエ変換(IFFT)回路と、を有し、
前記電力制御信号生成手段は、前記可変パラメータ判別手段で判別された可変パラメータが与えられる前記乗算回路への電力供給を停止させるか、または、前記高速フーリエ変換回路若しくは前記逆高速フーリエ変換回路における前記可変パラメータに対応した回路要素への電力供給を停止させる電力制御信号を生成することを特徴とするデジタル信号処理回路。
(付記16) 付記8〜15のいずれか1つに記載のデジタル信号処理回路であって、
前記電力制御信号生成手段は、前記波形等化手段について、前記可変パラメータ判別手段で判別された可変パラメータに対応した回路部分に供給されるクロック信号を停止させる電力制御信号を生成することを特徴とするデジタル信号処理回路。
(付記17) 付記8〜16のいずれか1つに記載のデジタル信号処理回路であって、
前記波形等化手段で波形等化された受信信号が与えられ、該受信信号を互いに異なる複数の成分に分離し、該各成分に対して可変パラメータをそれぞれ乗じて重みを付けることで、前記受信信号に生じた非線形歪を補償する非線形歪補償手段を備え、
前記可変パラメータ判別手段は、前記非線形歪補償手段で用いられる可変パラメータのうち、予め定めた閾値よりも絶対値が小さい可変パラメータを判別し、
前記電力制御信号生成手段は、前記非線形歪補償手段について、前記可変パラメータ判別手段で判別された可変パラメータが乗じられる前記成分に対応した回路部分への電力供給を停止させる電力制御信号を生成することを特徴とするデジタル信号処理回路。
(付記18) 付記17に記載のデジタル信号処理回路であって、
前記非線形歪補償手段で処理された受信信号の非線形歪量をモニタする非線形歪量モニタ手段を備えたことを特徴とするデジタル信号処理回路。
(付記19) 光ファイバ伝送路を伝搬した信号光を受信してデジタル信号処理によりデータを再生する光受信機であって、
前記信号光を受信して電気信号に変換する光受信部と、
前記光受信部で変換された電気信号をデジタルの受信信号に変換するAD変換部と、
前記AD変換部で変換された受信信号のデジタル信号処理を行う、付記8〜18のいずれか1つに記載のデジタル信号処理回路と、
を備えたことを特徴とする光受信機。
(付記20) 付記19に記載の光受信機であって、
前記光受信部は、局部発振光を用いて前記信号光をコヒーレント受信し、該受信光を電気信号に変換することを特徴とする光受信機。
(付記21) 付記19に記載の光受信機であって、
前記光受信部は、遅延干渉計を用いて前記信号光をセルフコヒーレント受信し、該受信光を電気信号に変換することを特徴とする光受信機。
(付記22) 付記19〜21のいずれか1つに記載の光受信機であって、
前記光受信部は、偏波多重された前記信号光を直交する2つの偏波成分に分離して受信することを特徴とする光受信機。
(付記23) 付記19〜22のいずれか1つに記載の光受信機であって、
シンボルレートまたはビットレートが異なる信号光が前記光受信部に入力されるとき、
前記AD変換部の出力に複数のレーンに分けて接続された複数の前記デジタル信号処理回路を備え、
前記AD変換部は、変換した受信信号を当該シンボルレートまたはビットレートに応じて前記複数のレーンのうちから選択したレーンにのみ出力し、さらに、
非選択レーンに接続する前記デジタル信号処理回路への電力供給を停止させる電力制御信号を生成するレーン電力供給制御手段を備えたことを特徴とする光受信機。
第1実施形態の光受信機の構成を示すブロック図である。 上記第1実施形態の光受信部およびAD変換部の構成例を示すブロック図である。 上記第1実施形態のデジタル信号処理回路の構成例を示すブロック図である。 上記第1実施形態で計算されるFIRフィルタの各タップ係数を分散補償量毎に示した一例である 上記第1実施形態における波形等化部への電力供給の制御動作を示すフローチャートである。 第1応用例におけるデジタル信号処理回路の構成を示すブロック図である。 上記第1応用例における波形等化部への電力供給の制御動作を示すフローチャートである。 第2応用例におけるデジタル信号処理回路の構成を示すブロック図である。 上記第2応用例における波形等化部への電力供給の制御動作を示すフローチャートである。 第2実施形態の光受信機に適用されるデジタル信号処理回路の構成を示すブロック図である。 第3実施形態の光受信機の構成を示すブロック図である。 第4実施形態の光受信機に適用されるデジタル信号処理回路の構成を示すブロック図である。 上記第4実施形態における非線形歪補償を説明する図である。 上記各実施形態に関連し、偏波多重方式に対応した構成例を示すブロック図である。 上記各実施形態に関連し、セルフコヒーレント受信方式に対応した構成例を示すブロック図である。 図15について偏波多重方式に対応した構成例を示すブロック図である。
符号の説明
1 光受信部
3 AD変換部
5,5A,5B,5C デジタル信号処理回路
11 偏波制御部
12 光ハイブリッド回路
13 局部発振光源
14,15 光検出器
16,17 偏波ビームスプリッタ
18 1サンプル時間遅延干渉計
19 光検出器
31,32 ADコンバータ
33 クロック発生回路
51 波形等化部
51A,51B FIRフィルタ
51C スイッチ
51D 迂回ルート
52 タップ係数計算部
53 電力供給制御部
54 識別処理部
55 レーン電力供給制御部
56 非線形歪補償部
57 電場再構築部
58 MSPE回路
511 遅延回路
512,515 複素乗算回路
513 加算回路
514 FFT回路
516 IFFT回路
541 周波数/位相補償制御回路
542 信号識別回路
543 非線形量モニタ回路
561 電力計算回路
562 位相変調回路
C0〜Ck,CA0〜CAk,CB0〜CBk タップ係数
Si,Sq 電力制御信号

Claims (15)

  1. 光ファイバ伝送路を伝搬した信号光を受信し、該信号光をデジタルの電気信号に変換して得た受信信号のデジタル信号処理により、データを再生する光受信機への電力の供給状態を制御するための方法であって、
    前記光受信機で行われるデジタル信号処理が、直列に接続された第1フィルタおよび第2フィルタを用いて、前記受信信号を互いに異なる複数の成分に分離し、該各成分に対して可変パラメータをそれぞれ乗じて重みを付けることで、前記受信信号の波形等化を行う過程を含むとき、
    信号光の運用開始前に、前記光ファイバ伝送路の分散特性に応じて定めた分散補償量に対応させて、前記第1フィルタで用いる可変パラメータを前記成分毎に計算し、信号光の運用開始後には、前記波形等化の行われた受信信号の波形をモニタし、該モニタ波形が理想波形に近づくよう適応的に、前記第2フィルタで用いる可変パラメータを前記成分毎に計算する過程と、
    前記計算された可変パラメータのうち、予め定めた閾値よりも絶対値が小さい可変パラメータを判別する過程と、
    前記第1および第2フィルタについて、前記判別された可変パラメータが乗じられる前記成分に対応した回路部分への電力供給を停止させる電力制御信号を生成する過程と、
    を含むことを特徴とする電力供給制御方法。
  2. 請求項に記載の電力供給制御方法であって、
    前記第1および第2フィルタは、それぞれ、前記受信信号を時間領域について互いに異なる複数の成分に分離して波形等化を行うことを特徴とする電力供給制御方法。
  3. 請求項に記載の電力供給制御方法であって、
    前記第1および第2フィルタは、それぞれ、前記受信信号を周波数領域について互いに異なる複数の成分に分離して波形等化を行うことを特徴とする電力供給制御方法。
  4. 請求項1〜のいずれか1つに記載の電力供給制御方法であって、
    前記電力制御信号を生成する過程は、前記第1および第2フィルタについて、前記判別された可変パラメータに対応した回路部分に供給されるクロック信号を停止させる電力制御信号を生成することを特徴とする電力供給制御方法。
  5. 請求項1〜のいずれか1つに記載の電力供給制御方法であって、
    前記光受信機で行われるデジタル信号処理が、前記波形等化の行われた受信信号を互いに異なる複数の成分に分離し、該各成分に対して可変パラメータをそれぞれ乗じて重みを付けることで、前記受信信号に生じた非線形歪を補償する過程を含むとき、
    前記可変パラメータを判別する過程は、前記非線形歪の補償に用いられる可変パラメータのうち、予め定めた閾値よりも絶対値が小さい可変パラメータを判別し、
    前記電力制御信号を生成する過程は、前記非線形歪の補償を行う回路について、前記判別された可変パラメータが乗じられる前記成分に対応した回路部分への電力供給を停止させる電力制御信号を生成することを特徴とする電力供給制御方法。
  6. 光ファイバ伝送路を伝搬した信号光を受信し、該信号光をデジタルの電気信号に変換して得た受信信号のデジタル信号処理により、データを再生する光受信機に用いられるデジタル信号処理回路であって、
    直列に接続された第1フィルタおよび第2フィルタを有し、該各フィルタを用いて、前記受信信号を互いに異なる複数の成分に分離し、該各成分に対して可変パラメータをそれぞれ乗じて重みを付けることで、前記受信信号の波形等化を行う波形等化手段と、
    信号光の運用開始前に、前記光ファイバ伝送路の分散特性に応じて定めた分散補償量に対応させて、前記第1フィルタで用いる可変パラメータを前記成分毎に計算し、信号光の運用開始後には、前記波形等化手段で波形等化された受信信号の波形をモニタし、該モニタ波形が理想波形に近づくよう適応的に、前記第2フィルタで用いる可変パラメータを前記成分毎に計算する可変パラメータ計算手段と、
    前記可変パラメータ計算手段で計算される可変パラメータのうち、予め定めた閾値よりも絶対値が小さい可変パラメータを判別する可変パラメータ判別手段と、
    前記第1および第2フィルタについて、前記可変パラメータ判別手段で判別された可変パラメータが乗じられる前記成分に対応した回路部分への電力供給を停止させる電力制御信号を生成する電力制御信号生成手段と、
    前記波形等化手段で波形等化された受信信号を識別処理してデータを再生する識別処理手段と、を備えたことを特徴とするデジタル信号処理回路。
  7. 請求項に記載のデジタル信号処理回路であって、
    前記第1および第2フィルタは、それぞれ、前記受信信号を時間領域について互いに異なる複数の成分に分離して波形等化を行うことを特徴とするデジタル信号処理回路。
  8. 請求項に記載のデジタル信号処理回路であって、
    前記第1および第2フィルタは、それぞれ、前記受信信号を所定の時間刻みで遅延させる遅延回路と、該遅延回路で遅延された時間の異なる成分をタップし、該タップした成分に前記可変パラメータを乗じる複数の乗算回路と、該各乗算回路からの出力成分の総和をとる加算回路と、を有する有限インパルス応答(FIR)フィルタを用いて、前記受信信号の波形等化を行い、
    前記電力制御信号生成手段は、前記可変パラメータ判別手段で判別された可変パラメータが与えられる前記乗算回路への電力供給を停止させるか、または、前記加算回路における前記可変パラメータに対応した回路要素への電力供給を停止させる電力制御信号を生成することを特徴とするデジタル信号処理回路。
  9. 請求項に記載のデジタル信号処理回路であって、
    前記第1および第2フィルタは、それぞれ、前記受信信号を周波数領域について互いに異なる複数の成分に分離して波形等化を行うことを特徴とするデジタル信号処理回路。
  10. 請求項に記載のデジタル信号処理回路であって、
    前記第1および第2フィルタは、それぞれ、前記受信信号が与えられる高速フーリエ変換(FFT)回路と、該高速フーリエ変換回路から出力される周波数の異なる成分に前記可変パラメータを乗じる複数の乗算回路と、該各乗算回路からの出力成分が与えられる逆高速フーリエ変換(IFFT)回路と、を有し、
    前記電力制御信号生成手段は、前記可変パラメータ判別手段で判別された可変パラメータが与えられる前記乗算回路への電力供給を停止させるか、または、前記高速フーリエ変換回路若しくは前記逆高速フーリエ変換回路における前記可変パラメータに対応した回路要素への電力供給を停止させる電力制御信号を生成することを特徴とするデジタル信号処理回路。
  11. 請求項6〜10のいずれか1つに記載のデジタル信号処理回路であって、
    前記電力制御信号生成手段は、前記第1および第2フィルタについて、前記可変パラメータ判別手段で判別された可変パラメータに対応した回路部分に供給されるクロック信号を停止させる電力制御信号を生成することを特徴とするデジタル信号処理回路。
  12. 請求項6〜11のいずれか1つに記載のデジタル信号処理回路であって、
    前記波形等化手段で波形等化された受信信号が与えられ、該受信信号を互いに異なる複数の成分に分離し、該各成分に対して可変パラメータをそれぞれ乗じて重みを付けることで、前記受信信号に生じた非線形歪を補償する非線形歪補償手段を備え、
    前記可変パラメータ判別手段は、前記非線形歪補償手段で用いられる可変パラメータのうち、予め定めた閾値よりも絶対値が小さい可変パラメータを判別し、
    前記電力制御信号生成手段は、前記非線形歪補償手段について、前記可変パラメータ判別手段で判別された可変パラメータが乗じられる前記成分に対応した回路部分への電力供給を停止させる電力制御信号を生成することを特徴とするデジタル信号処理回路。
  13. 光ファイバ伝送路を伝搬した信号光を受信してデジタル信号処理によりデータを再生する光受信機であって、
    前記信号光を受信して電気信号に変換する光受信部と、
    前記光受信部で変換された電気信号をデジタルの受信信号に変換するAD変換部と、
    前記AD変換部で変換された受信信号のデジタル信号処理を行う、請求項6〜12のいずれか1つに記載のデジタル信号処理回路と、
    を備えたことを特徴とする光受信機。
  14. 請求項13に記載の光受信機であって、
    前記光受信部は、局部発振光を用いて前記信号光をコヒーレント受信し、該受信光を電気信号に変換することを特徴とする光受信機。
  15. 請求項13または14に記載の光受信機であって、
    シンボルレートまたはビットレートが異なる信号光が前記光受信部に入力されるとき、
    前記AD変換部の出力に複数のレーンに分けて接続された複数の前記デジタル信号処理回路を備え、
    前記AD変換部は、変換した受信信号を当該シンボルレートまたはビットレートに応じて前記複数のレーンのうちから選択したレーンにのみ出力し、さらに、
    非選択レーンに接続する前記デジタル信号処理回路への電力供給を停止させる電力制御信号を生成するレーン電力供給制御手段を備えたことを特徴とする光受信機。
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