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JP5222070B2 - 研磨パッド - Google Patents
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JP5222070B2 - 研磨パッド - Google Patents

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本発明は研磨パッドに係り、特に、湿式成膜された樹脂製であり、被研磨物を研磨加工するための研磨面を有する発泡構造の研磨層と、湿式成膜された発泡構造のクッション層と、を備えた研磨パッドに関する。
光学材料やシリコンウェハ、ハードディスク基板、半導体基板等では、より高精度化、高密度化が要求されていることから、研磨加工の対象となる被研磨物が薄化ないし脆化してきている。これらの薄化ないし脆化した被研磨物では、研磨加工による平坦化をさらに高精度化することが望まれている。このため、研磨加工に使用する研磨パッドとしては、クッション性を向上させることが必要となる。
光学材料の代表例としては、液晶ディスプレイのカラーフィルタ基板、薄膜トランジスタ基板と呼ばれる2枚のガラス基板を挙げることができる。近年では、動画再生時の応答速度を向上させるため、カラーフィルタ基板と薄膜トランジスタ基板との間隔(セルギャップ)が従来の10μm程度から5μm以下に狭められる傾向にある。これらガラス基板の表面にうねりや凹凸がある場合には、液晶ディスプレイの表示不良等の原因となる。また、薄膜トランジスタでは、ゲート電極に配される酸化膜(絶縁膜)の厚さが小さくなっているため、薄膜トランジスタが形成されるガラス基板の表面上に微細な凹凸が存在すると、薄膜トランジスタ部分での短絡につながり、表示不良の原因となる。従って、これらのガラス基板には高精度な平坦性が要求されている。
また、カラーフィルタ基板では、赤(R)、緑(G)、青(B)の三原色の顔料を含む微小な樹脂膜で構成される色材膜の形成時に膜厚が不均一になることを主原因とした色ムラが発生しやすく、また、カラーフィルタ基板自体が1〜2μmと薄膜状であるために表面の凹凸や異物付着が液晶ディスプレイの画質に大きく影響を与える。このため、カラーフィルタ基板には高度な表面精度(平坦性)が要求されており、色材膜の膜厚を均一化するために研磨加工が施されている。ところが、ガラス基板が薄化ないし脆化する傾向にあるため、カラーフィルタ基板への研磨負荷を小さくした低荷重(低圧)での研磨加工が望まれている。
薄化ないし脆化した薄膜のもうひとつの代表例としては、半導体基板を挙げることができる。半導体基板は、シリコンウェハ上に、表面(加工面)を高精度に研磨加工された層間絶縁膜およびメタル配線が積層され形成される。近年では、より高容量なデバイスを得るために、比低誘電率膜およびCu配線の導入が進められている。比低誘電率膜では機械的強度および界面密着強度が低下しているため、低ダメージの研磨加工が必要とされている。低ダメージの研磨加工手段として、従来4psi(27580Pa)で行われていた研磨加工時の荷重を2psi(13790Pa)以下とした低圧研磨加工が有効と考えられている。
上述した高精度の研磨加工に使用される研磨パッドとして、通常、研磨層とクッション層とを積層した研磨パッドが使用されている。研磨パッドをこのような構造とすることで、クッション層により加工面の全体的なうねりを吸収し加工面に略均一な荷重(押圧力)を負荷すること、および、研磨層により加工面の局所的な凹凸を平坦化することが可能となる。研磨層とクッション層とを備えた研磨パッドとして、例えば、クッション層の圧縮回復率を制限し圧縮特性を改善した技術が開示されている(特許文献1参照)。
特許第3460712号公報
しかしながら、従来の研磨パッドでは、薄化ないし脆化した被研磨物を研磨加工する際に、圧縮特性の不足から加工面全体に略均一な荷重を負荷することができず、高度な表面精度を得ることが難しい。また、低圧研磨加工では、研磨加工時の荷重を小さくするため、クッション層が変形しにくくなり、加工面のうねりを吸収することができず、加工面全体を略均一に平坦化することが難しい。この点、特許文献1の技術では、クッション層のプラテン(研磨機の定盤)接着側表面にパターニングによる凹凸処理を施すことでクッション層の圧縮率を上げている。ところが、プラテン接着面とクッション層との接着面積が不十分なため、接着界面での剥離が生じやすくなる、という欠点がある。さらに、繰り返し荷重に対する残留歪みや圧縮特性の変化を低減することを目的としているものの、研磨加工時の経時的な圧縮特性の変化を低減するには十分とはいえない。このため、繰り返し荷重に対して弾性の低下(へたり)を招くと、加工面全体に略均一な荷重を負荷できなくなり、被研磨物の損傷や破損を招くこととなる。更に、研磨層の剛性が大きくなると、低圧研磨加工でクッション層が変形せず、加工面のうねりを吸収することができなくなる。
本発明は上記事案に鑑み、長期にわたり薄化ないし脆化した被研磨物の平坦性向上を図ることができる研磨パッドを提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明は、湿式成膜された樹脂製であり、被研磨物を研磨加工するための研磨面を有する発泡構造の研磨層と、前記研磨層の前記研磨面と反対側の面に貼り合わされ、少なくとも2枚の湿式成膜された発泡構造の樹脂シートを積層状に貼り合わせて構成されており、前記研磨層の3倍〜5倍の厚さを有するクッション層と、を備え、前記クッション層は、圧縮率が30%以上であり、加圧および除圧を少なくとも200回繰り返したときの圧縮弾性率の前記加圧および除圧前の圧縮弾性率に対する維持率が70%以上であることを特徴とする研磨パッドである。
本発明では、少なくとも2枚の湿式成膜された発泡構造の樹脂シートを積層状に貼り合わせて構成されたクッション層が、圧縮率30%以上であり、湿式成膜された樹脂製の研磨層の3〜5倍の厚さを有するため、低荷重でもクッション層が変形しやすくクッション性を発揮することから、薄化ないし脆化した被研磨物に対する押圧力が均等化されると共に、圧縮弾性率の維持率を70%以上としたことで、繰り返しの加圧および除圧に対してもクッション性が維持されるので、長期にわたり被研磨物の平坦性向上を図ることができる。
この場合において、クッション層を、少なくとも2枚の樹脂シートが接着層を介して貼り合わされており、厚さが1.0mm〜3.5mmの範囲としてもよい。このとき、クッション層の繰り返しの加圧および除圧前の圧縮弾性率を90%以上とすることができる。接着層の厚さが0.5mm以下に調整されていてもよい。また、研磨層が、クッション層と接着剤で貼り合わされており、接着剤の厚さが0.5mm以下に調整されていてもよい。研磨層および少なくとも2枚の樹脂シートが当初同質かつ同一厚さで作製されており、研磨層がバフ処理またはスライス処理により研磨面に開孔が形成されていてもよい。このとき、研磨層を少なくとも2枚の樹脂シートの各々の厚さと同じ厚さかまたは厚さが小さくなるようにすることができる。貼り合わされた研磨層およびクッション層では、A硬度が10度〜40度の範囲、かさ密度が0.2g/cm〜0.6g/cmの範囲とすることができる。クッション層の研磨層と反対の面に基材が更に貼り合わされていてもよい。
本発明によれば、少なくとも2枚の湿式成膜された発泡構造の樹脂シートを積層状に貼り合わせて構成されたクッション層が、圧縮率30%以上であり、湿式成膜された樹脂製の研磨層の3〜5倍の厚さを有するため、低荷重でもクッション層が変形しやすくクッション性を発揮することから、薄化ないし脆化した被研磨物に対する押圧力が均等化されると共に、圧縮弾性率の維持率を70%以上としたことで、繰り返しの加圧および除圧に対してもクッション性が維持されるので、長期にわたり被研磨物の平坦性向上を図ることができる、という効果を得ることができる。
以下、図面を参照して、本発明を適用した研磨パッドの実施の形態について説明する。
(研磨パッド)
図1に示すように、本実施形態の研磨パッド10は、被研磨物表面を研磨加工するための研磨面Pを有する研磨層としてのポリウレタン発泡体2と、研磨面Pと反対の面側に配されたクッション層3とを備えている。ポリウレタン発泡体2は湿式成膜されており、クッション層3は湿式成膜された2枚のポリウレタン発泡体3a、3bが積層状に貼り合わされて構成されている。
ポリウレタン発泡体2は、ポリウレタン樹脂の湿式成膜でシート状に形成されており、内部に発泡4が略均等に分散した状態で形成されている。ポリウレタン発泡体2は湿式成膜時に形成されたスキン層がバフ処理またはスライス処理により除去されており、研磨面Pには発泡4が開孔した開孔9が形成されている。開孔9は開孔径が20〜100μmの範囲に調整されている。発泡4は、ポリウレタン発泡体2の厚さ方向(図1の上下方向)に沿って丸みを帯びた断面三角状に形成されており、研磨面P側の孔径がクッション層3側より小さく形成されている。すなわち、発泡4は研磨面P側で縮径されている。発泡4同士の間のポリウレタン樹脂中には、発泡4より小さい孔径の図示を省略した発泡が形成されている。ポリウレタン発泡体2は、発泡4および図示を省略した発泡が立体網目状に連通しており、連続発泡構造を有する連続発泡体である。
クッション層3を構成するポリウレタン発泡体3a、3bは、いずれもポリウレタン樹脂を湿式成膜することでシート状に形成されている。ポリウレタン発泡体3aは、ポリウレタン発泡体2側に図示しない緻密な微多孔が形成されたスキン層を有しており、スキン層より内側(ポリウレタン発泡体3b側)にスキン層の微多孔より大きい孔径の発泡7が略均等に分散した状態で形成されている。発泡7は、ポリウレタン発泡体3aの厚さ方向に沿って丸みを帯びた断面三角状に形成されており、ポリウレタン発泡体2側の孔径がポリウレタン発泡体3b側より小さく形成されている。発泡7同士の間のポリウレタン樹脂中には、スキン層に形成された微多孔より大きく発泡7より小さい孔径の不図示の発泡が形成されている。ポリウレタン発泡体3aは、スキン層の微多孔、発泡7および不図示の発泡が立体網目状に連通しており、連続発泡構造を有する連続発泡体である。一方、ポリウレタン発泡体3bは、ポリウレタン発泡体3aと同様に作製されたものである。すなわち、ポリウレタン発泡体3bは、内部に発泡7が形成された連続発泡構造を有する連続発泡体である。
クッション層3は、ポリウレタン発泡体3aのスキン層と反対側の面が、接着層5を介して、ポリウレタン発泡体3bのスキン層側の面と貼り合わされている。このクッション層3では、ショアA硬度、圧縮率、圧縮弾性率および密度がそれぞれ設定されている。ショアA硬度、圧縮率、圧縮弾性率および密度は、ポリウレタン発泡体3a、3bの湿式成膜に用いるポリウレタン樹脂や添加剤等を選定し連続発泡構造を調整することや接着層5の成分を選定することで所望の範囲に設定することができる。本例では、クッション層3は、ショアA硬度が10〜40度の範囲、圧縮率が30〜75%の範囲、圧縮弾性率が90%以上、密度が0.2〜0.6g/cmの範囲にそれぞれ設定されている。
研磨パッド10では、ポリウレタン発泡体3aのスキン層側表面と、ポリウレタン発泡体2の研磨面Pと反対側の面とが接着剤層6を介して貼り合わされている。クッション層3の厚さbに対するポリウレタン発泡体2の厚さaの厚さ比a/bは、1/5〜1/3の範囲に設定されている。すなわち、クッション層3の厚さbがポリウレタン発泡体2の厚さaの3〜5倍となる。また、ポリウレタン発泡体2およびポリウレタン発泡体3a、3bは、いずれも湿式成膜された同質のものであり、成膜当初ではいずれも同一の厚さに形成されている。ポリウレタン発泡体2では、スキン層が除去されているため、厚さが成膜当初より小さくなっている。換言すれば、ポリウレタン発泡体2の厚さaは、ポリウレタン発泡体3a、3bのいずれの厚さより小さくなっている。本例では、ポリウレタン発泡体2、3a、3bの厚さは、成膜当初0.2〜1.5mmの範囲で形成されており、クッション層3の厚さが1.0〜3.5mmの範囲に調整されている。また、接着層5および接着剤層6の厚さがいずれも0.5mm以下に調整されている。
ポリウレタン発泡体3a、3bが接着層5を介して貼り合わされたクッション層3では、圧力をかけ(荷重を加え)て圧縮した後、圧力を除く(除圧する)操作を繰り返したときに、少なくとも200回繰り返し後の圧縮弾性率の当初の圧縮弾性率に対する維持率が70%以上の特性を有している。すなわち、クッション層3は、圧縮弾性率が当初90%以上であるのに対して、少なくとも200回の加圧、除圧を繰り返しても63%以上の圧縮弾性率を有している。このような特性を有するクッション層3は、例えば、湿式成膜時のポリウレタン樹脂を選択し、発泡構造や密度を調整することにより得ることができる。発泡構造としては、隣り合う発泡7同士を連通する割合が小さく、発泡7同士の間がポリウレタン樹脂で離間していることが好ましい。また、密度としては上述した範囲が好ましく、密度が0.2g/cmを下回る場合は、加圧、徐圧の繰り返しにより発泡が押し潰されるため、クッション性を得ることができなくなる。好適な発泡構造を得る方法としては、例えば、数平均分子量が10000以上のポリウレタン樹脂を使用する方法、添加剤として数平均分子量が50000以上の高重合度のポリウレタン樹脂を0〜20重量%の範囲で添加する方法、接着層5の成分として弾性を有するウレタン系接着剤を使用する方法、等を挙げることができる。
また、研磨パッド10は、クッション層3のポリウレタン発泡体2と反対側の面に、研磨機に研磨パッド10を装着するための両面テープが貼り合わされている。両面テープは、例えば、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略記する。)製フィルム等の可撓性フィルムの基材8を有しており、基材8の両面にアクリル系接着剤等の感圧型接着剤層(不図示)がそれぞれ形成されている。両面テープは、基材8の一面側の接着剤層でクッション層3(ポリウレタン発泡体3bのポリウレタン発泡体3aと反対側の面)に貼り合わされており、他面側(クッション層3と反対側)の接着剤層が図示を省略した剥離紙で覆われている。この両面テープの基材8は、研磨パッド10の基材を兼ねている。
(研磨パッドの製造)
研磨パッド10は、湿式成膜でそれぞれ作製した2枚のポリウレタン発泡体3a、3bを貼り合わせることでクッション層3を形成し、同様に作製したポリウレタン発泡体2とクッション層3とを貼り合わせることで製造される。湿式成膜では、ポリウレタン樹脂溶液を準備する準備工程、成膜基材にポリウレタン樹脂溶液を塗布しポリウレタン樹脂をシート状に凝固再生させる凝固再生工程、シート状のポリウレタン樹脂を洗浄し乾燥させる洗浄乾燥工程を経て各ポリウレタン発泡体が作製される。以下、ポリウレタン発泡体2の作製、クッション層3の形成、ポリウレタン発泡体2とクッション層3との貼り合わせの順に説明する。
ポリウレタン発泡体2の作製では、準備工程で、ポリウレタン樹脂、ポリウレタン樹脂を溶解可能な水混和性の有機溶媒のN,N−ジメチルホルムアミド(以下、DMFと略記する。)および添加剤を混合してポリウレタン樹脂を溶解させる。ポリウレタン樹脂は、ポリエステル系、ポリエーテル系、ポリカーボネート系等の樹脂から選択して用い、例えば、ポリウレタン樹脂が30%となるようにDMFに溶解させる。添加剤としては、発泡4の大きさや量(個数)を制御するため、カーボンブラック等の顔料、発泡を促進させる親水性活性剤、ポリウレタン樹脂の凝固再生を安定化させる疎水性活性剤等を用いることができる。得られた溶液を濾過することで凝集塊等を除去した後、真空下で脱泡してポリウレタン樹脂溶液を得る。
凝固再生工程では、準備工程で得られたポリウレタン樹脂溶液が常温下でナイフコータ等により帯状の成膜基材に略均一に塗布される。このとき、ナイフコータ等と成膜基材との間隙(クリアランス)を調整することで、ポリウレタン樹脂溶液の塗布厚さ(塗布量)が調整される。成膜基材には、可撓性フィルム、不織布、織布等を用いることができる。以下、本例では、成膜基材をPET製フィルムとして説明する。
ポリウレタン樹脂溶液が塗布された成膜基材が、ポリウレタン樹脂に対して貧溶媒である水を主成分とする凝固液に浸漬される。凝固液中では、まず、塗布されたポリウレタン樹脂溶液の表面側に微多孔が形成され厚さ数μm程度のスキン層が形成される。その後、ポリウレタン樹脂溶液中のDMFと凝固液との置換の進行によりポリウレタン樹脂が成膜基材上にシート状に凝固再生する。DMFがポリウレタン樹脂溶液から脱溶媒し、DMFと凝固液とが置換することで、スキン層より内側のポリウレタン樹脂中に発泡4および図示を省略した発泡が形成され、発泡4および図示を省略した発泡が立体網目状に連通する。このとき、成膜基材のPET製フィルムが水を浸透させないため、ポリウレタン樹脂溶液の表面側(スキン層側)で脱溶媒が生じて成膜基材側が表面側より大きな発泡4が形成される。
洗浄乾燥工程では、凝固再生工程で凝固再生したポリウレタン樹脂(以下、成膜樹脂という。)が成膜基材から剥離され、水等の洗浄液中で洗浄されて成膜樹脂中に残留するDMFが除去される。洗浄後、成膜樹脂をシリンダ乾燥機で乾燥させる。シリンダ乾燥機は内部に熱源を有するシリンダを備えている。成膜樹脂がシリンダの周面に沿って通過することで乾燥する。乾燥後の成膜樹脂は、スキン層側にバフ処理またはスライス処理を施すことでスキン層が除去され、開孔9が形成される。このとき、開孔9の開孔径が20〜100μmの範囲となるように、バフ処理またはスライス処理で除去される量が調整される。得られたポリウレタン発泡体2はロール状に巻き取られる。
次に、クッション層3の形成について説明する。ポリウレタン発泡体3a、3bは、上述したポリウレタン発泡体2と同様の湿式成膜で作製される。本例では、用いるポリウレタン樹脂、ポリウレタン樹脂溶液の組成、凝固再生時の条件等をポリウレタン発泡体2の作製と同じに設定した。
ポリウレタン発泡体3a、3bでは、ポリウレタン樹脂が凝固再生することにより、それぞれスキン層が形成される。スキン層より内側にはスキン層の微多孔より大きい孔径の発泡7および不図示の発泡が略均等に形成され、スキン層の微多孔、発泡7および不図示の発泡が立体網目状に連通する。ポリウレタン発泡体3aのスキン層と反対側の面に、ポリウレタン発泡体3bのスキン層側の面が接着層5を介して貼り合わされ、クッション層3が形成される。接着層5の成分としては、DMFに少量のポリウレタン樹脂を溶解させた樹脂溶液が用いられる。この樹脂溶液は、ポリウレタン発泡体3a、3bと同質のため、強固な接着力を得ることができ、クッション層3のクッション性を阻害しないことから、ポリウレタン発泡体3a、3bの貼り合わせに好適に使用することができる。このポリウレタン樹脂には、ポリウレタン発泡体3a、3bと同じポリウレタン樹脂が使用される。ポリウレタン樹脂の溶解量は、ポリウレタン発泡体3a、3bの接合が可能であればよく、例えば、1〜5%程度でよい。また、樹脂溶液の塗布量を、溶媒のDMFの揮発後に形成される接着層5の厚さが0.5mm以下となるように調整する。ポリウレタン発泡体3a、3bを、接合溶液を介して接触させ加圧しながら加熱する。DMFを揮発させることでポリウレタン発泡体3a、3bがポリウレタン樹脂を介して接合される。なお、接着層5としては、樹脂溶液に限られるものではなく、クッション層3のクッション性を阻害しない接着剤、例えばアクリル系接着剤等の感圧型接着剤などを使用することができる。また、接着剤が基材に塗布された接着テープ等を用いた場合は、基材がクッション層3のクッション性を阻害するため好ましくない。
湿式成膜されたポリウレタン発泡体2と、湿式成膜されたポリウレタン発泡体3a、3bを貼り合わせて構成されたクッション層3とが接着剤層6を介して貼り合わされる。接着剤層6の接着剤としては、アクリル系接着剤等の感圧型接着剤が用いられる。このとき、クッション層3を形成するポリウレタン発泡体3aのスキン層側の面が、ポリウレタン発泡体2の研磨面Pと反対側の面と貼り合わされる。また、接着剤層6の厚さが0.5mm以下となるように接着剤の塗布量が調整される。その後、クッション層3のポリウレタン発泡体2と反対側の面に基材8を有する両面テープが貼り合わされる。そして、円形や角形等の所望の形状に裁断した後、汚れや異物等の付着が無いことを確認する等の検査を行い、研磨パッド10を完成させる。
(作用等)
次に、本実施形態の研磨パッド10の作用等について説明する。
従来湿式成膜された研磨層を有する研磨パッドには、例えば、クッション層を有していない研磨パッドや、クッション性が不十分な研磨パッド、湿式成膜で厚さを大きくしたポリウレタン発泡体をクッション層とする研磨パッドがある。クッション層を有していない研磨パッドとしては、例えば、PET製などの剛性基材上に湿式凝固法により研磨層を形成した研磨パッドを挙げることができる。また、クッション性が不十分な研磨パッドとしては、ポリエステル系の不織布にポリウレタン樹脂を含浸させた高剛性のクッション層上に湿式凝固法により研磨層を形成した研磨パッドを挙げることができる。
これらのクッション性を有していない、または、クッション性が不十分な研磨パッドを研磨加工に使用した場合、被研磨物のうねり(被研磨物の平坦性を評価するための測定項目の一つであり、光学式非接触表面粗さ計で測定されるものである。)に追従することができず、また、被研磨物で沈み込むように研磨パッドが変形することができないため、被研磨物の加工面全体を略均一に平坦化することが難しい。また、研磨加工により研磨層が磨耗していくにつれ、研磨層の圧縮性が消失し、高剛性の基材やクッション層の影響が大きくなるため、研磨パッド全体の剛性が増すことから、スクラッチの発生率が高くなり、被研磨物の平坦性を低下させることとなる。更に、研磨加工により、研磨層の発泡が押しつぶされた部分に高剛性の基材やクッション層が沈み込むため、研磨パッド表面(研磨面)、ひいては、被研磨物に研磨ヘッド(研磨機の定盤)から受ける研磨圧力が略均等に負荷されず、研磨ムラが発生する。
また、図3(A)に示すように、湿式成膜で厚さを大きくしたクッション層23では、内部に粗大発泡27が形成されているため、図3(B)に示すように研磨加工時にかかる圧力(外力)により発泡形状が歪みを生じやすくなる。このため、上述したクッション層3に代えてクッション層23を用いた研磨パッドでは、クッション層23の変形自由度(変形量)が大きくなり、研磨面Pを有するポリウレタン発泡体2を有効に支持することができなくなる。また、厚さを大きくしたことにより湿式成膜時に凝固再生が不十分となる可能性がある。このため、研磨パッドの品質安定性を確保することができず、製品ロット間のバラツキが大きくなってしまう。これを解決するためには、発泡形成の時間(凝固再生時間)を長くしたり、製造工程を増やしたりすることが必要となり、生産性を低下させることとなる。更に、これら従来の研磨パッドでは、加圧および除圧を繰り返したときに、圧縮弾性率が低下する、すなわち、へたりが生じるため、研磨加工の繰り返しに伴い、被研磨物に対する押圧力が均等化されなくなり、被研磨物の平坦性を損なうこととなる。従って、薄化ないし脆化した被研磨物では、低荷重での研磨加工において十分な研磨性能を得ることが難しくなる。本実施形態は、これらの問題を解決することができる研磨パッドである。
本実施形態の研磨パッド10では、2枚のポリウレタン発泡体3a、3bが貼り合わされ形成されたクッション層3を有している。クッション層3では、加圧した後除圧する操作を少なくとも200回繰り返したときの圧縮弾性率の維持率が70%以上となる特性を有している。このため、加圧、除圧を繰り返してもクッション層3のクッション性が維持されるので、薄化ないし脆化した被研磨物に対する低圧研磨加工において研磨面Pが被研磨物の表面に追従することができる。これにより、被研磨物に対する押圧力が均等化されるので、低圧研磨加工でも長期にわたり被研磨物の平坦性向上を図ることができる。
また、本実施形態の研磨パッド10では、ポリウレタン発泡体2に貼り合わされたクッション層3が2枚のポリウレタン発泡体3a、3bで形成され、クッション層3の厚さbがポリウレタン発泡体2の厚さaの3〜5倍の範囲に調整されている。クッション層3の厚さがポリウレタン発泡体2に対し十分に大きくなるため、研磨パッド10が被研磨物に追従しやすくなり、うねりを改善することができる。さらに、被研磨物にかかる圧力が均等化(過剰負荷が緩和)されるので、過研磨を抑制することができる。また、クッション層3のクッション性向上により、被研磨物に対する研磨負荷をコントロールしやすくなり、低圧研磨加工における低荷重の負荷でもクッション層3が圧縮・回復を示すのでスクラッチを抑制することができる。クッション層3の厚さbがポリウレタン発泡体2の厚さaの3倍より薄くなる場合は、クッション層3の厚さが不足するため、被研磨物にかかる圧力が均等化されなくなる。このため、過研磨が生じ、被研磨物の平坦性が損なわれてしまう。クッション層3の厚さbがポリウレタン発泡体2の厚さaの5倍より厚くなる場合は、研磨応力は集中しないものの、被研磨物を有効に研磨加工する研磨圧力のコントロールが難しく、研磨ムラが生じやすくなる。
更に、本実施形態の研磨パッド10では、クッション層3を構成するポリウレタン発泡体3a、3bの厚さがいずれも0.2〜1.5mmの範囲、接着層5の厚さが0.5mm以下に調整されており、クッション層3全体の厚さが1.0〜3.5mmの範囲に調整されている。このため、クッション性を有効に発揮することができ、研磨機の駆動に起因する振動や研磨パッドが装着される定盤表面の粗さもカバーすることができる。クッション性を有効に発揮させることを考慮すれば、ポリウレタン発泡体3a、3bの厚さをそれぞれ0.5〜1.5mmの範囲とすることが好ましく、0.7〜1.5mmの範囲とすることがより好ましい。
また更に、本実施形態の研磨パッド10は、ポリウレタン発泡体2を2枚貼り合わせて構成されたクッション層3を有し、そのクッション層3はショアA硬度が10〜40度の範囲、圧縮率が30〜75%の範囲、圧縮弾性率が90%以上、密度が0.2〜0.6g/cmの物性値を示す。高圧縮率および高圧縮弾性率を示すので、研磨加工時に研磨圧力を小さくしてもクッション層3のクッション性を十分に発揮させることができ、被研磨物の平坦性を向上させることができる。更に、クッション層3の圧縮弾性率が繰り返し加圧除圧しても70%以上維持されるため、研磨加工による経時的な物性変化が抑制され、クッション層3、ひいては、研磨パッド10の寿命を向上させることができる。また、通常、湿式成膜で得られるポリウレタン発泡体では厚さバラツキが生じるが、クッション層3ではポリウレタン発泡体3a、3bを貼り合わせたため、湿式成膜時に生じた厚さバラツキが緩衝される。このため、研磨パッド10自体の平坦性を向上させ、被研磨物の平坦性向上を図ることができる。
ここで、クッション層3の各物性値と研磨性能との関係について説明する。ショアA硬度が10度未満の場合、または、圧縮率が75%を超える場合は、研磨加工時に研磨パッド10の沈み込みが大きくなりすぎるため、被研磨物の平坦性を得ることが難しくなる。また、ショアA硬度が40度を超える場合、圧縮弾性率が90%未満、または、圧縮率が30%未満の場合は、クッション性が不足するため、被研磨物にスクラッチの発生や破損等を生じる可能性がある。とりわけ、圧縮率が30%未満では、研磨圧力を小さくしたときに、変形せず、被研磨物全体に均一な荷重をかけることができなくなり、反対に、圧縮率が大きすぎると要求される被研磨物の平坦化精度が得られなくなる。このため、圧縮率を30〜75%の範囲とすることが好ましい。また、圧縮弾性率が90%未満では、弾性の低下(へたり)により要求される被研磨物の平坦化精度が得られなくなる。加圧および除圧を繰り返した後の圧縮弾性率が63%未満では、連続的な加圧に弱く、永久歪みが発生しやすくなり、クッション層の劣化が速くなる。このため、加圧および除圧を繰り返したときの圧縮弾性率の維持率を70%以上とすることが好ましい。また、密度が0.2g/cmに満たないと、圧縮弾性率が低下してしまい、反対に0.6g/cmを超えると硬くなりすぎてクッション性が不足してしまう。このため、密度は0.2〜0.6g/cmの範囲とすることが好ましい。
また、本実施形態の研磨パッド10では、図2(A)に示すように、クッション層3がポリウレタン発泡体3a、3bで形成され、ポリウレタン発泡体3a、3bがそれぞれ内部に発泡7が形成された連続発泡構造を有している。1枚のポリウレタン発泡体の厚さを大きくすると、湿式成膜時の凝固再生が不十分となるが、2枚のポリウレタン発泡体3a、3bを貼り合わせてクッション層3の厚さを大きくするため、品質を安定化させ、研磨パッド10として製品ロット間のバラツキを小さくすることができる。また、ポリウレタン発泡体3a、3bのそれぞれで厚さを大きくすることを要しないため、発泡形成(凝固再生)に要する時間の短縮を図ることができ、生産性を向上させることができる。
更に、クッション層3は、研磨加工時にかかる研磨圧力で変形するが、図2(B)に示すように、ポリウレタン発泡体3a、3bの各層で研磨圧力が分散され、クッション層3の全体として変形量を小さく抑えることができる。これにより、ポリウレタン発泡体3a、3bの圧縮・回復による弾性疲労を低減させることができ、クッション層3の寿命を向上させることができる。
また更に、本実施形態の研磨パッド10は、ポリウレタン発泡体2とクッション層3とが貼り合わされた状態において、研磨面Pでの硬度がショアA硬度10〜40度のため、スクラッチの要因となる研磨屑などの異物が研磨面P側で吸収されることから、スクラッチを抑制することができる。更に、ポリウレタン発泡体2では、湿式成膜による連続発泡構造を有するため、適度な弾力性が付与され、研磨レートを高め生産性を向上させることができる。
更にまた、本実施形態の研磨パッド10では、研磨面Pに開孔径が20〜100μmの範囲の開孔9が形成されている。開孔径が20μm未満ではスラリの保持能力が不十分となり研磨性能が低下してしまい、開孔径が100μmを超えると研磨面Pの凹凸が大きくなり被研磨物を高度に平坦化することができなくなる。開孔径を20〜100μmの範囲とすることで、スラリ保持性能と、研磨面Pの平坦性とが確保されるので、研磨性能を向上させ、被研磨物の平坦性を向上させることができる。
なお、本実施形態では、研磨層として湿式成膜によるポリウレタン発泡体2を用いる例を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、ポリウレタンに代えてポリエチレンやポリエステル等を用いてもよく、湿式成膜で連続発泡構造が形成されるようにすればよい。また、湿式成膜されたポリウレタン発泡体2に代えて反応硬化により形成されたプラスチックシートを用いることも可能である。このようなプラスチックシートとしては、例えば、イソシアネート基含有化合物と、ポリアミン化合物やポリオール化合物等の鎖伸長剤とを型枠内で反応硬化させたポリウレタン成形体にスライス処理や表面研削処理を施すことで得られたポリウレタン発泡体を挙げることができる。このようなポリウレタン発泡体の場合は、水や球状微粒子等により(独立)発泡構造とすることができる。また、本実施形態では、ポリウレタン発泡体2、3a、3bにいずれも湿式成膜された同質のシートを用いる例を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、ポリウレタン樹脂の組成や発泡4、7の大きさ等が異なるようにしてもよい。
また、本実施形態では、クッション層3を2枚のポリウレタン発泡体3a、3bで形成する例を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。クッション層3が3枚以上のポリウレタン発泡体で形成されていてもよく、例えば、4枚を貼り合わせるようにしてもよい。複数のポリウレタン発泡体を貼り合わせることを考慮すれば、2〜4枚のポリウレタン発泡体で形成することが作業効率の点で好ましい。とりわけ、定盤の平坦性などの研磨機の精度が不足している場合は、3〜4枚のポリウレタン発泡体を積層することでクッション性が有効に発揮されることから、被研磨物に対する研磨精度を上げることができる。一方、5枚以上のポリウレタン発泡体を積層する、または、クッション層3の厚さが4mmを超える場合は、厚さが大きすぎるため、研磨加工時の研磨機による揺動運動で、研磨底部(定盤に対する接着面)と研磨面Pとのずれ(せん断ひずみ)が大きくなる。この変形(ずれ)の回復にも時間がかかるため被研磨物に一貫して略均一な研磨圧力を負荷することができなくなり、研磨ムラを招くこととなる。クッション層3の厚さを1.0mm以下とし5枚のポリウレタン発泡体を積層した場合は、接着剤の影響が大きく出てしまい、圧縮率や柔軟性が損なわれ、クッション性が低下することとなる。従って、クッション層3の厚さを1.0〜3.5mmの範囲とすることが好ましい。
更に、本実施形態では、クッション層3を形成するポリウレタン発泡体3a、3bがスキン層を有する例を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、ポリウレタン発泡体3a、3b共にスキン層を除去してもよく、ポリウレタン発泡体3a、3bのいずれか一方のみのスキン層を除去してもよい。更に、本実施形態では、ポリウレタン発泡体3aのスキン層と反対側の面がポリウレタン発泡体3bのスキン層の面と貼り合わされる例を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、ポリウレタン発泡体3aのスキン層側の面がポリウレタン発泡体3bのスキン層側の面と貼り合わされてもよく、ポリウレタン発泡体3aのスキン層側の面がポリウレタン発泡体3bのスキン層と反対側の面と貼り合わされてもよい。
また更に、本実施形態では、クッション層3が、ショアA硬度10〜40度の範囲、圧縮率30〜75%の範囲、圧縮弾性率90%以上、密度0.2〜0.6g/cmの範囲にそれぞれ設定される例を示した。クッション層3のクッション性を向上させ、ポリウレタン発泡体2を確実に支持することを考慮すれば、ショアA硬度を15〜30度の範囲、圧縮率を30〜60%の範囲、圧縮弾性率を95%以上、密度を0.2〜0.3g/cmの範囲、にそれぞれ設定することが好ましい。
更にまた、本実施形態では、クッション層3のポリウレタン発泡体2と反対側の面に両面テープを貼り合わせ、両面テープの基材8が研磨パッド10の基材を兼ねる例を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、基材8を用いることなく接着剤のみをクッション層3のポリウレタン発泡体2と反対側の面に配しておくことで、研磨機の定盤への装着を行うことができる。また、両面テープの基材8に代えて別の基材を貼り合わせるようにしてもよい。ポリウレタン発泡体2やクッション層3が柔軟性を有していることを考慮すれば、研磨パッド10の搬送時や定盤への装着時の取扱いを容易にするため、基材を有していることが好ましい。
以下、本実施形態に従い製造した研磨パッド10の実施例について説明する。なお、比較のために製造した比較例の研磨パッドについても併記する。
(実施例1)
実施例1では、研磨層となるポリウレタン発泡体2およびクッション層3を形成するポリウレタン発泡体3a、3bの作製にポリエステルMDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)ポリウレタン樹脂を用い、湿式成膜によりスウェード調のポリウレタン発泡体を作製した。得られたポリウレタン発泡体からポリウレタン発泡体2、3a、3bを切り出し、ポリウレタン発泡体3aのスキン層と反対側の面をポリウレタン発泡体3bのスキン層側の面と貼り合わせてクッション層3を準備した。ポリウレタン発泡体2は研磨面Pに開孔9を形成させるため、スキン層側をバフ処理により開孔9の開孔径が50μm程度となるように、除去した。ポリウレタン発泡体2とクッション層3とを貼り合せた後、クッション層3のポリウレタン発泡体2と反対側の面にPET製の基材8を有する両面テープを貼り付け研磨パッド10を製造した。
(比較例1)
比較例1では、実施例1と同様に湿式成膜した1枚のポリウレタン発泡体をPET製の基材と貼り合わせた研磨パッドを準備した。すなわち、比較例1の研磨パッドは、クッション層を有していない従来の湿式成膜された研磨パッドである。
(比較例2)
比較例2では、クッション層3を形成するポリウレタン発泡体3a、3bをPET製の基材を有する両面テープで接着した以外は実施例1と同様にして研磨パッドを製造した。
(評価1)
各実施例および比較例の研磨パッドと、クッション層とについて、厚さ、密度、圧縮率、圧縮弾性率、硬度をそれぞれ測定した。厚さの測定では、ダイヤルゲージ(最小目盛り0.01mm)を使用し荷重100g/cmをかけて測定した。硬度の測定では、日本工業規格(JIS K 6253)に従い、バネを介して試験片表面へ押し付けられた押針の押し込み深さからショアA硬度を求めた。密度の測定では、所定サイズの大きさに切り出した試料の重量を測定し、サイズから求めた体積と測定した重量から算出した。圧縮率および圧縮弾性率は、日本工業規格(JIS L 1021)に従い、ショッパー型厚さ測定器(加圧面:直径1cmの円形)を使用して求めた。具体的には、無荷重状態から初荷重を30秒間かけた後の厚さtを測定し、次に、厚さtの状態から最終圧力を30秒間かけた後の厚さtを測定した。厚さtの状態から全ての荷重を除き、5分間放置(無荷重状態とした)後、再び初荷重を30秒間かけた後の厚さt’を測定した。圧縮率は、圧縮率(%)=100×(t−t)/tの式で算出し、圧縮弾性率は、圧縮弾性率(%)=100×(t’−t)/(t−t)の式で算出した。このとき、初荷重は100g/cm、最終圧力は1120g/cmであった。厚さ、密度、圧縮率、圧縮弾性率、硬度の各測定結果を下表1に示す。なお、研磨パッドにおける物性値は研磨層上面から両面テープの離型紙までの測定値を示しており、クッション層における物性値はクッション層上面から両面テープの離型紙までの測定値を示している。
Figure 0005222070
表1に示すように、ポリウレタン発泡体3a、3bを基材を有する両面テープで貼り合わせた比較例2のクッション層では、厚さが2.36mmを示した。これに対して、ポリウレタン発泡体3a、3bを基材のない接着層5で貼り合わせた実施例1のクッション層3では、厚さが2.17mmとなり、基材の分で比較例2より小さくなった。また、比較例2のクッション層では、基材を有するため、実施例1のクッション層3と比べて、硬度が高くなり、圧縮率が小さくなった。一方、クッション層を有していない比較例1の研磨パッドでは、硬度が45.0度、密度が0.38g/cm、圧縮率が38.6%、圧縮弾性率が87.4%をそれぞれ示した。また、比較例2では、研磨パッドの硬度が39.5度、密度が0.34g/cm、圧縮率が29.5%、圧縮弾性率が91.3%をそれぞれ示し、クッション層の硬度が43.5度、密度が0.39g/cm、圧縮率が24.3%、圧縮弾性率が93.8%をそれぞれ示した。これに対して、実施例1では、研磨パッド10の硬度が15.5度、密度が0.25g/cm、圧縮率が46.3%、圧縮弾性率が96.5%をそれぞれ示し、クッション層3の硬度が19.0度、密度が0.30g/cm、圧縮率が40.7%、圧縮弾性率が97.6%をそれぞれ示した。これらの結果から、基材を有していない粘着層5を介してポリウレタン発泡体3a、3bを貼り合わせて構成したクッション層3を用いることで、研磨パッド全体としてクッション性を向上させることができることが判った。
(評価2)
また、各実施例および比較例のクッション層を用い、クッション層の寿命を評価した。ここでは、上述した評価1での圧縮弾性率の測定条件に対して、荷重を大きくし、時間を短くすることで、加圧−解放を繰り返したときにクッション層にかかる負荷を大きくした加速試験で評価した。すなわち、それぞれのクッション層表面を直径1cmの平面圧子にて1mm/分の速度で500gf/cmの荷重を負荷して25秒間圧縮し、その後荷重を除いて25秒間放置するという加圧−解放サイクル試験を350回繰り返し、圧縮弾性率を測定した。このサイクル試験で用いた荷重は従来の研磨圧力(100g/cm程度)より大きくしたものであり、耐久性を比較するために過酷な条件を採用したものである。
図4に示すように、比較例1、2のクッション層と比べ、実施例1のクッション層は(少なくとも200回を満たす)350回のサイクル試験後においても、70%以上の圧縮弾性率を維持しており、製品寿命の延長が明らかであることが判明した。
本発明は長期にわたり薄化ないし脆化した被研磨物の平坦性向上を図ることができる研磨パッドを提供するため、研磨パッドの製造、販売に寄与するので、産業上の利用可能性を有する。
本発明を適用した実施形態の研磨パッドを模式的に示す断面図である。 実施形態の研磨パッドを構成するクッション層を模式的に示す断面図であり、(A)は研磨加工前の圧力がかかっていない状態、(B)は研磨加工時の圧力で変形した状態をそれぞれ示す。 比較例1の研磨パッドを構成し粗大発泡が形成されたクッション層を模式的に示す断面図であり、(A)は研磨加工前の圧力がかかっていない状態、(B)は研磨加工時の圧力で変形した状態をそれぞれ示す。 各実施例、比較例のクッション層について、加圧−除圧サイクル試験を実施したときのサイクル回数に対する圧縮弾性率の変化を示すグラフである。
符号の説明
P 研磨面
2 ポリウレタン発泡体(研磨層)
3 クッション層
3a ポリウレタン発泡体(樹脂シート)
3b ポリウレタン発泡体(樹脂シート)
5 接着層
6 接着剤層
10 研磨パッド

Claims (9)

  1. 湿式成膜された樹脂製であり、被研磨物を研磨加工するための研磨面を有する発泡構造の研磨層と、
    前記研磨層の前記研磨面と反対側の面に貼り合わされ、少なくとも2枚の湿式成膜された発泡構造の樹脂シートを積層状に貼り合わせて構成されており、前記研磨層の3倍〜5倍の厚さを有するクッション層と、
    を備え、
    前記クッション層は、圧縮率が30%以上であり、加圧および除圧を少なくとも200回繰り返したときの圧縮弾性率の前記加圧および除圧前の圧縮弾性率に対する維持率が70%以上であることを特徴とする研磨パッド。
  2. 前記クッション層は、前記少なくとも2枚の樹脂シートが接着層を介して貼り合わされており、厚さが1.0mm〜3.5mmの範囲であることを特徴とする請求項1に記載の研磨パッド。
  3. 前記クッション層は、前記加圧および除圧前の圧縮弾性率が90%以上であることを特徴とする請求項2に記載の研磨パッド。
  4. 前記接着層は、厚さが0.5mm以下に調整されていることを特徴とする請求項3に記載の研磨パッド。
  5. 前記研磨層は、前記クッション層と接着剤で貼り合わされており、前記接着剤の厚さが0.5mm以下に調整されていることを特徴とする請求項に記載の研磨パッド。
  6. 前記研磨層および前記少なくとも2枚の樹脂シートは、当初同質かつ同一厚さで作製されており、前記研磨層はバフ処理またはスライス処理により前記研磨面に開孔が形成されたことを特徴とする請求項1に記載の研磨パッド。
  7. 前記研磨層は、前記少なくとも2枚の樹脂シートの各々の厚さと同じ厚さかまたは厚さが小さいことを特徴とする請求項に記載の研磨パッド。
  8. 前記貼り合わされた研磨層およびクッション層は、A硬度が10度〜40度の範囲、かさ密度が0.2g/cm〜0.6g/cmの範囲であることを特徴とする請求項に記載の研磨パッド。
  9. 前記クッション層の前記研磨層と反対の面に基材が更に貼り合わされたことを特徴とする請求項1に記載の研磨パッド。
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