以下、添付図面を用いて本発明の第1実施形態の一例について詳細に説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る封止装置の要部を模式的に示した断面図、図2は、図1のカル部近傍の拡大模式図、図3はセラミックヒータを動作させた際の好ましい動作条件を調べた結果を示す表、図4は図3で示したセラミックヒータの動作条件の一例を表したグラフ、図5はセラミックヒータを繰り返し機能させた際に金型の特定箇所の温度変動を示したグラフ、図6は樹脂硬化度と時間との関係を示した図、である。なお、図1は、封止装置の概略をその機能に着目して模式的に示したものであり、実際の装置の具体的構成とは必ずしも一致していない。
最初に、封止装置の概略構成について図1を用いて説明する。
封止装置100の金型104は、第1の金型である上型106と第2の金型である下型108とを備える。上型106と下型108の内部には、それぞれを加熱するための図示されていないカートリッジヒータが埋設されており、本実施形態では一定の温度(例えば約175度)に保たれている。なお、本発明では、必ずしも金型104の温度を一定に保つ必要はない。
上型106は、空隙124を分割するように、更に上下に分割され、第1上型110とその上部に重ねられる第2上型112とから主に構成されている。第1上型110には、被封止品である基板102を封止(樹脂封止)するキャビティ118の一部(上部キャビティ120)やカル部136が設けられている。第2上型112は、図示せぬ取付けブロック、支持プレート等を介して固定プラテンに取り付けられている。
一方、下型108には、ランナ138、ゲート140、キャビティ118の一部(下部キャビティ122)が形成されている。又、下型108には、筒状のポット142が形成されている。このポット142内に封止用材料となる樹脂タブレット146が配置されて、下方に配置されたプランジャ144の上昇により樹脂タブレット146が圧縮される。そして、溶融した封止用材料は、カル部136、ランナ138、ゲート140を介してキャビティ118に圧送される。なお、下型108は、図示せぬ取付けブロック、支持プレート等を介して可動プラテンに固定されている。そして、可動プラテンは図示せぬプレス装置と連結され、プレス装置を駆動することによって、上型106に対して下型108を接近・離反を可能として、金型104の型閉じ、型締め及び型開きを行う。従って、封止装置100は、溶融した封止用材料を、上型106及び下型108で構成されるキャビティ118に注入して、キャビティ118に配置された基板102をトランスファ成形(封止)することができる。尤も、本発明においては、上型、下型のいずれが可動であってもよい。
以下、各構成要素についてより詳しく説明する。
第1上型110には、図1で示す如く、カル部136、被封止品である基板102が配置される第1、第2凹部114、116、及び封止用材料が注入されるキャビティ118のうちの基板102の上側に相当する上部キャビティ120が設けられている。また、第1上型110には、分割された空隙124を構成する第3凹部126が直接設けられている。
カル部136は、図1で示す如く、溶融した封止用材料をランナ138等を介してキャビティ118に導くためのものであり、第1上型110に直径20mm程度の円板形状の窪み(例えば直径30mm以下)で設けられている。カル部136は、一定のバッファボリュームを確保する機能も有している。このため、カル部136の厚みはキャビティ118の厚みに比べて数倍の厚みを有する。なお、図2(A)で示す如く、カル部136における底面部の直径D2に比べ上面136Aの直径D3は小さく形成されている(D2>D3)。このため、角度θは0度より大きく、溶融した封止用材料をスムースに流動させることができる。更に、硬化したカル部136の封止用材料を第1上型110から離型する時には、角度θだけ抜き勾配がついているので離型しやすくなっている。
第3凹部126は、図1に示す如く、方形の窪みであり、第1上型110において、カル部136の真上、即ち、カル部136に対峙して設けられている。第3凹部126のカル部側に設けられた底面126Aの、カル部136からキャビティ118への方向(以降、単にX方向と称する)における幅D1は、図2(A)で示す如く、カル部136の上面136Aの直径D3よりも大きい(D1>D3)が、カル部136の直径D2とほぼ同等(D1≒D2)である。即ち、X方向でカル部136の幅(直径D2)と(空隙124の)底面126Aの幅D1とはほぼ等しいことを示す。又、底面126Aとカル部136の上面136Aとの距離は一定(平行)とされている。底面126Aには面状ヒータであるセラミックヒータ130が配置される。
一般的に面状ヒータは発熱抵抗体を絶縁体で挟む構造で、面内で均一に加熱することができる。その際に、発熱抵抗体で発生した熱を短時間でヒータ表面に伝える場合には、その絶縁体としては高い熱伝導率(例えば10〜40W/mK程度)のものを用いることが好ましい。また、カル部136を適切な温度で加熱する場合には、面状ヒータは金型(上型106、下型108)と同程度の温度(例えば175度程度)から更に数十度から数百度昇温することとなるので、絶縁体としては高い耐熱性(例えば500度以上)を有することが好ましい。以上のように、面状ヒータとしては、高絶縁性はもちろん、高温性、高耐熱性に優れ、昇温速度が早く、寿命が長いことが好ましく、これらの条件を満たすものとしてアルミナや窒化アルミなどのセラミック基板を用いたセラミックヒータ130が適当である。
セラミックヒータ130は、セラミック基板内部に発熱抵抗体(例えば、白金やタングステンやモリブデンなどの高融点金属)が配線パターンとして埋設されて形成されたものであり(セラミックという絶縁体で発熱抵抗体を挟む構造)、セラミック基板の面内で均一に発熱可能とされている。即ち、セラミックヒータ130は、底面126Aと接触するセラミックヒータ130の下面(単に接触面とも称する)130Aの面内で均一に発熱可能とされている。
セラミックヒータ130の厚みは、基板としてセラミックを使う以上、基本的に小型、薄型、軽量のものとなる。しかし、セラミックは脆性材料であり割れやすいため、取り扱いから厚みは厚いほうがよい。ところが、厚みが厚いとセラミック基板の熱容量が大きくなり、発熱抵抗体が熱くなってもセラミック基板の表面が熱くなるのに時間がかかり、短時間でカル部136を加熱するのには好ましくない。同時に、熱容量が大きいと、一旦上がった温度が下がるのにも時間がかかってしまい、セラミックヒータ130の機能を停止させても後の動作サイクルに遅れが生じてしまう。このため、セラミックヒータ130の厚みを薄くすればよいが、前述のごとく薄すぎると割れ易いので、製造も取り扱いも難しい。このため、セラミックヒータ130の厚みは0.5mm以上4mm以下が好ましい範囲である。
又、セラミックヒータ130は、発熱抵抗体の配線パターンの設計が自在であるので、基本的に高いワット密度で発熱できる。その意味で、カル部136の封止用材料を短時間で加熱するのに、より高いワット密度であることが望ましい。しかし、ワット密度が高すぎると、カル部136以外への熱の伝導が大きくなり、封止品を封止するキャビティ118の各部位に温度差を与えて、封止品に反り等が生じるおそれがある。逆にワット密度が低いとカル部136の封止用材料の硬化時間をあまり短縮できず、加熱する効果が低くなる。又、樹脂硬化時間は、ワット密度だけでなく、セラミックヒータ130の機能時間も関係している。即ち、当該機能時間が長いと、上述した封止品の反りなどを発生させやすく、逆に機能時間が短いと、樹脂硬化時間の短縮の度合いが小さくなる。そこで、熱輸送シミュレーションとカマルの式(熱硬化性樹脂の温度変化と樹脂硬化度の関係を表した実験式)を用いて、より好ましいセラミックヒータ130のワット密度とセラミックヒータ130を機能させる時間の関係を検討した。今回の計算ではカマルの式のパラメータ値としては参考文献(中川泰忠:日本機械学会論文集(C編)、72巻、713号(2006)、 1−6)に記載のパラメータ値を採用した。以下に計算手順について説明する。
先ず、熱輸送シミュレーションでカル部136とキャビティ118の時間経過毎の封止用材料の温度を算定する。次に、算定したカル部136の温度データとカマルの式から時間経過毎の樹脂硬化度を算出し、封止品の取り出し可能な樹脂硬化度となる時間(樹脂硬化時間)を求める。セラミックヒータ130のワット密度とセラミックヒータ130を機能させる時間とについて評価した結果を図3の表に示す。ここで、条件1は、封止用材料の樹脂硬化時間に関して、セラミックヒータ130による加熱を行わない場合の樹脂硬化時間が60秒であるときに、セラミックヒータ130による加熱を行なった場合で、樹脂硬化時間が30秒以下になる、即ち樹脂硬化時間が半分以下になることとした。又、条件2は、キャビティ118の温度上昇については2度程度以内であれば封止品に問題は生じないとして、キャビティ118の温度上昇が2度以下であることとした。図3の結果を以下に説明する。
セラミックヒータ130のワット密度が15W/cm2の場合、セラミックヒータ130を機能させる時間が20秒程度でもキャビティ118の温度上昇は2度以内であるが、樹脂硬化時間を半減させるには20秒程度以上必要なので、セラミックヒータ130を機能させる時間は20秒程度以上が適当となる。
セラミックヒータ130のワット密度が25W/cm2の場合、樹脂硬化時間を半減させるにはセラミックヒータ130を機能させる時間は10秒程度以上必要であり、一方キャビティ118の温度上昇を2度以内に抑えるには15秒程度以下にする必要があるので、セラミックヒータ130を機能させる時間は10秒程度以上15秒程度以下が適当となる。
セラミックヒータ130のワット密度が35W/cm2の場合、樹脂硬化時間を半減させるにはセラミックヒータ130を機能させる時間は10秒程度以上必要であり、一方キャビティ118の温度上昇を2度以内に抑えるには10秒程度以下にする必要があるので、セラミックヒータ130を機能させる時間は10秒程度が適当となる。
セラミックヒータ130のワット密度が45W/cm2の場合、樹脂硬化時間を半減させるにはセラミックヒータ130を機能させる時間は5秒程度でもよく、一方キャビティ118の温度上昇を2度以内に抑えるには5秒程度以下にする必要があるので、セラミックヒータ130を機能させる時間は5秒程度以下が適当となる。
セラミックヒータ130のワット密度が55W/cm2の場合、樹脂硬化時間を半減させるには、セラミックヒータ130を機能させる時間は5秒程度でも良いが、一方、キャビティ118の温度上昇を2度以内に抑えるには5秒程度以下にする必要があるので、セラミックヒータ130を機能させる時間は5秒程度以下が適当となる。
セラミックヒータ130のワット密度が55W/cm2を超える場合、樹脂硬化時間を半減させるにはセラミックヒータ130を機能させる時間は5秒程度より短くしても、キャビティ118の温度上昇を2度以内に抑えることは困難であると推測される。また、セラミックヒータ130のワット密度が15W/cm2未満の場合は、ワット密度が低過ぎて、セラミックヒータ130を機能させる時間を20秒程度以上にしても、樹脂硬化時間を半減させることは困難であると推測される。
よって、本実施形態では、セラミックヒータ130のワット密度は15W/cm2以上55W/cm2以下が、セラミックヒータ130を機能させる時間は5秒以上20秒以下が、それぞれ適当である。同様に、セラミックヒータ130で加熱をしない場合の樹脂硬化時間が120秒の場合についても計算して評価すると、セラミックヒータ130のワット密度は15W/cm2以上55W/cm2以下が、セラミックヒータ130を機能させる時間は5秒以上40秒以下が、それぞれ適当である。ここでセラミックヒータ130を機能させる時間の上限は、セラミックヒータ130で加熱を行わない場合の樹脂硬化時間の1/3程度となっている。従って、セラミックヒータ130を機能させる時間は、5秒以上で、且つセラミックヒータ130による加熱を行わない場合の樹脂硬化時間の1/3以下とするのが適当である。即ち、本実施形態では、全ての樹脂硬化時間に亘り、セラミックヒータ130を機能させなくてもよい。
なお、上記結果の条件を満たす一例を図4に示す。図4ではセラミックヒータ130のワット密度は35W/cm2、セラミックヒータ130を機能させる時間は10秒の場合である。グラフTCがカル部136の封止用材料中心の温度を示し、グラフHNがカル部136の封止用材料中心の硬化度を示している。封止品を取り出すには、封止用材料の硬化度がおおよそ95%程度になる必要がある。グラフHNは約20秒で硬化度が95%に達しており、30秒以内で封止用材料が硬化して取り出し可能となるのがわかる。
セラミックヒータ130を機能させる手段としては、最も簡単な方法ではON/OFFをさせれば良く、電源回路の簡略化を行うことができ、低コスト化と確実な発熱制御が実現できる。同時に急激な温度上昇をするセラミックヒータ130の発熱動作を制御することもできる。ただし、本発明はこれに限らず、他の方法でセラミックヒータ130を機能させてもよい。機能手段として、例えばPWM(パルス幅変調)などを用いることもでき、セラミックヒータ130への電力供給量をアナログ的に容易に変更することで、セラミックヒータ130への熱衝撃を緩和でき、セラミックヒータ130の長寿命化が可能となる。
セラミックヒータ130のX方向の幅d1は、図2(A)に示す如く、第3凹部126の底面126Aの幅D1よりも小さい(D1>d1)。セラミックヒータ130は、傾くことなく底面126Aに配置できるので、カル部136の上面136Aとセラミックヒータ130の下面(接触面)130Aとの距離を一定(即ち、平行)にすることができる。又、本実施形態ではセラミックヒータ130のX方向の幅d1は、カル部136における底面部の直径D2よりもやや小さく設定されている(d1<D2)。このため、カル部136を加熱する以外に他の部分への熱的影響を最小限とすることができる。このような効果は、幅d1がカル部136における底面部の直径D2とほぼ等しい場合まで得られる(d1≒D2)。なお、セラミックヒータ130は、平面的には正方形若しくは長方形のものを用い、且つカル部136は、円形の窪みであり、且つ「熱」を対象としていることで、この大小関係は厳密ではない。
又、図2(A)に示す如く、「対峙」する関係上、セラミックヒータ130の幅d1よりも接触面(下面130A)とカル部136の上面136Aとの距離d2は短く設けているものの、カル部136の幅(直径D2)と第3凹部126の底面126Aの幅D1とはほぼ等しい。このため、封止用材料の注入圧によってカル部136の上面136Aを大きく歪ませることはなく、金型104を長寿命とすることができる。更に、セラミックヒータ130は、面内で均一に発熱するので、セラミックヒータ130はカル部136を偏りなく均一に加熱することができる。なお、第3凹部126の底面126Aの幅D1は必ずしもカル部136の幅D2とほぼ等しい必要は無く、封止用材料の注入圧によって大きく歪むことがない程度にまで幅D1を大きくしても良い。
更にいえば、接触面(下面130A)とカル部136の上面136Aとの距離d2は、3mm以上10mm以下であることが、より望ましい。プランジャ144を上昇させて封止用材料をキャビティ118に注入する際に、カル部136の上面136Aには高い圧力(例えば10〜20MPa)がかかることとなる。この高い圧力によっては、カル部136の上面136Aが歪み、その対峙した第3凹部126の底面126Aも歪んで、底面126Aと接触面(下面130A)との接触面積が減少してしまうおそれもある。即ち、接触面積が減少すると、カル部136の加熱が不十分となると共に、セラミックヒータ130の温度が上昇しすぎてセラミックヒータ130の発熱抵抗体が断線するおそれがでてくる。上述した距離d2が3mm以上であれば、そのようなおそれを本実施形態では回避することができる。なお、距離d2を10mm以下とするのは、カル部136の加熱をより短時間で効果的に行うことができることによるものである。なお、このような数値は本実施形態に限定されるが、他の実施形態においては、実験等によって適宜求めることができる。
又、第3凹部126の底面126Aに対する側面(空隙124の底面126Aに対する側面、又は単に空隙124の側面とも称する)126Bとセラミックヒータ130の接触面(下面130A)に対する側面130C(単に、セラミックヒータ130の側面130Cとも称する)との間には、図2(A)に示す如く、均等な隙間125を設けている。空気の熱伝導率はセラミックに比べて数百分の1から数千分の1程度と低いため、隙間125の存在により、セラミックヒータ130の側面130Cから発生する熱C(図2(A))は遮断され、カル部136の周辺へ拡散する熱Bも少なく、カル部136を加熱する熱Aが大部分となるのでカル部136以外への熱伝導を効果的に低減することができる。ただし、図2(B)に示すような、セラミックヒータ131の側面が第3凹部の側面127Bに当接する場合を排除するものではない。もともとセラミックヒータ131は面内で均一に発熱するので、カル部137への熱Aが圧倒的に多く、相応の効果をもたらすからである。
なお、セラミックヒータ130の「熱的な接触」のための配置の方法としては、第3凹部126の底面126Aに直接当接させてもよいし、熱伝導シートを介して熱的に接触してもよいが、本実施形態では熱伝導グリースをセラミックヒータ130の下面130Aに塗布することで、安定した第3凹部126の底面126Aとの熱的な接触を確保している。なお、熱伝導グリースとしては、シリコングリースに熱伝導性の高いフィラーを混ぜたものを使用することができる。なお、シリコングリースからはシロキサンが発生することがあり、このシロキサンの発生が問題となる場合は、非シリコン系グリースを使用しても良い。
セラミックヒータ130は、図1に示す如く、断熱部材132を介して、弾性部材134で押圧力を付与される。弾性部材134は、第3凹部126と第4凹部128で構成される空隙124の内部で、セラミックヒータ130と断熱部材132とを第3凹部126の底面126A側へ押圧するために、押圧力を発生させる。具体的には、押し縮めたばね(コイルばね、板ばね、皿ばねなど)や耐熱性の高いゴムなどを弾性部材134として用いることができる。弾性部材134は、図1で示す如く、その両側に隙間134Aを備えるので、たとえ弾性部材134自体の熱伝導率が高くても隙間134Aで断熱するので、総合的には熱が第4凹部側に拡散するのを低減することができる。ここで、セラミックヒータ130のセラミック基板と第3凹部126の底面126A(金属)とでは熱膨張率が異なる。しかし、熱伝導グリースの採用と相まって、弾性部材134を用いることで、セラミックヒータ130の下面130Aと第3凹部126の底面126Aとで、互いに熱膨張による応力を与えない。その際に、セラミックヒータ130を第3凹部126の底面126Aに固定しなくても、熱的に安定的に接触させて、セラミックヒータ130の熱をカル部136へ効率よく伝えることができる。このため、セラミックヒータ130の温度上昇によっても互いに応力を及ぼすことを回避でき、固定に伴うセラミックヒータ130の割れなどの不具合の発生を回避できる。
断熱部材132は、図2(A)に示す如く、板状の部材で、カル部側の面にセラミックヒータ130を嵌合して位置決めする凹部132Aが設けられている。凹部132Aの幅は僅かにセラミックヒータ130の幅d1よりも大きく、凹部132Aは断熱部材132の中央に設けられている。このため、当該位置決めにより、セラミックヒータ130の両端で均等な隙間125が安定して確保できる。断熱部材132としては、耐熱性が高く(例えば、200度〜500度の耐熱性)、熱伝導率の低い材料(例えば、グラスファイバ又はマイカを主成分とした材料など)を用いることができる。
なお、必ずしも断熱部材132を用いる必要はない。しかし、断熱部材132を用いることで、弾性部材134へ伝わる熱を断熱してセラミックヒータ130の反カル部側へ拡散する熱も積極的にカル部136に伝導させることができるので、カル部136の効率的な加熱が実現できる。同時に、弾性部材134が局所的にセラミックヒータ130を押圧する際の局所的な応力集中を回避できるので、セラミックヒータ130にクラックが発生する等の不具合を防止できると共にセラミックヒータ130の長寿命化が可能である。
次に、本実施形態において、セラミックヒータ130を空隙124に組み込む手順を以下に説明する。
まず、セラミックヒータ130の下面130Aに熱伝導グリースを塗布し、セラミックヒータ130をある程度の押圧力をかけて第3凹部126の底面126Aの上に配置する。その際に第3凹部126の底面126Aとセラミックヒータ130の下面(接触面)130Aとの間に空気が入らないようになじませて配置(熱的に接触)させる。断熱部材132を第3凹部126に挿入して、凹部132Aにセラミックヒータ130を嵌合して位置を整える。そして、断熱部材132の上部に弾性部材134を配置する。そして、第2上型112に形成された第4凹部128を第3凹部126に合わせる際には、第4凹部128で弾性部材134が圧縮されることを確認して、第1上型110と第2上型112とを図示せぬボルト等で固定する。
次に、セラミックヒータ130の上記の様なより好適な条件を具備する場合に、セラミックヒータ130を繰返し機能させた場合の金型104内の熱の蓄積状態を調べた結果を図5に示す。図5は、セラミックヒータ130を機能させたプロセスサイクルを1分程度にして、そのサイクルを100回行った結果を示している。図5(A)には、上部キャビティ120端部のカル部側の位置Qの1〜10サイクルと91〜100サイクルとにおける温度変化を示す。図5(B)には、カル部136の上面136A中央の位置Pの1〜10サイクルと91〜100サイクルとにおける温度変化を示す。
セラミックヒータ130のプロセスサイクルに同期して、位置Pでは基準となる温度(約175度)に対して50度程度で温度が変化するが、位置Qでは温度が僅かにしか上昇せず、その温度変化も微小でしかない。また、1〜10サイクルと91〜100サイクルを重ねても見ても、位置P、Qとも、1〜10サイクルと91〜100サイクルとの温度サイクルはほぼ重なっている。即ち、繰返してセラミックヒータ130を機能させても、熱の蓄積状態は、カル部136及びキャビティ118において、ほとんど変わらないことが分かる。
次に、本実施形態における樹脂封止の手順を説明する。
トランスファ成形の工程は、マシンタイム工程、樹脂注入工程、樹脂硬化工程、からなる工程で1サイクルをなしている。マシンタイム工程は、金型104を型開きして封止された封止品を取り出し、金型104をブラッシングし、被封止形品である基板102と封止用材料(樹脂タブレット146)をセットし、型閉じ、型締めを行う工程である。樹脂注入工程は、封止用材料を溶融して、封止品を封止するキャビティ118に注入する工程である。樹脂硬化工程は、封止品を取り出せる硬度になるまで封止用材料を硬化させる工程である。なお、封止用材料として用いられる熱硬化性樹脂は、熱を与えられることで溶融しその後硬化する性質を持つので、封止用材料に与えられる温度が高い程、硬化に要する時間は短くなる。従って、硬化時間を短くするためにはできるだけ金型104を高温に設定すべきだが、ある温度以上にしてしまうと封止用材料を注入している途中で封止用材料が硬化してしまい封止不良となる。このため、金型104は使用する封止用材料に適した温度に設定する。以下に、樹脂封止工程の1サイクルのうち、主に樹脂注入工程と樹脂硬化工程とを中心に図1を用いて説明する。
最初に、プランジャ144がポット142内の下限位置に置かれた状態で、ポット142内に樹脂タブレット146がセットされて、プランジャ144が上昇する。
次に、樹脂タブレット146は金型104及びプランジャ144からの熱で溶融しながらプランジャ144の上昇により圧送され、カル部136、ランナ138及びゲート140を介して封止品を封止するキャビティ118内に注入される。
キャビティ118への注入完了後、上型106と下型108によって型締めされた状態のままで、セラミックヒータ130が機能して数秒から数十秒間カル部136が加熱される。なお、セラミックヒータ130を機能させるのは、封止装置100の図示せぬ制御部が行う。
セラミックヒータ130の機能を止めた後、封止用材料が硬化した段階で型開きし、封止された封止品が取り出される。
本実施形態による樹脂封止における樹脂硬化工程を図6に示す。符号H1のグラフが本実施形態における樹脂硬化の様子を表し、符号Rのグラフがセラミックヒータのない従来の樹脂硬化の様子を表す。なお、ここでの樹脂硬化の様子は、樹脂硬化時間を律速するカル部130の封止用材料を対象としている。
本実施形態では、例えば、封止装置100の図示せぬ制御部で、セラミックヒータ130を樹脂注入工程t1の完了時T1に機能させて加熱することにより、従来の樹脂硬化工程では硬化完了するのにかかっていた時間t2を時間t3に短くできる。即ち、樹脂硬化工程は時間t4(=t2−t3)だけ短縮することができる。また、時間t4は、樹脂注入工程の開始から封止品取り出し可能硬度までの時間の短縮分と言うこともできる。本実施形態においては、樹脂注入工程が完了した時点でセラミックヒータ130を機能させるため、キャビティ118への注入完了までは従来の樹脂封止工程と同じである。そして、セラミックヒータ130の熱はキャビティ118内の封止用材料にほとんど影響を与えてないので、既存の封止装置100における樹脂注入工程を変えずに、樹脂注入工程が完了した時点から封止品の取り出しまでの時間を短くすることができる。即ち、従来の封止品を封止するキャビティ118に関わる工程をそのままで使用できるので、従来の製造ノウハウをそのまま継承でき、高い品質の封止品を製造できる。同時に、工程変更の費用を最小限に抑えることができ、低コストで、樹脂封止工程を高速化することができる。即ち、既存の工程を流用できるので、工程開発に費用がかからず、低コストで、生産性を向上させることができる。
又、カル部136の封止用材料を加熱するために、セラミックヒータ130を用いている。セラミックヒータ130は、カル部側に底面126Aが形成された空隙124において、押圧力を付与されて底面126Aにその接触面130Aで熱的に接触するように配置されている。その際に、カル部136に「対峙する」空隙124の底面126Aにセラミックヒータ130は配置される。このため、具体的には、セラミックヒータ130の下面130A(接触面)とカル部136の上面136Aとの距離d2が、ほぼ一定(平行)で、その距離はX方向でセラミックヒータ130の幅d1よりも短い関係となる。このため、封止品を封止するキャビティ118への熱的な影響を少なくすることができ、カル部136の封止用材料を効果的に加熱することができる。その際にセラミックヒータ130としては、その接触面130A内で均一加熱が可能なので、カル部136全体を均一に加熱することができる。即ち、封止用材料の均質な硬化反応を促すことができる。又、セラミックヒータ130は面状ヒータとして大きなワット密度のものを使用できるので、小型でありながら厚さの厚いカル部136を効率的に加熱することができ、カル部136の封止用材料の硬化速度をより早めることができる。同時に、熱容量を小さくでき、急激な温度上昇が可能で、カル部136の封止用材料の温度制御をアクティブ(自在)にリアルタイムで行うことができる。その際に、セラミックヒータ130はカル部136を加熱するのに必要なワットを最小化及び最適化することができる。このため、樹脂封止工程を繰り返し行っても、封止品を封止するキャビティ118での熱の蓄積を最小限にとどめてその影響を回避することができる。
又、セラミックヒータ130は空隙124の底面126Aに「固定」されるのではなく、弾性部材134で押圧されて底面126Aに熱的に接触させられるので、第1金型110(空隙124における底面126A)とセラミックヒータ130との熱膨張率の差があっても互いの熱応力の影響を低減できる。このため、熱サイクルで、セラミックヒータ130が破損することを回避でき、セラミックヒータ130の安定した動作を確保することができる。
又、セラミックヒータ130は、X方向でカル部136の幅(直径D2)よりも小さい又はほぼ等しい幅d1であるので、封止装置100を大型化することなく、セラミックヒータ130の組み込みを容易とし、且つ封止装置100の大きな設計変更を不要とすることができ、カル部136を効率的に加熱することができる。その際に、金型104として最も重要な部分(キャビティ118)について、その設計を変える必要がないため、構成上でみても発明を実施するためのコスト上昇の問題がほとんど発生しない。
又、空隙124の底面126Aに対する側面126Bとセラミックヒータ130の接触面130Aに対する両方の側面(両端)の間に隙間125が設けられて且つ非接触であるので、隙間125がセラミックヒータ130で発生する熱を断熱することができる。このため、隙間125を介した側面126Bへの熱の伝導を低減でき、キャビティ118への熱の影響を更に低減できると共に、カル部136をより効果的に加熱することができる。
又、セラミックヒータ130と弾性部材134との間には断熱部材132が配置されているので、セラミックヒータ130で発生する熱の反カル部側への拡散を防止して、より効果的にカル部136を加熱することができる。
又、断熱部材132にはセラミックヒータ130と嵌合する凹部132Aが設けられているので、断熱部材132でカル部136への加熱手段であるセラミックヒータ130の位置決めができるので、カル部136へ与える熱量を位置的に安定させて硬化反応をより均一に安定させることができる。
従って、本発明によれば、封止品の品質を保ちつつ、封止用材料の硬化時間の短縮により、生産性を向上させることができる。
次に、本発明の第2実施形態の一例を示す。本実施形態による樹脂封止における樹脂硬化工程を図7に示す。符号H2のグラフが本実施形態における樹脂硬化の様子を表し、符号Rのグラフがセラミックヒータの無い従来の樹脂硬化の様子を表す。本実施形態は封止装置の構造については第1実施形態と同じであるが、樹脂封止工程が異なる。以下、主に樹脂注入工程と樹脂硬化工程とを中心に図1を用いて説明する。
最初に、プランジャ144がポット142内の下限位置に置かれた状態で、ポット142内に樹脂タブレット146がセットされて、プランジャ144が上昇する。
次に、樹脂タブレット146は金型104及びプランジャ144からの熱で溶融しながらプランジャ144の上昇により圧送され、カル部136、ランナ138及びゲート140を介して封止品を封止するキャビティ118内に注入される。
キャビティ118への注入途中からセラミックヒータ130を機能させて数秒から数十秒間カル部136を加熱する。なお、セラミックヒータ130を機能させるのは、封止装置100の図示せぬ制御部が行う。
セラミックヒータ130の機能を止めた後、封止用材料が硬化した段階で型開きし、封止された封止品が取り出される。
本実施形態では、樹脂注入工程の途中(時刻T2)からセラミックヒータ130により加熱を行うため、注入中の封止用材料が硬化しないような条件に調整を行う必要が出てくる。しかし、樹脂注入工程を開始してから樹脂硬化するまでの時間t5は、従来の樹脂硬化工程完了までの時間t1+t2に比べて短縮されて、短縮時間t6は、第1の実施形態の樹脂硬化短縮時間t4より長い。これは樹脂注入工程の途中からセラミックヒータ130により加熱を行なうので、樹脂注入時間が短縮され、更に樹脂硬化時間も短縮されることによるものである。即ち、第1実施形態よりも更に生産性を向上させることができる。
次に、本発明の第3実施形態の一例を示す。本実施形態による樹脂封止における樹脂硬化工程を図9に示す。符号H3のグラフが本実施形態における樹脂硬化の様子を表し、符号Rのグラフがセラミックヒータの無い従来の樹脂硬化の様子を表す。本実施形態は封止装置の構造については第1実施形態と同じであるが、樹脂封止工程が異なる。樹脂封止工程を説明する前に、本実施形態における狙いについて、図8を用いて説明する。
図8には、セラミックヒータ130を用いずに、カル部136で樹脂タブレット146を溶融させた場合のカル部136の上面136A中央の位置Pの温度測定結果を示す。カル部136の上面136A中央の位置Pの温度は、樹脂タブレット146がカル部136の上面136Aに接した時T0から数十度低下し、元の温度に戻るまでにかなりの時間を要している。この現象は位置Pのみならず、カル部136の周辺でも起きていると考えられる。封止用材料の注入開始時T0後のカル部136周辺の温度低下は、セットされる樹脂タブレット146の温度が室温であり金型104の温度に比べてかなり低いことと、封止用材料が溶融する際の融解潜熱の為に熱を奪われることによって起こると考えられる。本実施形態では、樹脂注入工程の開始と同時にセラミックヒータ130を機能させることで、カル部136周辺の温度低下を補填することを狙いとしている。以下、主に樹脂注入工程と樹脂硬化工程とを中心に図1を用いて説明する。
最初に、プランジャ144がポット142内の下限位置に置かれた状態で、ポット142内に樹脂タブレット146がセットされて、プランジャ144が上昇する。
次に、樹脂タブレット146は金型104及びプランジャ144からの熱で溶融しながらプランジャ144の上昇により圧送され、カル部136、ランナ138及びゲート140を介して封止品を封止するキャビティ118内に注入される。
プランジャ144の上昇と共にセラミックヒータ130を機能させて、数秒から数十秒間カル部136を加熱する。なお、セラミックヒータ130を機能させるのは、封止装置100の図示せぬ制御部が行う。
セラミックヒータ130の機能を止めた後、封止用材料が硬化した段階で型開きし、封止された封止品が取り出される。
本実施形態においても、基本的には第2実施形態と同様に、注入中の封止用材料が硬化しないような条件に調整を行う必要がある。しかし、樹脂注入工程の開始(時刻T3)と同時にセラミックヒータ130を機能させることにより、樹脂注入工程を開始してから樹脂硬化するまでの時間t7は、従来の樹脂硬化工程完了までの時間t1+t2に比べて短縮されて、その短縮時間t8は、第2実施形態の樹脂硬化短縮時間t6よりも更に長い。これは樹脂注入工程開始と同時に樹脂硬化工程が開始されることにより、樹脂注入時間が短縮され更に樹脂硬化時間が短縮されることによるものである。即ち、第2実施形態よりも更に生産性を向上させることができる。
本実施形態では、樹脂注入開始と同時にセラミックヒータ130を機能させる場合について述べたが、樹脂注入工程を開始する前にセラミックヒータ130を機能させても構わない。
本発明について、上記実施形態を挙げて説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の趣旨を逸脱しない範囲においての改良並びに設計の変更が可能なことは言うまでもない。
上記実施形態においては、第1の金型を上型106、第2の金型を下型108としたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、第1の金型を下型とし、第2の金型を上型としてもよい。
又、上記実施形態においては、封止用材料は熱硬化性樹脂としていたが、本発明はこれに限定されず、封止用材料は樹脂に限らず、他の熱硬化性を備える材料でも構わない。