以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。本発明の一実施形態に係る画像形成装置としてのインクジェット記録装置について図1ないし図3を参照して説明する。なお、図1は同記録装置の概略正面説明図、図2は同じく概略平面説明図、図3は同じく概略側面説明図である。
このインクジェット記録装置は、本体フレーム1に立設された左右の側板1L、1Rに横架したガイド部材であるガイドロッド2と、本体フレーム1に横架される後フレーム1Bに取付けられたガイドレール3とで、キャリッジ4を主走査方向(ガイドロッド長手方向)に摺動自在に保持し、キャリッジ4を図示しない主走査モータとタイミングベルトによってガイドロッド2の長手方向(主走査方向)に移動走査する。
このキャリッジ4には、例えば、ブラック(K)のインク滴を吐出する液体吐出ヘッドからなる記録ヘッド10Kと、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)のインク滴を吐出する液体吐出ヘッドからなる記録ヘッド10Cが搭載され、記録ヘッド10は複数のインク吐出口(ノズル)を主走査方向と交叉する方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。記録ヘッド10Cは、少なくとも独立したCMYのインク滴を吐出する少なくとも3列のノズル列を有している。なお、以下では、記録ヘッド10K、記録ヘッド10内のC、M、Yの各色に対応する各ノズル列を、特に注記しない限り、「記録ヘッド10」と称する。
ここで、記録ヘッド10は、図4に示すように発熱体基板12と液室形成部材13から構成され、ヘッドベース部材19に形成された流路から共通流路17及び液室(個別流路)16に順次供給されるインクを液滴として吐出する。この記録ヘッド10は、発熱体14の駆動によるインクの膜沸騰により吐出圧を得るサーマル方式のものであり、液室16内の吐出エネルギー作用部(発熱体部)へのインクの流れ方向とノズル15の開口中心軸とを直角となしたサイドシュータ方式の構成のものである。
なお、記録ヘッドとしては、圧電素子を用いて振動板を変形させ、また、静電力で振動板を変形させて吐出圧を得るものなど様々な方式があり、いずれの方式のものも本発明に係る画像形成装置に適用することができる。
また、サーマル方式のヘッドの中には、他にも吐出方向が異なるエッジシュータ方式があるが、このエッジシュータ方式においては気泡が消滅する際の衝撃により発熱体14を徐々に破壊する、いわゆるキャビテーション現象の問題がある。これに対し、上述したサイドシュータ方式においては気泡が成長し、その気泡がノズル15に達すれば気泡が大気に通じることになり温度低下による気泡の収縮が起こらない。そのため、記録ヘッドの寿命が長いという長所を有する。また、発熱体14からのエネルギーをより効率良くインク滴の形成とその飛行の運動エネルギーへと変換でき、またインクの供給によるメニスカスの復帰も速いという構造上の利点を有する。したがって、本インクジェット記録装置においてはサイドシュータ方式の記録ヘッドを採用している。
一方、キャリッジ4の下方には、記録ヘッド10によって画像が形成される用紙20が主走査方向と垂直方向(副走査方向)に搬送される。図3に示すように、用紙20は、搬送ローラ21と押えコロ22で挟持されて、記録ヘッド10による画像形成領域(印字部)に搬送され、印写ガイド部材23上に送られ、排紙ローラ対24で排紙方向に送られる。
このとき、主走査方向へのキャリッジ4の走査と記録ヘッド10からのインク吐出を画像データに基づいて適切なタイミングで同調させ、用紙20に1バンド分の画像を形成する。1バンド分の画像形成が完了した後、副走査方向に用紙20を所定量送り、前述と同様の記録動作を行う。これらの動作を繰り返し行い、1ページ分の画像形成を行なう。
一方、記録ヘッド10の上部には吐出するインクを一時的に貯留するためのインク室が形成されたサブタンク(バッファタンク、ヘッドタンク)30が一体的に接続される。ここでいう「一体的」とは、記録ヘッド10とサブタンク30がチューブ、管等で接続されることも含んでおり、どちらも一緒にキャリッジ4に搭載されているという意味である。
このサブタンク30には、装置本体側の主走査方向の一端部側に設けられたカートリッジホルダ77に着脱自在に装着される各色のインクを収容した本発明における液体タンクであるインクカートリッジ(メインタンク)76からインク供給経路の一部を形成するチューブ部材であって第1の流路を形成する液体供給チューブ141を介して、各色のインクが供給される。
また、装置本体の主走査方向の他端部側には記録ヘッド10の維持回復を行う維持回復機構51が配置されている。この維持回復機構51は、記録ヘッド10のノズル面をキャッピングする吸引及び保湿用のキャップ52a及び保湿用のキャップ52bと、キャップ52b内を吸引する吸引手段である吸引ポンプ53と、吸引ポンプ53で吸引されたインクの廃液(廃インク)を排出する排出経路54などを含み、排出経路54から排出される廃液は本体フレーム1側に配置された廃液タンク56に排出される。また、後述する図9に示すように、維持回復機構51には、記録ヘッド10のノズル面をワイピングするワイパ部材57をワイピングユニット58にて保持してノズル面に対して進退可能に配設している。
次に、本発明を適用するインク供給システムの全体構成及び動作について図9に示す概略構成図を参照して説明する。なお、図9ではインク供給システムの動作、作用の理解をしやすいように1つの液体吐出ヘッド(記録ヘッド)10に接続する主要構成要素のみを表している。また、流路抵抗可変ユニット83としては本発明の理解を容易にするため第1の絞り部の絞り量が変化しない構成例で説明する。
このインク供給システムは、記録ヘッド10に供給するインクを貯留するインクカートリッジ76と、記録ヘッド10にインクを供給する第1の流路である液体供給チューブ141と、インクカートリッジ76に連通する第2の流路42と、第1の流路である液体供給チューブ141と第2の流路42を連通させる圧力調整弁である流路抵抗可変ユニット83を含む圧力制御ユニット81と、第2の流路42と圧力制御ユニット81とを連通する第3の流路43と、第3の流路43に設けられる送液手段であるポンプ78とを有している。
ここで、流路抵抗可変ユニット83は、内部を流れる液体の流れ方向や流量によって流路抵抗が変化する特性を有するものである。この流路抵抗可変ユニット83は、例えば図10に示すように、流路形成部材であるハウジング87と、ハウジング87内部の流路(内部流路)87aに自由状態で移動可能に収容された可動部材である弁体88とを有している。
ハウジング87は、内部流路87aと、第1の流路となる供給チューブ141を接続するポート86aと、第2の流路42を接続するポート86bと、第3の流路43を接続するポート86cとを有している。弁体88は、液体の流れの方向において径の異なる段部を有する段付き軸形状部材であり、第1の流路側の弁体としての第1弁体部である弁体上部88t、中央部88m、第2の流路側の弁体としての第2弁体部である弁体下部88bの少なくとも3つの段部要素を有し、中央部88mの径が下部88bよりも小径に形成されている。この弁体88は、ハウジング87の内部で移動可能とされ、内部の流れの状態等に応じて、図10(a)の位置、図10(b)の位置、あるいはその中間の位置をとる。
ここで、弁体88の上部88tには、インクの流れ方向に沿う方向に、第1の流路141と第3の流路43とを連通する連通路であって第1の絞り部となる貫通穴84が設けられている。また、弁体88の下部88bとハウジング87の流路部分87bとの間で第2の絞り部142が形成され、弁体88が上述したように内部の流れの状態等に応じて移動することにより、第2の絞り部142の絞り量が変化する。
そして、ハウジング87には、弁体88の中央部88mの位置、すなわち、第1の絞り部となる貫通穴84と第2の絞り部142との間に第3の流路43の一部となる横穴(ポート)86cが形成されている。
図9に戻って、インクカートリッジ76には大気連通部90が設けられており、インクカートリッジ76内の液面が記録ヘッド10のノズル面よりも低い位置になるように配置されている。これにより、インクがインク供給全経路に満たされている状態では、記録ヘッド10とインクカートリッジ76の液面の水頭差hにより、記録ヘッド10は負圧に保持されるので、安定して記録ヘッド10からインク滴吐出を行うことができる。
次に、上記インク供給システムを使用したインク初期充填動作について図11のフロー図を参照して説明する、
インクカートリッジ76が装着済であることが確認された後、記録ヘッド10のノズル面を維持ユニット51のキャップ52でキャッピングする。このキャッピング状態で吸引ポンプ53を駆動し、記録ヘッド10のノズルを介してインク供給系路内の空気を吸引する(ノズル吸引開始)。そして、このノズル吸引は、ノズル吸引の開始から所定時間が経過した時まで行う。所定時間吸引を行うことにより、インクカートリッジ76内のインクが第1の流路(液体供給チューブ)71に達する。
その後、ノズル吸引開始から所定時間が経過した時((タイマがカウントアップした時))、モータ82を駆動してポンプ(アシストポンプ)78を駆動する。このとき、図9に示すようにインク供給経路が形成されているので、ポンプ78の駆動によって流路抵抗可変ユニット83に矢印Qa側に送液されて、ポンプ78が接続されている第3の流路61、62内の空気が流路抵抗可変ユニット83側に押し出され、インクで置換される。
その後、所定時間が経過した時(タイマがカウントアップした時)に、吸引ポンプ53とポンプ78を両方とも停止させる。この段階で、インク供給経路内を全てインクで充填することができる。
その後、維持ユニット51のキャップ52によるキャッピングを解除し、維持ユニット51に備えられるワイパ部材57で記録ヘッド10のノズル面をワイピングし、記録ヘッド10を駆動して画像形成に寄与しない所定の滴数のインク滴をノズルから吐出させる(ヘッド空吐出)ことで、ノズルに所望のメニスカスを形成できる。
このようにして、インクの初期充填が完了する。なお、図11に示すフロー図ではアシストポンプ(ポンプ78)をノズル吸引停止まで継続して駆動しているが、前述した第3の流路61、62、横穴86cの経路)のインク置換が完了次第停止しても初期充填を行うことができる。ただし、図11に示す例では、液体供給チューブ71と記録ヘッド10への充填時にもポンプ78を駆動するので、より短時間に初期充填を完了することができる。
次に、印字動作について図12に示すフロー図を参照して説明する。
印字ジョブ信号を受信した後、まず温度センサ27で機内(装置内)の温度を検知し、インクの温度を推定する。なお、温度センサ27はキャリッジ4に搭載されている(図2参照)が、インクカートリッジ部や記録ヘッド部等別の場所に設けられていてもよい。また、インク供給経路内に設けてインクの温度を直接検知しても良い。
そして、インクの温度に基づいてアシストポンプ78で送液する流量を決定し、ポンプ78を駆動する。その後、記録ヘッド10のノズル面を覆っているキャップ52をノズル面から離間させて(キャッピング解除)、所定の滴数の空吐出を実施した後、印字を開始する。
このとき、アシストポンプ78が駆動されているので供給チューブ71が長いシステムで高粘度のインクを用いる場合でもインク供給に伴う圧力損失を適切に低減することができ、インクの供給不足を生じさせることなく良好な印字を行うことができる。
印字終了後、キャリッジ4を装置の所定の位置(ホームポジション)に停止させ、記録ヘッド10のノズル面をキャップ52でキャッピングする。その後、アシストポンプ78を停止させる。
ここで、アシストポンプ78は印字終了後直ちに停止させても良い。また、温度に基づいてアシストポンプ78の送液量を制御しているが、インク供給仕様等の条件によっては、最も低温環境でのインク供給で供給不足を起こさない送液量で、全ての温度条件で送液することも可能である。
このような印字動作を行うとき、吐出するインクの粘度が大きい場合や液体供給チューブ71の流体抵抗が大きい場合、例えばチューブが細かったり長かったりする場合、あるいは、インク吐出流量が大きい場合には、インク供給経路の流体抵抗によりインク供給が追いつかなくなる事態が生じる。具体的には、本インク供給システムでインク供給抵抗となる主要な要素としては、液体供給チューブ71、フィルタ109、ジョイント89がある(図9参照)。
例えば、液体供給チューブ141の直径が2.8mm、長さが2500mmのロングチューブを備える広幅の画像形成装置において、16cPの高粘度インクを吐出した場合には、液体供給チューブ141の流体抵抗は2.7e10[Pa・s/m3]となる。また、フィルタ109及びジョイント89の流体抵抗は、この実施形態では、それぞれ1e10[Pa・s/m3]、2e9[Pa・s/m3]のものとしている。
ここで、記録ヘッド10から安定した吐出ができる圧力損失の限界値を2.5kPaとし、全ノズルから連続してインクを吐出した場合には0.1cc/sの吐出流量となる。その時の圧力損失は、6.9kPaである。圧力制御ユニット81がない場合でも3.94kPaとなるので、単純な水頭差インク供給システムでは自然供給することはできない。
このようにインク供給系の抵抗により圧力損失が増大しリフィルが不足するときに、ポンプ78を駆動して第3の流路43からインクを矢印Qa(Qaはアシスト流量、あるいはアシスト用液体の流れであるが、便宜上矢印の符号としても使用する。)の方向に送り出す。このポンプ78の送液によってインクの供給不足量を補う(リフィルアシスト)ことができる。
記録ヘッド10の吐出流量とポンプ78の送液量(アシスト流量)と記録ヘッド10の圧力の関係の一例を図13に示している。図13は、アシスト流量を0〜0.2cc/sとしたときのヘッド吐出流量に対するインク供給系の圧力損失の変化を示している。前述したように、アシスト流量が「0」のときは、ヘッドの圧力損失は約7kPaとなり、インクを連続吐出できず、噴射不良となってしまうが、ポンプ78によりアシストすることにより圧力損失が1kPa以下程度となり、連続吐出することができる。
ここで、前述した図10を参照して本インク供給システムのアシスト原理について説明する。
図10(a)は記録ヘッド10から滴吐出を行っていない状態、あるいは、吐出流量が少ない条件での流路抵抗可変ユニット83の状態を示している。この状態では、弁体88はポート86b側にある。図10(a)に示すように、ハウジング87と弁体88の下部88bの間のギャップGbと、第1の絞り部となる貫通穴84との流体抵抗の総和がハウジング87と弁体88の上部88tのギャップGtの流体抵抗よりも大きいこと、更に、ポート86aの先には図9に示すように流体抵抗の大きい液体供給チューブ141やフィルタ109があるため、矢印Qaで示すポンプ78によって送液されたインクは、流れやすいポート86b側に流れる(矢印C)。したがって、ポンプ78によって発生するインクの流れは、図9におけるポンプユニット80と流路抵抗可変ユニット83で形成されるループ経路内を循環するだけであり、液体吐出ヘッド10の圧力にはほとんど影響を与えない。
一方、図10(b)は記録ヘッド10の吐出流量が多い条件での流路抵抗可変ユニット83の状態を示している。ハウジング87と弁体88の上部88tのギャップGtが狭く、第1の絞り部である管通穴84を通る、矢印Qhで示す記録ヘッド10からの滴吐出によるインクの流れによって、弁体88がポート86a側に引かれ弁体88が移動する(図で上方向に移動する。)。これにより、弁体88の下部88bがハウジング87の小径部(流路部分87b:第2の絞り部142)に移動し、ハウジング87と弁体88の下部88bの間のギャップは小さいギャップGb(Gb1)となる。矢印Qaで示すようにポンプ78によって送液されるインクは、この狭いギャップGb1を流れようとする(矢印D)ので、圧力が発生する。この圧力が、記録ヘッド10にインクが流れる際に発生する圧力損失を低減させ、大流量のインク供給を実現することができる。
この流路抵抗可変ユニット83では、記録ヘッド10の吐出流量が増して圧力損失が大きくなる条件ほど、弁体88の下部88bの周面とハウジング87の流路部分87bとのインクの流れ方向の対向長さ(第2の絞り部142の長さ)が長くなって、弁体88の下部88bとハウジング87の狭ギャップGb1の長さが長くなり、よりポンプ(アシストポンプ)78による増圧効果を大きくする。これにより、従来のように流量調整弁を他のアクチュエータ等で制御する煩雑さがなく、簡易な構成で自動的に安定したインク供給を実現することができる。
なお、この画像形成装置では、4色のインクを吐出させるので、図9に示す構成のインク供給システムが色別に4つ設けられる。各色のポンプ78に対応して、ポンプ78を駆動するモータ等のアクチュエータを個別に4つ設けて各記録ヘッド10のインク吐出量に応じて個別にモータを制御する方式とすることもできるが、前述した図7に示すように、色種の個数のポンプ78(78K、78C、78M、78Y)に対して共通にモータ(アクチュエータ)82を1つのみとすることもできる。
複数の色のインク滴を吐出して画像を形成する場合、各記録ヘッド10から吐出されるインクの量はバラバラになるので、例えば、あるヘッドは全ノズルからインクを吐出する状態で、別のヘッドは非吐出の状態である場合もある。そのような場合でも、本発明のインク供給システムでは、記録ヘッド10の吐出流量によって自動的に流路抵抗可変ユニット83の流体抵抗が変化するようになっているので、各ヘッドの吐出流量に応じたポンプの制御は不要である。
すなわち、吐出流量が少なくアシストを必要としないヘッドには少ないアシストとなり、吐出流量が多くアシストを必要とするヘッドには大きなアシストを与える制御を自動的に行なう。
このように複数のインクを有するなど複数のインク供給系を有するシステムにおいても、全てのインク供給系のポンプを1つのアクチュエータでまとめて駆動できるので、装置の構成、制御が簡易になり、低コスト、小型の装置を実現することができる。
また、一般的に、液体の粘度は液体の温度によって変化するので、記録ヘッド10への液体のアシストは、例えば、図2に示すようにキャリッジ4に備えた温度センサ27によって測定した装置周囲の温度や、装置内の温度、インクの温度やそれらの予測値等をフィードバックしてポンプ78の駆動を制御するようにすることが好ましい。それにより、あらゆる温度に対応した使い勝手の良い画像形成装置を実現できる。
また、インク供給経路内に圧力センサを設けて予め決められた流量でのヘッド吐出を行ったときの圧力変化を測定できるようにすれば、それにより圧力損失に直結するインクの粘度を検出できるので、この検出した粘度に基づいてポンプ78の制御パラメータを変更でき、粘度の異なる様々なインクを用いることができる。
また、ユーザが吐出状態を確認しながらポンプ78の制御パラメータを入力するようにすれば、前述した液体粘度の検出手段が不要となるので、装置を簡易なものとすることができる。
このように、液体タンクから液体吐出ヘッド(記録ヘッド)に液体を供給する供給流路に圧力調整弁を設け、圧力調整弁に別の経路で液体タンクと連通する流路を設けると共にその経路に送液手段を設ける構成とし、圧力調整弁を液体吐出ヘッドに流れる液体の流量に応じて内部の流路抵抗が変化するものとすると共に、少なくとも液体吐出ヘッドから液体を吐出するときには液体吐出ヘッドと液体タンクが連通している状態で送液手段により液体吐出ヘッドに向けて液体を送出するので、液体吐出ヘッドの吐出量に応じて適正なアシスト圧を自動的に調節しながら液体吐出ヘッドに印加して、液体供給チューブの長尺化、吐出流量の増大化、吐出液体の高粘度化等に伴うリフィル不足を簡易に回避することができる。
この場合、圧力調整弁は液体吐出側の第1の絞り部と液体タンク側の第2の絞り部を有し、送液手段からの流路が第1の絞り部と第2の絞り部の間に連通され、液体吐出ヘッドに流れる液体の流量に応じて第2の絞り部の絞り量が変化する構成とすることで、流路の絞りを利用した簡易な構成で、液体吐出ヘッドの吐出量に応じて適正なアシスト圧を自動的に調節しながら液体吐出ヘッドに印加することができる。
また、圧力調整弁は可動部材を有し、可動部材が液体吐出ヘッドの吐出量に応じて移動する構成とし、可動部材の移動によって液体タンク側の第2の絞り部の絞り量が変化するようにすることで、流れによる可動部材の移動を利用した簡易な構成で、液体吐出ヘッドの吐出量に応じて適正なアシスト圧を自動的に調節しながら液体吐出ヘッドに印加することができる。
また、可動部材は、液体の流れ方向で径の異なる複数の段部を有する段付き軸状部材からなり、流路を形成する流路形成部材内に自由状態で収容されている構成とすることで、高精度な部品を容易に形成でき、高精度な特性の弁を容易に得ることができる。
ところで、上述したインク供給システムにおいて、ポンプユニット80(アシストポンプ78)により流路抵抗可変ユニット83にインクを送液した状態で、記録ヘッド10を非吐出状態から吐出状態に切り替えたとき、記録ヘッド10に瞬間的な大きな負圧が生じて(この瞬間的な負圧を「オーバーシュート」と表記する。)しまうことが判明した。また、非吐出状態と吐出状態の前後で記録ヘッド10の圧力差が異なることがある。
この点について、図14を参照して説明する。図14(a)ではポンプユニット80(ポンプ78)の駆動タイミングを破線で、記録ヘッド10の吐出のタイミングを実線で示している。図14(b)は、同図(a)の駆動タイミングで、ポンプユニット80及び記録ヘッド10を駆動したときの、記録ヘッド10内にかかる圧力の時間的変化を示している。
ポンプユニット80が駆動(ON)したとき、記録ヘッド10は非吐出状態であるが、内部の圧力はPh[kPa]まで上昇する。そして、記録ヘッド10が滴吐出を開始すると、ポンプユニット80による供給圧が直ぐに追従しない。すなわち、流路抵抗可変ユニット83の応答遅れが生じるため、平衡状態に達するまでに、記録ヘッド10内部は急激な負圧となり、オーバーシュートPoが生じる。また、記録ヘッド10が非吐出状態と吐出状態では、内部にかかる静圧に差(ΔP)が生じる。なお、以下、本発明では図14(b)で示す静圧の差ΔPを「静特性」と表現することとする。
記録ヘッド10にオーバーシュートが作用すると、負圧が大きいため、ノズル15に形成したメニスカスが破壊され、気泡をノズル15内に取り込むこととなる。したがって、安定した画像を形成するためには、オーバーシュートはできるだけ小さくすることが好ましい。また、ポンプユニット80を駆動したまま、記録ヘッド10の吐出と非吐出を繰り返す場合、静特性は出来るだけ小さいことが好ましい。
しかしながら、これらのオーバーシュートと静特性の間にはトレードオフの関係がある。そこで、本発明では、このトレードオフの関係にあるオーバーシュートと静特性を同時に小さくできるように構成している。これにより、応答遅れによるヘッドの圧力変動を低減することができる。
まず、本発明の第1実施形態における流路抵抗可変ユニットについて図15及び図16を参照して説明する。なお、図15は同流路抵抗可変ユニットの模式的説明図、図16は同ユニットの弁体の平面説明図である。
この流路抵抗可変ユニット83は、内部流路87aに移動可能に配設された可動部材である弁体上部88tに、大きさの異なる第1の流路抵抗部である貫通穴147及び第2の流路抵抗部である貫通穴148が設けられている。ここで、貫通穴147は貫通穴148よりも径を大きくしている、つまり、第1の流路抵抗部は第2の流路抵抗部よりも流体抵抗値が小さくなっている。一方、ハウジング87には、可動部材である弁体88が第1の流路側に移動したとき(同図で上昇したとき)に貫通穴147と嵌合にするように(重なり合うように)絞り部材149が取り付けられている。これらの貫通穴147、148及び絞り部材149によって可動部材である弁体88が第1の流路側に移動するときに絞り量が変化する第1の絞り部を構成している。
このように構成したので、記録ヘッド10が非吐出状態であり、かつ、ポンプユニット80が駆動している状況下では、流路抵抗可変ユニット83は図15(a)に示す状態にある。すなわち、ポンプユニット80から供給されるインクは、前述したように、ポート86b側のみに流れるため、弁体88は、インクによりポート86b側に力を受け、流路抵抗可変ユニット83の下部で静止している。なお、この状態は、前述したように、記録ヘッド10が非吐出のときに限らず、記録ヘッド10からの吐出流量が少ない状態でも成り立つ。
ここで、記録ヘッド10から滴吐出が開始されると、図15(b)に示すように、ポンプユニット80から供給されたインクが、ポート86b側に加えてポート86a側に流れ出す。ポート86a側に流れるインクは、貫通穴147及び貫通穴148を通過して第1の流路側(記録ヘッド10側)に流れるが、このとき、弁体上部88tに設けた貫通穴147の穴径が大きいため、貫通穴147をインクが通過するときの圧力損失は小さくなる。つまり、貫通穴147の内径が大きいため、記録ヘッド10に流れるインクの流量は、貫通穴148のみの場合(図10の貫通穴84のみの場合)に比べて多くなる。
これにより、記録ヘッド10内に供給されるインクは、供給遅れが小さくなるため、オーバーシュートが小さくなる。
更に記録ヘッド10が滴吐出を続けると、中央領域141とポート86a側との間の圧力差により、弁体88がポート86a方向(第1の流路側)に移動し、図15(c)に示すように、絞り部材149が弁体上部88tの貫通穴147内に嵌り込む。
つまり、弁体88は、滴吐出によって記録ヘッド10が負圧になっているため、中央領域141との圧力差によりポート86a方向(第1の流路側:図で上方)に移動する。このとき、ハウジング87と弁体下部88bのギャップGbが小さく(第2の絞り部142の絞り量が大きく)なり、流路抵抗が大きくなる。また、ポンプユニット80から中央領域141に供給されたインクは、ポート86a方向及びポート86b方向に流れるが、その流量は、記録ヘッド10の吐出直後と同じである。したがって、ギャップGbでの圧力損失値は、弁体88がポート86a方向に移動した移動量に伴って大きくなる。つまり、第2の絞り部142の絞り量Gbは、可動部材である弁体88が第1の流路側に移動するに伴って絞り量が大きくなる。
そして、弁体88がポート86a方向に移動すると、これまで貫通穴147を流れていたインクは、絞り部材149により塞き止められてしまうため、中央領域141から記録ヘッド10へ流れるインクは、小さい方の貫通穴148のみを通過する。その結果、ポート86a側に流れるインクの流路抵抗が大きくなり、中央領域141とポート86a側のインクの圧力差が大きくなる。そのため、弁体88の上昇量(第1の流路側への移動量)が増加するが、このとき、前述したようにギャップGb(Gb1)による圧力損失値が大きくなるため、中央領域141の圧力が高まり、結果として、記録ヘッド10へ供給されるインクの圧力を高めることができ、記録ヘッド10が吐出する前と吐出中の圧力に差がなくなる。つまり、前述した静特性を小さくすることができる。
この場合、記録ヘッド10の吐出前と吐出後の静特性を厳密に一致させるには、ギャップGbによって生じる圧力損失と、小さい方の貫通穴148によって生じる圧力損失のバランスを考慮すべきである。
上述した図15(a)〜(c)で説明したように流路抵抗可変ユニット83が動作したときの記録ヘッド10の圧力変化を図17に示している。同図では、横軸が時間、縦軸が記録ヘッド10内の圧力(ヘッド内圧力)を示している。前述した図14(b)と比較すれば分かるように、オーバーシュート及び静特性のいずれも小さくなる。これにより、記録ヘッド10内にかかる過剰な負圧を抑えることができ、更に、非吐出状態と吐出状態の前後で記録ヘッド10の圧力差を略一定にすることができる。
なお、弁体88の移動により、貫通穴148が塞き止められるタイミング(第1の絞り部の絞り量が大きくなる開始タイミング)と弁体88の上昇によりギャップGbが小さくなるタイミング(第2の絞り部142の絞り量が大きくなる開始タイミング)は、同じであっても良いし、先にギャップGbが小さくなっても良い。
前述した図17で示している記録ヘッド10の圧力変化は、先にギャップGbが小さくなってから、貫通穴148が塞き止められた場合を示している。先にギャップGbが小さくなったとき、中央領域141の圧力増加に伴い静特性が減少していく。その後、弁体88の移動により貫通穴148が塞き止められることで、静特性は更に減少し、記録ヘッド10内の圧力は緩やかに増加する。
これに対して、図18には、弁体88の移動と共に、貫通穴148が塞き止められるタイミングとギャップGbが小さくなるタイミングが同時である場合の記録ヘッド10内の圧力変化を示している。貫通穴148の塞き止めとギャップGbが小さくなるタイミングが同時のとき、弁体88の上昇と同時に、中央領域141の圧力が上昇する。そのため、オーバーシュートが生じてから、記録ヘッド10内の圧力が上昇するまでの時間が短いため、図17に示す場合よりも早く圧力が正圧になる。貫通穴148を塞き止めるタイミングとギャップGbを小さくするタイミングは、使用する記録ヘッドやインクなどの条件に合わせて選択することが好ましい。
次に、本発明の第2実施形態における流路抵抗可変ユニットについて図19を参照して説明する。なお、図19は同ユニットの第1の絞り部の要部説明図である。
前述した第1実施形態における第1の絞り部を構成する絞り部材149と貫通穴147とは断面積が変化しないストレート形状としているが、この場合、弁体88がある位置までポート86a側に移動すると、貫通穴148が塞き止められるため、記録ヘッド10内の圧力変化が急激になる。そのため、貫通穴148を絞り部材149で塞き止める量は、弁体88の移動量に比例して絞られることが好ましい。
そこで、この実施形態では、絞り部材149は、先端部が弁体上部88t方向に向けて小さくなるように形成し、貫通穴147は、この絞り部材149の形状に対応するように形成されている。つまり、絞り部材149は、第1の流路側から可動部材である弁体88側に向かって先端が細くなる形状であり、絞り部材149が重なり合う弁体88の流路抵抗部である貫通穴147は絞り部材149に対応する形状である。
これにより、図19(a)に示す状態から弁体88が第1の流路側に移動(上昇)すると、図19(b)に示すように、弁体88の移動量に比例して、絞り部材149と貫通穴147の絞り量が決定される。したがって、弁体88の移動によって、絞り部材149と貫通穴148の間の絞り量が急激に変化しないため、記録ヘッド10内に急激な圧力変動が生じることを抑えることができる。
なお、弁体上部88tの絞り量を、弁体88の移動量に比例して決定することができれば、絞り部材149と貫通穴147は、どのような形状でも良い。また、絞り部材149及び弁体88の材質はどのようなものでも良いが、異物が発生し、インクに混ざらないような材質であることが好ましい。
次に、本発明の第3実施形態における流路抵抗可変ユニットについて図20を参照して説明する。なお、図20は同ユニットの第1の絞り部の要部説明図である。
上述した各実施形態では、絞り部材149が貫通穴147に嵌合する構成としているが、嵌合に限定されるものではなく、貫通穴147の一部分が絞り部材149と重なり合う構成であって良い。
すなわち、ここでは、絞り部材149の外径を貫通穴147の内径よりも小さくし、絞り部材149が貫通穴147内に進入したときに流路201が確保される構成としている。記録ヘッド1が吐出する前は、図20(a)に示すように絞り部材149と貫通穴147は離れているが、記録ヘッド10が滴吐出を開始すると、弁体88がポート86a側に移動することにより、図20(b)に示すように絞り部材149が貫通穴147内に進入して重なり合う(オーバーラップする)。このとき、絞り部材149は貫通穴147と嵌合しないが、貫通穴147全体の流路を絞り、流体抵抗を上昇させている。その結果、オーバーシュートを低減した後、静特性を小さくすることができる。なお、絞り部材149の外径と貫通穴147の内径の径差は、静特性を小さくできるのであれば、特に限定されない。
次に、本発明の第4実施形態における流路抵抗可変ユニットについて図21及び図22を参照して説明する。なお、図21は同ユニットの模式的説明図、図22は同ユニットの弁体の平面説明図である。
この流路抵抗可変ユニット83では、弁体上部88tの縁に大きさの異なる溝部247(第1の流路抵抗部)、溝部248(第2の流路抵抗部)が設けてある。一方、ハウジング87側には、溝部247と嵌合するように絞り部材249が取り付けられている。
このように構成したので、ポンプユニット80を駆動し、記録ヘッド10が滴吐出を開始した直後の流路抵抗可変ユニット83は図21(a)に示す状態にあり、このとき、ポンプユニット80から供給されたインクはポート86b側とポート86a側に流れる。そして、ポート86a側に流れるインクは、溝部247及び溝部248を通過して記録ヘッド10に流れる。この状態では、溝部248が開いているので、記録ヘッド10に流れるインクの流路抵抗は小さく、記録ヘッド10に流れるインク流量は溝部247のみの場合に比べて多くなる。したがって、供給されるインクの遅れが小さくなり、オーバーシュートを小さくすることができる。
その後、更に記録ヘッド10が滴吐出を続けて、図21(b)に示すように、弁体88がポート86a方向に移動したときには、溝部248に絞り部材249が嵌合し、溝部248を通過するインクの流れを塞き止める。そのため、記録ヘッド10に向かって流れるインクは、溝部247のみを通過することになり、流路抵抗が大きくなる。その結果、オーバーシュートが生じた後の記録ヘッド10内の圧力は増加し続け、静特性が小さくなる。
なお、この実施形態においても、前述したと同様に、絞り部材249及び溝部248を第1の流路側から第2の流路側に向かって嵌合方向と直交する方向の断面積が小さくなるように形成することで、記録ヘッド10内の急激な圧力変化を抑える構成とすることもできる。また、弁体上部88tの絞り量を、弁体88の移動量に比例して決定することができれば、絞り部材249と溝部248の形状は限定されない。
また、上記各実施形態においては、溝部又は貫通穴が絞り部材と確実にオーバーラップ(重なり合う)ことが必要であり、そのためには、弁体88がポート86a側に移動するときに傾いたり、回転したりすることを防ぐ必要がある。そこで、溝部や貫通穴は弁体88tの中心に対して同一円周上に均等に配置し、弁体88が回転したり傾いたりしないように構成している。
次に、本発明の第5実施形態における流路抵抗可変ユニットについて図23及び図24を参照して説明する。なお、図23は同ユニットの模式的説明図、図24は同ユニットの弁体の平面説明図である。
この流路抵抗可変ユニット83は、弁体上部88tの外周面が第1の流路側に向かって内側に傾斜する傾斜面に形成され、この弁体88tの傾斜面88taに外周方向で均等に凸型部材210が設けてある(一体形成でも良い)。一方、ハウジング87には弁体88がポート86a側に移動したときに凸型部材210、210の間に嵌り込む絞り部材としての凸型部材211が設けられている。
このように構成したので、ポンプユニット80を駆動し、記録ヘッド10が滴吐出を開始した直後の流路抵抗可変ユニット83は図23(a)に示す状態にあり、このとき、ポンプユニット80から供給されたインクはポート86b側とポート86a側に流れる。この状態では、弁体上部88tの凸型部材210とハウジング87上部の凸型部材211が離れているため、インクの流路抵抗は小さく、記録ヘッド10に流れるインク流量は多くなる。
そして、更に記録ヘッド10が滴吐出を続けて図23(b)に示すように、弁体88がポート86a方向に移動したときには、弁体上部88tの凸型部材210とハウジング87上部の凸型部材211が、お互いの隙間に入り込む。そのため、記録ヘッド10方向に流れるインクは、弁体上部88tの凸型部材210とハウジング87上部の凸型部材211が噛み合った間を通過することとなり、流路抵抗が大きくなる。その結果、オーバーシュートが生じた後の記録ヘッド10内の圧力は増加し続け、静特性が小さくなる。
なお、上記各実施形態において、流路抵抗可変ユニット83の絞り部材149はハウジング87と一体形成することもできし、ハウジング87と別の材料を接合して形成することもできる。
また、以上に説明した本発明によるオーバーシュートと静特性を少なくする流路抵抗可変ユニット(圧力調整弁)は、ピエゾ方式、サーマル方式などの液体吐出ヘッドからなる記録ヘッドにインクを供給する場合に限らず、液滴を吐出して作像する画像形成装置全てに適用可能である。
また、以上の説明においては、複数のヘッドに異なる色のインクが供給される例で本願発明の動作、効果を説明したが、同一色のインクを複数のヘッドに供給する場合や、色ではなく処方の異なるインクを複数のヘッドに供給する場合にも同様に適用することができる。また、複数のノズル列を1ヘッド内に有する液体吐出ヘッドで1ヘッドから異なる種類の液体を吐出する場合のインク供給システムについても適用することができる。また、狭義のインクを吐出する画像形成装置に限定されるものではなく、様々な液体を吐出する液体吐出装置(本発明でいう「画像形成装置」に含まれる。)にも適用することができる。