JP5279039B2 - 害虫防除方法 - Google Patents
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ところで、近年、衛生環境の整備や住宅事情の変化で、特に都市部のマンション等では住居の密閉化が進んでいることもあって、建物外から建物内に蚊等の害虫が侵入する機会が減っている。このため、就寝前に部屋にいる蚊等を駆除すれば、必ずしも従来の蚊取線香や加熱蒸散製剤のように就寝時間中ずっと連続して殺虫成分を蒸散させる必要がなくなってきた。
例えば、特許文献1(特開2001−17055)には、主として、エアゾール噴霧方式やピエゾ噴霧方式において、好ましくは常温揮散性ピレスロイドを用い、蒸気圧の高い溶媒を使用することによって処理薬剤の粒子径を微細化し、処理薬剤量の気中残存率を処理開始から3時間以上12時間未満の間において1%以上とするか、または処理開始から12時間以上24時間未満の間において0.5%以上にできることが記載されている。
このような方法では、処理薬剤量の一部が12時間後においてもある程度気中に残存し、一定の殺虫効果を示すものと評価できるが、改良の余地がないわけではない。
本発明者らは、蚊取線香につき、殺虫成分気中濃度と殺虫効果の持続性との関係を鋭意検討した結果、特定の殺虫成分を用いることによって、本発明が燻煙時間を短縮しても殺虫効果が長時間持続し得るという効果を達成するために有用であることを見出した。
しかるに、本発明者らは、更なる試験の結果、蚊取線香の煙が、常温揮散性ピレスロイドを殺虫成分とする線香の場合には、殺虫成分のキャリアーとしてだけでなく、殺虫効果の持続化に少なからず寄与することを知見し、レギュラータイプ又は微煙タイプのいずれであれ、線香形態での有用な害虫防除方法を完成するに至ったものである。
(1)殺虫成分としてメトフルトリン、プロフルトリン、トランスフルトリンから選ばれた1種又は2種以上のピレスロイド化合物0.5〜5.0重量%を含有する処理薬剤を、1時間以内で燻煙させて、空中に揮散する前記殺虫成分を含有する前記処理薬剤の粒子径を0.001〜0.1μmとし、25m 3 以下の部屋を5時間以上害虫防除可能な雰囲気とする害虫防除方法。
(2)処理薬剤が、前記殺虫成分と、粘結剤と、線香用基材と、2,6−ジ−ターシャリーブチル−4−メチルフェノール(BHT)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−ターシャリーブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−ターシャリーブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−ターシャリーブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−ターシャリーブチルフェノール)、2−ターシャリーブチル−6−(3−ターシャリーブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニル アクリレート、2,4−ジ−ターシャリーブチルフェニル 3,5−ジ−ターシャリーブチル−4−ヒドロキシベンゾエートから選ばれた1種又は2種以上のジ−tーブチル−フェノール系安定剤とを含有する(1)に記載の害虫防除方法
なお、ピレスロイド化合物の酸成分やアルコール部分において、不斉炭素に基づく光学異性体や幾何異性体が存在する場合、それらの各々や任意の混合物も本発明に包含されることはもちろんである。
また、本発明の目的に支障を来たさない限りにおいて、前記殺虫成分よりも蒸気圧の低い従来の汎用ピレスロイド化合物、例えば、アレスリン、プラレトリン、ピレトリン等を配合しても構わない。
従って、本発明で用いる蚊取線香は、短時間に比較的高濃度の殺虫成分を蒸散させる必要があり、製剤当たりの殺虫成分含有量は従来の製剤に較べて高濃度となる。もちろん、使用する殺虫成分の種類や設定される燻煙もしくは加熱時間等によって、製剤当たりの殺虫成分含有量を適宜決定してよいが、例えば、メトフルトリン、プロフルトリン、トランスフルトリンを含有する7時間用蚊取線香の場合、燻煙時間を15〜30分間とすれば、線香中の殺虫成分含有量は、従来タイプの0.0075〜0.3質量%に対して、0.5〜5.0質量%程度が適当である。
なお、本発明では、蚊取線香のように、便宜的に蚊取り用の製剤として称するが、蚊以外の害虫にも適用されるものであることは言うまでもない。
近年、芳香成分を室内に漂わせて、気分を和らげ疲労回復を促す、いわゆるアロマテラピーが普及しているが、本発明の害虫防除方法と効果的に協働させることができる。具体的には、前記殺虫成分とともに、オレンジ油、レモン油、ラベンダー油、ペパーミント油、ユーカリ油等を添加した処理薬剤を本発明に適用することによって、優れた害虫防除効果とアロマテラピー効果を同時に長時間にわたり享受することが可能となる。例えば、就寝前に施用すれば、蚊に刺咬されることなく、しかもリラックスした気分で安眠できるので、極めて実用的である。
蚊取線香は、上記殺虫成分や揮散性薬剤に、必要ならばピペロニルブトキサイドやN−(2−エチルヘキシル)−ビシクロ[2,2,1]−ヘプタ−5−エン−2,3−ジカルボキシイミドのような効力増強剤を加え、更に粘結剤及び線香用基材を混合して製造される。
粘結剤としては、タブ粉、澱粉、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等があげられ、一方、線香用基材としては、木粉、除虫菊抽出粕粉、柑橘類の表皮粉、ココナッツシェル粉末等の植物性粉末や、木炭粉、素灰等の炭素粉末を例示できる。
また、安定剤としては酸化防止剤や、前記炭素粉末に対する安定剤としてのポリエチレングリコール等があげられる。特に、沸点が250℃以上のジ−tーブチル−フェノール系安定剤を添加することは好ましい。この安定剤には、2,6−ジ−ターシャリーブチル−4−メチルフェノール(BHT)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−ターシャリーブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−ターシャリーブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−ターシャリーブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−ターシャリーブチルフェノール)、2−ターシャリーブチル−6−(3−ターシャリーブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニル アクリレート、2,4−ジ−ターシャリーブチルフェニル 3,5−ジ−ターシャリーブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等が挙げられる。このような安定剤を添加することにより、ピレスロイド化合物の保存時における経時的な安定性のみならず、燻煙時の安定性も著しく増強させ、さらに揮散後の有効成分の効力持続性の向上にも寄与しえるものである。安定剤の添加量としては、ピレスロイド化合物に対し、0.01〜0.5倍量を配合するのが好ましい。
また、上記分散液の調製に用いる溶剤としては通常、沸点が150〜350℃の飽和炭化水素系溶剤が好適である。
なお、蚊取線香中の殺虫成分含有量が、従来タイプに較べて高濃度であるので、燻煙時における殺虫成分の揮散率低下を生じないように、粘結剤及び線香用基材の選定や配合割合および蚊取線香の断面積や燃焼速度を調整する必要がある。
(a)煙を伴った薬剤の粒子径が0.001〜0.1μmと微細なため、空間により長く浮遊できる。
(b)殺虫成分が常温揮散性であるため、床や壁に付着したものが再揮散する。
このことから、本発明者らは、常温揮散性ピレスロイドを殺虫成分とする蚊取線香の場合に限って、線香の煙が効果的に殺虫効果を持続できうるものと結論し、次に、煙量を変えて殺虫効果の持続性を検討した。その結果、レギュラータイプ又は微煙タイプのいずれであれ、燻煙時における煙が何がしかの作用で殺虫効果の持続化に寄与することを認め、線香形態での有用な害虫防除方法を完成させたのである。このように、常温揮散性ピレスロイド線香において、煙が殺虫成分のキャリアーとしてだけでなく、殺虫効果の持続化にも効果的であるという知見は、全く新規な技術思想であり極めて実用性が高い。
[燻煙時の煙量の測定方法]
透明円筒内(直径19cm、高さ43cm)で線香を3分間燻煙させ、2分間煙を拡散後、センサー(OMRONスマートセンサー、ZX−LT010透過型センサーヘッド)により、円筒内を通過するレーザー光の受光レベルを検知した。円筒内に何も入れないブランクの表示値と、線香を用いた測定終了時の表示値との差を煙量指数として求めた。なお、従来のレギュラー線香の煙量指数はおよそ1000程度で、微煙線香や無煙線香の煙量指数はほぼ比例して小さくなる。
蚊取りマットは、殺虫成分にケロシンのような炭化水素系溶剤、必要ならば、BHT、パラヒドロキシ安息香酸メチルのような安定剤、着色剤、芳香成分、消臭成分などを適宜配合して原液を調製後、パルプやリンター等のセルロース製マットに含浸させて作製する。そして、蚊取りマットを加熱板に載置し、100〜180℃で加熱すると、殺虫成分が蒸気となって空中に蒸散する。
従来の1日(8〜12時間)用蚊取りマットの場合、ステアリン酸ブチル、ピペロニルブトキサイドやN−(2−エチルヘキシル)−ビシクロ[2,2,1]−ヘプタ−5−エン−2,3−ジカルボキシイミドのような揮散徐放化剤を配合しないと、初期段階で過剰の殺虫成分が揮散してしまい、使用中期から後期にかけて殺虫効果の低下が著しいが、本発明で用いる蚊取りマットは、短時間加熱のため、そのような揮散徐放化剤の配合を必要としない。
吸液芯の素材としては、殺虫成分に対して安定で、かつ毛細管現象により原液を吸液するものが用いられ、具体的には、クレー、タルク、パーライト、珪藻土等の無機質材料を成形したもの、多孔質セラミック芯、ポリエステル系繊維及び/又はポリアミド系繊維からなるプラスチック芯等があげられる。なかでも、ポリエステル系繊維及び/又はポリアミド系繊維は殺虫成分に対する影響がほとんどないので好適である。但し、原液中の殺虫成分濃度が従来のものに較べて高くなるので、吸液芯中に目詰まりを生じないように幾分ポーラスなものを選定した方がよい。
また、吸液芯に色素、防腐剤、4,4’−メチレンビス(2−メチル−6−t−ブチルフェノール)、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート等の酸化防止剤を適宜添加してもよい。
なお、液体式電気蚊取りには、30日用、60日用、90日用等、様々な使用期間のものがあるが、60日用タイプが最も広く使用されている。
かかる加熱蒸散製剤では、空中に蒸散する処理薬剤の粒子径は通常極めて微細であり、殺虫成分として、30℃における蒸気圧が2×10-4〜1×10-2mmHgであるピレスロイド化合物、好ましくはメトフルトリン、プロフルトリン、トランスフルトリンを選択することによって、蚊取線香の場合と同様に、殺虫効果を十分持続させることが可能となる。
(実施例1)
(実施例2)
(実施例3〜7)
(1)25m3の部屋での実地殺虫効力試験
閉めきった25m3の部屋の中央で供試蚊取線香を約20分間燻煙させた。直ちに、アカイエカ雌成虫50匹を放ち2時間暴露させた後、全ての供試蚊を回収した。その間、時間経過に伴い落下仰転したアカイエカ雌成虫を数え、KT50値を求めた。同じ部屋で引き続き、燻煙4時間後、及び燻煙7時間後についても同様な操作を行った。
(2)煙量の測定
透明円筒内(直径19cm、高さ43cm)で線香を3分間燻煙させ、2分間煙を拡散後、センサー(OMRONスマートセンサー、ZX−LT010透過型センサーヘッド)により、円筒内を通過するレーザー光の受光レベルを検知した。円筒内に何も入れないブランクの表示値と、線香を用いた測定終了時の表示値との差を煙量指数として求めた。
この線香形態における殺虫効果の持続化は、煙量がレギュラーレベルの実施例3及び5、並びに煙の少ない実施例4、6及び7(微煙タイプ)のいずれであっても少なからず認められ、また、その煙量を部屋に累積されるトータル量として計算すると、いずれも従来の長時間燻煙線香に較べ相対的に5%以下となった。従って、煙を嫌う人にもそれほど気にならず、実際使用面でのメリットが大きかった。
これに対し、比較例1のように、殺虫成分として比較的蒸気圧が低いd,d−T80−プラレトリンを用いた場合には、殺虫効果が時間の経過と伴に速やかに低下した。これらの試験結果から、殺虫成分として、30℃における蒸気圧が2×10-4〜1×10-2mmHgであるピレスロイド化合物、好ましくは、メトフルトリン、プロフルトリン、トランスフルトリンから選ばれた1種又は2種以上を選択することの効果並びに有用性が実証された。
(実施例8)
つぎにほぼ密閉した6畳の部屋で、就寝前にこの蚊取りマットを電気蚊取り器具の加熱板(加熱温度:180℃)に載置して30分間加熱し、防除効果の持続性を観察した。なお、タイマーを用い、30分間で加熱がオフになるように設定した。その結果、本実施例によっても、蚊取線香の場合と同様に、就寝時間の約7時間にわたり蚊に煩わされることがなかった。
(実施例9〜11)
つぎにこの蚊取りマットを電気蚊取り器具の加熱板に載置して、表3に記載の条件で加熱板を加熱し、実施例3〜7において行った「25m3の部屋での実地殺虫効力試験」を実施した。結果を纏めて表3に示す。
これに対し、比較例3の従来の蚊取りマットのように、殺虫成分として比較的蒸気圧が低いd,d−T80−プラレトリンを用いた場合には、殺虫効果が時間の経過と伴に速やかに低下した。これらの試験結果から、殺虫成分として、30℃における蒸気圧が2×10-4〜1×10-2mmHgであるピレスロイド化合物、好ましくは、メトフルトリン、プロフルトリン、トランスフルトリンから選ばれた1種又は2種以上を選択することの効果並びに有用性が実証された。
(実施例12)
つぎにこの液体式電気蚊取りを、電気蚊取り器具(吸液芯上部の周囲に設置したリング状発熱体の設定温度:135℃)に装填し、約8畳の部屋で約1時間加熱蒸散させ、防除効果の持続性を観察した。その結果、実施例8の蚊取りマットの場合と同様に、約10時間にわたり蚊に刺咬されることがなく、加熱蒸散した殺虫成分が加熱終了後も気中に長時間残存していることを示した。
つぎに表4の配合にて本発明の蚊取線香を作製して、それぞれの蚊取線香の断面積を変化させた場合の殺虫成分の揮散率と燃焼速度の関係を測定した。具体的には、揮散率については揮散した殺虫成分の量をトラップして分析することによって、燃焼速度については線香が10cm燃焼する時間を測定することによって実施した。結果を表5〜7に示す。
表5および表6の測定結果を見ると、試験例1、2及び3のいずれの蚊取線香も断面積の大きさにより揮散率が変化するが、断面積が1〜80mm2程度の範囲では殺虫成分の揮散率は良かった。さらに、断面積が大きくなりすぎると蚊取線香が太くなりすぎて使用時の取り扱いが困難となることから好ましくない。また、あまりにも断面積が小さくなりすぎると蚊取線香が細くなりすぎて使用時に蚊取線香が折れてしまうことから好ましくない。
以上の結果より、使用時の取り扱いやすさも考慮し、断面積が1〜80mm2程度の範囲が好適であることがわかる。
Claims (2)
- 殺虫成分としてメトフルトリン、プロフルトリン、トランスフルトリンから選ばれた1種又は2種以上のピレスロイド化合物0.5〜5.0重量%を含有する処理薬剤を、
1時間以内で燻煙させて、
空中に揮散する前記殺虫成分を含有する前記処理薬剤の粒子径を0.001〜0.1μmとし、
25m 3 以下の部屋を5時間以上害虫防除可能な雰囲気とすることを特徴とする害虫防除方法。 - 前記処理薬剤が、
前記殺虫成分と、
粘結剤と、
線香用基材と、
2,6−ジ−ターシャリーブチル−4−メチルフェノール(BHT)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−ターシャリーブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−ターシャリーブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−ターシャリーブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−ターシャリーブチルフェノール)、2−ターシャリーブチル−6−(3−ターシャリーブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニル アクリレート、2,4−ジ−ターシャリーブチルフェニル 3,5−ジ−ターシャリーブチル−4−ヒドロキシベンゾエートから選ばれた1種又は2種以上のジ−tーブチル−フェノール系安定剤とを含有することを特徴とする請求項1に記載の害虫防除方法。
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