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JP5280970B2 - 金属ナノ粒子分散膜を表面に有する太陽電池 - Google Patents
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金属ナノ粒子分散膜を表面に有する太陽電池 Download PDF

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本発明は、金属ナノ粒子分散膜を表面に有する太陽電池に関し、更に詳しくは、金属ナノ粒子分散膜の有する表面プラズモンによる吸収及び/又は散乱を用いることによって、吸光度を増大させ及び/又は反射率を低減させ、変換効率を向上させた太陽電池に関するものである。
太陽電池はエネルギー資源の枯渇と環境汚染を解決し得るエネルギーシステムとして注目されているが、広い普及には更なる高効率化と低コスト化が必要とされている。高効率化のためには、太陽電池の光電変換層表面の吸光度を高めたり反射率を低下させたりして、光電変換層表面に照射される太陽光エネルギーを効率よく電気エネルギーに変換する必要がある。
そこで、太陽電池が太陽光を効率よく吸収するために、太陽電池の受光面を反射防止膜で被覆する技術がある。従来、この種の反射防止膜としては、PVD法、蒸着法、スプレー法、ディップ法等を用い反射防止膜材料を表面に付与した後、熱処理等をする技術が知られている。また、プラズマCVD法により、水素を含有する窒化シリコン膜を太陽電池の受光面に形成する技術も知られている(特許文献1)。また、太陽電池の反射防止膜である窒化シリコン膜中の水素が太陽電池のシリコン基板に拡散され、太陽電池の効率が上がるパッシベーション効果も知られている(特許文献2)。
また、太陽光を効率よく吸収するために、光吸収層(光吸収薄膜)を用いる技術も知られている(例えば、特許文献3〜5)。
一方、金属ナノ粒子ではプラズモンが表面に局在することになり、近赤外から近紫外の光の電場とその局在(表面)プラズモンがカップリングして光吸収が起こる。この現象は局在(表面)プラズモン共鳴(Surface Plasmon Resonance :SPR)として知られており、その結果、局所的に増強された電場が発生し、光エネルギーが表面プラズモンに変換されることにより、金属ナノ粒子表面に光のエネルギーが蓄えられる。また、粒子径や周囲媒質の誘電率に依存した共鳴波長もある。
この現象を太陽電池の吸光度の上昇やエネルギー変換効率の上昇に利用したものとして、本願の発明者らによる非特許文献1及び特許文献6が知られている。非特許文献1には、銀ナノ粒子を用いることで、色素増感太陽電池に用いられる色素N3Dyeの吸光係数が最大で149倍まで増加したことが記載されている。また、特許文献6には、この増大効果を用いてチタニアナノ多孔質膜内に銀ナノ粒子を担持した色素増感太陽電池を製作し、変換効率の向上に成功したことが記載されている。
また、特許文献7には、光応答分子が固定された金属膜上に、この金属膜の誘電率とは異なる誘電率を持つ光照射部が蒸着されていて、その金属膜と光照射部との界面における表面プラズモン共鳴を利用する太陽電池が記載されており、また、特許文献8には、色素増感太陽電池において、金属微粒子と半導体微粒子の積層構造において規則的に配列した金属微粒子同士の相互作用により表面プラズモン共鳴を増強して、金属微粒子に吸着した光増感剤の吸収係数を向上させる技術が記載されている。
しかしながら、何れも表面プラズモンを利用する点では共通しているが、何れも本発明の太陽電池とはその構成と形態を全く異にしており、また、適用できる形態も極めて限定されたものであった。また、本発明では、表面プラズモン吸収による吸光度増大効果に加え、表面プラズモンによる散乱を利用した反射防止効果をも持つ薄膜を有する太陽電池である。
近年、太陽電池のエネルギー変換効率の上昇への要求は極めて高く、上記した公知の技術では吸光度の上昇や反射率の低減は未だ不十分であり、また、太陽電池の形態を選ぶものでもあり、更なる改善が望まれていた。
特開2000−299482号公報 特開2003−273382号公報 特開2006−228867号公報 特開2009−054936号公報 特開2009−135517号公報 特開2007−265694号公報 特開平10−340742号公報 特開2007−335222号公報
M. Ihara et al, J. Phys.Chem. B 101, 5153, (1997)
本発明は上記背景技術に鑑みてなされたものであり、その課題は、太陽電池表面の吸光度(Absorbance)の上昇、反射率(Reflectance)の低減等により、高いエネルギー変換効率を有する太陽電池を提供することにある。
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、表面プラズモン吸収ピークを有する金属ナノ粒子が分散されてなる膜を太陽電池表面に設ければ、表面プラズモン共鳴によって吸光度が大幅に上昇し、高いエネルギー変換効率を達成し得ることを見出した。また、該金属ナノ粒子の種類、平均粒径、分散状態、配列状態等、及び、成分比、膜の誘電率、膜厚等を制御することで、プラズモン吸収ピーク位置、吸光度、反射率等を制御できることを見出して、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、表面プラズモン吸収ピークを有する金属ナノ粒子が有機又は無機材料中に分散されてなる金属ナノ粒子分散膜を受光面に有することを特徴とする太陽電池を提供するものである。
また、本発明は、表面プラズモン吸収ピークを有する金属ナノ粒子と、有機又は無機材料とを分散媒中に分散・溶解して得られた塗布液を受光面に塗布して、受光面に金属ナノ粒子分散膜を形成することを特徴とする太陽電池の製造方法を提供するものである。
本発明によれば、前記問題点と課題を解決し、金属ナノ粒子の表面プラズモンによる電場増強効果により、吸光度の上昇、反射率の低減等が達成され、高いエネルギー変換効率を有する太陽電池を提供することができる。また、表面プラズモンによる散乱を利用した反射防止効果をも持つ金属ナノ粒子分散膜を有する太陽電池を提供することができる。
また、本発明によれば、金属ナノ粒子が有機又は無機材料中に分散された膜を受光面に塗布形成しさえすればよいので、適用される太陽電池の種類が限定されず、シリコン太陽電池、化合物半導体太陽電池等の半導体太陽電池;有機太陽電池;等、多くの種類の太陽電池に適用が可能である。
また、金属ナノ粒子の種類、平均粒径、分散状態、配列状態等、及び、金属ナノ粒子が分散されるマトリックスである有機又は無機材料の誘電率、含有比率、金属ナノ粒子分散膜の膜厚等を制御することで、プラズモン吸収ピーク波長、吸光度、反射率等を制御できるので、近赤外から近紫外の太陽光の波長において、吸光度と反射率をバランスよく制御することもできる。
本発明の太陽電池に用いられる金属ナノ粒子分散膜の吸収(Absorbance)スペクトルである。 本発明の太陽電池に用いられる金属ナノ粒子分散膜の反射(Reflectance)スペクトルである。 比較のための、単結晶シリコン基板(シリコンウェハー)のみ及び金属ナノ粒子を含まないPEGのみをシリコンウェハー上に塗布したものの反射(Reflectance)スペクトルである。 本発明における金属ナノ粒子分散膜による太陽電池の吸光度増大の効果を示す概念図である。
以下、本発明について説明するが、本発明は、以下の具体的形態に限定されるものではなく、技術的思想の範囲内で任意に変形することができる。
本発明の太陽電池は、表面プラズモン吸収ピークを有する金属ナノ粒子分散膜を表面に有することを特徴とする。かかる金属ナノ粒子分散膜によって、吸光度を上げたり反射率を下げたりすることができる。本発明において、「金属ナノ粒子」とは、プラズモンが表面に局在し得る金属の粒子であって、動的光散乱法で測定した個数平均粒径が0.1〜1000nmの範囲内にあるものをいう。個数平均粒径の好ましい範囲は、金属の種類にもよるが、1〜500nmであり、特に好ましい範囲は10〜200nmである。個数平均粒径が小さ過ぎると、金属ナノ粒子の調製が難しくなる、金属ナノ粒子分散膜のプラズモン吸収ピークが短波長側にシフトして充分な吸光度増大効果が得られなくなる、反射率低減が充分でなくなる等の場合がある。一方、個数平均粒径が大き過ぎると、金属ナノ粒子の影になることによる損失が増加する、表面プラズモン吸収ピークが小さくなる、金属ナノ粒子分散膜による吸光度増大効果が得られなくなる等の場合がある。
金属ナノ粒子の金属の種類は特に限定はないが、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、銅(Cu)、鉛(Pb)等が挙げられる。
本発明の太陽電池は、上記金属ナノ粒子が有機又は無機材料中に分散されてなる金属ナノ粒子分散膜をその表面に有する。「有機又は無機材料」は、上記金属ナノ粒子のバインダー又はマトリックスとして機能するもので、金属ナノ粒子分散膜を形成するときの塗布性、金属ナノ粒子の分散性等の現出のために必須である。また、かかる「有機又は無機材料」は、誘電率の調整、反射率の低減、光路長の増加等にも寄与する。
本発明の太陽電池においては、金属ナノ粒子を蒸着等によってその表面に付着させるのではなく、有機又は無機材料を金属ナノ粒子のバインダー又はマトリックスとして用いて、有機又は無機材料に分散された状態の金属ナノ粒子を太陽電池の受光面に付与することを特徴とする。
有機又は無機材料としては、上記金属ナノ粒子のバインダー又はマトリックスとして機能すれば特に限定はないが、そのうち有機材料としては、金属ナノ粒子の分散媒に好適に溶解し、バインダーとして機能する点で、有機ポリマーが好ましいものとして挙げられる。有機ポリマーは特に限定はないが、具体的には例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のエチレンオキサイド系ポリマー;ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等の親水性ビニル系ポリマー;でんぷん、カルボキシメチルセルロース等の天然物由来親水性ポリマー;ポリエステル、ポリカーボネート等の熱可塑性ポリマー;ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリスチレン、ポリアセタール、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリアクリロニトリル、それらの共重合体等のビニル系ポリマー;等が挙げられる。
また、無機材料としては特に限定はないが、シリカ、チタニア、ガラス等が挙げられる。
本発明において、太陽電池の受光面に、少なくとも「金属ナノ粒子」と「有機又は無機材料」とを含有する金属ナノ粒子分散膜を形成する方法としては、特に限定はないが、塗布液を塗布する方法が好ましい。具体的には、表面修飾された金属ナノ粒子と有機又は無機材料とを分散媒に分散・溶解した塗布液を、太陽電池の受光面に塗布して金属ナノ粒子分散膜を形成することが特に好ましい。
金属ナノ粒子の分散液の調製方法は特に限定はないが、下記するように相関移動触媒を用いて液中で調製することが好ましい。得られた金属ナノ粒子の分散液に対して、要すれば分散媒置換をすることによって、金属ナノ粒子の分散液が得られるので、それに「有機又は無機材料」を加えて、それをそのまま塗布液とできる。
表面プラズモン吸収ピークを有する金属ナノ粒子を、バインダー又はマトリックスとなる有機又は無機材料と共に、分散媒中に分散又は溶解させて、太陽電池の受光面に塗布・乾燥して金属ナノ粒子分散膜を形成すれば、その膜が吸光度を増大させ、反射率等を制御でき、その結果、太陽電池のエネルギー変換効率を向上させることができる。単に、塗布・乾燥することにより、どのような表面にでも金属ナノ粒子分散膜が形成できるので、本発明は、適用できる太陽電池の種類に関しては極めて応用が広いものとなっている。
金属ナノ粒子の調製方法は特に限定はないが、例えば以下の方法が挙げられる。すなわち、相関移動触媒を用い、水相に溶解した金属塩を、水相に接するクロロホルム等の有機相に金属イオン微粒子として分散させ、次いで、表面修飾化合物を加えて成長を阻害した後、水相を除き、例えばNaBH等の還元剤によって、金属イオンを還元して金属ナノ粒子とする。
上記表面修飾化合物は、上記したように金属ナノ粒子の成長を止める以外に、好適な周辺誘電率を与えるために重要である。電場増強効果をより強く得るために、上記表面修飾化合物の種類は、その誘電率から決めることも好ましい。
上記表面修飾化合物としては、電場増強効果を効率よく得るために、適切な誘電率を有するものが好ましい。具体的には、金属(イオン)と化学結合を生成する官能基を1又は2以上有する化合物が好ましい。かかる官能基としては、例えば、メルカプト基又はアミノ基が好ましい。表面修飾化合物は、更に、カルボキシル基、水酸基等の親分散媒基を1又は2以上有することが好ましい。
上記表面修飾化合物は、具体的には、例えば、下記一般式(1)又は(2)で表されるものが特に好ましいものとして挙げられる。
X−R−SH ・・・・・(1)
X−R−NH
・・・・・(2)
[式(1)及び式(2)中、Rは直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基を示し、Xはカルボキシル基又は水酸基を示す。]
Rは直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基を示すが、アルキレン基の炭素数は、電場増強効果が十分に発揮できる周辺誘電率を与えるように決めることが好ましい。アルキレン基の炭素数は特に限定はないが、1〜24が好ましく、2〜20が特に好ましい。式(1)で表される表面修飾化合物の好適な具体例としては、例えば、3−メルカプトプロピオン酸、16−メルカプトヘキサデカン酸等が挙げられる。
表面修飾された金属ナノ粒子と有機又は無機材料とを分散・溶解し、塗布液とするための分散媒は、上記有機相の液体をそのまま用いてもよいが、分散媒置換を行ってもよい。また、相関移動触媒を用いた上記方法以外の方法で金属ナノ粒子を形成した場合も含めて、(分散媒置換後の)分散媒としては、有機又は無機材料を溶解又は分散するものであれば特に限定はなく、水;メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類;アセトン等のケトン類;ジメチルホルムアミド;ジメチルスルホキシド;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等の炭酸エステル類等の親水性の分散媒であっても、水に任意の割合では相溶しない非親水性の分散媒であってもよい。
後述するように、金属ナノ粒子分散膜は、半導体太陽電池のみならず、有機太陽電池にも適用可能であるので、有機太陽電池の光電変換層に直接塗布する場合には、塗布液、すなわち上記分散媒は、光電変換層を浸食しないものが好ましい。
金属ナノ粒子分散膜を構成する「金属ナノ粒子中の金属(a)」と「金属ナノ粒子のバインダー又はマトリックスとして機能する有機又は無機材料(B)」の質量割合は、金属ナノ粒子の分散状態、配列状態、金属ナノ粒子間の距離等に影響し、電場増強効果に影響し、プラズモン吸収ピーク波長、吸光度、反射率等を変化させるので、それらが最適になるように決められる。特に限定はないが、a/B=1×10−9〜1×10−3が好ましく、a/B=1×10−8〜1×10−4が特に好ましい。
また、金属ナノ粒子分散膜を構成する「表面修飾化合物等の粒子形成物質も含めた金属ナノ粒子全体(A)」と「金属ナノ粒子のバインダー又はマトリックスとして機能する有機又は無機材料(B)」の質量割合も上記物性に影響するので、それらが最適になるように決められる。特に限定はないが、A/B=1×10−8〜1×10−2が好ましく、A/B=1×10−7〜1×10−3が特に好ましい。
本発明においては、上記金属ナノ粒子分散膜を受光面に有することを特徴としている。「受光面」とは、太陽電池において太陽光が入射する側の面をいう。「金属ナノ粒子分散膜を受光面に有する」とは、金属ナノ粒子分散膜が太陽電池の光電変換層表面上に直接存在している場合も、金属ナノ粒子分散膜と光電変換層表面の間に更に層が存在している場合も含むが、エネルギー移動等の点から、金属ナノ粒子分散膜は太陽電池の光電変換層表面上に直接存在していることが好ましい。
本発明における金属ナノ粒子分散膜は光エネルギーを増幅するものであるから、太陽電池において太陽光が入射する表面側に存在することが必須であり、かかる光電変換層表面は、本発明の原理から、p層、n層、i層等、何れでもよい。
「表面修飾された金属ナノ粒子と有機又は無機材料とを分散媒に分散・溶解した塗布液」の受光面への塗布方法は特に限定はなく、具体的には、例えば、スピンコート法、スプレーコート法、ディップコート法、カーテンコート法、インクジェット法、ロールコート法、ブレードコート法、スクリーン印刷法、ダイコート法等が挙げられる。
塗布後、分散媒を留去(乾燥)する。分散媒を留去後、必要に応じ、加熱処理等の後処理を加えてもよい。「有機又は無機材料」が有機ポリマーである場合には、通常は分散媒を留去しただけで金属ナノ粒子分散膜が完成する。
分散媒を留去(乾燥)した後の金属ナノ粒子分散膜の膜厚は特に限定はないが、1nm〜10000nm(10μm)が好ましく、2nm〜3000nm(3μm)がより好ましく、3nm〜1000nm(1μm)が特に好ましい。金属ナノ粒子分散膜の膜厚が厚過ぎる場合には、金属ナノ粒子と光電変換層表面の距離が離れ過ぎてエネルギー移動を阻害してしまう場合があり、薄過ぎる場合には、充分な反射防止効果が得られない場合や連続膜になり難い場合がある。
金属ナノ粒子の種類、平均粒径、分散状態、配列状態、金属ナノ粒子間の距離等、及び、表面修飾化合物の誘電率、金属ナノ粒子が分散されるマトリックスである有機又は無機材料の誘電率、「金属ナノ粒子」と「有機又は無機材料」の比率、金属ナノ粒子分散膜の膜厚、塗布液の粘度等を制御することで、電場増強効果、プラズモン吸収ピーク波長、吸光度、反射率等を制御できるので、太陽光の波長領域において、吸光度と反射率をバランスよく制御することが可能である。
本発明における上記金属ナノ粒子分散膜は、例えば、単結晶シリコン太陽電池、多結晶シリコン太陽電池、アモルファス結晶シリコン太陽電池等のシリコン太陽電池;化合物半導体太陽電池;有機太陽電池;等に好適に適用できる。
本発明においては、金属ナノ粒子の表面プラズモンによる局所電場増強効果を利用して、半導体や色素の吸光度を増大させ、太陽電池の変換効率を向上させる。図4に、金属ナノ粒子分散膜を(半導体)太陽電池に適用したときの作用原理の概念図を示す。本発明においては、金属ナノ粒子の表面プラズモンを半導体太陽電池等の太陽電池の高効率化に利用できる。実施例に一例を示すように、銀ナノ粒子分散膜は400〜500nmに表面プラズモンに由来する吸収ピークをもち、反射率の低減が見られた。従って、表面プラズモンの局所電場増強効果(局所的に入射光よりも強い光(近接場光)が生じる)により、吸光度が増大し反射が防止され、太陽電池の高効率化が可能である。例えば、この金属ナノ粒子分散膜をシリコン太陽電池等の半導体太陽電池に塗布するだけでエネルギー変換効率の向上が可能になる。
具体的には、局所電場増強効果によって、半導体薄膜等の吸光度を増加させることができるので、例えば、半導体膜の薄膜化によりキャリアの再結合(光電流の減少要因)による損出の低減等が可能となり、高効率化が実現できる。
太陽電池表面を選択的にエッチングしてテクスチャー構造を形成し、反射防止効果を実現する方法では、半導体太陽電池表面に欠陥が導入される場合がある。しかし、本発明では、常温等の温和な条件で、塗布、乾燥させるだけなので欠陥が導入されない。
本発明においては、太陽電池の受光面に上記した金属ナノ粒子分散膜を設けた後に、更にその上に、反射防止層等の他の層を設けてもよい。
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限りこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1
硝酸銀(AgNO)0.15gを水に溶解させた水相と、相間移動触媒であるテトラオクチルアンモニウムブロマイド((C17NBr)をクロロホルムに溶解させた有機相とを容器中で、20℃で1時間攪拌して、銀イオンを有機相に移動させた後、水相を除去した。次いで、有機相に表面修飾化合物として16−メルカプトヘキサデカン酸0.23gを加えて15分間攪拌した。その後、還元剤であるNaBHの水溶液を有機相と混合して、室温で12時間攪拌した。これにより、有機相中の銀イオンが還元されて、表面が16−メルカプトヘキサデカン酸(以下、「チオール」と略記する)によって被覆された(表面修飾された)銀ナノ粒子が分散した液が調製された。
水相を除去後、遠心分離により上記液から「表面修飾された銀ナノ粒子」を沈降させ、上澄みを除いた後にエタノールを加えて、エタノールを分散媒とする液を得た。次いで、その液に、バインダー又はマトリックスとして機能する「有機又は無機材料」であるポリプロピレングリコ−ル(重量平均分子量500000)(以下、「PEG」と略記する)を加えて塗布液とした。
それぞれの成分は、結果として表1に示すような値になるように使用した。銀ナノ粒子の個数平均粒径は、大塚電子株式会社製、ELS−Z2を用い、動的光散乱法により求めた。
上記塗布液をスピンコート法によって、石英板及び単結晶シリコン基板(シリコンウェハー)上に塗布することで、銀ナノ粒子分散膜を作製した。このとき、分散媒であるエタノールの量を変えることで銀ナノ粒子の濃度を、また加えるPEGの量を変えることで塗布液の粘度を変化させた。
作製した銀ナノ粒子分散膜について、常法に従って光吸収スペクトルを測定し、走査電子顕微鏡(SEM)を用いて観察を行った。
Figure 0005280970
表1中、銀ナノ粒子の質量には、銀以外に表面修飾化合物等の銀ナノ粒子を構成する成分の質量も含む。
試料No.1、2及び3の石英板上での光吸収スペクトルと単結晶シリコン基板上での反射スペクトルを、それぞれ図1及び図2に示す。なお、PEGのみを石英板上に、100〜200nmで塗布したときの光吸収スペクトルは、図1の400〜650nmの全波長領域で、吸光度(Absorbance)=0.00であった。また、PEGのみを単結晶シリコン基板上に、100〜200nmで塗布したときの反射スペクトルを、単結晶シリコン基板自体の反射スペクトルと共に図3に示す。
図1の光吸収スペクトルより、それぞれ銀ナノ粒子の表面プラズモンに由来する吸収ピークが見られた。表面プラズモンによる光吸収スペクトルにおいて、試料No.1が最も大きな吸光度を示したが、これは他の試料に比べて粒径が小さいためと考えられる。また、光の吸収が散乱よりも支配的であるためと考えられる。
図2の反射スペクトルにおいて、すべての銀ナノ粒子分散膜に反射防止効果が現れた。図1の表面プラズモン吸収ピークとほぼ同じ波長域において反射率の低下が見られた。これは、銀ナノ粒子の光吸収によるものと考えられる。よって、この表面プラズモン吸収による局所電場増強効果を利用すれば、シリコン基板の光吸収増大が可能となる。
一方、試料No.1では、700nm付近において、反射率低下が見られなかった。これは、光の干渉効果によるものと考えられる。また、試料No.2において、吸光度におけるピーク波長よりも長波長側での反射率低下が顕著であった。この原因としては、粒径が大きいことにより光散乱の寄与が生じていたものが、試料No.3に比べて濃度が高いために、粒子同士が近接し、見かけの粒径がより大きくなって、更に光の散乱の寄与が大きくなったこと、又は、ナノ粒子の凝集により形成された銀ナノ粒子分散膜表面の微細な凹凸が反射防止効果を引き起こしたことの2点が考えられる。
以上より、銀ナノ粒子分散膜の作製において、銀ナノ粒子の粒径や濃度、塗布液の粘度、銀ナノ粒子とPEGの含有質量比率、膜厚等を変えて、銀ナノ粒子分散膜の表面プラズモンに起因する吸光度と反射率を測定した結果、太陽電池の高効率化に適した金属ナノ粒子分散膜の作製条件、構成等が決定できると考えられた。
種々の要件を最適化して得られた金属ナノ粒子分散膜は、太陽光の波長領域において、高い吸光度と低い反射率を有するようにできるので、それを太陽電池の受光面に設ければ、エネルギー変換効率を改善した太陽電池が得られることが分かった。
本発明の太陽電池は、その受光面に金属ナノ粒子分散膜を有するので、かかる金属ナノ粒子分散膜の有する表面プラズモン吸収による局所電場増強効果を利用すれば、太陽電池表面の吸光度の上昇、反射率の低減等により、高いエネルギー変換効率の太陽電池を提供できるため、太陽電池の製作分野に広く利用されるものである。

Claims (4)

  1. 表面プラズモン吸収ピークを有する金属ナノ粒子が有機又は無機材料中に分散されてなる金属ナノ粒子分散膜を受光面に有することを特徴とする太陽電池。
  2. 上記金属ナノ粒子分散膜が、表面修飾された金属ナノ粒子と有機又は無機材料とを分散媒に分散・溶解した塗布液を受光面に塗布して得られたものである請求項1に記載の太陽電池。
  3. 上記有機又は無機材料が有機ポリマーである請求項1又は請求項2に記載の太陽電池。
  4. 表面プラズモン吸収ピークを有する金属ナノ粒子と、有機又は無機材料とを分散媒中に分散・溶解して得られた塗布液を受光面に塗布して、受光面に金属ナノ粒子分散膜を形成することを特徴とする太陽電池の製造方法。
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