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JP5285870B2 - 車両の衝突エネルギー吸収装置 - Google Patents
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Description

この発明は、車両の側面に入力される衝突エネルギーを吸収する車両の衝突エネルギー吸収装置に関するものである。
車両の側面衝突の際に、車体側部のピラーに入力される荷重を、乗員の着座するシートで受け止める衝突エネルギー吸収装置が開発されている(例えば、特許文献1参照)。
この衝突エネルギー吸収装置は、ピラーやドアの車室内側面に、シートバックフレームの側面に対向する荷重伝達部材が固定され、車両の側面衝突時に、ピラやドアーに入力される荷重を荷重伝達部材を介してシートバックフレームに伝達するようになっている。また、この装置のシートバックフレームには、車幅方向に延出する補強部材が設けられ、荷重伝達部材を通して入力される衝突荷重が、補強部材によって受け止められるようになっている。
特開平9−188215号公報
しかし、この従来の衝突エネルギー吸収装置においては、荷重伝達部材がピラーやドアの車室内側面の一定位置に固定された構造となっているため、シートの前後位置調整や傾斜調整等に拘わらず、常に、荷重伝達部材を通してピラーやドアからシートバックに衝突荷重を伝達できるようにするためには、ピラーやドアに固定する荷重伝達部材を大型化せざるを得ない。そして、ピラーやドアに固定する荷重伝達部材が大型化すると、車室内の居住空間が圧迫されるとともに、乗員の乗降性が低下する等の不具合を招く。
そこで、この発明は、車室内の居住空間や乗降性を犠牲にすることなく、ピラーからシートに衝突荷重を確実に伝達することのできる車両の衝突エネルギー吸収装置を提供しようとするものである。
上記の課題を解決する請求項1に記載の発明は、乗員の着座するシート(例えば、後述の実施形態におけるシート3)の後部側側方に、車体側部の強度部材であるピラー(例えば、後述の実施形態におけるセンターピラー2)が設けられ、車体の側方からこのピラーに入力される衝突荷重を前記シートによって吸収する車両の衝突エネルギー吸収装置において、前記シートは、車両前後方向にスライド変位可能に設けられ、前記シートには、車幅方向の外側に延出するクロスメンバが(例えば、後述の実施形態におけるヒンジ軸8)設けられ、前記クロスメンバと前記ピラーの間には前記衝突荷重を前記シートに伝達する荷重伝達機構(例えば、後述の実施形態における荷重伝達機構13)が設けられ、前記荷重伝達機構は、前記クロスメンバに回動可能に連結された荷重伝達部材(例えば、後述の実施形態における荷重伝達アーム10)と、前記ピラーに固定され、前記荷重伝達部材に当接して、前記シートのスライド位置に応じて前記荷重伝達部材を回動変位させるカム部材(例えば、後述の実施形態におけるカム部材12)と、前記荷重伝達部材を常時前記カム部材方向に付勢する付勢部材(例えば、後述の実施形態における捩りばね11)と、を備えていることを特徴とする
これにより、シートが車両前後方向にスライド調整されると、荷重伝達部材が付勢部材に付勢されてカム部材との当接状態を維持しつつ、シートのクロスメンバに対して回動する。このときの荷重伝達部材の移動軌跡はカム部材の当接面の形状とシートの移動位置等によって決定される。したがって、側面衝突荷重がピラーに入力されると、前述のようにカム部材によって回動調整された荷重伝達部材にピラーが当接し、荷重伝達部材からシートのクロスメンバに衝突荷重が伝達されるようになる。
請求項1に記載の発明によれば、シートの変位に応じて荷重伝達部が変位するように、荷重伝達機構がシートのクロスメンバとピラーの間に設けられていることから、シートの変位に拘わらず、側面衝突荷重を常にピラーからシートのクロスメンバに確実に伝達することができ、しかも、荷重伝達部がシートの変位に応じて変位することから、車室内の居住空間や乗降性を犠牲にすることもない。
請求項に記載の発明によれば、クロスメンバに回動可能に連結された荷重伝達部材をピラー側のカム部材に当接させることにより、シートのスライド位置の変更時に、荷重伝達部材をピラーと当接可能な適切な位置に変更することができるため、簡単な構造でありながら、側面衝突荷重をピラーからシートのクロスメンバに常に確実に伝達することができる。
次に、この発明の各実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下で説明する各実施形態においては、同一部分に同一符号を付して、重複する部分の説明を省略するものとする。また、以下の説明において、「上」「下」と「前」「後」は、特別に断らない限り、車体に対しての上下と前後を指すものとする。
最初に、図1〜図4に示すこの発明の第1の実施形態について説明する。
図1は、この発明にかかる衝突エネルギー吸収装置1を採用した車両Cと、この車両Cの側面に衝突する別の車両C´を模式的に示した図であり、同図において、2は、車体側部のうちの、前後のサイドドア(図示せず)の間に配置されたセンターピラー(ピラー)、3は、乗員mの着座する前席側のシートである。この発明にかかる衝突エネルギー吸収装置1は、前席側の各シート3とそれに近接するセンターピラー2の間に設けられている。
図2,図4は、図1のA矢視に対応する側面図であり、図3は、図2のB矢視に対応する部分断面正面図である。これらの図に示すように、シート3は、乗員の臀部を支持するシートクッション4と、乗員の腰部および背部を支持するシートバック5とを備え、シートバック5がシートクッション4の後端部に傾動可能に連結されるとともに、シートクッション4がシートレール6を介して車体フロア7上に前後方向にスライド可能に取り付けられている。
シートクッション4の後端部には、車幅方向に延出するクロスメンバを兼ねるヒンジ軸8が設けられ、シートバック4の下端がこのヒンジ軸8に回動可能に支持されている。そして、ヒンジ軸8の車幅方向外側の端部は、シート3の側部から突出する延長部9とされ、その延長部9には、先端部に屈曲壁10aを有する略L字状のブロックから成る荷重伝達アーム10(荷重伝達部材)が回動可能に取り付けられている。荷重伝達アーム10は、その付根部側がヒンジ軸8の延長部9に回動可能に支持されるが、荷重伝達アーム10とシート3の間には、荷重伝達アーム10を一方向に回転付勢する捩りばね11(付勢部材)が設けられている。具体的には、荷重伝達アーム10は、基本的に、その先端部側が車体後方側斜め上方から下方に向くようにヒンジ軸8に組み付けられ、捩りばね11によって車体後方側下方に向けて付勢されている。
一方、センターピラー2の車室内側面には、車体前方側に向かって斜め下方に傾斜する板状のカム部材12が取り付けられている。このカム部材12の上面側には、捩りばね11によって付勢された荷重伝達アーム10が常時当接するようになっている。荷重伝達アーム10とカム部材12の形状やサイズ、傾斜角等は、シート3の前後のスライド位置に応じて、荷重伝達アーム10が所定の軌跡で回動変位するように設定されている。具体的には、シート3が後端側のスライド位置にある場合には、図2に示すように荷重伝達アーム10が付根部寄りの下面でカム部材12に当接することにより、センターピラー2のほぼ車体前後方向の幅内に収まるように立ち上がり、逆に、シート3が前端側のスライド位置にある場合には、図4に示すように荷重伝達アーム10が先端側の屈曲壁10aの下面でカム部材12に当接することにより、車体後方側に略水平に向くように傾斜し、少なくとも屈曲壁10aがセンターピラー2の車体前後方向の幅内に位置されるようになっている。
なお、後述するように車両の側面衝突時には、センターピラー2が荷重伝達アーム10の側面に当接する。したがって、この実施形態においては、荷重伝達アーム10の側面が荷重伝達部を構成し、荷重伝達アーム10、捩りばね11、カム部材12等が衝突エネルギー吸収装置1の荷重伝達機構13を構成するようになっている。
以上の構成において、図2に示すようにシート3を後端側のスライド位置まで変位させると、荷重伝達アーム10がカム部材12で案内されることによって立ち上がり方向に変位し、その外側側面がセンターピラー2の車幅方向内面と対向するようになる。この状態においては、荷重伝達アーム10がほぼセンターピラー2の車体前後方向の幅からはみ出すことがないため、荷重伝達アーム10が後席側の居住空間を圧迫したり、後席において乗員の乗降の支障を来たすこともない。
このようにシート3が最後端位置にスライド調整された場合に、側面衝突荷重が入力されると、センターピラー2が車幅方向内側に変位して荷重伝達アーム10の側面に当接し、荷重伝達アーム10の付根部において衝突荷重がシート3のヒンジ軸8に伝達される。これにより、センターピラー2の倒れが荷重伝達アーム10を介してシート3によって支えられるようになり、この間に衝突エネルギーが充分に吸収される。
一方、シート3を、図4に示すように前端側のスライド位置まで変位させると、荷重伝達アーム10がカム部材12によって案内されて車体後方側に略水平に向き、先端側の屈曲壁10aの側面がセンターピラー2の車幅方向内面と対向するようになる。この場合も、荷重伝達アーム10はセンターピラー2よりも後方側に突出することがないため、後席側の居住空間を圧迫したり、乗降の支障を来たすことがない。
このようにシートが最前端位置にスライド調整された場合に、側面衝突荷重が入力されると、センターピラー2が車幅方向内側に変位して荷重伝達アーム10の先端側の側面に当接し、荷重伝達アーム10の付根部において衝突荷重がシート3のヒンジ軸8に伝達される。したがって、この場合も、センターピラー2の倒れがシート3によって確実に支えられる。
なお、以上では、シート3を最後端位置と最前端位置に夫々調整したときについて説明したが、シート3を最後端位置と最前端位置の間の任意の位置に調整したときにも、荷重伝達アーム10はセンターピラー2の後方側にはみ出すことなく、側面の少なくとも一部がセンターピラー2の車幅方向の内側面と対向する。このため、シート3が前後のいずれの位置に調整された場合にも、後席側の居住スペースや乗降性を犠牲にすることなく、センターピラー2の倒れを荷重伝達アーム10を介してシート3によって支持させることができる。
この実施形態においては、シート3のヒンジ軸8をクロスメンバとして利用したものであるが、ヒンジ軸8とは別にシート3にクロスメンバを設け、そのクロスメンバに荷重伝達アーム10を回動可能に連結するようにしても良い。ただし、この実施形態のようにヒンジ軸8をクロスメンバとして利用した場合、部品点数の削減が可能になるとともに、荷重伝達アーム10がシートバック5の傾動操作の影響を受けなくなるという利点がある。
また、上記の第1の実施形態においては、荷重伝達アーム10を肉厚のブロックによって構成したが、図5,図6に示す第2の実施形態のように、荷重伝達アーム110を車幅方向に沿うビード20が複数形成された波板形状としても良い。この場合、荷重伝達アーム110に車幅方向に沿う複数のビード20…が設けられているため、センターピラー2から荷重伝達アーム110に側面衝突荷重が入力されたときに、隣接するビード20,20間に作用するせん断応力によって荷重伝達アーム110の潰れを有効に防止することができる。したがって、この実施形態の場合、荷重伝達アーム110の肉厚増加を招くことなく、側面衝突荷重をシート3に確実に伝達することができる。
ただし、このように荷重伝達アーム110を波板状に形成した場合には、荷重伝達アーム110の車幅方向の占有幅が大きくなって後席の居住空間が狭められるようになるが、図7に示す第3の実施形態のように、荷重伝達アーム210の後席側に臨む車幅方向内側領域が略円弧状に欠損する略直角三角形状に形成すれば、居住性の犠牲をより少なくすることができる。なお、図7中、nは、後席に着座した乗員の膝のイメージを示す。
また、荷重伝達アームは、図8に示す第4の実施形態のように(同図中、荷重伝達アームは、符号310で示す。)箱型の閉断面形状に形成したり、図9に示す第5の実施形態のように(同図中、荷重伝達アームは、符号410で示す。)車幅方向に沿う複数のリブ30…を設けるようにしても良い。
つづいて、図10,図11に示す参考例について説明する。
この参考例の衝突エネルギー吸収装置501は、第1の実施形態と同様に、車体フロア7に前後スライド可能に取り付けられたシートクッション4の後端にヒンジ軸8が設けられ、そのヒンジ軸8(クロスメンバ)の延長部9に荷重伝達アーム10が回動可能に取り付けられているが、その荷重伝達アーム10のセンターピラー2の車室内側面に臨む側面にはローラ状の嵌合部40が突設され、センターピラー2の車室内側面には嵌合部40が転動自在もしくは摺動自在に嵌合される長孔状のガイド溝41が形成されている。このガイド溝41は、第1の実施形態におけるカム部材12と捩りばね11に相当する機能を持ち、シート3のスライド位置に応じて荷重伝達アーム10の姿勢を所定に調整、具体的には、荷重伝達アーム10の先端部側が常にほぼセンターピラー2の車体前後方向の幅内に収まるように調整するようになっている。
なお、この参考例の場合、センターピラー2側のガイド溝41の底部41aと荷重伝達アーム10側の嵌合部40が荷重伝達部を構成し、荷重伝達アーム10、嵌合部40,ガイド溝41等が衝突エネルギー吸収装置501の荷重伝達機構513を構成するようになっている。
この衝突エネルギー吸収装置501の場合も、シート3の前後位置をスライド調整すると、嵌合部40がガイド溝41内を案内されて荷重伝達アーム10の先端部側がセンターピラー2の車体前後方向の幅内にほぼ収まるように姿勢調整されるため、シート3がいずれの位置にあるときに側面衝突荷重が入力されたとしても、その側面衝突荷重をセンターピラー2から荷重伝達アーム10を介してシート3のヒンジ軸8に確実に伝達することができる。したがって、側面衝突荷重の入力時には、センターピラー2の倒れをシート3によって確実に規制し、衝突エネルギーを効率良く車体で吸収することができる。
次に、図12,図13に示す別の参考例について説明する。
この参考例の衝突エネルギー吸収装置601は、車体フロア7に前後スライド可能に取り付けられたシートクッション4の後端にクロスメンバを兼ねるヒンジ軸8が設けられ、そのヒンジ軸8の端部が車幅方向外側に突出して荷重受け突起50とされるとともに、センターピラー2の車幅方向の内側面に車体前方側に延出する荷重伝達アーム51が固定されている。そして、荷重伝達アーム51の車室内側面には車体前後方向に沿うガイド溝52が形成され、そのガイド溝52内にシート3側の荷重受け突起50が摺動自在に嵌合されている。荷重受け突起50は、シート3の前後方向のスライド変位に応じてガイド溝52内を変位し、ガイド溝52の底部52aに当接して荷重伝達アーム51から側面衝突荷重が伝達されるようになっている。
なお、この参考例の場合、荷重伝達アーム51のガイド溝52の底部52aと荷重受け突起50が荷重伝達部を構成し、荷重伝達アーム51、ガイド溝52、荷重受け突起50等が衝突エネルギー吸収装置601の荷重伝達機構613を構成するようになっている。
シート3を任意のスライド位置に変位させた場合、シート3の後端側側部の荷重受け突起50が荷重伝達アーム51のガイド溝52内をその変位に応じた位置まで移動し、その位置において、ガイド溝52の底部52aに荷重受け突起50の端面が対峙するようになる。したがって、シート3がいずれのスライド位置にある場合にも、荷重受け突起50の端面が荷重伝達アーム51のガイド溝52の底部52aに必ず対面し、側面衝突荷重がセンターピラー2に入力されると、荷重伝達アーム51のガイド溝52の底部52aが荷重受け突起50に当接し、その荷重がシート3のヒンジ軸8によって確実に支持される。この結果、センターピラー2の倒れがシート3によって規制され、衝突エネルギーが車体全体で効率的に吸収されるようになる。
また、この衝突エネルギー吸収装置601の場合、シート3の前後のスライド位置が調整されると、荷重受け突起50とガイド溝52の相対位置が変化するが、ガイド溝52が形成される荷重伝達アーム51は、車体前方側に延出した状態でセンターピラー2に固定されているため、後席の居住性や乗降性を何ら犠牲にすることがない。
なお、この発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。
この発明の第1の実施形態を示すものであり、この発明にかかる衝突エネルギー吸収装置を適用した車両が、他の車両の側面に衝突するときの様子を示す模式図。 同実施形態を示す図1のA矢視に対応する側面図。 同実施形態を示す図2のB矢視に対応する部分断面正面図。 同実施形態を示す図1のA矢視に対応する側面図。 この発明の第2の実施形態を示す斜視図。 同実施形態を示す斜視図。 この発明の第3の実施形態を示す平面図。 この発明の第4の実施形態を示す斜視図。 この発明の第5の実施形態を示す斜視図。 参考例示すものであり、図1のA矢視に対応する側面図。 参考例を示す図10のC矢視に対応する部分断面正面図。 別の参考例を示すものであり、図1のA矢視に対応する側面図。 参考例を示す図12のD矢視に対応する部分断面正面図。
符号の説明
…衝突エネルギー吸収装置
2…センターピラー(ピラー)
3…シート
8…ヒンジ軸(クロスメンバ)
10,110,210,310,410…荷重伝達アーム(荷重伝達部材)
11…捩りばね(付勢部材)
12…カム部材
13…荷重伝達機構

Claims (1)

  1. 乗員の着座するシートの後部側側方に、車体側部の強度部材であるピラーが設けられ、車体の側方からこのピラーに入力される衝突荷重を前記シートによって吸収する車両の衝突エネルギー吸収装置において、
    前記シートは、車両前後方向にスライド変位可能に設けられ、
    前記シートには、車幅方向の外側に延出するクロスメンバが設けられ、
    前記クロスメンバと前記ピラーの間には前記衝突荷重を前記シートに伝達する荷重伝達機構が設けられ、
    前記荷重伝達機構は、
    前記クロスメンバに回動可能に連結された荷重伝達部材と、
    前記ピラーに固定され、前記荷重伝達部材に当接して、前記シートのスライド位置に応じて前記荷重伝達部材を回動変位させるカム部材と、
    前記荷重伝達部材を常時前記カム部材方向に付勢する付勢部材と、
    を備えていることを特徴とする車両の衝突エネルギー吸収装置。
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