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JP5305263B2 - 発電用圧電体 - Google Patents
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JP5305263B2 - 発電用圧電体 - Google Patents

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Description

本発明は、圧電性セラミックス(磁器)を用いた発電用圧電体に関する。
近年、小型の携帯型電子機器が日常的に利用されるようになり、それに伴って充電が不要な各種の自立型の発電方式の開発が進められている。例えば、時計用の電源としての回転型発電機構(Automatic Generating System, AGS)や熱電発電による発電技術が実用化段階に達している。また自然振動を利用した発電や波力発電等の低環境負荷の発電手法にも開発要請が高まっている。
力学的なエネルギーから電気エネルギーを得る方法としては、上記の発電方式の他に、ピエゾ(圧電体)素子を用いる方法が古くから知られている。この方法は、元来、発生電圧のレベルが大きいことから、当初は内燃機関用の着火源として開発され、その後、ガスレンジ、湯沸器、炊飯器等の家庭用点火器具、ライター用着火電源として用いられている。これらの着火電源の原理は、圧電着火素子に機械的な応力を印加することにより高い電圧を発生させ、ガス中でスパーク放電させるものである。ピエゾ素子を用いる発電方法は、小型で簡素であることから、近年自立型のマウス、自家発電機構(靴底)、発光素子として比較的小型小電力用の発電用途に利用され始めている。
特許文献1には、板状の2枚の圧電セラミックス素子を分極を逆向きにして接合した層状のセラミックス板としてこの一方または両面を殴打して発電する構造が記載されている。
また、特許文献2、特許文献3、及び特許文献4には積層型の圧電素子を用いた発電構造体が記載されている。
また、近年、小型で集積化されたセンサ端末をネットワーク化して用いるセンサネットワーク技術が進展してきており、この分野に適した電源開発が新たな技術開発要素となっている。ここでは、必ずしも既存の電池程度の出力を必要としないものの、簡素で継続的な電力供給が必要であり、外部振動や自己励振等の振動から電力を発生することが要請されており、例えば、特許文献5、特許文献6、及び特許文献7には小型センサ端末を用いた動物の健康管理技術に関する発明が示されており、これらの装置においても低消費電力の電力開発機構の開発が要請されている。
特許文献8には、圧電素子の各種の特性を測定するための実験装置が記載されている。
特開2001−145375号公報 特開平8−321642号公報 特開平11−146663号公報 特開2006−32935号公報 特開2008−151555号公報 特開2008−151562号公報 特開2008−152432号公報 特開2003−65913号公報
上述のごとく、小型の電子機器類用の発電機構としては、発電単位素子の出力性能を最大限にする、または単位体積当たりの出力性能を向上させるような基本構造を採用することにより、素材の作製および準備条件を最適化して特性の向上を図る必要がある。
しかし、特許文献1に記載のものは、発電の基本構造体を縦方向に積層または横方向に展開することにより高い出力化は可能であるが、体積あるいは面積が増加することになり小型構造体への組み込みを想定した応用においては、新たな発電構造体の基本素子の開発が必要となる。
また、特許文献2〜4に記載のものは、圧電素子の素子材質についてはヤング率の最適化や分極電界の最適化に関して触れられておらず、発電体としての特性の向上を最適化するための圧電素子作製上の必要な条件については記載されていない。
本発明の目的は、適正な添加物を適正な量添加することにより、単位体積当たりの発電量を向上させた発電用圧電体を提供することにある。
前記課題を解決するため、本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、一定の機械的エネルギーが印加されることにより、電気的エネルギー量を効率よく出力されるためには、低弾性率かつ高い誘電率の素子からなる圧電体を用いることが有効であることを知見した。ここで、圧電体(圧電性材料)が示す圧電効果には、一般に、電気入力を機械出力に変換する圧電逆効果と、機械入力を電気出力に変換する圧電正効果とが存在する。後者は発電特性であり、以下では圧電正効果を示す圧電体を圧電発電体と記す。
圧電発電体の発電特性については、圧電発電体自身の弾性率と誘電率とがパラメータとなっていると考えられる。圧電発電体に関する特性が発現する機構は、機械的な入力に対して弾性率に応じた歪によって、電気エネルギーが圧電体の内部に一旦蓄積される。この際に圧電体の誘電率に応じて蓄積されるエネルギー量が決定される。
従って、母材となる圧電体(以下、圧電素子と呼ぶことがある。)に微量の添加物を加えて、弾性率及び誘電率が制御された均質な固溶体を作製することにより、その出力特性を制御することが可能となる。
本発明は、本発明者らによる前記知見に基づくものであり、上記課題を解決するための本発明の請求項1に係る発電用圧電体は、酸化鉛、酸化ジルコン、酸化チタンをPZT(52/48)の相境界組成となるようにした母材に添加物としてニオブが1モル%添加され、1150℃〜1300℃で焼成処理され、かつ1.5kV/cmの分極電界で分極処理され、誘電率が1000F/m以上、弾性率が40Pa以下、圧電率が200m/Vであり、初期荷重を4〜5MPaとし、荷重変動振幅を3〜4Mpaとして加振回数を3.0×10回行ったときに初期電圧の±15%を維持する複数の圧電素子が、それぞれの圧電素子の同極同士を対向させて電極を介して積層され、
最外の前記圧電素子の両端に設けられた電極、及び前記圧電素子間に設けられた電極のうち、同極の電極同士を接続した出力端子を有することを特徴としている。
前記母材としては、圧電発電体であるチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)が好ましい。以下、前記母材を「PZT」と呼ぶことがある。
前記添加物としては、ペロブスカイト結晶構造のBサイトに導入され、低弾性率素子として前記母材にドナーを供給できる元素が好ましい。そのような元素の例としては、ニオブ、タングステン、タンタル、ランタン、アンチモン、ビスマス、トリウムの酸化物が挙げられる
請求項1に記載の発明によれば、ヤング率が1割程度減少しそのために蓄積可能な弾性エネルギー量が増加し、それに伴って、印加される力学的エネルギーに対して電気エネルギーの出力を大幅に向上させることができる。
特に、添加物としてニオブが母材に1モル%添加されたことにより、印加される力学的エネルギーに対する電気エネルギーの出力が特に向上した発電用圧電体を提供することができる。
初めに、本発明に係る圧電素子の製造について説明する。まず、原料となる粉末状原料を用意する。粉末状原料である酸化鉛、酸化ジルコン、酸化チタンをPZT(52/48)の相境界組成となるようにし、さらにニオブを1モル%添加した組成になるように酸化ニオブを電子天秤を用いて秤量する。次にこれらの原材料をアルコール及びジルコニアボールとともに混合用のモノポットへ投入し、約1日ほどボールミルを用いて混合する。混合を終了した粉体はホットスターラーを用いてアルコール成分の蒸散を行った後に、一昼夜の間80℃以上のオーブン中で水分の蒸発を行う。乾燥後の粉末を、#100メッシュを用いて分級した後、天秤を用いて10〜20グラム程度に秤量し成型治具により、仮成型を行う。
仮成型した圧粉体を、電気炉中で熱処理を行う。熱処理は、まず600℃で2時間行うことにより、仮成型時に付着したベークライトの焼散を行う。その後に、800℃2時間の仮焼結を行う。仮焼結を行った成型体は、再度粉砕する。粉砕は、モノポットにアルコールとジルコニアボールを入れ約1日粉砕する。粉砕粉末とアルコールをホットスターラーにより、アルコール分の蒸散を行い、乾燥粉末を80℃以上のオーブン中で水分乾燥を約1日行う。乾燥した粉末は#100メッシュにより分級し、その後には、ポリビニルアルコール(PVA)の3%溶液を添加し造粒する。造粒粉末は#40メッシュにより分級する。分級された粉末を成型し、成型体を焼成炉に入れ、600℃2時間の熱処理を行い、成型時に付着したベークライトの焼散を行う。その後に1200℃2時間の本焼成を行い、バルク成型体の焼結作業を完了する。
続いて、バルク成型体を用いてサンプルの電気分極と成型作業を行う。成型したサンプルは上下面の平行度を10ミクロン程度以下になるように研磨・平滑化を行い、その後に上下面に電極を形成する。電極形成は、白金コータを用いて120秒の成膜によって50nmの白金膜を形成する。
次に、電極形成された素子の分極処理を行う。この素子を専用の分極ホルダに設置して、シリコンオイルの入ったオイルバス中に浸す。オイルバスの温度はヒータにより制御し、約1時間かけて150℃に保つ。150℃になったオイルバス中で素子には1mmの厚み当たり1.5kV以上の分極電界を30分印加する。オイルバスの温度が室温に戻った後に取り出した圧電素子は、80℃のオーブン中に1日置いて分極を安定化させ、最終的に圧電素子を得る。
以上の製造法によって作製された圧電素子を実験装置により各種の測定を行う。実験装置は、特許文献8に記載されているような公知の装置を利用する。このような装置を利用して、圧電素子に静加力を印加して、その際発生する各種の電気量を測定する。より詳細には、ロードセルを介して圧電素子に静加力を印加し、力学的エネルギーが圧電素子の電極を介して外部回路に電気的エネルギーとして出力される。出力はDCアンプにより増幅され、デジタルマルチメータにより出力電圧が記録される。また、出力電力は外部回路に設けられた外部抵抗を利用して算出される。
以下に実験結果について説明する。
図1は、圧電素子に加えた荷重と、その荷重を加え急激に除荷したとき得られる出力電力との関係を示すグラフであり、横軸は荷重(kN)、縦軸は出力電力(W)である。図1(a)はニオブを1モル%添加した素子厚10mmのPZTと無添加の素子厚10mmのPZTとの出力電力の比較を示すグラフであり、図1(b)はニオブを1モル%添加された素子厚5mmのPZTと無添加の素子厚5mmのPZTとの出力電力の比較を示すグラフであり、図2(a)はニオブを1モル%添加された素子厚2.5mmのPZTと無添加の素子厚2.5mmのPZTとの出力電力の比較を示すグラフであり、図2()はニオブを1モル%添加された素子厚1mmのPZTと無添加の素子厚1mmのPZTとの出力電力の比較を示すグラフであり、図3はニオブを1モル%添加された素子厚0.5mmのPZTと無添加の素子厚0.5mmのPZTとの出力電力の比較を示すグラフである。これらのグラフに示すように、ニオブを1モル%添加することにより、出力電力が添加しないものに比べて1桁程度出力電力が向上しており、アクセプタ原子の添加に伴いヤング率の減少が出力電力の向上に大きく貢献しているものと考えられる。また、素子厚は10mmと5mmとではほぼ同様の結果が得られた。なお、図示していないが、添加物として、ニオブ以外に、タンタル、タングステン、ランタン、アンチモン、ビスマス、トリウムも有効であり、また添加量は0.01〜10モル%が好ましく、0.1〜4モル%がより好ましく、0.02〜3モル%がさらに好ましく、1モル%が特に好ましい。
図4は、圧電素子を作製する過程で行われる分極処理の際、印加される分極電界と出力電力との関係を示すグラフである。横軸は分極電界(kV/mm)、縦軸は出力電力(W)である。
同図に示すように、出力電力は、印加力(2kN、6kN、10kN)が大きくなるに従い、かつ分極電界が大きくなるに従って次第に大きくなり、1.5kV/mm以上の分極電界においてほぼ一定の最大出力電圧が得られることが分る。
図5は圧電素子および圧電素子が積層された圧電素子構造体(圧電体)の構成を示す図である。
図5(a)は10mmの厚さを有する圧電素子、図5(b)は圧電素子が2つ積層され全体として10mmの厚さを有する圧電素子構造体、図5(c)は圧電素子が3つ積層され全体として10mmの厚さを有する圧電素子構造体、図5(d)は圧電素子が4つ積層され全体として10mmの厚さを有する圧電素子構造体を示す断面図である。
これらの図において、1は添加物としてニオブが1モル%添加され、分極処理の過程で分極電界が1.5kV/mm印加されて作製された圧電体、2は電極、3,4は出力端子である。なお、圧電体1の上下面に電極2が形成されて圧電素子が構成され、積層された各圧電素子の電極2は同極同士が接続されて出力端子3,4が形成される。
図6(a)は図5に示した圧電素子または圧電素子構造体における圧電素子の積層数と出力電圧との関係を示すグラフであり、横軸は積層数、縦軸は出力電圧(V)である。図6(b)は図5に示した圧電素子または圧電素子構造体における圧電素子の積層数と出力電力との関係を示すグラフであり、横軸は積層数、縦軸は出力電力(W・s)である。
これらの図に示すように、圧電素子および圧電素子構造体の厚さ(10mm)が一定の場合、印加力(1kN、4kN、7kN、10kN)が大きく、圧電体(電極)の数が多い程、大きな出力電圧および出力電力が得られることが分る。つまり、図5に示すように、圧電素子および圧電素子構造体の全体の厚さは一定(10mm)であり、圧電素子を分割する程、大きな出力電圧および出力電力が得られる。換言すると、同じ体積を有する圧電素子または圧電素子構造体において、圧電体(または電極)の数を増加する程、大きな出力電圧および出力電力が得られる。
図7は図5に示した圧電素子または圧電素子構造体を構成する圧電素子の厚さと出力電力との関係を示すグラフであり、横軸は圧電素子の厚さ(mm)、縦軸は出力電力(W・s)である。
これらの図から明らかなように、印加力(1kN、4kN、7kN、10kN)が大きく、圧電素子の厚さが4ないし8mm、好ましくは5mmのとき、大きな出力電圧および出力電力が得られることが分る。
以上述べたように、本発明に係る圧電素子および圧電素子構造体の出力電力および出力電力は圧電素子の添加物及び分極電界に依存しており、出力特性を最大限利用するためには、ニオブ等のアクセプタとなる元素を添加することと分極電界が1.5kV/mm以上の分極処理を行った圧電体を用いることが必要である。
また、圧電素子および圧電素子構造体の出力電力および出力電力は、圧電素子の体積の大きさに依るのではなく、単位体積当たりの圧電体(電極)の数に依存していることが分かる。これにより、単位体積当たりの発電量を向上させるための構造として、単位体積当たりの圧電素子を複数の積層構造とすることが有効であることが分かる。従来の知見から、基本単位の積層化により出力を向上させることの可能性は示唆されるところであるが、今回の発明は電極分割の有効を示すものであり、新たな基本構造として今後本分野に適用することが可能となる。
上記において、圧電素子に静加力を印加する実験について説明したが、圧電素子は、振動力が印加される状況下で使用されることが多いことを考慮して、振動試験を行った。以下に、振動試験およびその結果について説明する。
図8は、振動試験に使用したPZT構造を示す図である。
図8(a)は、直径16mm、厚さの10mm単層タイプのPZT、図8(b)は、5mmを2枚重ねた2層タイプのPZTを示す図である。図8(c)は、PZTにNbを加えたもの(○)と、加えないもの(×)の合計4種類のPZT(A−1,A−2,B−1,B−2)を示す表である。
これらのPZTには両端および各PZTの間に電極として直径16mm厚さ2mmの黄銅が貼り付けてあり、PZT端面には+極と−極の電極処理が施されている。
図9は、振動試験装置の全体構造を示す図であり、図9(a)は、振動試験装置の平面図、図9(b)は、振動試験装置の側部概略図である。
同図に示すように、振動試験装置は水平振動台に設置される。66.4kgの錘13の側面に荷重計12を取り付けた治具へPZT11を挟み込んで、反対側の側面に防振ゴム17を介して初期荷重を加え、水平方向に錘13によって加振する構造である。錘13の四方には、軸方向と軸の直交方向を計測する加速度計が6〜9が取り付けられ、水平振動台には加振方向に対する加速度計5,10が取り付けられている。
本試験では、ジャッキ14を用いて加振方向に加力し、初期荷重を与えた後に、錘13によって加振方向に単一正弦波加振を行った。初期荷重の条件は、0.5KN(2.49MPa)、1KN(4.97MPa)、1.5KN(7.46MPa)の3ケースとし、加振振動数は3Hz、4Hz、5Hz、10Hz、15Hz、20Hz、25Hz、30Hz、35Hzの9ケースとした。また、加振振幅は2〜5m/sの間を4ケースとした。このときのPZT11に作用する荷重および発生電圧、錘13の加速度が時刻歴データとして計測された。
図10は、振動試験の一例として、単層PZT(+Nb)に対して初期荷重1.5KN、加振加速度5m/s、加振振動数35Hzの場合の錘13の加速度、変動荷重およびPZTの発生電圧の時刻歴を示す図である。
図11および図12は、単層PZTについて、初期荷重、加振振動数およびNbの有無が発生電圧および発生電力量に及ぼす影響を示す図である。
同図において、発生電力量は発生電圧の時刻歴から1周期あたりの電力を求めて1時間あたりに換算したものである。本振動試験においては、振動試験体の固有振動数が約70Hzであるため、加振振動数を増加させていくと錘の応答が次第に増幅する。このため、ここでは各加振振動数におけるPZTの荷重振幅を3Hz加振時の荷重振幅(F(N))で基準化し、各加振試験における発生電圧を換算した。これらの図から、発生電圧は振動数に比例して、また、電力量はほぼ2乗に比例して増加することがわかる。
図13および図14は、2層PZTの初期荷重、振動数およびNbの有無が発生電圧および発生電力量に及ぼす影響を示す図である。
同図に示すように、積層した場合も、単層と同様に発生電圧は振動数に比例し、発生電力量はほぼ2乗に比例して増加することがわかる。また、発生電圧は単層PZTに対してほぼ積層数倍して増加する。
図15は、各PZTにおいて荷重速度が発生電圧に及ぼす影響を示す図である。
同図に示すように、発生電圧は荷重速度の増加にほぼ比例していることがわかる。PZTの発生電圧は、振動数というよりも荷重の変化、すなわち、PZT積層体の圧縮歪み速度に比例していると考えられる。本試験範囲では、各条件とも35Hzの加振時で最大電圧および最大電力を発生し、このときNbを加えたPZTはNbを加えないPZTに対して発生電圧でおよそ7倍、発生電力量でおよそ15倍高いことが明らかになった。また、各振動試験とも、初期荷重が発生電圧および発生電力量に及ぼす影響は小さいことがわかった。各初期荷重条件下において、振動発電試験を繰り返したが、PZTが破損することはなかった。
次に、母材に添加物を添加しない圧電体の厚さと、単位面積当たりの荷重変動を応力速度として定義したものが発生電圧に及ぼす影響との関係を図16に示す。なお、圧電体の厚さとしては、10mm,3.3mm,2.5mmの3例を試行した。また、図16中の横軸「Pω/A」は、応力速度を示し、荷重変動振幅P(KN)、振動の角振動数ω(1/s)、素子の断面積A(m)によって与えられる。
また、母材にNbを1mol%添加した圧電体において厚さ10mm,3.3mm,2.5mmについて同様の試験を行った。その結果を図17に示す。
図16及び図17に示すように、圧電体について応力速度の増加に比例して発生電圧が増加し、Nbを添加することにより、発電特性が大幅に向上することが認められた。
また、母材に添加物を添加した圧電体、及び母材に添加物を添加しない圧電体のどちらのケースも圧電体の厚さ依存性は比較的小さいことが認められた。
図18は、厚さ10mmの試験片(圧電体)に対して、母材に添加されたNbの添加濃度が発生電圧に及ぼす影響と応力速度との関係を示したグラフである。
図18に示すように、Nbの添加濃度は1mol%をピークとして発電特性が向上し、この添加濃度が4mol%を超えると、添加物を添加しない圧電体と同程度の発電特性まで低下する。
すなわち、0.1mol%〜4mol%程度の添加量で母材に添加物を添加した圧電体は、母材に添加物を添加しない圧電体に比べて発電特性の向上が観察された。一方、これ以上の添加量ではむしろ母材に添加物を添加しない圧電体に比べて特性が劣るような結果となっていた。
このように、Nbの添加濃度には出力電圧のピークを呈する最適値が存在し、本実施例においては、1mol%の添加濃度が最適値であった。Nbの添加濃度を1mol%とした圧電体は、添加物を添加しない圧電体に比べて、約9.8倍の電圧を発生するという顕著な効果を奏することが確認できた。これは、Nbの添加濃度によってNbのPZT内への溶け込み方に差が生じたことが原因と思われる。
図19は、母材として、厚さ10mmのPZTを用い、この母材に添加物を添加しない圧電体、および各種添加物(Nb,Fe,Ta,W)を母材に1mol%添加した圧電体について応力速度が発生電力量に及ぼす影響を示すグラフである。なお、発生電力量は発生電圧の時刻歴から電力を求め、これを時間積分して求めたものである。
図19に示す結果から、Nbの添加濃度を1mol%とした圧電体は、添加物を添加しない圧電体に比べて、約136倍もの電力量を発生するという顕著な効果を奏することが確認できた。また、Nb以外の添加物として、TaをPZTに添加した場合においても、FeやWをPZTに添加した場合と比べて比較的大きな発生電力量を得られることがわかった。そして、各種添加物が母材に添加された圧電体のいずれも、応力速度が増加すると発生電力量が増加し、発生電圧の二乗に比例していることも確認された。
図20は、母材として、厚さ10mm、直径16mmのPZTを用い、この母材に添加物を添加しない圧電体についてヤング率を計測した結果としての応力―ひずみ線図であり、図21は、Nbを母材に1mol%添加した圧電体についてヤング率を計測した結果としての応力―ひずみ線図である。なお、この結果は、歪ゲ−ジを素子の側面の取り付け、印加された力に対して発生した歪計測を用いて得られたものである。
図20及び図21から、Nbを母材に1mol%添加した圧電体のヤング率が32.8kNとなり、母材に添加物を添加しない圧電体のヤング率44.3kNに比べて、20%ほど低減されていることがわかる。
図22〜24は、Nb以外の添加物を母材に添加した圧電体の発電特性を示す図である。具体的には、図22は、添加物として、鉄を母材に添加した圧電体の発電特性を示す図であり、図23は、添加物として、タンタルを母材に添加した圧電体の発電特性を示す図であり、図24は、添加物として、タングステンを母材に添加した圧電体の発電特性を示す図である。
ここで、この発電特性の計測は、図25に示す装置を用いて行った。具体的には、サンプルには、ロードセルを介してプレス機による力を印加する。素子の上下電極から取り出された電圧は抵抗1MΩの持つ電圧記録計により記録されたのち、パソコンへ取り込む。また、印加した力はアンプを介してパソコンへ取り込む。ここで、ロードセルは共和電業製LU−10KSB34Dを用い、記録計はNEC製オムニエースRA2300を用いた。
また、図22では、添加物として同じ鉄のサンプルを用いて、3回(Fe−1,Fe−2,Fe−3)試行した結果を示し、図23では、添加物として同じタンタルのサンプルを用いて、4回(Ta−1,Ta−2,Ta−3,Ta−4)試行した結果を示し、図24では、添加物として同じタングステンのサンプルを用いて、4回(W−1,W−2,W−3,W−4)試行した結果を示した。この試行は、同じ添加物におけるバラツキを確認するために行ったものである。
図22に示すように、添加物として、鉄を母材に添加した場合は、発電特性が著しく低減した。これは、鉄が、高い弾性率素子としてアクセプタを供給できる元素であることに起因すると考えられる。鉄と同様に、Bサイトに導入されるとアクセプタの供与源となる元素としては、クロム、マンガン、コバルト等が挙げられる。
また、図23に示すように、添加物として、タンタルを母材に添加した場合は、母材にニオブを添加した場合と同程度の発電特性の増加がみられた。
また、図24に示すように、添加物として、タングステンを母材に添加した場合は、母材に添加物を添加しない場合と同程度の発電特性を示した。
図26〜28は、添加物として、Nb,Fe,Ta,Wを母材(PZT)に添加した圧電体における添加量と、誘電率、弾性率、および圧電率との関係を示すグラフである。なお、圧電体は、焼成温度:1260℃、直径:15.96±0.02(mm)、厚み:10.023±0.031(mm)、質量:15.3409±0.3345(g)、分極条件:2kV/mmとして作製した。
図26では、発電特性の大きな素子は誘電率が大きく、発生した電荷を蓄積することが可能であることが示されている。また、図27では、発電特性の大きな素子は、弾性率の小さな素子となっており、このために単位印加力により生じる素子歪が大きくなることが示されている。これらのことは図28に示した圧電率にも表れている。すなわち、圧電率(圧電定数d33)は、誘電率と弾性率逆数の積の平方根に比例しており、弾性率が小さく、誘電率が大きい、いわゆる高い圧電発電特性をもつ圧電体はこの圧電率が大きくなっている。
図29は、図9の振動試験装置を用いて、各初期荷重条件下において発電試験を実施したときの振動振幅の経時変化を示す図であり、図29(a)は、加振していない状態での振動振幅の経時変化を示す図、図29(b)は、加振回数を10[cycle]として加振したときの振動振幅の経時変化を示す図である。
また、図30は、各初期荷重条件下において発電試験を実施したときのサーボ加速度の経時変化を示す図であり、図30(a)は、加振していない状態でのサーボ加速度の経時変化を示す図、図30(b)は、加振回数を10[cycle]として加振したときのサーボ加速度の経時変化を示す図である。
また、図31は、各初期荷重条件下において発電試験を実施したときの錘の加速度の経時変化を示す図であり、図31(a)は、加振していない状態での錘の加速度の経時変化を示す図、図31(b)は、加振回数を10[cycle]として加振したときの錘の加速度の経時変化を示す図である。
また、図32は、各初期荷重条件下において発電試験を実施したときの圧電体から出力される電圧の経時変化を示す図であり、図32(a)は、加振していない状態での圧電体から出力される電圧の経時変化を示す図、図32(b)は、加振回数を10[cycle]として加振したときの圧電体から出力される電圧の経時変化を示す図である。
また、図33は、各初期荷重条件下において発電試験を実施したときの、Nbが添加された圧電体、及び添加物が添加されていない圧電体から出力される電圧の耐久性の試験結果を示す図である。なお、各初期荷重条件下において、発電試験を繰り返し実施したが、PZTが破損することはなかった。また、上記発電試験の実験条件を下記に示す。
図29〜図33に示す結果より、加振回数を10[cycle]として加振した発電試験中は出力の低下は殆ど見られず安定した出力を示していることがわかる。
―実験条件―
・初期荷重 :1[kN] 4.97[MPa]
・母材 :PZT(添加物なし)
・母材の厚み :10[mm]
・加振振動数 :30[Hz]
・加振加速度(設定値) :3[m/s]
・加振加速度(錘部) :3.54[m/s]
・荷重変動振幅(計算値):235[N] 3.67[MPa]
・荷重変動振幅(計測値):183.8[N] 2.87[MPa]
本発明の圧電素子構造体は、電気、機械、メカトロニクス、エレクトロニクス、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems(微小電気機械システム))、MST(Micro System Technology)、マイクロマシン、ナノテクノロジー、電気電子機器、情報通信機器等の分野において、力学的な入力エネルギーを電気出力に変換して用いる機能性トランスデューサ(エネルギー変換)または発電素子の基本素子に極めて有用である。
圧電素子に荷重を加えたとき得られる出力電力との関係を示すグラフである。 圧電素子に荷重を加えたとき得られる出力電力との関係を示すグラフである。 圧電素子に荷重を加えたとき得られる出力電力との関係を示すグラフである。 圧電素子を作製する過程で行われる分極処理の際、印加される分極電界と出力電力との関係を示すグラフである。 圧電素子および圧電素子が積層された圧電素子構造体の構成を示す図である。 図5に示した圧電素子または圧電素子構造体における圧電素子の積層数と出力電圧との関係および圧電素子の積層数と出力電力との関係を示すグラフである。 図5に示した圧電素子または圧電素子構造体を構成する圧電素子の厚さと出力電力との関係を示すグラフである。 振動試験に使用した実験に用いたPZT構造を示す図である。 振動試験装置の全体構造を示す図である。 振動試験の一例として、単層PZT(+Nb)に対して初期荷重1.5KN、加振加速度5m/s、加振振動数35Hzの場合の錘の加速度、変動荷重およびPZTの発生電圧の時刻歴を示す図である。 単層PZTについて、初期荷重、加振振動数およびNbの有無が発生電圧および発生電力量に及ぼす影響を示す図である。 単層PZTについて、初期荷重、加振振動数およびNbの有無が発生電圧および発生電力量に及ぼす影響を示す図である。 2層PZTの初期荷重、振動数およびNbの有無が発生電圧および発生電力量に及ぼす影響を示す図である。 2層PZTの初期荷重、振動数およびNbの有無が発生電圧および発生電力量に及ぼす影響を示す図である。 各PZTにおいて荷重速度が発生電圧に及ぼす影響を示す図である。 添加物を含まない母材(PZT)の電圧出力と、単位面積当たりの荷重変動を応力速度として定義したものが発生電圧に及ぼす影響について示したグラフである。 添加物としてニオブ(Nb)が添加された母材(PZT)の電圧出力と、単位面積当たりの荷重変動を応力速度として定義したものが発生電圧に及ぼす影響について示したグラフである。 母材(PZT)に添加された添加物の濃度と、電圧出力との関係を示すグラフである。 各種添加物(Nb,Fe,Ta,W)を母材に1mol%添加した圧電体について応力速度と発生電力量との関係を示すグラフである。 母材に添加物を添加しない圧電体についてヤング率を計測した結果を示すグラフである。 母材に添加物としてNbを1mol%添加した圧電体についてヤング率を計測した結果を示すグラフである。 添加物として鉄(Fe)が母材(PZT)添加された圧電体の発電特性を示すグラフである。 添加物としてタンタル(Ta)が母材(PZT)添加された圧電体の発電特性を示すグラフである。 添加物としてタングステン(W)が母材(PZT)添加された圧電体の発電特性を示すグラフである。 発電特性の計測を行うための装置の構成を示す図である。 添加物の濃度と誘電率との関係を示すグラフである。 添加物の濃度と弾性率との関係を示すグラフである。 添加物の濃度と圧電定数との関係を示すグラフである。 耐久性実験中の荷重振幅の経時変動を示すグラフである。 耐久性実験中のサ−ボ加速度の経時変動を示すグラフである。 耐久性実験中の錘の加速度の経時変動を示すグラフである。 耐久性実験中のPZTからの電圧出力の経時変動を示すグラフである。 母材(PZT)からの電圧出力の耐久性試験結果を示すグラフである。
符号の説明
1 圧電体
2 電極
3,4 出力端子
5,10 加速度計(加振方向)
6,7,8,9 加速度計(加振垂直方向)
11 PZT
12 荷重計
13 錘
14 ジャッキ
15 サポート
16 サポートフレーム
17 防振ゴム

Claims (1)

  1. 酸化鉛、酸化ジルコン、酸化チタンをPZT(52/48)の相境界組成となるようにした母材に添加物としてニオブが1モル%添加され、1150℃〜1300℃で焼成処理され、かつ1.5kV/cmの分極電界で分極処理され、誘電率が1000F/m以上、弾性率が40Pa以下、圧電率が200m/Vであり、初期荷重を4〜5MPaとし、荷重変動振幅を3〜4Mpaとして加振回数を3.0×10回行ったときに初期電圧の±15%を維持する複数の圧電素子が、それぞれの圧電素子の同極同士を対向させて電極を介して積層され、
    最外の前記圧電素子の両端に設けられた電極、及び前記圧電素子間に設けられた電極のうち、同極の電極同士を接続した出力端子を有することを特徴とする発電用圧電体。
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