本実施例は、タイヤの陸部の面取り処理を模擬するにあたって、タイヤを複数の節点で構成される有限個の要素に分割して、コンピュータで解析可能なタイヤモデルを作成し、このタイヤモデルの溝の壁面と陸部の表面との間において、壁面と表面とのつなぎ目を除去する面取り処理を実行する際の面取り部分、及び前記面取り処理を実行した後における陸部の形状を設定し、面取り部分(表面)に存在する節点の移動によって面取り処理を模擬する点に特徴がある。
図1は、タイヤの子午断面を示す断面図である。図2は、タイヤの子午断面における陸部及び溝部の拡大図である。子午断面とは、タイヤの回転軸(Y軸)と平行かつ前記回転軸を含む平面でタイヤ1を切ったときの断面である。タイヤ1の子午断面には、カーカス2、ベルト3、ベルトカバー4、ビードコア5が現れている。タイヤ1は、母材であるゴムを、強化材であるカーカス2、ベルト3、あるいはベルトカバー4等の補強コードによって補強した複合材料の構造体である。ここで、カーカス2、ベルト3、ベルトカバー4等の、金属繊維や有機繊維等のコード材料で構成される層を、コード層という。
カーカス2は、タイヤ1に空気を充填した際に圧力容器としての役目を果たす強度部材であり、その内圧によって荷重を支え、走行中の動的荷重に耐えるようになっている。ベルト3は、キャップトレッドとカーカス2との間に配置されたゴム引きコードを束ねた補強コードの層である。なお、バイアスタイヤの場合にはブレーカと呼ぶ。ラジアルタイヤにおいて、ベルト3は形状保持及び強度部材として重要な役割を担っている。
ベルト3の接地面9T側には、ベルトカバー4が配置されている。ベルトカバー4は、例えば有機繊維材料を層状に配置したものであり、ベルト3の保護層としての役割や、ベルト3の補強層としての役割を持つ。ビードコア5は、内圧によってカーカス2に発生するコード張力を支えているスチールワイヤの束である。ビードコア5は、カーカス2、ベルト3、ベルトカバー4及びトレッドとともに、タイヤ1の強度部材となる。
タイヤ1の接地面9T側には、溝7が形成される。これによって、雨天走行時の排水性を向上させる。溝7でタイヤ1の表面側に配置されるゴムを区画することで、陸部6が形成される。陸部6の表面(陸部表面)9は、通常路面と接地するので、タイヤ1の接地面9Tとなるが、場合によっては路面と接地しない部分もある。また、溝7で構成される模様をトレッドパターンという。タイヤ1の側部はサイドウォール8と呼ばれており、ビードコア5と接地面9Tとの間を接続する。また、接地面9Tとサイドウォール8との間はショルダー部Sheである。
図2に示すように、タイヤ1の陸部表面9と溝7の壁面(溝壁面)7Wとのつなぎ目は、角部(エッジ部)EGが形成される。すなわち、陸部表面9と溝壁面7Wとのなす角度(鈍角)が90度近くなり、陸部表面9と溝壁面7Wとのつなぎ目は稜線を形成する。このままだと、陸部6の前記つなぎ目近傍における接地圧力が上昇して、偏摩耗等の原因となる。
このため、前記接地圧力の上昇を抑制することを目的として、タイヤ1には、溝壁面7Wと陸部表面9とのつなぎ目を除去する処理が施される。この処理を面取り処理という。面取り処理を実行すると、図2の点線に示すように、溝壁面7Wと陸部表面9とのつなぎ目は、角部EGが除去された新たな面FCが形成されて、溝壁面7Wと陸部表面9とは滑らかにつながるようになる。これによって、溝壁面7Wと陸部表面9とのつなぎ目における接地圧力の上昇が抑制できる。面取り処理は、加硫金型の溝壁面7Wと陸部表面9とのつなぎ目に相当する部分に、予め定めた面取り形状を形成しておき、加硫時に面取り処理を施す。次に、本実施例に係るタイヤモデルの作成方法及びタイヤの設計方法を実行する装置について説明する。
図3は、本実施例に係るタイヤモデル作成装置の構成を示す説明図である。図3に示すタイヤモデル作成装置50が、本実施例に係るタイヤモデル作成方法及びタイヤの設計方法を実行する。タイヤモデル作成装置50は、処理部50pと記憶部50mとを備えて構成される。処理部50pと記憶部50mとは、入出力部(I/O)59を介して接続される。
処理部50pは、モデル作成部51と、面取り条件設定部52と、節点抽出部53と、面取り処理部54と、解析部55と、条件判定部56とを含んで構成される。これらが本実施例に係るタイヤモデル作成方法を実行する。モデル作成部51と、面取り条件設定部52と、節点抽出部53と、面取り処理部54と、解析部55と、条件判定部56とは入出力部59に接続されており、相互にデータをやり取りできるように構成されている。
モデル作成部51は、評価対象であるタイヤの解析モデル(タイヤモデル)を作成する。面取り条件設定部52は、モデル作成部51によって作成されたタイヤモデルに面取り処理を施す箇所(面取り部分)及び面取り処理後における陸部6の形状を設定する。節点抽出部53は、面取り処理を実行する際に移動させるタイヤモデルの節点や、面取り形状を設定する断面を生成するための節点を抽出する。面取り処理部54は、面取り処理における移動対象の節点を移動させて、溝壁面7Wと陸部表面9とのつなぎ目が、設定された面取り形状となるように面取り処理を施す。解析部55は、面取り処理されたタイヤモデルに対して転動解析や変形解析等を実行する。条件判定部56は、解析部55によって転動解析等が実行された後の面取り処理されたタイヤモデルから、評価対象のタイヤの特性を表す特性情報を取得する。そして、本実施例に係るタイヤの設計方法において、例えば、タイヤの性能が許容できるか否かを判定する。
また、入出力部59には、端末装置60が接続されており、本実施例に係るタイヤモデル作成方法やタイヤの設計方法を実行するために必要なデータ、例えば、面取りの位置や量、タイヤ1を構成するゴムの物性値や繊維材料の物性値、あるいは転動解析における境界条件や走行条件等を、端末装置60に接続された入力装置61によってタイヤモデル作成装置50へ与える。また、入出力部59は、タイヤモデル作成装置50からタイヤ評価データを受け取り、端末装置60に接続された表示装置62に、タイヤモデルを表示する。さらに、入出力部59には、ネットワーク63を介して、各種データサーバー641、642等が接続されている。そして、本実施例に係るタイヤモデル作成方法を実行するにあたっては、処理部50pが各種データサーバー641、642等内に格納されている各種データベースを利用できるように構成される。
記憶部50mには、本実施例に係るタイヤモデル作成方法(詳細は後述する)やタイヤの設計方法を処理部50pに実行させるためのコンピュータプログラムや、各種データサーバー641、642等から取得した、材料物性等のデータが格納されている。なお、材料物性等のデータは、本実施例に係るタイヤモデル作成方法を実行する際に用いる。ここで、記憶部50mは、RAM(Random Access Memory)のような揮発性のメモリ、フラッシュメモリ等の不揮発性のメモリ、あるいはこれらの組み合わせにより構成できる。また、処理部50pは、メモリ及びCPU(Central Processing Unit)により構成できる。また、記憶部50mは、処理部50pに内蔵されるものであっても、他の装置(例えばデータベースサーバ)内にあってもよい。このように、上記タイヤモデル作成装置50は、通信により端末装置60から処理部50pや記憶部50mにアクセスするものであってもよい。
上記コンピュータプログラムは、処理部50pが備えるモデル作成部51や面取り処理部54等へ既に記録されているコンピュータプログラムとの組み合わせによって、本実施例に係るタイヤモデル作成方法やタイヤの設計方法の処理手順を実現できるものであってもよい。また、このタイヤモデル作成装置50は、前記コンピュータプログラムの代わりに専用のハードウェアを用いて、処理部50pが備えるモデル作成部51、面取り条件設定部52、節点抽出部53、面取り処理部54、解析部55及び条件判定部56の機能を実現するものであってもよい。次に、このタイヤモデル作成装置50を用いて、本実施例に係るタイヤモデル作成方法を実現する手順を説明する。
図4は、本実施例に係るタイヤモデル作成方法の手順を示すフローチャートである。図5は、タイヤモデルの全体を示す斜視図である。図6は、図5に示すタイヤモデルを構成する節点及び要素を示す模式図である。本実施例に係るタイヤモデル作成方法を実行するにあたり、ステップS101において、まず、タイヤモデル作成装置50が備える処理部50pのモデル作成部51は、評価対象であるタイヤから、このタイヤの解析モデルであるタイヤモデル10を作成する。なお、本実施例に係るタイヤモデルの作成方法によって作成されたタイヤモデル10に対して転動解析等を実行する場合、タイヤモデル10と接触させる路面モデル20もステップS101で作成してもよい。路面モデル20は、タイヤモデル10と同様に作成される。
このステップS101が、解析モデル作成手順に相当する。本実施例において、タイヤモデル10は、有限要素法や有限差分法等の数値解析手法を用いて、転動解析や変形解析等を行うために用いるモデルで、コンピュータで解析可能なモデルであり、数学的モデルや数学的離散化モデルを含む。
本実施例では、タイヤモデル10の転動解析等に用いる解析手法として、有限要素法(Finite Element Method:FEM)を使用する。なお、本実施例に係るタイヤモデル作成方法に適用できる解析手法は有限要素法に限られず、境界要素法(Boundary Element Method:BEM)、有限差分法(Finite Difference Method:FDM)等も使用できる。また、境界条件等によって最も適当な解析手法を選択し、又は複数の解析手法を組み合わせて使用することもできる。なお、有限要素法は、構造解析に適した解析手法なので、特にタイヤのような構造体に対して好適に適用できる。
ステップS101において、モデル作成部51は、性能を評価する対象であるタイヤを複数の節点11N(図6参照)で構成される有限個の要素10E1、10E2、・・・10Enに分割して、図5に示すタイヤモデル10を作成する。本実施例では、タイヤモデル10を用いて転動解析を実行するので、タイヤモデル10は、図5に示すような3次元形状とする。
タイヤモデル10を構成する要素には、例えば2次元平面では四辺形要素、3次元体では四面体ソリッド要素、五面体ソリッド要素、六面体ソリッド要素等のソリッド要素や三角形シェル要素、四角形シェル要素等のシェル要素、面要素等、コンピュータで用い得る要素とすることが望ましい。このようにして分割された要素は、解析の過程においては、3次元モデルでは3次元座標を用いて、2次元モデルでは2次元座標を用いて逐一特定される。
図6に示すように、本実施例において、タイヤモデル10を構成する複数の要素は、六面体要素10En、10n+1を主体として、一部に五面体要素10En+2を用いる。この場合、六面体要素10En、10n+1は、タイヤモデル10の接地面となる陸部表面9に配置することが好ましい。これによって、面取り処理した後のタイヤモデル10を転動解析等した場合、接地圧の計算精度が向上する。しかし、トレッドパターンやタイヤの解析モデル化における要素分割等によっては、一部に五面体要素10En+2を配置する。この場合、五面体要素は、陸部表面9が接地しない箇所に配置することが好ましい。これによって、接地圧の計算精度の低下を抑制できる。
図7−1は、基本のトレッドパターンの一例を示す平面図である。図7−2、図7−3は、トレッドパターンの配置を説明する模式図である。一般に、トレッドパターンは、図7−1に示すように、タイヤの周方向(図7−1、図7−2の矢印Cで示す方向)における長さが所定の寸法L0である基本のトレッドパターンBをタイヤの周方向に複数配置して構成される。したがって、タイヤモデル10を作成する場合には、基本のトレッドパターンBの解析モデルを作成し、これをタイヤの周方向へ複数配置してもよい。基本のトレッドパターンBはタイヤ全体と比較して小さいので、基本のトレッドパターンBからタイヤモデル10を作成すれば、タイヤモデル10を作成する手間を軽減できる。
なお、図7−3に示すように、基本のトレッドパターンBの周方向(図7−3の矢印Cで示す方向)における寸法が複数種類ある場合、その寸法に応じて基本のトレッドパターンBの周方向における寸法を調整してから、タイヤの周方向へ配置する。例えば、図7−3に示す例において、基本のトレッドパターンBの周方向における寸法をL0とし、他の部分の周方向における寸法をL1、L2、・・・L6とすると、L1/L0、L2/L0、・・・L6/L0の割合で基本のトレッドパターンBの形状を拡大又は縮小することにより、基本のトレッドパターンBの周方向における寸法を調整して、他のトレッドパターンを作成する。このようにして作成されたトレッドパターンを解析モデル化して、タイヤの周方向へ配置することで、タイヤモデル10が作成される。タイヤモデル10が作成されたら、ステップS102へ進む。
ステップS102において、タイヤモデル作成装置50が備える処理部50pの面取り条件設定部52は、ステップS101で作成されたタイヤモデル10に対して面取り処理を施す位置(面取り部分)及び面取り処理後における陸部6の形状(面取り形状)を設定する。ステップS102が、面取り条件設定手順に相当する。ここで、陸部表面9から陸部6を所定量取り除くことにより、面取り処理後における陸部6の形状が変更される。そして、陸部表面9から取り除く陸部6の量(面取り量)を設定することにより、面取り処理後における陸部6の形状が設定される。すなわち、面取り量を変更することにより、面取り処理後における陸部6の形状を様々な形に変更できる。
図8は、面取り部分を説明するための平面図である。図9は、面取り部分を説明するための子午断面図である。タイヤモデル10の面取り部分は、図9に示す溝7の溝壁面7Wと陸部表面9とのつなぎ目を除去する箇所であり、タイヤを設計する際のパラメータとなる。図8、図9に示す例では、溝壁面7Wと陸部表面9とのつなぎ目(角部EGに相当する)から陸部表面9の内部に向かって所定の範囲(図8、図9に示す例では、要素2個分)が面取り部分MAとなる。図8、図9に示す例では、角部EGから陸部6の内部に向かって節点11N1(11N2、11N3)、11Nm(11Nm+1、11Nm+2)、11Nn(11Nn+1、11Nn+2)が、面取り部分MAに属する節点である。
本実施例に係るタイヤモデルの作成方法では、タイヤモデル作成装置50が、面取り部分MAの節点を陸部6の内部に向かって所定量移動させることにより、面取り処理が実行される。すなわち、面取り部分MAの節点が、タイヤモデル10の回転軸であるY軸に向かう成分を持つように移動することで、面取り処理が実行される。
面取り部分MAを変更することにより、陸部6において面取り処理される部分やその大きさを変更できるので、タイヤの設計においては接地圧の大きさや分布を調整できる。このように、面取り部分MAは、タイヤの設計における設計変数となる。面取り部分MAは簡易に設定できるので、本実施例に係るタイヤモデルの作成方法によって作成されたタイヤモデル10を用いて転動解析等を実行する場合には、タイヤモデル10の設計変更が容易になる。
面取り処理は、陸部表面9から陸部6を所定量取り除くものなので、通常、少なくとも陸部表面9に存在する節点が対象となる。図9に示す例では、節点11N1、11Nm、11Nnが陸部表面9に存在するので、これらの節点が面取り処理における移動対象となり、溝7の溝壁面7W上の節点11Nkは、面取り処理における移動対象とはならない。すなわち、節点11Nkは、面取り部分MA外に存在する節点である。
陸部表面9に存在する節点は、例えば、陸部表面9におけるZ座標の値で判定する。例えば、Z座標が、陸部表面9のZ軸方向の座標から所定の大きさ以内(例えば、Z軸方向における要素の寸法の1/4以内)の範囲にある節点は、陸部表面9に存在すると判定する。陸部表面9のZ軸方向の座標は、タイヤモデル10を構成する節点の情報から求める。本実施例では、例えば、このようにして、陸部表面9に存在する節点が抽出され、抽出された節点から面取り部分MAに存在する節点が抽出される。面取り部分MAに存在するか否かは、タイヤモデル10を構成する節点の座標が、面取り部分MA内にあるか否かで判定できる。すなわち、本実施例では、タイヤモデル10を構成する節点の座標が、陸部表面における面取り部分MAの領域内にあれば、その節点は、本実施例に係る面取り処理における移動対象として抽出される。次に、面取り形状について説明する。
図10は、面取り形状を設定する断面を示す説明図である。図11は、面取り形状を示す断面図である。図12−1〜図12−3は、面取り形状の種類を示す断面図である。面取り形状は、面取り処理において移動させる節点を含み、かつ陸部表面9に直交する平面で陸部6を切った断面(面取り部分における断面、すなわち、面取り形状設定断面)内に設定する。図10に示すタイヤモデル10において、面取り部分である陸部表面と溝7の溝壁面とのつなぎ目に存在する節点11Nlの位置では、面取り形状設定断面CSl内に面取り形状が設定される。同様に、節点11Nl+1の位置では面取り形状設定断面CSl+1内に面取り形状が設定され、節点11Nl+2の位置では面取り形状設定断面CSl+2内に面取り形状が設定され、節点11Nl+3の位置では面取り形状設定断面CSl+3内に面取り形状が設定される。
ステップS102においては、図11に示すように、節点11Nlにおける面取り形状設定断面CSl内に、面取り形状が設定される。図11に示す例では、曲率半径の異なる複数(図11の例では2個)の円弧R1、R2を結んで形成される曲線が、前記面取り処理後において、形状設定断面CSl内における陸部6の形状を決定するための輪郭(面取り輪郭)Shとなる。すなわち、本実施例の面取り処理では、形状設定断面CSl内における陸部6形状が面取り輪郭Shとなるように、陸部6の節点が移動される。
面取り形状設定断面CSl内の面取り処理後における陸部6の輪郭は、面取り処理後における陸部6の外形の形状、すなわち面取り形状に相当する。このように、面取り輪郭Shは、少なくとも曲線を含む形状とすることが好ましい。ここで、図11に示す例では、円弧R2の曲率半径は、円弧R1の曲率半径よりも大きいが、円弧R1、R2の曲率半径は変更できる。
円弧R1、R2の曲率半径を変更することで、面取り輪郭Shを変更できる。これによって、タイヤの設計においては接地圧の大きさや分布を調整できる。このように、面取り輪郭Shを決定する円弧R1、R2は、タイヤを設計する際の設計変数となる。なお、面取り輪郭Shを決定するための円弧の個数は2個に限られず、単数でもよいし3以上でもよい。複数の円弧で面取り輪郭Shを構成する場合、円弧の曲率半径と円弧の数との少なくとも一方を変更することにより、面取り部分、すなわち面取り処理において移動させる節点が存在する箇所での陸部6の断面の形状(面取り輪郭Sh)を変更する。
図12−1に示す面取り輪郭Sh1は、直線L1と円弧R3とを組み合わせて構成される。このように、面取り部分における陸部6の断面形状は、少なくとも一つの円弧を含んでいてもよい。また、図12−2に示す面取り輪郭Sh2は、直線L1と直線L3とを組み合わせて構成される。このように、面取り部分における陸部6の断面形状は、直線を組み合わせて構成してもよい。また、図12−3に示す面取り輪郭Sh3は、曲線で構成される。この曲線は、例えば、スプライン曲線やベジエ曲線、あるいは、Z=f(Y)で記述される関数(2次関数、3次関数、指数関数等)で表した曲線等である。
このように、本実施例では、面取り部分における陸部6の断面形状を曲線、あるいは直線で構成できるが、少なくとも曲線を含む形状とすると、実際の面取り形状をより忠実に再現できるので、好ましい。次に、面取り形状設定断面を設定する手法を説明する。
図13−1、図13−2は、面取り形状設定断面を決定する手法の説明図である。図13−1は、溝壁面と陸部表面とのつなぎ目に形成される角部EG上、すなわち前記つなぎ目上に、面取り処理において移動対象となる節点(移動対象節点)が存在する場合を示し、図13−2は、溝壁面と陸部表面とのつなぎ目に形成される角部EG上に移動対象節点が存在しない場合を示す。
図13−1に示す例では、移動対象節点を11Niとする。移動対象節点11Niは、角部EG上に存在している。この場合に面取り形状節点断面を決定するにあたり、タイヤモデル作成装置50が備える処理部50pの節点抽出部53は、移動対象節点11Ni、及び移動対象節点11Niに隣接し、かつ角部EG上に存在する節点を抽出する(ステップS103)。図13−1に示す例では、節点11Ni+1及び節点11Ni−1が、移動対象節点11Niに隣接し、かつ角部EG上に存在する節点に該当する。節点抽出部53は、抽出した節点の情報、例えば、節点番号、座標を記憶部50mへ格納する。
そして、次に説明する手法で面取り形状設定断面が設定される(ステップS104)。面取り条件設定部52は、移動対象節点11Niから角部EG上の隣接する節点11Ni+1及び節点11Ni−1の線分同士のなす角度を二等分する直線を求めるとともに、前記直線上かつ陸部6の表面(陸部表面)に仮想点11Nipを設定する。すなわち、仮想点11Nipと移動対象節点11Niと節点11Ni+1とで形成される角度θは、仮想点11Nipと移動対象節点11Niと節点11Ni−1とで形成される角度θと等しい。
そして、面取り条件設定部52は、移動対象節点11Niと、仮想点11Nipと、移動対象節点11Niに隣接するそれぞれの節点11Ni+1、11Ni−1のうち移動対象節点11Niにより近い節点とで形成される仮想平面を生成する。ここで、図13−1に示す例では、節点11Ni+1の方が節点11Ni−1よりも移動対象節点11Niに近い。したがって、図13−1に示す例では、移動対象節点11Niと、仮想点11Nipと、節点11Ni+1によって前記仮想平面が生成される。ここで、前記仮想平面は、陸部6の表面(陸部表面)となる。
次に、面取り条件設定部52は、移動対象節点11Niと仮想点11Nipとを通り、かつ前記仮想平面と直交する平面を、面取り形状設定断面CSiとする。このようにして、面取り形状設定断面CSiが決定される。そして、面取り処理においては、移動対象節点11Niが、面取り形状設定断面CSi内を上述した面取り輪郭Shに向かって移動させられる。次に、溝壁面と陸部表面とのつなぎ目に形成される角部EG上に移動対象節点が存在しない場合を説明する。
図13−2に示す例では、移動対象節点を11Ni−2とする。移動対象節点11Ni−2は、陸部6の表面(陸部表面)には存在するが、角部EG上に存在していない。この場合に面取り形状節点断面を決定するにあたり、節点抽出部53は、移動対象節点11Ni−2、及び溝壁面と陸部表面とのつなぎ目に形成される角部EG上、すなわち前記つなぎ目に存在する節点11Ni−1、11Ni、11Ni+1を抽出するとともに、これらで構成されるつなぎ目(すなわち角部EG)を抽出する。
そして、次に説明する手法で面取り形状設定断面が設定される(ステップS104)。面取り条件設定部52は、移動対象節点11Ni−2から角部EGに向かって垂線を引くとともに、前記垂線と角部EGとの交点CPを求める。そして、角部EGに存在する節点11Ni−1、11Ni、11Ni+1のうち、交点CPとの距離が最も近い節点(つなぎ目上節点)を求める。図13―2に示す例では、つなぎ目上節点は11Ni−1となる。次に、面取り条件設定部52は、移動対象節点11Niと、交点CPと、つなぎ目上節点11Ni−1とで形成される仮想平面を生成する。ここで、前記仮想平面は、陸部6の表面(陸部表面)となる。
そして、面取り条件設定部52は、交点CPを通り、かつ前記仮想平面と直交する直線と、前記垂線とで形成される平面を、面取り形状設定断面CSiとする。このようにして、面取り形状設定断面CSiが決定される。そして、面取り処理においては、移動対象節点11Ni−2が、面取り形状設定断面CSi内を上述した面取り輪郭に向かって移動させられる。ここで、ステップS103及びステップS104は、面取り条件設定手順の一部である。
上述した手法により面取り形状設定断面が設定されたら、ステップS105へ進む。ステップS105では、移動対象節点がステップS104で設定した面取り形状設定断面CSi内を上述した面取り輪郭まで移動することにより、陸部6は、ステップS102で設定した面取り形状となる。ステップS105が面取り実行手順に相当する。次に、移動対象節点の移動について説明する。
図14は、移動対象節点の移動を説明するための平面図である。図15−1、図15−2、図16−1、図16−2は、移動対象節点の移動を説明する断面図である。図17は、移動対象節点が移動した後の状態を示す平面図である。ここでは、移動対象節点を11Nj1、11Nj2、11Nj3とする。移動対象節点11Nj1は、陸部表面と溝壁面とのつなぎ目である角部EG上に存在する節点であり、移動対象節点11Nj2、11Nj3は、角部EG上に存在しない節点である。
本実施例においては、面取り処理のしやすさを考慮して、移動対象節点11Nj1、11Nj2、11Nj3を陸部表面9の節点とする。このため、面取り輪郭Shは、陸部表面9を含む要素内に設定する。また、タイヤ径方向(Z軸方向)における陸部表面9を含む節点の寸法は、陸部表面9を含まない陸部6内の要素よりも大きくすることが好ましい。これによって、陸部表面9に存在する移動対象節点11Nj1、11Nj2、11Nj3の移動量を確保できるので、設計変数である面取り輪郭Shの変更の自由度が向上する。
上述したように、移動対象節点11Nj1における面取り形状設定断面CSj1は、溝壁面と陸部表面とのつなぎ目に形成される角部EG上に移動対象節点が存在する場合における手法で設定される。また、移動対象節点11Nj2、11Nj3における面取り形状設定断面CSj2、CSj3は、溝壁面と陸部表面とのつなぎ目に形成される角部EG上に移動対象節点が存在しない場合における手法で設定される。
図15−1に示す移動対象節点を移動させる手法は、それぞれの移動対象節点11Nj1、11Nj2、11Nj3から面取り輪郭Shに対して垂線nl1、nl2、nl3を引き、垂線nl1、nl2、nl3と面取り輪郭Shとの交点PM1、PM2、PM3を、面取り処理後における節点とするものである。ステップS105において、面取り条件設定部52は、移動対象節点11Nj1、11Nj2、11Nj3は、交点PM1、PM2、PM3を設定するとともに、移動量を設定する。移動対象節点11Nj1、11Nj2、11Nj3の移動量LM1、LM2、LM3は、それぞれの移動対象節点11Nj1、11Nj2、11Nj3と、これらに対応する交点PM1、PM2、PM3との距離である。すなわち、移動対象節点11Nj1の移動量LM1は、移動対象節点11Nj1と交点PM1とを結ぶ線分の長さ、移動対象節点11Nj2の移動量LM2は、移動対象節点11Nj2と交点PM2とを結ぶ線分の長さ、移動対象節点11Nj3の移動量LM3は、移動対象節点11Nj3と交点PM3とを結ぶ線分の長さである。これによって、移動対象節点11Nj1、11Nj2、11Nj3の移動量LM1、LM2、LM3は、面取り処理後における陸部6の形状、すなわち、面取り輪郭Shとなるように設定される。
そして、タイヤモデル作成装置50の処理部50pが備える面取り処理部54は、移動対象節点11Nj1、11Nj2、11Nj3を交点PM1、PM2、PM3まで、設定された移動量分移動させる。これによって、移動対象節点11Nj1、11Nj2、11Nj3は、面取り輪郭Sh上に移動し、タイヤモデル10に面取り処理が施される。この手法によれば、面取り処理を実行した後における陸部6の実際の輪郭が、ステップS102で設定された面取り輪郭Shに近い形状となる。
図16−1に示す移動対象節点を移動させる手法は、面取り処理部54が、それぞれの移動対象節点11Nj1、11Nj2、11Nj3を、溝壁面7Wに沿ってタイヤモデル10の回転軸であるY軸に向かって面取り輪郭Shまで移動させる。すなわち、それぞれの移動対象節点11Nj1、11Nj2、11Nj3は、Y軸に向かう成分を持って移動する。
ここで、移動対象節点11Nj1、11Nj2、11Nj3の移動量LM1、LM2、LM3は、それぞれの移動対象節点11Nj1、11Nj2、11Nj3から溝壁面7Wと平行な直線を面取り輪郭Shまで引いたときにおける、それぞれの前記直線と面取り輪郭との交点PM1、PM2、PM3と、対応する移動対象節点11Nj1、11Nj2、11Nj3との距離である。すなわち、移動対象節点11Nj1の移動量LM1は、移動対象節点11Nj1と交点PM1とを結ぶ線分の長さ、移動対象節点11Nj2の移動量LM2は、移動対象節点11Nj2と交点PM2とを結ぶ線分の長さ、移動対象節点11Nj3の移動量LM3は、移動対象節点11Nj3と交点PM3とを結ぶ線分の長さである。これによって、移動対象節点11Nj1、11Nj2、11Nj3の移動量LM1、LM2、LM3は、面取り処理後における陸部6の形状、すなわち、面取り輪郭Shとなるように設定される。
上述した処理により、移動対象節点11Nj1、11Nj2、11Nj3は、面取り輪郭Sh上に移動し、タイヤモデル10に面取り処理が施される。図16−1に示すタイヤモデル10の移動対象節点11Nj1、11Nj2、11Nj3は、図16−2に示すように、面取り処理が施された後のタイヤモデル(面取り処理後タイヤモデル)10Aの節点11Nj1A、11Nj2A、11Nj3Aになる。この手法によれば、面取り処理を実行した後における、移動対象節点11Nj1、11Nj2、11Nj3を含む要素のゆがみを抑制できる。
図15−1、図16−1に示すタイヤモデル10の移動対象節点11Nj1、11Nj2、11Nj3は、図15−2、図16−2に示すように、面取り処理が施された後のタイヤモデル(面取り処理後タイヤモデル)10Aの節点11Nj1A、11Nj2A、11Nj3Aになる。これによって、図15−1、図16−1に示すタイヤモデル10の陸部表面9と溝壁面7Wとのつなぎ目においては、陸部表面9から所定の量が陸部6から除去される(図15−2のハッチングで示す部分)ので、実際のタイヤにおける面取り処理が模擬される。なお、図15−2、図16−2の点線で示す部分は、図15−1、図16−1に示す面取り処理前におけるタイヤモデル10の陸部表面9及び溝壁面7Wである。
面取り形状設定断面CSj1、CSj2、CSj3において、面取り処理後タイヤモデル10Aの節点11Nj1A、11Nj2A、11Nj3Aで構成される形状が、面取り処理を実行した後の面取り形状設定断面CSl内における陸部6の実際の輪郭(面取り処理後輪郭)ShAとなる。面取り処理後タイヤモデル10Aの陸部6における面取り処理後輪郭ShAの部分は、面取り処理によって新たに生成された表面(面取り表面9M)となる。図17では、面取り処理後タイヤモデル10Aの節点11Nj1A、11Nj2A、11Nj3A、11Nj+i_1A、11Nj+i_2A、11Nj+i_3A(i=−1、1、2)が、面取り表面9Mに属する。そして、節点11Nj4A、11Nj−1_4A、11Nj+1_4A、11Nj+2_4Aは、面取り処理後タイヤモデル10Aの陸部表面9に属する。
また、面取り表面9Mの最も陸部6の内部側における節点11Nj4よりも陸部6の内部側の表面は、陸部表面9となる。この陸部表面9が、面取り処理後タイヤモデル10Aの接地面となる。面取り処理後タイヤモデル10Aの新たな溝壁面7Wは、面取り処理において移動対象とはならなかった溝壁面7Wの節点11Nkから溝底部に向かう部分となる。溝壁面7Wの節点11Nkは、面取り処理において移動対象とはならなかったので、面取り処理前におけるタイヤモデル10と面取り処理後タイヤモデル10Aとで移動しておらず、節点11Nkの座標は変化していない。
図15−2、図16−2、図17に示す節点11Nj4A、及び図17に示す節点11Nj−1_4A、11Nj+1_4A、11Nj+2_4Aは、面取り処理において移動対象となっておらず、面取り処理後タイヤモデル10Aの陸部表面9に属する。図17に示すように、節点11Nj−1_4A、11Nj4A、11Nj+1_4A、11Nj+2_4Aが、面取り処理後タイヤモデル10Aの陸部表面9と溝壁面7Wとの新たなつなぎ目である新たな角部EGとなる。そして、面取り実行手順を実行した後においては、面取り部分であって溝7の形成方向に存在する複数の節点11Nj−1_4A、11Nj4A、11Nj+1_4A、11Nj+2_4Aで決定される線が、面取り実行手順を実行した後における溝壁面7Wと陸部表面9とのつなぎ目、すなわち角部EGの形状となる。
上述した手順では、タイヤモデル10を作成してから面取り処理を実行したが、次のような手順で面取り処理後タイヤモデル10Aを作成してもよい。まず、図3に示すモデル作成部51によって、図7−1に示す基本のトレッドパターンBの解析モデルを作成する。この解析モデルは、タイヤの周方向における一部分の解析モデルとなる。次に、図3に示す面取り条件設定部52が面取り部分及び面取り形状を設定する。そして、図3に示す節点抽出部53が面取り部分における節点を抽出し、面取り条件設定部52が面取り形状設定断面を設定する。その後に、陸部の形状が設定された面取り形状となるように、図3に示す面取り処理部54が移動対象節点を移動させる。このようにして面取り処理後における基本のトレッドパターンBの解析モデル(面取り処理後基本トレッドパターンモデル)が作成される。モデル作成部51は、面取り処理後トレッドパターンモデルをタイヤの周方向に複数配置して、面取り処理後タイヤモデル10Aを作成する。
このように、面取り処理後タイヤモデル10Aを作成する場合には、基本のトレッドパターンBの解析モデルを面取り処理した面取り処理後トレッドパターンモデルを作成し、これをタイヤの周方向へ複数配置してもよい。面取り処理後基本トレッドパターンモデルはタイヤ全体と比較して小さいので、上記手法によれば、面取り処理後タイヤモデル10Aを作成する手間を軽減できる。なお、上述したように、基本のトレッドパターンBの周方向における寸法が複数ある場合(図7−3参照)、その寸法に応じて面取り処理後基本トレッドパターンモデルの周方向における寸法を調整してから、タイヤの周方向へ配置する。面取り処理後基本トレッドパターンモデルの周方向における寸法を調整する手法は、上述した基本のトレッドパターンBの周方向における寸法を調整する手法と同様である。
図18は、本実施例に係るタイヤの設計方法の手順を示すフローチャートである。本実施例に係るタイヤの設計方法は、上述した本実施例に係るタイヤモデルの作成方法によって作成されたタイヤモデル(面取り処理後におけるタイヤモデル)を用いて、タイヤを設計する。本実施例に係るタイヤの設計方法は、まず、ステップS201において、タイヤの設計変数を設定する。設計変数とは、例えば、面取り部分や面取り形状、溝の深さや形状、タイヤの周方向におけるトレッドパターンの寸法等である。設定された設計変数は、図3に示す入力装置61から、端末装置60を介してタイヤモデル作成装置50へ入力され、記憶部50mへ一時的に格納される。
次にステップS202へ進み、図3に示すタイヤモデル作成装置50の処理部50pが備えるモデル作成部は、ステップS201で設定された設計変数に即したタイヤモデルを作成する。タイヤモデルの作成手法は、上述した本実施例に係るタイヤモデルの作成方法において説明した手法(上記ステップS101、図4参照)と同様である。そして、ステップS203において、タイヤモデル作成装置50は、作成されたタイヤモデルに対して面取り処理を実行する。この面取り処理は、上述した本実施例に係るタイヤモデルの作成方法における面取り条件設定手順及び面取り実行手順であり、より具体的には、上記ステップS102〜ステップS105(図4参照)である。
ステップS203の面取り処理を実行することにより、面取り処理されたタイヤモデル、すなわち面取り処理後タイヤモデルが作成される。ステップS204において、図3に示すタイヤモデル作成装置50の処理部50pが備える解析部55は、面取り処理後タイヤモデルに対して、例えば、転動解析や変形解析等の模擬試験を実行する。そして、ステップS205において、図3に示すタイヤモデル作成装置50の処理部50pが備える条件判定部56は、解析が終了した後の面取り処理後タイヤモデルから、物理量を取得する。物理量は、例えば、摩擦エネルギー、コーナーリングフォース、転がり抵抗、摩耗量等であって、タイヤの性能を評価するために用いられる。ここで、タイヤの性能とは、コーナーリング性能、雨天走行性能、雪上走行性能、騒音等のタイヤに要求される一般的な性能である。
物理量が取得されたらステップS206へ進み、条件判定部56は、設計したタイヤが目標とする性能を満たしているか否かを判定する。例えば、ステップS105で取得した物理量が予め設定した目標値を超えている場合には、設計したタイヤが目標とする性能を満たしていると判定される。ステップS207でYesと判定された場合、すなわち、条件判定部56が、設計したタイヤは目標とする性能を満たしていると判定した場合、ステップS208へ進む。ステップS208では、ステップS207でYesと判定されたときの設計変数でタイヤが製造される。一方、ステップS207でNoと判定された場合、すなわち、条件判定部56が、設計したタイヤは目標とする性能を満たしていないと判定した場合、ステップS209へ進む。ステップS209では、設定変数が変更される。その後、ステップS207でYesと判定されるまで、ステップS202〜ステップS206が繰り返される。
図19は、本実施例タイヤモデルの作成方法によって作成された面取り処理したタイヤモデルと、面取り処理をしていないタイヤモデルとの摩擦エネルギーのタイヤ幅方向における分布を示す図である。図19の実線が面取り処理ありで、点線が面取り処理なしである。また、図19の横軸は、面取り処理をした後のタイヤモデルの幅方向、すなわち、回転軸と平行な方向における位置を示しており、ccが赤道面の位置である。作成したタイヤモデルは、サイズが145R13であり、評価条件は、空気圧が200kPa、荷重が3kNである。この条件で、転動解析を実行し、摩擦エネルギーを求めた。転動解析の条件は、転動の速度、すなわちタイヤモデルの周速度が36km/hである。図19の結果から、面取り処理ありの場合は、面取り処理なしの場合と比較して、陸部6と溝7との間における摩擦エネルギーが小さくなっていることが分かる。これは、実際の測定結果をよく再現している。
また、本実施例に係るタイヤモデルの作成方法は、30秒で面取り処理したタイヤモデルを作成できるが、従来手法、すなわち、マニュアル作業によって面取り処理したタイヤモデルを作成する場合には、10分程度要する。このように、本実施例に係るタイヤモデルの作成方法によれば、従来手法と比較して1/20程度の時間で面取り処理したタイヤモデルを作成できるので、タイヤの陸部の表面と溝の側面とのつなぎ目に面取り処理を施したタイヤモデルを作成する際の手間を大幅に低減できる。
以上、本実施例では、タイヤを複数の節点で構成される有限個の要素に分割して作成されたタイヤモデルの溝の壁面と陸部の表面との間において、壁面と表面とのつなぎ目を除去する面取り処理を実行する際の面取り部分、及び前記面取り処理を実行した後における陸部の形状を設定し、面取り部分の表面に存在する節点を移動させることによって面取り処理を模擬する。このような手法により、タイヤのシミュレーションにおいて、タイヤの陸部の表面と溝の側面とのつなぎ目に面取り処理を施したタイヤモデルを作成できる。また、本実施例によれば、コンピュータを利用して面取り処理を自動的に実行できるので、面取り処理を施したタイヤモデルを作成する際の手間を大幅に低減できる。