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JP5316449B2 - 内燃機関の燃焼室構造 - Google Patents
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Description

本発明は、内燃機関の燃焼室におけるノッキング現象を回避する燃焼室構造に関するものである。
内燃機関、特にガソリンの理論熱効率を向上させるために、高圧縮比による方法を実施している。
ところが、ガソリンエンジンの燃焼室において、点火プラグによって着火された予混合ガスは、ピストン側、シリンダ側へ火炎伝播するので、燃焼室内には高温の燃焼ガスと、外周部の未燃ガスとの両方が共存している。
特に、高圧縮比の場合、燃焼室周囲の未燃ガスは点火プラグによって燃焼したガスの燃焼熱や燃焼ガスの膨張による圧縮により、高温高圧になり、自発火温度を越え爆発的燃焼(ノッキング)を起こす。
他に、ノッキングを起こす原因として、内燃機関の高負荷条件が連続して、燃焼室内の温度が高くなった場合、燃焼室内に付着したデポジット(炭素塊)が発火源となる場合又は、点火時期が進む方向に制御されている場合等が知られている。
従って、ガソリンエンジンでは点火時期を遅らせるとノッキングが回避できることなどが知られている。
図4は一般的な内燃機関運転時の点火時期による燃焼室内圧力とクランク軸の角度との関係を示したもので、点火タイミングを遅くすると燃焼室内の最高圧力は低下していることを示している。
通常の点火時期はBTDC(上死点前)約20°で行うと、最高圧力が発生する時期はピストンの上死点を僅かに越えた時期に燃焼室内が最高圧力となる。(図4の実線A)
点火時期をリタードさせ(遅らせる)BTDC10°にすると図4の破線細線Bで示すように、燃焼室内の最高圧力が下がる。これは点火時期を遅らせることにより、燃焼室内の燃焼ガスが最高圧になった時点で、ピストンは上死点を越えて、下降し始めているため、燃焼室の容積が大きくなりつつあるためである。
同様に、点火時期をさらにリタードさせBTDC5°にすると図4の破線Cで示すように、燃焼室内の最高圧力はさらに下がる。
従って、点火時期を遅くすると、燃焼室内の発生圧力は低くなり出力は低下する。
図5は圧縮比と部分負荷燃費の関係を表し、圧縮比が高くなるのにともない部分負荷燃費は向上することを示している。燃焼室での燃焼圧力が高くなり、ピストン押圧力が高くなるためである。
従って、内燃機関出力アップと省燃費をめざすとノッキングが発生し易くなる。
更に、図6に示されているように、曲線Dは燃焼室内の燃焼ガスの圧力に対し、全負荷のノッキング発生時期(ノッキング点火時期)を示している。これは、圧縮比が高くなるとノッキング発生時期は遅角(リタード)傾向にあることが解る。
従って、圧縮比を高くすると、燃焼室の圧縮圧力が高くなり、燃焼室温度が高くなるためノッキングが発生しやすい状態となるので、既述の通り点火時期を遅らせる必要がある。
一方、曲線Eは低速全負荷時の発生トルク特性を示すもので、点火時期を遅らせると、図4にて既述した通りシリンダ内最高圧力は低下することを示し、内燃機関としての出力は低下する不具合を有している。
尚、ノッキングを回避する先行技術として、特開2006−336519号公報(特許文献1)が開示されている。
特開2006−336519号公報によると、ピストンが上死点位置にあるときに、点火プラグから最も離れた部位にノッキングが発生する温度域で酸化活性を行う触媒(卑金属系酸化触媒)を配置して、予混合ガスの温度が自己着火温度になる前に触媒燃焼により緩慢な燃焼を行わせて、爆発的な自己発火(ノッキング)を防止するものである。
特開2006−336519号公報
先行技術文献の技術によれば、エンドガス部のエンドガスを酸素不足の状態にして緩慢な燃焼を行わせるため、圧力上昇が鈍く、その分燃焼室最高圧力が低下し、出力性能が犠牲になる問題がある
本発明はかかる従来技術の課題に鑑み、内燃機関燃焼室内の圧縮比を高くしながら自己着火(ノッキング)を抑制して、出力の向上と燃費向上を図った内燃機関を提供することを目的とする。
本発明はかかる目的を達成するもので、内燃機関のシリンダブロックに配設されたシリンダと、該シリンダ内部を摺動するピストンと、該ピストンの頂部に対向して燃焼室を形成すると共に前記シリンダブロックに取付けられたシリンダヘッドと、該シリンダヘッドに形成され前記燃焼室と連通する吸気ポートと、前記燃焼室に対し前記吸気ポートを開閉する吸気バルブと、前記燃焼室と連通する排気ポートと、前記燃焼室に対し前記排気ポートを開閉する排気バルブと、燃焼室の中央部分配置された点火プラグと、を備え、燃料と吸気とが予め混合された予混合ガスが燃焼室内に吸入されて、前記点火プラグによって燃焼される内燃機関の燃焼室構造において、前記燃焼室の円周部近傍に前記吸気ポートから吸気された予混合ガスの圧縮時には酸素を吸蔵し、前記予混合ガスの燃焼時には酸素を放出する酸素吸蔵部材を配設し、前記酸素吸蔵部材は前記シリンダヘッドの前記ピストンの外周部と対向する部分に帯状の円形形状に形成されて配設したことを特徴とする。
かかる発明において、燃焼室内の周囲に位置するいわゆるエンドガス部はピストンの圧縮行程時に燃料が混合された予混合ガスの酸素を酸素吸蔵部材により吸引させ、圧縮行程で当該部の酸素を吸蔵することにより酸素不足の状態にして異常燃焼の発生を防止すると共に、点火プラグによる燃焼時には燃焼により酸素が欠乏してくるため、酸素吸蔵部材から酸素を放出させて予混合ガスの燃焼を促進させ、内燃機関の高出力を導き出す効果を有している。
また、本願発明において、酸素吸蔵部材はシリンダヘッドのピストンの外周部と対向する部分に帯状の円形形状に形成されて配設したので、燃焼室エンド部に付着したデポジット(炭素塊)によって、シリンダ内周部のエンドガスが自発火するのを防止して、内燃機関の高出力を導き出す効果を有している。
また、本願発明において、好ましくは、前記構成に加えて、前記酸素吸蔵部材は前記ピストン頂面の前記排気ポートと対向する部分の外周部に配設するとよい。
このような構成にすることにより、排気ポート側は吸気ポート側に比べ吸気による冷却効果が少なく、排気ガスに曝される時間が長いため、温度が高くなり易いので、エンドガスが自発火し易い部分のみに価格の高い酸素吸蔵部材を配設して、コスト増加を抑制する。
また、本願発明において、好ましくは、前記構成に加えて、前記酸素吸蔵部材は前記シリンダヘッドの前記排気ポートの外周縁部に配設するとよい。
このような構成にすることにより、排気ポート周縁は高熱の排気ガスが通過するため、特に高温になり易いので、エンドガスが自発火し易い部分のみに価格の高い酸素吸蔵部材を配設して、コスト増加を抑制する効果を有している。
本発明によれば、燃焼室のエンドガス部に酸素吸蔵部材を配設して、燃焼室内の圧縮率を高めてもノッキングの発生を防止することにより、内燃機関の高出力、省燃費を実現できる効果を有している。
は本発明にかかる燃焼室の模式的説明図を示す。 は本発明の説明図であり、(A)は第1実施形態にかかるシリンダヘッドのピストン外周部と対向した位置に酸素吸蔵部材を配設した燃焼室側からの上方視説明図で、(B)は第2実施形態にかかるシリンダヘッドの排気ポート外周部に酸素吸蔵部材を配設した燃焼室側からの上方視説明図を示す。 は本発明の説明図であり、(A)は第3実施形態にかかるピストン外周部に酸素吸蔵部材を配設したピストン状面視の説明図で、(B)は第4実施形態にかかるピストン外周部の排気ポートと対向した側に酸素吸蔵部材を配設したピストン状面視の説明図を示す。 は点火時期と燃焼室内最高圧力の関係図を示す。 は圧縮比に対する部分負荷燃費の特性を示す。 は圧縮比に対するノッキング発生時期とトルクの関係図を示す。
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。
但し、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
(第1実施形態)
図1に示すように内燃機関である内燃機関1はシリンダブロック3に配設されたシリンダ6と、シリンダ6内をシリンダ6の軸線方向に沿って摺動可能に配設されているピストン2と、ピストン2の頂面21に対向した面を有し、シリンダブロック3にガスケット31を介して取付けられたシリンダヘッド4とで囲まれた燃焼室5が形成されている。
ピストン2とシリンダ6との間の機密性を保持するために、ピストン2の上部の外周部に配設したリング溝にピストンリング23が嵌合されている。
予混合された吸気が燃焼室3に吸引され、ピストン2で圧縮した時に、点火プラグ7にて燃焼させ、内燃機関1としての出力がコンロッド8を介して、クランクシャフト(図示省略)から出力されている。
燃料と吸気を予め混合されたいわゆる予混合ガスが過給機等により加圧されて、吸気ポート42を開放した給気バルブ44部を通過して燃焼室5に吸入される。吸入された予混合ガスはピストン2によって圧縮され高温高圧になる。
図2(A)はシリンダヘッド4の燃焼室5からの上方視を示し、燃焼室5に臨んだシリンダヘッド4のピストン2の外周部と対向した部位に帯状の円形形状に形成された酸素吸蔵部材が配設されている。この酸素吸蔵部材としては、例えば、希土類オキシ硫酸塩45(Ln2O2So4)が配設されている。
希土類オキシ硫酸塩Ln2O2SO4はH2(水素)、CO(一酸化炭素)、C3H6(プロピレン)などによって、Ln2O2SOへと還元され(酸素放出)、O2(酸素)などによって可逆的に再酸化Ln2O2SO4(酸素吸蔵)される。また、還元・再酸化の反応が速く、低温でも進行する。(Ln2O2SO4についてはNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)のレポートによる)
燃焼室5内で圧縮された予混合ガスの燃焼室外周部(エンド部)に位置する所謂、エンドガスは希土類オキシ硫酸塩Ln2O2SO4に酸素を吸蔵されて、予混合ガスは酸素欠乏状態になる。
ピストン2が上昇して、点火プラグ7によって圧縮された予混合ガスが点火すると、その火炎は急速にエンドガス部に伝播していく。その火炎の熱はエンドガスを高温高圧にするが、自着火温度になっても酸素欠乏状態なので予混合ガスは自着火することができない。
燃焼室内の火炎伝播がエンドガス部に到達すると、燃焼ガスにはCO(一酸化炭素)を多量に含んでいるので、希土類オキシ硫酸塩Ln2O2SO4が還元されLn2O2SOとなりO2(酸素)を急速に放出するのでエンドガスは燃焼する。
これにより、予混合ガス圧を高くしても、エンドガス部での自着火(ノッキング)の発生を防止でき、内燃機関の高出力、省燃費を達成することができる効果を有している。
また、エンドガス部に炭素塊等の火種が存在しても、予燃焼ガスは酸素欠乏状態なので、爆発的な燃焼を防止できる。
(第2実施形態)
本実施形態は第1実施形態に対し、酸素吸蔵部材の配置場所を組み合わせたものである。
従って、同じ部分の説明は省略し、説明上同じ部品は同一符号を使用する。図2(B)を参照して説明する。
図2(B)はシリンダヘッド45をピストン2側視した図を示し、シリンダヘッド45の排気ポート43の外周縁で、吸気バルブ44と反対側の半円周部分に帯状の希土類オキシ硫酸塩46を配設している。
この部位への配設は燃焼した高温の排気ガスが通過するため炭素塊等が付着し易いことと、排気ガスに曝され高温になり易い部分のみに帯状の酸素吸蔵部材である希土類オキシ硫酸塩46を配置して、コスト低減を図る。
点火プラグ7に近い側の部分は点火プラグ7による火炎伝播が早く伝わるため、自着火(ノッキング)の発生がし難いので、コスト低減を目的に配設しないことにした。
(第3実施形態)
本実施形態は第1実施形態に対し、酸素吸蔵部材をピストン21側に配置場所を組み合わせたものである。図3(A)を参照して説明する。
図3(A)はピストン24の上面視図を示し、ピストン24の頂面の外周部全周に希土類オキシ硫酸塩47を配設している。
本実施形態の効果は、記述の第一実施形態に加え、ピストン24は一般的にアルミダイキャスト製となっているので、鋳造製のシリンダヘッド4より製造設備が簡易であり、酸素吸蔵部材47を配設するための設備変更費用が低減できる効果を有している。
(第4実施形態)
図3(B)はピストン25の上面視図を示し、第1実施形態に対し、ピストン24頂面の外周部の排気バルブ43側半周部分に帯状のオキシ硫酸塩47を組み合わせ配設している。
これは、ピストン25の吸入行程時(ピストン25は上死点近傍にある)、予混合ガスが吸気ポート42から燃焼室5に導入された際に、特にピストン25の吸気ポート42側が予混合ガスによって冷却されるので、自着火は発生し難いので、コスト低減を図るため、排気バルブ43側の半周とした。
前記各実施形態によると、点火プラグ7によって点火された予混合ガスの火炎は急速にエンドガス部に伝播して、その火炎の熱はエンドガスを高温高圧にするが、酸素欠乏状態なので予混合ガスは自着火することがない。
火炎伝播の燃焼ガス中のCO(一酸化炭素)によって希土類オキシ硫酸塩Ln2O2SO4が還元されLn2O2SOとなりO2(酸素)が急速に放出されるのでエンドガスが燃焼する構造なので、予混合ガス圧を高くしても、エンドガス部での自着火(ノッキング)の発生を防止して、内燃機関の高出力、省燃費を達成する効果を有している。
尚、本酸素吸蔵部材である希土類オキシ硫酸塩Ln2O2SO4の配置部位を別々に説明したが、夫々を適宜組合わせて併用することは容易である。
燃焼室内の圧縮圧力を上げて、高出力及び省燃費を両立させた内燃機関に適用できる。
1 内燃機関
2 ピストン
3 シリンダブロック
4 シリンダヘッド
5 燃焼室
6 シリンダ
7 点火プラグ
21 頂面
24 ピストン
25 ピストン
41 排気ポート
42 吸気ポート
43 排気バルブ
44 吸気バルブ
45 オキシ硫酸塩A
46 オキシ硫酸塩B
47 オキシ硫酸塩C
48 オキシ硫酸塩D

Claims (3)

  1. 内燃機関のシリンダブロックに配設されたシリンダと、該シリンダ内部を摺動するピストンと、該ピストンの頂部に対向して燃焼室を形成すると共に前記シリンダブロックに取付けられたシリンダヘッドと、該シリンダヘッドに形成され前記燃焼室と連通する吸気ポートと、前記燃焼室に対し前記吸気ポートを開閉する吸気バルブと、前記燃焼室と連通する排気ポートと、前記燃焼室に対し前記排気ポートを開閉する排気バルブと、燃焼室の中央部分配置された点火プラグと、を備え、燃料と吸気とが予め混合された予混合ガスが燃焼室内に吸入されて、前記点火プラグによって燃焼される内燃機関の燃焼室構造において、
    前記燃焼室の円周部近傍に前記吸気ポートから吸気された予混合ガスの圧縮時には酸素を吸蔵し、前記予混合ガスの燃焼時には酸素を放出する酸素吸蔵部材を配設し
    前記酸素吸蔵部材は前記シリンダヘッドの前記ピストンの外周部と対向する部分に帯状の円形形状に形成されて配設したことを特徴とする内燃機関の燃焼室構造。
  2. 前記酸素吸蔵部材は前記ピストン頂面の前記排気ポートと対向する部分の外周部に配設したことを特徴とする請求項1記載の内燃機関の燃焼室構造。
  3. 前記酸素吸蔵部材は前記シリンダヘッドの前記排気ポートの外周縁部に配設したことを特徴とする請求項1記載の内燃機関の燃焼室構造。
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