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JP5316864B2 - 爆風圧力エネルギー変換装置 - Google Patents
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Description

本発明はガスや爆薬による爆発被害を軽減するための装置に関わり、特に爆風の圧力エネルギーを低減させることによって爆風圧力による被害を軽減させ得る爆風圧力エネルギー変換装置に関する。
ガスボンベ室や火薬保管庫等の空間においてガスや爆薬が万一爆発した場合、通常のコンクリート造の壁面であれば爆風が固定端反射して局所的に強い圧力上昇が生じ、特に半閉鎖空間における隅角部では圧力が大きく増大するため甚大な人身被害や物的被害が想定される。
この種の爆発を想定した被害軽減対策としては、爆発時における敷地外への被害を軽減することを目的として、爆発により破壊が想定される外壁の裏面側にたとえばポリウレタン等の高強度樹脂材料を吹き付けたり貼り付けることによって防護シート層を形成しておき、その防護シート層によって外壁の破壊やそれに伴うコンクリート片の飛散を可及的に抑制することが考えられている。
また、特許文献1には万一の爆発時には屋根面が爆風により一体的に剥がれるようにしておくことにより爆発被害や周辺への影響を最小限に抑えるという水素貯蔵建屋についての提案がある。
さらに、航空機の爆発を想定したものではあるが、特許文献2には爆発によって生じた爆風および破片を有効に吸収可能とされる複合材料についての提案があり、この種の複合材料をガスボンベ室や火薬保管庫に設置することで爆発被害を軽減できるのではないかと考えられる。
特開2008−57185号公報 特許第2888634号公報
ところで、現在開発が進められている燃料電池自動車は近い将来に普及することが想定され、それに伴い、燃料電池自動車に燃料である水素を随時供給するための水素ステーション(従来のガソリンスタンドに相当する)が各所に多数設置されることが想定されている。
そして、水素ステーションは爆発性ガスである水素を多量に取り扱う施設であり、しかも市街地や繁華街等にも設置されることからその安全対策の確立が急務とされ、上記のような従来からの爆発安全対策を水素ステーションにも適用することが検討されている。
しかし、水素ステーションの外壁に対して上記従来技術としての防護シート層を単に形成することでは爆発時には外壁に大きな爆風圧力がかかることには変わりが無く、それのみでは充分な安全対策とはなり得ない。
また、水素が万一爆発した際のエネルギーは極めて大きいことから、特許文献1に示されるような手法のみでは充分ではなく、特に爆風圧による被害を充分に抑制するためにはより万全の安全対策が必要であると考えられている。
なお、特許文献2に示されるような複合材料は航空機を対象とした極めて特殊かつ複雑な構成のものであるので、これを可及的に簡易な施設、経済的な運営が必要とされる水素ステーションにそのまま適用することは現実的ではないし、水素爆発を想定した場合の有効性や信頼性も必ずしも充分ではないと考えられる。
上記事情に鑑み、本発明はたとえば水素ステーションの如き簡易な施設に適用し得る有効適切な爆発被害対策手段を提供することを目的としている。
請求項1記載の発明の爆風圧力エネルギー変換装置は、ガスや爆薬が爆発した際の爆風を受けてその爆風の圧力エネルギーを運動エネルギーに変換することによって爆風圧による被害を低減するための装置であって、室内の爆風を受ける位置に一次受圧板を配置して該一次受圧板に爆風を通過させる一次爆風孔を形成し、前記一次受圧板の背面側に間隔をおいて二次受圧板を配置して該二次受圧板に爆風をさらに通過させる二次爆風孔を形成し、前記二次受圧板の背面側に前記二次爆風孔を通過した爆風が流入する緩衝室を設け、前記緩衝室には爆風を室外に逃がすための排気塔を設けてなり、爆風を前記一次爆風孔および前記二次爆風孔を通過させて前記緩衝室および前記排気塔を通して室外に排気することにより、その間の爆風の通過流速を増大せしめて運動エネルギーを増大させるとともに圧力エネルギーを低減せしめるとともに、前記二次受圧板に形成した前記二次爆風孔の前面側に該二次爆風孔を通過する爆風により回転せしめられる回転体を設け、該二次爆風孔を通過する爆風により該回転体を回転させることにより爆風の運動エネルギーを回転体の回転運動エネルギーに変換せしめることを特徴とするものである。
本発明の爆風圧力エネルギー変換装置によれば、爆風が一次爆風孔および二次爆風孔を通過する際にその通過流速が増大し、したがってベルヌーイの法則により爆風の運動エネルギー(動圧)は増大するものの、その増大分だけ圧力エネルギー(静圧)は低減する。したがって、爆風が本装置を通過することで通過前後の総エネルギー(全圧)は変わらないものの、甚大な爆発被害の直接原因である爆風圧力を低減できることになり、それによる被害を軽減することが可能となる。
また、二次爆風孔の前面側に爆風を受けて回転せしめられる回転体を設けることにより、爆風の運動エネルギーの一部がその回転体を回転させるために費やされて回転体の回転運動エネルギーに変換され、その分、本装置を通過する爆風の総エネルギーを低減させることが可能である。
本発明の爆風圧力エネルギー変換装置の基本構成(便宜的に第1実施形態という)を示す図である。 本発明の実施形態(便宜的に第2実施形態という)である爆風圧力エネルギー変換装置の概要を示す図である。 同、回転体を示す図である。
図1は本発明の爆風圧力エネルギー変換装置の基本構成(便宜的に第1実施形態として説明する)を示すものである。これは、燃料電池自動車に燃料としての水素を随時供給するための施設である水素ステーションに設置して水素が万一爆発した際の爆発被害を軽減するためのものである。
本実施形態の装置は水素爆発が想定される室内に設置されるもので、室内側に面して配置される一次受圧板1と、その背面側に間隔をおいて配置される二次受圧板2と、その背面側に一体に設けられた緩衝室3と、緩衝室3に接続されてその先端が安全な方向に向けられて外部(大気中)に開放されている排気塔4により構成されている。
本装置は、室内の壁面全体を覆うように設置すると良く、特に爆風圧が集中する室内隅角部に設置することが好ましい。さらに壁面のみならず床面全体や天井面全体を覆うように設置することがより好ましい。
一次受圧板1は水素爆発の際に受けることが想定される爆風圧に耐え得る強度を有する頑強な平板であって、これには爆風が通過可能な多数の一次爆風孔5が形成されている。
一次受圧板1の素材としてはたとえば厚さ200mm程度の石膏ボードが好適に採用可能であるが、特に限定されることはなく、爆風に耐え得るものであれば鋼板やコンクリート版あるいは各種素材を組み合わせた複合素材を任意に採用可能である。
一次爆風孔5の径寸法や一次受圧板1に対する開口率(すなわち一次爆風孔5全体の配列や相互間隔)は、想定される爆風圧を考慮して爆風を所定の通過流速で通過させ得るように設定すれば良いが、たとえばφ300mm程度として図示例のように千鳥配置することが良い。
二次受圧板2も一次受圧板1と同様のものであって、同じく水素爆発の際に受けることが想定される爆風圧に耐え得る強度を有する頑強な平板に爆風が通過可能な多数の二次爆風孔6が形成されている。
二次受圧板2の素材や板厚は一次受圧板1と同等とすることでも良いが、その所要強度は一次受圧板1に比較してやや低くても良く、したがってたとえば厚さ50mm程度の石膏ボードが好適に採用可能である。
二次爆風孔6の径寸法や開口率も任意であるが、一次爆風孔5よりも小さくしてたとえばφ100mm程度とすると良く、図示例のように格子状に配列すると良い。
一次受圧板1と二次受圧板2との相互間隔も適宜で良いが、それらの相互間を通過する際に爆風の通過風速が大きく低下しない程度に接近させておくと良い。
本装置を設置した室内で水素爆発が生じると、まず一次受圧板1が爆風を受け、その爆風は一次爆風孔5を通過して二次受圧板2に達し、さらに二次爆風孔6を通過して緩衝室3に流入するようになっている。
その際、爆風は室内の広い空間から狭い一次爆風孔5に絞り込まれるように流入するから、ベルヌーイの法則に従ってそこでの通過流速が増大し、それに伴い爆風の運動エネルギー(動圧)は増大するが逆に圧力エネルギー(静圧)は低下する。
すなわち、爆風の密度ρ、流速v、圧力pとすると、ベルヌーイの法則により
ρv2/2+p=const.
なる関係があるから、一次爆風孔5を通過する際の通過流速vが増大すれば、その分、圧力pが低下することになる。
そして、二次受圧板2の二次爆風孔6を通過して流速が増大し圧力が低下した爆風は、そのまま排気として緩衝室3から排気塔4を経て安全な方向に向けて外部に放出されてしまうようになっている。
すなわち、本装置を通過する爆風の圧力は本装置に到達した時点の爆風圧に比べて自ずと低下したものとなり、したがって緩衝室3や排気塔4に作用する爆風圧も低下してそれらが破壊されてしまうような被害を軽減することができる。
図2〜図3は本発明の実施形態(便宜的に第2実施形態として説明する)である爆風圧力エネルギー変換装置の概要を示すものである。これは、上記の第1実施形態の爆風圧力エネルギー変換装置に対し、二次爆風孔6を通過する爆風により回転せしめられる回転体7を各二次爆風孔6の前面側に設置したものである。
回転体7は二次爆風孔6よりもやや小径(たとえば二次爆風孔6の直径が100mmの場合には70mm程度)かつ厚さ2mm程度の円盤状ないし円盤に近い鱗形状のもので、その素材としてはアルミ板等の金属板ないし樹脂成形板が好適に採用可能である。
その回転板7は、外周縁部がピン8により回転自在に二次受圧板2に取り付けられていて、二次爆風孔6を通過する爆風を受けてピン8を中心に自ずと回転せしめられるものである。
なお、回転体7が爆風を受けて確実に回転するように風車のブレードのような若干の捻り(ひねり)を形成しておくと良い。
上記の回転体7を設置することにより、二次爆風孔6を通過する爆風の運動エネルギーの一部がその回転体7を回転させるために費やされて回転体7の回転運動エネルギーに変換され、その分、本装置を通過する爆風の総エネルギーを低減させることが可能であり、第1実施形態のものに比べてさらに被害を軽減することが可能である。
以上で説明したように、本発明の装置によれば、甚大な爆発被害の直接原因である爆風圧力を低減できることになり、それによる被害を軽減することが可能である。
さらに、回転体7を付加することで爆風の総エネルギーを低減させることができ、さらなる被害軽減効果が得られる。
そして、本発明の装置は爆風が通過可能な単なる孔を有する単なる2枚の受圧板を主体とするものであって、その構成は極めて単純にして簡易であるので、これを設置するためのコストは些少であるし、日常的な保守も必要とせず、したがって水素ステーションの如き小規模かつ簡易な施設に適用するものとして最適である。
なお、上記実施形態はあくまで好適な一例であって本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、各構成要素の形状や寸法、素材その他については、想定される爆発規模や、これを設置する施設に要求される爆発安全性その他の諸条件を考慮しつつ、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜の設計的変更や応用が可能である。
勿論、本発明の爆風圧力エネルギー変換装置は燃料電池自動車への燃料供給のための水素ステーションを対象とすることに限らず、爆発性ガスや爆薬等を取り扱って爆発の危険のある施設全般に広く適用できることは言うまでもない。
1 一次受圧板
2 二次受圧板
3 緩衝室
4 排気塔
5 一次爆風孔
6 二次爆風孔
7 回転体
8 ピン

Claims (1)

  1. ガスや爆薬が爆発した際の爆風を受けてその爆風の圧力エネルギーを運動エネルギーに変換することによって爆風圧による被害を低減するための装置であって、
    室内の爆風を受ける位置に一次受圧板を配置して該一次受圧板に爆風を通過させる一次爆風孔を形成し、
    前記一次受圧板の背面側に間隔をおいて二次受圧板を配置して該二次受圧板に爆風をさらに通過させる二次爆風孔を形成し、
    前記二次受圧板の背面側に前記二次爆風孔を通過した爆風が流入する緩衝室を設け、
    前記緩衝室には爆風を室外に逃がすための排気塔を設けてなり、
    爆風を前記一次爆風孔および前記二次爆風孔を通過させて前記緩衝室および前記排気塔を通して室外に排気することにより、その間の爆風の通過流速を増大せしめて運動エネルギーを増大させるとともに圧力エネルギーを低減せしめるとともに、
    前記二次受圧板に形成した前記二次爆風孔の前面側に該二次爆風孔を通過する爆風により回転せしめられる回転体を設け、該二次爆風孔を通過する爆風により該回転体を回転させることにより爆風の運動エネルギーを回転体の回転運動エネルギーに変換せしめることを特徴とする爆風圧力エネルギー変換装置。
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