JP5330660B2 - 耐候性に優れた絶縁電線 - Google Patents
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Description
しかし、このような被覆材料を用いた絶縁電線を適切な処理をせずに廃棄した場合の種々の問題が提起されている。例えば、埋立てにより廃棄した場合には、被覆材料に配合されている可塑剤や重金属安定剤の溶出、また焼却した場合には、多量の腐食性ガスの発生、ダイオキシンの発生などという問題が起こる。このため、有害な重金属やハロゲン系ガスなどの発生がないノンハロゲン難燃材料で電線を被覆する技術の検討が盛んに行われている。
本発明は前述の問題点を解決するもので、優れた機械特性、耐熱性等をもち、厳しい難燃性規格に適合する優れた難燃性と高い耐候性を共に有する絶縁電線を提供することを目的とする。
すなわち本発明は
(1)多層被覆構造からなる絶縁電線において、エチレン系共重合体並びにポリオレフィン樹脂及び/又はスチレン系エラストマーを主成分とする樹脂成分(a)100質量部に対し、水酸基または結晶水を有する金属化合物であってかつ該金属化合物の一部または全部が水酸化アルミニウムである金属化合物を40〜200質量部およびメラミンシアヌレート0〜90質量部を含有する難燃性樹脂組成物(A)よりなる被覆層の外側に、
エチレン系共重合体並びにポリオレフィン樹脂及び/又はスチレン系エラストマーを主成分とする樹脂成分(a)100質量部に対し、水酸化マグネシウムを150〜360質量部およびメラミンシアヌレートを0〜90質量部含有しており、さらに樹脂組成物中の樹脂成分(a)においてエチレン系共重合体成分の酢酸ビニル量、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸および不飽和カルボン酸成分の合計が樹脂成分中で36〜70質量%である樹脂組成物(B)よりなる被覆層が被覆されていることを特徴とする絶縁電線、
(2)前記難燃性樹脂組成物(A)に含まれる前記水酸基または結晶水を有する金属化合物の全部が水酸化アルミニウムであることを特徴とする(1)に記載の絶縁電線
(3)前記樹脂組成物(A)が、さらにカーボンを含有していることを特徴とする(1)又は(2)に記載の絶縁電線、
(4)前記樹脂組成物(A)の前記水酸基または結晶水を有する金属化合物が水酸化マグネシウムであることを特徴とする前記(1)または(3)に記載の絶縁電線、
(5)前記樹脂組成物(A)の前記水酸基または結晶水を有する金属化合物がシラン処理されている水酸化マグネシウムであることを特徴とする(1)、(3)または(4)のいずれか1項に記載の絶縁電線、
(6)前記樹脂組成物(A)が樹脂成分(a)100質量部に対し、前記水酸基または結晶水を有する金属化合物を40〜160質量部およびメラミンシアヌレート5〜65質量部を含有する難燃性樹脂組成物であることを特徴とする(1)〜(5)のいずれか1項に記載の絶縁電線、および、
(7)前記樹脂組成物(B)の樹脂成分(a)100質量%中、アクリルゴムが5〜50質量%含有されていることを特徴とする(1)〜(6)のいずれか1項に記載の絶縁電線、
を提供するものである。
先ず、本発明の多層被覆構造の絶縁電線の内側構成材および外側構成材となる難燃性樹脂組成物(A)および樹脂組成物(B)のうち、樹脂成分(a)を構成するエチレン系共重合体、ポリオレフィン樹脂およびスチレン系エラストマーの各成分およびその含有量について説明する。
本発明におけるエチレン系共重合体には、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−エチルアクリレ−ト共重合体、エチレン−メタクリレート共重合体、エチレン−アクリル酸アルキル系アクリルゴム、エチレン−アクリル酸アルキル−アクリル酸系アクリルゴムなどが挙げられる。特に、エチレン系共重合体の中で難燃性や耐候性を向上させるためにはエチレン−酢酸ビニル共重合体を使用するのがよい。
樹脂成分(a)には、エチレン系共重合体は必須であり、その含有量は樹脂成分(a)100質量%中20 〜100質量%が好ましく、さらに好ましくは 35〜90質量%である。少な過ぎると難燃性が低下したが耐候性が著しく低下する。
またさらに、外側樹脂組成物(B)においては、このエチレン系共重合体成分の酢酸ビニル量、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸および不飽和カルボン酸成分の合計がその樹脂成分中で36〜70質量%であれば、耐候性、難燃性が大幅に向上することが確認された。
特に、外側樹脂組成物(B)にあっては、その樹脂成分(a)100質量%中にアクリルゴムを5〜50質量%配合することにより、非常に高い難燃性を維持しつつ、しかも高い耐候性を有することが可能となる。
本発明におけるポリオレフィン樹脂としてはポリプロピレン系樹脂およびエチレン−α-オレフィン共重合体が挙げられる。
本発明に用いることのできるポリプロピレン系樹脂としては、ホモポリプロピレン、エチレン・プロピレンランダム共重合体、エチレン・プロピレンブロック共重合体や、プロピレンと他の少量のα−オレフィン(例えば1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン等)との共重合体、またポリプロピレンとエチレン−プロピレンゴムの共重合体等が挙げられる。
エチレン−α-オレフィン共重合体は、好ましくは、エチレンと炭素数3〜12のα−オレフィンとの共重合体であり、α−オレフィンの具体例としては、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセンなどが挙げられる。エチレン−α-オレフィン共重合体としては、直鎖型低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、エチレンープロピレン共重合ゴム(EPR)、 エチレンーブチレン共重合ゴム(EBR)、及びシングルサイト触媒存在下に合成されたエチレン−α-オレフィン共重合体等がある。このなかでも、シングルサイト触媒存在下に合成されたエチレン−α-オレフィン共重合体が好ましい。
本発明において用いられるシングルサイト触媒の存在下に合成されたエチレン−α-オレフィン共重合体としては、DowChemical社から、「AFFINITY」「ENGAGE」(商品名)が、日本ポリケムから「カーネル」(商品名)が上市されている。
樹脂成分(a)には、ポリオレフィン樹脂は含有してもしなくても良く、その含有量は樹脂成分(a)100質量%中0〜60質量%、好ましくは0〜40質量%である。
本発明におけるスチレン系エラストマーは、芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物を主体とする共重合体の水素添加物であり、共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物とのブロック構造を主体とする共重合体又はランダム構造を主体とする共重合体の水素添加物である。
樹脂成分(a)には、スチレン系エラストマーは含有してもしなくてもよく、その含有量は樹脂成分(a)100質量%中0〜30質量%、好ましくは0〜20質量%である。
芳香族ビニル化合物としては、例えばスチレン、t−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、1,1−ジフェニルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレン、ビニルトルエン、p−第3ブチルスチレンなどがあり、中でもスチレンが好ましい。
また共役ジエン化合物としては、例えば、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンなどがあり、この中の1種または2種以上が選ばれ、中でもブタジエン、イソプレンおよびこれらの組合せが好ましい。
芳香族ビニル化合物含有量は、エラストマー成分中50質量%以下が好ましく、45質量%以下がさらに好ましい。この量が多すぎると柔軟性が低下する。
また、エラストマーの数平均分子量は5、000〜1、000、000程度が好ましく、多分散度(Mw/Mn)の値が10以下が好ましい。また、230℃、荷重21.18Nでのメルトフローレート(以下、MFRと記す)(ASTMD1238準拠)は、12g/10分以下が好ましく、さらに好ましくは6g/10分以下である。
このような材料としては、クラレからセプトン(商品名)、JSR(株)からダイナロン(商品名)が販売されている。
不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性されるポリオレフィン樹脂としては、直鎖状ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等のポリオレフィン樹脂が挙げられる。
変性に用いられる不飽和カルボン酸としては、例えば、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸等が挙げられ、不飽和カルボン酸の誘導体としては、マレイン酸モノエステル、マレイン酸ジエステル、無水マレイン酸、イタコン酸モノエステル、イタコン酸ジエステル、無水イタコン酸、フマル酸モノエステル、フマル酸ジエステル、無水フマル酸などを挙げることができる。ポリオレフィンの変性は、例えば、ポリオレフィンと不飽和カルボン酸等を有機パーオキサイドの存在下に加熱、混練することにより行うことができる。マレイン酸による変性量は通常0.1〜7質量%程度である。
この不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性したポリオレフィン樹脂を加えることにより、得られる樹脂組成物の伸びを大きくすると共に強度を保持する効果があり、さらに体積固有抵抗を高く保つことが可能となる。この不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性したものは、水酸基または結晶水を有する金属化合物による機械特性の低下を緩和する効果や電線の白化を防ぐ効果もある。
本発明の内側層となる難燃性樹脂組成物(A)において用いることのできる水酸基または結晶水を有する金属化合物の種類は特に制限はないが、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水和珪酸アルミニウム、水和珪酸マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、オルト珪酸アルミニウム、ハイドロタルサイドなどの水酸基あるいは結晶水を有する金属化合物が挙げられ、1種単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、本発明では、該金属化合物の一部または全部が水酸化アルミニウムである金属化合物である。
これらの水酸基あるいは結晶水を有する金属化合物のうち耐候性、難燃性の面で水酸化アルミニウムが好ましい。
水酸化アルミニウムとしては脂肪酸処理されたものや無処理のものが挙げられる。その中でも無処理のものが好ましい。その他シラン処理等を施したものを使用しても良い。
上記水酸化マグネシウムとしては特には限定しないがシラン処理を施したものが好ましく、末端にアルキル基、アルコキシ基、アミノ基、ビニル基、メタクロキシ基、エポキシ基等を有するシランカップリング剤で処理したものが挙げられる。これらのシランカップリング剤は単独でも2種以上併用してもよい。その中でも末端にアミノ基、ビニル基、エポキシ基等の反応性のシランカップリング剤を用いることが好ましく、さらにその中でもビニル基またはエポキシ基を有するものをその一成分として用いることが好ましく、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。
シラン処理された水酸化マグネシウムを用いることにより、強度、高い難燃性、耐候性を維持することができる。さらに上述のシラン処理水酸化マグネシウムとともに脂肪酸処理や燐酸エステル処理された水酸化マグネシウムを併用しても良いし、シラン処理とともに脂肪酸処理、燐酸エステル処理を行ってもよい。
また水酸化マグネシウムと水酸化アルミニウム等の2種類以上の水酸基あるいは結晶水を有する金属化合物を混合して使用しても良い。
内側層となる難燃性樹脂組成物(A)の難燃剤として水酸化アルミニウムを使用することにより、高い難燃性と耐候性を得ることができる。内層部の水酸化アルミニウムとメラミンシアヌレートと外層材のエチレン系共重合体及び水酸化マグネシウムの相互作用により高い難燃性を得ることができ、内側層となる難燃性樹脂組成物(A)中の水酸基あるいは結晶水を有する金属化合物の量を大幅に低減することが可能となる。さらに耐候性は大幅に良好となり、耐候性、耐熱性、難燃性、低温性が両立できる絶縁電線が構成できる。
この外側層となる樹脂組成物(B)に用いられる水酸化マグネシウムは、少なくとも1/3以上、さらに好ましくは1/2以上が脂肪酸及び/又はリン酸エステルで処理されていることが好ましく、さらにその水酸化マグネシウムに対する処理量は1.5質量%以上が好ましく、1.8質量%以上、さらに2.0質量%以上が好ましい。
脂肪酸としてはステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸、ラウリン酸、ベヘニン酸、アラキジン酸及びナトリウム塩やカリウム塩などの金属塩化合物が挙げられる。
リン酸エステルは、例えば下記式のものが挙げられ、ステアリルアルコールリン酸エステルやその金属塩やラウリルアルコールリン酸エステルやその金属塩等が挙げられる。
さらに、処理された又は処理される水酸化マグネシウムに対して、シランカップリング剤等で処理しても良い。上記の水酸化マグネシウムに加えて、無処理、或いはシランカップリング剤で処理された水酸化マグネシウムを追加して加えてもよい。但し水酸化マグネシウムは少なくとも1/3以上、さらに好ましくは1/2以上が脂肪酸及び又はリン酸エステルで処理されていることが好ましく、さらにその水酸化マグネシウムに対する処理量は1.5質量%以上が好ましい。
脂肪酸及び又はリン酸エステルで1.5質量%以上処理された水酸化マグネシウムを使用することにより、飛躍的に耐候性が向上する。特に水酸化マグネシウム量が120質量部以上の場合に顕著である。この要因についてはっきりしてはいないものの、紫外線によりポリマーと樹脂の界面に欠陥が生じ、ラジカルが発生するが、脂肪酸やリン酸エステルで十分水酸化マグネシウムが処理されているものは、このラジカルの発生が少なく、ポリマーの劣化が生じにくいことが考えられる。
本発明の樹脂組成物(A)および樹脂組成物(B)には、難燃性を向上させるためにメラミンシアヌレート化合物を加えることも出来る。
本発明で用いるメラミンシアヌレートは、粒径が細かい物が好ましく、その平均粒径は好ましくは10μm以下、より好ましくは7μm以下、さらに好ましくは5μm以下である。また、分散性の面から表面処理されたメラミンシアヌレート化合物が好ましく用いられる。
本発明で用いることのできるメラミンシアヌレート化合物としては、例えばMCA−0、MCA−1(商品名、三菱化学社製)や、MC6000(商品名、日産化学社製)として上市されているものがある。
また、脂肪酸で表面処理したメラミンシアヌレート化合物、シラン表面処理したメラミンシアヌレート化合物としては、MC610、MC640(いずれも商品名、日産化学社製)などがある。
難燃性樹脂組成物(A)に使用されるカーボンとしてはファーネスカーボンやアセチレンカーボンが好ましい。カーボンは紫外線を吸収する働きがあり、耐候性を著しく向上させる。カーボンの量は好ましくは難燃性樹脂組成物(A)中、0.6〜4.0質量%、好ましくは0.8〜2.8質量%である
本発明に使用されるヒンダートフェノール抗酸化剤は、ペンタエリスリチル−テトラキス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、1,6−ヘキサンジオール−ビス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2,2−チオ−ジエチレンビス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオネート)、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン等が挙げられる。
このヒンダートフェノール抗酸化剤は、本発明の被覆樹脂組成物の耐熱性を保持するだけでなく、光による劣化により生じたラジカルをトラップする働きがある。さらにシランカップリング剤によって結合された水酸基あるいは結晶水を有する金属化合物とポリマー間の光による劣化により生じたラジカルをトラップし、これを修復することにより、ポリマーと金属水和物間の欠陥を抑え、紫外線等の光に当たった後の樹脂組成物の伸びの低下やストレスクラックを抑えることが出来る。
本発明に使用されるベンゾフェノン系紫外線吸収剤は2.4ジヒドロキシベンゾフェノン、2ヒドロキシ−4−メトキシ−ベンゾフェノン、2ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンゾフェノン、ビス(5−ベンゾル−4−ヒドロキシ2−メトキシフエニル)メタン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン等が挙げられる。
また、本発明に使用されるベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、2−(2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾフエノン、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’ビス(α、α−ジメチルベンジル)フェニル)−ベンゾトリアジン、2−(2’ヒドロキシ−3’,5’ジ−t−ブチル−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアジン、2−(2’−ヒドロキシ3’,5’−ジ−t一アミル)ベンゾトリアジン、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアジン等が挙げられる。
本発明に使用されるヒンダートアミン系光安定剤は、コハク酸ジメチル1−(2一ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ((6,(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル)((2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ)ヘキサメチレン((2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ))、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート等が挙げられる。
このヒンダートアミン系光安定剤は、シランカップリング剤を介しての水酸基あるいは結晶水を有する金属化合物とポリマーの結合が紫外線等の光で切断された際、修復する作用がある。特に樹脂表面近傍におけるこの結合の修復に大きな効果がある。
この他、2次老化防止剤としてチオエーテル系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤、ベンゾイミダゾール系老化防止剤等が挙げられる。
本発明で用いることのできるホウ酸亜鉛として、具体的には例えば、アルカネックスFRC−500(2ZnO/3B203・3.5H20)、FRC−600(いずれも商品名、水澤化学社製)などがある。またスズ酸亜鉛(ZnSnO3)、ヒドロキシスズ酸亜鉛(ZnSn(OH)6)として、アルカネックスZS、アルカネックスZHS(いずれも商品名、水澤化学社製)などがある。
難燃(助)剤、充填剤としては、カーボン、クレー、酸化亜鉛、酸化錫、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化モリブデン、三酸化アンチモン、シリコーン化合物、石英、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ホワイトカーボンなどがあげられる。
滑剤としては、炭化水素系、脂肪酸系、脂肪酸アミド系、エステル系、アルコール系、金属石けん系などがあげられ、なかでも、ワックスE、ワックスOP(いずれも商品名、Hoechst社製)などの内部滑性と外部滑性を同時に示すエステル系滑剤が好ましい。
本発明の電線(ケーブルを含む)導体の外側に上記の本発明の絶縁性の樹脂組成物の架橋体により被覆されたものである。本発明の絶縁性の樹脂組成物は通常の電線製造用押出成形機を用いて導体周囲に押出被覆される。シランカップリング剤とポリマーを結合させるためその後架橋しても良いし、ニーダやバンバリーミキサーで樹脂組成物作成時に樹脂の一部分を架橋すると共にポリマーと水酸基あるいは結晶水を有する金属化合物を、シランカップ剤を介して結合させても良い。
被覆後の架橋の方法は特に制限はなく、電子線架橋法や化学架橋法で行うことができる。電子線架橋法で行う場合、電子線の線量は1〜30Mradが適当であり、効率よく架橋をおこなうために、トリメチロールプロパントリアクリレートなどのメタクリレート系化合物、トリアリルシアヌレートなどのアリル系化合物、マレイミド系化合物、ジビニル系化合物などの多官能性化合物を架橋助剤として配合してもよい。
化学架橋法の場合は樹脂組成物に、ヒドロペルオキシド、ジアルキルペルオキシド、ジアシルペルオキシド、ペルオキシエステル、ケトンペルオキシエステル、ケトンペルオキシドなどの有機過酸化物を架橋剤として配合し、押出成形被覆後に加熱処理により架橋を行う。
実施例1〜10および比較例1〜5
表1に実施例1〜10および表2に比較例1〜5の樹脂組成物(A)、樹脂組成物(B)の各成分の含有量(表中の数字は断りのない限り質量部である)を示す。
なお、表中「酸及び酸エステル成分の含有量」とは、樹脂成分(a)においてエチレン系共重合体成分の酢酸ビニル量、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸および不飽和カルボン酸成分の合計量である。
表に示す各成分を室温にてドライブレンドし、バンバリーミキサーを用いて溶融混練して、各絶縁樹脂組成物を製造した。
1.商品名:エバフレックス EV180 製造元:三井デュポンポリケミカル(株)
エチレン−酢酸ビニル共重合体(a−1)
酢酸ビニル含有量:33質量%
2.商品名:YX−21K 製造元:東ソー(株)
エチレン−酢酸ビニル共重合体(a−1)
酢酸ビニル含有量:41質量%
3.商品名:レバプレン800HV 製造元:ランクセス社製
エチレン−酢酸ビニル共重合体(a−1)
酢酸ビニル含有量:80質量%
4.商品名:ベイマックDP 製造元:デュポン社製
アクリルゴム(a−1)
エチレン−アクリルメチル共重合体ゴム
5.商品名:BC8A 製造元:日本ポリプロピレン(株)
ブロックポリプロピレン(a−2)
MFR:0.8g/10分
6.商品名:ダイナロン1320P 製造元:JSR(株)
スチレン系エラストマー(a−3)
水添スチレンーブタジエンゴム
7.商品名:アドマーXE070 製造元:三井化学(株)
無水マレイン酸で変性されたポリエチレン(a−4)
マレイン酸変性量:1質量%
8.商品名:キスマ5P 製造元:協和化学工業(株)
シランカップリング剤処理水酸化マグネシウム(b)
シランカップリング剤処理0.3%
9. 商品名:キスマ5J 製造元:協和化学工業(株)
りん酸エステル処理水酸化マグネシウム(b)
りん酸エステル処理2.3%
10. 商品名:キスマ5A 製造元:協和化学工業(株)
脂肪酸処理水酸化マグネシウム(b)
ステアリン酸処理3%
11.商品名:キスマ5AL 製造元:協和化学工業(株)
脂肪酸処理水酸化マグネシウム(b)
ステアリン酸処理0.6%
12.商品名:MC6000 製造元:日産化学(株)
メラミンシアヌレート(c)
(その他の添加剤)
13.商品名:イルガノックス1010 製造元:チバスペシャリティケミカルズ
ヒンダートフェノール系老化防止剤
14.商品名:アデカスタブAO−412S 製造元:旭電化工業
チオエーテル系老化防止剤
15.商品名:TINUBINN111 製造元:チバスペシャリティケミカルズ
ヒンダートアミン光安定化剤
16.商品名:アデカスタブA−1413 製造元:旭電化
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤
17.商品名:旭カーボン70 製造元:旭カーボン(株)
カーボン
18.ステアリン酸カルシウム 製造元:日本油脂(株)
ステアリン酸カルシウム
19.商品名: CR−60 製造元:大日精化工業
ルチル型酸化チタン
20.ハイジライトH42M 製造元:昭和電工
無処理水酸化アルミニウム
21.ハイジライトH42S 製造元:昭和電工
ステアリン酸水酸化アルミニウム
1)引張り強さ、伸び
各絶縁電線の伸び(%)と絶縁電線から被覆層の管状片を作成し、その引張り強さ(MPa)とを、UL1581に準拠し、標線間20mm、引張速度200mm/分の条件で測定した。
引張り強さおよび伸びの要求特性は、それぞれ8MPa以上、150%以上である。
2)耐候性
電線工業会 技資第130号『照明器具用電線・ケーブルの紫外線劣化促進試験』の方法を用い、110℃20日間加熱処理を行った後、各絶縁電線の被覆層の引張り強さ残率と被覆層の伸び(%)(MPa)を、標線間20mm、引張速度200mm/分の条件で測定した。引張り強さ残率65%以上、伸び50%以上が合格である。
3)難燃性(VW−1)
各絶縁電線について、UL1581の Vertical Flame Test をおこなった。3本のサンプルで試験を行い3本共に合格したものを「合格」、それ以外を「不合格」とした。
4)外観
外観は、押出し被覆時の外観や絶縁電線の外径の変化の有無、表面状態を目視で調査し、これらが良好であったものは「○」とし、外観に問題が有り、又は押出が出来なかったものは「×」とした。
これに対して、比較例1は、加熱処理後における伸び(耐候性)が悪い。比較例2は、樹脂組成物(A)の水酸基あるいは結晶水を有する金属化合物の表面処理剤を変えても、同様に伸び(耐候性)が悪かった。外層の樹脂組成物(B)中の水酸化マグネシウム含有量が規定の範囲に達していない比較例3は、難燃性を満足することができず、外層の樹脂成分中の酸又は酸エステル成分の含有量が規定の範囲を外れた比較例4は、伸びが悪く、また難燃性を満足することができない。
外層の樹脂組成物(B)中の水酸化マグネシウム含有量が規定値を越える比較例5は、外観が悪く、押出し被覆も困難であり、内層の樹脂組成物(A)中の水酸化マグネシウム含有量が規定値を越える比較例6は、伸びが悪い。
このように比較例では、伸び、難燃性、外観のいずれかの項目を満足することができず、本発明の効果が得られないことがわかる。
Claims (7)
- 多層被覆構造からなる絶縁電線において、エチレン系共重合体並びにポリオレフィン樹脂及び/又はスチレン系エラストマーを主成分とする樹脂成分(a)100質量部に対し、水酸基または結晶水を有する金属化合物であってかつ該金属化合物の一部または全部が水酸化アルミニウムである金属化合物を40〜200質量部およびメラミンシアヌレート0〜90質量部を含有する難燃性樹脂組成物(A)よりなる被覆層の外側に、
エチレン系共重合体並びにポリオレフィン樹脂及び/又はスチレン系エラストマーを主成分とする樹脂成分(a)100質量部に対し、水酸化マグネシウムを150〜360質量部およびメラミンシアヌレートを0〜90質量部含有しており、さらに樹脂組成物中の樹脂成分(a)においてエチレン系共重合体成分の酢酸ビニル量、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸および不飽和カルボン酸成分の合計が樹脂成分中で36〜70質量%である樹脂組成物(B)よりなる被覆層が被覆されていることを特徴とする絶縁電線。 - 前記難燃性樹脂組成物(A)に含まれる前記水酸基または結晶水を有する金属化合物の全部が水酸化アルミニウムであることを特徴とする請求項1に記載の絶縁電線
- 前記樹脂組成物(A)が、さらにカーボンを含有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の絶縁電線。
- 前記樹脂組成物(A)の前記水酸基または結晶水を有する金属化合物が水酸化マグネシウムであることを特徴とする請求項1または3に記載の絶縁電線。
- 前記樹脂組成物(A)の前記水酸基または結晶水を有する金属化合物がシラン処理されている水酸化マグネシウムであることを特徴とする請求項1、3または4のいずれか1項に記載の絶縁電線。
- 前記樹脂組成物(A)が樹脂成分(a)100質量部に対し、前記水酸基または結晶水を有する金属化合物を40〜160質量部およびメラミンシアヌレート5〜65質量部を含有する難燃性樹脂組成物であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の絶縁電線。
- 前記樹脂組成物(B)の樹脂成分(a)100質量%中、アクリルゴムが5〜50質量%含有されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の絶縁電線。
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