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JP5332883B2 - 感光性組成物、光導波路、光配線、光電気混載基板、電子機器、および光導波路の形成方法 - Google Patents
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JP5332883B2 - 感光性組成物、光導波路、光配線、光電気混載基板、電子機器、および光導波路の形成方法 - Google Patents

感光性組成物、光導波路、光配線、光電気混載基板、電子機器、および光導波路の形成方法 Download PDF

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本発明は、新規な感光性組成物およびそれを用いた光導波路の形成方法に関する。
ノルボルネンを重合して得られるポリマーは、透明性、耐熱性、寸法安定性などの物理的、化学的特性に優れていることが知られている。さらに、主鎖に様々な官能基を導入したポリノルボルネンは、特に光学材料、電子材料などの分野において付加価値の高い材料として用いられている。
官能基を有するポリノルボルネンは、対応する官能基を有する置換ノルボルネンモノマーを付加重合することにより合成することができる。ここで、ノルボルネンの5位または6位に官能基を有する置換ノルボルネンは、その官能基の配置によってendo体とexo体の2種の構造異性体が存在する。一般に、Diels-Alder反応によって合成された5位または6位に官能基を有する置換ノルボルネンは、エンド則(endo rule)により、endo体含有率の高いendo/exo混合物になることが知られている。
5位または6位に官能基を有する置換ノルボルネンのパラジウム(Pd)触媒による付加重合においては、反応速度がendo体よりもexo体の方が圧倒的に高いことが知られている。特に、置換ノルボルネンの置換基が嵩高い場合には、置換ノルボルネンモノマー同士をバルク重合法で重合させることは通常困難であるため、もっぱら溶液重合法が採用されている。例えば、特許文献1に、光導波路の材料として用いられる嵩高い官能性置換基を有する各種ノルボルネン(共)重合体を溶液重合法で合成した例が記載されている。
特表2007−512577号公報
溶液重合法により合成されたポリノルボルネンは、これを光導波路、体積型ホログラム記録用媒体その他の薄膜材料として用いる場合、再沈殿後、溶剤に再溶解させてコーティング組成物を調製する必要がある。また、溶剤を含むコーティング組成物から塗膜を形成する場合、乾燥(溶剤除去)時に膜が薄くなるため、膜厚の制御が困難である。さらに、溶剤の使用は、環境的観点からも好ましくない。したがって、かかる欠点がないバルク重合法によって官能性置換基を有するポリノルボルネンを提供することができる感光性組成物が望まれる。
上述の課題を解決するため、本発明は下記発明(1)〜(15)を提供する。
(1)光酸発生剤と、該光酸発生剤が放出するプロトンの作用により分子構造の少なくとも一部が離脱し得る離脱性基を有するノルボルネン系モノマーと、該ノルボルネン系モノマーの付加重合のための触媒とを含んでなる感光性組成物であって、該離脱性基をexo位に有するexo体ノルボルネン系モノマーが、該離脱性基をendo位に有するendo体ノルボルネン系モノマーよりも過剰に存在することを特徴とする、感光性組成物。
(2)前記ノルボルネン系モノマーは実質的に該exo体ノルボルネン系モノマーからなる、(1)に記載の感光性組成物。
(3)前記ノルボルネン系モノマーは下記構造式(I)で表される、(1)または(2)に記載の感光性組成物。
Figure 0005332883
(上式中、R1〜R4は、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは無置換の炭化水素基、または官能置換基を表すが、その少なくとも一つは前記離脱性基を表し、そしてmは0〜5の整数を表す。)
(4)前記離脱性基は、−O−構造、−Si−アリール構造および−O−Si−構造からなる群から選ばれた少なくとも1つを有する、(1)〜(3)のいずれか1項に記載の感光性組成物。
(5)前記離脱性基は−O−Si−ジフェニル構造を有する、(1)〜(4)のいずれか1項に記載の感光性組成物。
(6)前記ノルボルネン系モノマーはジフェニルメチルノルボルネンメトキシシランまたはジフェニルメチルノルボルネンエトキシシランである、(5)に記載の感光性組成物。
(7)前記触媒は、下記式(Ia)で表される化合物を含む、(1)〜(6)のいずれか1項に記載の感光性組成物。
(E(R)32Pd(Q)2 (Ia)
上式中、E(R)3は第15族の中性電子ドナー配位子を表し、Eは、周期律表の第15族から選択される元素を表し、Rは、水素原子もしくはその同位体または炭化水素基を含む部位を表し、Qは、カルボキシレート、チオカルボキシレートおよびジチオカルボキシレートから選択されるアニオン配位子を表す。
(8)前記触媒は、下記式(Ib)で表される化合物を含む、(1)〜(7)のいずれか1項に記載の感光性組成物。
[(E(R)3aPd(Q)(LB)bp[WCA]r (Ib)
上式中、E(R)3は第15族の中性電子ドナー配位子を表し、Eは、周期律表の第15族から選択される元素を表し、Rは、水素原子もしくはその同位体または炭化水素基を含む部位を表し、Qは、カルボキシレート、チオカルボキシレートおよびジチオカルボキシレートから選択されるアニオン配位子を表し、LBはルイス塩基を表し、WCAは弱配位アニオンを表し、aは1〜3の整数を表し、bは0〜2の整数を表し、aとbとの合計は1〜3であり、pおよびrは、パラジウムカチオンと弱配位アニオンとの電荷のバランスをとる数を表す。
(9)さらに、前記ノルボルネン系モノマーとバルク重合可能な別のノルボルネン系モノマーを含む、(1)〜(8)のいずれか1項に記載の感光性組成物。
(10)さらに、粘度調整のためのポリノルボルネンを含む、(1)〜(9)のいずれか1項に記載の感光性組成物。
(11)さらに溶剤を含む、(1)〜(10)のいずれか1項に記載の感光性組成物。
(12)さらに、オキセタニル基を有するモノマーおよび/またはオキセタニル基を有するオリゴマーを含む、(1)〜(11)のいずれか1項に記載の感光性組成物。
(13)(1)〜(12)のいずれか1項に記載の感光性組成物の硬化物で構成されている光導波路。
(14)(13)に記載の光導波路を備えたことを特徴とする光配線。
(15)電気配線と(14)に記載の光配線とを有することを特徴とする光電気混載基板。
(16)に記載の光導波路を備えたことを特徴とする電子機器。
(17)(1)〜(12)のいずれか1項に記載の感光性組成物の薄膜を形成する工程と、該薄膜を加熱して該ノルボルネン系モノマーを付加重合させる工程とを含む、光導波路の形成方法。
(18)前記付加重合がバルク重合で行われる、(17)に記載の方法。
(19)さらに、前記付加重合後の薄膜の一部に紫外光を照射することにより当該照射領域の屈折率を低下させる工程を含む、(17)または(18)に記載の方法。
本発明による感光性組成物は、exo体ノルボルネン系モノマーがendo体ノルボルネン系モノマーよりも過剰に存在することにより、官能性置換基を有するポリノルボルネンをバルク重合法で提供することができる。したがって、本発明による感光性組成物は、無溶剤系で感光性ポリマー塗膜を形成することができるため、乾燥(溶剤除去)により膜厚が減少することがない。また、本発明によると、溶剤を使用しないことによるプロセスの簡略化および環境負荷の低減が可能となる。
実施例1および2ならびに比較例1〜3について、各ゲル化時間をexo体含有率に対してプロットしたグラフである。
以下、本発明による感光性組成物について、特に光導波路への適用に関して詳細に説明するが、本発明による感光性組成物の用途がこれらに限定されることを意図するものではない。本発明による感光性組成物は、光酸発生剤と、該光酸発生剤が放出するプロトンの作用により分子構造の少なくとも一部が離脱し得る離脱性基を有するノルボルネン系モノマーと、該ノルボルネン系モノマーの付加重合のための触媒とを含んでなる感光性組成物であって、該離脱性基をexo位に有するexo体ノルボルネン系モノマーが、該離脱性基をendo位に有するendo体ノルボルネン系モノマーよりも過剰に存在することを特徴とする。
上記exo体ノルボルネン系モノマーが上記endo体ノルボルネン系モノマーよりも過剰に存在するとは、exo体が全ノルボルネン系モノマーの50モル%を超えていること、好ましくは70モル%以上、より好ましくは85モル%以上、さらに好ましくは95モル%以上であることを意味する。バルク重合を最も効率よく進めるためには、全ノルボルネン系モノマーが実質的にexo体ノルボルネン系モノマーからなること、すなわち、endo体ノルボルネン系モノマーが不純物量以下(例えば、1質量%以下)でしか含まれないことが最も好ましい。
本発明によるノルボルネン系モノマーは下記構造式(I)で表されることができる。
Figure 0005332883
上式中、R1〜R4は、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは無置換の炭化水素基、または官能置換基を表すが、その少なくとも一つは前記離脱性基を表し、そしてmは0〜5の整数を表す。
無置換の炭化水素基(ハイドロカルビル基)としては、例えば、直鎖状または分岐状の炭素数1〜10(C1〜C10)のアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数2〜10(C2〜C10のアルケニル基、直鎖状または分岐状の炭素数2〜10(C2〜C10)のアルキニル基、炭素数4〜12(C4〜C12)のシクロアルキル基、炭素数4〜12(C4〜C12)のシクロアルケニル基、炭素数6〜12(C6〜C12)のアリール基、炭素数7〜24(C7〜C24)のアラルキル基(アリールアルキル基)等が挙げられ、その他、R1およびR2、R3およびR4が、それぞれ炭素数1〜10(C1〜C10)のアルキリデニル基であってもよい。
アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基およびデシル基が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。アルケニル基の具体例としては、ビニル基、アリル基、ブテニル基およびシクロヘキセニル基が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。アルキニル基の具体例としては、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基および2−ブチニル基が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。シクロアルキル基の具体例としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基およびシクロオクチル基が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。アリール基の具体例としては、フェニル基、ナフチル基およびアントラセニル(anthracenyl)基が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。アラルキル(aralkyl)基の具体例としては、ベンジル基およびフェニルエチル(フェネチル:phenethyl)基が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。また、アルキリデニル(alkylidenyl)基の具体例としては、メチリデニル(methylidenyl)基およびエチリデニル(ethylidenyl)基が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
置換された炭化水素基としては、前記の炭化水素基が有する水素原子の一部または全部がハロゲン原子で置換されたもの、すなわち、ハロハイドロカルビル(halohydrocarbyl)基、パーハロハイドロカルビル(perhalohydrocarbyl)基であるか、パーハロカルビル(perhalocarbyl)基のようなハロゲン化炭化水素基が挙げられる。これらのハロゲン化炭化水素基において、水素原子に置換するハロゲン原子としては、塩素原子、フッ素および臭素から選択される少なくとも1種が好ましく、フッ素原子がより好ましい。このうち、パーハロゲン化された炭化水素基(パーハロハイドロカルビル基、パーハロカルビル基)の具体例としては、例えば、パーフルオロフェニル基、パーフルオロメチル基(トリフルオロメチル基)、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロヘキシル基等が挙げられる。なお、ハロゲン化アルキル基には、炭素数1〜10のもの以外に、炭素数11〜20のものも好適に用いることができる。すなわち、ハロゲン化アルキル基には、部分的または完全にハロゲン化され、直鎖状または分岐状をなし、一般式:−CZX’’2Z+1で表される基を選択することができる。ここで、X’’は、それぞれ独立して、ハロゲン原子または水素原子を表し、Zは、1〜20の整数を表す。また、置換された炭化水素基としては、ハロゲン原子の他、直鎖状または分岐状の炭素数1〜5(C1〜C5)のアルキル基またはハロアルキル基、アリール基およびシクロアルキル基で更に置換された、シクロアルキル基、アリール基およびアラルキル基(アラアルキル基)等が挙げられる。
官能置換基としては、例えば、−(CH2n−CH(CF22−O−Si(Me)3、−(CH2n−CH(CF32−O−CH2−O−CH3、−(CH2n−CH(CF32−O−C(O)−O−C(CH33、−(CH2n−C(CF32−OH、−(CH2n−C(O)−NH2、−(CH2n−C(O)−Cl、−(CH2n−C(O)−O−R5、−(CH2)n−O−R5、−(CH2n−O−C(O)−R5、−(CH2n−C(O)−R5、−(CH2n−O−C(O)−OR5、−(CH2n−Si(R53、−(CH2n−Si(OR53、−(CH2n−O−Si(R53および−(CH2n−C(O)−OR6等が挙げられる。ここで、前記各式において、それぞれ、nは、0〜10の整数を示し、R5は、それぞれ独立して、水素原子、直鎖状または分岐状の炭素数1〜20(C1〜C20)アルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数1〜20(C1〜C20)のハロゲン化もしくはパーハロゲン化アルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数2〜10(C2〜C10)のアルケニル基、直鎖状または分岐状の炭素数2〜10(C2〜C10)のアルキニル基、炭素数5〜12(C5〜C12)のシクロアルキル基、炭素数6〜14(C6〜C14)のアリール基、炭素数6〜14(C6〜C14)のハロゲン化もしくはパーハロゲン化アリール基または炭素数7〜24(C7〜C24)のアラルキル基を表す。なお、R5で示される炭化水素基は、R1〜R4で示されるものと同一の炭化水素基を示す。R1〜R4で示すように、R5で示される炭化水素基は、ハロゲン化またはパーハロゲン化されていてもよい。例えば、R5が炭素数1〜20(C1〜C20)のハロゲン化またはパーハロゲン化アルキル基である場合、R5は、一般式:−CZX’’2Z+1で表される。ここで、zおよびX’’は、それぞれ、上記の定義と同じであり、X’’の少なくとも1つは、ハロゲン原子(例えば、臭素原子、塩素原子またはフッ素原子)である。ここで、パーハロゲン化アルキル基とは、前記一般式において、すべてのX’’がハロゲン原子である基であり、その具体例としては、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、−C715、−C1123が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。パーハロゲン化アリール基の具体例としては、ペンタクロロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。また、R6としては、例えば、−C(CH33、−Si(CH33、−CH(R7)−O−CH2CH3、−CH(R7)OC(CH33および下記の環状基等が挙げられる。
Figure 0005332883
ここで、R7は、水素原子、あるいは直鎖状または分岐状の炭素数1〜5(C1〜C5)のアルキル基を表す。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、i−プロピル基、ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル、ペンチル基、t−ペンチル基、ネオペンチル基が挙げられる。なお、上記化学式で表される環状基では、環構造から延びる単結合と酸置換基との間でエステル結合が形成される。R6の具体例としては、例えば、1−メチル−1−シクロヘキシル基、イソボルニル(isobornyl)基、2−メチル−2−イソボルニル基、2−メチル−2−アダマンチル基、テトラヒドロフラニル(tetrahydrofuranyl)基、テトラヒドロピラノイル(tetrahydropyranoyl)基、3−オクソシクロヘキサノイル(3−oxocyclohexanonyl)基、メバロンラクトニル(mevalonic lactonyl)基、1−エトキシエチル基、1−t−ブトキシエチル基等が挙げられる。また、他のR6としては、例えば、下記で表されるジシクロプロピルメチル基(Dcpm)、ジメチルシクロプロピルメチル基(Dmcp)等が挙げられる。
Figure 0005332883
上記官能置換基の少なくとも一つは、光酸発生剤が放出するプロトンの作用により分子構造の少なくとも一部が離脱し得る離脱性基である。そのような離脱性基としては、その分子構造中に、−O−構造、−Si−アリール構造および−O−Si−構造のうちの少なくとも1つを有するものが好ましい。かかる離脱性基は、酸、好ましくはプロトンの作用により比較的容易に離脱する。このうち、本発明によるノルボルネン系モノマーを重合して得られたポリマーの屈折率を離脱により低下させる離脱性基として、−Si−ジフェニル構造および−O−Si−ジフェニル構造の少なくとも一方が好ましい。
本発明による感光性組成物においては、上記離脱性基をexo位に有するexo体ノルボルネン系モノマーが、上記離脱性基をendo位に有するendo体ノルボルネン系モノマーよりも過剰に存在する。この方法によると、まずシクロペンタジエンまたはジシクロペンタジエンとアクリロニトリルの間でDiels-Alder反応させてexo-/endo-ノルボルネンカルボニトリル(exo-/endo-NBCN)を提供する。ここで得られるexo-/endo-NBCNは、endo/exo比が約55:45のジアステレオマー混合物となり、各異性体がほぼ等量得られる点で有利である。さらに、このexo-/endo-NBCN異性体は、分留操作によって各異性体へ容易に分離することができる。exo-NBCNとendo-NBCNを分離した後、exo-NBCNを、適当な還元剤(例えば、水素化ジイソブチルアルミニウム)を用いて、対応するexo-ノルボルネン-5-カルボキシアルデヒド(exo-NBCHO)へ転化することができる。さらに、得られたexo-NBCHOは、適当な水素化剤(例えば、水素化ホウ素ナトリウム)を用いて、対応するexo-ノルボルネン-5-メタノール(exo-NBCH2OH)へ容易に転化することができる。これらの転化反応は、ほぼ定量的に進行し、しかもexo-NBCNの初期異性体純度が維持される点で非常に有利である。次いで、exo-NBCH2OHのアルコール官能基を利用するにより、様々な官能置換基を有するノルボルネン系モノマーを提供することができる。例えば、exo-NBCH2OHにジフェニルメチル(ジメチルアミノ)シランを反応させることにより、−O−Si−ジフェニル構造の離脱性基を有するexo-ノルボルネニルメトキシジフェニルメチルシラン(exo-NBCH2OSiMePh2)を提供することができる。また、exo-NBCH2OHまたはexo-NBCHOを起点に、各種増炭反応(homologation)等を利用してexo-ノルボルネン-5-エタノール(exo-NBCH2CH2OH)を提供することができ、これにジフェニルメチル(ジメチルアミノ)シランを反応させることによりexo-ノルボルネニルエトキシジフェニルメチルシラン(exo-NBCH2CH2OSiMePh2)を提供することができる。なお、上記調製手順においてexo-NBCNの代わりにendo-NBCNを使用することにより、同様の反応操作で対応するendo-誘導体を提供することができる。さらに、exo-NBCNとendo-NBCNとから別々に得られるexo-誘導体とendo-誘導体とを任意の比率で混合することにより、ノルボルネン系モノマーのexo/endo比を適宜調整することができる。
本発明による感光性組成物は、上記離脱性基をexo位に有するexo体ノルボルネン系モノマーとバルク重合可能な別のノルボルネン系モノマーを含むこともできる。また、本発明による感光性組成物は、上記exo体ノルボルネン系モノマーとともに架橋性ノルボルネン系モノマー(架橋剤)を用いることもできる。この架橋性ノルボルネン系モノマーは、後述する触媒前駆体の存在下で、架橋反応を生じ得る化合物である。架橋性ノルボルネン系モノマーを用いることにより、光導波路を製造する場合、次のような利点がある。すなわち、架橋性ノルボルネン系モノマーは、より速く重合するので、コア層の形成(プロセス)に要する時間を短縮することができる。また、架橋性ノルボルネン系モノマーは、加熱しても蒸発し難いので、蒸気圧の上昇を抑えることができる。さらに、架橋性ノルボルネン系モノマーは、耐熱性に優れるため、コア層の耐熱性を向上させることができる。架橋性ノルボルネン系モノマーとしては、連続多環環系(fused multicyclic ring systems)の化合物と、連結多環環系(linked multicyclic ring systems)の化合物とがある。連続多環環系の化合物(連続多環環系の架橋性ノルボルネン系モノマー)としては、下記化合物が挙げられる。
Figure 0005332883
上式中、Yは、メチレン(−CH2−)基を表し、mは、それぞれ独立して、0〜5の整数を表わす。ただし、mが0である場合、Yは、単結合である。なお、簡略化のため、ノルボルナジエン(norbornadiene)は、連続多環環系に含まれ、重合性ノルボルネン系二重結合を含むものと考えることとする。この連続多環環系の化合物の具体例としては、下記化合物が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
Figure 0005332883
一方、連結多環環系の化合物(連結多環環系の架橋性ノルボルネン系モノマー)としては、下記化合物が挙げられる。
Figure 0005332883
上式中、aは、それぞれ独立して、単結合または二重結合を表し、mは、それぞれ独立して、0〜5の整数を表し、R9は、それぞれ独立して二価の炭化水素基、二価のエーテル基または二価のシリル基を表す。また、nは、0または1である。ここで、二価の置換基とは、端部にノルボルネン構造に結合し得る結合手を2つ有する基のことを言う。二価の炭化水素基(ハイドロカルビル基)の具体例としては、一般式:−(Cd2d)−で表されるアルキレン基(dは、好ましくは1〜10の整数を表す。)と、二価の芳香族基(アリール基)とが挙げられる。二価のアルキレン基としては、直鎖状または分岐状の炭素数1〜10(C1〜C10)のアルキレン基が好ましく、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、へキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基が挙げられる。なお、分岐アルキレン基は、主鎖の水素原子が、直鎖状または分岐状のアルキル基で置換されたものである。一方、二価の芳香族基としては、二価のフェニル基、二価のナフチル基が好ましい。また、二価のエーテル基は、−R10−O−R10−で表される基である。ここで、R10は、それぞれ独立して、R9と同じものを表す。この連結多環環系の化合物の具体例としては、下記化合物および後述のフッ素含有化合物(フッ素含有架橋性ノルボルネン系モノマー)が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
Figure 0005332883
Figure 0005332883
上記化合物は、ジメチルビス[ビシクロ[2.2.1]へプト−2−エン−5−メトキシ]シランであり、またの命名では、ジメチルビス(ノルボルネンメトキシ)シラン(「SiX」と略される。)と呼ばれる。
Figure 0005332883
上式中、nは、0〜4の整数を表す。
Figure 0005332883
Figure 0005332883
上式中、mおよびnは、それぞれ、1〜4の整数を表す。
Figure 0005332883
Figure 0005332883
各種の架橋性ノルボルネン系モノマーの中でも、特に、ジメチルビス(ノルボルネンメトキシ)シラン(SiX)が好ましい。SiXは、アルキルノルボルネンの繰り返し単位および/またはアラルキルノルボルネンの繰り返し単位を含むノルボルネン系ポリマーに対して十分に低い屈折率を有する。このため、光導波路を製造する場合、後述する紫外光を照射する照射領域の屈折率を確実に低くして、クラッド部とすることができる。また、コア部とクラッド部との間における屈折率差を大きくすることができ、コア層の特性(光伝送性能)の向上を図ることができる。なお、以上のようなモノマーは、単独または任意に組み合わせて用いるようにしてもよい。
本発明による感光性組成物は、上記ノルボルネン系モノマーの離脱性基の少なくとも一部を離脱させるためのプロトンを放出する光酸発生剤を含有する。そのような光酸発生剤としては、一般に紫外光の照射により活性化されて酸を放出するものであれば、いずれの化合物でも使用することができる。光酸発生剤の具体例として、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸塩やヘキサフルオロアンチモン酸塩の他、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ガリウム酸塩、アルミン酸塩類、アンチモン酸塩類、他のホウ酸塩類、ガリウム酸塩類、カルボラン類、ハロカルボラン類等が挙げられる。光酸発生剤の市販品としては、例えば、ニュージャージ州クランベリーのRhodia USA社から入手可能な「RHODORSIL(登録商標、以下同様である。) PHOTOINITIATOR 2074(CAS番号第178233−72−2番)」、日本国東京の東洋インキ製造株式会社から入手可能な「TAG−372R((ジメチル(2−(2−ナフチル)−2−オキソエチル)スルフォニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート:CAS番号第193957−54−9番))、日本国東京のみどり化学株式会社から入手可能な「MPI−103(CAS番号第87709−41−9番)」、日本国東京の東洋インキ製造株式会社から入手可能な「TAG−371(CAS番号第193957−53−8番)」、日本国東京の東洋合成工業株式会社から入手可能な「TTBPS−TPFPB(トリス(4−tert−ブチルフェニル)スルフォニウムテトラキス(ペンタペンタフルオロフェニル)ボレート)」等が挙げられる。光酸発生剤としてRHODORSIL PHOTOINITIATOR 2074を用いる場合、紫外光の照射手段として、高圧水銀ランプまたはメタルハライドランプが好適に用いられる。これにより、300nm未満の十分なエネルギーの紫外光を供給することができ、RHODORSIL PHOTOINITIATOR 2074を効率よく分解して、上記の酸を発生させることができる。光酸発生剤の含有量は、ノルボルネン系モノマー100質量部に対して、一般に0.01〜0.3質量部、好ましくは0.02〜0.2質量部の範囲とすればよい。
本発明による感光性組成物は、上記ノルボルネン系モノマーを付加重合させるための触媒(プロカタリスト)を含有することが好ましい。プロカタリストは、活性化することにより上記モノマーの反応(重合反応)を開始させ得る物質であって、その活性化温度が、紫外光の照射により活性化した光酸発生剤の作用により変化する物質である。プロカタリスト(触媒前駆体ともいう)としては、紫外光の照射に伴って活性化温度が変化(上昇または低下)するものであれば、いかなる化合物を用いてもよい。しかしながら、本発明による感光性組成物を用いて光導波路を製造する場合には、紫外光の照射に伴って活性化温度が低下するものを使用することが好ましい。比較的低温による加熱処理でコア層を形成することができ、他の層に不要な熱が加わることにより光導波路の特性(光伝送性能)が低下するのを防止することができるからである。
このようなプロカタリストとしては、下記式(Ia)および(Ib)で表わされる化合物の少なくとも一方を含む(主とする)ものが好適に用いられる。
(E(R)32Pd(Q)2 (Ia)
[(E(R)3aPd(Q)(LB)bp[WCA]r (Ib)
式Ia、Ib中、それぞれ、E(R)3は、第15族の中性電子ドナー配位子を表し、Eは、周期律表の第15族から選択される元素を表し、Rは、水素原子(またはその同位体の1つ)または炭化水素基を含む部位を表し、Qは、カルボキシレート、チオカルボキシレートおよびジチオカルボキシレートから選択されるアニオン配位子を表す。また、式Ib中、LBは、ルイス塩基を表し、WCAは、弱配位アニオンを表し、aは、1〜3の整数を表し、bは、0〜2の整数を表し、aとbとの合計は、1〜3であり、pおよびrは、パラジウムカチオンと弱配位アニオンとの電荷のバランスをとる数を表す。
式Iaに従う典型的なプロカタリストとしては、Pd(OAc)2(P(i−Pr)32、Pd(OAc)2(P(Cy)32、Pd(O2CCMe32(P(Cy)32、Pd(OAc)2(P(Cp)32、Pd(O2CCF32(P(Cy)32、Pd(O2CC653(P(Cy)32が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。ここで、Cpは、シクロペンチル(cyclopentyl)基を表し、Cyは、シクロヘキシル基を表す。
また、式Ibで表されるプロカタリストとしては、pおよびrが、それぞれ1および2の整数から選択される化合物が好ましい。このような式Ibに従う典型的なプロカタリストとしては、Pd(OAc)2(P(Cy)32が挙げられる。ここで、Cyは、シクロヘキシル基を表し、Acは、アセチル基を表す。
これらのプロカタリストは、モノマーを効率よく反応(ノルボルネン系モノマーの場合、付加重合反応によって効率よく重合反応や架橋反応等)することができる。
また、活性化温度が低下した状態(活性潜在状態)において、プロカタリストとしては、その活性化温度が本来の活性化温度よりも10〜80℃程度(好ましくは、10〜50℃程度)低くなるものが好ましい。これにより、コア層におけるコア部とクラッド部との間の屈折率差を確実に生じさせることができる。かかるプロカタリストとしては、Pd(OAc)2(P(i−Pr)32およびPd(OAc)2(P(Cy)32のうちの少なくとも一方を含む(主とする)ものが好適である。なお、以下では、Pd(OAc)2(P(i−Pr)32を「Pd545」と、また、Pd(OAc)2(P(Cy)32を「Pd785」と略すことがある。
本発明による感光性組成物は、粘度調整のためのポリノルボルネンを含むことができる。このようなポリノルボルネンとしては、単独の繰り返し単位を有するもの(ホモポリマー)、2つ以上のノルボルネン系繰り返し単位を有するもの(コポリマー)のいずれであってもよい。このようなポリノルボルネンとしては、例えば、(1)ノルボルネン型モノマーを付加(共)重合して得られるノルボルネン型モノマーの付加(共)重合体、(2)ノルボルネン型モノマーとエチレンやα−オレフィン類との付加共重合体、(3)ノルボルネン型モノマーと非共役ジエン、および必要に応じて他のモノマーとの付加共重合体のような付加重合体、(4)ノルボルネン型モノマーの開環(共)重合体、および必要に応じて該(共)重合体を水素添加した樹脂、(5)ノルボルネン型モノマーとエチレンやα−オレフィン類との開環共重合体、および必要に応じて該(共)重合体を水素添加した樹脂、(6)ノルボルネン型モノマーと非共役ジエン、または他のモノマーとの開環共重合体、および必要に応じて該(共)重合体を水素添加したポリマーのような開環重合体が挙げられる。これらの重合体としては、ランダム共重合体、ブロック共重合体、交互共重合体等が挙げられる。これらのポリノルボルネンは、例えば、開環メタセシス重合(ROMP)、ROMPと水素化反応との組み合わせ、ラジカルまたはカチオンによる重合、カチオン性パラジウム重合開始剤を用いた重合、これ以外の重合開始剤(例えば、ニッケルや他の遷移金属の重合開始剤)を用いた重合等、公知のすべての重合方法で得ることができる。ポリノルボルネンを含める場合、本発明の感光性組成物の所望粘度に応じて、ポリノルボルネンの分子量および含有量等を適宜決定することができる。例えば、本発明による感光性組成物を用いて光導波路を製造するためのワニスを調製する場合、後述する塗布法および所期の膜厚に応じて、粘度(常温)が好ましくは100〜10000cP程度、より好ましくは150〜5000cP程度、さらに好ましくは200〜3500cP程度になるように、ポリノルボルネンの分子量および添加量を適宜調節すればよい。
本発明による感光性組成物は、必要に応じて、溶剤を含むことができる。溶剤としては、例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,2−ジメトキシエタン(DME)、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)、テトラヒドロピラン(THP)、アニソール、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグリム)、ジエチレングリコールエチルエーテル(カルビトール)等のエーテル系溶剤、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、フェニルセロソルブ等のセロソルブ系溶剤、ヘキサン、ペンタン、ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶剤、トルエン、キシレン、ベンゼン、メシチレン等の芳香族炭化水素系溶剤、ピリジン、ピラジン、フラン、ピロール、チオフェン、メチルピロリドン等の芳香族複素環化合物系溶剤、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)等のアミド系溶剤、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化合物系溶剤、酢酸エチル、酢酸メチル、ギ酸エチル等のエステル系溶剤、ジメチルスルホキシド(DMSO)、スルホラン等の硫黄化合物系溶媒等の各種有機溶剤、または、これらを含む混合溶剤等が挙げられる。本発明による感光性組成物を用いて光導波路を製造するためのワニスを調製する場合、後述する塗布法および所期の膜厚に応じて、粘度(常温)が好ましくは100〜10000cP程度、より好ましくは150〜5000cP程度、さらに好ましくは200〜3500cP程度になるように、適宜溶剤量を調節すればよい。
本発明による感光性組成物は、必要に応じて、増感剤を含むことができる。増感剤は、紫外光に対する光酸発生剤の感度を増大して、その活性化(反応または分解)に要する時間やエネルギーを減少させる機能や、その活性化に適する波長に紫外光の波長を変化させる機能を有するものである。このような増感剤としては、光酸発生剤の感度や増感剤の吸収のピーク波長等に応じて適宜選択され、特に限定されないが、例えば、9,10−ジブトキシアントラセン(CAS番号第76275−14−4番)のようなアントラセン類、キサントン類、アントラキノン類、フェナントレン類、クリセン類、ベンツピレン類、フルオラセン類(fluoranthenes)、ルブレン類、ピレン類、インダンスリーン類、チオキサンテン−9−オン類(thioxanthen−9−ones)等が挙げられ、これらを単独または混合物として用いられる。増感剤の具体例としては、2−イソプロピル−9H−チオキサンテン−9−オン、4−イソプロピル−9H−チオキサンテン−9−オン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、フェノチアジン(phenothiazine)またはこれらの混合物が挙げられる。なお、9,10−ジブトキシアントラセン(DBA)は、日本国神奈川県の川崎化成工業株式会社から入手が可能である。ワニス中の増感剤の含有量は、特に限定されないが、0.01質量%以上であるのが好ましく、0.5質量%以上であるのがより好ましく、1質量%以上であるのがさらに好ましい。なお、上限値は5質量%以下であるのが好ましい。
さらに本発明による感光性組成物は、必要に応じて、酸化防止剤を含むことができる。これにより、望ましくないフリーラジカルの発生や、ポリマーの自然酸化を防止することができる。その結果、得られたコア層の特性の向上を図ることができる。この酸化防止剤としては、ニューヨーク州タリータウンのCiba Specialty Chemicals社から入手可能なCiba(登録商標、以下同様である。) IRGANOX(登録商標、以下同様である。) 1076およびCiba IRGAFOS(登録商標、以下同様である。) 168が好適に用いられる。また、他の酸化防止剤として、例えば、Ciba Irganox(登録商標、以下同様である。) 129、Ciba Irganox 1330、Ciba Irganox 1010、Ciba Cyanox(登録商標、以下同様である。) 1790、Ciba Irganox(登録商標) 3114、Ciba Irganox 3125等を用いることもできる。
本発明による感光性組成物は、さらに、オキセタニル基を有するモノマーおよび/またはオキセタニル基を有するオリゴマーを含むことができる。このようなモノマーやオリゴマーを含めることにより、光の伝搬損失を抑制することができる感光性組成物を得ることができる。具体的には、オキセタニル基を有するモノマーおよび/またはオキセタニル基を有するオリゴマーを含む感光性組成物に光を当てることにより、上記光酸発生剤から酸が発生し、照射部分において、上記モノマーおよび/オリゴマーが重合される。照射部分における上記モノマーおよび/オリゴマーの量が少なくなるため、照射部分/未照射部分間で生じた濃度勾配を解消するために未照射部分の上記モノマーおよび/オリゴマーが照射部分に拡散し、これにより、照射部分と未照射部分とで屈折率差が生じる。また、光照射後、加熱を行うと、未照射部分から上記モノマーおよび/オリゴマーが揮発する。これにより、照射部分と未照射部分とで屈折率差が生じる。これにより、確実に光閉じこめすることができ、光の伝搬損失を抑制することができる。
オキセタニル基を有するモノマーおよびオキセタニル基を有するオリゴマーとしては、下記化合物(11)〜(20)の群から選ばれるものが好ましい。これらを使用することで波長850nm近傍での透明性に優れ、可撓性と耐熱性が両立し得るという利点がある。オキセタニル基を有するモノマーおよびオキセタニル基を有するオリゴマーは、単独で用いても、混合して用いても差し支えない。
Figure 0005332883
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式(18)においてnは0以上、3以下である。
Figure 0005332883
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上記化合物(11)〜(20)の中でも、特に本発明によるノルボルネン系モノマーの付加(共)重合体との屈折率差を確保する観点から、化合物(13)、(15)、(16)、(17)または(20)を使用することが好ましい。また、本発明によるノルボルネン系モノマーの付加重合体との屈折率差が大きい点、分子量が小さくモノマーの拡散性が高い点、およびモノマーが容易に揮発しない点から、化合物(15)または(20)を使用することが特に好ましい。
また、オキセタニル基を有するモノマーおよびオキセタニル基を有するオリゴマーとしては、以下の化合物(32)または(33)を使用することができる。化合物(32)は、東亞合成製の商品名TESOX等を、また化合物(33)は、東亞合成製の商品名OX−SQ等を使用することができる。
Figure 0005332883
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(式(33)において、nは1または2である)
オキセタニル基を有するモノマーおよびオキセタニル基を有するオリゴマーは、本発明によるノルボルネン系モノマー100質量部に対し1〜50質量部であることが好ましい。なかでも2〜20質量部が好ましい。これにより、コア/クラッド間の屈折率変調を可能にし、可撓性と耐熱性との両立が図れるという効果がある。
本発明は、さらに上記感光性組成物を用いた光導波路の形成方法を提供する。本発明による光導波路の形成方法は、上記感光性組成物の薄膜を形成する工程と、その薄膜を加熱して上記ノルボルネン系モノマーを付加重合させる工程とを含んでなる。感光性組成物の薄膜を形成する工程は、上記感光性組成物をワニスとし、支持基板上に塗膜を形成することにより行うことができる。支持基板としては、シリコンウェハ、二酸化ケイ素基板、ガラス基板、石英基板、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム等を用いればよい。塗布法としては、ドクターブレード法、スピンコート法、ディッピング法、テーブルコート法、スプレー法、アプリケーター法、カーテンコート法、ダイコート法等の方法が挙げられるが、これらに限定はされない。薄膜の厚さに特に限定はないが、乾燥前の状態で5〜200μm程度、好ましくは15〜125μm程度、より好ましくは25〜100μm程度とすればよい。
次いで、得られた薄膜を加熱することによりノルボルネン系モノマーを付加重合させる。加熱は、ノルボルネン系モノマーを付加重合させるのに十分な温度および時間で実施すればよく、一般に45〜120℃、好ましくは85〜100℃の温度および一般に10〜120分、好ましくは60〜90分の時間が目安となる。加熱手段に特に制限はないが、薄膜を担持する支持基板をホットプレートの上に載せて加熱する方法が便利である。このように、本発明による感光性組成物は、無溶剤系で、官能性置換基を有するポリノルボルネン薄膜を形成することができる。このため、乾燥(溶剤除去)により膜厚が減少することがなく、また溶剤を使用しないことによるプロセスの簡略化および環境負荷の低減が可能となる。もっとも、薄膜形成作業等の便宜のための溶剤使用を排除するものではなく、本発明による感光性組成物が溶剤を含有する場合には、ノルボルネン系モノマーを付加重合させる前に、または付加重合のための加熱に際して、薄膜中の溶剤を除去することができる。脱溶剤(乾燥)の方法としては、大気圧または減圧下での放置、不活性ガス等の噴き付け(ブロー)等の方法が挙げられるが、薄膜を担持する支持基板をホットプレートの上に載せて加熱する方法が好ましい。乾燥のための加熱温度は、用いた溶剤にもよるが、一般に25〜60℃、好ましくは30〜45℃とすればよい。加熱時間は、一般に15〜60分、好ましくは15〜30分の範囲内である。
得られたポリノルボルネン薄膜は、上記支持基板から剥離することなく紫外光を選択的に照射することができる。紫外光を選択的に照射する方法として、開口(窓)が形成されたマスク(マスキング)を用意し、このマスクを介して、ポリノルボルネン被膜に対して紫外光を照射することができる。紫外光の照射領域が屈折率の低下したクラッド部となる。したがって、マスクには、形成すべきクラッド部のパターンと等価な開口(窓)が形成されている。この開口は、照射する紫外光が透過する透過部を形成するものである。マスクは、予め形成(別途形成)されたもの(例えばプレート状のもの)でも、ポリノルボルネン被膜上に例えば気相成膜法や塗布法により形成されたものでもよい。マスクとして好ましいものの例としては、石英ガラスやPET基材等で作製されたフォトマスク、ステンシルマスク、気相成膜法(蒸着、スパッタリング等)により形成された金属薄膜等が挙げられるが、これらの中でもフォトマスクやステンシルマスクを用いるのが特に好ましい。微細なパターンを精度良く形成することができるとともに、ハンドリングがし易く、生産性の向上に有利であるからである。
用いる紫外光は、光酸発生剤に対して光化学的な反応(変化)を生じさせ得るものであればよい。特に、紫外光は、用いた光酸発生剤の種類、また増感剤を含有する場合には増感剤の種類等によって適宜選択され、波長200〜450nmの範囲にピーク波長を有するものを使用することが好ましい。また、紫外光の照射量は、0.1〜9J/cm2程度であるのが好ましく、0.2〜6J/cm2程度であるのがより好ましく、0.2〜3J/cm2程度であるのがさらに好ましい。これにより、光酸発生剤を確実に活性化させることができる。
マスクを介して、紫外光をポリノルボルネン被膜に照射すると、紫外光が照射された照射領域内に存在する離脱剤は、紫外光の作用により反応(結合)または分解して、カチオン(プロトンまたは他の陽イオン)と、弱配位アニオン(WCA)とを遊離(発生)する。そして、カチオンは、離脱性基そのものを主鎖から離脱させるか、または、離脱性基の分子構造の途中から切断する(フォトブリーチ)。これにより、照射領域では、未照射領域よりも完全な状態の離脱性基の数が減少し、第1の屈折率より低い第2の屈折率へと低下する。なお、このとき、未照射領域の屈折率は、第1の屈折率が維持される。このようにして、照射領域と未照射領域との間に屈折率差(第2の屈折率<第1の屈折率)が生じて、光導波路を製造する場合にはコア部(未照射領域)とクラッド部(照射領域)とが形成される。なお、この場合、紫外光の照射量は、0.1〜9J/cm2程度であるのが好ましく、0.3〜6J/cm2程度であるのがより好ましく、0.6〜6J/cm2程度であるのがさらに好ましい。これにより、離脱剤を確実に活性化させることができる。
次いで、必要に応じて、紫外光照射後のポリノルボルネン被膜に対して加熱処理を施す。加熱処理により、ポリマーから離脱(切断)された離脱性基が、例えば、照射領域から除去され、あるいはポリマー内において再配列または架橋する。さらに、このとき、クラッド部(照射領域)に残存する離脱性基の一部がさらに離脱(切断)すると考えられる。したがって、このような加熱処理を施すことにより、光導波路におけるコア部とクラッド部との間の屈折率差をより大きくすることができる。この加熱処理における加熱温度は、特に限定されないが、70〜195℃程度であるのが好ましく、85〜150℃程度であるのがより好ましい。また、加熱時間は、照射領域から離脱(切断)された離脱性基を十分に除去し得るに設定され、特に限定されないが、0.5〜3時間程度であるのが好ましく、0.5〜2時間程度であるのがより好ましい。また、必要に応じて、1回または複数回の加熱処理(例えば、150〜200℃×1〜8時間程度)の工程を追加することもできる。なお、例えば、加熱処理を施す前の状態で、コア部とクラッド部との間に十分な屈折率差が得られている場合等には、このような加熱工程を省略することができる。以上の工程を経て、コア部とクラッド部とを含むコア層が形成される。その後、コア層を支持基板から剥離する。
好ましい態様では、コア部とクラッド部とが、主鎖と主鎖から分岐し、分子構造の少なくとも一部が主鎖から離脱し得る離脱性基とを有するノルボルネン系ポリマーを主材料として構成され、コア部とクラッド部とは、主鎖に結合した状態の離脱性基の数が異なることにより、それらの屈折率が異なっている。
ポリノルボルネン被膜が、当該ポリノルボルネンと相溶し、かつ、それとは異なる屈折率を有するモノマーおよびプロカタリストをさらに含有する場合には、マスクを介して、紫外光をポリノルボルネン被膜に照射すると、紫外光が照射された照射領域内に存在する光酸発生剤は、紫外光の作用により反応または分解して、カチオン(プロトンまたは他の陽イオン)と、弱配位アニオン(WCA)とを遊離(発生)する。そして、これらのカチオンや弱配位アニオンは、照射領域内に存在するプロカタリストの分子構造に変化(分解)を生じさせ、これを活性潜在状態(潜在的活性状態)に変化させる。ここで、活性潜在状態(または潜在的活性状態)のプロカタリストとは、本来の活性化温度より活性化温度が低下しているが、温度上昇がないと、すなわち、室温程度では、照射領域内においてモノマーの反応を生じさせることができない状態にある触媒前駆体のことを言う。したがって、紫外光照射後においても、例えば−40℃程度で、ポリノルボルネン被膜を保管すれば、モノマーの反応を生じさせることなく、その状態を維持することができる。このため、紫外光照射後のポリノルボルネン被膜を複数用意しておき、これらに一括して加熱処理を施すことにより、コア層を得ることができる点で利便性が高い。
なお、紫外光として、レーザー光のように指向性の高い光を用いる場合には、マスクの使用を省略してもよい。
次いで、ポリノルボルネン被膜に対して加熱処理(第1の加熱処理)を施す。これにより、照射領域内では、活性潜在状態のプロカタリストが活性化して(活性状態となって)、モノマーの反応(重合反応や架橋反応)が生じる。そして、モノマーの反応が進行すると、照射領域内におけるモノマー濃度が徐々に低下する。これにより、照射領域と未照射領域との間には、モノマー濃度に差が生じ、これを解消すべく、未照射領域からモノマーが拡散して照射領域に集まってくる。その結果、照射領域では、モノマーやその反応物(重合体、架橋構造や分岐構造)が増加し、当該領域の屈折率にモノマー由来の構造が大きく影響を及ぼすようになり、第1の屈折率より低い第2の屈折率へと低下する。なお、モノマーの重合体としては、主に付加(共)重合体が生成する。一方、未照射領域では、当該領域から照射領域にモノマーが拡散することにより、モノマー量が減少するため、当該領域の屈折率にポリマーの影響が大きく現れるようになり、第1の屈折率より高い第3の屈折率へと上昇する。このようにして、照射領域と未照射領域との間に屈折率差(第2の屈折率<第3の屈折率)が生じて、コア部(未照射領域)とクラッド部(照射領域)とが形成される。この第1の加熱処理における加熱温度は、特に限定されないが、30〜80℃程度であるのが好ましく、40〜60℃程度であるのがより好ましい。また、加熱時間は、照射領域内におけるモノマーの反応がほぼ完了するように設定するのが好ましく、具体的には、0.1〜2時間程度であるのが好ましく、0.1〜1時間程度であるのがより好ましい。
次いで、ポリノルボルネン被膜に対して第2の加熱処理を施す。これにより、未照射領域および/または照射領域に残存するプロカタリストを、直接または光酸発生剤の活性化を伴って、活性化させる(活性状態とする)ことにより、各領域に残存するモノマーを反応させる。このように、各領域に残存するモノマーを反応させることにより、得られるコア部およびクラッド部の安定化を図ることができる。この第2の加熱処理における加熱温度は、プロカタリストまたは光酸発生剤を活性化し得る温度であればよく、特に限定されないが、70〜100℃程度であるのが好ましく、80〜90℃程度であるのがより好ましい。また、加熱時間は、0.5〜2時間程度であるのが好ましく、0.5〜1時間程度であるのがより好ましい。
次いで、ポリノルボルネン被膜に対して第3の加熱処理を施す。これにより、得られるコア層に生じる内部応力の低減や、コア部およびクラッド部の更なる安定化を図ることができる。この第3の加熱処理における加熱温度は、第2の加熱処理における加熱温度より20℃以上高く設定するのが好ましく、具体的には、90〜180℃程度であるのが好ましく、120〜160℃程度であるのがより好ましい。また、加熱時間は、0.5〜2時間程度であるのが好ましく、0.5〜1時間程度であるのがより好ましい。以上の工程を経て、コア部とクラッド部とを含むコア層が形成される。その後、コア層を支持基板から剥離することにより光導波路(単層)が形成される。
次に、光配線、光電気混載基板および電子機器について簡単に説明する。
本発明の光配線は、上述したような光導波路を有している。これにより、導波路製造プロセスにおいて現像やRIE(リアクティブイオンエッチング)などを経る必要がないために加工の自由度を向上することができる。
また、本発明の光電気混載基板は、電気配線と、上述したような光導波路を有する光配線とを有している。これにより、従来の電気配線で問題となっていたEMI(電磁波障害)の改善が可能となり、従来よりも信号伝達速度を大幅に向上することができる。
また、本発明の電子機器は、上述したような光導波路を有している。これにより、省スペース化を図ることができる。
このような電子機器としては、具体的にはコンピューター、サーバー、携帯電話、ゲーム機器、メモリーテスター、外観検査ロボット等を挙げることができる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。
参考例:Exo体ノルボルネン系モノマーの調製
<exo-/endo-ノルボルネンカルボニトリル(exo-/endo-NBCN)の合成>
容積20リットルのパー圧力反応器を窒素(N2)でフラッシュした後、これに6.8kg(51.3モル、シクロペンタジエン1.1当量)のジシクロペンタジエンを装填した。次いで、5.11kg(96.3モル、1.0当量)のアクリロニトリルを装填した。その反応器をN2で3回フラッシュした後、3.25時間かけて約180℃の温度になるまで加熱した。この最初の3.25時間中、圧力ピークは約100psigに達したことが観測された。この反応混合物を約180℃でさらに2時間攪拌したところ、その間に圧力が約11psigで安定化した。25℃まで冷却した後、反応器から反応混合物11.81kgを取り出した。その混合物をGC分析にかけたところ、exo/endoノルボルネンカルボニトリル(43.3%/56.6%)が収率93.0%で生成したことが示された。GC保持時間は4.0分(exo-NBCN)と4.7分(endo-NBCN)であった。
<exo-/endo-ノルボルネンカルボニトリルの分離/精製>
適当なサイズの加熱マントル付蒸留ポットと、充填蒸留カラム(理論段数60)と、還流スプリッタと、水冷式凝縮器と、凝縮物レシーバと、真空ポンプとからなる減圧蒸留装置に、約8kgのexo-/endo-ノルボルネンカルボニトリル(NBCN)を装填した。蒸留ポット温度は、加熱マントルに投入される熱量を調節することによって制御し、系の真空はオーバーヘッドレシーバにおける真空圧を調節することによって制御した(下記表1参照)。NBCNを蒸留ポットに移した後、蒸留系の真空を所望の設定値に調整した。次いで、蒸留ポットを加熱して蒸留カラム内に全体還流状態を確立させた。次いで、還流スプリッタを所望の還流比において開始し、オーバーヘッドレシーバから液体画分を定期的に除去することにより分留を進めた。オーバーヘッドの液体画分の組成をGC分析で測定した。必要に応じて蒸留還流比を調整することによりオーバーヘッド流の組成を変更した。初期のオーバーヘッド画分には、主としてアクリロニトリル、シクロペンタジエンおよびジシクロペンタジエン等の軽質成分が多く含まれていた。これらの軽質画分を除去した後、高純度exo-NBCNが残りのendo-NBCNから分離された。「遷移」画分を除去した後、高純度endo-NBCNを収集した。蒸留ポットからendo-NBCNの大部分が取り出されたところで蒸留工程を停止した。
表1
供給NBCN(exo:endo比=1:3)
蒸留ポット温度:exo-NBCN 127℃;endo-NBCN 125℃
オーバーヘッド温度:exo-NBCN 57℃;endo-NBCN 85℃
系の真空:exo-NBCN 2.0mmHg;endo-NBCN 1.7mmHg
還流比:exo-NBCN 30:1;endo-NBCN 5:1
出発混合物に含まれていたexo-NBCNの約57%が高純度(98%以上)物として分離された。出発混合物に含まれていたendo-NBCNの約44%が高純度(98%以上)物として分離された。中間純度画分を再利用することにより全体工程収率を高めることができる。
<exo-ノルボルネン-5-カルボキシアルデヒド(exo-NBCHO)の合成>
機械式スターラと、窒素ガス導入口と、サーモウェルと、添加漏斗とを取り付けた容積12リットルのガラス製フラスコを、窒素フラッシュ下、120℃に加熱して乾燥させた。このフラスコを室温に冷却してから、1.5M水素化ジイソブチルアルミニウム(DIBAL-H)トルエン溶液7900mL(11.79モル)を添加漏斗からフラスコに装填した。DIBAL-H溶液を−51.6℃に冷却してから、exo-NBCN(1328g、11.14モル)を滴下した。滴下は2時間24分以内に完了し、その間の温度変動は−51.6〜−39.3℃の範囲内であった。その混合物をさらに30分間攪拌した。GC分析では、残留する未反応exo-NBCNは検出されなかった。反応混合物を−46〜−39℃の温度範囲内に保持しながら、500mLずつ11分割してカニューレを通してドライアイス/イソプロパノール冷却ジャケット付添加漏斗に注入した。500mLずつ11分割した反応混合物を、ドライアイス/アセトニトリルで−5.6℃に冷却した容積12.24リットルの3.5N塩酸に、機械的に攪拌しながら迅速に滴下した。反応発熱がおさまってから後続のDIBAL-H反応混合物を添加した。温度変動は−5.6〜+0.1℃の範囲内であった。冷却時間は2時間であった。冷却した添加漏斗からMTBE(メチル第3ブチルエーテル、4000mL)を添加した。その混合物を数分間攪拌し、静置し、そして相分離させた。水相を3×4000mLのMTBEで抽出した。有機部分をひとつにして、5000mLの3.5N塩酸で洗浄し、そして3×2ガロンのブラインで最終洗液のpHが6になるまで洗浄した。MTBE/トルエン溶液を7本のボトルに分けて配置し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、そして冷蔵庫内で一晩保存した。その混合物を濾過し、そして最高浴温35℃でロータリーエバポレータにかけたところ、3173gの生成物が得られた。NMR分析によると、トルエン中35.2質量%のNBCHO、収率82%が示された。GC分析によるexo/endo比は99.8/0.2であった。NBCHOは不安定で異性化し易いため、溶液を後の使用のため冷蔵保存した。GC保持時間は2.05分(exo-NBCHO)と2.23分(endo-NBCHO)であった。
<exo-ノルボルネン-5-メタノール(exo-NBCH2OH)の合成>
機械式スターラと、窒素ガス導入口と、サーモウェルと、添加漏斗とを取り付けた容積22リットルのガラス製フラスコに、1880mLの8%水酸化ナトリウム水溶液を装填した。NaBH4(174.1g、4.6モル)を少しずつ分けて添加した。混合物を−7.4℃に冷却した。使用直前にexo-NBCHO(35.2質量%トルエン溶液として3173g、全部で約9.17モル)を400mLずつに分けてこれを600mLのメタノールに溶解させてから水素化ホウ素ナトリウム溶液に滴下した。総添加時間は5.1時間で、その間に反応温度が−7.1〜−0.8℃の範囲で変動した。GC分析が一致しないためさらに35gの水素化ホウ素ナトリウムを添加した。反応混合物を1時間攪拌しながら−1.7℃から−12.7℃まで冷却した。GC分析による未反応NBCHOの量は0.15%未満であった。10%硫酸水溶液(2200mL)を1.5時間かけて滴下し、その間温度が−11.4〜+0.7℃の範囲で変動した。最終pHは6となった。ジクロロメタン(3000mL)、500mLのブラインおよび2000mLの水を添加して、混合物を数分間攪拌した。複数の相に分離した。残りの水相を2000mLのジクロロメタン、2000mLの水および2000mLのブラインで処理した。ジクロロメタン相を抜き取り、水相に再度2000mLのジクロロメタン、2000mLの水および2000mLのブラインを混合した。ジクロロメタン相を抜き取り、水相を2000mLのジクロロメタンおよび2000mLの水で処理した。ジクロロメタン抽出物をひとつにし、残留水分を分離し、その後有機部分を硫酸ナトリウムで一晩乾燥させた。濾過後、抽出物をロータリーエバポレータにかけたところ、1210gの黄色液体(NBCHOからの収率87%)が得られた。
上記液体を減圧蒸留にかけたところ、以下の画分が得られた。
1)34.6〜109.4℃(12〜20トル)、46.2g、不透明、NBMeOH60.3%、トルエン39.7質量%
2)106.3〜100.7℃(5〜8トル)、172.5g、exo-NBMeOH98.5%、endo-NBMeOH1.3%、トルエンなし
3)81.4〜93.2℃(2〜3トル)、236.7g、exo-NBMeOH99.3%、endo-NBMeOH0.7%、トルエンなし
4)62.2〜69.4℃(1〜2トル)、578.1g、exo-NBMeOH99.1%、endo-NBMeOH0.9%
5)63.1〜68.5℃(1トル)、29.02g、exo-NBMeOH99.5%、endo-NBMeOH0.5%
蒸留ポットの残留物を約400mLのジクロロメタンに溶解させて、100mLの10%硫酸で洗浄した。得られた混合物を100mLの水で処理して相分離させた。これらの相を分離した。水相に100mLのブラインを添加して溶液からさらにジクロロメタンを分離させた。ジクロロメタン部分をひとつにし、5×100mLのブラインで洗浄してpHを6にし、そして硫酸ナトリウムで乾燥させた。乾燥した抽出物を濾過し、ロータリーエバポレータにかけた。この生成物を減圧蒸留したところ、60.8〜65.1℃(1トル)の画分として37.7gが得られた。GC分析によると、endo異性体が0.5%で、そしてexo異性体が99.5%であった。より純度が低い画分として63.1〜65.2(2トル)に37.31gが得られ、exo異性体が98.9%含まれ、そしてendo異性体が0.85%含まれた。(全異性体)純度99.8%以上の全収量は1058.5g(NBCNからの収率76.5%、NBCHOからの収率約93%)であった。GC保持時間は2.82分(endo-NBMeOH)および3.97分(exo-NBMeOH)であった。
<exo-ノルボルネニルメトキシジフェニルメチルシラン(exo-NBCH2OSiMePh2)の合成>
容積500mLのガラス製ジャケット付5口反応器にexo-ノルボルネニルメタノール(96g、0.77モル)を装填し、これに窒素を散布した。設定温度75℃の加熱/冷却循環水浴で反応器を加熱した。反応器内温度75℃において、ジフェニルメチル(ジメチルアミノ)シラン(171g、0.71モル)を、発熱反応が起こらないように添加漏斗を通して滴下した。次いで、反応器内温度を100℃に上昇させ、その温度を24時間まで維持し、サンプリングしてGCで定量し、反応器内のジメチルアミン含有率が1%未満になったことを確認した。反応器を酸塩基スクラバに接続し、ジメチルアミンを中和した。反応混合物を冷却してボトル内に集めた。exo-ノルボルネニルメトキシジフェニルメチルシランの粗生成物(209g、収率71%)を、150℃、60ミリトルに設定した短路頂部蒸留で精製したところ、140gの無色液体(>98%、exo含有率100%)が得られた。プロトンNMRにより、exo-NBCH2OSiMePh2のみ存在していることが確認され、出発物質のジアステレオマー純度が維持されたことが示された。
実施例1
(ワニスの調製)
紫外線を遮断できるイエロールーム内で、容積100mLのガラス瓶に、上記exo-NBCH2OSiMePh2(10.0g、3.1×10-2モル)と、酸化防止剤[Ciba社製Irganox(登録商標)1076(0.1g)およびIrgafos(登録商標)168(0.03g)]と、触媒[Pd(P(iPr)32(OCOCH3)(NCCH3)]テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(プロメラス社製Pd−1206)(3.0×10-3g、2.5×10-6モル)と、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(DANFABA)(8.0×10-3g、1.0×10-5モル)と、光酸発生剤[RHODORSIL(登録商標)PHOTOINITIATOR 2074(CAS番号第178233−72−2番)(1.0×10-2g、1.0×10-5モル)]を入れて十分に攪拌して均一に溶解させた。得られた無色透明な溶液を細孔径0.2μmのフィルターで濾過してワニスV1を調製した。
(薄膜の形成)
直径10.16cm(4インチ)のSiO2膜付シリコンウェハをスピンコーター(ミカサ株式会社製型番MS−A200)にセットした。このウェハの中央部に上記ワニスV1を10g配置し、150rpmで30秒間回転させてウェハの全面にワニスを均一に塗布した。次いで、このウェハをスピンコーターから取り出し、80℃のホットプレート上に配置して10分間静置し、exo-NBCH2OSiMePh2の重合を進行させて硬化フィルム(薄膜)を得た。
(単層光導波路の作製)
上記薄膜に石英製フォトマスクを通してUV光(365nm)を1000mJ照射した。次いで、150℃の乾燥機において1時間加熱した。加熱後の薄膜において鮮明な光導波路のパターンを目視で確認することができた。
(ゲル化時間の測定)
上記ワニスV1の正確なゲル化時間を計測するために、85℃のホットプレート上にワニス2mlを1cm2の面積に塗布し、金属ヘラで軽くかき混ぜながらゲル化するまでの時間を計測したところ30秒であった。尚、ゲル化時間とはワニスが高粘度化して糸を引かなくなるまでの時間のことを云う。
実施例2
上記exo-NBCH2OSiMePh2に代えて荒川化学工業社製DiPhNB-X (endo 40%/exo 60%-NBCH2OSiMePh210.0g、3.1×10-2モル)を用いたことを除き、実施例1と同様にワニスを調製し、薄膜の形成および導波路の作成を試みた。尚、用いたワニスの85℃におけるゲル化時間を計測したところ101秒であった。
比較例1
上記DiPhNB-X (6.5g、2.0×10-2モル)と荒川化学工業製DiPhNB(endo 80%/exo 20%-NBCH2OSiMePh23.5g、1.1×10-2モル)を併用し、混合物中のexo体含有率が46%になるように調製したことを除き、実施例1と同様にワニスを調製し、薄膜の形成および導波路の作成を試みた。尚、用いたワニスの85℃におけるゲル化時間を計測したところ174秒であった。
比較例2
上記DiPhNB-X (2.4g、7.5×10-3モル)とDiPhNB(7.6g、2.4×10-2モル)を併用し、混合物中のexo体含有率が30%になるように調製したことを除き、実施例1と同様にワニスを調製し、薄膜の形成および導波路の作成を試みた。尚、用いたワニスの85℃におけるゲル化時間を計測したところ272秒であった。
比較例3
上記DiPhNB(10.0g、3.1×10-2モル)のみを使用してexo体含有率が20%になるように調製したことを除き、実施例1と同様にワニスを調製し、薄膜の形成および導波路の作成を試みた。尚、用いたワニスの85℃におけるゲル化時間を計測したところ387秒であった。
Figure 0005332883
実施例1および2ならびに比較例1〜3について、各ゲル化時間をexo体含有率に対してプロットしたグラフを図1に示す。100%exo-diPhNBを使用したときのゲル化時間はわずか30秒であり、exo体含有率が高まるほど速硬化性が高まることが確認された。本発明により選択的にexo体を合成する方法を取ることではじめてこのような効果を最大限発現させることができる。また、exo体含有率が増えれば増えるほど、硬化触媒(Pd1206、DANFABA,Rhodorsil)の添加量を削減できることが予想される。遷移金属であるPdを削減することにより光の散乱を抑えることが出来ることから、硬化膜から得られる光導波路の伝搬損失は小さくなることが予想される。さらに、DANFABAやRhodorsilを削減することで光の吸収を低減することができ、光導波路の伝搬損失の更なる改善が可能になるものと予想される。また、exo体含有率が高いものほど、得られたフィルムが硬いため、耐熱性も高くなることが予想される。
本発明による感光性組成物は、官能性置換基を有するポリノルボルネンをバルク重合法で提供することができる利点を生かし、上述したように光導波路の製造に有利に適用することができる。また、本発明による感光性組成物は、層内の屈折率差を利用して干渉縞を記録する体積型ホログラム記録用媒体を製造するための材料としても有利に適用することができる。

Claims (19)

  1. 光酸発生剤と、該光酸発生剤が放出するプロトンの作用により分子構造の少なくとも一部が離脱し得る離脱性基を有するノルボルネン系モノマーと、該ノルボルネン系モノマーの付加重合のための触媒とを含んでなる感光性組成物であって、該離脱性基をexo位に有するexo体ノルボルネン系モノマーが、該離脱性基をendo位に有するendo体ノルボルネン系モノマーよりも過剰に存在することを特徴とする、感光性組成物。
  2. 前記ノルボルネン系モノマーは実質的に該exo体ノルボルネン系モノマーからなる、請求項1に記載の感光性組成物。
  3. 前記ノルボルネン系モノマーは下記構造式(I)で表される、請求項1または2に記載の感光性組成物。
    Figure 0005332883
    (上式中、R1〜R4は、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは無置換の炭化水素基、または官能置換基を表すが、その少なくとも一つは前記離脱性基を表し、そしてmは0〜5の整数を表す。)
  4. 前記離脱性基は、−O−構造、−Si−アリール構造および−O−Si−構造からなる群から選ばれた少なくとも1つを有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の感光性組成物。
  5. 前記離脱性基は−O−Si−ジフェニル構造を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の感光性組成物。
  6. 前記ノルボルネン系モノマーはジフェニルメチルノルボルネンメトキシシランまたはジフェニルメチルノルボルネンエトキシシランである、請求項5に記載の感光性組成物。
  7. 前記触媒は、下記式(Ia)で表される化合物を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の感光性組成物。
    (E(R)32Pd(Q)2 (Ia)
    上式中、E(R)3は第15族の中性電子ドナー配位子を表し、Eは、周期律表の第15族から選択される元素を表し、Rは、水素原子もしくはその同位体または炭化水素基を含む部位を表し、Qは、カルボキシレート、チオカルボキシレートおよびジチオカルボキシレートから選択されるアニオン配位子を表す。
  8. 前記触媒は、下記式(Ib)で表される化合物を含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の感光性組成物。
    [(E(R)3aPd(Q)(LB)bp[WCA]r (Ib)
    上式中、E(R)3は第15族の中性電子ドナー配位子を表し、Eは、周期律表の第15族から選択される元素を表し、Rは、水素原子もしくはその同位体または炭化水素基を含む部位を表し、Qは、カルボキシレート、チオカルボキシレートおよびジチオカルボキシレートから選択されるアニオン配位子を表し、LBはルイス塩基を表し、WCAは弱配位アニオンを表し、aは1〜3の整数を表し、bは0〜2の整数を表し、aとbとの合計は1〜3であり、pおよびrは、パラジウムカチオンと弱配位アニオンとの電荷のバランスをとる数を表す。
  9. さらに、前記ノルボルネン系モノマーとバルク重合可能な別のノルボルネン系モノマーを含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の感光性組成物。
  10. さらに、粘度調整のためのポリノルボルネンを含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の感光性組成物。
  11. さらに溶剤を含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載の感光性組成物。
  12. さらに、オキセタニル基を有するモノマーおよび/またはオキセタニル基を有するオリゴマーを含む、請求項1〜11のいずれか1項に記載の感光性組成物。
  13. 請求項1〜12のいずれか1項に記載の感光性組成物の硬化物で構成されている光導波路。
  14. 請求項13に記載の光導波路を備えたことを特徴とする光配線。
  15. 電気配線と請求項14に記載の光配線とを有することを特徴とする光電気混載基板。
  16. 請求項13に記載の光導波路を備えたことを特徴とする電子機器。
  17. 請求項1〜12のいずれか1項に記載の感光性組成物の薄膜を形成する工程と、該薄膜を加熱して該ノルボルネン系モノマーを付加重合させる工程とを含む、光導波路の形成方法。
  18. 前記付加重合がバルク重合で行われる、請求項17に記載の方法。
  19. さらに、前記付加重合後の薄膜の一部に紫外光を照射することにより当該照射領域の屈折率を低下させる工程を含む、請求項17または18に記載の方法。
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