JP5342864B2 - 予混合圧縮着火エンジン用燃料油組成物及びその製造方法 - Google Patents
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Description
・硫黄分が10質量ppm以下で、
・90容量%留出温度が180〜332.5℃で、
・セタン価(CN)が25〜39.7で、
・リサーチ法オクタン価(RON)が35以上で、
・セタン価とリサーチ法オクタン価との和(CN+RON)が70以上である
ことを特徴とする。
本発明のPCCIエンジン用燃料油組成物は、硫黄分が10質量ppm以下であり、好ましくは8質量ppm以下、さらに好ましくは5質量ppm以下、特には1質量ppm以下である。本発明の燃料油組成物は、硫黄分が10質量ppm以下であるため、燃焼生成物である硫黄酸化物が少なく、環境負荷の低減に寄与できる。また、硫黄分は、排出ガス浄化触媒を被毒するので、硫黄分の低減は、排出ガス浄化触媒の性能の維持を通じても、環境負荷の低減に寄与できる。更に、NOx吸蔵還元触媒を装着した車輌においては、該触媒の硫黄被毒の再生に燃料を使用するので、硫黄分の低減は、燃費の向上にも寄与する。そして、これらの効果は、硫黄分が低い程顕著であるため、本発明の燃料油組成物中の硫黄分は、好ましくは8質量ppm以下、さらに好ましくは5質量ppm以下、特には1質量ppm以下である。
本発明のPCCIエンジン用燃料油組成物は、90容量%留出温度(T90)が350℃以下であり、好ましくは340℃以下、さらに好ましくは330℃以下、特には320℃以下である。90容量%留出温度(T90)が350℃を超えると、粒子状物質(PM)の排出量が増加して、環境負荷を十分に低減できない。また、燃料油組成物の後留部分の揮発性は、燃料油組成物と空気との混合気の形成や燃焼性に影響し、90容量%留出温度(T90)が350℃を超えると、燃料油組成物と空気との混合気の形成に支障を来たしたり、該混合気の燃焼性が低下してしまう。また、ディーゼルエンジンに比べて燃料を早期に噴射するPCCIエンジンでは、燃料の一部がシリンダーライナーに到達し、ピストンの下降で掻き落とされてオイルパンへと流れ込み、エンジンオイルの希釈を引き起こすことがあるが、90容量%留出温度(T90)が350℃以下の燃料組成物は、気化し易く、ピストンの下降前に十分気化するため、エンジンオイルの希釈を引き起こすことがない。従って、PCCIエンジン用燃料の性状としては、90容量%留出温度(T90)が350℃以下であることが必要である。そして、上記の問題に対応するには、90容量%留出温度(T90)が低い程好ましいため、本発明の燃料油組成物は、90容量%留出温度(T90)が340℃以下であることが好ましく、330℃以下であることが更に好ましく、320℃以下であることが特に好ましい。また、本発明の燃料油組成物は、噴射ポンプの潤滑性維持の観点から、90容量%留出温度(T90)が180℃以上であり、200℃以上であることが好ましい。
本発明のPCCIエンジン用燃料油組成物は、PCCI燃焼を確保できる負荷条件の下限値に影響を及ぼすセタン価(CN)が25以上であり、好ましくは30以上、さらに好ましくは35以上、特には37以上である。燃料油の着火性を向上させるために、エンジン側では圧縮比の向上等の対策が採られるが、燃料油の確実な着火と燃焼の安定性とを確保するためには、燃料油自体のセタン価(CN)を25以上とすることが必要であり、好ましくは30以上、さらに好ましくは35以上、特に好ましくは37以上とする。また、燃料油のセタン価(CN)が高過ぎると、燃料油の噴射から着火に至るまでの時間、即ち、着火遅れが短縮されるため、混合気の形成に許される時間が短縮されたり、早期着火による着火時期の進み過ぎによって、エンジン性能の悪化を招くので、燃料油組成物のセタン価(CN)は40以下であることが必要であり、好ましくは39以下、さらに好ましくは38以下、特には37以下である。
本発明のPCCIエンジン用燃料油組成物は、PCCI燃焼を確保できる負荷条件の上限値に影響を及ぼすリサーチ法オクタン価(RON)が35以上であり、好ましくは40以上、さらに好ましくは45以上、特には50以上である。高負荷条件下での緩慢な燃焼を確保するためには、燃料油組成物のリサーチ法オクタン価(RON)を35以上とすることが必要である。なお、過早着火や急激な燃焼を回避するために、エンジン側では排気ガス再循環装置(EGR)の導入等の対策が講じられるが、高負荷条件下でPCCI燃焼として許容できる騒音や燃焼圧力上昇率を確保するためには、燃料油組成物のリサーチ法オクタン価(RON)を35以上、好ましくは40以上、さらに好ましくは45以上、特には50以上とする。
本発明のPCCIエンジン用燃料油組成物は、セタン価(CN)とリサーチ法オクタン価(RON)との和(CN+RON)が70以上であり、好ましくは75以上、さらに好ましくは80以上、特には90以上である。適切なPCCI燃焼範囲を確保するためには、セタン価(CN)とリサーチ法オクタン価(RON)とのそれぞれを適切に保つと共に、両者の和(CN+RON)を70以上とすることが必要であり、好ましく75以上、さらに好ましくは80以上、特には90以上とする。
本発明のPCCIエンジン用燃料油組成物は、セタン価(CN)が40以上の燃料油1にリサーチ法オクタン価(RON)が80以上の燃料油2を混合することで製造できる。燃料油1のセタン価(CN)が40を下回るか、及び/又は燃料油2のリサーチ法オクタン価(RON)が80を下回ると上記の性状を満たすことが難しくなる。燃料油1のセタン価(CN)は好ましくは43以上である。また、燃料油2のリサーチ法オクタン価(RON)は好ましくは85以上である。例えば、本発明のPCCIエンジン用燃料油組成物は、セタン価が高い市販灯油、あるいは軽油と、オクタン価が高いガソリン基材の両者、あるいはセタン価が高いノルマルパラフィンにオクタン価が高いイソパラフィン、オレフィンあるいはアロマを混合して調製することができる。なお、燃料油1と燃料油2の容量比(燃料油1/燃料油2)は、上記の性状を満たすように適宜調整すればよいが、例えば、10/90〜90/10の範囲が好ましい。
本発明のPCCIエンジン用燃料油組成物には、上述のセタン価(CN)を向上させるために、セタン価向上剤を配合することができる。該セタン価向上剤としては、アルキルナイトレート系セタン価向上剤、有機過酸化物系セタン価向上剤が挙げられる。上記アルキルナイトレート系セタン価向上剤としては、炭素数6〜12のアルキルナイトレートが好ましく、2-メチルヘキシルナイトレートが特に好ましい。また、上記有機過酸化物系セタン価向上剤としては、炭素数6〜12のジアルキルパーオキサイドが好ましく、ジ-t-ブチルパーオキサイドが特に好ましい。これらセタン価向上剤の添加量は、0.05〜1質量%の範囲が好ましい。
上述した本発明の燃料油組成物は、予混合圧縮着火(PCCI)エンジンに用いられる。該PCCIエンジンは、HCCI(Homogeneous Charge Compression Ignition)エンジンとも呼ばれ、従来のディーゼルエンジンと同様に圧縮着火であるが、燃料噴射時期、燃料噴射圧力や噴射パターン、EGR、圧縮比、燃焼室構造などを最適化して達成される燃料と空気が十分に混合した予混合気の燃焼で形成される予混合火炎のみで燃焼を完結する燃焼方式である。したがって、熱発生のパターンを観察すると冷炎に伴う微弱な熱発生(観察されない場合もあるが)に続いて主燃焼である予混合火炎による1つの熱発ピークが観察される。従来型ディーゼル燃焼では予混合火炎と拡散火炎に伴う2つのピークが観察される点で、大きく異なっている。また、予混合火炎の伝播で燃焼が完結するガソリンエンジンとも異なる。なお、実際のPCCIエンジンでは、熱発生パターンのテーリングが観察される場合があるが、この原因(予混合火炎か拡散火炎か)は明確でないので、該PCCIエンジンでは主燃焼が90%以上(テーリングに伴う熱発生が10%未満)と定義される。また、該PCCIエンジンは、高圧縮比で運転できることなどから、ガソリンエンジン(火花点火式エンジン)に比べて高効率であるという特徴を有する。
<供試燃料の調製>
・RG:市販のレギュラーガソリンを準備した。
・ADO:市販の軽油(JIS 2号)を準備した。
・KERO:市販の灯油を準備した。
・GTL:(株)JOMOサンエナジーを通じてモスガス品を購入した。
・SHNP:(株)JOMOサンエナジーを通じて炭素数14、15、16のノルマルパラフィン混合物を購入した。
・水素化分解軽油:韓国油公の軽油を購入した。全硫黄分は1質量ppm、90%留出温度は339.5℃である。
・RFG:重質ナフサを固体触媒により移動床式反応装置を用いて反応させることにより、芳香族分の高い炭化水素に改質し、ペンタン留分以下を蒸留分離することにより得られたオクタン価106の接触改質ガソリンを用いた。
・プロピルベンゼン:関東化学(株)純度97.0%以上。RONはRGにプロピルベンゼンを20容量%混合してRONを測定し、混合比率から算出することで114を求めた。
・燃料−1:KERO[CN=45.0]60容量%にプロピルベンゼン[RON=114]を40容量%混合して調製した。
・燃料−2:RG[RON=90.3]80容量%にSHNP[CN=95]を20容量%混合して調製した。
・燃料−3:水素化分解軽油[CN=59]60容量%にRFG[RON=106]を40容量%混合して調製した。
・密度:JIS K2249「原油及び石油製品密度試験法」
・蒸留性状:JIS K2254「蒸留試験法」
・硫黄分:JIS K2541−6「硫黄分試験法(紫外蛍光法)」
・セタン価(CN):JIS K2280「石油製品−燃料油−オクタン価及びセタン価試験方法並びにセタン指数算出方法」に規定された実測法(指数は適用できない)
・リサーチ法オクタン価(RON):JIS K2280「石油製品−燃料油−オクタン価及びセタン価試験方法並びにセタン指数算出方法」
Claims (2)
- 硫黄分が10質量ppm以下で、90容量%留出温度が180〜332.5℃で、セタン価(CN)が25〜39.7で、リサーチ法オクタン価(RON)が35以上で、セタン価とリサーチ法オクタン価との和(CN+RON)が70以上であることを特徴とする予混合圧縮着火エンジン用燃料油組成物。
- セタン価(CN)が40以上の燃料油1にリサーチ法オクタン価(RON)が80以上の燃料油2を混合することを特徴とする請求項1に記載の予混合圧縮着火エンジン用燃料油組成物の製造方法。
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