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JP5377977B2 - 脂肪酸アルキルエステルの精製方法およびそのような精製を補助する薬剤 - Google Patents
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JP5377977B2 - 脂肪酸アルキルエステルの精製方法およびそのような精製を補助する薬剤 - Google Patents

脂肪酸アルキルエステルの精製方法およびそのような精製を補助する薬剤 Download PDF

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Description

発明の背景
発明の属する技術分野
本発明は、脂肪酸アルキルエステルの有機溶液の精製を補助するためのある種の薬剤の使用に関する。本発明はまた、バイオディーゼルとしての使用に好適な脂肪酸アルキルエステルの精製方法に関する。
背景技術
植物油または動物脂に由来する脂肪酸アルキルエステル(脂肪酸のメチルエステルやエチルエステルなど、脂肪酸のモノアルキルエステル)はバイオディーゼルとして用いられることが知られている。このような脂肪酸アルキルエステルを製造する既知の方法は、アルコールおよび触媒の存在下での植物油または動物脂に含まれるトリグリセリドのトランスエステル化を含む。当該技術分野では、酸触媒、またはより一般的にはアルカリ金属触媒、例えば水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウム、または金属アルコキシド、例えばナトリウムメトキシドもしくはカリウムメトキシドといった触媒の使用がよく知られている。実際、金属アルコキシドはアルコールとアルカリ金属との反応により形成される化合物である。要するに、トランスエステル化反応は一般に次のように記載することができる。
Figure 0005377977
使用可能な植物油または動物脂としては、ココヤシ油、パーム油、種子油、オリーブ油、ヒマワリ油、ダイズ油、ナタネ油および牛脂がある。使用可能な好適なアルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノールおよびブタノールなどのアリールアルコールがある。低コスト、極性および短鎖であるために、バイオディーゼルの製造には通常メタノールが用いられる。活性が高いために、工業規模では通常、水酸化カリウムなどのアルカリ触媒が用いられる。
脂肪酸アルキルエステルを生成するための周知の方法は、例えば植物油を通常30℃〜110℃の間の温度まで加熱することを含む。この方法はさらにこの加熱した油にアルコールと触媒を加えることを含む。この反応の結果として二相が生じ、一方は生成したグリセロールを含み、他方は生成した脂肪酸アルキルエステルを含む。さらに、この方法は生成した脂肪酸アルキルエステル相から生成したグリセロール相を除去することを含む。
上記のような既知の方法に従って生成された脂肪酸アルキルエステルは通常、特に金属K、Na、MgおよびCa起源の不純物を制限する、脂肪酸アルキルエステルに関する規制基準、例えば、脂肪酸メチルエステルに関する欧州基準EN−14214に従えば、高レベルの不純物を含んでいる。よって、生成したこれらの脂肪酸アルキルエステルは精製する必要がある。既知の精製方法は、不純物を洗い流し、規制基準に従う、従って、バイオディーゼルとして使用可能な脂肪酸アルキルエステルを生成する中和および水洗工程を含む。各洗浄工程の後には、混合物が二相に落ち着くまで待ち、その後水相を排出するなどの当技術分野で公知のいずれかの方法により、または混合物の遠心分離により、脂肪酸アルキルエステルから水を分離することができる。水の総使用量は一般に脂肪酸アルキルエステルの生成量の20〜100%の範囲である。精製が完了した後、脂肪酸アルキルエステル中に含まれる水の痕跡を、例えば、脂肪酸アルキルエステルを再加熱することにより除去しなければならない。さらに、この水も通常不純物を含み、次に、例えば水を濾過し、かつ/または水をイオン交換材に流すことにより除去する必要がある。その後、この水は再利用することもできるし、あるいは廃水として簡単に処理することもできる。
水の使用による既知の脂肪酸アルキルエステル精製法に伴う欠点は、精製に多量の水を用いたとしても、例えばカルシウムおよびマグネシウム不純物などの金属不純物の量を、脂肪酸アルキルエステルの規制基準に従うレベルにまで減らすことが難しいということである。水を用いたもう1つの既知の脂肪酸アルキルエステル精製法は、バイオディーゼルの生成には、このプロセスには例えば精製に多量の水を必要とし、その後、その水を精製する必要があることから、例えば、高いエネルギー投入を必要とし、時間とコストがかかる。
発明の概要
既知の方法の上述の観点を鑑みて、本発明の1つの目的は、既知技術の欠点を完全または部分的に解消し、取扱いが容易な脂肪酸アルキルエステルの生成を可能とし、バイオディーゼルとしての使用に好適な高品質の脂肪酸アルキルエステルが得られる、ある種の薬剤の使用ならびに脂肪酸アルキルエステルの精製方法を提供することである。
本発明は、独立クレームにより定義される。実施形態は従属クレームから、また、以下の記載および実施例から明らかとなる。
第一の態様によれば、脂肪酸アルキルエステルを含んでなる有機溶液の精製を補助する(容易にする)薬剤としての凝集/金属イオン封鎖剤(flocculating and sequestering agent)の使用が提供される。
「凝集/金属イオン封鎖剤」とは、微粒子を一体化して集塊を形成させるために懸濁液に加えられる試薬、通常にはポリ電解質を意味する。さらに、この用語は、カルシウムおよびマグネシウムなどの金属イオンといくつかの結合を形成し得る薬剤を含む。さらにまた、この用語は有機溶液内で水相(この相もイオンを引き寄せる)を形成する薬剤にも関する。
「脂肪酸アルキルエステルの有機溶液」とは、主として該脂肪酸アルキルエステルであるが、トリグリセリドのトランスエステル化の試薬および生成物、例えば、石鹸ならびに金属イオンおよび金属塩といった不純物も少量含む相と理解される。
凝集/金属イオン封鎖剤の使用はカルシウム、マグネシウム、カリウムおよびナトリウム不純物などの不純物の除去を補助する。さらに、この凝集/金属イオン封鎖剤による処理は、適切に添加および除去すれば、例えば遊離脂肪酸として、また、他の酸度として測定される生成物の酸価に影響を及ぼさない。遊離脂肪酸メチルエステルの酸価は、例えばEN14214によれば、0.5mg KOH/kg油に制限される(さらに詳しい考察としては下記を参照)。
一つの実施態様では、凝集/金属イオン封鎖剤はポリアルミニウム凝固剤からなる群から選択される。
このようなポリアルミニウム凝固剤は、脂肪酸アルキルエステル有機溶液の無極性環境からであっても、カルシウム、マグネシウム、カリウムおよびナトリウム不純物などの不純物が除去されるプロセスを大幅に補助する。
一つの実施態様では、凝集/金属イオン封鎖剤はポリアルミニウムヒドロキシクロリドである。
ポリアルミニウムヒドロキシクロリドは、カルシウムイオンおよびマグネシウムイオンなどの金属イオンを引き寄せる、脂肪酸アルキルエステル有機溶液の無極性環境での不純物の除去を大幅に補助する。さらに、このポリアルミニウムヒドロキシクロリドはまた、有機溶液内に水相を形成し、この相もナトリウムイオンおよびカリウムイオンを引き寄せる。さらにまた、塩素イオンもカリウムおよびナトリウムなどのイオンの除去を助ける。
一つの実施態様では、有機溶液は本質的に無水である。
「本質的に無水」(essentially anhydrous)とは、その有機溶液中には有効量の遊離水が存在しないという文脈で理解すべきである。有効量とは、不純物を洗い流すために、凝集/金属イオン封鎖剤を添加せずに水を用い、既知の精製工程に従って不純物に顕著な減少を達成するのに十分な量である。このような工程において有効であることが分かっている水の量は、有機溶液に対して10%(重量)超、一般には10〜60%(重量)前後である。その厳密な定義では、この用語は、遊離水は精製に必要ではなく、従って、凝集/金属イオン封鎖剤を用いる精製工程には有機溶液に加える必要がないことを意味する。このことは、この精製工程中に常時存在する唯一の水はトランスエステル化工程などの事前処理および精製中の化合物の添加からの残留水である。凝集/金属イオン封鎖剤の添加は水分含量に付加され、この付加は薬剤の添加量によって異なる。ある程度まで、例えば1000重量ppmといった少量の水は、有機溶液内で、ナトリウムイオンおよびカリウムイオンなどのイオンを引き寄せる相の形成を補助する。しかし、凝集/金属イオン封鎖剤とともに多量の水を用いると、有機溶液の精製に負の方向の影響が及ぶおそれがあり、すなわち、凝集/金属イオン封鎖剤は不純物の除去を補助しない。
しかしながら、好ましい実施態様では、有機溶液の最大水分含量は10%(w/w)までであり得る。より好ましい実施態様では、有機溶液の最大水分含量は、9.5、9.0、8,5、8.0、7.5、7.0、6.5、6.0、5.5、5.0、4.5、4.0、3.5、3.0、2.5、2.0、1.5、1.0、0.5、0.43または0.10%(w/w)までであり得る。より好ましい実施態様では、水分含量は約100〜約1000ppm(w/w)、一層より好ましくは約500ppmである。これらの各実施態様は、総水分含量が上記の有効水分量より十分低く、かつ、精製が負の方向に影響を受けない限り、少量の水を可能とする。
第二の態様によれば、バイオディーゼルとしての使用に好適な脂肪酸アルキルエステルの有機溶液の精製方法が提供され、その方法は、
精製を補助するために、該有機溶液に凝集/金属イオン封鎖剤を加え、かつ
その有機溶液から、凝集/金属イオン封鎖剤および不純物を含んでなる部分を除去する
ことを含む。
このような脂肪酸アルキルエステルの精製方法は、例えばカルシウムおよびマグネシウム不純物などの金属不純物の量を、脂肪酸アルキルエステルに関する規制基準に従うレベルまで低減することを可能とする。
この方法の一実施態様では、有機溶液からの該部分の除去が、固体であり、極性があり、かつ/または脂肪酸アルキルエステルとは密度の異なる不純物とともに凝集/金属イオン封鎖剤を除去するために有機溶液の遠心分離工程を含んでなる。
このような工程は、有機溶液を精製するために水を用いる既知の工程に比べ、少ないエネルギー投入を可能とし、時間も短く、コストも低い。さらに、この工程の効率は制御が容易であまり監視が必要でない。さらに、この工程は工程中の水分含量が低い系を達成し得る。このような工程は、後に精製が必要となる精製用水を必要としない。さらに、この工程ではバイオディーゼルとしての使用に好適な多量の精製脂肪酸アルキルエステルが得られる。このような工程はまた、例えば酢酸溶液で別途中和を必要としない脂肪酸アルキルエステルの生成を可能とする欧州基準(上記参照)では、バイオディーゼル中の脂肪酸と無機酸の双方を含む酸価の制限に関する要件がある。最大値はmg KOH/gバイオディーゼルで表すと0.5である。バイオディーゼルのpH値に関する要件はないが、中和の必要性は中和の副生成物としての金属塩を生成すると思われる。一例として、脂肪酸メチルエステルがメタノールとアルカリを用いて生成される場合、この有機溶液はむしろ高レベルのアルカリを含むことができ、これは11前後までのpHをもたらす。既知の方法では、この材料には酢酸溶液を加えなければならない。
この方法の一実施態様では、有機溶液から水を除去するために低圧下で遠心分離が行われる。
この方法の一実施態様では、不純物を除去するために、方法中有機溶液に本質的に水を加えない。
「本質的に水を加えない」とは、上述のような「本質的に無水」という文脈で理解すべきであり、すなわち、この方法は、精製が有効量の遊離水の不在下で行われることを含む。
一実施態様によれば、この方法中の脂肪酸アルキルエステルの有機溶液の水分含量は10%(w/w)であり得る。より好ましくい実施態様では、この有機溶液の最大水分含量は、9.5、9.0、8,5、8.0、7.5、7.0、6.5、6.0、5.5、5.0、4.5、4.0、3.5、3.0、2.5、2.0、1.5、1.0、0.5、0.43または0.10%(w/w)までであり得る。より好ましい実施態様では、水分含量は約100〜約1000ppm(w/w)、一層より好ましくは約500ppmである。これらの各実施態様は、総水分含量が上記の有効水分量より十分低く、かつ、精製が負の方向に影響を受けない限り、少量の水を可能とする。
この方法の一実施態様では、不純物はグリセロール、石鹸、遊離脂肪酸および/または金属不純物を含んでなる。
この脂肪酸アルキルエステルの精製方法は、このような不純物の量を低減することを可能とする。
この方法の一つの実施態様では、金属不純物はカルシウム、マグネシウム、カリウムおよび/またはナトリウムを含んでなる金属に起源する。
この脂肪酸アルキルエステルの精製方法は、特にこのような金属不純物の量を低減すること、さらには規制基準に従うよう、バイオディーゼルとして使用される最終生成物中の金属不純物の量を低減することも可能とする。
この方法の一つの実施態様では、凝集/金属イオン封鎖剤はポリアルミニウム凝固剤からなる群から選択される。
一つの実施態様では、凝集/金属イオン封鎖剤はポリアルミニウムヒドロキシクロリドである。
以下、本発明の種々の態様に従う方法および使用を実施態様および実施例を示してさらに詳細に記載する。
発明の具体的説明
本発明および実施態様の詳細な説明
本発明は、脂肪酸アルキルエステル、特にバイオディーゼルとしての使用に好適な長鎖脂肪酸のモノアルキルエステルを含んでなる有機溶液の精製を補助する薬剤としての凝集/金属イオン封鎖剤の使用に関する。一つの態様では、本発明はまた、脂肪酸アルキルエステル有機溶液の精製方法に関する。この方法では、精製を補助するために凝集/金属イオン封鎖剤を使用し、有機溶液から、その凝集/金属イオン封鎖剤と不純物を含んでなる部分を除去する。
精製される脂肪酸アルキルエステル有機溶液は植物油または動物脂の生成物である。一つの実施態様では、使用される油脂は新しく精製された油脂であり、これはそれらの油脂が使用済みのものではないことを意味する。別の実施態様では、使用される油脂は、天ぷら油として使用された油などの再使用粗油脂である。新しく精製されたまたは再使用される植物油の例としては、ココヤシ油、パーム油、オリーブ油、ヒマワリ油、ダイズ油およびナタネ油がある。
精製用の有機溶液は当技術分野で公知の方法に従って生成することができる。このような方法の例としては、酸触媒または塩基触媒のいずれかを含むものがある。このような触媒の例としては、ナトリウムおよびカリウムの水酸化物、カリウムおよびナトリウムのアルコキシド、ならびに無水硫酸および酢酸がある。脂肪酸メチルエステルなどの脂肪酸アルキルエステルの方法では、その方法中、水分含量の低い系を達成することが望ましい。このような系はプロセス水の生成を無効にし、脂肪酸アルキルエステルの生成率を高め、石鹸などの副生成物の生成を低減する。バイオディーゼルとして使用される最終生成物が含む水は好ましくは500ppm未満であるべきである。よって、精製またはそれらの添加の際に水を生成しないか、または極めて少量の水しか生成しない触媒を使用するのが望ましい。これに関して触媒の一例は、ナトリウムまたはカリウムのメトキシドであり、これらはメタノールとナトリウムまたはカリウムの反応により生成し得る。脂肪酸のメチルエステルを生成するための方法の一例は、植物油を通常には使用する油によって30℃〜110℃の間の温度まで、例えば、料理油を用いる場合は80〜90℃、ナタネ油を用いる場合には50℃、より不飽和度の高い油を使用する場合には若干低い温度に加熱することを含む。この方法はさらに、この加熱した油にメタノールおよびカリウムメトキシドまたはナトリウムメトキシドを添加することを含む。このカリウムメトキシドまたはナトリウムメトキシドおよびメタノールの添加量は、例えば、その油に存在する遊離脂肪酸の量、油の平均分子量によって異なり、それらは各々当業者に知られているように決定することができる。メタノールは通常過剰量を添加する。この反応の結果として二相が生じ、一方は生成したグリセロールを含み、他方は生成した脂肪酸メチルエステルを含む。さらに、この方法は、例えば重力または二相の遠心分離により、生成したメチルエステル相から生成したグリセロール相(一般に、二相の15〜20%(w/w)前後を占める)を除去することを含む。さらに、メタノールは、加圧の助けで、またはメタノールの沸点を超える温度で蒸発させることにより除去される。この方法により、99%(w/w)までの脂肪酸メチルエステルを含む有機溶液が得られ、この有機溶液は本発明に従って精製する必要がある。
ここで本発明の一つの態様を振り返ってみると、凝集/金属イオン封鎖剤は脂肪酸アルキルエステル有機溶液から不純物の分離を補助するために使用される。この凝集/金属イオン封鎖剤の使用は驚くべきことに、種々の金属イオンを引き寄せるための有機溶液のほぼ無極性の環境に有用であることが分かった。さらに、この凝集/金属イオン封鎖剤は、有機溶液に比べて極性のある遊離脂肪酸、石鹸およびグリセロールなどの金属イオン以外の不純物を有機溶液から分離する助けをすることも分かった。このような凝集/金属イオン封鎖剤の例としてはポリアルミニウム凝固剤がある。ポリアルミニウム凝固剤は高分子構造を有し、水溶性であることが知られている。その重合鎖の長さ、分子量およびイオン価数は、重合度によって決まる。加水分解すると、種々のモノマー種およびポリマー種が生じる。これらの重合度の高い金属封鎖剤としては、例えば、ポリ塩化アルミニウム、アルミニウムヒドロキシクロリドおよびポリアルミニウムヒドロキシクロリドが挙げられ、例えば、Ekoflock 54およびSweflock 10として市販されている。ポリアルミニウム凝固剤を使用する利点は、例えば、安価で発癌性が無いこと、および塩化物溶液中のナトリウムおよびカリウムに由来するイオンを引き寄せることである。市販されているもので考えられる他の金属封鎖剤種の例としては、ポリアルミニウム塩化鉄(III)、EDTAおよびアクリルアミドがある。
凝集/金属イオン封鎖剤は不純物を伴って、遠心分離および濾過などの方法により、または単に混合物を二相に落ち着かせる重力により、または当業者に知られているような他のいずれかの機械的手段により、有機溶液から分離および除去することができる。好ましい実施態様では、これらの不純物は少なくとも1段階の遠心分離により分離および除去される。
一つの実施態様では、カルシウムおよびマグネシウムなどの金属イオンに対する、水中の満足のいく金属封鎖剤として知られているポリアルミニウムヒドロキシクロリドが凝集/金属イオン封鎖剤として使用される。この金属封鎖剤ポリアルミニウムヒドロキシクロリドは、カルシウムイオンおよびマグネシウムイオンなどの金属イオンを引き寄せる、脂肪酸アルキルエステル有機溶液の無極性環境中で有用であることが分かった。さらに、このポリアルミニウムヒドロキシクロリドはまた、有機溶液内で、カルシウムイオンおよびマグネシウムイオンなどのイオンも引き寄せる水相を形成する。よって、凝集/金属イオン封鎖剤により封鎖されるナトリウムイオンおよびカリウムイオンなどのイオンが100%未満であっても、十分なレベルの残留イオンが水相に入り込むことができる。「水分含量」の痕跡は、その添加により、ポリアルミニウムヒドロキシクロリドの添加量に応じて有機溶液に1000ppm(w/w)までの水を放出するポリアルミニウムヒドロキシクロリドの添加後に有機溶液中で上昇することに着目すべきである。
一つの実施態様では、凝集/金属イオン封鎖剤は、有機溶液のpHが9〜12の際に添加される。好ましくは、このpHは10〜11である。よって、凝集/金属イオン封鎖剤はトランスエステル化プロセスが完了し、メタノールおよびグリセロールが除去されて間もなく添加するのが好ましいが、これはこのpHが高く、10.3〜10.5前後であり、このようなpHは経時的に低下する。
好ましい実施態様では、凝集/金属イオン封鎖剤が添加される場合、有機溶液は本質的に無水であり、このことは有効量の遊離水がその有機溶液中に存在しないことを意味する。有効量とは、凝集/金属イオン封鎖剤を添加せずに不純物を洗い流すために水を用いる既知の精製工程に従って不純物の顕著な低減を果たすのに十分な量である。このような工程に有効であることが知られている水の量は、有機溶液の10%(重量)超、一般に10〜60%(重量)前後である。その厳密な定義では、この用語は精製に遊離水を必要とせず、従って、凝集/金属イオン封鎖剤を用いる精製工程中、有機溶液に添加する必要がないことを意味する。このことは、この精製工程中に常時存在する唯一の水はトランスエステル化工程などの事前処理および精製中の化合物の添加からの残留水である。凝集/金属イオン封鎖剤の添加は水分含量に付加され、この付加は薬剤の添加量によって異なる。ある程度まで、例えば1000重量ppmといった少量の水は、有機溶液内で、ナトリウムイオンおよびカリウムイオンなどのイオンを引き寄せる相の形成を補助する。しかし、凝集/金属イオン封鎖剤とともに多量の水を用いると、有機溶液の精製に負の方向の影響が及ぶおそれがあり、すなわち、比較例7〜10によって例示されるように、凝集/金属イオン封鎖剤は不純物の除去を補助しない。
しかしながら、一つの実施態様では、有機溶液の最大水分含量は10%(w/w)までであり得る。より好ましい実施態様では、有機溶液の最大水分含量は、9.5、9.0、8,5、8.0、7.5、7.0、6.5、6.0、5.5、5.0、4.5、4.0、3.5、3.0、2.5、2.0、1.5、1.0、0.5、0.43または0.10%(w/w)までであり得る。より好ましい実施態様では、水分含量は約100〜約1000ppm(w/w)、一層より好ましくは約500ppmである。これらの各実施態様は、総水分含量が上記の有効水分量より十分低く、かつ、精製が負の方向に影響を受けない限り、少量の水を可能とする。バイオディーゼルとして使用する最終生成物の水分含量は規制基準に従うべきであり、500ppm(w/w)以下であるべきである。
本発明の一態様によれば、脂肪酸アルキルエステル有機溶液の精製方法が提供される。この方法は精製を補助するために有機溶液に凝集/金属イオン封鎖剤を添加する工程を含む。さらに、この方法はこの有機溶液から、凝集/金属イオン封鎖剤と不純物を含んでなる部分を除去する工程を含む。
この方法の一つの実施態様では有機溶液からある部分を除去する工程は、有機溶液中の不純物および凝集/金属イオン封鎖剤の量を低減するための遠心分離工程を含む。遠心機の一例としては、被分離媒体の連続流動化で駆動し、機能する密閉ボール、例えばMann−HummelのモデルFM600を備えた遠心機がある。この遠心機の流入口を混合タンク/容器およびポンプに接続することができ、そして精製溶液の流出口を該タンク/容器に接続することができる。
当業者に知られているように、好適ないずれの遠心機も使用可能であることに着目される。遠心分離の際、凝集/金属イオン封鎖剤および不純物などの、固体であり、極性があり、かつ/または脂肪酸アルキルエステルとは密度の異なる化合物が有機溶液から分離および除去される。不純物の総量は有機溶液の1〜5%(w/w)前後を占める。このような化合物の例としては、金属の塩およびイオン、遊離脂肪酸、グリセロールおよび石鹸などの不純物である。一つの実施態様では、ボール遠心機(例えば、Mann−HummelのモデルFM600)を用いると、凝集/金属イオン封鎖剤とともに遊離脂肪酸、グリセロールおよび石鹸を含む部分はボール内で相を形成し、この相は脂肪酸アルキルエステル有機溶液に比べて極性が高く、遠心分離後に排出される。金属イオンもまたこの部分に存在し、これにより同時に除去される。一つの実施態様では、遠心分離は、連続再循環流下、モデルFM600(Mann−Hummel)のボール遠心機を4200rpm前後で用いて6時間行う。一つの実施態様では、この遠心分離は定圧、例えば−0.9バール下で行う。このような低圧は水分含量の低下をもたらすことが示されており、有機溶液中の最終的な水分含量は500ppm未満である。不純物の量は例えば有機溶液の5%〜1%(w/w)前後と低い。一般に、遠心機から排出される部分は最初のバッチ重のおよそ1.1%(w/w)を占める。ポリアルミニウムヒドロキシクロリドなどの凝集/金属イオン封鎖剤を遠心分離による分離と組み合わせて用いると、有機溶液中の不純物の量が大幅に減少する。凝集/金属イオン封鎖剤の添加量は、最初の不純物レベルによって異なる。飽和度は、最初の不純物量から算出して過剰量であっても付加することができ、その算出は当業者に明らかである。典型量は精製する溶液の0.5%(w/w)を超え、特には0.5〜2.5%(w/w)である。
精製された有機溶液は、例えば欧州基準EN−14214などの規制基準に従うべきである。この基準では、以下の制限が記されている:カリウムおよびナトリウムに対しては5mg/kg、カルシウムおよびマグネシウムに対しては5mg/kg。遠心分離とポリアルミニウムヒドロキシクロリドの添加の双方を含む方法を用いた場合の精製前および精製後の値の例は、実験の部に示されるように、カルシウムおよびマグネシウムではそれぞれ11〜14および0.3〜2.2、カリウムおよびナトリウムではそれぞれ440〜100および3.9〜4.1である。
上述のように、本方法の一つの実施態様では、その方法中に本質的に水を加えない。実験の部から明らかなように、水は精製に負の方向の影響を及ぼしさえする。
一つの実施態様では、有機溶液への凝集/金属イオン封鎖剤の添加は遠心分離を行う前に行う。この添加の後、少なくとも1回の遠心分離工程を行って、凝集/金属イオン封鎖剤とともに不純物を除去する。この方法には作業者による監視は全くまたはほとんど必要なく、精製は不純物を除去するただ一工程で行うことができる。
別の実施態様では、凝集/金属イオン封鎖剤の添加を行う前に有機溶液に対して少なくとも1回の遠心分離工程を行い、さらに不純物の除去工程を行う。この方法の利点は、凝集/金属イオン封鎖剤の添加とその後の遠心分離工程の前に不純物、特に石鹸およびグリセロールをほぼ純粋な形態で予め除去できることである。
本発明のさらなる態様によれば、脂肪酸アルキルエステル、特にバイオディーゼルとしての使用に好適な長鎖脂肪酸のモノアルキルエステルを含んでなる有機溶液を作製する方法が提供される。この方法は、精製される有機溶液を上述のように作製すること、および精製に関する本発明の態様に従ってこの有機溶液を精製することを含む。
以下、本発明を、それに従って行われる実験の非限定的な詳説によりさらに説明する。これらの実験では、凝集/金属イオン封鎖剤を用いる場合または用いない場合、ならびにその濃度が異なる場合の精製態様が試験される。
実施例1〜6
実験方法
実施例1〜6の各実験は、ナトリウムまたはカリウムメトキシドを触媒とし、アルコールとしてメタノールを用いた上記のトランスエステル化法を用いて生成した脂肪酸メチルエステルの有機溶液のバッチに基づいた。添加した触媒はカリウムメチレートでは有機溶液の0.64重量%、ナトリウムメチレートでは0.45重量%であった。メタノールは50重量%の化学量論的過剰量で加えた。トランスエステル化が完了した後、グリセロール相を排出し、低圧下(−0.9バール)で過剰量のメタノールを除去すると、精製用の有機溶液の残留バッチが残った。各実験のこのバッチは3000kg前後であった。
精製のための実験条件
全ての実験で、遠心分離は、低圧下(−0.9バール)、55℃にて6時間、ボール遠心機(Mann−HummelのモデルFM600)を4,200rpmで用いて行った。
ポリアルミニウムヒドロキシクロリド(カタログ番号1327−41−9、Eka Nobel)を凝集/金属イオン封鎖剤として用いた。添加量は有機溶液の0〜2.25重量%とした。
ポリアルミニウムヒドロキシクロリドはトランスエステル化工程の後、およびpHがまだ高い時には(このpHは10.3〜10.5前後と測定された)、グリセロールおよび過剰量のメタノールが除去された後に添加された。
金属含量の分析
Mg、Ca、NaおよびKの金属レベルを、Spectro GmbHからの機器を用いたICP分析により測定した(アルゴンを用いた誘導結合プラズマ)。分析はASTM D 4951−96、ASTM 5708−95a、ASTM 5185−95、DIN 51390−4、DIN 51391−3およびDIN 51790−6により記載された標準的方法に基づいて行い、それによりスペクトル系183,801/393,366、285,213、589,592および766.490nmを用いてそれぞれCa、Mg、NaおよびKに関する金属含量濃度を測定した(この濃度の測定は当業者には明らかである)。
水分含量分析
水分含量は水素化カルシウム(CaH)を用いて容積分析を行った。この水素化物は水と反応してガス圧を生じ、これをこの目的のための特殊なゲージで測定した(いわゆるモバイルウォーターテストキットのゲージメーター、Sugnum/ExxonMobil製の429950番)により測定した。
結果:実施例1〜5
Figure 0005377977
表1に示されたデータから、精製前に脂肪酸アルキルエステルを含む有機溶液の精製後、金属カルシウムおよびマグネシウムとカリウムおよびナトリウムはそれぞれ20前後と100〜450mg/kgの量であり得る。ポリアルミニウムヒドロキシクロリドで金属を処理し、次いで遠心分離した後の金属レベルは大幅に減少した。
実施例3では、結果は凝集/金属イオン封鎖剤を添加しない遠心分離工程により得られたものである。これらの結果は、金属レベルはいくらか減少したが、遠心分離と凝集/金属イオン封鎖剤の添加を組み合わせた精製を用いた場合に得られたレベルではなかったことを示す。
実施例5では、結果が若干不調の遠心機を用いて得られたものであることに注意すべきである。
結果:実施例6
1つの実験で、有機溶液の水分含量を分析した。この水分含量は遠心分離前に最高となり、0.43%(w/w)と測定された。2時間の遠心分離後、水分含量は0.23%(w/w)となり、遠心分離が完了した後、水分含量は0.12%(w/w)と測定された。遠心分離完了後の水分量が比較的高い理由は、遠心機不調の結果であることが示された。もう1つの実験で、最終的な水分含量は1000ppm(w/w)未満と、最終生成物では500ppmと測定された(データは示されていない)。
比較例7〜10
実験方法
実施例7〜10の各実験は、実施例1〜6において上述したように作製した脂肪酸メチルエステル有機溶液のバッチに基づいた。各実験ではナタネ油を出発材料として用いた。各実験で精製に用いたバイオディーゼルの量は1回当たり100gであった。生じた有機溶液の精製は、不純物を含む部分の除去工程を遠心分離により行わなかったこと以外は、実施例1〜6に記載したものと同様にして行った。その代わりに、有機溶液を水で洗浄した。洗浄は、水と有機溶液を混合すること、および有機溶液から水を除去することからなった。3工程の洗浄を行い、各工程で20%(w/w)の水を加えて除去した。このプロセスは有機溶液を洗浄するために水を用いる当技術分野の方法を真似たものである。既知の方法との違いの1つは、水洗を行う前に有機溶液に凝集/金属イオン封鎖剤を混合したことである。凝集/金属イオン封鎖剤を混合する工程は洗浄工程の前に行った。水洗後、50℃の水浴に有機溶液を入れることにより残留する微量の水を、水分含量が500ppm未満となるまで除去した。
結果:実施例7〜10
Figure 0005377977
表2に示されたデータから、凝集/金属イオン封鎖剤を伴った遠心分離を行わない水洗(3×20%w/w)では、凝集/金属イオン封鎖剤を添加しない水洗と比べても金属不純物の低減に適切に機能しないことが明らかである。カルシウム+マグネシウム値のレベルだけは認可レベルである。金属不純物の残留レベルが相対的に高い理由は、凝集/金属イオン封鎖剤により生じた錯体の水溶性が低いということによる可能性がある。さらに、最終生成物の残留塩化物濃度が低いことから分かるように、水洗を用いた機構は、カリウム+ナトリウムに凝集/金属イオン封鎖剤とともに塩化物を形成させないようである。その代わりに、塩化物イオンは好ましく水に移動し、これにより金属および凝集/金属イオン封鎖剤なしで洗い流される。精製前および凝集/金属イオン封鎖剤を添加した後の塩素イオン濃度は11mg/kgまでであり得る。
これらの結果はまた、精製工程が遠心分離工程を含む場合であっても、凝集/金属イオン封鎖剤とともに水を加えると有機溶液の精製に負の方向の影響を及ぼし得る、すなわち、凝集/金属イオン封鎖剤は不純物の除去を補助しないことを示す。
実施例11および12
実験方法
実施例11および12の各実験は、触媒添加量が若干異なり、バッチサイズが実施例11では3000kg前後、実施例12では16000kg前後であること以外は、実施例1〜6において上述したように作製、精製および分析した脂肪酸メチルエステル有機溶液のバッチに基づいた。各実験ではナタネ油を出発材料として用いた。実施例11では、触媒は有機溶液の0.78重量%前後のカリウムメチレートであった。実施例12では、触媒は有機溶液の0.51重量%前後のナトリウムメチレートであった。
結果:実施例11および12
Figure 0005377977
表3に示されているデータから、脂肪酸メチルエステルの有機溶液をポリアルミニウムヒドロキシクロリドで処理した後、遠心分離を行うことにより、有機溶液の起源としてヒマワリ油の場合であっても、金属レベルが大幅に減少したことが明らかである。

Claims (16)

  1. バイオディーゼルとしての使用に適した脂肪酸アルキルエステルを含む有機溶液の精製を補助する薬剤としての、凝集/金属イオン封鎖剤の使用であって、
    前記有機溶液の水分含量が5重量%以下であり、
    有機溶液のpHが9〜12である、使用。
  2. 凝集/金属イオン封鎖剤がポリアルミニウム凝固剤からなる群から選択される、請求項1に記載の使用。
  3. 凝集/金属イオン封鎖剤がポリアルミニウムヒドロキシクロリドである、請求項2に記載の使用。
  4. 有機溶液の水分含量が4.5、4.0、3.5、3.0、2.5、2.0、1.5、1.0、0.5、0.43または0.10%(w/w)以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の使用。
  5. 水分含量が100〜1000ppm(w/w)である、請求項4に記載の使用。
  6. 水分含量が500ppm(w/w)である、請求項5に記載の使用。
  7. バイオディーゼルとしての使用に適した脂肪酸アルキルエステル有機溶液の精製方法であって、
    精製を補助するために、有機溶液のpHが9〜12の際に、該有機溶液に凝集/金属イオン封鎖剤を加え、かつ
    その有機溶液から、凝集/金属イオン封鎖剤と不純物を含んでなる部分を除去する
    ことを含み、
    工程中の脂肪酸アルキルエステル有機溶液の水分含量が5重量%以下である、
    方法。
  8. 有機溶液からの該部分の除去が、固体であり、極性があり、かつ/または脂肪酸アルキルエステルとは密度の異なる不純物とともに凝集/金属イオン封鎖剤を除去するために有機溶液の遠心分離工程を含んでなる、請求項に記載の方法。
  9. 有機溶液から水を除去するために遠心分離が低圧下で行われる、請求項に記載の方法。
  10. 前記方法中の脂肪酸アルキルエステルの有機溶液の水分含量が4.5、4.0、3.5、3.0、2.5、2.0、1.5、1.0、0.5、0.43または0.10%(w/
    w)以下である、請求項7〜9いずれか一項に記載の方法。
  11. 水分含量が100〜1000ppm(w/w)である、請求項10に記載の方法。
  12. 水分含量が500ppm(w/w)である、請求項11に記載の方法。
  13. 不純物がグリセロール、石鹸、遊離脂肪酸および/または金属不純物を含んでなる、請求項7〜12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 金属不純物がカルシウム、マグネシウム、カリウムおよび/またはナトリウムを含んでなる金属に起源する、請求項13に記載の方法。
  15. 凝集/金属イオン封鎖剤がポリアルミニウム凝固剤からなる群から選択される、請求項7〜14のいずれか一項に記載の方法。
  16. 凝集/金属イオン封鎖剤がポリアルミニウムヒドロキシクロリドである、請求項15に記載の方法。
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