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JP5400563B2 - 半導体装置 - Google Patents
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本発明は、正孔排出用電極を有する半導体装置に関する。
特許文献1には、正孔排出用電極が設けられた半導体装置が開示されている。正孔排出用電極は、半導体装置の動作中に発生する正孔を半導体装置外に排出し、半導体装置の特性を改善する。
特開2007−329205号公報
特許文献1に開示される正孔排出用電極は、ドレイン電極、ソース電極及びゲート電極が設けられている素子内部の周囲の素子外部に配置されている。しかしながら、半導体装置の動作中に発生する正孔は、例えば、半導体装置がオンしているときは素子部のチャネル近傍で発生することが多く、半導体装置がオフしているときは素子部のpn接合面近傍で発生することが多い。このため、素子外部に配置されている正孔排出用電極は、正孔の排出能が低い。
本明細書で開示される技術は、正孔の排出能をより改善した正孔排出用電極を提供することを目的としている。
本明細書で開示される技術は、素子内部に正孔排出用電極を配置することを特徴としている。さらに、その正孔排出用電極は、電子を通過させずに、正孔のみを通過させる正孔選択通過膜を介して配置されている。この構成によると、素子内部を流れる電子を排出させずに、正孔を排出させることができる。これにより、正孔排出用電極は、素子内部の電子の流れ(電流の流れ)を妨げることなく、正孔が発生する箇所近傍に配置させることができる。本明細書で開示される技術によれば、排出能が改善された正孔排出用電極を利用して、半導体装置の特性をより改善することができる。
本明細書で開示される半導体装置は、半導体層と、第1主電極と、第2主電極と、ゲート電極と、正孔排出用電極と、正孔選択通過膜を備えている。第1主電極は、半導体層の第1領域に接触する。第2主電極は、半導体層の第1領域とは異なる第2領域に接触する。ゲート電極は、第1主電極と第2主電極の間に設けられており、半導体層の第1領域及び第2領域とは異なる第3領域に対向する。正孔排出用電極は、ゲート電極と第1主電極との間に設けられており、半導体層の第1領域、第2領域及び第3領域とは異なる第4領域に対向する。正孔選択通過膜は、正孔排出用電極と半導体層の第4領域の間に設けられている。正孔選択通過膜は、伝導帯のエネルギレベルが半導体層の伝導帯のエネルギレベルよりも高く、価電子帯のエネルギレベルが半導体層の価電子帯のエネルギレベルよりも高いことを特徴としている。このような特性を有する正孔選択通過膜は、電子を通過させずに、正孔を通過させる。上記半導体装置では、第1主電極と第2主電極の間の半導体層を電流が流れ、その電流はゲート電極によって制御される。正孔排出用電極は、ゲート電極と第1主電極の間に設けられていることから、素子内部に配置されている。上記半導体装置では、正孔排出用電極は、正孔選択通過膜を介して半導体層の第4領域に対向している。このため、半導体層を流れる電子は、正孔選択通過膜によって正孔排出電極から排出されることが防止されている。一方、素子内部で発生した正孔は、正孔選択通過膜を介して正孔排出用電極に排出される。上記半導体装置は、正孔の排出能が高い。
本明細書で開示される半導体装置では、第1領域、第2領域、第3領域及び第4領域が、半導体層の主面の一部であることが好ましい。この半導体装置によると、第1主電極と第2主電極とゲート電極と正孔排出電極のいずれもが、半導体層の主面上に配置される。この半導体装置は、電流が横方向に流れる横型である。
本明細書で開示される半導体装置は、横型のMISFETに適用してもよい。この場合、半導体層は、第1導電型の第1半導体領域と、第1導電型の第2半導体領域と、第2導電型の第3半導体領域を有するのが望ましい。第1半導体領域は、半導体層の表層部に設けられており、第1主電極に第1領域を介して接触する。第2半導体領域は、半導体層の表層部に設けられており、第2主電極に第2領域を介して接触する。第3半導体領域は、半導体層の表層部に設けられており、ゲート電極に第3領域を介して対向しており、第1半導体領域と第2半導体領域の間に設けられている。
横型のMISFETでは、第4領域の少なくとも一部が、第3半導体領域に位置していてもよい。この場合、正孔選択通過膜は、第3半導体領域に接触する。また、ゲート電極と正孔排出用電極は、一体で形成されていてもよく、別体で形成されていてもよい。例えば、横型のMISFETでは、オフしたときに、第1半導体領域と第3半導体領域のpn接合面に高電界が加わり、このpn接合面近傍で正孔が発生し易い。本明細書で開示される半導体装置では、この正孔の発生し易い箇所に正孔選択抑制膜を介して正孔排出用電極が配置されているので、正孔を速やかに排出することができる。これにより、半導体装置の破壊が抑制される。
第4領域の少なくとも一部が第3半導体領域に位置している横型のMISFETでは、第4領域が分散して配置されているのが望ましい。特に、第4領域は、第1主電極と第2主電極を結ぶ方向に対して直交する方向に分散して配置されているのが望ましい。第4領域の少なくとも一部が第3半導体領域に位置している横型のMISFETでは、正孔選択抑制膜に正孔が蓄積されることにより、ゲート閾値が変動する虞がある。第4領域を分散して配置させることにより、ゲート閾値の変動が抑えられ、動作特性が安定する。
本明細書で開示される半導体装置は、横型のHEMTに適用してもよい。この場合、半導体層は、半導体下層と半導体上層を有する。半導体下層は、第1のバンドギャップ幅を有する。半導体上層は、半導体下層上に設けられており、第1のバンドギャップ幅とは異なる第2のバンドギャップ幅を有する。なお、半導体下層と半導体上層の間に、他の半導体層が設けられていてもよい。
横型のHEMTでは、第4領域が分散して配置されているのが望ましい。特に、第4領域は、第1主電極と第2主電極を結ぶ方向に対して直交する方向に分散して配置されているのが望ましい。横型のHEMTでは、正孔選択抑制膜に正孔が蓄積されることにより、半導体下層と半導体上層の間に形成される2次元電子ガス層の電子密度が変動する虞がある。第4領域を分散して配置させることにより、そのような変動が抑えられ、動作特性が安定する。
本明細書で開示される半導体装置によると、正孔選択通過膜を介して正孔排出用電極が素子内部に配置されている。これにより、正孔排出電極は、正孔が発生する箇所近傍に配置されるので、半導体装置の特性をより改善することができる。
第1実施例の半導体装置の要部断面図を模式的に示す。 第1実施例の半導体装置の平面レイアウトの一例を示す。 第1実施例の半導体装置の平面レイアウトの他の一例を示す。 (A)ゲート電極とゲート絶縁膜とボディ領域のエネルギーバンド構造図を示す。(B)第1正孔排出用電極と正孔選択通過膜とドリフト領域のエネルギーバンド構造図を示す。 第1実施例の変形例の半導体装置の要部断面図を模式的に示す。 第1実施例の変形例の半導体装置の平面レイアウトの一例を示す。 第1実施例の変形例の半導体装置の平面レイアウトの他の一例を示す。 第2実施例の半導体装置の要部断面図を模式的に示す。 第2実施例の変形例の半導体装置の要部断面図を模式的に示す。
以下、明細書で開示される技術を整理して記載する。
(第1特徴) 正孔選択通過膜の材料は、伝導帯のエネルギレベルが半導体層の伝導帯のエネルギレベルよりも高く、価電子帯のエネルギレベルが半導体層の価電子帯のエネルギレベルよりも高いという関係が得られれば、特に限定はない。例えば、半導体層の材料が窒化物半導体であれば、正孔選択通過膜の材料には、窒化シリコンを用いることができる。
(第2特徴) ゲート電極と第1正孔排出用電極は、一体で形成されているのが望ましい。レイアウトが単純化され、製造が容易となる。さらに、ゲート電極近傍は、正孔が多量に発生し易い箇所である。このため、ゲート電極と第1正孔排出用電極を一体で形成すれば、製造が容易となるとともに、正孔を速やかに排出することもできる。
(第3特徴) 第1正孔排出用電極には、ゲート電極に印加されるゲート制御電圧が印加されるのが望ましい。
以下、図面を参照して各実施例を説明する。以下で説明する各実施例では、半導体材料に一般式がAlXGaYIn1-X-YN(0≦X≦1,0≦Y≦1,0≦1-X-Y≦1)の窒化物半導体が用いられている。しかしながら、本明細書で開示される技術には、窒化物半導体以外の半導体材料が用いられてもよく、例えば、半導体材料にシリコン、炭化珪素、ガリウム砒素が用いられてもよい。
図1に、横型のMISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)である半導体装置10の要部断面図を模式的に示す。図2に、図1の半導体装置10の平面レイアウトの一例を模式的に示す。
半導体装置10は、サファイアである基板20と、その基板20上に設けられている窒化ガリウム(GaN)の半導体層30を備えている。半導体層30は、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)技術を利用して、基板20の表面に形成されている。半導体層30は、不純物としてマグネシウム(Mg)を含んでおり、p型である。一例では、半導体層30の不純物濃度は7×1018cm-3である。
半導体層30は、表層部に形成されている第1半導体領域46、第2半導体領域72、及び第3半導体領域62を備えている。第1半導体領域46及び第2半導体領域72は、イオン注入技術を利用して、半導体層30の表層部に不純物を導入して形成されている。第1半導体領域46と第2半導体領域72は、不純物としてシリコン(Si)を含んでおり、n型である。第3半導体領域62は、第1半導体領域46と第2半導体領域72の間に設けられた領域であり、p型である。以下、便宜の上で、第2半導体領域72をソース領域と称し、第3半導体領域62をボディ領域と称する。
第1半導体領域46は、不純物を高濃度に含むn+型のドレイン領域42と不純物を低濃度に含むn-型のドリフト領域44で構成されている。ドリフト領域44は、ドレイン領域42とボディ領域62の間に設けられており、それぞれに隣接している。一例では、ドレイン領域42の不純物濃度は5×1020cm-3であり、ドリフト領域44の不純物濃度は1×1016cm-3である。ソース領域72は、ボディ領域62に隣接して設けられている。一例では、ソース領域72の不純物濃度は5×1020cm-3である。半導体装置10では、ドレイン領域42、ドリフト領域44、ボディ領域62及びソース領域72が形成されている範囲を素子内部10Aと称し、それらが形成されていない範囲を素子外部10Bと称する。
半導体装置10はさらに、半導体層30の表面に設けられたドレイン電極48、第1正孔排出用電極56、ゲート電極68、ソース電極76及び第2正孔排出用電極84を備えている。図2に示されるように、これらの電極はいずれも、半導体層30の表面をy軸方向に沿って伸びて配設されており、x軸方向に間隔を置いてストライプ状に配置されている。
ドレイン電極48は、半導体層30の表面の一部である第1領域47を介してドレイン領域42にオーミック接触している。図2に示されるように、ドレイン電極48は、y軸方向に連続して伸びている第1領域47を介してドレイン領域42にオーミック接触している。一例では、ドレイン電極48の材料にアルミニウム(Al)が用いられている。ドレイン電極48は、図示しない電源の高圧側に接続されており、正電圧が印加されている。
ソース電極76は、半導体層30の表面の一部である第2領域74を介してソース領域72にオーミック接触している。図2に示されるように、ソース電極76は、y軸方向に連続して伸びている第2領域74を介してソース領域72にオーミック接触している。一例では、ソース電極76の材料にアルミニウム(Al)が用いられている。ソース電極76は、図示しない電源の低圧側に接続されており、一例では接地電圧が印加されている。
ゲート電極68は、ドレイン電極48とソース電極76の間に設けられており、半導体層30の表面の一部である第3領域64にゲート絶縁膜66を介して対向している。第3領域64は、ボディ領域62の表面を含むように位置している。一例では、ゲート電極68の材料にアルミニウム(Al)が用いられている。ゲート電極68は、図示しないゲート制御回路に接続されており、ゲート制御電圧が入力する。一例では、ゲート絶縁膜66の材料には酸化シリコン(SiO)が用いられている。
第1正孔排出用電極56は、ゲート電極68とドレイン電極48の間に設けられており、半導体層30の表面の一部である第4領域52に正孔選択通過膜54を介して対向している。第1正孔排出用電極56は、素子内部10Aに設けられていることを特徴としている。一例では、第1正孔排出用電極56の材料にアルミニウム(Al)が用いられている。第1正孔排出用電極56には、半導体層30の表面の一部である第4領域52の電位以下の電位となるような電圧が印加されている。一例では、第1正孔排出用電極56には固定電位が印加されており、好ましくはドレイン電圧よりも小さい固定電位、より好ましくはゲート制御電圧よりも小さい固定電位が印加されている。なお一層好ましくは、第1正孔排出用電極56に接地電位が印加されるのが望ましい。また、第1正孔排出用電極56には、ゲート制御電圧に同期する電圧が印加されてもよい。一例では、第1正孔排出用電極56には、ゲート制御電圧が印加されてもよい。正孔選択通過膜54は、第1正孔排出用電極56と半導体層30の表面の一部である第4領域52の間に設けられている。図2に示されるように、第1正孔排出用電極56は、y軸方向に連続して伸びている正孔選択通過膜54及び第4領域52を介してドリフト領域44に接触している。一例では、正孔選択通過膜54の材料には窒化シリコン(Si)が用いられている。
第2正孔排出用電極84は、素子外部10Bに設けられており、半導体層30の表面の一部である第5領域82を介して半導体層30にオーミック接触している。図2に示されるように、第2正孔排出用電極84は、y軸方向に連続して伸びている第5領域82を介して半導体層30にオーミック接触している。一例では、第2正孔排出用電極84の材料にニッケル(Ni)が用いられている。第2正孔排出用電極84には、半導体層30の表面の一部である第5領域82の電位以下の電位となるような電圧が印加されている。一例では、第2正孔排出用電極84には固定電位が印加されており、好ましくは接地電圧が印加されるのが望ましい。
半導体装置10は、素子内部10Aに設けられた第1正孔排出用電極56を備えていることを特徴としている。第1正孔排出用電極56は、正孔選択通過膜54を介してドリフト領域44の表面に対向していることを特徴としている。正孔選択通過膜54は、第1正孔排出用電極56とドリフト領域44の双方に接触していることを特徴としている。なお、図3に示されるように、正孔選択通過膜54とドリフト領域44が接触する第4領域52は、y軸方向に沿って分散配置されていてもよい。
図4(A)に、ゲート電極68とゲート絶縁膜66とボディ領域62のエネルギーバンド構造図を示す。図4(B)に、第1正孔排出用電極56と正孔選択通過膜54とドリフト領域44のエネルギーバンド構造図を示す。
ゲート絶縁膜66の材料には酸化シリコンが用いられており、ボディ領域62の材料には窒化ガリウムが用いられている。このため、図4(A)に示されるように、ゲート絶縁膜66の伝導帯のエネルギー準位はボディ領域62よりも高く、価電子帯のエネルギー準位はボディ領域62のエネルギー準位よりも低い。このため、ゲート絶縁膜66は、電子及び正孔のいずれに対してもエネルギー障壁を形成している。
一方、正孔選択通過膜54の材料には窒化シリコンが用いられており、ドリフト領域44の材料には窒化ガリウムが用いられている。このため、図4(B)に示されるように、正孔選択通過膜54の伝導帯のエネルギー準位はドリフト領域44のエネルギー準位よりも高い。このため、正孔選択通過膜54は、電子に対してエネルギー障壁を形成しており、所謂絶縁体として機能する。さらに、正孔選択通過膜54は、価電子帯のエネルギー準位がドリフト領域44よりも高い。このため、正孔選択通過膜54は、正孔に対してエネルギー障壁を形成しない。これにより、正孔選択通過膜54は、電子を通過させずに、正孔のみを通過させることができる。
次に、半導体装置10の動作を説明する。ドレイン電極48に正電圧が印加されているとともにソース電極76に接地電圧が印加された状態で、ゲート電極68に正電圧が印加されると、ボディ領域62の表層部に反転層が形成され、半導体装置10がオンする。半導体装置10がオンすると、ドレイン領域42から注入された電子は、ドリフト領域44とボディ領域62の反転層を経由してソース領域72に向けて流れる。前記したように、正孔選択通過膜54は電子に対してエネルギー障壁を形成するので、ドリフト領域44を流れる電流は、正孔選択通過膜54を通過して第1正孔排出用電極56に流れ込むこと抑えられている。素子内部10Aに第1正孔排出用電極56が設けられていたとしても、半導体装置10のオン動作を妨げることがない。
ゲート電極68に印加されている正電圧が接地電圧に切換わると、ボディ領域62の表層部の反転層が消失し、半導体装置10がオフする。半導体装置10がオフすると、ドリフト領域44が空乏化される。このとき、ボディ領域62とドリフト領域44のpn接合面62a近傍に高電界が加わる。例えば、サージ電圧等の高電圧がドレイン電極48とソース電極76の間に印加されると、ボディ領域62とドリフト領域44のpn接合面62a近傍でなだれ降伏が発生し、多量の正孔が発生する。この発生した正孔を速やかに排出しなければ、なだれ降伏が加速し、素子が破壊されるという事態が生じてしまう。半導体装置10では、pn接合面62a近傍に第1正孔排出用電極56が設けられている。このため、pn接合面62a近傍で発生した正孔は、正孔選択通過膜54を通過して第1正孔排出用電極56に速やかに排出される。この結果、半導体装置10は、なだれ降伏による破壊が抑制される。
(第1実施例の変形例)
図5に、変形例の半導体装置11の要部断面図を模式的に示す。図6に、図5の半導体装置11の平面レイアウトの一例を模式的に示す。半導体装置11は、ゲート電極68が、第1正孔排出用電極を兼用しており、ゲート電極68と第1正孔排出用電極が一体で形成されていることを特徴としている。
図5に示されるように、正孔選択通過膜54は、ゲート絶縁膜66の一部に置き換わるように設けられている。正孔選択通過膜54が半導体層30の表面に接触する第4領域52は、ボディ領域62とドリフト領域44で構成されるpn接合面62aを含む位置に配置されている。これにより、正孔選択通過膜54は、ボディ領域62とドリフト領域44の双方に接触している。
前記したように、サージ電圧等の高電圧がドレイン電極48とソース電極76の間に印加されると、pn接合面62a近傍でなだれ降伏が発生し、多量の正孔が発生する。半導体装置11では、正孔選択通過膜54がpn接合面62aに接触して配置されているので、正孔をより速やかに排出することができる。半導体装置11では、なだれ降伏による破壊がより抑制される。
半導体装置11では、ゲート絶縁膜66の一部が正孔選択通過膜54に置き換わっている。このため、半導体装置11がオン・オフ動作を繰返すうちに、正孔の一部が正孔選択通過膜54に蓄積し、ゲート閾値が変動するという事態が生じ得る。このような影響を抑えるために、図7に示されるように、正孔選択通過膜54が半導体層30の表面に接触する第4領域52が、y軸方向に沿って分散配置されているのが望ましい。ゲート電極68が第1正孔排出用電極を兼用させながら、ゲート閾値が変動してしまう事象を抑えることができる。
図8に、横型のHEMT(High Electron Mobility Transistor)である半導体装置12の要部断面図を模式的に示す。
半導体装置12は、サファイアである基板120と、その基板120上に設けられている半導体層130を備えている。半導体層130は、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)技術を利用して、基板120の表面に形成されている。半導体層130は、基板120上に設けられている窒化ガリウム(GaN)のp型層132と、p型層132上に設けられている窒化ガリウム(GaN)の半導体下層134と、半導体下層134上に設けられている窒化ガリウムアルミニウム(AlGaN)の半導体上層136を備えている。半導体下層134と半導体上層136は、ヘテロ接合層138を構成している。p型層132は、不純物としてマグネシウム(Mg)を含んでおり、p型である。一例では、p型層132の不純物濃度は1×1019cm-3である。半導体下層134は、不純物を実質的に含んでいないi型である。半導体上層136は、不純物を実質的に含んでいないi型である。半導体上層136は、半導体下層134よりもバンドギャップが広い材料で形成されている。このため、半導体下層134と半導体上層136の間には、ヘテロ接合面が形成されている。
ヘテロ接合層138は、表層部に形成されているドレイン領域142とソース領域172を備えている。ドレイン領域142とソース領域172は、イオン注入技術を利用して、半導体層130の表層部に不純物を導入して形成されている。ドレイン領域142とソース領域172は、不純物としてシリコン(Si)を含んでおり、n型である。一例では、ドレイン領域142の不純物濃度は5×1020cm-3である。一例では、ソース領域172の不純物濃度は5×1020cm-3である。
半導体装置12はさらに、半導体層130の表面に設けられたドレイン電極148、第1正孔排出用電極156、ゲート電極168、ソース電極176及び第2正孔排出用電極184を備えている。これらの電極はいずれも、半導体層130の表面をy軸方向に沿って伸びて配設されており、x軸方向に間隔を置いてストライプ状に配置されている。
ドレイン電極148は、半導体層130の表面の一部である第1領域147を介してドレイン領域142にオーミック接触している。一例では、ドレイン電極148の材料にアルミニウム(Al)が用いられている。ドレイン電極148は、図示しない電源の高圧側に接続されており、正電圧が印加されている。
ソース電極176は、半導体層130の表面の一部である第2領域174を介してソース領域172にオーミック接触している。一例では、ソース電極176の材料にアルミニウム(Al)が用いられている。ソース電極176は、図示しない電源の低圧側に接続されており、一例では接地電圧が印加されている。
ゲート電極168は、ドレイン電極148とソース電極176の間に設けられており、半導体層130の表面の一部である第3領域164にゲート絶縁膜166を介して対向している。一例では、ゲート電極168の材料にアルミニウム(Al)が用いられている。ゲート電極168は、図示しないゲート制御回路に接続されており、ゲート制御電圧が入力する。ゲート絶縁膜166の材料には酸化シリコン(SiO)が用いられている。
第1正孔排出用電極156は、ゲート電極168とドレイン電極148の間に設けられており、半導体層130の表面の一部である第4領域152に正孔選択通過膜154を介して対向している。第1正孔排出用電極156は、素子内部10Aに設けられていることを特徴としている。一例では、第1正孔排出用電極156の材料にアルミニウム(Al)が用いられている。第1正孔排出用電極156には、半導体層130の表面の一部である第4領域152の電位以下の電位となるような電圧が印加されている。一例では、第1正孔排出用電極156には固定電位が印加されており、好ましくはドレイン電圧よりも小さい正の固定電位、より好ましくはゲート制御電圧よりも小さい正の固定電位が印加されている。なお一層好ましくは、第1正孔排出用電極156に接地電位が印加されるのが望ましい。また、第1正孔排出用電極156には、ゲート制御電圧に同期する電圧が印加されてもよい。一例では、第1正孔排出用電極156には、ゲート制御電圧が印加されてもよい。正孔選択通過膜154は、第1正孔排出用電極156と半導体層130の表面の一部である第4領域152の間に設けられている。一例では、正孔選択通過膜154の材料には、窒化シリコン(Si)が用いられている。
第2正孔排出用電極184は、素子外部10Bに配置されており、半導体層130の表面の一部である第5領域182を介してp型層132にオーミック接触している。一例では、第2正孔排出用電極184の材料にニッケル(Ni)が用いられている。第2正孔排出用電極184には、半導体層130の表面の一部である第5領域182の電位以下の電位となるような電圧が印加されている。一例では、第2正孔排出用電極184には固定電位が印加されており、好ましくは接地電圧が印加されるのが望ましい。
次に、半導体装置12の動作を説明する。半導体下層134と半導体上層136の間のヘテロ接合面近傍には、2次元電子ガス層が発生しており、半導体装置12はノーマリオンで動作する。ドレイン電極148に正電圧が印加されているとともにソース電極176に接地電圧が印加された状態で、ゲート電極168に接地電圧が印加されると、半導体装置10がオンする。半導体装置10がオンすると、ソース領域172から注入された電子は、ヘテロ接合面近傍の2次元電子ガスを経由してドレイン領域142に向けて流れる。正孔選択通過膜154は電子に対してエネルギー障壁を形成するので、2次元電子ガス層を流れる電流は、正孔選択通過膜154を通過して第1正孔排出用電極156に流れ込むことがない。素子内部10Aに第1正孔排出用電極156が設けられていたとしても、半導体装置12のオン動作を妨げることがない。
一方、2次元電子層を流れる電子は高速であり、原子核に衝突し、多量の正孔が発生することがある。この発生した正孔を速やかに排出しなければ、素子が破壊されるという事態が生じてしまう。半導体装置12では、素子内部10Aに第1正孔排出用電極156が設けられている。このため、素子内部10Aで発生した正孔は、正孔選択通過膜154を介して第1正孔排出用電極156に速やかに排出される。この結果、半導体装置12は、破壊が抑制される。
ゲート電極168に印加されている接地電圧が負電圧に切換わると、ゲート電極168が対向するヘテロ接合面の2次元電子ガス層が消失し、半導体装置12がオフする。このように、半導体装置12では、第1正孔排出用電極156が素子内部10Aに設けられていても、オン・オフ動作が妨げられることなく、耐圧が改善される。
半導体装置12では、オン・オフ動作を繰返すうちに、正孔の一部が正孔選択通過膜154に蓄積し、2次元電子ガス層の電子密度に影響を及ぼすという事態が生じ得る。このような影響を抑えるために、正孔選択通過膜154がヘテロ接合層138の表面に接触する第4領域152が、y軸方向に沿って分散配置されているのが望ましい。電子密度に影響を及ぼすという事態を抑制することができる。
(第2実施例の変形例)
図9に、変形例の半導体装置13の要部断面図を模式的に示す。半導体装置13は、ゲート電極168が、第1正孔排出用電極を兼用しており、ゲート電極168と第1正孔排出用電極が一体で形成されていることを特徴としている。
半導体装置13では、ゲート電極168が第1正孔排出用電極を兼用しているので、ゲート絶縁膜166の一部が正孔選択通過膜154に置き換わっている。このため、正孔の一部が正孔選択通過膜154に蓄積すると、ゲート閾値が変動するという事態が生じ得る。この影響を抑えるために、正孔選択通過膜154がヘテロ接合層138の表面に接触する第4領域152が、y軸方向に沿って分散配置されているのが望ましい。ゲート電極168が第1正孔排出用電極を兼用させながら、ゲート閾値が変動してしまう事象を抑えることができる。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
10A:素子内部
10B:素子外部
20,120:基板
30,130:半導体層
46,146:第1半導体領域
47,147:第1領域
48,148:ドレイン電極
52,152:第4領域
54,154:正孔選択通過膜
56,156:正孔排出用電極
62,162:第3半導体領域(ボディ領域)
64,164:第3領域
68,168:ゲート電極
72,172:第2半導体領域(ソース領域)
74,174:第2領域
76,176:ソース電極

Claims (3)

  1. 半導体層と、
    前記半導体層の第1領域に接触する第1主電極と、
    前記半導体層の第1領域とは異なる第2領域に接触する第2主電極と、
    第1主電極と第2主電極の間に設けられており、前記半導体層の第1領域及び第2領域とは異なる第3領域に対向するゲート電極と、
    ゲート電極と第1主電極との間に設けられており、前記半導体層の第1領域、第2領域及び第3領域とは異なる第4領域に対向する正孔排出用電極と、
    正孔排出電極と前記半導体層の第4領域の間に設けられている正孔選択通過膜と、を備えており、
    正孔選択通過膜は、伝導帯のエネルギレベルが前記半導体層の伝導帯のエネルギレベルよりも高く、価電子帯のエネルギレベルが前記半導体層の価電子帯のエネルギレベルよりも高く、
    第1領域、第2領域、第3領域及び第4領域は、前記半導体層の主面の一部であり、
    前記半導体層は、
    表層部に設けられており、第1主電極に第1領域を介して接触する第1導電型の第1半導体領域と、
    表層部に設けられており、第2主電極に第2領域を介して接触する第1導電型の第2半導体領域と、
    表層部に設けられており、ゲート電極に第3領域を介して対向しており、第1半導体領域と第2半導体領域の間に設けられている第2導電型の第3半導体領域とを有しており、
    第4領域の少なくとも一部は、第3半導体領域に位置しており、
    正孔選択通過膜は、第3半導体領域に接触する半導体装置。
  2. 第4領域が分散して配置されている請求項1に記載の半導体装置。
  3. 第4領域は、第1主電極と第2主電極を結ぶ方向に対して直交する方向に分散して配置されている請求項2に記載の半導体装置。
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