<A:駆動の原理>
本発明の具体的な形態の説明に先立って、各形態にて画素回路の駆動に利用される原理を説明する。図1に示すように、給電線16と給電線18とを連結する経路上にNチャネル型の駆動トランジスタTDRと容量CE(容量値cp1)とが直列に配置された回路を想定する。
給電線16には電位VELが供給され、給電線18には電位VCT(VCT<VEL)が供給される。駆動トランジスタTDRのドレインは給電線16に接続され、容量CEは駆動トランジスタTDRのソースと給電線18との間に介在する。駆動トランジスタTDRのゲートとソースとの間には保持容量CST(容量値cp2)が介在する。したがって、駆動トランジスタTDRのゲートの電位VGとソースの電位VSとの差分の電圧VGS(VGS=VG−VS)が保持容量CSTの両端間に印加される。
駆動トランジスタTDRのゲートには駆動信号Xが供給される。駆動信号Xの電位VXは、図2に示すように経時的に変化する。図2においては、電位VXが所定の時間変化率RX(RX=dVX/dt)で直線的に上昇する場合が例示されている。また、図2には、駆動トランジスタTDRの電気的な特性(例えば移動度や閾値電圧)が特性Paである場合と特性Pbである場合との各々についてソースの電位VSの時間的な変化が併記されている。
駆動信号Xの供給で駆動トランジスタTDRのゲートの電位VG(電位VX)が上昇し、駆動トランジスタTDRのゲート−ソース間の電圧VGSが駆動トランジスタTDRの閾値電圧VTHを上回ると、駆動トランジスタTDRのドレイン−ソース間には電流IDSが流れる。電流IDSは以下の数式(1)で表現される。数式(1)のμは駆動トランジスタTDRの移動度である。また、W/Lは、駆動トランジスタTDRのチャネル長Lに対するチャネル幅Wの相対比であり、Coxは、駆動トランジスタTDRのゲート絶縁膜の単位面積毎の容量値である。
IDS=1/2・μ・W/L・Cox・(VGS−VTH)2 ……(1)
一方、駆動トランジスタTDRに電流IDSが流れると容量CEおよび保持容量CSTに電荷が充電されるから、図2のように駆動トランジスタTDRのソースの電位VSは時間変化率RS(RS=dVS/dt)で経時的に変化する。電流IDSと駆動トランジスタTDRのソースの電位VSとの間には以下の数式(2)の関係が成立する。
IDS=dQ/dt
=cp2・(dVS/dt−dVX/dt)+cp1・dVS/dt ……(2)
図2の部分aのように、駆動トランジスタTDRのソースの電位VSの時間変化率(すなわち、時間tに対する電位VSの勾配)RSが駆動信号Xの電位VXの時間変化率RXを下回る場合、駆動トランジスタTDRのゲート−ソース間の電圧VGSは経時的に増加する。数式(1)が示すように、電圧VGSが増加すると電流IDSは増加する。そして、数式(2)から理解されるように、電流IDSが増加すると時間変化率RSも増加する。すなわち、時間変化率RSが時間変化率RXを下回ると時間変化率RSは増加する。
一方、図2の部分bのように、駆動信号Xの電位VXの時間変化率RXがソースの電位VSの時間変化率RSを下回る場合、ゲート−ソース間の電圧VGSは経時的に減少するから、数式(1)から理解されるように電流IDSは減少する。電流IDSが減少すると時間変化率RSは減少する。すなわち、時間変化率RSが時間変化率RXを上回ると時間変化率RSは減少する。
以上のように、駆動トランジスタTDRのソースの電位VSの時間変化率RSは、駆動トランジスタTDRの特性に拘わらず(すなわち、特性Paおよび特性Pbの何れであっても)、駆動信号Xの電位VXの時間変化率RXに経時的に接近し、最終的には時間変化率RXに到達する。時間変化率RSが時間変化率RXに合致した状態(以下「平衡状態」という)は、駆動信号Xの電位VXの上昇に起因した電圧VGSの増加と電流IDSによる充電に起因した電圧VGSの減少とが平衡した状態とも表現できる。
平衡状態では時間変化率RSと時間変化率RXとが合致する(RS=dVS/dt=RX=dVX/dt)から、数式(2)は以下の数式(3)に変形される。すなわち、駆動トランジスタTDRに流れる電流IDSは、駆動信号Xの電位VXの時間変化率RXに比例する。さらに詳述すると、電流IDSは、容量CEの容量値cp1および電位VXの時間変化率RXのみに応じて決定され、駆動トランジスタTDRの移動度μや閾値電圧VTHには依存しない。
IDS=cp2・(dVS/dt−dVX/dt)+cp1・dVS/dt
=cp2・(dVX/dt−dVX/dt)+cp1・dVX/dt
=cp1・RX ……(3)
駆動トランジスタTDRのゲート−ソース間の電圧VGSは、移動度μや閾値電圧VTHに依存しない数式(3)の電流IDSが駆動トランジスタTDRを流れるのに必要な電圧(すなわち、数式(3)の電流IDSに対して数式(1)の関係を満たす電圧VGS)に、自身の移動度μや閾値電圧VTHに応じて自動的に設定される。例えば、駆動トランジスタTDRの特性が図2の特性Paである場合には電圧VGSが電圧Vaに設定され、駆動トランジスタTDRの特性が図2の特性Pbである場合には電圧VGSが電圧Vbに設定される。平衡状態においては、特性Paおよび特性Pbの何れの場合でも、容量値cp1および時間変化率RXのみに応じた共通の電流IDSが駆動トランジスタTDRに流れる。
以上の方法で設定されたゲート−ソース間の電圧VGSが保持容量CSTに保持されることで、駆動トランジスタTDRには、駆動信号X(電位VX)の供給の停止後も継続的に電流IDSが流れる。以下に例示する各形態では、発光素子の駆動用の電流(以下「駆動電流」という)IDRとして電流IDSを利用する。数式(3)を参照して説明したように電流IDSは駆動トランジスタTDRの特性(移動度μや閾値電圧VTH)に依存しないから、駆動トランジスタTDRの特性に起因した駆動電流IDRの誤差(さらには発光素子の輝度の誤差)を補償することが可能である。一方、駆動電流IDR(電流IDS)は駆動信号Xの電位VXの時間変化率RXに応じて決定されるから、駆動信号Xの時間変化率RXを制御することで駆動電流IDRの電流量(さらには発光素子の輝度)を可変に設定することが可能である。
<B:第1実施形態>
<B−1:発光装置の構成および動作>
図3は、本発明の第1実施形態に係る発光装置のブロック図である。発光装置100は、画像を表示する表示装置として電子機器に搭載される。図3に示すように、発光装置100は、複数の画素回路Uが配列された素子部10と、各画素回路Uを駆動する駆動回路30とを具備する。駆動回路30は、走査線駆動回路32と信号線駆動回路34とを含んで構成される。駆動回路30は、例えば複数の集積回路に分散して実装される。ただし、駆動回路30の少なくとも一部は、画素回路Uとともに基板上に形成された薄膜トランジスタで構成され得る。
素子部10には、X方向に延在するm本の走査線12と、X方向に交差するY方向に延在するn本の信号線14とが形成される(m,nは自然数)。複数の画素回路Uは、各走査線12と各信号線14との交差に配置されて縦m行×横n列の行列状に配列する。走査線駆動回路32は、走査信号GA[1]〜GA[m]を各走査線12に出力する。信号線駆動回路34は、各画素回路Uに指定される階調(以下「指定階調」という)Dに応じた駆動信号X(X[1]〜X[n])各信号線14に出力する。
図4は、画素回路Uの回路図である。図4においては、第i行(i=1〜m)の第j列目(j=1〜n)に位置する1個の画素回路Uのみが代表的に図示されている。図4に示すように、画素回路Uは、発光素子Eと駆動トランジスタTDRと保持容量CSTと選択スイッチTSLとを含んで構成される。
発光素子Eと駆動トランジスタTDRとは、給電線16(電位VEL)と給電線18(電位VCT)とを連結する経路上に直列に配置される。発光素子Eは、相対向する陽極と陰極との間に有機EL(Electroluminescence)材料の発光層を介在させた有機EL素子である。図4に示すように、発光素子Eには図1の容量CE(容量値cp1)が付随する。
駆動トランジスタTDRは、給電線16にドレインが接続されるとともにソースが発光素子Eの陽極に接続されたNチャネル型のトランジスタ(例えば薄膜トランジスタ)である。保持容量CST(容量値cp2)は、駆動トランジスタTDRのソース(すなわち、発光素子Eと駆動トランジスタTDRとの間の経路)と駆動トランジスタTDRのゲートとの間に介在する。
選択スイッチTSLは、信号線14と駆動トランジスタTDRのゲートとの間に介在して両者間の電気的な接続(導通/非導通)を制御する。図4に示すように、例えばNチャネル型のトランジスタ(薄膜トランジスタ)が選択スイッチTSLとして好適に採用される。第i行に属するn個の画素回路Uの各々の選択スイッチTSLのゲートは第i行の走査線12に対して共通に接続される。
次に、図5を参照して、第i行の第j列目に位置する画素回路Uに着目しながら駆動回路30の動作(画素回路Uの駆動方法)を説明する。走査線駆動回路32は、垂直走査期間内のm個の単位期間H(H[1]〜H[m])の各々において走査信号GA[1]〜GA[m]を順番に選択電位VSL(アクティブレベル)に設定することで各走査線12(各行のn個の画素回路Uの集合)を順次に選択する。図5に示すように、走査信号GA[i]は、垂直走査期間内の第i番目の単位期間H[i]に選択電位VSLの選択パルスPSLが配置された電圧信号である。選択パルスPSL(選択電位VSL)は走査線12の選択を意味する。走査信号GA[i]が選択電位VSLに遷移すると(すなわち選択パルスPSLが供給されると)、第i行に属するn個の画素回路Uの各々の選択スイッチTSLが一斉にオン状態に変化する。
信号線駆動回路34は、単位期間Hを周期として電位VXが経時的に変化する駆動信号X[1]〜X[n]を生成して各信号線14に出力する。駆動信号X[1]〜X[n]の各々の電位VXは、単位期間Hの始点tsにて基準電位VRSに設定されるとともに単位期間Hの始点tsから終点teにかけて時間変化率RX(RX=dVX/dt)で直線的に上昇する。すなわち、駆動信号X[1]〜X[n]は、単位期間Hを周期とするランプ波形(鋸歯状波形)の電圧信号である。
第i行の走査線12が選択される単位期間H[i]において第j列の信号線14に供給される駆動信号X[j]の電位VXの時間変化率RX[i,j]は、第i行の第j列目に位置する画素回路Uの指定階調Dに応じて可変に設定される。さらに詳述すると、図6の例示のように、画素回路Uの指定階調Dが高い(発光素子Eに供給されるべき駆動電流IDRが大きい)ほど、単位期間H[i]における駆動信号X[j]の電位VXの時間変化率RX[i,j]は高い数値に設定される。すなわち、画素回路Uの指定階調Dが高いほど、時間軸に対する電位VXの勾配が急峻となる。
例えば、指定階調Dが最低階調DMIN(発光素子Eに駆動電流IDRが供給されない黒表示)である場合、駆動信号X[j]の電位VXの時間変化率RX[i,j]は最小値r_min(ゼロ)に設定される。すなわち、単位期間H[i]内で駆動信号X[j]の電位VXは変化しない。一方、指定階調Dが最高階調DMAX(白表示)である場合、駆動信号X[j]の電位VXの時間変化率RX[i,j]は最大値r_maxに設定される。また、中間調DHが指定された場合の時間変化率RX[i,j]の設定値r_Hは、中間調DHよりも低い中間調DLが指定された場合の時間変化率RX[i,j]の設定値r_Lを上回る。
最高階調DMAXに対応する時間変化率RX[i,j]の最大値r_maxは、駆動信号X[j]の電位VXと選択パルスPSLの選択電位VSLとの差分(選択スイッチTSLのゲート−ソース間の電圧)が、単位期間H[i]の終点teにて選択スイッチTSLの閾値電圧VTH_SLを上回るように設定される。すなわち、図6に示すように、指定階調Dが最低階調DMINから最高階調DMAXまでの何れの階調であっても、単位期間H[i]の終点teにおける駆動信号X[j]の電位VXは、選択電位VSLよりも閾値電圧VTH_SLだけ低い電位VOFFを下回る。したがって、選択スイッチTSLは、指定階調Dに拘わらず、単位期間H[i]の終点te(選択パルスPSLの後縁)が到来することでオフ状態に遷移する。
走査線駆動回路32から走査信号GA[i]の選択パルスPSLが供給されることで第i行の各画素回路Uの選択スイッチTSLがオン状態に変化すると、駆動トランジスタTDRのゲートが信号線14に導通する。したがって、第i行の第j列目に位置する画素回路Uの駆動トランジスタTDRのゲートには図1の例示と同様に駆動信号X[j]が供給され、図5に示すように、当該画素回路Uの指摘階調Dに応じた時間変化率RX[i,j]で駆動トランジスタTDRのゲートの電位VGが経時的に上昇する。一方、電位VGの変動に応じた電流IDSが駆動トランジスタTDRのドレイン−ソース間に流れることでソースの電位VSは経時的に上昇する。そして、電位VSの時間変化率RS(RS=dVS/dt)が駆動信号X[j]の電位VXの時間変化率RX[i,j]に合致する平衡状態に到達すると、容量CEの容量値cp1および時間変化率RX[i,j]のみに依存する電流IDSが単位期間H[i]の終点teまで駆動トランジスタTDRを流れる。
単位期間H[i]の終点teにて選択パルスPSLの供給が終了すると(すなわち、走査信号GA[i]が選択電位VSLから立下がると)、選択スイッチTSLがオフ状態に変化することで駆動トランジスタTDRのゲートに対する駆動信号X[j]の供給が停止する。図5に示すように、保持容量CSTには、駆動信号X[j]の供給が停止した時点で駆動トランジスタTDRを流れていた電流IDSに対応する電圧VSETが保持される。すなわち、電圧VSETは、容量CEの容量値cp1と時間変化率RX[i,j]とで決定される(すなわち駆動トランジスタTDRの移動度μや閾値電圧VTHに依存しない)数式(3)の電流IDSを駆動トランジスタTDRに流すために必要なゲート−ソース間の電圧VGSである。
保持容量CSTに電圧VSETが保持されることで、駆動トランジスタTDRのドレイン−ソース間には駆動信号X[j]の供給の停止後も電流IDSが流れる。したがって、駆動トランジスタTDRのソースの電位VSは経時的に上昇する。一方、選択スイッチTSLがオフ状態に遷移すると、駆動トランジスタTDRのゲートは電気的なフローティング状態となる。したがって、図5に示すように、駆動トランジスタTDRのゲートの電位VGはソースの電位VSに連動して上昇する。すなわち、駆動トランジスタTDRのゲート−ソース間の電圧VGSが単位期間H[i]にて設定された電圧VSETに維持されたまま、容量CEの両端間の電圧(駆動トランジスタTDRのソースの電位VS)が徐々に増加する。そして、容量CEの両端間の電圧が発光素子Eの閾値電圧VTH_OLEDに到達すると、電圧VSETに対応する電流IDSが駆動電流IDRとして発光素子Eを流れる。発光素子Eは、駆動電流IDRの電流量に応じた輝度(指定階調D)で発光する。
駆動電流IDRは、駆動信号X[j]の供給の停止時に駆動トランジスタTDRを流れていた電流IDSと略同等の電流量に維持される。電流IDSは、指定階調Dに応じて可変に設定された時間変化率RX[i,j]に依存するから(数式(3))、発光素子Eには指定階調Dに応じた電流量の駆動電流IDRが供給される。以上のように、第i行の第j列目に位置する画素回路Uの発光素子Eには、単位期間H[i]における駆動信号X[j]の電位VXの時間変化率RX[i,j](指定階調D)に対応した駆動電流IDRが、当該単位期間H[i]の経過後に供給される。
例えば、最低階調DMINが指定された場合の時間変化率RX[i,j]は最小値r_min(ゼロ)に設定されるから、駆動電流IDRの電流量がゼロに設定されることで発光素子Eは最低階調(黒表示)に制御される。駆動信号X[j]の時間変化率RX[i,j]が中間調D_Hに対応する設定値r_Hに設定された場合の駆動電流IDRの電流量(発光素子Eの階調)は、時間変化率RX[i,j]が中間調D_Lに対応する設定値r_L(r_L<r_H)に設定された場合の駆動電流IDRの電流量を上回る。また、最高階調DMAXが指定された場合の時間変化率RX[i,j]は最大値r_maxに設定されるから、駆動電流IDRの電流量は最大値に設定されることで発光素子Eは最高階調(白表示)に制御される。駆動電流IDRの供給は、次回に第i行の走査線12が選択される単位期間H[i]にて保持容量CSTの両端間の電圧VSETが更新されるまで継続される。
以上の形態においては、駆動信号X[j]の電位VXの時間変化率RX[i,j]に応じた電流IDS(駆動トランジスタTDRの移動度μや閾値電圧VTHに依存しない電流)が駆動トランジスタTDRを流れるように保持容量CSTの両端間の電圧VSETが設定されるから、各画素回路Uの指定階調Dに拘わらず、駆動トランジスタTDRの特性(移動度μや閾値電圧VTH)に起因した駆動電流IDRの誤差(ひいては発光素子Eの輝度の誤差)を抑制することが可能である。したがって、例えば、素子部10に表示される画像の階調のムラが抑制されるという利点がある。
<B−2:信号線駆動回路34の構成>
図7は、信号線駆動回路34のブロック図である。信号線駆動回路34は、電位生成回路52と、信号線14の総数(画素回路Uの列数)に相当するn個の信号生成回路54とを含んで構成される。電位生成回路52は、画素回路Uに指定される指定階調Dの総数(種類数)に相当するk種類の電位VD(VD[1]〜VD[k])を生成する。例えば図7に示すように、相互に直列に接続された複数の抵抗で所定の電圧VREFを分圧するラダー抵抗回路が電位生成回路52として好適である。k種類の電位VD[1]〜VD[k]はn個の信号生成回路54に対して共通に供給される。
第j段目の信号生成回路54は駆動信号X[j]を生成して第j列の信号線14に出力する。図7に示すように、各信号生成回路54は、電位選択部62と電流生成部64と波形生成部66とを含んで構成される。第j段目の信号生成回路54の電位選択部62は、電位生成回路52が生成したk種類の電位VD[1]〜VD[k]のうち第j列の各画素回路Uの指定階調Dに対応する電位VDを単位期間H毎に選択する。指定階調Dが高いほど電位選択部62は低い電位VDを選択する。
電流生成部64は、電位選択部62が選択した電位VDに応じた電流Iを生成する定電流源である。電流生成部64は、例えば抵抗(抵抗値R0)641とオペアンプ643とトランジスタ645とを組合せた回路で実現される。電圧VREFが供給される配線とトランジスタ645のソースとの間に抵抗641が介在する。トランジスタ645のソースはオペアンプ643の反転入力端(-)に接続され、ゲートはオペアンプ643の出力端に接続される。電位選択部62が選択した電位VDはオペアンプ643の非反転入力端(+)に供給される。以上の構成において、トランジスタ645は、電位選択部62が選択した電位VDと自身のソースの電位とが略同等となるように電流I(I=(VREF−VD)/R0)を生成する。
波形生成部66は、容量素子661とスイッチ663とバッファ665とを含んで構成される。容量素子661(容量値C0)は、トランジスタ645のドレインに接続された電極eAと、基準電位VRSが供給される配線に接続された電極eBとで構成される。電極eAと電極eBとの間にスイッチ663が介在し、電極eAと第j列の信号線14との間にバッファ665が介在する。
以上の構成において、単位期間H[i]の始点tsにてスイッチ663が瞬間的に導通することで容量素子の電極eAの電位は基準電位VRSに初期化される。そして、電流生成部64からの電流Iの供給による容量素子661の充電に連動して電極eAの電位は基準電位VRSから経時的に上昇する。電極eAの電位に応じてバッファ665から出力される電位VXが駆動信号X[j]として信号線14に供給される。したがって、駆動信号X[j]の電位VXは、以下の数式(4)の時間変化率RX(dVX/dt)で変化する。電位選択部62は指定階調Dに応じて数式(4)の電位VDを選択するから、駆動信号X[j]の電位VXの時間変化率RXは、図6を参照して説明したように指定階調Dに応じて可変に設定される。
RX=dVX/dt=(VREF−VD)/R0/C0 ……(4)
なお、図8に示すように、指定階調Dの総数に相当するk種類の信号x(x[1]〜x[k])のうち指定階調Dに応じて選択した1種類の信号xを駆動信号X[j]として信号線14に出力する構成も採用される。図8の信号線駆動回路34は、電位生成回路52と、指定階調Dの種類数に相当するk個の信号生成回路55と、信号線14の総数に相当するn個の選択部56とを含んで構成される。信号生成回路55は、図7の信号生成回路54から電位選択部62を省略した構成である。信号生成回路55の電流生成部64におけるオペアンプ643の非反転入力端(+)には、電位生成回路52が生成したk種類の電位VD[1]〜VD[k]の何れかが供給される。
以上の構成において、各信号生成回路55における波形生成部66のバッファ665は、電位生成回路52から当該信号生成回路55に供給される電位VDに応じた時間変化率で単位期間H毎に電位が変化する信号x(x[1]〜x[k])を出力する。第j番目の選択部56は、各信号生成回路55が生成したk種類の信号x(x[1]〜x[k])のうち第j列目の画素回路Uの指定階調Dに応じた信号xを単位期間H毎に駆動信号X[j]として選択して第j列の信号線14に出力する。したがって、駆動信号X[j]の電位VXの時間変化率RXは、図6を参照して説明したように指定階調Dに応じて可変に設定される。
なお、図7や図8に例示した信号線駆動回路34が出力する駆動信号X[j]の電位VXは、図9に示すように、電位生成回路52や電流生成部64にて使用される電圧VREFに応じた所定値VX_maxを下回る範囲内で変化する。すなわち、図9に示すように、単位期間H[i]内で電位VXが上昇して所定値VX_maxに接近するほど時間変化率RXは低下する。駆動電流IDRの電流量は、駆動信号X[j]の供給の停止時(単位期間H[i]の終点te)における電位VXの時間変化率RXに応じて決定されるから、所定値VX_maxへの接近に起因して時間変化率RXが低下し始める時点taの経過後に選択スイッチTSLがオフ状態に遷移する構成では、発光素子Eの実際の階調が指定階調Dを下回るという問題が発生する。指定階調Dが高いほど電位VXの上昇量が増加する(すなわち所定値VX_maxに接近し易い)から、階調の不足は高階調側で特に深刻となる。電位VXの上限値VX_maxが充分に高い電位となるように信号線駆動回路34を構成することも可能ではあるが、信号線駆動回路34に高い耐圧性能が要求される(ひいては信号線駆動回路34のコストが増大する)という問題がある。
以上の問題を解決する観点から、図9に示すように、駆動信号X[j]の時間変化率RXが低下し始める時点taの手前の時点tbにて選択スイッチTSLがオフ状態に遷移するように単位期間Hの終点te(選択パルスPSLの後縁)を選定した構成が好適に採用される。以上の構成によれば、駆動信号X[j]の供給の停止時における電位VXの時間変化率RXが指定階調Dに応じて正確に設定されるから、発光素子Eの階調を高精度に制御できるという利点がある。
<C:駆動信号X[j]の波形の具体例>
図6の例示のように、単位期間H[i]の始点tsから駆動信号X[j]の電位VXを継続的に上昇させ、かつ、指定階調Dに拘わらず単位期間H[i]の終点teにて選択スイッチTSLをオフ状態に制御するという条件のもとで、駆動信号X[j]の電位VXを高い時間変化率RXで変化させる場合(すなわち、駆動電流IDRの電流量を充分に確保する場合)、駆動信号X[j]の電位VXを単位期間H[i]の終点teにて非常に高い電位に設定する必要がある。したがって、信号線駆動回路34に高い耐圧性能が要求される。また、各単位期間H[i]の終点teまで選択スイッチTSLをオン状態に維持するためには、単位期間H[i]の終点teにおける駆動信号X[j]の電位VXよりも選択スイッチTSLの閾値電圧VTH_SLだけ高い電圧を上回るように選択パルスPSLの選択電位VSLを設定する必要があるから、走査線駆動回路32にも高い耐圧性能が要求される。以上の事情を考慮して、駆動信号X[j]の振幅を低減する(したがって、走査線駆動回路32や信号線駆動回路34に要求される耐圧性能を低減する)ための構成を第2実施形態から第4実施形態として以下に例示する。
第2実施形態から第4実施形態の説明に先立って、駆動信号X[j]の電位VXの時間変化率RXと、駆動トランジスタTDRのソースの電位VSが平衡状態に到達する(すなわち電位VSの時間変化率RSが駆動信号X[j]の時間変化率RXに収束する)までの時間との相関を検討する。
図10および図11は、駆動信号Xの電位VXの時間変化率RXと駆動トランジスタTDRのドレイン−ソース間の電流IDSとの相関を示すグラフである。図10の部分(A)は、図10の部分(B)のように、高目の中間調DHに対応した時間変化率RX(r_H)で電位VXを変化させた場合の電流IDSの時間的な変化を示す。一方、図11の部分(A)は、図11の部分(B)のように、低目の中間調DLに対応した時間変化率RX(r_L)で電位VXを変化させた場合の電流IDSの時間的な変化を示す。図10および図11の何れにおいても、電位VXが変化し始めた時点(グラフの左端)では、駆動トランジスタTDRのゲート−ソース間の電圧VGSを閾値電圧VTHの付近の電圧に設定した。したがって、電位VXを変化させ始めた時点の電流IDSはゼロである。
数式(3)から理解されるように、電流IDSの電流量は、駆動信号X[j]の電位VXの変化の開始後に駆動トランジスタTDRのソースの電位VSが平衡状態に到達することで、駆動信号X[j]の時間変化率RXに対応した所定値に安定する。図10の部分(A)と図11の部分(A)とを対比すると、時間変化率RXが低いほど、平衡状態に到達するまでに必要な時間Δtが長いという傾向が把握される。以上の傾向を踏まえて第2実施形態から第4実施形態を説明する。
<C−1:第2実施形態>
図12は、本発明の第2実施形態における駆動信号X[j]の単位期間H[i]内の波形図である。図12に示すように、最低階調DMINや所定値を下回る中間調DLが指定された場合には、第1実施形態と同様に、単位期間H[i]の終点teにおける駆動信号X[j]の電位VXが電位VOFF(選択電位VSLよりも選択スイッチTSLの閾値電圧VTH_SLだけ低い電位)を下回るように、駆動信号X[j]の波形(時間変化率RX)が選定される。したがって、最低階調DMINや中間調DLが指定された場合には、単位期間H[i]の終点te(選択パルスPSLの後縁)にて選択スイッチTSLがオフ状態に変化することで、駆動トランジスタTDRのゲートに対する駆動信号X[j]の供給が停止する。
一方、最高階調DMAXや所定値を上回る中間調DH(DH>DL)が指定された場合に、駆動信号X[j]の電位VXと選択パルスPSLの選択電位VSLとの差分が、単位期間H[i]の途中の時点(選択パルスPSLの後縁よりも手前の時点)にて選択スイッチTSLの閾値電圧VTH_SLを下回るように、信号線駆動回路34は駆動信号X[j]を生成する。すなわち、最高階調DMAXや中間調DH(DH>DL)が指定された場合、駆動信号X[j]の電位VXは、単位期間H[i]の途中の時点にて電位VOFFを上回る。したがって、選択スイッチTSLは、選択パルスPSLの後縁の到来前の時点(単位期間H[i]の途中の時点)にてオフ状態に変化する。
例えば、図12に示すように、最高階調DMAXが指定された場合の駆動信号X[j]の電位VXは、最高階調DMAXに対応した時間変化率RX[i,j](r_max)で単位期間H[i]の始点tsから増加するとともに、単位期間H[i]の途中の時点t_maxにて電位VOFFを上回る。したがって、選択スイッチTSLは時点t_maxにてオン状態からオフ状態に変化する。また、中間調DHが指定された場合、単位期間H[i]の途中の時点t_Hにて駆動信号X[j]の電位VXが電位VOFFを上回ることで選択スイッチTSLはオフ状態に変化する。駆動信号X[j]の電位VXは、電位VOFFを上回る電位VX_Hに到達した以後においては当該電位VX_Hに維持される。なお、図12においては、電位VX_Hが選択電位VSLを上回る場合が例示されている。
単位期間H[i]の始点tsから駆動信号X[j]の電位VXが電位VOFFを上回るまでの時間は、駆動トランジスタTDRが平衡状態に到達するまでに必要な時間Δt(図10および図11)よりも長い時間に設定される。本形態においては、駆動信号X[j]の電位VXを変化させ始める時点tsは指定階調Dに拘わらず共通であり、かつ、指定階調Dが高いほど時間変化率RXは高いから、単位期間H[i]の始点tsから駆動信号X[j]の電位VXが電位VOFFを上回るまでの時間は、時間変化率RXが高いほど短い時間に設定される。図10および図11を参照して説明したように、平衡状態に到達するまでの時間Δtは時間変化率RXが高いほど短いから、図12のように指定階調Dが高いほど駆動信号X[j]の供給の時間が短いとは言っても、駆動トランジスタTDRを確実に平衡状態に到達させる(ソースの電位VSの時間変化率RSを駆動信号X[j]の電位VXの時間変化率RXに合致させる)ことが可能である。
以上の形態においては、駆動信号X[j]の電位VXが選択パルスPSLの選択電位VSLに対して上昇することで選択スイッチTSLがオフ状態に変化して駆動トランジスタTDRのゲートに対する駆動信号X[j]の供給が停止するから、駆動電流IDRの電流量の確保のために駆動信号X[j]の電位VXを高い時間変化率RX(例えば図12におけるr_maxやr_H)で変化させた場合でも、電位VXの最大値は電位VX_Hに抑制される。したがって、指定階調Dに拘わらず選択パルスPSLの後縁で選択スイッチTSLがオフ状態に変化する第1実施形態と比較すると、走査線駆動回路32や信号線駆動回路34に要求される耐圧性能が低減されるという利点がある。
もっとも、指定階調Dに拘わらず駆動信号X[j]の電位VXが単位期間H[i]の終点teにて電位VOFFを下回る第1実施形態においては、選択スイッチTSLがオフ状態に変化する時点が、指定階調Dに拘わらず選択パルスPSLの後縁で規定される。したがって、駆動信号X[j]の電位VXと電位VOFFとの高低に応じて選択スイッチTSLをオフ状態に変化させる第2実施形態と比較して、駆動トランジスタTDRのゲートに対する駆動信号X[j]の供給を停止する時点を正確に制御できるという利点がある。
<C−2:第3実施形態>
図13は、本発明の第3実施形態における駆動信号X[j]の単位期間H[i]内の波形図である。第1実施形態や第2実施形態においては、単位期間H[i]の始点tsにて駆動信号X[j]の電位VXが変化し始める場合を例示したが、本形態においては図13に示すように、単位期間H[i]の始点ts(選択パルスPSLの前縁)から調整時間TAが経過した時点にて駆動信号X[j]の電位VXが基準電位VRSから変化し始める。
調整時間TAは、指定階調Dに応じて可変に設定される。さらに詳述すると、信号線駆動回路34は、図13に示すように、指定階調Dが高いほど調整時間TAが長くなるように駆動信号X[j]を生成する。例えば、中間調DHが指定された場合の調整時間TA_Hは中間調DLが指定された場合の調整時間TA_Lよりも長く、最高階調DMAXが指定された場合の調整時間TAは最大値TA_maxに設定される。図13の波形の駆動信号X[j]は、例えば、図7や図8における波形生成部66のスイッチ663を、単位期間H[i]の始点tsから指定階調Dに応じた調整時間TAが経過した時点までオン状態に維持することで生成される。
単位期間H[i]のうち駆動信号X[j]の電位VXを時間変化率RXで変化させる時間が、駆動トランジスタTDRを平衡状態に設定するまでに必要な時間Δt(図10および図11)を上回るように、調整時間TAは指定階調Dに応じて設定される。したがって、図13から理解されるように、駆動信号X[j]の電位VXが時間変化率RXで変化する時間は指定階調Dに応じて変化する。すなわち、指定階調Dが高いほど電位VXの変化は短い時間に設定される。以上の関係は、平衡状態に到達するまでの時間Δtが時間変化率RXが高いほど短いという図10および図11の傾向と整合する。したがって、指定階調Dが高いほど駆動信号X[j]の供給の時間が短いとは言っても、駆動トランジスタTDRを確実に平衡状態に到達させる(ソースの電位VSの時間変化率RSを駆動信号X[j]の電位VXの時間変化率RXに合致させる)ことが可能である。
以上の形態においては、単位期間H[i]の始点tsから指定階調Dに応じた調整時間TAが経過した時点から駆動信号X[j]の電位VXが変化し始めるから、図13に示すように単位期間H[i]の終点teでの電位VXが抑制される。例えば、駆動電流IDRの電流量を確保するために、駆動信号X[j]の電位VXを、第1実施形態と比較して高い時間変化率RXで変化させた場合でも、第1実施形態と同様に、単位期間H[i]の終点teにおける駆動信号X[j]の電位VXを、電位VOFFを下回る電位に抑制する(したがって、指定階調Dに拘わらず選択スイッチTSLを単位期間H[i]の終点teにてオフ状態に変化させる)ことが可能である。すなわち、指定階調Dに拘わらず単位期間H[i]の始点tsから駆動信号X[j]の電位VXを変化させる第1実施形態と比較すると、走査線駆動回路32や信号線駆動回路34に要求される耐圧性能が低減されるという利点がある。
なお、図13においては、調整時間TAを指定階調Dに応じて可変に設定したが、調整時間TAを指定階調Dに依存しない固定値に設定した構成であっても、駆動信号X[j]の電位VXが単位期間H[i]の始点tsから変化し始める第1実施形態と比較すれば、単位期間H[i]の終点での電位VXを抑制できるという所期の効果は実現される。したがって、調整時間TAを所定値に固定した構成も採用される。ただし、駆動トランジスタTDRが平衡状態に到達するまでに必要な時間Δtは時間変化率RXが高いほど短いという図10および図11の傾向を考慮すると、図13のように調整時間TAを指定階調Dに応じて可変に制御する構成が格別に好適である。
<C−3:第4実施形態>
図14は、本発明の第4実施形態における駆動信号X[j]の単位期間H[i]内の波形図である。第1実施形態から第3実施形態においては、駆動信号X[j]の電位VXを基準電位VRSから連続的に変化させる場合を例示した。本形態においては図14に示すように、駆動信号X[j]の電位VXを基準電位VRSから調整電位VAに変化させたうえで指定階調Dに応じた時間変化率RXで経時的に変化させる。駆動信号X[j]の電位VXが基準電位VRSから調整電位VAに変化する時点は、単位期間H[i]の始点tsから調整時間TAが経過した時点である。調整時間TAは、第3実施形態と同様に、指定階調Dに応じて可変に設定される。
調整電位VAは、指定階調Dに応じて可変に設定される。さらに詳述すると、信号線駆動回路34は、指定階調Dが高いほど調整電位VAが高くなるように駆動信号X[j]を生成する。例えば、図14に示すように、中間調DHが指定された場合の調整電位VA_Hは中間調DL(DL<DH)が指定された場合の調整電位VA_Lよりも高く、最高階調DMAXが指定された場合の調整電位VAは最大値VA_maxに設定される。最低階調DMINが指定された単位期間H[i]にて駆動信号X[j]の電位VXは変化しないから、最低階調DMINに対応する調整電位VAはゼロ(最小値)である。
以上の構成においては、駆動信号X[j]の電位VXを基準電位VRSから調整電位VAに上昇させた時点で駆動トランジスタTDRに数式(2)の電流IDSが流れ始めるから、電位VXを基準電位VRSから連続的に変化させる第1実施形態から第3実施形態と比較すると、単位期間H[i]内で駆動トランジスタTDRが平衡状態に到達するまでの時間が短縮される。さらに詳述すると以下の通りである。
図15には、単位期間H[i]内の時点tA1にて電位VXを基準電位VRSから時間変化率RXで連続的に変化させ始めた場合の駆動信号X[j]および電流IDS(破線)と、時点tA2にて基準電位VRSから調整電位VAに変化させたうえで時間変化率RXで変化させた本形態における駆動信号X[j]および電流IDS(実線)とが図示されている。
図15に破線で示すように、電位VXを基準電位VRSから連続的に変化させた場合、電流IDSは時点tA1から徐々に増加して指定階調Dに応じた目標値Iaに到達する。一方、電位VXを時点tA2にて基準電位VRSから調整電位VAに変化させた場合、時点tA2の直後から目標値Iaに近い電流IDSが流れることで駆動トランジスタTDRは速やかに平衡状態に到達する。以上のように駆動トランジスタTDRが平衡状態に到達するまでの時間が削減されるから、本形態によれば単位期間H[i]を短縮できる(ひいては走査線12の本数を増加して表示画像を高精細化できる)という利点がある。
なお、駆動トランジスタTDRを平衡状態に到達させるためには駆動信号X[j]の電位VXを時間変化率RXで継続的に変化させる必要がある。本形態においては電位VXを調整電位VAに変化させることで駆動トランジスタTDRが速やかに平衡状態に到達するから、駆動信号X[j]の電位VXを時間変化率RXで変化させる時間は短縮される。すなわち、電位VXが過度に高い電位に上昇するまで電位VXの変化を継続しなくても駆動トランジスタTDRは平衡状態に到達する。したがって、駆動信号X[j]の振幅が低減される(ひいては走査線駆動回路32や信号線駆動回路34に要求される耐圧性能が低減される)という利点もある。
図16は、図14の駆動信号X[j]を生成する信号線駆動回路34の部分的な回路図である。図16に示すように、信号線駆動回路34には、図7の信号生成回路54(または図8の信号生成回路55)毎に調整電位選択部681が設置される。指定階調Dの総数に相当するk種類の調整電位VA(VA[1]〜VA[k])と基準電位VRSとが各調整電位生成部681に対して共通に供給される。k種類の調整電位VA(VA[1]〜VA[k])は、例えば、図7の電位生成回路52と同様のラダー抵抗回路で生成される。
調整電位選択部681は、k種類の調整電位VA[1]〜VA[k]の何れかを画素回路Uの指定階調Dに応じて単位期間H毎に選択する。さらに詳述すると、第j列目の信号生成回路54の調整電位選択部681は、単位期間H[i]の始点tsから調整時間TAが経過するまで基準電位VRSを選択し、k種類の調整電位VA[1]〜VA[k]のうち第j列の各画素回路Uの指定階調Dに対応する調整電位VAを調整時間TAの経過時から単位期間H[i]の終点teまで選択する。
調整電位選択部681が選択した基準電位VRSまたは調整電位VAは、バッファ683を介して波形生成部66内の容量素子661の電極eBに供給される。波形生成部66のスイッチ663は、調整電位選択部681が基準電位VRSを選択しているときにオン状態に制御され、調整電位選択部681が調整電位VAを選択しているときにオフ状態に制御される。したがって、駆動信号X[j]の電位VXは、図14の例示のように、単位期間H[i]の始点tsから調整時間TAが経過した時点にて基準電位VRSから調整電位VAに変化し、指定階調Dに応じた時間変化率RXで調整電位VAから経時的に変化する。
なお、図14においては、単位期間H[i]の始点から調整時間TAが経過した時点にて駆動信号X[j]の電位VXを調整電位VAに変化させたが、電位VXを調整電位VAに変化させる時点は適宜に変更される。例えば、指定階調Dに拘わらず共通の時点(例えば単位期間H[i]の始点ts)にて電位VXを基準電位VRSから調整電位VAに変化させる構成も採用される。すなわち、駆動信号X[j]の電位VXを調整電位VAに設定してから時間変化率RXで変化させる構成において、電位VXの変化前に調整時間TAを確保する第3実施形態の構成は必須ではない。
また、図14においては調整電位VAを指定階調Dに応じて可変に設定したが、調整電位VAを指定階調Dに依存しない固定値に設定した場合であっても、駆動トランジスタTDRが平衡状態に到達する時間を短縮できるという所期の効果は実現される。したがって、調整電位VAを指定階調Dに依存しない所定値に設定した構成も採用される。
<C−4:他の形態>
第2実施形態から第4実施形態を適宜に組合せた構成も好適である。例えば、第3実施形態や第4実施形態において、特定の指定階調D(最高階調DMAXや高目の中間調DH)が指定された場合に、第2実施形態と同様に、単位期間H[i]の途中の時点にて駆動信号X[j]の電位VXが電位VOFFを上回る(したがって選択スイッチTSLがオフ状態に遷移する)構成も採用される。
<D:駆動トランジスタTDRのゲート−ソース間の電圧VGSの初期化>
以上の各形態において、駆動信号X[j]の供給で駆動トランジスタTDRを平衡状態に変化させるためには、閾値電圧VTHを上回るようにゲート−ソース間の電圧VGSを設定することで駆動トランジスタTDRに電流IDSを流す必要がある。しかし、ゲート−ソース間の電圧VGSが様々な理由で閾値電圧VTHを下回る場合がある。例えば、発光装置100の電源が投入された直後には電圧VGSが不定の状態にあるから閾値電圧VTHを下回る可能性がある。また、雑音などの外乱の影響で電圧VGSが閾値電圧VTHを下回る可能性もある。
そして、単位期間H[i]の開始の時点における電圧VGSが閾値電圧VTHと比較して低いほど、駆動信号X[j]の供給で電圧VGSが閾値電圧VTHに到達するまでの時間が長くなり、ひいては駆動トランジスタTDRを平衡状態に到達させるために相当の時間が必要となる場合がある。指定階調Dが低い場合には単位期間H[i]内での駆動トランジスタTDRのゲートの電位VGの上昇が少ないから、低階調が指定される場合に以上の問題は特に顕在化し、例えば1個の単位期間H[i]内では駆動トランジスタTDRが平衡状態に到達しない場合も発生し得る。
以下の各形態(第5実施形態から第10実施形態)においては、駆動トランジスタTDRのゲート−ソース間の電圧VGSを所定の電圧に初期化することで、単位期間H[i]の開始後に駆動トランジスタTDRがオン状態に変化するまでの時間(つまり、電圧VGSが閾値電圧VTHを上回るまでの時間)を短縮する構成を例示する。なお、以下では電圧VGSの初期化を第1実施形態に適用した構成を例示するが、同様の構成を第2実施形態から第4実施形態に適用することも当然に可能である。
<D−1:第5実施形態>
図17は、本発明の第5実施形態の動作を示すタイミングチャートである。図17においては、発光装置100の電源が投入された直後に設定された所定の期間(以下「初期化期間」という)PRS1内の動作のみが図示されている。初期化期間PRS1は、各画素回路Uの駆動トランジスタTDRのゲート−ソース間の電圧VGSを初期化するための期間(例えば1個の垂直走査期間)である。初期化期間PRS1の経過後に各画素回路Uの発光素子Eを指定階調Dに応じた階調に駆動する動作は以上の各形態と同様である。
初期化期間PRS1においては、素子部10内の総ての画素回路Uが、最高階調DMAXを指定した場合と同様に駆動される。さらに詳述すると、図17に示すように、走査線駆動回路32は、走査信号GA[1]〜GA[m]を単位期間H毎に順番に選択電位VSLに設定し、信号線駆動回路34は、駆動信号X(X[1]〜X[n])の電位VXを、最高階調DMAXに対応する時間変化率r_maxで単位期間H毎に変化させる。したがって、初期化期間PRS1内の各単位期間Hにおいては、各画素回路Uにおける駆動トランジスタTDRのゲートの電位VGが充分に上昇し、ゲート−ソース間の電圧VGSが閾値電圧VTHを上回ることで駆動トランジスタTDRはオン状態に変化する。すなわち、各画素回路Uの保持容量CSTの両端間の電圧VGSは、駆動トランジスタTDRがオン状態となる電圧に初期化される。
以上のように各画素回路Uの駆動トランジスタTDRが初期化期間PRS1にてオン状態に制御されるから、例えば発光装置100の電源の投入時に駆動トランジスタTDRの電圧VGSが閾値電圧VTHを下回る場合でも、初期化期間PRS1の経過後の各単位期間H(すなわち各画素回路Uを指定階調Dに応じて実際に駆動する段階)では、駆動信号X[j]が供給されることで駆動トランジスタTDRには迅速かつ確実に電流IDSが流れる。したがって、駆動トランジスタTDRを平衡状態に遷移させるための時間が短縮されるという利点がある。
なお、初期化期間PRS1内における駆動信号X(X[1]〜X[n])の時間変化率RXは、最高階調DMAXに対応する最大値r_maxに限定されない。駆動トランジスタTDRのゲートの電位VGを初期化期間PRS1内の単位期間Hにて変化させることで駆動トランジスタTDRがオン状態となるような時間変化率RXが好適に選定される。例えば、最高階調DMAXよりも低い指定階調Dに対応する時間変化率RX(例えば高目の中間調DHに対応する時間変化率r_H)や指定階調Dとは無関係に設定された時間変化率RXで、初期化期間PRS1内における駆動信号Xの電位VXを変化させる構成も採用される。
<D−2:第6実施形態>
図18は、本発明の第6実施形態における初期化期間PRS1内の動作のタイミングチャートである。第5実施形態と同様に、各画素回路Uの駆動トランジスタTDRの電圧VGSを初期化する動作が初期化期間PRS1にて実行され、初期化期間PRS1の経過後には第1実施形態と同様の動作が実行される。初期化期間PRS1は、例えば発光装置100の電源が投入された直後の1個の垂直走査期間である。
図18に示すように、信号線駆動回路34は、各信号線14に出力する駆動信号X(X[1]〜X[n])を初期化期間PRS1内にて基準電位VRSに固定する。一方、給電線16には所定の電位VLが供給される。走査線駆動回路32は、走査信号GA[1]〜GA[m]を初期化期間PRS1内の単位期間H毎に順番に選択電位VSLに設定する。したがって、初期化期間PRS1内の単位期間H[i]においては、図18に示すように、第i行の各画素回路Uにおける選択スイッチTSLがオン状態に制御されることで駆動トランジスタTDRのゲートに信号線14から基準電位VRSが供給され、駆動トランジスタTDRのソースの電位VSは給電線16の電位VLに設定される。すなわち、駆動トランジスタTDRのゲート−ソース間の電圧VGS(保持容量CSTの両端間の電圧)は、基準電位VRSと電位VLとの差分の電圧VGS1(VGS1=VRS−VL)に初期化される。
基準電位VRSおよび電位VLは、両者の差分の電圧VGS1が駆動トランジスタTDRの閾値電圧VTHを上回り(VRS−VL>VTH)、かつ、発光素子Eの両端間の電圧が発光素子Eの閾値電圧VTH_OLEDを下回る(VL−VCT<VTH_OLED)ように選定される。したがって、初期化期間PRS1においては、各画素回路Uの発光素子Eがオフ状態(非発光状態)に維持されたまま、各画素回路Uの駆動トランジスタTDRがオン状態となる。
以上の形態においても、各画素回路Uの駆動トランジスタTDRの電圧VGSが当該駆動トランジスタTDRをオン状態とする電圧VGS1に初期化される。したがって、第5実施形態と同様に、発光装置100の電源の投入時に駆動トランジスタTDRの電圧VGSが閾値電圧VTHを下回る場合でも、初期化期間PRS1の経過後の各単位期間H(すなわち各画素回路Uを実際に階調Dに応じて駆動する段階)では、駆動トランジスタTDRを迅速かつ確実に平衡状態に遷移させることが可能となる。
<D−3:第7実施形態>
図19は、本発明の第7実施形態に係る発光装置100のブロック図である。図19の発光装置100の素子部10内には、各走査線12とともにX方向に延在するm本の給電線16が形成される。また、駆動回路30は、m本の給電線16の各々の電位を個別に制御する電位制御回路36を含む。他の構成は図3と同様である。
図20は、本形態の動作のタイミングチャートである。第5実施形態や第6実施形態においては発光装置100の電源の投入の直後に初期化期間PRS1を設定したのに対し、本形態においては、各単位期間H[i]内に設定された初期化期間PRS2にて第i行の各画素回路Uにおける駆動トランジスタTDRの電圧VGSを初期化する。
図20に示すように、第i行の駆動トランジスタTDRの電圧VGSを初期化する初期化期間PRS2は、走査信号GA[i]が選択電位VSLに設定される単位期間H[i]のうち始点tsから所定の時間が経過するまでの期間である。信号線駆動回路34は、各単位期間H[i]内の初期化期間PRS2にて駆動信号X(X[1]〜X[n])の電位VXを基準電位VRSに維持し、単位期間H[i]のうち初期化期間PRS2の経過後に指定階調Dに応じた時間変化率RXで電位VXを変化させる。
図20に示すように、電位制御回路36は、単位期間H[i]内の初期化期間PRS2にて第i行の給電線16に電位VLを供給し、他の期間にて第i行の給電線16に電位VELを供給する。したがって、単位期間H[i]内の初期化期間PRS2においては、第6実施形態と同様に、第i行の画素回路Uにおける駆動トランジスタTDRの電圧VGSが、ゲートに供給される基準電位VRSとソースに供給される電位VLとの差分の電圧VGS1(VGS1=VRS−VL)に初期化される。基準電位VRSや電位VLの条件は第6実施形態と同様である。また、各単位期間Hのうち初期化期間PRS2の経過後の動作は例えば第1実施形態と同様である。
以上の形態においても第5実施形態や第6実施形態と同様の効果が実現される。さらに本形態においては、駆動トランジスタTDRの電圧VGSが単位期間H毎に初期化されるから、以下に例示するように、単位期間H[i]にて設定される駆動電流IDRが直前の垂直走査期間の単位期間H[i]における指定階調Dの影響を受けないという利点がある。
いま、初期化期間PRS2を設定しない第1実施形態のもとで、第i行の1個の画素回路Uに対し、第1単位期間H[i]において最高階調DMAX(あるいは高目の中間調DH)が指定され、次に第i行が選択される第2単位期間H[i]において最低階調DMIN(あるいは低目の中間調DL)が指定された場合を想定する。第1単位期間H[i]においては駆動信号X[j]の電位VXの時間変化率RXが最高値r_maxに設定されることで電圧VGSは最大値に設定される。したがって、電位VXの時間変換率RXが最低値r_min(ゼロ)である駆動信号X[j]が第2単位期間H[i]にて駆動トランジスタTDRのゲートに供給されても、第2単位期間H[i]の終点teまでに、駆動トランジスタTDRの電圧VGSが最低階調DMINに対応する電圧VSETまで完全に低下し切らない可能性がある。したがって、最低階調DMINの指定にも拘わらず発光素子Eには駆動電流IDRが供給され、表示画像のコントラストが低下する場合がある。
本形態においては、各単位期間H[i]内の初期化期間PRS2にて駆動トランジスタTDRの電圧VGSが所定値VGS1(VGS1=VRS−VL)に初期化されるから、第1単位期間H[i]にて設定された電圧VSETに拘わらず(すなわち、前回の指定階調Dに拘わらず)、第2単位期間H[i]においては駆動トランジスタTDRの電圧VGSを指定階調Dに応じた電圧VSETに正確に設定できるという利点がある。
<D−4:第8実施形態>
図21は、本発明の第8実施形態に係る発光装置100の動作のタイミングチャートである。図21に示すように、各単位期間H[i]における走査線駆動回路32や信号線駆動回路34の動作(走査信号GA[i]や駆動信号X[j]の波形)は第7実施形態と同様である。また、発光装置100の構成は第7実施形態と同様である。
各単位期間H[i]内の初期化期間PRS2は期間P1と期間P2とに区分される。電位制御回路36は、単位期間H[i]内の初期化期間PRS2のうち期間P1にて第i行の給電線16に電位VLを供給し、他の期間(単位期間H[i]内の期間P2を含む)にて第i行の給電線16に電位VELを供給する。したがって、単位期間H[i]内の期間P1においては、第7実施形態と同様に、第i行の画素回路Uにおける駆動トランジスタTDRの電圧VGSが所定の電圧VGS1(VGS1=VRS−VL)に初期化されることで駆動トランジスタTDRはオン状態に変化する。
単位期間H[i]内の期間P2が開始すると、第i行の給電線16の電位VLが電位VELに変化する。期間P1にて駆動トランジスタTDRはオン状態に遷移しているから、以上の状態のもとでは、数式(1)で表現される電流IDSが駆動トランジスタTDRのドレインとソースとの間に流れて容量CEおよび保持容量CSTに電荷が充電される。したがって、図21に示すように駆動トランジスタTDRのソースの電位VSは経時的に上昇する。駆動トランジスタTDRのゲートは期間P1から引続き基準電位VRSに維持されるから、駆動トランジスタTDRの電圧VGSはソースの電位VSの上昇とともに低下する。数式(1)から理解されるように電圧VGSが低下して閾値電圧VTHに接近するほど電流IDSは減少する。したがって、期間P2においては、駆動トランジスタTDRの電圧VGSを、期間P1における初期化後の電圧VGS1から閾値電圧VTHに漸近させる動作(以下「漸近動作」という)が実行される。期間P2の時間長は、駆動トランジスタTDRの電圧VGSが閾値電圧VTHに充分に近似する(理想的には合致する)ように設定される。
以上の形態においても単位期間H[i]毎に駆動トランジスタTDRのゲート−ソース間の電圧VGSが初期化されるから、第7実施形態と同様の効果が実現される。また、本形態においては、各単位期間H[i]における駆動信号X[j]の電位VXの変化前に、駆動トランジスタTDRのゲート−ソース間の電圧VGSが閾値電圧VTHに漸近する。例えば、駆動トランジスタTDRの電圧VGSが第1単位期間H[i]において最高階調DMAXや高目の中間調DHに対応した大きい電圧VSETに設定された場合でも、次に第i行が選択される第2単位期間H[i]の初期化期間PRSにおいては、駆動トランジスタTDRの電圧VGSが閾値電圧VTHに近い電圧に初期化される。したがって、最低階調DMINや中間調DLが指定される第2単位期間H[i]において駆動トランジスタTDRのゲートの電位VGの時間変化率RXは低い数値に設定されるにも拘わらず、第2単位期間H[i]内の期間P2の経過後には、駆動トランジスタTDRの電圧VGSを、最低階調DMINや中間調DLに応じた小さい電圧VSETに正確に設定することが可能である。
<D−5:第9実施形態>
第8実施形態においては、単位期間H[i]内の期間P2にて第i行の各画素回路Uの漸近動作を実行した。しかし、駆動トランジスタTDRのゲート−ソース間の電圧VGSが閾値電圧VTHに到達するまでには相当の時間が掛かるから、実際には単位期間H[i]を長時間に設定する必要がある。そして、単位期間H[i]が長期化するほど画素回路Uの高精細化(行数の増加)が制約されるという問題がある。そこで、以下に例示する第9実施形態および第10実施形態においては、複数の単位期間Hにわたって漸近動作を実行することで、単位期間Hの時間長を短縮しながら駆動トランジスタTDRの電圧VGSを確実に閾値電圧VTHに設定する。
図22は、本発明の第9実施形態に係る発光装置100の動作のタイミングチャートである。図22の部分(A)に示すように、複数の単位期間H(……,H[i-3],H[i-2],H[i-1],H[i],H[i+1],……)の各々は期間h1と期間h2とに区分される。期間h1は単位期間Hの前半の期間であり、期間h2は単位期間Hの後半の期間である。
図22の部分(A)に示すように、単位期間H[i]の期間h2において、走査線駆動回路32は走査信号GA[i]を選択電位VSLに設定し、信号線駆動回路34は、第i行の第j列目に位置する画素回路Uの指定階調Dに応じた時間変化率RX[i,j]で各駆動信号X[j]の電位VXを変化させる。すなわち、図22の部分(B)に「書込」として図示されるように、単位期間H[i]の期間h2においては、第i行の各画素回路Uにおける駆動トランジスタTDRのゲート−ソース間の電圧VGSを駆動信号X[j]の電位VXの時間変化率RX[i,j]に応じた電圧VSETに設定する動作(以下「書込動作」という)が実行される。図22の部分(B)に示すように、各画素回路Uに対する書込動作は、単位期間Hの期間h2毎に行単位で順次に実行される。単位期間H[i]の経過後に電圧VSETに応じた駆動電流IDRが発光素子Eに供給される動作は第1実施形態と同様である。
また、駆動回路30は、図22の部分(B)に示すように、単位期間H[i]の開始前の複数の単位期間H(H[i-3]〜H[i-1])を第i行の初期化期間PRS2として、第i行の各画素回路Uにおける駆動トランジスタTDRのゲート−ソース間の電圧VGSを電圧VGS1に初期化する動作(以下「初期化動作」という)と、第i行の各画素回路Uにおける駆動トランジスタTDRの電圧VGSを閾値電圧VTHに漸近させる漸近動作とを実行する。第i行の第j列に位置する画素回路Uに着目して動作の具体例を以下に説明する。
単位期間H[i-3]〜H[i]の各々の期間h1において、走査線駆動回路32は第i行の走査信号GA[i]を選択電位VSLに設定し、信号線駆動回路34は駆動信号X(X[1]〜X[n])を基準電位VRSに設定する。一方、電位制御回路36は、第i行の給電線16に対し、単位期間H[i]の3個前の単位期間H[i-3]の期間h1にて電位VLを供給するとともに他の期間にて電位VELを供給する。したがって、第i行の各画素回路Uにおける駆動トランジスタTDRのゲート−ソース間の電圧VGSは、単位期間H[i-3]の期間h1における初期化動作で、駆動トランジスタTDRをオン状態とする電圧VGS1(VGS1=VRS−VL)に初期化される。
単位期間H[i-3]の期間h1が経過すると、電位制御回路36は、第i行の給電線16の電位VLを高位側の電位VELに変化させる。したがって、第8実施形態の期間P2と同様に、駆動トランジスタTDRのゲート−ソース間の電圧VGSを電圧VGS1から閾値電圧VTHに漸近させる漸近動作が実行される。図22に示すように、単位期間H[i-3]の期間h2から単位期間H[i]の期間h1まで継続的に漸近動作が実行される。
なお、単位期間H[i-3]〜H[i-1]の各々の期間h2においては、選択スイッチTSLがオフ状態に制御されることで駆動トランジスタTDRのゲートが電気的なフローティング状態となる。したがって、電流IDSによる容量CEや保持容量CSTの充電でソースの電位VSが経時的に変動すると、図22に示すように、駆動トランジスタTDRのゲートの電位VGは、電位VSに連動して期間h2内で変化量ΔVGだけ変化する。一方、単位期間H[i-2]〜H[i]の各々の期間h1の始点において、駆動トランジスタTDRのゲートの電位VGは、直前の期間h2での上昇後の電位から信号線14の基準電位VRSに変化量ΔVGだけ低下する。駆動トランジスタTDRのゲート−ソース間には保持容量CSTが介在するから、ソースの電位VSは期間h1の始点における電位VGに連動して低下する。電位VSの変化量は、容量CEと保持容量CSTとの容量比に応じて電位VGの変化量ΔVGを分割した電圧である(すなわち、電位VSは電位VGの変化よりも小さい電圧しか変化しない)。そして、駆動トランジスタTDRの電圧VGSが閾値電圧VTHに接近するほど電位VSの変動は抑制されるから、期間h2内における電位VGの変動量ΔVGは経時的に減少していく。したがって、駆動トランジスタTDRのゲート−ソース間の電圧VGSは、単位期間H[i-2]〜H[i]の各々の期間h1の始点にて増加しながらも経時的に閾値電圧VTHに漸近する。
漸近動作が実行される単位期間Hの個数は、電圧VGSが閾値電圧VTHに充分に接近する(理想的には合致する)ように選定される。したがって、単位期間H[i]の期間h2においては、駆動トランジスタTDRのゲート−ソース間の電圧VGSが閾値電圧VTHに設定された状態から書込動作が開始される。
以上の形態においては、複数の単位期間Hにわたって漸近動作が実行されるから、1個の単位期間H内で漸近動作を完了する第8実施形態と比較すると、単位期間Hの時間長が短い場合であっても、駆動トランジスタTDRの電圧VGSが閾値電圧VTHに充分に接近するように漸近動作の時間を確保できるという利点がある。
<D−6:第10実施形態>
図23は、本発明の第10実施形態における画素回路Uの回路図である。図23に示すように、画素回路Uは、以上の各形態における画素回路Uに制御スイッチTCRを追加した構成である。制御スイッチTCRは、駆動トランジスタTDRのゲートと給電線22との間に介在して両者の電気的な接続(導通/非導通)を制御するNチャネル型のトランジスタ(例えば薄膜トランジスタ)である。給電線22には電源回路(図示略)から基準電位VRSが供給される。第8実施形態や第9実施形態においては、初期化動作の実行時に画素回路Uに基準電位VRSを供給するために駆動信号X[j]の供給用の信号線14を兼用したのに対し、本形態においては信号線14とは別個の給電線22を初期化動作時の基準電位VRSの供給に利用する。
素子部10内には、走査線12とともにX方向に延在するm本の制御線24が形成される。図23に示すように、第i行の各画素回路Uにおける制御スイッチTCRのゲートは第i行の制御線24に接続される。各制御線24には駆動回路30(例えば走査線駆動回路32)から制御信号GB(GB[1]〜GB[m])が供給される。
図24は、画素回路Uを駆動する動作のタイミングチャートである。図24に示すように、単位期間H[i]においては、走査線駆動回路32が走査信号GA[i]を選択電位VSLに設定し、信号線駆動回路34が、第i行の第j列目に位置する画素回路Uの指定階調Dに応じた時間変化率RX[i,j]で駆動信号X[j]の電位VXを変化させる。したがって、第1実施形態と同様に、第i行の各駆動トランジスタTDRの電圧VGSを指定階調Dに応じた電位VSETに設定する書込動作が単位期間H[i]にて実行され、単位期間H[i]の経過後に発光素子Eに駆動電流IDRが供給される。一方、単位期間H[i]の開始前の複数の単位期間H(単位期間H[i-5]〜H[i-1])を初期化期間PRS2として、第i行の各画素回路Uの初期化動作と漸近動作とが実行される。さらに詳述すると、単位期間H[i-5]およびH[i-4]にて第i行の初期化動作が実行され、単位期間H[i-3]〜H[i-1]にて第i行の漸近動作が実行される。
制御信号GB[i]は、単位期間H[i-5]〜H[i-1]にわたってアクティブレベル(ハイレベル)に設定され、他の期間において非アクティブレベルを維持する。制御信号GB[i]がアクティブレベルに遷移すると、第i行の各画素回路Uにおける制御スイッチTCRがオン状態に変化するから、駆動トランジスタTDRのゲートには、給電線22から制御スイッチTCRを介して基準電位VRSが供給される。
電位制御回路36は、単位期間H[i-5]およびH[i-4]にて第i行の給電線16に電位VLを供給する。駆動トランジスタTDRのゲートには給電線22から基準電位VRSが供給されているから、単位期間H[i-5]およびH[i-4]においては、第i行の各画素回路Uにおける駆動トランジスタTDRの電圧VGSを電圧VGS1(VGS1=VRS−VL)に設定する初期化動作が実行される。
単位期間H[i-4]が経過すると、電位制御回路36は、第i行の給電線16の電位VLを高位側の電位VELに変化させる。一方、駆動トランジスタTDRのゲートには引続き基準電位VRSが供給されるから、第8実施形態の期間P2と同様に、駆動トランジスタTDRのゲート−ソース間の電圧VGSを閾値電圧VTHに漸近させる漸近動作が実行される。図24に示すように、第i行の漸近動作は、単位期間H[i-3]の始点から、制御信号GB[i]が非アクティブレベルに遷移する単位期間H[i-1]の終点まで継続される。漸近動作が実行される単位期間Hの個数(本形態では3個)は、電圧VGSが閾値電圧VTHに充分に接近する(理想的には合致する)ように選定される。したがって、第9実施形態と同様に、単位期間H[i]においては、駆動トランジスタTDRのゲート−ソース間の電圧VGSが閾値電圧VTHに設定された状態から書込動作が開始される。
以上の形態においては、複数の単位期間Hにわたって漸近動作が実行されるから、1個の単位期間H内で漸近動作を完了する第8実施形態と比較すると、単位期間Hの時間長が短い場合であっても、駆動トランジスタTDRの電圧VGSが閾値電圧VTHに充分に接近するように漸近動作の時間を確保できるという利点がある。
なお、第9実施形態における駆動トランジスタTDRのゲートの電位VGは、漸近動作中の各期間h2にてソースの電位VSに連動して変化するとともに各期間h1にて基準電位VRSに設定される。したがって、漸近動作中の各期間h1の始点においては、図22を参照して説明したように、駆動トランジスタTDRのゲートの電位VGが低下することでゲート−ソース間の電圧VGSが不連続に増加する。一方、本形態における漸近動作中は、駆動トランジスタTDRのゲートの電位VGは基準電位VRSに固定されるから、図24に示すように、漸近動作中はゲート−ソース間の電圧VGSは連続的に閾値電圧VTHに漸近する(すなわち、漸近動作の途中で電圧VGSは増加しない)。したがって、漸近動作に必要となる単位期間Hの個数が第9実施形態と比較して削減されるという利点がある。そして、漸近動作のための単位期間Hの個数が削減される分だけ発光素子Eを発光させる期間が長く確保されるから、表示画像の明度を充分に確保できるという利点がある。もっとも、第9実施形態においては、初期化動作のための基準電位VRSの供給と書込動作のための駆動信号X[j]の供給とに共通の信号線14が兼用されるから、第10実施形態と比較して、素子部10内の構成が簡素化される(配線数が削減される)という利点がある。
<D−7:他の形態>
第5実施形態から第10実施形態においては、図6の駆動信号X[j]を利用した第1実施形態に電圧VGSの初期化を追加した場合を例示したが、図12から図14(第2実施形態から第4実施形態)の駆動信号X[j]を利用した第2実施形態から第4実施形態においても、第5実施形態から第10実施形態と同様の初期化(初期化動作および漸近動作)を実行する構成が好適に採用される。
例えば、第8実施形態から第10実施形態のように駆動トランジスタTDRのゲート−ソース間の電圧VGSを漸近動作で閾値電圧VTHに設定したうえで、図14に第4実施形態として例示したように駆動信号X[j]の電位VXを調整電位VAに変化させてから時間変化率RXで変化させる構成も好適である。
駆動トランジスタTDRのゲートとソースとの間には保持容量CSTが介在するから、図15の実線のように駆動信号X[j]の電位VXを時点tA2にて基準電位VRSから調整電位VAに変化量ΔV(ΔV=VA−VRS)だけ変化させると、駆動トランジスタTDRのソースの電位VSは、電位VGの変化量ΔVを保持容量CSTと容量CEとの容量比に応じて分割した電圧(ΔV・cp2/(cp1+cp2))だけ変化(上昇)する。いま、時点tA2の到来前における駆動トランジスタTDRのゲート−ソース間の電圧VGSが、第8実施形態から第10実施形態の漸近動作で閾値電圧VTHに設定されているとすれば、時点tA2の直後における駆動トランジスタTDRの電圧VGSは以下の数式(5)のように表現される。
VGS=VTH−ΔV・cp1/(cp1+cp2) ……(5)
数式(5)の電圧VGSを数式(1)に代入することで、時点tA2の直後にて駆動トランジスタTDRのドレイン−ソース間に流れる電流IDSを表現する以下の数式(6)が導出される。ただし、数式(6)においては、数式(1)における「1/2・μ・W/L・Cox」を便宜的に係数Kに置換した。移動度μなどの誤差に起因して各駆動トランジスタTDRの係数Kには誤差が発生し得るから、実際の係数Kとしては、各駆動トランジスタTDRの係数Kの典型的な数値(例えば平均値)が採用される。
IDS=1/2・μ・W/L・Cox・{ΔV・cp1/(cp1+cp2)}2
=K・{ΔV・cp1/(cp1+cp2)}2 ……(6)
したがって、時点tA2の直後における電流IDSを指定階調Dに応じた目標値Iaに調整するためには、調整電位VAと基準電位VRSとの差分ΔVを以下の数式(7)のように設定する必要がある。基準電位VRSに対して数式(7)の関係を充足するように調整電位VAを指定階調Dに応じて設定することで、駆動トランジスタTDRを迅速に平衡状態に到達させることが可能である。
ΔV=VA−VRS={(cp1+cp2)/cp1}・(Ia/K)1/2 ……(7)
また、第6実施形態から第10実施形態においては、駆動トランジスタTDRのゲートの電位VGを駆動信号X[j]の基準電位VRSに初期化したが、電位VGを、駆動信号X[j]とは無関係に選定された電位に初期化する構成も採用される。また、第8実施形態から第10実施形態においては、駆動トランジスタTDRのゲート−ソース間の電圧VGSを漸近動作で閾値電圧VTHに設定したが、電圧VGSを完全に閾値電圧VTHに到達させる必要はない。すなわち、駆動トランジスタTDRの電圧VGSを、初期化動作で設定された電圧VGS1から漸近動作で閾値電圧VTHに接近させる構成が好適である。
<E:変形例>
以上の各形態は様々に変形される。各形態に対する変形の具体的な態様を以下に例示する。なお、以下の例示から2以上の態様を任意に選択して組合わせてもよい。
(1)変形例1
以上の各形態においては、図25および図26に曲線Q0(破線)で図示したように、駆動信号X[j]の電位VXの時間変化率RXが、発光素子Eに供給されるべき電流IDS(駆動電流IDR)に対して比例するように(数式(3)の関係が成立するように)、指定階調Dに応じた時間変化率RXを設定した。すなわち、単位期間H[i]の終点における駆動信号X[j]の電位VXの時間変化率RX[i,j]と、駆動トランジスタTDRのソースに付随する容量CEの容量値cp1との乗算値が駆動電流IDRの目標値に合致するように時間変化率RXが設定される。しかし、駆動電流IDSと時間変化率RXとの間に数式(3)の関係(比例)が厳密に成立する必要はない。
例えば、選択スイッチTSLをオフ状態に変化させるために選択スイッチTSLのゲートの電位を低下させたときのフィードスルーに起因して、駆動トランジスタTDRのゲートの電位VGは、単位期間Hの終点teにて変動(低下)し得る。そして、電位VGの変化量は、指定階調Dに応じて(例えば駆動信号X[j]の電位VXの時間変化率RXや単位期間H[i]の終点teにおける電位VXに応じて)相違する場合がある。したがって、フィードスルーに起因した電位VGの変化量の相違が補償されるように、駆動電流IDSと時間変化率RXとの関係を選定した構成も好適である。
例えば、指定階調Dが高階調である(駆動電流IDRが大きい)ほどフィードスルーに起因した電位VGの低下量が増加するのであれば、図25の曲線Q1のように、駆動電流IDRが大きいほど、駆動電流IDRに対する時間変化率RXの変化率(勾配)が増加するように、各指定階調Dの駆動電流IDRに対する時間変化率RXが選定される。また、指定階調Dが低階調である(駆動電流IDRが小さい)ほど電位VGの低下量が増加するのであれば、図26の曲線Q2や曲線Q3のように、駆動電流IDRが小さいほど、駆動電流IDRに対する時間変化率RXの変化率(勾配)が増加するように、各指定階調Dの駆動電流IDRに対する時間変化率RXが選定される。
また、駆動信号X[j]の電位VXの時間変化率RXが低い場合(すなわち、指定階調Dが低階調である場合)、駆動トランジスタTDRが平衡状態に到達するまでに過度に長い時間が必要となる可能性がある。したがって、指定階調Dが低階調である場合にも駆動トランジスタTDRを迅速に平衡状態に到達させるという観点からしても、図26の曲線Q2や曲線Q3のように、駆動電流IDRが小さいほど、駆動電流IDRに対する時間変化率RXの変化率が増加するように、各指定階調Dの駆動電流IDRに対する時間変化率RXを選定した構成が好適である。
(2)変形例2
発光素子Eに供給される駆動電流IDRの電流量は、単位期間H[i]の終点teにおける駆動信号X[j]の電位VXの時間変化率RXに応じて決定される。したがって、駆動信号X[j]のうち単位期間H[i]の終点te(駆動トランジスタTDRのゲートに対するすなわち駆動信号X[j]の供給を停止する時点)における電位VXの時間変化率RXが指定階調Dに応じて設定される構成は好適であるが、単位期間H[i]の途中における駆動信号X[j]の波形(時間変化率RX)は本発明において不問である。ただし、単位期間H[i]の終点teにて駆動トランジスタTDRのソースの電位VSの時間変化率RSを駆動信号X[j]の電位VXの時間変化率RXに正確に合致させるためには、駆動信号X[j]の時間変化率RXを、終点teまでの所定の期間にわたって継続的に、指定階調Dに応じた一定の数値に固定する構成が格別に好適である。
(3)変形例3
第5実施形態から第10実施形態において、駆動トランジスタTDRのゲート−ソース間の電圧VGSを初期化する時期や契機は任意に変更される。例えば、複数の垂直走査期間を単位として1回の初期化動作や漸近動作が実行される構成や、発光装置100に対する利用者からの指示を契機として初期化動作や漸近動作が実行される構成も採用される。また、駆動トランジスタTDRの電圧VGSを単位期間H毎に初期化する構成(第7実施形態から第10実施形態)は、指定階調Dが経時的に変化する場合(すなわち動画像を表示する場合)に格別に好適である。したがって、動画像を表示する場合には画素回路Uの駆動中(初期化期間PRS2)に電圧VGSを随時に初期化し、静止画を表示する場合には発光装置100の電源が投入された直後(初期化期間PRS1)のみにて電圧VGSを初期化するといった構成も採用される。
(4)変形例4
画素回路Uを構成する各トランジスタ(駆動トランジスタTDR,選択スイッチTSL,制御スイッチTCR)の導電型は任意である。例えば、図27に示すように、駆動トランジスタTDRや各スイッチ(選択スイッチTSL,制御スイッチTCR)をPチャネル型とした構成も採用される。図27の画素回路Uにおいては、発光素子Eの陽極が給電線18(電位VCT)に接続され、駆動トランジスタTDRのドレインが給電線16(電位VEL)に接続されるとともにソースが発光素子Eの陰極に接続される。駆動トランジスタTDRのゲートとソースとの間に保持容量CSTが介在する構成や、駆動トランジスタTDRのゲートと信号線14との間に選択スイッチTSLが介在する構成は図4と同様である。以上のようにPチャネル型の駆動トランジスタTDRを採用した場合、Nチャネル型の駆動トランジスタTDRを採用した場合と比較して電圧の関係(高低)は逆転するが、本質的な動作は以上の例示と同様であるから、具体的な動作の説明は省略する。
(5)変形例5
以上の各形態においては発光素子Eに付随する容量CEを利用したが、図28に示すように、発光素子Eとは別個に形成した容量CXを容量CEとともに利用する構成も好適である。容量CXの電極e1は、駆動トランジスタTDRと発光素子Eとを結ぶ経路上(駆動トランジスタTDRのソース)に接続される。容量CXの電極e2は、所定の電位が供給される配線(例えば、電位VCTが供給される給電線18や、基準電位VRSが供給される図23の給電線22)に接続される。図28の構成においては、以上の各形態における容量値cp1が容量CXと発光素子Eの容量CEとの合計値となる。したがって、数式(2)や数式(3)の電流IDS(さらには駆動電流IDR)を容量CXに応じて適宜に調整することが可能である。また、容量CXを形成した構成においては、発光素子Eに容量CEの有無や容量値の大小は不問である。すなわち、発光素子Eに容量CEが付随しない構成や容量値が充分に小さい構成も採用される。
(6)変形例6
以上の各形態のように、複数の画素回路Uが行列状に配列された構成のもとで各画素回路Uを行単位で時分割に駆動する場合には各画素回路U内に選択スイッチTSLが必要である。しかし、例えば複数の画素回路UがX方向に沿って1列のみに配列された構成においては、時分割での複数行の選択という動作が不要であるから、画素回路U内の選択スイッチTSLは不要となる。複数の画素回路Uが1列のみに配列された発光装置100は、例えば、電子写真方式の画像形成装置(印刷装置)において感光体ドラムなどの像担持体を露光する露光装置として好適に採用される。
(7)変形例7
有機EL素子は発光素子の例示に過ぎない。例えば、無機EL素子やLED(Light Emitting Diode)素子などの発光素子を配列した発光装置にも以上の各態様と同様に本発明が適用される。本発明における発光素子は、電流の供給で駆動される(典型的には階調(輝度)が制御される)電流駆動型の被駆動素子である。
<F:応用例>
次に、以上の各態様に係る発光装置100を利用した電子機器について説明する。図29ないし図31には、発光装置100を表示装置として採用した電子機器の形態が図示されている。
図29は、発光装置100を採用したモバイル型のパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。パーソナルコンピュータ2000は、各種の画像を表示する発光装置100と、電源スイッチ2001やキーボード2002が設置された本体部2010とを具備する。発光装置100は有機EL素子を発光素子Eとして使用しているので、視野角が広く見易い画面を表示できる。
図30は、発光装置100を適用した携帯電話機の構成を示す斜視図である。携帯電話機3000は、複数の操作ボタン3001およびスクロールボタン3002と、各種の画像を表示する発光装置100とを備える。スクロールボタン3002を操作することによって、発光装置100に表示される画面がスクロールされる。
図31は、発光装置100を適用した携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assistants)の構成を示す斜視図である。情報携帯端末4000は、複数の操作ボタン4001および電源スイッチ4002と、各種の画像を表示する発光装置100とを備える。電源スイッチ4002を操作すると、住所録やスケジュール帳といった様々な情報が発光装置100に表示される。
なお、本発明に係る発光装置100が適用される電子機器としては、図29から図31に例示した機器のほか、デジタルスチルカメラ、テレビ、ビデオカメラ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電子ペーパー、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、プリンタ、スキャナ、複写機、ビデオプレーヤ、タッチパネルを備えた機器等などが挙げられる。また、本発明に係る発光装置100の用途は画像の表示に限定されない。例えば、電子写真方式の画像形成装置において露光により感光体ドラムに潜像を形成する露光装置としても本発明の発光装置100は利用される。
100……発光装置、10……素子部、12……走査線、14……信号線、16,18,22……給電線、24……制御線、30……駆動回路、32……走査線駆動回路、34……信号線駆動回路、36……電位制御回路、U……画素回路、E……発光素子、TDR……駆動トランジスタ、TSL……選択スイッチ、TCR……制御スイッチ、E……発光素子、H(H[i])……単位期間、X(X[j])……駆動信号。