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JP5407775B2 - 薄膜コンデンサの製造方法及び薄膜コンデンサ - Google Patents
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JP5407775B2 - 薄膜コンデンサの製造方法及び薄膜コンデンサ - Google Patents

薄膜コンデンサの製造方法及び薄膜コンデンサ Download PDF

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Description

本発明は、薄膜コンデンサの製造方法及び薄膜コンデンサに関する。
薄膜コンデンサは、例えば高速動作する電気回路に配設され、高周波ノイズのバイパス用や、電源電圧の変動防止用等に供される大容量コンデンサとして好適に利用される。近年、集積回路及び発光素子等のデバイスをより高周波で作動させるためにデバイスの近傍に薄膜コンデンサを配設することが求められており、これに対して、例えば特許文献1記載の技術が知られている。
具体的には、特許文献1には、大きな誘電率を得るために誘電体層を結晶化させる焼成工程において電極層が酸化によるダメージを受けることを考慮した技術であり、焼成後に電極層の酸化した領域を除去する酸化膜除去工程が設けられている。
特開2007−207948号公報
しかしながら、特許文献1のように焼成の後に酸化膜を除去する工程により酸化した領域を十分に除去できない場合には、電極層に酸化した領域が残ってしまうため、静電容量が低下しやすいという問題がある。また、焼成後に酸化膜除去工程を行うことにより、薄膜コンデンサの製造に係る作業が煩雑となってしまい、製造コストも高くなってしまう。
本発明は上記を鑑みてなされたものであり、より簡素な方法で上部電極の酸化が抑制され、且つ静電容量が大きい薄膜コンデンサの製造方法及び薄膜コンデンサを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係る薄膜コンデンサの製造方法は、下地電極と、下地電極上に積層された誘電体層と、前記誘電体層を挟んで前記下地電極の反対側に積層された上部電極と、前記上部電極上に積層されたカバー層と、を含んで構成される薄膜コンデンサの製造方法であって、前記誘電体層となる未焼成の誘電体膜上に、前記上部電極となる上部電極層と前記カバー層となるカバー膜とを積層して積層部品を作製する工程と、前記積層部品を焼成する工程と、を備えることを特徴とする。
また、本発明に係る薄膜コンデンサは、下地電極と、下地電極上に積層された誘電体層と、前記誘電体層を挟んで前記下地電極の反対側に積層された上部電極と、前記上部電極上に積層されたカバー層と、を含んで構成される薄膜コンデンサであって、前記誘電体層となる未焼成の誘電体膜上に、前記上部電極となる上部電極層と前記カバー層となるカバー膜とを積層して積層部品を作製し、該積層部品を焼成して形成されたことを特徴とする。
上記の薄膜コンデンサの製造方法及びこの薄膜コンデンサによれば、上部電極となる上部電極層の上にカバー層となるカバー膜が積層された積層部品として焼成が行われるため、上部電極の酸化が抑制される。このため、酸化膜除去工程を設けることなく、電極において酸化された領域の形成が抑制されることから、より簡素な方法により静電容量の大きな薄膜コンデンサを得ることができる。また、誘電体層となる未焼成の誘電体膜上に、上部電極となる上部電極層とカバー層となるカバー膜とを積層した後に焼成を行うことにより、焼成回数を低減させることができ、薄膜コンデンサの特性を向上させることができる。
また、上部電極となる上部電極層及びカバー層となるカバー膜を未焼成の誘電体膜の上に積層するのではなく、焼成後の誘電体膜の上に上部電極層及びカバー膜を積層し、これを焼成する構成とした場合でも、より簡素な方法によって電極において酸化された領域の形成が抑制され、静電容量の大きな薄膜コンデンサを得ることができる。
すなわち、本発明に係る薄膜コンデンサの製造方法は、下地電極と、下地電極上に積層された誘電体層と、前記誘電体層を挟んで前記下地電極の反対側に積層された上部電極と、前記上部電極上に積層されたカバー層と、を含んで構成される薄膜コンデンサの製造方法であって、前記誘電体層となる焼成後の誘電体膜上に、前記上部電極となる上部電極層と前記カバー層となるカバー膜とを積層して積層部品を作製する工程と、前記積層部品を焼成する工程と、を備えることを特徴とする。
また、本発明に係る薄膜コンデンサは、下地電極と、下地電極上に積層された誘電体層と、前記誘電体層を挟んで前記下地電極の反対側に積層された上部電極と、前記上部電極上に積層されたカバー層と、を含んで構成される薄膜コンデンサであって、前記誘電体層となる焼成後の誘電体膜上に、前記上部電極となる上部電極層と前記カバー層となるカバー膜とを積層して積層部品を作製し、該積層部品を焼成して形成されたことを特徴とする。
ここで、前記カバー膜は前記誘電体膜と同じ組成の材料からなることが好ましく、また、前記カバー層は前記誘電体層と同じ組成の材料からなることが好ましい。
カバー層となるカバー膜と誘電体層となる誘電体膜とが同じ組成の材料からなる場合、カバー層と誘電体層とが互いに異なる組成の材料からなる場合に発生する応力を低減させることができる。これにより、薄膜コンデンサを構成する各層の応力による変形等の発生が抑制されることによってリーク電流の発生が抑制され、より高い特性を有する薄膜コンデンサを得ることができる。
また、本発明に係る薄膜コンデンサの製造方法は、焼成された前記積層部品をパターニングし、端子電極を設ける工程をさらに備える態様とすることができる。また、本発明に係る薄膜コンデンサは、焼成された前記積層部品をパターニングして設けた端子電極をさらに備える態様とすることができる。
本発明によれば、より簡素な方法で上部電極の酸化が抑制され、且つ静電容量が高い薄膜コンデンサの製造方法及び薄膜コンデンサが提供される。
本発明の第1実施形態に係る薄膜コンデンサの概略断面図である。 図1に示す薄膜コンデンサ100に係る製造方法を説明するフローチャートである。 図3(a)、図3(b)、図3(c)は、図1に示す薄膜コンデンサ100に係る製造方法を示す概略断面図である。 本発明の第2実施形態に係る薄膜コンデンサの概略断面図である。 本発明の第2実施形態に係る薄膜コンデンサの製造方法を説明するフローチャートである。 図6(a)、図6(b)、図6(c)は、図4に示す薄膜コンデンサ200の製造方法を示す概略断面図である。 第1実施形態に係る薄膜コンデンサ100の変形例である薄膜コンデンサ300の概略断面図である。 図8(a)、図8(b)、図8(c)は、比較例に係る薄膜コンデンサ400の製造方法を示す概略断面図である。 図9(a)、図9(b)は、実施例4に係る薄膜コンデンサ500の製造方法を示す概略断面図である。 図10(a)、図10(b)は、比較例3に係る薄膜コンデンサ600の製造方法を示す概略断面図である。
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
(第1実施形態)
<薄膜コンデンサ100>
まず、第1実施形態に係る薄膜コンデンサ100について説明する。本実施形態に係る薄膜コンデンサ100は、図1に示すように、下地電極2と、下地電極2上に積層された誘電体層4と、誘電体層4上に積層された内部電極8と、内部電極8上に積層された誘電体層6と、誘電体層6上に積層された上部電極10と、を備える。すなわち、薄膜コンデンサ100は、下地電極2と、下地電極2上に積層された二つの誘電体層4、6と、誘電体層4と誘電体層6との間に積層された内部電極8と、誘電体層4、6及び内部電極8を挟んで下地電極2の反対側に積層された上部電極10と、を備える。なお、以下では、下地電極2、誘電体層4、内部電極8、誘電体層6及び上部電極10が順次重なる方向を「積層方向」と記す。
薄膜コンデンサ100は、誘電体層4、内部電極8、誘電体層6及び上部電極10を挟んで下地電極2の反対側に、一対の端子電極12a、12bを備える。一対の端子電極12a、12bのうち一方の端子電極12aは、下地電極2及び上部電極10と電気的に接続されている。また、他方の端子電極12bは、内部電極8と電気的に接続されている。また、一対の端子電極12a、12bは互いに電気的に絶縁されている。
また、薄膜コンデンサ100は、下地電極2、誘電体層4、内部電極8、誘電体層6及び上部電極10から構成される積層体と、一対の端子電極12a、12bとの間を満たす絶縁性のカバー層14を備える。さらに、薄膜コンデンサ100は、端子電極12a,12bとカバー層14との間を覆う絶縁性保護層18を備える。以下、薄膜コンデンサ100を構成する各部について説明する。
下地電極2は導電性材料から形成される。具体的には、下部電極層20を形成する導電性材料としては、主成分としてニッケル(Ni)や白金(Pt)を含有する合金が好ましく、特に、主成分としてNiを含有する合金が好適に用いられる。下地電極2を構成するNiの純度は高いほど好ましく、99.99重量%以上であることが好ましい。なお、下地電極2に微量の不純物が含まれていても良い。主成分としてNiを含有する合金からなる下地電極2に含まれ得る不純物としては、例えば、鉄(Fe)、チタン(Ti)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、マンガン(Mn)、ケイ素(Si)またはクロム(Cr)、バナジウム(V)、亜鉛(Zn)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、セシウム(Ce)等の遷移金属元素あるいは希土類元素等、塩素(Cl)、硫黄(S)、リン(P)等が挙げられる。これらの不純物が、後述する薄膜コンデンサの製造方法における焼成工程において、下地電極2から誘電体膜へ拡散すると、得られる誘電体層4、6の組成にずれを生じさせたり、誘電体膜の結晶化および結晶粒成長を阻害して微細構造を変化させたりして、得られる誘電体層4、6の絶縁抵抗を低下させる傾向がある。なお、誘電体層4、6の組成のずれ又は微細構造の変化は、薄膜コンデンサ100の静電容量の大容量化を阻害する可能性がある。
下地電極2の厚さは、5〜100μmであることが好ましく、20〜70μmであることがより好ましく、30μm程度であることが更に好ましい。下地電極2の厚さが薄過ぎる場合、薄膜コンデンサ100の製造時に下地電極2をハンドリンクし難くなる傾向があり、下地電極2の厚さが厚過ぎる場合、リーク電流を抑制する効果が小さくなる傾向がある。なお、下地電極2の面積は、例えば、1×0.5mm2程度である。また、上述の下地電極2は金属箔からなることが好ましく、基板と電極とを兼用している。このように、本実施形態に係る下地電極2は基板としても兼用する構成であることが好ましいが、Siやアルミナなどからなる基板と、金属膜からなる電極とからなる基板/電極膜構造を下地電極2として用いても良い。
誘電体層4、6は、BaTiO(チタン酸バリウム)、(Ba1−XSr)TiO(チタン酸バリウムストロンチウム)、(Ba1−XCa)TiO、PbTiO、Pb(ZrTi1−X)O等のペロブスカイト構造を持った(強)誘電体材料や、Pb(Mg1/3Nb2/3)O等に代表される複合ペロブスカイトリラクサー型強誘電体材料や、BiTi12、SrBiTa等に代表されるビスマス層状化合物、(Sr1−XBa)Nb、PbNb等に代表されるタングステンブロンズ型強誘電体材料等から構成される。ここで、ペロブスカイト構造、ペロブスカイトリラクサー型強誘電体材料、ビスマス層状化合物、タングステンブロンズ型強誘電体材料において、AサイトとBサイト比は、通常整数比であるが、特性向上のため、意図的に整数比からずらしても良い。なお、誘電体層4、6の特性制御のため、誘電体層4、6に適宜、副成分として添加物質が含有されていてもよい。
誘電体層4,6の各厚さは、例えば、10〜1000nmである。また、誘電体層4,6の各面積は、例えば、0.9×0.5mm程度である。
上述の誘電体層4,6に挟まれて設けられる内部電極8は導電性材料から形成される。具体的には、主成分としてニッケル(Ni)や白金(Pt)を含有する材料が内部電極8として好適に用いられ、Niが特に好適に用いられる。内部電極8に主成分としてNiを含有する材料を用いる場合、その含有量は、内部電極8全体に対して、50mol%以上であることが好ましい。また、内部電極8の主成分がNiである場合、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)、ロジウム(Rh)、ルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)、レニウム(Re)、タングステン(W)、クロム(Cr)、タンタル(Ta)及び銀(Ag)からなる群より選ばれる少なくとも一種(以下、「添加元素」と記す。)を更に含有する。内部電極8が添加元素を含有することによって、内部電極8の途切れが防止される。なお、内部電極8は複数種の添加元素を含有してもよい。
内部電極8の厚さは、例えば、10〜1000nm程度である。また、内部電極8の面積は、例えば、0.9×0.4mm程度である。
上部電極10はNiを主成分として含有する合金からなることが好ましい。なお、上部電極10には微量の不純物が含まれていても良い。上部電極10に含まれ得る不純物としては、例えば、鉄(Fe)、チタン(Ti)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、マンガン(Mn)、ケイ素(Si)またはクロム(Cr)、バナジウム(V)、亜鉛(Zn)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、セシウム(Ce)等の遷移金属元素あるいは希土類元素等、塩素(Cl)、硫黄(S)、リン(P)等が挙げられる。なお、上部電極10として、Niを主成分として含有する合金のほかに、Si半導体やディスプレイパネル等の配線で用いられるAl、Cu、W、Cr、Ta、Nb等のほか、Pt、Pd、Ir、Rh、Ru、Os、Re、Ti、Mn及びAg等も用いることもできる。
なお、誘電体層4は、図1に示す薄膜コンデンサ100の断面において途切れているが、積層方向に垂直な面内において連続している。同様に、誘電体層6、内部電極8及び上部電極10も、それぞれ積層方向に垂直な面内において連続している。
端子電極12a、12bは、例えばCu等の導電性材料から構成される。
また、カバー層14は、誘電体層4、6と同じ材料からなることが好ましい。すなわち、BaTiO(チタン酸バリウム)、(Ba1−XSr)TiO(チタン酸バリウムストロンチウム)、(Ba1−XCa)TiO、PbTiO、Pb(ZrTi1−X)O等のペロブスカイト構造を持った(強)誘電体材料や、Pb(Mg1/3Nb2/3)O等に代表される複合ペロブスカイトリラクサー型強誘電体材料や、BiTi12、SrBiTa等に代表されるビスマス層状化合物、(Sr1−XBa)Nb、PbNb等に代表されるタングステンブロンズ型強誘電体材料等が好適に用いられる。誘電体層4,6と同じ材料によりカバー層14を形成することにより、カバー層14に接する他の層(特に誘電体層4,6等)との間で応力が発生することを抑制することができることから、静電容量の増加やリーク電流の抑制という効果が奏される。なお、カバー層14の材料は上記に限定されず、例えば、SiO、アルミナ、SiN(シリコンナイトライド)等の絶縁材料を用いることもできる。
また、端子電極12a、12bとカバー層14との間に設けられる絶縁性保護層18は、例えばポリイミド等により構成される。絶縁性保護層18でカバー層を覆うことにより、カバー層と端子電極12a,12bとの間のリーク電流が抑制される。なお、リーク電流の点から端子電極12a,12とカバー層14との間に絶縁性保護層18を設けることが好ましいが、絶縁性保護層18を設けなくてもよい。
<薄膜コンデンサ100の製造方法>
次に、本実施形態の薄膜コンデンサ100の製造方法について、図2,3を参照しながら説明する。図2は、図1に示す薄膜コンデンサ100に係る製造方法を説明するフローチャートである。また、図3(a)〜(c)は、図1に示す薄膜コンデンサ100に係る製造方法を示す概略断面図である。図2に示すように、薄膜コンデンサ100は、積層体を形成する工程(S11)と、パターニング工程(S12)と、カバー膜の積層工程(S13)と、焼成工程(S14)と、端子電極の形成・接続工程(S15)と、を含んで構成される。
最初に、積層体を形成する工程(S11)及びパターニング工程(S12)について説明する。これらの工程は、積層体を形成した(S11)後にパターニングを行って(S12)もよいし、積層体に含まれる各層を積層する際にマスクを用いてパターン形成を行うことにより、積層体の形成(S11)とパターニング(S12)とを同時に行う態様とすることもできる。また、マスクを用いず、積層体に含まれる各層の形成後にエッチングでパターニング形成しても良い。以下では、積層体の形成(S11)とパターニング(S12)とを同時に行う場合について説明する。
まず、金属箔からなる下地電極2を準備する。この金属箔は必要に応じてその表面が所定の算術平均粗さRaとなるように研磨される。この研磨はCMP(Chemical Mechanical Polishing)、電解研磨、バフ研磨等の方法により行うことができる。次に、この下地電極2の上に誘電体膜4aを形成する。この誘電体膜4aの組成は、完成後の薄膜コンデンサ100が備える誘電体層4と同様とすればよい。また、誘電体膜4aの形成方法としては、溶液法、スパッタリング法等のPVD(PhysicalVapor Deposition)法又はCVD(Chemical Vapor Deposition)法等の成膜技術を用いることができるが、スパッタリング法がより好ましい方法である。ここで、マスクを用いながらパターン形成をすることにより、例えば、図3(a)に示すように、パターン形成された誘電体膜4aが形成される。
次に、誘電体膜4aの表面に内部電極層8aを形成する。内部電極層8aの組成は、完成後の薄膜コンデンサ100が備える第1の内部電極8と同様とすればよい。ここでもマスクを用いながらパターン形成をすることにより、図3(a)に示すパターンの内部電極層8aが形成される。また、内部電極層8aの形成方法としては、DCスパッタリング等が挙げられる。
さらに、内部電極層8aの表面に誘電体膜6aを形成する。ここでもマスクを用いながらパターン形成をすることにより、図3(a)に示すパターンの内部電極層8aが形成される。誘電体膜6aの組成は、完成後の薄膜コンデンサ100が備える誘電体層6と同様とすればよい。また、誘電体膜6aの形成方法は、誘電体膜4aと同様である。
さらに、誘電体膜6aの表面に、Ni合金からなる上部電極層10aを形成する。ここでもマスクを用いながらパターン形成をすることにより、図3(a)に示すパターンの上部電極層10aが形成される。これにより、下地電極2、誘電体膜4a、内部電極層8a、誘電体膜6a及び上部電極層10aを順次積層してなる積層体100aを得る。なお、上部電極層10aの形成方法としては、DCスパッタリング等が挙げられる。
次に、この積層体100aの下地電極2、誘電体膜4b、内部電極層8a、誘電体膜6b及び上部電極層10aの表面を覆うようにカバー膜14aを形成する(S13、カバー膜の積層工程)。ここで形成されるカバー膜14aは、誘電体膜4a,6aと同じ組成を有する材料であることが好ましい。カバー膜14aを形成することにより、図3(b)に示す積層体(積層部品)100bが得られる。
その後、この誘電体膜4a,6a及びカバー膜14aを備える積層体100bを焼成する(S14、焼成工程)。焼成時の温度は、誘電体膜4a,6aが焼結(結晶化)する温度とすることが好ましく、具体的には500〜1000℃であることが好ましい。また、焼成時間は5分〜2時間程度とすればよい。また、焼成時の雰囲気は、特に限定されず、酸化性雰囲気、還元性雰囲気、中性雰囲気の何れでも良いが、少なくとも、下地電極2が酸化しない程度の酸素分圧下で焼成することが好ましい。これにより、誘電体層4、誘電体層6、及びカバー層14が形成される。上記のように、上部電極10と接する誘電体層6となる誘電体膜6aの上部に上部電極層10a及びカバー膜14aがこの順で積層された後にこの誘電体膜6aの焼成を行うことにより、上部電極10と誘電体層6との界面及び上部電極10とカバー層14との界面における酸化膜の形成が抑制される。また、誘電体膜6aの焼成及びカバー膜14aの焼成を一度に行うことにより、焼成回数を低減することができるとともに、誘電体膜6a、上部電極層10a、及びカバー膜14aが同時に高温で熱処理されることにより、これらの表面が安定な状態となり、特性が向上する。
次に、焼成後の積層体に対して、端子電極の形成・接続を行う(S15、端子電極の形成・接続工程)。具体的には、図3(c)の積層体100cに示すように、カバー層14の少なくとも一部を除去する。そして、この積層体100cに対して一対の端子電極12a、12bを形成する。一方の端子電極12aは、下地電極2及び上部電極10とビアを介して電気的に接続させ、他方の端子電極12bは、内部電極8とビアを介して電気的に接続させる。さらに、端子電極12a,12bが配置された積層体に対してアニール処理を施す。アニール処理は、減圧雰囲気下、温度が200〜400℃である雰囲気下で行えばよい。ここで、減圧雰囲気とは、1気圧(=101325Pa)より低い圧力を有する雰囲気を意味する。アニール処理を行うことにより、電気特性を安定化することができる。
なお、カバー層14の少なくとも一部を除去しビアを形成した後、端子電極12a,12bを形成する前にポリイミド等の絶縁性保護層18によりカバー層14をさらに覆う。絶縁性保護層18でカバー層を覆うことにより、カバー層と端子電極12a,12bとの間のリーク電流が抑制される。これにより、図1に示す本実施形態に係る薄膜コンデンサ100が得られる。
上記の薄膜コンデンサ100の製造方法によれば、上部電極層10aを含む積層体100aが形成(S11)され、さらにカバー膜14aが積層(S13)された後に、焼成が行われる(S14)。したがって、上記の製造方法では、上部電極10や内部電極8が酸化されることがなく焼成が行われる。この場合、上部電極10及び内部電極8の積層方向における表面に酸化された領域が発生しないため、薄膜コンデンサ100の静電容量が増加される。このため、焼成により形成される酸化膜を除去する酸化膜除去工程が省略され、より簡単に特性の高い薄膜コンデンサ100を作製することができる。
また、上記実施形態のように、カバー層14と誘電体層4,6とが同じ組成の材料からなる場合には、互いに異なる組成の材料からなる場合に発生する応力が低減されるため、応力に由来する薄膜コンデンサ100の各層間での剥離やリーク電流の増加等を減少させることができ、より高い特性の薄膜コンデンサ100を作製することができる。
(第2実施形態)
<薄膜コンデンサ200>
続いて、本発明の第2実施形態に係る薄膜コンデンサ200について説明する。図4は、本実施形態に係る薄膜コンデンサ200の概略断面図である。本実施形態に係る薄膜コンデンサ200が第1実施形態に係る薄膜コンデンサ100に対して相違する点は以下のとおりである。すなわち、薄膜コンデンサ100では、カバー層14が端子電極12a,12bのビアの周囲を囲むように構成され、カバー層14は、上部電極10に限らず、誘電体層4,6及び内部電極8とも接している。一方、本実施形態に係る薄膜コンデンサ200では、カバー層14は上部電極10の上面のみに配置される。さらに、端子電極12aと下地電極2とを電気的に接続するビアの周囲と、端子電極12bと内部電極8とを電気接続するビアの周囲と、カバー層14の表面には、絶縁性保護層16が設けられている。
絶縁性保護層16は、例えばポリイミドが好適に用いられる。ただし、この絶縁性保護層16は上部電極を含んで構成される積層体を焼成した後に設けられる。したがって、絶縁性保護層16に用いられる材料は、絶縁材料であれば特に限定されない。
<薄膜コンデンサ200の製造方法>
次に、本実施形態に係る薄膜コンデンサ200の製造方法について図5,6を参照しながら説明する。なお、以下の説明では、薄膜コンデンサ100の製造方法との相違点を中心に説明する。図5は、図4に示す薄膜コンデンサ200に係る製造方法を説明するフローチャートである。また、図6(a)、(b)は、図5に示す薄膜コンデンサ200に係る製造方法を示す概略断面図である。図5に示すように、薄膜コンデンサ200は、カバー膜を含む積層体を形成する工程(S21)と、焼成工程(S22)と、パターニング工程(S23)と、端子電極の形成・接続工程(S24)と、を含んで構成される。
まず、カバー膜を含む積層体を形成する工程(S21)では、薄膜コンデンサ100の製造方法と同様に、図6(a)に示すように、下地電極2、誘電体膜4a、内部電極層8a、誘電体膜6a及び上部電極層10aを順次積層した後、さらに、上部電極層10aの表面全面を覆うカバー膜14aを積層する。これにより、カバー膜14aを含む積層体(積層部品)200aが形成される。なお、この積層体200aを構成する各層を下地電極2の上面に順次積層する際には、マスク等を用いたパターニングは行われず、ベタ塗りで積層される。
次に、誘電体膜4b,6b及びカバー膜14aを備える積層体200aを焼成する(S22、焼成工程)。このとき、積層体200aは、上部電極層10aの上面にカバー膜14aが設けられた状態で焼成されるため、上部電極層10aの上面の酸化は抑制される。
次に、焼成後の積層体200aをウェットエッチングによりパターニングする(S23、パターニング工程)。ここでいうパターニング工程とは、カバー膜14a、上部電極層10a、誘電体膜6a、内部電極層8a及び誘電体膜4aを順次ウェットエッチングでパターニングすることによって、上部電極10、誘電体層6、内部電極8及び誘電体層4をそれぞれ形成する工程のことである。
具体的には、まず、カバー膜14aの表面にフォトレジストを塗布した後、フォトリソグラフィーによって、完成後の薄膜コンデンサ200が備えるカバー層14に対応したパターンを有するマスクを形成し、カバー膜14aをエッチング液でエッチングすることにより、カバー層14を形成する。カバー膜14を形成した後、表面を被覆するマスクを剥離する。なお、カバー膜14aを形成するためのフォトレジストとしては、例えば、東京応化社製OFPR-800を用いればよい。また、カバー膜14aを形成するためのエッチング液としては、例えば塩酸+フッ化アンモニウム水溶液を用いることができる。
次に、カバー層14及び上部電極層10aの表面にフォトレジストを塗布した後、フォトリソグラフィーによって、完成後の薄膜コンデンサ200が備える上部電極10に対応したパターンを有するマスクを形成し、上部電極層10aをエッチング液でエッチングして、上部電極10を形成する。上部電極10を形成した後、カバー層14及び上部電極10の表面を被覆するマスクを剥離する。なお、上部電極10を形成するためのフォトレジストとしては、例えば、東京応化社製OFPR-800を用いればよい。また、上部電極10を形成するためのエッチング液としては、上部電極層10aを侵食し、且つ上部電極層10aに隣接する誘電体膜6a及びマスクを侵食しないものを用いればよく、例えば、上部電極層10aが主成分としてNiを含有する層である場合には、塩化鉄(FeCl)水溶液を用いることができる。
次に、カバー層14、上部電極10及び誘電体膜6aの表面にフォトレジストを塗布した後、フォトリソグラフィーによって、完成後の薄膜コンデンサ200が備える誘電体層6に対応したパターンを有するマスクを形成し、誘電体膜6aをエッチング液でエッチングすることにより、誘電体層6を形成する。誘電体層6を形成した後、カバー層14、上部電極14及び誘電体層6の表面を被覆するマスクを剥離する。なお、誘電体層6を形成するためのフォトレジストとしては、例えば、東京応化社製OFPR-800を用いればよい。また、誘電体層6を形成するためのエッチング液としては、例えば塩酸+フッ化アンモニウム水溶液を用いることができる。
次に、カバー層14、上部電極10、誘電体層6及び内部電極層8aの表面にフォトレジストを塗布した後、フォトリソグラフィーによって、完成後の薄膜コンデンサ200が備える内部電極8に対応したパターンを有するマスクを形成し、内部電極層8aをエッチング液でエッチングして、内部電極8を形成する。内部電極8を形成した後、カバー層14、上部電極10、誘電体層6及び内部電極8の表面を被覆するマスクを剥離する。
さらに、上記の処理を誘電体膜4aに対しても繰り返すことにより、完成後の薄膜コンデンサ100が備える誘電体層4が形成され、図6(b)に示す積層体200bが得られる。
そして、この積層体200bのうち、パターニングにより誘電体層4、内部電極8、誘電体層6、上部電極10、及びカバー層14が取り除かれた領域と、カバー層14の表面を覆うように絶縁性保護層16を形成すると共に、この上部電極10の上面に一対の端子電極12a、12bを形成する(S24、端子電極の形成・接続工程)。一方の端子電極12aは、下地電極2及び上部電極10とビアを介して電気的に接続させ、他方の端子電極12bは、内部電極8とビアを介して電気的に接続させる。さらに、端子電極12a,12bが配置された積層体に対してアニール処理を施す。これにより、図4に示す本実施形態に係る薄膜コンデンサ200が得られる。
上記の薄膜コンデンサ200の製造方法においても、積層体200aの上部電極層10aの上面を覆うカバー膜14aを積層(S21)した後に、焼成が行われる(S22)。したがって、上記の製造方法では、上部電極10や内部電極8が酸化されることがなく焼成が行われ、焼成により形成される酸化膜を除去する酸化膜除去工程が省略され、より簡単に薄膜コンデンサ200を作製することができる。
また、上記実施形態の薄膜コンデンサ200では、カバー層14と誘電体層4,6とが同じ組成を有する材料からなることにより、従来カバー層と誘電体層との間の材料の違いにより発生した応力を抑制することができるため、リーク電流の発生や膜間の剥離等応力の発生に由来すると考えられる事象を減少させることができ、より高い特性を有する薄膜コンデンサを作製することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明に係る薄膜コンデンサ及び薄膜コンデンサの製造方法は上記実施形態に限られず、種々の変更を行うことができる。例えば、上記実施形態では、下地電極2の上部に積層された複数の誘電体層4,6及びカバー層14は一度にまとめて焼成される態様について説明しているが、焼成を何度も行う(各誘電体層毎に行う)態様であってもよい。
なお、誘電体膜を積層する度に焼成を行う場合であっても、最上部の誘電体膜(すなわち誘電体膜6a)を焼成する前に誘導体膜6aの上部に上部電極層10a及びカバー膜14aを積層させて、最上部の誘電体膜が未焼成の積層部品を形成した後に焼成を行うことが好ましい。これにより、焼成による上部電極層10aの酸化が効果的に抑制される。この場合であっても、焼成回数を低減することができるとともに、誘電体膜6a、上部電極層10a、及びカバー膜14aが同時に高温で熱処理されることにより、これらの表面が安定な状態となり、特性が向上するという本発明の効果が奏される。
また、上述のように最上部の誘電体層となる誘電体膜(すなわち誘電体膜6a)を焼成する前に誘導体層6aの上部に上部電極10a及びカバー膜14aを積層させ積層体を形成した後に焼成を行うことが好ましいが、最上部の誘電体膜がすでに焼成されたものであって、その上に上部電極となる上部電極層及びカバー層となるカバー膜をこの順に積層した積層部品を焼成する態様としてもよい。このように、焼成された誘導体膜6aの上部に上部電極層10a及びカバー膜14aを積層させて積層部品を形成した後に焼成を行った場合であっても、カバー膜14aにより上部電極層10aが覆われていることから、焼成による上部電極層10aの酸化も抑制される。
また、カバー膜で覆われた上部電極層を焼成する焼成処理によって上部電極の結晶化が進み、電気的により安定な電極となるとともに、上部電極(上部電極層)と誘電体層(誘電体膜)の界面が高温の熱で処理されるため、界面の接合特性が向上し、リーク特性に優れる薄膜コンデンサが実現できる。電極と誘電体層の接合特性は、電極の仕事関数と誘電体層のバンド構造に応じて変化するが、上記実施形態で示した熱処理を行うことにより、界面構造が最適化され、効果的に薄膜コンデンサのリーク電流を減らすことができると考えられる。
また、上記実施形態では、下地電極2の上部に複数の誘電体層4,6が積層され、この誘電体層4,6の間に内部電極8が設けられた構成について説明しているが、下地電極2の上部に積層される誘電体層が一層である(すなわち、内部電極を設けない)薄膜コンデンサであってもよい。この場合でも、下地電極2の上部に設けられた一層の誘電体膜を焼成する前に誘電体膜の上部に上部電極層及びカバー膜を積層させた後に焼成を行うことにより、焼成による上部電極層の酸化が抑制されるという上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、第1実施形態の薄膜コンデンサ100では、誘電体層4,6と端子電極12a,12bのビアとの間にカバー層14が設けられる構成を備える。しかしながら、例えば、図7の薄膜コンデンサ300に示すように、誘電体層4の端面が端子電極12aから延びるビアに直接接し、また、誘電体層6の端面が端子電極12bから延びるビアに直接接する構成とすることもできる。この構成は、カバー層14と誘電体層4,6とが同じ組成の材料からなる場合に好適であり、このような構成とすることにより、パターニングに係る処理を減らすことができる。
また、上記実施形態では、内部電極8が1層のみである場合について説明したが、誘電体層4,6の数に応じて内部電極8の数は適宜増加させることができる。この場合、内部電極8の数に応じて端子電極12a,12bから延びるビアの配置は適宜変更される。
以下、実施例及び比較例に基づき本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1の薄膜コンデンサの作製)
実施例1として、図1に示す薄膜コンデンサ100を以下の方法により作製した。まず、50μm厚のNi箔の表面を鏡面状に研磨して下地電極2とした。次に、BaTiOをターゲットとしたスパッタリングによって、研磨されたNi箔の表面に誘電体膜4aとなるBaTiO膜を成膜した。この際、マスクを用い、図3(a)に示すようにパターン形成した。スパッタリングでは、Ni箔の温度を250℃に保持した。BaTiO膜の厚さは300nmとした。
次に、主成分としてNiをターゲットとしたスパッタリングによって、Ni層をBaTiO膜の表面に内部電極層8aとしてパターン形成した。内部電極層8aの厚さは200nmとした。さらに、同様に繰り返し、下地電極2、誘電体膜4a、内部電極層8a、誘電体膜6aおよび上部電極10aの5層からなる積層体100aを形成した。
次に、BaTiOをターゲットとしたスパッタリングによって、積層体100aの表面にBaTiO膜をカバー膜14aとして成膜して、図3(b)に示す積層体(積層部品)100bを得た。
次に、真空雰囲気中で積層体100bを800℃で焼成し、BaTiO膜からなる誘電体膜4a,6a及びカバー膜14aを結晶化させた。積層体の焼成後、積層体が備えるBaTiOからなる誘電体膜4a,6a及びカバー層14を、ウェットエッチングすることによって、カバー層14の上面に、上部電極10、内部電極8及び下地電極2にそれぞれ通じる開口をそれぞれ形成し図3(c)に示す積層体100cを作製した。BaTiO膜からなる誘電体膜4a,6a及びカバー層14のウェットエッチングでは、フォトレジストとして東京応化社製OFPR-800を用い、エッチング液として塩酸+フッ化アンモニウム水溶液を用いた。その後、下地電極2、誘電体層4、内部電極8、誘電体層6、上部電極10及びカバー層14の表面を覆うようにポリイミドからなる絶縁性保護層18を設けた後、スパッタリングによって、Cuからなる一対の端子電極12a,12bを形成して、1005サイズの薄膜コンデンサを得た。なお、一方の端子電極12aは、カバー層14に形成された開口を通じて、下地電極2及び上部電極10と電気的に接続させ、他方の端子電極12bは、カバー層14に形成された穴を通じて、内部電極8と電気的に接続させた。次に、安定化するため、真空雰囲気中で積層体100cを310℃でアニール処理し、実施例1に係る薄膜コンデンサ100を得た。
(実施例2の薄膜コンデンサの作製)
カバー膜14aの材料をBaTiOからSiOに変更した以外は実施例1と同様の製造方法により、実施例2に係る薄膜コンデンサ100を得た。なお、SiO膜からなるカバー層14のウェットエッチングでは、フォトレジストとして東京応化社製OFPR-800を用い、エッチング液として塩酸+フッ化アンモニウム水溶液を用いた。
(比較例1の薄膜コンデンサの作製)
比較例1として、図1に示す薄膜コンデンサ100のうち、カバー層14の領域も絶縁性保護層18により覆われる薄膜コンデンサを以下の方法により作製した。まず、50μm厚のNi箔の表面を鏡面状に研磨して下地電極2とした。次に、BaTiOをターゲットとしたスパッタリングによって、研磨されたNi箔の表面に誘電体膜4aとなるBaTiO膜を成膜した。この際、マスクを用い、図3(a)に示すようにパターン形成した。スパッタリングでは、Ni箔の温度を250℃に保持した。BaTiO膜の厚さは300nmとした。
次に、主成分としてNiをターゲットとしたスパッタリングによって、Ni層をBaTiO膜の表面に内部電極層8aとしてパターン形成した。内部電極層8aの厚さは200nmとした。さらに、同様に繰り返し、下地電極2、誘電体膜4a、内部電極層8a、誘電体膜6a及び上部電極10aの5層からなる積層体100aを形成した。
次に、真空雰囲気中で積層体100aを800℃で焼成し、BaTiO膜からなる誘電体膜4a,6aを結晶化させた。なお、積層体100aの焼成後、上部電極10の表面を顕微鏡で観察したところ、部分的に酸化が激しく進行して黒く変色していることが確認された。積層体100aの焼成後、下地電極2、誘電体層4、内部電極8、誘電体層6及び上部電極10の表面を覆うようにポリイミドからなる絶縁性保護層18を形成した後にこの絶縁性保護層18に開口を設け、スパッタリングによって、Cuからなる一対の端子電極12a,12bを形成して、1005サイズの薄膜コンデンサを得た。なお、一方の端子電極12aは、カバー層14に形成された開口を通じて、下地電極2及び上部電極10と電気的に接続させ、他方の端子電極12bは、カバー層14に形成された穴を通じて、内部電極8と電気的に接続させた。次に、安定化するため、真空雰囲気中で積層体100cを310℃でアニール処理し、比較例1に係る薄膜コンデンサ100を得た。
(評価1)
上記の実施例1,2及び比較例1に係る薄膜コンデンサについて、静電容量とリーク電流とを測定した。なお、リーク電流を測定する際に各薄膜コンデンサに印加する電圧を4Vとした。評価結果を表1に示す。表1に示すように、実施例1及び実施例2に係る薄膜コンデンサは、比較例1に係る薄膜コンデンサと比較して、静電容量が増大することが確認された。さらに、実施例1に係るコンデンサは、比較例1に係る薄膜コンデンサと比較して、リーク電流が5桁程度改善されることが確認され、また、実施例2に係る薄膜コンデンサは、比較例1に係る薄膜コンデンサと比較して、リーク電流が4桁程度改善されることが確認された。すなわち、上部電極層の表面をカバー膜が覆った状態で焼成を行った場合に、上部電極層が酸化することによる静電容量の低下やリーク電流の発生は特に見られなかったばかりか、リーク電流の大幅な改善が確認された。
さらに、誘電体層とカバー層とが同じ材料(BaTiO)である実施例1に係る薄膜コンデンサは、カバー層がSiOである実施例2に係る薄膜コンデンサと比較して、静電容量が増加することが確認された。特に、リーク電流については、カバー層の材料を変更することによりリーク電流が1.5桁向上することが確認され、実施例中最も低いリーク電流となることが確認された。さらに、実施例1及び実施例2に係る薄膜コンデンサによれば、下記の表1に示す初期特性に限られず、薄膜コンデンサに対して長時間電圧を印加した後のリーク電流の変化率、所謂信頼性についても向上することが確認された。
Figure 0005407775
(実施例3の薄膜コンデンサの作製)
次に、図4に示す薄膜コンデンサ200を以下の方法により作製した。まず、50μm厚のNi箔の表面を鏡面状に研磨し、下地電極2とした。次に、BaTiOをターゲットとしたスパッタリングによって、研磨されたNi箔(下地電極2)の表面に誘電体膜4aであるBaTiO膜を成膜した。なお、スパッタリングでは、Ni箔の温度を250℃に保持した。BaTiO膜の厚さは200nmとした。
次に、主成分としてNiを含有し、更に添加元素としてPdを15mol%含有するNi系金属をターゲットとしたスパッタリングによって、Ni系金属からなる層(内部電極層8a)をBaTiO膜の表面に形成した。内部電極層8aの厚さは200nmとした。
さらに、同様に繰り返し、下地電極2、誘電体膜4a、内部電極層8a、誘電体膜6aおよび上部電極層10aの5層からなる積層体を形成した。さらに、BaTiOをターゲットとしたスパッタリングによって、BaTiO膜をカバー膜14aとして成膜して、6層からなる積層体(積層部品)200aを得た。
次に、真空雰囲気中で積層体200aを800℃で焼成し、3つのBaTiO膜を焼結させた後、ウェットエッチングすることによって、上部電極10、誘電体層6、内部電極8及び誘電体層4を順次加工し、図6(b)に示す積層体200bを得た。なお、誘電体膜4a,6a及びカバー膜14aのウェットエッチングでは、フォトレジストとして東京応化社製OFPR-800を用い、エッチング液として塩酸+フッ化アンモニウム水溶液を用いた。内部電極層8aのウェットエッチングでは、フォトレジストとして東京応化社製OFPR-800を用い、エッチング液として塩化鉄(FeCl)水溶液を用いた。
次に、積層体200bの下地電極2、誘電体層4、内部電極8、誘電体層6、上部電極10およびカバー層14の表面を覆うように、ポリイミドからなる絶縁性保護層16を形成した。次に、保護層16の上面に、内部電極8及び下地電極2にそれぞれ通じる開口をそれぞれ形成し、カバー層14に上面に上位電極10に通じる開口を形成した後(図6(b)参照)、スパッタリングによって、Cuからなる一対の端子電極12a,12bを形成して、図4に示すように1005サイズの薄膜コンデンサを複数得た。
なお、一方の端子電極12aは、カバー層14に形成された開口を通じて上部電極10と電気的に接続させ、また、絶縁性保護層16に形成された開口を通じて下地電極2と電気的に接続させ、他方の端子電極12bは、絶縁性保護層16に形成された開口を通じて、内部電極8と電気的に接続させた。最後に、真空雰囲気中でこの積層体を310℃でアニール処理し、実施例3に係る薄膜コンデンサ300を得た。
(比較例2の薄膜コンデンサの作製)
図8に示す方法により、比較例2に係る薄膜コンデンサ400を作製した。すなわち、実施例3に係る薄膜コンデンサの製造方法と同様に、50μm厚のNi箔の表面を鏡面状に研磨し、下地電極2とした。その後、この上面に各層を積層することにより、下地電極2、誘電体膜(BaTiO膜)4a、内部電極層8a及び誘電体膜(BaTiO膜)6aの4層が順次積層された積層体400aを作製した(図8(a))。
次に、真空雰囲気中で積層体400aを800℃で焼成した。積層体400aの焼成後、Ni箔の反対側に位置する表面に、Cuからなる上部電極層10aを形成して、下地電極2、誘電体膜4a、内部電極層8a、誘電体膜6a及び上部電極層10aの5層からなる積層体を形成した。なお、上部電極層10aは、Cuをターゲットとするスパッタリングにより形成される。その後、この積層体に対してウェットエッチングすることによって、上部電極10、誘電体層6、内部電極8及び誘電体層4を順次加工することにより、図8(b)に示す積層体400bを得た。なお、上部電極層10aのCuのウェットエッチングでは、フォトレジストとして東京応化社製OFPR-800を用い、エッチング液として過硫酸アンモニウム水溶液を用いた。誘電体膜4a,6aのウェットエッチングでは、フォトレジストとして東京応化社製OFPR-800を用い、エッチング液として塩酸+フッ化アンモニウム水溶液を用いた。内部電極層8aのウェットエッチングでは、フォトレジストとして東京応化社製OFPR-800を用い、エッチング液として塩化鉄(FeCl)水溶液を用いた。
次に、積層体400bが備える下地電極2、誘電体層4、内部電極8、誘電体層6及び上部電極10の表面を覆うようにポリイミドからなる絶縁性保護層16を形成した後にこの保護層16に開口を設け、スパッタリングによって、Cuからなる一対の端子電極12a,12bを形成した。なお、一方の端子電極12a,12bは、絶縁性保護層16に形成された開口を通じて、下地電極2及び上部電極10と電気的に接続させ、他方の端子電極12bは、絶縁性保護層16に形成された開口を通じて、内部電極8と電気的に接続させた。最後に、真空雰囲気中で積層体を310℃でアニール処理し、図8(c)に示すように比較例2に係る薄膜コンデンサ400を得た。
(評価2)
上記の実施例3及び比較例2に係る薄膜コンデンサについて、静電容量とリーク電流とを測定した。なお、リーク電流を測定する際に各薄膜コンデンサに印加する電圧を4Vとした。評価結果を表2に示す。表2に示すように、実施例3に係る薄膜コンデンサは、比較例2に係る薄膜コンデンサと比較して、静電容量が同等又は若干増大することが確認された。さらに、実施例3に係る薄膜コンデンサは、比較例2に係る薄膜コンデンサと比較して、リーク電流が1桁程度改善されることが確認された。すなわち、上部電極層の表面をカバー膜が覆った状態で焼成を行った場合に、上部電極層が酸化することによる静電容量の低下やリーク電流の発生は特に見られなかったばかりか、リーク電流の大幅な改善が確認された。そして、下記の表2に示す初期特性に限られず、薄膜コンデンサに対して長時間電圧を印加した後のリーク電流の変化率、所謂信頼性についても実施例3に係る薄膜コンデンサにおいて比較例2に係るコンデンサと比較して向上することが確認された。これは、実施例3に係る薄膜コンデンサでは、誘電体膜の結晶化のために、誘電体膜と電極とが同時に高温で熱処理されることにより、これらの界面が安定な状態になるためであると考えられる。
Figure 0005407775
(実施例4の薄膜コンデンサの作製)
次に、図9(b)に示す薄膜コンデンサ500を以下の方法により作製した。まず、50μm厚のNi箔の表面を鏡面状に研磨し、下地電極2とした。次に、BaTiOをターゲットとしたスパッタリングによって、研磨されたNi箔(下地電極2)の表面に誘電体膜4aであるBaTiO膜を成膜した。なお、スパッタリングでは、Ni箔の温度を250℃に保持した。BaTiO膜の厚さは200nmとした。
次に、この下地電極2と誘電体膜4aとを800℃で焼成し、BaTiOからなる誘電体膜4aを焼結させた。
次に、主成分としてNiを含有し、更に添加元素としてPdを15mol%含有するNi系金属をターゲットとしたスパッタリングによって、Ni系金属からなる層(上部電極層10a)をBaTiO膜の表面に形成した。この上部電極層10aの厚さは200nmとした。さらに、BaTiOをターゲットとしたスパッタリングによって、BaTiO膜をカバー膜14aとして成膜して、図9(a)に示すように4層からなる積層体(積層部品)500aを得た。
次に、真空雰囲気中で積層体500aを800℃で焼成し、BaTiO膜を焼結させた後、ウェットエッチングすることによって、上部電極10、誘電体層4を順次加工し、図9(b)の薄膜コンデンサ500と同様の積層体を得た。なお、誘電体膜4a及びカバー膜14aのウェットエッチングでは、フォトレジストとして東京応化社製OFPR-800を用い、エッチング液として塩酸+フッ化アンモニウム水溶液を用いた。上部電極層10aのウェットエッチングでは、フォトレジストとして東京応化社製OFPR-800を用い、エッチング液として塩化鉄(FeCl)水溶液を用いた。
この積層体は、下地電極2と上部電極10(上部電極層10a)との間がコンデンサとして機能する。最後に、真空雰囲気中でこの積層体を310℃でアニール処理し、図9(b)に示すように実施例4に係る薄膜コンデンサ500を得た。
(比較例3の薄膜コンデンサの作製)
次に、図10(b)に示す比較例3に係る薄膜コンデンサ600を以下の方法により作製した。すなわち、実施例4に係る薄膜コンデンサ500と同様に、50μm厚のNi箔の表面を鏡面状に研磨し、下地電極2とした。次に、BaTiOをターゲットとしたスパッタリングによって、研磨されたNi箔(下地電極2)の表面に誘電体膜4aであるBaTiO膜を成膜した。なお、スパッタリングでは、Ni箔の温度を250℃に保持した。BaTiO膜の厚さは200nmとした。その後、この膜構造を800℃で焼成し、BaTiO膜を焼結させた。
次に、主成分としてNiを含有し、更に添加元素としてPdを15mol%含有するNi系金属をターゲットとしたスパッタリングによって、Ni系金属からなる層(上部電極層10a)をBaTiO膜の表面に形成した。上部電極層10aの厚さは200nmとした。
その後、この積層体に対してウェットエッチングすることによって、上部電極層10a、誘電体膜4aを順次加工することにより、図10(b)に示す薄膜コンデンサ600と同様に、下地電極2、誘電体膜4a及び上部電極層10aがこの順に積層された積層体を得た。なお、上部電極層10aのウェットエッチングでは、フォトレジストとして東京応化社製OFPR-800を用い、エッチング液として塩化鉄(FeCl)水溶液を用いた。また、誘電体膜4aのウェットエッチングでは、フォトレジストとして東京応化社製OFPR-800を用い、エッチング液として塩酸+フッ化アンモニウム水溶液を用いた。
上記のウェットエッチング後の積層体は、下地電極2、上部電極10(上部電極層10a)によりコンデンサとなる。最後に、真空雰囲気中でこの積層体を310℃でアニール処理し、図10(b)に示すように比較例3に係る薄膜コンデンサ600を得た。
(評価3)
上記の実施例4及び比較例3に係る薄膜コンデンサについて、静電容量とリーク電流とを測定した。具体的には、実施例4の薄膜コンデンサ500の下地電極2、上部電極10及び比較例3の薄膜コンデンサ600の下地電極2、上部電極10にそれぞれ測定用のプローブを接触させることにより電気的特性を評価した。なお、リーク電流を測定する際に各薄膜コンデンサに印加する電圧を4Vとした。
評価結果を表3に示す。表3に示すように、実施例4に係る薄膜コンデンサは、比較例3に係る薄膜コンデンサと比較して、静電容量が同等又は増大することが確認された。さらに、実施例4に係る薄膜コンデンサは、比較例3に係る薄膜コンデンサと比較して、リーク電流が2桁程度改善されることが確認された。すなわち、上部電極層の表面をカバー膜が覆った状態で焼成を行った場合に、上部電極層が酸化することによる静電容量の低下やリーク電流の発生は特に見られなかったばかりか、リーク電流の大幅な改善が確認された。そして、下記の表3に示す初期特性に限られず、薄膜コンデンサに対して長時間電圧を印加した後のリーク電流の変化率、所謂信頼性についても実施例4に係る薄膜コンデンサにおいて比較例3に係るコンデンサと比較して向上することが確認された。これは、実施例4に係る薄膜コンデンサでは、高温の処理により、上部電極の結晶化が進み、電気的により安定な電極となるとともに、上部電極と誘電体層の界面が高温の熱で処理されるため、界面の接合特性が向上したためであると考えられる。
Figure 0005407775
100,200,300,400,500,600…薄膜コンデンサ、2…下地電極、4,6…誘電体層、8…内部電極、10…上部電極、12a,12b…端子電極、14…カバー層、16,18…絶縁性保護層。

Claims (10)

  1. 下地電極と、下地電極上に積層された複数の誘電体層と、前記複数の誘電体層に挟まれた内部電極と、前記複数の誘電体層を挟んで前記下地電極の反対側に積層された上部電極と、前記上部電極上に積層されたカバー層と、を含んで構成される薄膜コンデンサの製造方法であって、
    前記複数の誘電体層となる未焼成の複数の誘電体膜上に、前記上部電極となる上部電極層と前記カバー層となるカバー膜とを積層して積層部品を作製する工程と、
    前記積層部品を焼成する工程と、
    を備えることを特徴とする薄膜コンデンサの製造方法。
  2. 下地電極と、下地電極上に積層された複数の誘電体層と、前記複数の誘電体層に挟まれた内部電極と、前記複数の誘電体層を挟んで前記下地電極の反対側に積層された上部電極と、前記上部電極上に積層されたカバー層と、を含んで構成される薄膜コンデンサの製造方法であって、
    前記複数の誘電体層のうちの一の誘電体層となる焼成後の誘電体膜上に、前記内部電極となる内部電極層を積層し、当該内部電極層の上に前記一の誘電体層とは異なる誘電体層となる誘電体膜を積層した後に、当該誘電体膜が未焼成の状態で前記上部電極となる上部電極層と前記カバー層となるカバー膜とを積層して積層部品を作製する工程と、
    前記積層部品を焼成する工程と、
    を備えることを特徴とする薄膜コンデンサの製造方法。
  3. 前記下地電極は、基板と電極とを兼用することを特徴とする請求項1又は2記載の薄膜コンデンサの製造方法。
  4. 前記カバー膜は前記誘電体膜と同じ組成の材料からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の薄膜コンデンサの製造方法。
  5. 焼成された前記積層部品をパターニングし、端子電極を設ける工程をさらに備えることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の薄膜コンデンサの製造方法。
  6. 下地電極と、下地電極上に積層された複数の誘電体層と、前記複数の誘電体層に挟まれた内部電極と、前記複数の誘電体層を挟んで前記下地電極の反対側に積層された上部電極と、前記上部電極上に積層されたカバー層と、を含んで構成される薄膜コンデンサであって、
    前記複数の誘電体層となる未焼成の複数の誘電体膜上に、前記上部電極となる上部電極層と前記カバー層となるカバー膜とを積層して積層部品を作製し、該積層部品を焼成して形成された
    ことを特徴とする薄膜コンデンサ。
  7. 下地電極と、下地電極上に積層された複数の誘電体層と、前記複数の誘電体層に挟まれた内部電極と、前記複数の誘電体層を挟んで前記下地電極の反対側に積層された上部電極と、前記上部電極上に積層されたカバー層と、を含んで構成される薄膜コンデンサであって、
    前記複数の誘電体層のうちの一の誘電体層となる焼成後の誘電体膜上に、前記内部電極となる内部電極層を積層し、当該内部電極層の上に前記一の誘電体層とは異なる誘電体層となる誘電体膜を積層した後に、当該誘電体膜が未焼成の状態で前記上部電極となる上部電極層と前記カバー層となるカバー膜とを積層して積層部品を作製し、該積層部品を焼成して形成された
    ことを特徴とする薄膜コンデンサ。
  8. 前記下地電極は、基板と電極とを兼用することを特徴とする請求項6又は7記載の薄膜コンデンサ。
  9. 前記カバー層は前記誘電体層と同じ組成の材料からなることを特徴とする請求項6〜8のいずれか一項に記載の薄膜コンデンサ。
  10. 焼成された前記積層部品をパターニングして設けた端子電極をさらに備えることを特徴とする請求項6〜9のいずれか一項に記載の薄膜コンデンサ。
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