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JP5424259B2 - 太陽電池および太陽電池モジュール - Google Patents
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Description

本発明は、太陽電池および太陽電池モジュールに関するものである。
化石燃料に代るエネルギー源として、太陽光を電力に変換することができる電池、すなわち太陽電池が注目されている。現在、結晶系シリコン基板を用いた太陽電池および薄膜シリコン太陽電池が一部実用化され始めている。しかし、前者はシリコン基板の製造コストが高いという問題があり、後者は多くの種類の半導体製造用ガスや複雑な装置を用いる必要があるために製造コストが高くなるという問題がある。このため、いずれの太陽電池においても発電出力当たりのコストを低減するために光電変換の高効率化の努力が続けられているが、上記の問題を解決するには至っていない。
新しいタイプの太陽電池として、金属錯体の光誘起電子移動を応用した湿式太陽電池や量子ドットを用いた湿式太陽電池が提案されている。前者は特許第2664194号(特許文献1)に示され、後者は特開2008−287900号公報(特許文献2)に示されている。
これらの湿式太陽電池は、2枚のガラス基板の表面にそれぞれ電極を形成し、これらの電極が内側となるように2枚のガラス基板を配置し、電極間に光電変換層を挟み込むように配置したものである。光電変換層は、光増感色素を吸着させて可視光領域に吸収スペクトルをもたせた光電変換材料と電解質材料とからなる。このような湿式太陽電池は「色素増感太陽電池」とも呼ばれる。
具体的には、図15に示すように、2枚のガラス基板の間に電解液を注入することで色素増感太陽電池セルを作製している。図15においては、第1支持体101と第2支持体102とが封止材104によって貼り合わせられている。第1支持体101と第2支持体102とはそれぞれガラス基板である。第1支持体101の表面には対向導電層106が形成されており、第2支持体102の表面には導電層103が形成されている。第1支持体101の表面のうち封止材104より内側には光電変換層105が配置されている。封止材104の内側で光電変換層105以外の部分には電解液107が満たされている。
このような構成の湿式太陽電池セルに光が照射されると、光電変換層105で電子が発生し、発生した電子が外部電気回路を通って対向導電層106に移動し、移動した電子が電解液107中のイオンにより対向する電極に運ばれて光電変換層に戻る。このような一連の電子の流れにより、電気エネルギーが取り出される。
しかしながら、特許文献1に記載された色素増感太陽電池の基本構造は、対向する2枚の透明導電膜付きガラス基板の間に電解液を注入したセル形態であり、小面積の太陽電池の試作は可能であっても、たとえば1m角のような大面積の太陽電池への適用は困難である。1つの太陽電池セルの面積を大きくすると、発生電流は面積に比例して増加するが、電極部分に用いる透明導電膜の面内方向の抵抗成分が極端に増大し、ひいては太陽電池としての内部直列抵抗が増大する。その結果、光電変換時の電流電圧特性におけるFF(フィルファクター:曲線因子)が低下し、光電変換効率が低下するという問題が起こる。
そこで、内部直列抵抗に関する問題を解決するために、細長い短冊状の色素増感太陽電池セルを複数作製し、これらをストライプ状に並べて直列接続することで色素増感太陽電池モジュールを構成することが提案されている。
色素増感太陽電池モジュールの形態としては、いくつかのタイプが考えられる。たとえば特開2006−244954号公報(特許文献3)に、Z型と呼ばれる色素増感太陽電池モジュールが記載されており、特開2005−235725号公報(特許文献4)には、W型と呼ばれる色素増感太陽電池モジュールが記載されている。また、より低コスト化、軽量化を目的として、1枚の透明導電膜付きガラス基板上に、複数の色素増感太陽電池セルが直列接続されるよう配置した色素増感太陽電池モジュールが提案されている。これはたとえば国際公開第WO97/16838号パンフレット(特許文献5)に記載されている。
従来技術では、たとえば特開2007−59181号公報(特許文献6)に記載されているように、セルの端部から電解液の注入が行われていた。しかしながら、特許文献2や特許文献3に記載されているような、細長い短冊状の色素増感太陽電池セルを、複数ストライプ状に並べて直列接続した色素増感太陽電池モジュールを作製する場合には、この電解液注入方法では、以下に述べるような大きな問題点が存在する。
細長い短冊状の色素増感太陽電池セルを、複数ストライプ状に並べて直列接続した現状のセル構造では、太陽電池セルの面積を大きくすると、短冊状のセルの長さが長くならざるを得ない。このため、端部からの電解液注入では、大幅な時間を要してしまい、セル作製の作業効率が悪くなってしまう。また、端部からの電解液注入では、セルの中ほどへの電解液の注入が不十分となり、変換効率の低下につながるおそれがある。
特許第2664194号 特開2008−287900号公報 特開2006−244954号公報 特開2005−235725号公報 国際公開第WO97/16838号パンフレット 特開2007−59181号公報
現在、色素増感太陽電池などのように電解液を用いた太陽電池を作製する場合、その製造方法には、太陽電池内部に電解液を注入する工程が含まれる。この工程では、セル内部を減圧して真空状態にした後、電解液の注入を行なっている。この工程において電解液が十分にセル内部に充填されているか否かで、最終製品である太陽電池の性能が左右される。電解液の注入率を高めるには、セル内部を十分に減圧することが重要である。ここで、特許文献6に示されている従来技術によれば、セル内部へ電解液を注入するとき、多孔性光電変換層の端部に開口部を設け、この開口部からセル内部の減圧を行なった後、開口部から電解液の注入を行なっていた。この方法では、特にセル全体が大面積化された場合には、太陽電池全体への電解液浸透が困難であり、時間がかかるという問題、および、電解液の注入が不十分で光電変換効率の低下につながってしまうという問題があった。
本発明は、セル内部の減圧を効率良く行なうことができ、セル全体への電解液の注入に要する時間を短縮することができる太陽電池および太陽電池モジュールを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に基づく湿式太陽電池は、透光性基板と、上記透光性基板と平行に配置された支持基板と、上記透光性基板と上記支持基板との間において互いに離隔するように配置された光電変換部および対極と、上記光電変換部および上記対極に接しつつ上記透光性基板と上記支持基板との間に配置された電解質部と、長軸および上記長軸に垂直な短軸によって規定しうる領域である電解質配置領域内に上記電解質部を留めるように上記電解質部を取り囲んで封止する封止部とを備え、上記電解質配置領域の上記長軸方向の少なくとも一方の端部に上記電解質部と外部とを連通する第1開口部が設けられており、上記電解質配置領域の上記長軸方向の中間部に上記電解質部と外部とを連通する1以上の第2開口部が設けられており、上記第1および第2開口部は封止されている。
本発明によれば、第1開口部に加えて設けられた第2開口部を通じて太陽電池セル内部の減圧を行なうことが可能となるので、効率良く減圧を行なうことができる。また、第1開口部に加えて設けられた第2開口部から太陽電池セル全体への電解液注入を行なうことが可能となるので、太陽電池全体への十分な電解液浸透が容易になり、電解液の注入に要する時間を短縮することが可能となる。
本発明に基づく実施の形態1における太陽電池の断面図である。 本発明に基づく実施の形態1における太陽電池の平面図である。 本発明に基づく実施の形態1における太陽電池の電解質配置領域の平面図である。 本発明に基づく実施の形態1における太陽電池の第1の変形例である。 本発明に基づく実施の形態1における太陽電池の第2の変形例である。 本発明に基づく実施の形態1における太陽電池の第3の変形例である。 本発明に基づく実施の形態1における太陽電池の第4の変形例である。 本発明に基づく実施の形態1における太陽電池の第5の変形例である。 本発明に基づく実施の形態1における太陽電池の第6の変形例である。 本発明に基づく実施の形態2における太陽電池モジュールの平面図である。 本発明に基づく実施の形態2における太陽電池モジュールの断面図である。 本発明に基づく実施の形態2における太陽電池モジュールの第1の変形例の断面図である。 本発明に基づく実施の形態2における太陽電池モジュールの第2の変形例の断面図である。 実施例6〜12において3ヶ所に設けた第2開口部の位置関係を示す平面図である。 従来技術に基づく太陽電池の断面図である。
一般的に、太陽電池のセルに電解液を注入するためには、電解液を充填すべき領域の端部に開口部を形成し、その開口部を通じて、電解液を充填すべき領域の減圧を行なうことが行われる。減圧した後に同じ開口部から電解液の注入が行なわれる。電解液の注入にこのような方法が採られるのは、多孔性光電変換層や多孔性絶縁層などの微細孔の内部にまで確実に電解液を浸入させるためである。そのためには、これら多孔性素材で構成される層の内部の空気を抜き出して、真空状態にした後、電解液を注入しなければならない。しかし、従来技術では、開口部は、電解液を充填すべき領域の端部のみに設けられていた。その場合、特に大面積化した太陽電池セルに対しては、電解液を充填すべき領域の内部の減圧、および、太陽電池セル全体への電解液浸透が困難であり、時間がかかっていた。また、電解液を充填すべき領域の容量に比べて電解液の注入が不十分となり、その結果、太陽電池セルの内部に気泡が形成されてしまい、光電変換効率の低下をもたらすおそれもあった。これらの問題を解決すべく、発明者らは鋭意研究を行った結果、本発明をなすに至った。
以下では、電解液の注入を要する太陽電池の代表例として、色素増感太陽電池について説明を行なうが、本発明の適用対象はこれに限らない。本発明は、色素増感太陽電池、量子ドット太陽電池などのように電解液を用いる湿式太陽電池全般に適用可能な発明である。
(実施の形態1)
(構成)
図1、図2を参照して、本発明に基づく実施の形態1における太陽電池について説明する。本実施の形態における太陽電池の断面図を図1に示し、この太陽電池の平面図を図2に示す。太陽電池51は、湿式太陽電池である。太陽電池51は、透光性基板1と、この透光性基板1と平行に配置された支持基板2と、透光性基板1と支持基板2との間において互いに離隔するように配置された光電変換部5および対極6と、光電変換部5および対極6に接しつつ透光性基板1と支持基板2との間に配置された電解質部7と、長軸81および長軸81に垂直な短軸82によって規定しうる領域である電解質配置領域11内に電解質部7を留めるように電解質部7を取り囲んで封止する封止部4とを備える。電解質配置領域11の長軸81方向の少なくとも一方の端部には電解質部7と外部とを連通する第1開口部8が設けられている。電解質配置領域11の長軸81方向の中間部には電解質部7と外部とを連通する1以上の第2開口部9が設けられている。第1および第2開口部8,9は封止されている。対極6は導電性を有する。
太陽電池51は色素増感太陽電池である。光電変換部5は色素が吸着された多孔質の光電変換層である。図1に示すように、透光性基板1の支持基板2に対向する側の表面には透明導電膜3が形成されており、光電変換部5は透明導電膜3と電気的に接続するように配置されている。図2において電解質配置領域11は封止部4によって取り囲まれる領域である。本実施の形態では、第1および第2開口部8,9の封止は開口部封止材10を付着させることによって行われているが、他の方法で封止を行なうこととしてもよい。第1開口部8は、電解質配置領域11の長軸81方向の一方の端部のみに設けられていてもよいが、本実施の形態で示すように両端に設けられていることが好ましい。両端に設けられた第1開口部8は、個別に区別するために第1開口部8a,8bと呼ぶものとする。
(作用・効果)
本実施の形態における太陽電池51の受光面は、図1における下側の面すなわち透光性基板1の下面である。したがって、光12は、図1に示すように入射して透光性基板1および透明導電膜3を透過して光電変換部5に至る。その結果、発電が行なわれる。
太陽電池51を製造するためには、電解質部7を形成するために太陽電池セル内部に電解液を注入する必要があるが、本実施の形態では、第1開口部8に加えて第2開口部9が設けられているので、従来技術に比べて電解液の注入を容易にすることができる。
本実施の形態における太陽電池では、その製造現場において、電解液を注入しようとする際には、減圧工程および電解液の注入工程に用いることができる開口部が、従来技術に基づく太陽電池よりも多く設けられているため、好都合である。すなわち、多く設けられた開口部を通じて太陽電池セル内部の減圧を行なうことが可能となるので、効率良く減圧を行なうことができる。また、多く設けられた開口部から太陽電池全体への電解液注入を行なうことが可能となるので、太陽電池セル全体への電解液浸透が容易になり、電解液の注入に要する時間を短縮することが可能となる。太陽電池がこのような構成を備えることで、短時間の作業によって太陽電池セル内部に電解液を十分に充填させることが可能となる。その結果、充填不足などの事態を回避することができ、ひいては光電変換効率の低下を抑制することができる。
開口部は、電解質配置領域11の端部近辺だけに設けられるよりも、電解質配置領域11の中間部にも設けられている方が、電解液の注入が容易になり、電解液の注入時間を短縮することができるので好ましい。特に中間部のうちでも中央付近に設けることが好ましい。また、そのように中間部に開口部を設けることとすれば、太陽電池セル内に電解液を不足なく充填させることが可能となり、光電変換効率の低下を抑えることができるので好ましい。
なお、本実施の形態では、第2開口部9は、支持基板2に設けられているが、本発明の作用効果を奏するためには、第2開口部9を設ける位置が支持基板2の側に限らず、透光性基板1の側であってもよい。側面に何らかの手段で設けることとしてもよい。ただし、本実施の形態で示したように、第2開口部は支持基板2に設けられていることが好ましい。このようになっていれば、光の入射を妨げる度合いを低減することができるからである。
第1開口部8a,8bについても同様である。すなわち、透光性基板1の側に設けられていてもよいが、支持基板2の側に設けられていることが好ましい。
電解質配置領域11の「中間部」の定義について説明する。電解質配置領域11は平面的には図3に示すような長手形状である。電解質配置領域11は長方形であってもよく、長方形の頂点を若干丸くした形状であってもよい。この長手方向の両端近傍は端部13である。2つの端部13に挟まれた間の領域が中間部14である。言い換えれば、端部13以外の部分が中間部14である。
本実施の形態では、第2開口部9は、中央に設けられていたが、中央に限らず、中間部14の範囲内のいずれかの箇所に設けられていてもよい。したがって、たとえば図4に示すような配列であってもよい。
本実施の形態では、第2開口部9は、1ヶ所のみに設けられていたが、第2開口部9は、中間部14の中の複数箇所に設けられていてもよい。したがって、たとえば図5、図6に示すような配列であってもよい。
本実施の形態では、第2開口部9は、長軸81に重なるように配置されていたが、長軸81に重ならないように配置されていてもよい。したがって、たとえば図7、図8に示すような配列であってもよい。
第2開口部9が複数ある場合には、必ずしも一直線状に配置されていなくてもよい。ただし、第2開口部9が複数ある場合には、長軸81に重なるように等間隔で配列されることが好ましい。そのような配列になっていれば、セル内部の減圧およびセル内部への電解液の注入を効率良く行なうことができるからである。
第1開口部8についても、本実施の形態では、電解質配置領域11の端部において短辺の中央に配置された例を示しているが、電解質配置領域11の端部であればよく、短辺の中央とは限らない。したがって、たとえば図9に示すような配列であってもよい。
(各構成要素の詳細)
以下に、本実施の形態における太陽電池の各構成要素について詳細に説明する。
(透光性基板および支持基板)
太陽電池の受光面を構成する透光性基板1の材料としては、たとえば、ソーダガラス、溶融石英ガラス、結晶石英ガラスなどのガラス基板、可撓性フィルムなどの耐熱性樹脂板などが採用可能である。また、透光性基板1は、厚さ0.2〜5mmで、250℃以上の耐熱性を有するものが好ましい。
ここでいう「可撓性フィルム」を構成する材料としては、たとえば、テトラアセチルセルロース(TAC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリフェニレンスルファイド(PPS)、ポリカーボネート(PC)、ポリアリレート(PA)、ポリエーテルイミド(PEI)、フェノキシ樹脂、テフロン(登録商標)などが挙げられる。
支持基板2上に加熱を伴って他の層を形成する場合、たとえば、支持基板2上に250℃程度の加熱を伴って導電層を形成する場合には、上に挙げた可撓性フィルムの材料の中でも、250℃以上の耐熱性を有するテフロン(登録商標)が特に好ましい。
(透明導電膜および対極における導電層)
受光面側の透明導電膜3の材料としては、少なくとも後述する増感色素に実効的な感度を有する波長の光を実質的に透過するものであればよく、必ずしもすべての波長域の光に対して透過性を有するものである必要はない。透明導電膜3の材料としては、たとえば、ITO(インジウム−スズ複合酸化物)、フッ素ドープされた酸化スズ、ボロン、ガリウムまたはアルミニウムがドープされた酸化亜鉛、ニオブがドープされた酸化チタンなどの透明導電性金属酸化物が挙げられる。あるいは、透明導電膜3は、金、銀、アルミニウム、インジウム、白金、カーボン(カーボンブラック、グラファイト、ガラス炭素、アモルファス炭素、ハードカーボン、ソフトカーボン、カーボンホイスカー、カーボンナノチューブ、フラーレン)などの不透明材料を薄膜化することによって透光性をもたせたものであってもよい。ただし、透明導電膜3に金属材料を用いる場合、電解液に腐食される材料もあるので、腐食防止のために、透明導電膜3のうち電解液と接触する部分に腐食に強い材料をコーティングしておいてもよい。
受光面と反対側の対極6の材料としては、透明導電膜3の材料として説明したものと同じ範囲のものを用いることができる。なお、対極6には透光性は必要ではない。したがって、不透明な材料であっても、透光性が生じるほど薄膜化する必要はなく、厚いままで用いることができる。
太陽電池51の電解質部7にヨウ素が含まれる場合は、透明導電膜3および対極6は耐ヨウ素性を有する材料で形成することが望ましい。
透明導電膜3および対極6は、PVD法、蒸着法、スパッタリング法、塗布法などの公知技術により形成することができる。
(対極)
本実施の形態では、触媒層と、集電電極の機能を有する導電層とを合わせたものを「対極」と呼ぶものとする。ここでいう触媒層は、触媒能を有し、後述する電解質部の酸化還元反応を活性化させる働きを有する。触媒層が高い導電性を有する場合、または、導電層が触媒能を有する場合は、それぞれ単独で対極とすることができる。
触媒層としては、後述する電解質部の酸化還元反応を活性化させるものであればよく、たとえば、白金、塩化白金、カーボン(カーボンブラック、グラファイト、ガラス炭素、アモルファス炭素、ハードカーボン、ソフトカーボン、カーボンホイスカー、カーボンナノチューブ、フラーレン)が採用可能である。
本実施の形態では、受光する側を透光性基板1とし、透光性基板1には光電変換部5を設け、受光しない側は支持基板2として、支持基板2には触媒層を兼ねる対極6を設けて、電解質部7を挟んで両者を対向させた構成としたが、これ以外の構成の例として、受光する側の透光性基板1に光電変換部と触媒層との両方を設置した構成としてもよい。この場合の触媒層においては、上述の透明導電膜3と同様に光透過性が必要となるので、薄膜化する必要がある。触媒層の材料によって好ましい膜厚は異なるが、たとえば白金を用いる場合には、好ましくは厚み0.5〜300nmであり、さらに好ましくは、厚み1〜30nmである。触媒層は、PVD法、蒸着法、スパッタリング法、塗布法などの公知技術により形成することができる。
(多孔質の光電変換部)
上述のように光電変換部5は色素が吸着された多孔質の素材で形成される。光電変換部5は多孔質半導体層であってもよい。
多孔質半導体層は、半導体から構成され、その形態は、粒子状、多数の微細孔を有する膜状など、種々の形態のものを用いることができるが、膜状の形態が好ましい。
多孔質半導体層を構成する半導体材料としては、一般に光電変換材料に使用されるものであれば特に限定されない。このような材料としては、たとえば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、酸化鉄、酸化ニオブ、酸化セリウム、酸化タングステン、酸化ニッケル、チタン酸ストロンチウム、硫化カドミウム、硫化鉛、硫化亜鉛、リン化インジウム、銅−インジウム硫化物(CuInS2)、CuAlO2、SrCu22など化合物およびこれらの組合せが挙げられる。これらの中でも、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、酸化ニオブが好ましい。光電変換効率、安定性および安全性の点からは酸化チタンが特に好ましい。これらの半導体材料のうち2種以上の混合物によって光電変換部5を形成することとしてもよい。
本発明において、酸化チタンは、アナターゼ型酸化チタン、ルチル型酸化チタン、無定形酸化チタン、メタチタン酸、オルソチタン酸などの各種の狭義の酸化チタンおよび水酸化チタン、含水酸化チタンなどを包含し、これらは単独または混合物として用いることができる。アナターゼ型とルチル型との2種類の結晶系に関していえば、酸化チタンの製法や熱履歴によりいずれの形態にもなり得るが、アナターゼ型が一般的である。
多孔質半導体層を構成する上述の半導体材料は、安定性、結晶成長の容易さ、製造コストなどの観点から、微粒子からなる多結晶焼結体とすることが好ましい。ここでいう「微粒子」の粒径は、入射光を高い収率で電気エネルギーに変換するために、投影面積に対して十分に大きい実効表面積を得る観点から、平均粒径5nm以上50nm未満(好ましくは10nm以上30nm以下)が好ましい。
多孔質半導体層の光散乱性は、層形成に用いる半導体材料の粒子径(平均粒径)により調整することができる。多孔質半導体層の形成条件にもよるが、具体的には、平均粒径の大きい半導体粒子で形成した多孔質半導体層は、光散乱性が高くなるので、入射光を散乱させて光捕捉率を向上させることができる。平均粒径の小さい半導体粒子で形成した多孔質半導体層は、光散乱性が低く、色素の吸着点をより多くして吸着量を増加させることができる。
したがって本発明において、上述の微粒子からなる多結晶焼結体の上に、平均粒径が50nm以上、好ましくは50nm以上600nm以下の半導体粒子からなる層を設けてもよい。
多孔質半導体層は、光捕捉率を効率良く向上させるために、各層の光散乱性が異なる3層以上の積層構造としてもよい。この場合、後述する色素の吸収範囲に対応して、光を散乱、反射させるような粒子径を複数用いて、多孔質半導体層を複数層形成してもよい。
半導体材料の平均粒径は、本発明の効果を発揮し得る上述の範囲内であれば特に限定されないが、入射光を光電変換に有効利用するという点では、市販の半導体材料粉末のようにある程度平均粒径が揃っているものが好ましい。
光散乱性の高い多孔質半導体層は構成する半導体材料の平均粒径が大きいために機械的強度が低くなる。特に対極6と接触するおそれがある位置にこのような多孔質半導体層が光電変換部5として配置される場合、太陽電池の構造として強度不足が問題となり得る。このような場合には、平均粒径の大きい半導体材料に平均粒径の小さい半導体材料を、例えば10重量%以下の割合で配合して、多孔質半導体層を機械的に強化してもよい。
導電層上に膜状の多孔質半導体層を形成する方法としては、特に限定されず、いくつかの公知の方法が挙げられる。具体的には、
(1)スクリーン印刷法、インクジェット法などにより、半導体粒子を含有するペーストを導電層上に塗布した後、焼成する方法、
(2)所望の原料ガスを用いたCVD(Chemical Vapor Deposition)法またはMOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法などにより、導電層上に成膜する方法、
(3)原料固体を用いたPVD(Physical Vapor Deposition)法、蒸着法、スパッタリング法などにより、導電層上に成膜する方法、
(4)ゾル−ゲル法、電気化学的な酸化還元反応を利用した方法などにより、導電層上に成膜する方法などが挙げられる。
これらの方法の中では、厚膜の多孔質半導体層を低コストで成膜できるという観点から、ペーストを用いたスクリーン印刷法が特に好ましい。
多孔質半導体層の膜厚は、特に限定されるものではないが、光電変換効率の観点から、0.5〜50μm程度が好ましい。
特に、光散乱性の高い、平均粒径50nm以上の半導体粒子からなる層を設ける場合、その層の膜厚は、0.1〜40μmであることが好ましく、5〜20μmであることがさらに好ましい。平均粒径5nm以上50nm未満の粒子からなる層の膜厚は、0.1〜50μmであることが好ましく、10〜40μmであることがさらに好ましい。
太陽電池の光電変換効率を向上させるためには、後述する色素を多孔質半導体層に対してより多く吸着させて、光電変換層を形成することが必要である。このため、膜状の多孔質半導体層では、比表面積の大きなものが好ましい。多孔質半導体層の比表面積は10〜200m2/g程度が好ましい。
半導体粒子として酸化チタンを用いて、多孔質半導体層を形成する方法について具体的に説明する。
まず、チタンイソプロポキシド(キシダ化学株式会社製)125mLを0.1Mの硝酸水溶液(キシダ化学株式会社製)750mLに滴下して加水分解をさせ、80℃で8時間加熱することにより、ゾル液を調製する。その後、得られたゾル液をチタン製オートクレーブ中において、230℃で11時間加熱して、酸化チタン粒子を成長させ、超音波分散を30分間行なうことにより、平均粒径(平均一次粒径)15nmの酸化チタン粒子を含むコロイド溶液を調製する。次いで、得られたコロイド溶液に2倍容量のエタノールを加え、これを回転数5000rpmで遠心分離することにより、酸化チタン粒子を得る。
なお、本明細書における平均粒径は、XRD(X線回折)の回折ピークから求めた値である。具体的には、XRDのθ/2θ測定における回折角の半値幅とシェラーの式から平均粒径を求める。たとえば、アナターゼ型酸化チタンの場合、(101)面に対応する回折ピーク(2θ=25.3°付近)の半値幅を測定すればよい。
次いで、得られた酸化チタン粒子を洗浄した後、エチルセルロースとテルピネオールを無水エタノールに溶解させたものを加え、攪拌することにより酸化チタン粒子を分散させる。その後、混合液を真空条件下で加熱してエタノールを蒸発させ、酸化チタンペーストを得る。最終的な組成として、たとえば、酸化チタン固体濃度20wt%、エチルセルロース10wt%、テルピネオール64wt%となるように濃度を調整する。
半導体粒子を含有する(懸濁させた)ペーストを調製するために用いる溶剤としては、上述したもの以外にエチレングリコールモノメチルエーテルなどのグライム系溶剤、イソプロピルアルコールなどのアルコール系溶剤、イソプロピルアルコール/トルエンなどの混合溶剤、水などが挙げられる。
次いで、上述の方法により半導体粒子を含有するペーストを導電層上に塗布し、焼成して多孔質半導体層を得る。乾燥および焼成の際には、使用する支持体や半導体粒子の種類により、温度、時間、雰囲気などの条件を適宜調整する必要がある。焼成は、たとえば、大気雰囲気下または不活性ガス雰囲気下で、50〜800℃程度の範囲内で、10秒〜12時間程度で行なうことができる。この乾燥および焼成は、単一の温度で1回行なうこととしてもよいが、温度を変化させて2回以上行なうこととしてもよい。
(光増感色素)
多孔質半導体層に吸着して光増感剤として機能する色素としては、種々の可視光領域および/または赤外光領域に吸収をもつ有機色素、金属錯体色素などが挙げられ、これらの色素のうちから1種または2種以上を選択的に用いることができる。
有機色素としては、たとえば、アゾ系色素、キノン系色素、キノンイミン系色素、キナクリドン系色素、スクアリリウム系色素、シアニン系色素、メロシアニン系色素、トリフェニルメタン系色素、キサンテン系色素、ポルフィリン系色素、ペリレン系色素、インジゴ系色素、ナフタロシアニン系色素などが挙げられる。有機色素の吸光係数は、一般的に、遷移金属に分子が配位結合した形態をとる金属錯体色素に比べて大きい。
金属錯体色素としては、Cu、Ni、Fe、Co、V、Sn、Si、Ti、Ge、Cr、Zn、Ru、Mg、Al、Pb、Mn、In、Mo、Y、Zr、Nb、Sb、La、W、Pt、Ta、Ir、Pd、Os、Ga、Tb、Eu、Rb、Bi、Se、As、Sc、Ag、Cd、Hf、Re、Au、Ac、Tc、Te、Rhなどの金属に分子が配位結合した形態のものが挙げられ、これらの中でも、フタロシアニン系色素、ルテニウム系色素が好ましく、ルテニウム系金属錯体色素が特に好ましい。
特に、以下の化学式(1)〜(3)で表されるルテニウム系金属錯体色素が好ましい。
Figure 0005424259
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また、多孔質半導体層に色素を強固に吸着させるためには、色素分子中にカルボン酸基、カルボン酸無水基、アルコキシ基、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルキル基、スルホン酸基、エステル基、メルカプト基、ホスホニル基などのインターロック基を有するものが好ましい。これらの中でも、カルボン酸基およびカルボン酸無水基が特に好ましい。なお、インターロック基は、励起状態の色素と多孔質半導体層の伝導帯との間の電子移動を容易にする電気的結合を提供するものである。
多孔質半導体層に色素を吸着させる方法としては、たとえば導電層上に形成された多孔質半導体層を、色素を溶解した溶液(色素吸着用溶液)に浸漬する方法が挙げられる。
色素を溶解させる溶剤としては、色素を溶解するものであればよく、具体的には、エタノールなどのアルコール類、アセトンなどのケトン類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類、アセトニトリルなどの窒素化合物類、クロロホルムなどのハロゲン化脂肪族炭化水素、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素、ベンゼンなどの芳香族炭化水素、酢酸エチルなどのエステル類、水などが挙げられる。これらの溶剤は2種類以上を混合して用いることもできる。
溶液中の色素濃度は、使用する色素および溶剤の種類により適宜調整することができるが、吸着機能を向上させるためにはできるだけ高濃度である方が好ましく、例えば、5×10-4モル/リットル以上であればよい。
(電解質部)
「電解質部」とは、多孔質光電変換部と触媒層との間に充填される電解質が充填される部分である。電解質は、太陽電池の完成時点では液体であるとは限らず、固体であってもよい。したがって、電解質部は、電荷を輸送できる導電性材料で構成される電解質が占める部分である。電解質としては、液体電解質または固体電解質を用いることができる。
液体電解質としては、酸化還元種を含む液体状態のものであればよい。具体的には、第一に、酸化還元種とこれを溶解可能な溶媒からなるものが挙げられる。このようなものは一般的に「電解液」と呼ばれる。第二に、酸化還元種とこれを溶解可能な溶融塩からなるものが挙げられる。第三に、酸化還元種とこれを溶解可能な溶媒と溶融塩とからなるものが挙げられる。第二、第三に挙げたものはいずれも「溶融塩電解液」と呼ばれる。ここでは、3通りの例を挙げたが、一般に電池や太陽電池などにおいて使用できるものであれば特に限定されない。
また、固体電解質としては、電荷を輸送できる導電性材料で太陽電池の電解質として用いることができ、流動性がないものであればよい。固体電解質としては、通常、液体状態の電解液の流動性を無くしたものが考えられる。例えば、液体電解質を高分子化合物により固体化した高分子電解質が挙げられる。太陽電池の完成時点で電解質が固体となっている構成の場合は、電解質を液体状態の電解液として所望の領域に注入した後で、その電解液の流動性を無くして固体化することで所望の電解質部を得ることができる。
(電解液部)
本実施の形態では、電解質として液体状態のものを用いたので、電解質部は「電解液部」となっている。電解液部は電解質部の一形態である。「電解液配置領域」は、電解質配置領域の一形態である。電解液中の酸化還元種の元となる材料としては、
○ LiI、NaI、KI、CsI、CaI2などの金属ヨウ化物とI2との組み合わせ;
○ テトラアルキルアンモニウムヨーダイド類、ピリジニウムヨーダイド類、イミダゾリウムヨーダイド類など4級アンモニウム化合物のヨウ化物塩などのヨウ化物とI2との組み合わせ;
○ LiBr、NaBr、KBr、CsBr、CaBr2などの金属臭化物とBr2との組み合わせ;
○ テトラアルキルアンモニウムブロマイド類、ピリジニウムブロマイド類など4級アンモニウム化合物の臭化物塩などの臭化物とBr2との組み合わせ;
が挙げられる。また、上記の酸化還元種の元となる材料は2種以上を混合して用いてもよい。これらの中でも、LiIとI2との組み合わせ、または、イミダゾリウムヨーダイドとI2との組み合わせ、または、LiIとイミダゾリウムヨーダイドとI2との組み合わせが好ましい。
電解液に用いられる溶媒としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどのカーボネート化合物;3−メチル−2−オキサゾリジノンなどの複素環化合物;ジオキサン、ジエチルエーテルなどのエーテル化合物;エチレングリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコールジアルキルエーテル、ポリエチレングリコールジアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールジアルキルエーテル、エチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテルなどのエーテル類;メタノール、エタノールなどのアルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリンなどの多価アルコール類;アセトニトリル、グルタロジニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル化合物;ジメチルスルフォキシド、スルフォランなど非プロトン極性物質、水などが挙げられる。
上記電解質には、必要に応じて添加剤を加えてもよい。このような添加剤としては、t−ブチルピリジン(TBP)やメチルベンゼンイミダゾール(MBIm)などの含窒素芳香族化合物や、グアニジンチオシアナート(Gu−SCN)などの前記酸化還元種以外の塩などが挙げられる。
電解質部の電解質濃度は、電解質の種類に応じて選択される。電解質濃度は、0.01〜2.0モル/リットルの範囲が好ましい。
(封止部)
封止部4は封止材によって形成される。封止材は、電解質の揮発と太陽電池セル内への水などの浸入を防止するために重要である。また、封止材は、(1)支持体に作用する落下物や応力(衝撃)を吸収する、(2)長期にわたる使用時において支持体に作用するたわみなどを吸収する、といった目的からも重要である。
封止材を構成する材料は、一般に太陽電池に使用可能で、かつ本発明の効果を発揮し得る材料であれば、特に限定されない。このような材料としては、たとえば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイソブチレン系樹脂、ホットメルト樹脂、ガラスフリットなどが好ましく、これらは2種類以上を2層以上に積層して用いることもできる。酸化還元性電解質の溶剤としてニトリル系溶剤、カーボネート系溶剤を使用する場合には、シリコーン樹脂やホットメルト樹脂(たとえば、アイオノマー樹脂)、ポリイソブチレン系樹脂、ガラスフリットが特に好ましい。
封止材のパターンは、封止材としてシリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ガラスフリットを使用する場合には、ディスペンサーにより形成することができる。封止材としてホットメルト樹脂を使用する場合には、シート状のホットメルト樹脂にパターニングした穴を開けることにより、形成することができる。
(実施の形態2)
(太陽電池モジュール)
図10、図11を参照して、本発明に基づく実施の形態2における太陽電池モジュールについて説明する。本発明に基づく太陽電池モジュールは、これまでに説明してきた太陽電池を1つ以上含む複数の太陽電池が連結した構成を含む太陽電池モジュールである。すなわち、連結された複数の太陽電池のうちの全てが上述の太陽電池である必要はなく、1つ以上が上述の太陽電池であればよい。全てが上述の太陽電池であってもよい。連結された太陽電池同士の電気的接続は直列になされている。
図10には本実施の形態における太陽電池モジュール501が模式的に示されている。太陽電池モジュール501を構成する際には、短冊形状の太陽電池51を複数集めて、個々の太陽電池51の長辺同士が相互に接するように平行に並べられて連結される。図11は図10におけるXI−XI線に関する矢視断面図である。太陽電池モジュール501においては、対極の一方の端がセル外に延在し、隣接する太陽電池セルから延在する透明導電膜と電気的に接続されている。
(作用・効果)
本実施の形態における太陽電池モジュールであれば、各太陽電池セルを作製する際に、第1開口部に加えて設けられた第2開口部を通じて太陽電池セル内部の減圧を行なうことが可能となるので、効率よく減圧を行なうことができる。また、第1開口部に加えて設けられた第2開口部から太陽電池セル全体への電解液注入を行なうことが可能となるので、太陽電池セル全体への十分な電解液浸透が容易になり、電解液の注入に要する時間を短縮することが可能となる。各太陽電池セルにおいてこのように作業時間短縮ができるので、太陽電池モジュールの全体としても作製に要する時間を短縮することができる。
(第1の変形例)
太陽電池モジュールの構成の第1の変形例を図12に示す。図12には太陽電池モジュール502が模式的に示されている。太陽電池モジュール502においては、隣接する太陽電池同士は互いに裏返しとなるように連結されている。このような構成の太陽電池モジュールであれば、表裏両面からの光を発電に用いることができる。
(第2の変形例)
太陽電池モジュールの構成の第2の変形例を図13に示す。図13には太陽電池モジュール503が模式的に示されている。太陽電池モジュール503においては、各太陽電池は、受光面側の基板に光電変換部と対極との両方が設置されている。
(実施例)
実施の形態1で説明した太陽電池のさらに具体的な実施例について、以下に説明する。
(実施例1〜5)
本発明に基づく太陽電池として色素増感太陽電池を作製した。その製造方法を以下に具体的に示す。この色素増感型太陽電池は、図1、図2に示した構造のものである。ただし、第2開口部9の数は図1、図2に示したとおりとは限らない。実施例においては、比較のために、後述する第2開口部9の配列密度すなわちNの値を変えて複数通りの太陽電池を作製した。
まず、導電層が形成された支持体として日本板硝子株式会社製のSnO2膜付きガラス基板を2枚用意した。これはガラス基板の一方の表面に透明な導電層であるSnO2膜が形成されたものである。この2枚の基板のうちの1枚が図1における透光性基板1および透明導電膜3となるべきものであり、もう1枚は支持基板2および対極6となるべきものである。支持基板2および対極6を合わせたものは「対極基板」と呼ぶことができる。
支持基板2となるべき基板において、対極6として、SnO2膜の表面を覆うように白金をスパッタ法により厚み約7nmとなるよう成膜した。この対極6は触媒層を兼ねている。
この基板において、のちに電解質配置領域11の端部となる予定の位置に、公知技術により貫通孔を形成した。これらの貫通孔はのちに第1開口部8a,8bとなるべきものである。さらに、のちに電解質配置領域11の中間部となる予定の位置に、公知技術により1以上の貫通孔を形成した。これらの貫通孔はのちに第2開口部9となるべきものである。ここで、第2開口部9の配置に関しては、長軸に沿った方向の配列密度を長さ1m当たりN個であると仮定して表現する。ここでいう「長軸」とは、のちに形成される電解質配置領域11の長軸81である。
なお、N=3とは第2開口部9が約1/3mすなわち約33cm間隔で配置されていることを意味し、N=4とは第2開口部9が約1/4mすなわち約25cm間隔で配置されていることを意味する。N=2とは第2開口部9が約1/2mすなわち約50cm間隔で配置されていることを意味する。全長1mの基板の両端近傍に第1開口部8a,8bが設けられていて、第2開口部9は長手方向の中央に1個のみ設けられているような場合は、第2開口部9の個数としては1個しか存在しないが、第1開口部8a,8bとの間の距離を考慮すれば、第2開口部9は約50cm間隔で配列されているものとみなせるので、N=2として扱う。第2開口部9が全く存在しない場合はN=0に相当する。
実施例としての基板をN=2,3,5,7,8となるようにそれぞれ別個に作製した。 次に、透光性基板1となるべき基板のSnO2膜を覆うように酸化チタンペースト(Solaronix社製、商品名D/SP)を、焼成後の形状が、幅5mm×長さ1000mm×膜厚20μmとなる形状で、スクリーン印刷機(ニューロング精密工業製LS−150)を用いて塗膜し、室温にて1時間レベリングを行なった後、80℃のオーブン中で30分間乾燥させ、得られた基板を空気中で500℃で焼成した。これにより基板上に多孔質の光電変換部5を得た。したがって、光電変換部5は細長い長方形である。
その後、上記化学式(3)のルテニウム色素(Solaronix社製、商品名Ruthenium620−1H3TBA)を、アセトニトリルとt−ブタノールとを体積比1:1で混合した溶媒に、濃度4×10-4モル/リットルで溶解させて吸着用色素溶液を作製し、この溶液に光電変換部5を浸漬させることにより光電変換部5に色素を吸着させた。
次に、封止部4となる壁部材としてデュポン社製ハイミラン1855を幅0.5mmで切り出したものを用いて、光電変換部5を取り囲むように配置して、光電変換層5と対極6とが対向するように2枚の基板を張り合わせた。貼り合わせた状態のものを約100℃のオーブン中で10分間加熱することにより圧着した。こうして太陽電池セルが形成され、電解質配置領域11が形成された。電解質配置領域11は光電変換部5を内部に含み、光電変換部5よりひと回り大きな領域となる。したがって、電解質配置領域11は細長い略長方形であり、図2でいうところの長軸81および短軸82を観念することができる。
続いて、電解質として、溶媒をアセトニトリルとし、その中にDMPII(四国化成工業株式会社製)を0.6モル/リットル、LiI(アルドリッチ社製)を0.1モル/リットル、TBP(アルドリッチ社製)を0.5モル/リットル、I2(キシダ化学株式会社製)を0.05モル/リットル溶解させた電解液を作製した。
第1開口部8a,8bおよび第2開口部9を通じてこの太陽電池セル内部の減圧を行なった。太陽電池セル内部の圧力が10Paに到達したことを確認した後、第1開口部8a,8bおよび第2開口部9から電解液の注入を行なった。その後、公知技術による開口部封止材10によって第1開口部8a,8bおよび第2開口部9を封止した。こうして電解質部7が形成された。こうして太陽電池が得られた。
この太陽電池の作製作業の中で、電解液注入前の減圧の際に真空に到達するまでに要した時間(以下「真空到達時間」という。)、及び、太陽電池セル内を満たすように電解液を注入するのに要した時間(以下「注入時間」という。)を調べた。Nの値を違えて作製した複数の太陽電池について、実施例1〜5と呼ぶものとする。実施例1〜5における条件はそれぞれ、N=5,2,3,7,8である。真空到達時間の測定に当たっては、太陽電池セルに接続したピラニーゲージが10Paを示すまでに要した時間を、真空到達時間の測定値とした。
実施例1〜5で得られた太陽電池の各々について、AM(Air Mass)1.5、照射強度100mW/cm2の擬似太陽光の照射の下での光電変換効率を調べた。
実施例1〜5における、真空到達時間、注入時間および光電変換効率の測定結果を表1に示す。
Figure 0005424259
(比較例1,2)
実施例1〜5に示したNの値を0として同様に太陽電池の作製を行なった。ここで作製する太陽電池も色素増感太陽電池であることに相違ない。製造方法は、実施例1〜5に関して説明したのと同様である。
N=0であるということは、端部における第1開口部のみであって中間部における第2開口部が存在しないということである。この場合、第1開口部が電解質配置領域の長軸方向の一方の端部のみにある場合と、両方の端部にある場合に分けられる。前者を比較例1とし、後者を比較例2とする。比較例2において、両方の端部にある第1開口部から減圧および電解液注入を行なった場合、真空到達時間は213.0分となり、注入時間は820.9秒となる。
比較例2と実施例1〜5とを比較すると、真空到達時間および注入時間のいずれも実施例1〜5の方が短縮することができることがわかる。比較例1については真空到達時間および注入時間が比較例2よりも長くなることが明らかであるのでここでは言及しない。
比較例2よりも実施例1〜5の方が真空到達時間を短縮することができたのは、端部に設けられた第1開口部のみから減圧を行なうよりも、中間部に追加的に設けられた第2開口部も併用して減圧を行なう方が、太陽電池セルの内部空間の中間部に存在する空気をより短い距離で引き出すことができ、太陽電池セル内部の減圧のために効率的だからである。
比較例2よりも実施例1〜5の方が注入時間を短縮することができたのは、端部に設けられた第1開口部のみから電解液の注入を行なうよりも、中間部に追加的に設けられた第2開口部も併用して電解液の注入を行なう方が、太陽電池セルの内部空間の中間部に効率良く電解液を行き渡らせることができるからである。
(実施例6〜12)
実施例1のようにN=4として、実施例6〜12の太陽電池52を作製した。太陽電池52は色素増感太陽電池である。電解質配置領域の長手方向の寸法は約1mであるので、第2開口部は図14に示すように約25cm間隔で3ヶ所に設けられることとなる。これら3ヶ所の開口部を順に第2開口部9a,9b,9cと呼んで区別することとする。
第2開口部9a,9b,9cを、太陽電池セル内部の減圧に用いるための開口部と電解液の注入に用いる開口部とに用途を区別して比較した。各第2開口部の用途を表2に示す。「減圧孔+注入孔」と表示されているのは、その開口部を減圧のためにも用い、注入のためにも用いたという意味である。その他の工程は、実施例1と同様である。
こうして、実施例6〜12を設定し、それぞれ作製した太陽電池52について、真空到達時間、注入時間を測定した。また、実施例1と同様の測定条件で光電変換効率を測定した。その結果を表2に示す。
Figure 0005424259
(実施例13)
実施例1のようにN=4として作製した太陽電池に相当する太陽電池セルが、図5に示したように表裏が交互となるように合計5個直列に接続され、集積化された構造の太陽電池モジュールを作製した。これを実施例13と呼ぶものとする。この太陽電池モジュールは、色素増感太陽電池モジュールである。その製造方法を以下に説明する。
導電層が形成された支持体として、縦70mm×横70mm×厚み4mmのSnO2膜付きガラス基板を2枚用意した。これらの基板は、日本板硝子株式会社製のものを用いた。これらの2枚の基板を以下では「基板X」、「基板Y」と呼ぶものとする。
基板Yの表面に対極を兼ねる触媒層としての白金をスパッタ法により約7nmの膜厚で成膜した。
次に、基板Xの透明導電膜3としての透明導電層(SnO2膜)上、および、基板Yの対極6となるべき導電層(SnO2膜)上に、それぞれ酸化チタンペースト(Solaronix社製、商品名D/SP)を、焼成後形状が幅8mm×長さ55mm×膜厚20μmとなる形状でスクリーン印刷機(ニューロング精密工業製LS−150)を用いて塗膜し、室温にて1時間レベリングを行なった後、80℃のオーブン中で30分間乾燥させ、空気中500℃で1時間焼成することにより光電変換部5としての多孔質光電変換層を形成した。
次に、各導電層にレーザ光(YAGレーザ、基本波長1.06μm)を照射してSnO2膜を蒸発させることにより、約350μmの幅でスクライブを行なった。
続いて、アセトニトリルとn−ブタノールを体積比で1:1で混合した溶媒に、上記化学式(3)で表される、ルテニウム色素(Solaronix社製、商品名Ruthenium620−1H3TBA)を濃度4×10-4モル/リットルで溶解させて得た吸着用色素溶液に、基板X,Yを浸漬し、各光電変換部5に色素を吸着させた。
基板Yにおいては、実施例1と同様の条件で第1,第2開口部に相当する開口部をそれぞれあける加工を行なった。
上述の各工程を経て得られた基板X,Yにおいて、各触媒層に隣接する多孔質の光電変換部5に、スクリーン印刷によりシリコーン樹脂を0.35mmの幅で塗布し、貼り合わせ、約100℃のオーブン中で30分間加熱することにより基板X,Yを互いに接着させた。
その後、基板Yにあけられた開口部を通じて各太陽電池セルの空間内を減圧し、この太陽電池セルに電解液を注入し、開口部をエポキシ樹脂を用いて封止し、色素増感太陽電池モジュールを作製した。電解液としては、溶媒をアセトニトリルとし、その中に、1,2−ジメチル3−プロピルイミダゾールアイオダイドを0.6モル/リットル、ヨウ化リチウムを0.1モル/リットル、ターシャルブチルピリジンを0.5モル/リットル、ヨウ素を0.05モル/リットルの濃度で溶解させたものを用いた。
作製した色素増感太陽電池モジュールについて、真空到達時間および注入時間を調べた結果、真空到達時間は2.0分、注入時間は4.2秒であった。また、AM1.5、照射強度100mW/cm2の擬似太陽光照射下での光電変換効率を調べた結果、8.25となった。
(モジュールの比較例)
実施例13の条件に従いつつ、第2開口部を設けない形の太陽電池モジュールを比較例として作製した。この比較例においては、電解質配置領域の一方の端部の1ヶ所のみに第1開口部を設けて、その第1開口部から減圧と電解液注入との両方を行なった。
この比較例と実施例13とを比較すると、真空到達時間および注入時間のいずれも実施例13の方が短い時間で行なえることがわかった。
(電解質として電解液を用いた場合の、第2開口部の好ましい条件)
以上の実施例における測定結果を考慮した場合、第2開口部の配列密度は、Nが3以上であればNが2以下の場合に比べて顕著に優れていることがわかる。表1によれば、N=3,5,7,8のいずれであっても真空到達時間および注入時間を短く抑えることができ、かつ、光電変換効率が十分に良いことがわかる。ただし、第2開口部の数が多すぎると開口部をあける作業および開口部を封止する作業が増えてしまい、効率が悪いこととなる。作業工程の増加を考慮した場合、N=7が上限といえる。したがって、本発明に基づく太陽電池で、電解質部が、酸化還元種と前記酸化還元種を溶解可能な溶媒とを含む電解液を含む場合においては、前記長軸に沿った前記1以上の第2開口部の配列密度は1m当たり3個以上7個以下であることが好ましい。
(溶融塩電解液)
電解質部を構成する電解質は、液体電解質であっても固体電解質であってもよいことは既に述べたが、溶融塩電解液であってもよい。電解質が溶融塩電解液である場合は、電解質部は溶融塩電解液部と呼ぶことができる。電解質配置領域は、溶融塩電解液領域と呼ぶことができる。
溶融塩電解液部とは、多孔性光電変換層と触媒層との間の溶融塩電解液が充填された部分である。溶融塩電解液は、電荷を輸送できる導電性材料で構成される電解液を含むものであり、太陽電池の完成時点で、液体状態または固体状態のものを用いることができる。液体状態の溶融塩電解液としては、酸化還元種を含む液体状態のものであればよい。具体的には、酸化還元種とこれを溶解可能な溶融塩からなるもの、酸化還元種とこれを溶解可能な溶融塩と溶媒からなるものが考えられるが、一般に電池や太陽電池などにおいて使用できるものであれば特に限定されない。また酸化還元種を溶解する前は固体であっても、酸化還元種を溶解することにより液体状態となるものも溶融塩電解液として用いることができる。また、固体状態の溶融塩電解液としては、電荷を輸送できる導電性材料で太陽電池の電解質として用いることができ、流動性がないものであればよい。固体状態の溶融塩電解液としては、例えば、液体電解質を高分子化合物により固体化した高分子電解質、液体電解質を微粒子により固体化したものが挙げられる。
溶融塩電解液中の酸化還元種の元となる材料としては、
○ LiI、NaI、KI、CsI、CaI2などの金属ヨウ化物とI2との組み合わせ;
○ テトラアルキルアンモニウムヨーダイド類、ピリジニウムヨーダイド類、イミダゾリウムヨーダイド類など4級アンモニウム塩のヨウ化物とI2との組み合わせ;
○ LiBr、NaBr、KBr、CsBr、CaBr2などの金属臭化物とBr2との組み合わせ;
○ テトラアルキルアンモニウムブロマイド、ピリジニウムブロマイドなど4級アンモニウム塩の臭化物とBr2との組み合わせ;
が挙げられる。また、上記の酸化還元種の元となる材料は2種以上を混合して用いてもよい。これらの中でも、LiIとI2との組み合わせ、または、イミダゾリウムヨーダイドとI2との組み合わせ、または、LiIとイミダゾリウムヨーダイドとI2との組み合わせが好ましい。
本発明で用いる「溶融塩」とは、溶媒を含まず、イオンのみから構成される液体状態の塩である。溶融塩は、太陽電池などにおいて一般的に使用することができるものであればよく、特に限定されないが、室温(25℃)より低い融点を有する塩か、室温より高い融点を有していても、他の溶融塩や溶融塩以外の電解質塩と溶解させることにより室温で液体状態を有する塩であることが好ましい。溶融塩の構造の例としては以下のようなものが挙げられる。
溶融塩のカチオンとしてはアンモニウム、イミダゾリウム、オキサゾリウム、チアゾリウム、ピラゾリウム、イソオキサゾリウム、チアジアゾリウム、オキサジアゾリウム、トリアゾリウム、ピロリジニウム、ピリジニウム、ピリミジニウム、ピリダジニウム、ピラジニウム、トリアジニウム、ホスホニウム、スルホニウム、カルバゾリウム、インドリウムおよびその誘導体が好ましく、アンモニウム、イミダゾリウム、ピリジニウム、スルホニウムが特に好ましい。
アニオンとしては、AlCl4 -、Al2Cl7 -などの金属塩化物、PF6 -,BF4 -、CF3SO3 -、N(CF3SO22 -、N(SO2F)2 -F(HF)n -などのフッ素含有物、NO3 -、CH3COO-、C611COO-、N(CN)2 -、B(CN)4 -などの非フッ素含有物、ヨウ素、臭素などのハロゲン化物が好ましい。
溶融塩は、公知の方法により合成することも可能である。4級アンモニウム塩を例に挙げると、第一段階として3級アミンにアルキル化剤としてアルキルハライドを用いてアミンの4級化を行い、第二段階としてハライドアニオンから目的のアニオンへイオン交換を行なうという方法を用いることができる。他の方法としては例えば、3級アミンを、目的のアニオンを有する酸と反応させて一段階で目的の化合物を得る方法がある。
溶融塩電解液に用いられる溶媒の条件は、実施の形態1で溶媒について説明したものと同じである。
また、溶融塩電解液に用いられる添加剤の条件も、実施の形態1で添加剤について説明したものと同じである。
本発明に基づく太陽電池モジュール、特に色素増感型太陽電池モジュールにおいて、受光面側に触媒層がある場合、入射光が電解液を通して色素が吸着された多孔性光電変換層に達し、キャリアが励起する。そのため、受光面側に触媒層がある第2光電変換層に用いる電解質濃度により、性能は低下する場合がある。
以下では、電解質として溶融塩電解液を用いた具体的な実施例について説明する。
(実施例21〜27)
本発明に基づく太陽電池として溶融塩電解液を用いた色素増感太陽電池を作製した。その製造方法を以下に具体的に示す。この色素増感型太陽電池は、図1、図2に示した構造のものである。ただし、第2開口部9の数は図1、図2に示したとおりとは限らない。ここでは、比較のために、後述する第2開口部9の配列密度すなわちNの値を変えて複数通りの太陽電池を作製した。Nの定義は実施例1〜5の説明箇所で述べたとおりである。実施例としての基板をN=2,3,5,7,8,11,17となるようにそれぞれ別個に作製した。
電解質の種類以外の点については、製造方法は、実施例1〜5におけるものと同じである。電解質としては、溶融塩であるEMI−TFSIとMPIIとを体積比で13:7に混合したものを溶媒とし、その中にGu−SCNを0.12モル/リットル、NMBImを0.5モル/リットル、I2(キシダ化学株式会社製)を0.2モル/リットル溶解させたものを作製した。このようにして作製された電解質は溶融塩電解液に該当する。
実施例21〜27における条件はそれぞれ、N=5,2,3,7,8,11,17である。実施例21〜27における、真空到達時間、注入時間および光電変換効率の測定結果を表3に示す。
Figure 0005424259
(比較例21,22)
実施例21〜27に示したNの値を0として同様に太陽電池の作製を行なった。ここで作製する太陽電池も色素増感太陽電池であることに相違ない。これらの太陽電池における電解質は溶融塩電解液である。製造方法は、実施例21〜27と同様である。
N=0であるということは、端部における第1開口部のみであって中間部における第2開口部が存在しないということである。この場合、第1開口部が電解質配置領域の長軸方向の一方の端部のみにある場合と、両方の端部にある場合に分けられる。前者を比較例21とし、後者を比較例22とする。比較例22において、両方の端部にある第1開口部から減圧および溶融塩電解液の注入を行なった場合、真空到達時間は213.0分となり、注入時間は980.5秒となる。
比較例22と実施例21〜27とを比較すると、真空到達時間および注入時間のいずれも実施例21〜27の方が短縮することができることがわかる。比較例21については真空到達時間および注入時間が比較例22よりも長くなることが明らかであるのでここでは言及しない。
比較例22よりも実施例21〜27の方が真空到達時間を短縮することができたのは、端部に設けられた第1開口部のみから減圧を行なうよりも、中間部に追加的に設けられた第2開口部も併用して減圧を行なう方が、太陽電池セルの内部空間の中間部に存在する空気をより短い距離で引き出すことができ、太陽電池セル内部の減圧のために効率的だからである。
比較例22よりも実施例21〜27の方が注入時間を短縮することができたのは、端部に設けられた第1開口部のみから溶融塩電解液の注入を行なうよりも、中間部に追加的に設けられた第2開口部も併用して溶融塩電解液の注入を行なう方が、太陽電池セルの内部空間の中間部に効率良く溶融塩電解液を行き渡らせることができるからである。
(実施例28〜34)
実施例21に準じてセルを作製し、N=4として実施例28〜34の太陽電池52を作製した。太陽電池52は色素増感太陽電池である。電解液配置領域の長手方向の寸法は約1mであるので、第2開口部は図14に示したように3ヶ所に設けられることとなる。実施例6〜12と同様に、これら3ヶ所の開口部を順に第2開口部9a,9b,9cと呼んで区別することとする。
実施例6〜12と同様に、第2開口部9a,9b,9cを、太陽電池セル内部の減圧に用いるための開口部と電解液の注入に用いる開口部とに用途を区別して比較した。第1,第2開口部の各々の用途を表4に示す。
こうして、実施例28〜34を設定し、それぞれ作製した太陽電池52について、真空到達時間、注入時間を測定した。また、実施例21と同様の測定条件で光電変換効率を測定した。その結果を表4に示す。
Figure 0005424259
(実施例35)
実施例15に相当するものを、電解質として上述の溶融塩電解液を用いて作製した。これを実施例35とする。実施例35の色素増感太陽電池モジュールについて、真空到達時間および注入時間を調べた。その結果、2.0分、注入時間は90.1秒であった。また、AM1.5、照射強度100mW/cm2の擬似太陽光照射下での光電変換効率を調べた結果、4.25となった。
(モジュールの比較例)
実施例35の条件に従いつつ、第2開口部を設けない形の太陽電池モジュールを比較例として作製した。この比較例においては、電解液配置領域の一方の端部の1ヶ所のみに第1開口部を設けて、その第1開口部から減圧と溶融塩電解液の注入との両方を行なった。
この比較例と実施例35とを比較すると、真空到達時間および注入時間のいずれも実施例35の方が短い時間で行なえることがわかった。
(電解質として溶融塩電解液を用いた場合の、第2開口部の好ましい条件)
以上の実施例21〜35における測定結果を考慮した場合、第2開口部の配列密度は、Nが6以上であればNが2以下の場合に比べて顕著に優れていることがわかる。表3によれば、N=3,5,7,8,11,17のいずれであっても真空到達時間および注入時間を短く抑えることができ、かつ、光電変換効率が十分に良いことがわかる。ただし、第2開口部の数が多すぎると開口部をあける作業および開口部を封止する作業が増えてしまい、効率が悪いこととなる。作業工程の増加を考慮した場合、N=17が上限といえる。したがって、本発明に基づく太陽電池で、電解質部が酸化還元種と前記酸化還元種を溶解可能な溶媒とを含む溶融塩電解液を含む場合においては、前記長軸に沿った前記1以上の第2開口部の配列密度は1m当たり6個以上17個以下であることが好ましい。
なお、電解質部が、電解液を含む場合であっても溶融塩電解液を含む場合であっても、酸化還元種は、ヨウ化物塩とI2との組合せ、または、臭化物塩とBr2との組合せのいずれかを含むことが好ましい。なぜなら、このような構成を採用すれば、最も効率良く太陽電池を動作させることができるからである。酸化還元種の材料に関する具体的な説明は実施の形態1で既に述べたとおりである。
なお、今回開示した上記実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
1 透光性基板、2 支持基板、3 透明導電膜、4 封止部、5 光電変換部、6 対極、7 電解質部、8 第1開口部、9 第2開口部、10 開口部封止材、11 電解質配置領域、12 光、13 端部、14 中間部、51 太陽電池、81 長軸、82 短軸、101 第1支持体、102 第2支持体、103 導電層、104 封止材、105 光電変換層、106 対向導電層、107 電解液、501,502,503 太陽電池モジュール。

Claims (6)

  1. 透光性基板と、
    前記透光性基板と平行に配置された支持基板と、
    前記透光性基板と前記支持基板との間において互いに離隔するように配置された光電変換部および対極と、
    前記光電変換部および前記対極に接しつつ前記透光性基板と前記支持基板との間に配置された電解質部と、
    長軸および前記長軸に垂直な短軸によって規定しうる領域である電解質配置領域内に前記電解質部を留めるように前記電解質部を取り囲んで封止する封止部とを備え、
    前記電解質配置領域の前記長軸方向の少なくとも一方の端部に前記電解質部と外部とを連通する第1開口部が設けられており、
    前記電解質配置領域の前記長軸方向の中間部において少なくとも一部が前記光電変換部に重なる位置に前記電解質部と外部とを連通する1以上の第2開口部が設けられており、
    前記第1および第2開口部は封止されている、太陽電池。
  2. 前記第2開口部は前記支持基板に設けられている、請求項1に記載の太陽電池。
  3. 前記電解質部は、酸化還元種と前記酸化還元種を溶解可能な溶媒とを含む電解液を含み、前記長軸に沿った前記第2開口部の配列密度は長さ1m当たり3個以上7個以下である、請求項1または2に記載の太陽電池。
  4. 前記電解質部は、酸化還元種と前記酸化還元種を溶解可能な溶融塩とを含む溶融塩電解液を含み、前記長軸に沿った前記第2開口部の配列密度は長さ1m当たり6個以上17個以下である、請求項1または2に記載の太陽電池。
  5. 前記酸化還元種は、ヨウ化物塩とI2との組合せ、または、臭化物塩とBr2との組合せのいずれかを含む、請求項3または4に記載の太陽電池。
  6. 請求項1から5のいずれかに記載の太陽電池を含めた複数の太陽電池が連結した構成を含む、太陽電池モジュール。
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