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JP5483866B2 - 通気構造体 - Google Patents
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Description

本発明は、内部に気体を通過させる通気構造体に係り、例えば医療機器および電子機器等の内部に気体を通過させる各種機器において使用される通気構造体に関する。
従来、医療機器をはじめとする各種機器の分野において、動作音を低減させるための様々な対策が行われている。例えば、呼吸器疾患の患者が在宅で酸素を吸入する在宅酸素療法(HOT:home oxygen therapy)において使用される吸着型酸素濃縮器(PSA:pressure swing adsorption、以下「酸素濃縮器」という)も、そのような機器の1つである。
酸素濃縮器は、加圧空気に対して窒素を吸着し減圧空気に対して窒素を脱着する性質を持つ吸着剤(例えば、ゼオライト)が充填された、シーブベッド(吸着塔)を備えている。酸素濃縮器は、フィルタおよび吸気タンクを通して取込んだ室内の空気をコンプレッサにより圧縮し、この圧縮空気を加減圧の切替えを繰り返しながらシーブベッドに通過させることにより、圧縮空気から高濃度の酸素を分離する。そして、酸素濃縮器は、分離した高濃度酸素を、チューブを通して患者に供給する。
コンプレッサからは熱が発生するため、酸素濃縮器は、外部空気を機器内部に取り込んで循環させることにより、コンプレッサを冷却する。このとき、酸素濃縮器の外部には、コンプレッサの冷却用空気の吸気口や排気口から、コンプレッサの動作音および冷却用空気を循環させるための冷却用ファンの動作音(以下、適宜「動作音」と総称する)が漏洩する。
一方で、酸素濃縮器は、より確実かつ安全に高濃度酸素を患者に供給するために、患者のできるだけ近くに配置されることが望ましい。また、酸素濃縮器は、患者の就寝中も継続して使用される場合がある。したがって、酸素濃縮器は、至近距離で動作していても患者の安眠を妨げない程度の静音性が求められる。
そこで、冷却用空気を介して漏洩する動作音を低減する技術が、例えば特許文献1に記載されている。
特許文献1記載の酸素濃縮器は、複数の吸音部材を垂直に配置することによって冷却用空気を直角に蛇行させながら通過させる風路を有する。吸音部材は、具体的には、多孔質の吸音材と多数の中空部を有するハニカム構造を複合させた平面の板状部材である。冷却用空気を伝播する音は、風路において吸音部材に衝突し、吸音部材の内部の粘性抵抗によって熱に変換され、吸収される。これにより、外部に漏洩する動作音を低減することができる。
特開平8−119606号公報
しかしながら、特許文献1記載の風路を備えた通気構造体は、構成が複雑であり、コスト高を招くおそれがあるという問題がある。なぜなら、発泡ウレタン等から成る多孔質の吸音材と、アルミニウム箔等により形成されたハニカム構造体とをそれぞれ製作し、更に、これらを貼り合わせなければならないからである。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、より簡単な構成で通過気体に対する吸音を行う通気構造体を提供することを目的とする。
本発明の通気構造体は、気体を内部に通過させる医療機器において使用される通気構造体であって、前記気体が通過する風路を形成する構造体本体と、前記風路の内面のうち前記気体が通過しない側の内面との間に空間を形成する板状吸音部材であって、前記気体が接触する部分の少なくとも一部として、高分子繊維から成る母材層と高分子フィルムの膜層とから成る板状吸音部材と、を有し、前記構造体本体は、前記板状吸音部材に対して傾斜した傾斜面を有し、前記空間は、前記傾斜面を利用することで場所によって異なる厚さを有するように形成された空気層である
本発明の通気構造体は、原料空気を圧縮するコンプレッサと、圧縮された前記原料空気から高濃度酸素を分離して放出する吸着塔と、前記コンプレッサを冷却する冷却用空気を循環させる冷却用ファンと、を有する酸素濃縮器において使用され、前記冷却用空気を内部に通過させる通気構造体であって、前記冷却用空気が通過する風路を形成する構造体本体と、前記風路の内面のうち前記冷却用空気が通過しない側の内面との間に空間を形成する板状吸音部材であって、前記冷却用空気が接触する部分の少なくとも一部として、高分子繊維から成る母材層と高分子フィルムの膜層とから成る板状吸音部材と、を有し、前記構造体本体は、前記板状吸音部材に対して傾斜した傾斜面を有し、前記空間は、前記傾斜面を利用することで場所によって異なる厚さを有するように形成された空気層である
本発明によれば、高分子繊維から成る母材層と高分子フィルムの膜層とから成る板状吸音部材という、吸音性が高くかつ製作および成型が容易な吸音部材を用いるので、より簡単な構成で通過気体に対する吸音を行うことができる。
以下、本発明の一実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。本実施の形態は、本発明を酸素濃縮器に適用した例である。
図1は、本実施の形態に係る通気構造体が用いられる酸素濃縮器の構成を示す概略図である。
図1において、酸素濃縮器10は、酸素濃縮器筐体(以下適宜「筐体」と略記する)100の内部に、風路ケース101、ヘパフィルタ102、吸気タンク103、コンプレッサ104、冷却パイプ105、冷却用ファン107、マニホールド108、第1および第2の切替弁109a、109b、第1および第2のシーブベッド(吸着塔)110、111、製品タンク112、均圧弁113、パージオリフィス114、消音器115、圧力センサ116、レギュレータ117、止め弁118、酸素センサ119、バクテリアフィルタ120、流量制限オリフィス121、圧力センサ122、流量センサ123、加湿器124、および酸素出口125を配置している。
風路ケース101は、筐体100に接して設けられており、筐体100の外部の空気を、原料空気として筐体100の内部に導入する。ヘパフィルタ102は、風路ケース101が導入した空気からゴミや埃等の空中浮遊粒子を除去する。
吸気タンク103は、ヘパフィルタ102で空中浮遊粒子が除去された原料空気を、後段のコンプレッサ104の吸気のために収容する。吸気タンク103は、いわゆる膨張型消音器として機能し、配管断面積の変化による反射により、原料空気の吸気側へと伝達するコンプレッサ104の動作音に対して、消音効果を発揮する。
コンプレッサ104は、吸気タンク103に収容された原料空気を圧縮して圧縮空気を生成する。冷却パイプ105は、コンプレッサ104で生成された圧縮空気をマニホールド108に送る。
冷却用ファン107は、筐体100に設けられた開口から外気を筐体100内部に吸引し、筐体100に上記開口とは別に設けられた開口から排気する。冷却用ファン107により筐体100内部に吸引された外気は、筐体100内部を、コンプレッサ104を含む各種部品の熱を吸収しながら循環し、排気される。
マニホールド108は、コンプレッサ104からの圧縮空気を第1および第2のシーブベッド110、111に交互に切り替えて送り、第1および第2のシーブベッド110、111からの窒素富化空気を交互に切り替えて消音器115に送るための多岐管である。マニホールド108は、三方弁である第1および第2の切替弁109a、109bを有する。マニホールド108は、第1および第2の切替弁109a、109bの状態を制御することにより、例えば10秒間隔で、圧縮空気および窒素富化空気のマニホールド108内の流路の切替えを行う。
具体的には、例えば、マニホールド108は、図1に示すように、第1の切替弁109aを用いて、第1のシーブベッド110とコンプレッサ104との間の管路を開放し、第1のシーブベッド110と消音器115との間の管路を閉鎖する。同時に、マニホールド108は、第2の切替弁109bを用いて、第2のシーブベッド111とコンプレッサ104との間の管路を閉鎖し、第2のシーブベッド111と消音器115との間の管路を開放する。この場合、コンプレッサ104からの圧縮空気は矢印108Aの方向で第1のシーブベッド110に送られ、消音器115には矢印108Bの方向で第2のシーブベッド111からの窒素富化空気が送られる。
また、マニホールド108は、第1の切替弁109aを用いて、第1のシーブベッド110とコンプレッサ104との間の管路を閉鎖し、第1のシーブベッド110と消音器115との間の管路を開放する。同時に、マニホールド108は、第2の切替弁109bを用いて、第2のシーブベッド111とコンプレッサ104との間の管路を開放し、第2のシーブベッド111と消音器115との間の管路を閉鎖する。この場合、コンプレッサ104からの圧縮空気は第2のシーブベッド111に送られ、消音器115には第1のシーブベッド110からの窒素富化空気が送られる。
第1および第2のシーブベッド110、111は、マニホールド108を介して送られてきた圧縮空気から、高濃度酸素をそれぞれ分離する。この分離は、第1および第2のシーブベッド110、111に充填されたゼオライトの働きにより実現される。ゼオライトは、加圧空気に対しては窒素および水分を吸着し、減圧空気に対しては吸着している窒素および水分を脱着する性質を有する吸着剤である。第1および第2のシーブベッド110、111は、コンプレッサ104と通じているとき、コンプレッサ104から送られてきた圧縮空気から高濃度酸素を分離して後段の製品タンク112に送る。そして、第1および第2のシーブベッド110、111は、消音器115と通じているとき、圧縮空気から吸着した窒素および水分を多く含む窒素富化空気を消音器115に送る。
第1および第2のシーブベッド110、111から放出される高濃度酸素の酸素濃度は、吸脱着の繰り返し回数や吸脱着時間等を変更することにより、例えば40%〜90%程度の範囲で調整することができる。なお、ゼオライトは窒素のみならず水分をも吸着するので、第1および第2のシーブベッド110、111から放出される高濃度酸素は極めて乾燥している(例えば、湿度0.1%〜0.2%)。第1および第2のシーブベッド110、111に充填されるゼオライトは、結晶中に微細孔を持つアルミノ珪酸塩(例えば、アルカリ土類金属を含む結晶性含水アルミノ珪酸塩)からなる多孔質材料であり、市販されている各種のゼオライトを使用することができる。
製品タンク112は、第1および第2のシーブベッド110、111に、マニホールド108が接続する側とは反対側の部分で接続されており、第1および第2のシーブベッド110、111により圧縮空気から分離して得られた高濃度酸素を収容する。製品タンク112は、例えば、一端が第1のシーブベッド110に、他端がシーブベッド111にそれぞれ連結された、コの字形状を有している。均圧弁113は、製品タンク112の両端部分の圧力をこれらが同一となるように調整する。パージオリフィス114は、第1および第2のシーブベッド110、111の脱着の際の二次浄化を行うために、製品タンク112の両端部分の間で高濃度酸素を通過させる。
消音器115は、筐体100に接して設けられた排気口115aを有しており、第1および第2のシーブベッド110、111からマニホールド108を介して送られてきた窒素富化空気を、排気口115aから筐体100の外部に排出する。
圧力センサ116は、製品タンク112からレギュレータ117に送られる高濃度酸素の圧力を検出する。レギュレータ117は、圧力センサ116の検出結果と予め設定された圧力とを比較してこれらが同一の値となるように、高濃度酸素の圧力のフィードバック制御を行う。
止め弁118は、閉鎖することにより、レギュレータ117から圧力調整されて送られる高濃度酸素の流れを止める。止め弁118は、例えば、高濃度酸素の供給を停止する操作が行われたとき、あるいは酸素濃縮器10への電源供給が停止されたときに閉鎖して、機器内に残留した高濃度酸素の流出を止める。
酸素センサ119は、止め弁118からバクテリアフィルタ120に送られる高濃度酸素の酸素濃度を検出する。バクテリアフィルタ120は、細菌類を捕集することにより、流路を流れる高濃度酸素を除菌する。流量制限オリフィス121は、バクテリアフィルタ120を通って送られる高濃度酸素の流路を絞ることにより、高濃度酸素の流量を制限する。流量制限オリフィス121の絞り具合は、筐体100に設けられた、例えばボタンやつまみを有する操作部(図示せず)の操作内容と連動して調整される。
圧力センサ122は、流量制限オリフィス121から流量センサ123に送られる高濃度酸素の圧力を検出する。流量センサ123は、流量制限オリフィス121を通って送られる高濃度酸素の流量を検出する。圧力センサ122で検出された高濃度酸素の圧力および流量センサ123で検出された高濃度酸素の流量を継続的にメモリ(図示せず)に記憶することによって、予めなされた設定の通りに高濃度酸素が処理されているか否かをモニタリングすることができる。
加湿器124は、流量センサ123を通って送られた高濃度酸素を加湿する。酸素出口125は、加湿器124で湿度が与えられた高濃度酸素を、患者に供給するために排気する。酸素出口125には、一端に酸素マスクや鼻腔カニューラが接続されたチューブ(図示せず)が取付けられ、このチューブを通じて高濃度酸素が患者に供給される。
また、酸素濃縮器10は、CPU(central processing unit)、制御プログラムを格納した記憶媒体としてのROM(read only memory)、および作業用メモリとしてのRAM(random access memory)等を有する。CPUは、制御プログラムを実行することにより、コンプレッサ104やマニホールド108を含めた各部の動作を制御する。
このような酸素濃縮器10によれば、高濃度酸素を患者に供給することができる。
酸素濃縮器10は、上述の通り、静音性が求められる一方で、コンプレッサの冷却用空気の吸気口や排気口から動作音が漏洩するという問題を有する。
そこで、本実施の形態の酸素濃縮器10は、本発明に係る通気構造体を配置し、コンプレッサ104の冷却用空気をこの通気構造体の内部を通過させることによって、動作音に対する吸音を行い、酸素濃縮器10の静音化を図る。具体的には、コンプレッサ104を覆うコンプレッサケースの一部および近傍に、本発明に係る通気構造体を配置する。
図2は、コンプレッサケース周辺部の構成を示す斜視図である。
図2に示すように、コンプレッサケース200は、コンプレッサ104を覆う筐体であり、主に板金により構成される。コンプレッサケース200は、本体部分210と、吸気口部分220と、本発明に係る通気構造体の一例である給気風路部分230とに大別される。また、コンプレッサケース200の下部には、本発明に係る通気構造体の他の例である排気風路部分240が配置される。
本体部分210は、コンプレッサ104に被せられる形でコンプレッサ104および冷却パイプ105を覆う筐体である。本体部分210内部の、コンプレッサ104の下部には、冷却用ファン107が配置されている。冷却用ファン107の吸込側は、本体部分210の内部空間に開放されている。
吸気口部分220は、コンプレッサ104に導入される原料空気を収容する筐体である。
給気風路部分230は、コンプレッサ104の冷却用空気を本体部分210の内部に導入するための風路を内部に有する。給気風路部分230の風路は、立体形状を有する板状吸音部材により形成されており、通過する冷却用空気に対して吸音効果を発揮する。
排気風路部分240は、本体部分210内部の冷却用ファン107の吹出側に接続され、コンプレッサ104を冷却するための空気を本体部分210の内部から排出するための風路を内部に有する。排気風路部分240の風路は、内面に板状吸音部材を有し、通過する冷却用空気に対して吸音効果を発揮する。
以下、給気風路部分230および排気風路部分240の構成について説明する。まず、給気風路部分230の構成について説明する。
給気風路部分230は、主に、板金等からなる筐体と、この筐体の内部に配置された、後述の立体形状の板状吸音部材とに、大きく分かれる。冷却用空気が通過する風路は、実質的に、板状吸音部材によって形成される。ここでは、吸気風路部分230の板状吸音部材231を覆う筐体は、コンプレッサケース200の本体部分210と一体となっているものとする。
図3〜図5は、給気風路部分230本実施の形態に係る風路部分の構成を示す斜視図である。図3では、コンプレッサケース200を併せて図示する。また、図4および図5では、外側の筐体(コンプレッサケース200)を除去した状態を示す。図5では、図3および図4示す板状吸音部材231を上下に裏返した状態を示す。
図4および図5において、給気風路部分230は、立体形状の板状吸音部材231に、本体部分210内部の冷却用空気を導入するための給気路232を有する。具体的には、板状吸音部材231は、その立体形状により、筐体底面との間の空間を仕切る構造となっており、給気路232は、仕切られた空間の1つである。
給気路232は、滑らかに屈曲しており、一端に酸素濃縮器10の外部空気と通じる開口部233を有し、他端に本体部分210と通じる開口部(筐体に配置されているため、図示せず)を有する。
板状吸音部材231は、所定の通音性能および吸音性能を有する板状部材を加工した平面の板状吸音部材を、真空成型または熱加圧成型により立体成型したものである。具体的には、板状吸音部材231は、母材層と膜層とから成る二層構造を有する。
母材層は、細かい空気の隙間を有する多孔質素材から成る板状部材であり、高分子繊維、例えばポリエステル繊維から成る。母材層は、繊維の隙間にある空気の粘性抵抗により、所定の周波数の音のエネルギーを熱に変換し、その音を吸収する。なお、高分子繊維を採用する場合には、繊維の配向は、縦方向、横方向、ランダム配向のいずれでもよい。また、母材層の素材は、高分子繊維を不織布としたものや高分子繊維の不織布を圧縮成型したものでもよく、また、スポンジ状のウレタン素材等、他の多孔質素材を採用してもよい。ここでは、母材層は、ポリエステル繊維の不織布を圧縮成型したものとする。
膜層は、所定の通音性能および吸音性能を有するとともに、母材層の吸音性能に影響を与えない高分子フィルムである。
膜層および母材層から成る複合構造体と背面空気層(ここでは筐体との間の空間)とから成る共振系、並びに複合構造体の多質点系の共振により、所定の周波数の音、特に低周波音に対し、吸音が行なわれる。
膜層は、母材層の冷却用空気が通過する側、母材層の背面空気層側、母材層の内部のいずれに配置されていてもよいが、冷却用空気が通過する側(ここでは下側)に配置することにより、母材層が冷却用空気と直接に接触するのを防ぐことができ、酸素濃縮器10の耐久性および安全性を向上させることができる。また、板状吸音部材231の表面抵抗を低減することができるので、冷却用空気の流れへの影響を抑えることができ、冷却用空気の圧力損失を抑えることができる。したがって、小さい能力の冷却用ファン107を採用することができ、冷却用ファン107の動作音を抑えることができる。ここでは、膜層は、母材層の冷却用空気が通過する側の面に熱融着された高分子フィルムであるものとする。
このような給気風路部分230の吸音性能は、背面空気層の厚さによって異なってくる。したがって、背面空気層の厚さ、すなわち、板状吸音部材231と外側の筐体の内面との距離を、設計値通りとなるようにすることは重要である。したがって、例えば、図4および図5に示すように、板状吸音部材231に、筐体の内面に当接する形状であって、所望の背面空気層の厚さに等しい幅の縁部234を設けることが望ましい。これにより、背面空気層を所望の厚さに容易に設定することができる。
なお、板状吸音部材を通過して背面空気層に進入した音の大部分は、筐体の内面で反射して再び板状吸音部材に戻る。これにより、音の反射面である筐体の内面からλ/4の距離で空気の振動がピークとなる。したがって、背面空気層の厚さに母材層の厚さの1/2を足した長さの4倍の波長の付近の音およびこの音の整数倍の周波数の音に対する吸音率を向上させることができる。
このような構成の給気風路部分230によれば、冷却用空気を伝播する動作音と、冷却用空気自体の流体騒音とを低減することができる。
また、母材層は、高分子繊維を圧縮したものであるため、給気風路部分230として用いるのに適度な硬さを備えることができる。
次に、排気風路部分240の構成について説明する。
排気風路部分240は、本体部分210の底面にあたる平面板と、この平面板の下面側に密着して配置される構造体本体とに、大きく分かれる。冷却用空気が通過する風路は、実質的に、構造体本体によって形成される。
図6は、排気風路部分240の構成を示す斜視図である。また、図7は、排気風路部分240を上方から見た平面図である。いずれも、平面板を除去した状態を図示する。
図6および図7において、排気風路部分240は、構造体本体241に、本体部分210内部の冷却用空気を排出するための排気路242を有する。排気路242は、滑らかに屈曲しており、一端に本体部分210に配置された冷却用ファン107の吹出側と通じる開口部(平面板に配置されているため、図示せず)を有し、他端に酸素濃縮器10の外部空気と通じる開口部243を有する。排気路242の下側面には、板状吸音部材244が固定されている。
図8は、排気風路部分240のうち板状吸音部材244が配置されている部分の断面を示す斜視断面図である。また、図9および図10は、板状吸音部材244の他の例の構成を示す斜視図である。
図8に示すように、排気路242は、構造体本体241の立体形状によって形成されている。具体的には、構造体本体241には、平面板との間の空間を仕切る複数の仕切板245が設けられており、排気路242は、この仕切板245によって仕切られた空間の1つである。構造体本体241は、例えば、プラスチック樹脂を射出成型したものである。
構造体本体241の下側面は、強度確保のために設けられたリブ形状により、複数の窪み246を有している。そして、図8〜図10に示すように、板状吸音部材244は、排気路242の下側面247の立体形状の各突出部248に沿い、かつ、排気路242の水平断面形状と同一の、略平面形状を有している。そして、板状吸音部材244は、図8に示すように、突出部248に接触させる形で、排気路242の下側面247に固定される。これにより、各窪み246は、閉じられた空間となる。この空間は、共鳴による膜吸音を行うための背面空気層として機能する。
板状吸音部材244は、例えば、給気風路部分230の板状吸音部材231と同一の素材から成り、所定の通音性能および吸音性能を有する。
板状吸音部材244が吸音性能は、背面空気層の厚さに依存する。したがって、板状吸音部材244と下側面247との間の背面空気層の厚さ、すなわち窪み246の深さを設計値通りとなるようにすることは重要である。例えば、窪み246がより深いほど、より低い周波数帯域で吸音効果を得ることができる。
なお、背面空気層の厚さが一定の場合に比べて、背面空気層の厚さが場所によって異なる場合のほうが、より多くの周波数帯域で吸音効果を得ることができる。したがって、図8に示すように、窪み246の深さが場所によって異なることにより、より多くの周波数帯域で吸音効果を得ることが可能となる。背面空気層の厚さに母材層の厚さの1/2を足した長さの4倍の波長の付近の音およびこの音の整数倍の周波数の音に対する吸音率を向上させることができることは、給気風路部分230の板状吸音部材231と同様である。
板状吸音部材244は、更に、図9または図10に示す複数の突起249を有する。突起249は、例えば、プレス加工により設けることができる。突起249は、例えば、図9に示すように、板状吸音部材244の上面の、外部に通じる開口部243に近い位置に配置することができる。この場合には、冷却用空気を、外部に排出される際に板状吸音部材244から剥離し易くすることができ、流体騒音の発生を抑えることができる。また、突起249は、例えば、図10に示すように、板状吸音部材244の上面の、冷却用ファン107の吹出側と通じる開口部に近い位置に配置することができる。この場合には、冷却用空気の風速を低い圧力損失で低下させることができ、流体騒音の発生を抑えることができる。
このような構成の排気風路部分240は、冷却用空気を伝播する動作音と、冷却用空気自体の流体騒音とを低減することができる。
また、図3〜図5に示す給気風路部分230の板状吸音部材231と、図6〜図10に示す排気風路部分240の板状吸音部材244とは、いずれも、高分子繊維の不織布の片面に高分子フィルムを配置して熱加圧成型することにより、簡単に製作することができる。すなわち、給気風路部分230および排気風路部分240は、簡単な構成で、内部を通過する冷却用空気に対する吸音を実現することができる。
また、給気風路部分230の給気路232および排気風路部分240の排気路242は、いずれも滑らかに屈曲している。したがって、特許文献1記載の通気構造体のように直角に屈曲した風路を採用した場合に比べて、圧力損失を抑えた状態で吸音を行うことができ、かつ、流体騒音の発生を抑えることができる。これにより、動作音が小さい、より低い能力の冷却用ファン107を採用することができる。
以下、上述のように構成された酸素濃縮器10の動作について説明する。
酸素濃縮器10への電源供給が開始されると、所定のセルフチェックプログラムによって動作環境が整えられる。操作者(患者または介護者)により、筐体100に設けられた操作部において酸素流量および酸素濃度が指定されると、流量制限オリフィス121は、その設定内容に応じて流路の断面積を調整する。
コンプレッサ104は、筐体100の外部から、風路ケース101、ヘパフィルタ102、および吸気タンク103を介して、原料空気を導入し、導入した原料空気を圧縮して圧縮空気を生成する。このとき、ヘパフィルタ102は、通過する原料空気から空中浮遊粒子を除去する。
コンプレッサ104で生成された圧縮空気は、冷却パイプ105を介してマニホールド108に送られる。マニホールド108は、第1および第2の切替弁109a、109bの開閉状態の切替えにより、コンプレッサ104から送られた圧縮空気を第1および第2のシーブベッド110、111を交互に通過させるとともに、第1および第2のシーブベッド110、111から窒素富化空気を交互に排気させる。第1および第2のシーブベッド110、111は、ゼオライトによる窒素の吸着と脱着とを交互に繰り返す。この結果、高濃度酸素が第1および第2のシーブベッド110、111から交互に製品タンク112に送られ続け、製品タンク112には、高濃度酸素が収容される。なお、ゼオライトは窒素だけでなく水分をも吸着するので、製品タンク112に収容される高濃度酸素は、水分がほとんど含まれていない乾燥した状態である。
一方、第1および第2のシーブベッド110、111は、ゼオライトによる窒素の吸着と脱着との繰り返しの結果、窒素富化空気を、マニホールド108を介して、消音器115の排気口115aから筐体100の外部に排出し続ける。窒素富化空気の排気は、第1および第2の切替弁109a、109bの開閉切り替えごとに高い圧力で一気に行われる(例えば、1回の排気で数十リットル)。この排気に伴う音は比較的大きいため、消音器115により、この音の静音化を図っている。
製品タンク112に収容された高濃度酸素は、レギュレータ117、止め弁118、バクテリアフィルタ120、流量制限オリフィス121、流量センサ123、加湿器124、および酸素出口125を介して、筐体100の外部に放出される。
レギュレータ117は、製品タンク112の直後に設けられた圧力センサ116の検出結果に基づいて、製品タンク112直後の高濃度酸素の圧力の調整を行う。バクテリアフィルタ120は、高濃度酸素を除菌する。流量制限オリフィス121は、高濃度酸素の流量を制限する。圧力センサ122および流量センサ123は、放出される高濃度酸素が設定通りに処理されているか否かをモニタリングする。このモニタリング結果は、メモリ(図示せず)に記録され。加湿器124は、酸素出口125の直前で、高濃度酸素を加湿し、高濃度酸素に患者が吸引するために最適な水分を与える。
酸素出口125から放出される高濃度酸素は、酸素出口125に接続されたチューブ(図示せず)およびチューブの他端に接続された酸素マスクや鼻腔カニューラを介して、患者に吸引される。
また、上記の高濃度酸素生成の動作が行われている間、冷却用ファン107は、外気を、給気風路部分230を通してコンプレッサケース200の内部に吸引し、冷却用空気として各部を循環させて、排気風路部分240を通して筐体100の外部に排気する。これにより、コンプレッサ104、冷却パイプ105、マニホールド108、および制御に用いられるCPU等の部品が冷却され、酸素濃縮器10の耐久性および装置信頼性が向上する。また、給気風路部分230および排気風路部分240は、上述の通り、コンプレッサ104の動作音および冷却用ファン107の動作音を吸収する吸音効果を有し、流体騒音を抑える構造となっている。したがって、冷却気の吸気口および排気口からの動作音の漏洩が抑制される。
このように、酸素濃縮器10は、動作音の漏洩を抑制した状態で、高濃度酸素を患者に継続的に供給することができる。
以上説明したように、本実施の形態によれば、コンプレッサ104の冷却用空気を通過させる風路に、板状吸音部材と背面空気層とを設けたので、動作音の漏洩を抑制することができる。
また、板状吸音部材は、高分子繊維から成る母材層と高分子フィルムの膜層とから成るので、特に背面空気層との組み合わせにより、高い吸音効果を発揮することができる。
また、母材層は、高分子繊維不織布を圧縮したものであるため、吸音性能を保持しつつ適度な硬さを得ることができる。
また、膜層は、高分子フィルムを母材層に融着したものであるため、内部摩擦による吸音効果を向上させることができる。更に、冷却用空気の清浄性を保ち、かつ、冷却用空気の摩擦損失を抑えた状態で、より高い吸音性能を得ることができる。
また、吸音材としてポリエステル繊維を用いるので、ウレタンフォ−ム、フェルト、グラスウ−ル等の多孔質材料に比べて、耐久性、作業環境性、およびリサイクル性において優れた吸音部材を提供することができる。
また、排気風路部分の立体形状を利用して板状吸音部材に背面空気層を設定するので、既存の排気風路部分に対する板状吸音部材の追加という軽微な設計変更により、上記吸音効果を得ることができる。また、単体で背面空気層を形成することができる。すなわち、排気風路部分に窪みが存在する場合には、背面空気層を形成するためのスペーサを不要とすることができ、製作コストを抑えることができる。
なお、以上説明した実施の形態では、板状吸音部材と他の部材とを組み合わせることによって風路を形成する例について説明したが、立体形状を有する板状吸音部材のみによって、風路を形成するようにしてもよい。この場合には、複数の板状吸音部材を組み合わせる構成とすることが、立体成型の都合上、好ましい。
また、本発明に係る通気構造体を酸素濃縮器の冷却用空気の風路に適用した例について説明したが、本発明に係る通気構造体の適用対象は、これに限定されるものではない。例えば、酸素濃縮器の原料空気の風路、高濃度酸素の風路に、本発明を適用してもよい。
また、酸素濃縮器以外にも、内部に気体を通過させる医療機器、空調機等の各種電子機器、およびダクトにも、本発明を適用することができる。特に、静音性および安全性が要求される医療用人工呼吸器、CPAP(continuous positive airway pressure)装置等の医療用機器に好適である。但し、風路が大きい場合には、素材の変更、厚さの変更、凹凸加工、補強材の追加等により、強度を高める必要がある。
本発明の一実施の形態に係る通気構造体が用いられる酸素濃縮器の構成を示す概略図 本実施の形態に係るコンプレッサおよびコンプレッサケースの構成を示す斜視図 本実施の形態に係る通気構造体の一例である給気風路部分の構成を示す第1の斜視図 本実施の形態に係る通気構造体の一例である給気風路部分の構成を示す第2の斜視図 本実施の形態に係る通気構造体の一例である給気風路部分の構成を示す第3の斜視図 本実施の形態に係る通気構造体の他の例である排気風路部分の構成を示す斜視図 本実施の形態に係る排気風路部分を上方から見た平面図 本実施の形態に係る排気風路部分の断面を示す斜視断面図 本実施の形態における板状吸音部材の他の例の構成を示す第1の斜視図 本実施の形態における板状吸音部材の他の例の構成を示す第2の斜視図
符号の説明
10 酸素濃縮器
100 筐体
101 風路ケース
102 ヘパフィルタ
103 吸気タンク
104 コンプレッサ
105 冷却パイプ
107 冷却用ファン
108 マニホールド
109a、109b 切替弁
110、111 シーブベッド
112 製品タンク
113 均圧弁
114 パージオリフィス
115 消音器
115a 排気口
116 圧力センサ
117 レギュレータ
118 止め弁
119 酸素センサ
120 バクテリアフィルタ
121 流量制限オリフィス
122 圧力センサ
123 流量センサ
124 加湿器
125 酸素出口
200 コンプレッサケース
210 本体部分
220 吸気口部分
230 給気風路部分
231 板状吸音部材
232 給気路
233 開口部
234 縁部
240 排気風路部分
241 構造体本体
242 排気路
243 開口部
244 板状吸音部材
245 仕切板
246 窪み
247 下側面
248 突出部
249 突起

Claims (8)

  1. 気体を内部に通過させる医療機器において使用される通気構造体であって、
    前記気体が通過する風路を形成する構造体本体と、
    前記風路の内面のうち前記気体が通過しない側の内面との間に空間を形成する板状吸音部材であって、前記気体が接触する部分の少なくとも一部として、高分子繊維から成る母材層と高分子フィルムの膜層とから成る板状吸音部材と、を有し、
    前記構造体本体は、前記板状吸音部材に対して傾斜した傾斜面を有し、
    前記空間は、前記傾斜面を利用することで場所によって異なる厚さを有するように形成された空気層である、
    通気構造体。
  2. 前記空間は、閉じられた空間である、
    請求項記載の通気構造体。
  3. 前記風路は、音源に接する空間に連続する、
    請求項記載の通気構造体。
  4. 前記音源は、原料空気から高濃度酸素を分離して放出する酸素濃縮器の内部に配置される装置である、
    請求項記載の通気構造体。
  5. 前記膜層は、前記母材層の前記気体が通過する側の面に配置されている、
    請求項1記載の通気構造体。
  6. 前記板状吸音部材は、前記風路の内面のうち前記気体が通過する側の内面に突起を有する、
    請求項1記載の通気構造体。
  7. 前記風路は、滑らかに屈曲している、
    請求項記載の通気構造体。
  8. 原料空気を圧縮するコンプレッサと、圧縮された前記原料空気から高濃度酸素を分離して放出する吸着塔と、前記コンプレッサを冷却する冷却用空気を循環させる冷却用ファンと、を有する酸素濃縮器において使用され、前記冷却用空気を内部に通過させる通気構造体であって、
    前記冷却用空気が通過する風路を形成する構造体本体と、
    前記風路の内面のうち前記冷却用空気が通過しない側の内面との間に空間を形成する板状吸音部材であって、前記冷却用空気が接触する部分の少なくとも一部として、高分子繊維から成る母材層と高分子フィルムの膜層とから成る板状吸音部材と、を有し、
    前記構造体本体は、前記板状吸音部材に対して傾斜した傾斜面を有し、
    前記空間は、前記傾斜面を利用することで場所によって異なる厚さを有するように形成された空気層である、
    通気構造体。
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