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JP5490679B2 - 洗浄剤 - Google Patents
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Description

本発明は、洗浄剤、特に過剰塩基金属(overbased metal)ヒドロカルビル置換ヒドロキシ安息香酸塩、好ましくはヒドロカルビル置換サリチラート洗浄剤に関する。本発明は又、エンジン、特に船舶用ディーゼルエンジン中での黒色ペイント状物質(black paint’)の生成の原因になるアスファルテン沈殿物を減少する方法に関する。
船舶用トランクピストンエンジンにおいては、沖合航行では一般に重質燃料油(HFO')が用いられる。重質燃料油は石油留分の最も重い成分であり、過剰量の脂肪族炭化水素(例えば、ヘプタン)中には不溶であるが、芳香族溶媒(例えば、トルエン)には溶解する石油留分として定義されるアスファルテン類を15質量%まで含む分子種の複合混合物を含む。アスファルテン類は、シリンダーか燃料ポンプ及び噴射装置を経由して、エンジン潤滑油に汚染物質として入ってくることができ、そしてアスファルテンの沈着が起こり、その結果エンジン中で黒色ペイント状物質もしくは黒色スラッジとして観測される。この様な炭素質の堆積物のピストン表面上での存在は、クラック形成に繋がる断熱層(insulating layer)として作用し、それはピストンを通じて伝搬する。もし、クラックがそのまま伝わると、熱燃焼ガスがクランクケースに入り、クランクケース爆発に繋がる可能性がある。
トランクピストンエンジン油('TPEO'類)を設計する上でキーとなる要点はアスファルテン沈着の防止であるが、現在用いられているグループIIのベース油の場合、この点における有効性は減少してきている。
WO 96/26995では、ディーゼルエンジンにおける黒色ペイント状物質を減少するためのヒドロカルビル置換フェノールの使用を開示している。WO 96/26996では、ディーゼルエンジンにおける黒色ペイント状物質を減少するため、油中水滴エマルションに対する解乳化剤(demulsifier)、例えばポリオキシアルキレンポリオール、の使用を開示している。
本発明の目的は、エンジン、特に船舶用ディーゼルエンジンにおけるアスファルテン沈着即ち黒色ペイント状物質を減少させることにある。本発明の目的は又、グループIIのベースストックを含む潤滑油組成物を用いることにより、エンジン中のアスファルテン沈着即ち黒色ペイント状物質を減少させることにある。
本発明に拠れば、塩基度指数(basicity index)が2未満で、且つ炭酸化度が80%以上である過剰塩基金属ヒドロカルビル置換ヒドロキシベンゾアート洗浄剤が提供され、その場合、炭酸化度は過剰塩基金属ヒドロカルビル置換ヒドロキシベンゾアート洗浄剤中に存在する炭酸塩の含有率を洗浄剤中における全過剰塩基に対する相対モルパーセントで表したものである。
塩基度指数'により、我々は過剰塩基洗浄剤中の全石鹸分に対する全塩基のモル比を意味する。 過剰塩基金属ヒドロカルビル置換ヒドロキシベンゾアート洗浄剤は、好ましくは炭酸化度が85%以上、好適には86%以上、より好適には87%以上、さらに好適には90%以上、一層好適には91%、最も好適には92%以上である。炭酸化度は、好ましくは最大100%であり、より好ましくは最大99%である。
本発明に拠れば、潤滑油粘度の油及び塩基度指数が2未満で炭酸化度が80%以上である過剰塩基金属ヒドロカルビル置換ヒドロキシベンゾアート洗浄剤を含む潤滑油組成物が提供され、その場合、炭酸化度は過剰塩基金属ヒドロカルビル置換ヒドロキシベンゾアート洗浄剤中に存在する炭酸塩の含有率を洗浄剤中における全過剰塩基に対する相対モルパーセントで表したものである。潤滑油粘度の油は、好ましくはグループIIのベースストックである。
潤滑油組成物は、好ましくはトランクピストンエンジン油('TPEO')である。
本発明に拠れば、エンジン中のアスファルテン沈着即ち黒色ペイント状物質を減少させる方法も提供され、該方法は潤滑油粘度の油及び塩基度指数が2未満で炭酸化度が80%以上である過剰塩基金属ヒドロカルビル置換ヒドロキシベンゾアート洗浄剤を含む潤滑油組成物を用いるエンジンの潤滑工程を含み、その場合、炭酸化度は過剰塩基金属ヒドロカルビル置換ヒドロキシベンゾアート洗浄剤中に存在する炭酸塩の含有率を洗浄剤中における全過剰塩基に対する相対モルパーセントで表したものである。潤滑油粘度の油は、好ましくはグループIIのベースストックである。
更に又、本発明に拠れば、エンジン中のアスファルテン沈着即ち黒色ペイント状物質を減少させるため、塩基度指数が2未満で炭酸化度が80%以上である過剰塩基金属ヒドロカルビル置換ヒドロキシベンゾアート洗浄剤の潤滑油組成物中における使用も提供され、その場合、炭酸化度は過剰塩基金属ヒドロカルビル置換ヒドロキシベンゾアート洗浄剤中に存在する炭酸塩の含有率を洗浄剤中における全過剰塩基に対する相対モルパーセントで表したものである。
該エンジンは、好適には船舶用ディーゼルエンジンである。
過剰塩基金属ヒドロカルビル置換ヒドロキシベンゾアート洗浄剤は、好ましくは過剰塩基カルシウムヒドロカルビル置換ヒドロキシベンゾアート洗浄剤である。過剰塩基金属ヒドロカルビル置換ヒドロキシベンゾアート洗浄剤は、好ましくは過剰塩基金属サリチラート洗浄剤、特に過剰塩基カルシウムサリチラート洗浄剤である。
[洗浄剤]
洗浄剤はピストンへの堆積物、例えばエンジン中で高温ワニス及びラッカー質の堆積物の形成を減少させる添加剤であり;それは通常、酸中和性があり、懸濁液中で微細固体粒子を保持できるものである。殆どの洗浄剤は金属石鹸をベースとしており;それは酸性の有機化合物の金属塩類であり、しばしば界面活性剤として引用される。
一般に、洗浄剤は極性基部分のヘッドと長鎖の疎水性部分とを含み、極性のヘッドは酸性有機化合物の金属塩を含む。大部分の金属塩基は、酸化物や水酸化物の様な過剰の金属塩基と二酸化炭素の様な酸性ガスとの反応によって、中和された洗浄剤を金属塩基(例えば、炭酸塩)ミセルの外層として含む過剰塩基洗浄剤を生じることができる。
本発明の界面活性剤はヒドロカルビル置換ヒドロキシ安息香酸、好ましくはヒドロカルビル置換サリチル酸である。ヒドロカルビル基はアルキル基又はアルケニル基を含む。過剰塩基金属ヒドロカルビル置換ヒドロキシベンゾアートは、典型的には下記の構造を有する。
Figure 0005490679
ここで、Rは直鎖又は分岐の脂肪族炭化水素基であり、好ましくはヒドロカルビル基であり、より好ましくは直鎖又は分岐鎖アルキル基を含むアルキル基である。ベンゼン環に結合するR基は1以上あってもよい。Mはアルカリ金属(例えば、リチウム、ナトリウムまたはカリウム)もしくはアルカリ土類金属(例えば、カルシウム、マグネシウム、バリウムまたはストロンチウム)である。カルシウム又はマグネシウムが好ましく、カルシウムが特に好ましい。COOM基は水酸基に対してオルソ−、メタ−、パラ−位のいずれでもよいが、オルソ位が好ましい。R基は水酸基に対してオルソ−、メタ−、パラ−位のいずれでもよい。
ヒドロキシ安息香酸類は、典型的にはKolbe-Schmitt反応により、フェノキシドのカルボキシル化により合成され、その場合、カルボキシル化されていないフェノールとの混合物(通常、希釈剤中で)として得られる。ヒドロキシ安息香酸類は硫化されてもされていなくてもよく、化学的に修飾されても、及び/又は付加的な置換基を含んでもよい。ヒドロカルビル置換ヒドロキシ安息香酸の硫化プロセスは当業者で良く知られており、例えば、US 2007/0027057に記載されている。
ヒドロカルビル置換ヒドロキシ安息香酸類において、ヒドロカルビル基は、好適にはアルキル基(直鎖又は分岐鎖アルキル基を含む)であり、該アルキル基の炭素数は、有利には5〜100、好適には9〜30、特に14〜24である。
「過剰塩基」(“overbased”)なる用語は通常、酸性部分の当量数(the number of equivalents of the acid moiety)に対する金属部分の当量数の比率が1を超える金属含有洗浄剤(metal detergents)を述べるために用いられる。「低塩基性」(“low-based”)なる用語は金属部分の当量の酸部分の当量に対する比率が1を超え約2以下である金属含有洗浄剤を述べるために用いられる。本発明の金属ヒドロキシベンゾアートは低塩基性である。
「界面活性剤の過剰塩基性カルシウム塩」(“overbased calcium salt of surfactants”)とは、油不溶性金属塩の金属カチオンが本質的にカルシウムカチオンである、過剰塩基洗浄剤を意味する。少量の他のカチオンは油不溶性金属塩に存在してもよいが、油不溶性金属塩のカチオンの内、典型的には80モル%以上、より典型的には90モル%以上、例えば95モル%以上がカルシウムイオンである。カルシウム以外のカチオンは、例えば、カチオンがカルシウム以外の金属である界面活性剤の塩の過剰塩基洗浄剤の製造での使用から誘導される。好ましくは、界面活性剤の金属塩もカルシウムである。
炭酸化された過剰塩基金属洗浄剤は、典型的に不定形のナノ粒子を含む。更に、結晶性のカルサイト及びバテライト型の炭酸カルシウムを含むナノ粒子性材料を開示する。
洗浄剤の塩基度は、好ましくは全塩基数(TBN)として表わされる。全塩基数は、過剰塩基性材料の全塩基度を中和するに要する酸の量である。TBN値はASTM D2896もしくは相当する方法を用いて測定される。洗浄剤は、低TBN(TBN50未満)、中TBN(TBN50〜150)、又は高TBN(TBN150〜500の様な150超)に大別される。本発明による好ましい洗浄剤はTBN150以下である。
過剰塩基金属ヒドロカルビル置換ヒドロキシベンゾアート類は当業界で用いられるいずれの技術によっても調製可能である。一般的な方法は下記の通りである。
1)揮発性炭化水素、アルコール及び水から成る混合溶媒中で、ヒドロカルビル置換ヒドロキシ安息香酸をモル過剰量の金属塩基で中和して、少々過剰塩基な金属ヒドロカルビル置換ヒドロキシベンゾアート複合体を製造する;
2)炭酸化によりコロイド分散状金属炭酸塩を製造し、次に反応後に時間をかける;
3)コロイド分散されない残留固体を除去し;そして
4)プロセス溶媒を蒸留により除去する。
過剰塩基金属ヒドロカルビル置換ヒドロキシベンゾアート類はバッチ式、連続式のいずれの過剰塩基プロセスでも製造可能である。
金属塩基(例えば、金属水酸化物、金属酸化物、金属アルコキシドなど)、好適には石灰(水酸化カルシウム)は、1段でもそれ以上に分けてチャージしてもよい。その次に、二酸化炭素がチャージされる場合があるので、該チャージ量は同一でも異なってもよい。更に水酸化カルシウムチャージ量を添加する際、前段階での二酸化炭素処理は完全である必要はない。炭酸化の進行に伴い、溶解している水酸化物はコロイド状炭酸塩粒子となって揮発性炭化水素溶媒と不揮発性炭化水素油との混合物中に分散される。
炭酸化は、アルコール促進剤の還流温度までの温度範囲に亘って、1段もしくはそれ以上の工程で影響される。その場合、添加温度は同様でも異なっても、或いは各添加工程中で変化してもよい。昇温され、その後適宜低下される相は次の炭酸化工程より先行してもよい。
反応混合物中の揮発性炭化水素溶媒は、好適には、通常沸点が約150℃を超えない液体の芳香族炭化水素である。芳香族炭化水素は、例えば、ろ過速度が速いなどのメリットがあることが分かっており、トルエン、キシレン及びエチルベンゼンが適当な溶媒の例である。
アルカノールとして、エタノールの様な他のアルコールも使用可能であるが、メタノールが好ましい。アルカノール対炭化水素溶媒の比率と、イニシャル反応混合物中の水分を正しく選択することは所望の生成物を得るために重要である。
反応混合物に対して油を添加してもよい。その場合、炭化水素油、特に鉱物由来のものが適当である。38℃での粘度が15〜30cStである油が非常に適当である。
二酸化炭素による最終処理の後、反応混合物は、例えば約130℃超に加熱して、揮発性物質(水、残余のアルカノール及び炭化水素溶媒)を除去するのが典型的である。合成反応が完結したら、懸濁沈降物が存在する結果、粗生成物の外観は霞んでくる。それは、例えば、ろ過や遠心分離によって透明化され得る。この対応策は、溶媒除去の、前、途中もしくは完了後に適用してもよい。
生成物は通常油溶液として用いられる。もし、反応混合物中に油が不足して、揮発性物質の除去後に油溶液状態を保持できない場合は、更に油を添加する必要がある。これは、溶媒除去の前か、或いは中間点かその後のいずれで行ってもよい。
追加の材料は過剰塩基金属洗浄剤の欠くことができない部分を形成することがある。例えば、これらには長鎖脂肪族モノ−又はジ−カルボン酸類を含む。最適なカルボン酸類としては、ステアリン酸、オレイン酸、及びポリイソブチレン(PIB)コハク酸を含む。
[炭酸化度(‘DOC’)]
所望の炭酸化度(‘DOC’)レベルを達成するには二酸化炭素の必要過剰量を決定するための実務的経験を要する。これらに鑑みて、炭酸化度(‘DOC’)レベルを決定するには分析的決定が不可欠である。
[炭酸化度(‘DOC’)の決定]
二酸化炭素の放出による金属炭酸塩含有率
アルカリ及びアルカリ土類金属の炭酸塩は、多くの強酸による処理により定量的に二酸化炭素を放出する。放出された二酸化炭素を適当な試薬で吸収させて、ろ過を行うと洗浄剤中の金属炭酸塩含有率の算出が可能となる。一つの適切な方法として、洗浄剤試料(0.2−5.0g)を過剰な(例えば、1L当たり2モル濃度の)塩酸で煮沸する。放出される二酸化炭素はジメチルホルムアミド(容積分率で1〜40部)中のモノエタノールアミン混合物に吸収させ、同時に、チモールブルー(1L当たり3〜1gのモノエタノールアミン)を指示薬として、標準(例えば、1L当たり0.1モル濃度)のアルコール性水酸化テトラブチルアンモニウム溶液により滴定される。適宜、硫化水素による妨害を防止するため、例えばオルソバナジン酸銀の様な適当な試薬を含むチューブ中で吸収させる。市販の二酸化炭素吸収剤(例えば、20メッシュの)を含む防護用チューブを使用して、滴定試薬から大気中の二酸化炭素を排除することに注意しなければならない。吸収剤混合物が二酸化炭素フリーであることを保証するため、各反応/滴定の前に、標準のアルコール性水酸化テトラブチルアンモニウム溶液を用いて、チモールブルー指示薬の安定な青色が発現するまで、中和する。放出された二酸化炭素を完全に吸収するのを保証するためには、吸収剤混合物をよく循環することを推奨する。窒素フローを行うと、反応器から放出された二酸化炭素を吸収剤混合物に移動させるのを助ける。滴定自体は指示薬の安定な青色が発現するまで継続する。ブランク滴定を行うことを推奨する。
計算:
放出二酸化炭素量=[(TBAH体積(mL))×(TBAH濃度(モル/L)×103)]/洗浄剤試料の質量(g)
(注.TBAH:水酸化テトラブチルアンモニウム)
その結果:
炭酸塩としての金属の量(ミリモル/kg)=放出二酸化炭素量(ミリモル/kg)
同様な実験方法は下記の文献に記載されている。
Rapid Method of Determining Carbonates in Sulphonate Additives' by A.F. Lyashenko, V.I. Borisova and A.U. Mazurenko in Trudy- Vsesoyuznyi Nauchno-Issledovatel'skii Institut po Pererabotke Nefti (1976), 14, 217-20
強塩基数による金属水酸化物含有率
強塩基の(又は「直接塩基の」)塩基数を決定する一つの分析法としては、イソプロパノール/トルエンに溶解させた試料のフェノールフタレイン中和点までの滴定を含み;水/糖溶液(例えば、US 5259966に記載され、及び以降、US 20060183650A1, US 6310009, US 6268318 & US 6015778にて引用される。)を添加する。強塩基物質としては酸化カルシウム、水酸化カルシウム、及び種々のカルシウムアルコキシドを含む。反応工程において、水酸化カルシウムはスルホン酸及びフェノール類と反応して、夫々カルシウムスルホナート及びカルシウムフェナートを生成する。カルシウムスルホナートもカルシウムフェナートも強塩基数の測定値を与えない、即ち、これらの塩はフェノールフタレイン指示薬を滴定しない。水酸化カルシウムは二酸化炭素とも反応して、コロイド状炭酸カルシウムを生成する。それは強塩基数の測定値を与えない。本発明の生成物中の強塩基数は未消費の水酸化カルシウムと関係する。
強塩基としての金属の量(ミリモル/kg)=SBN×102/(金属の価数×KOH分子量)
炭酸化度(‘DOC’)の算出法
上記した種々の測定結果を用いて、DOCは下記に従って算出可能である:
DOC(モル%)=(炭酸塩としての金属)/[(炭酸塩としての金属)+(強塩基としての金属)]×102
該潤滑油組成物は、摩擦調整剤、老化防止剤、分散剤、酸化防止剤、粘度調整剤、流動点降下剤、防錆剤、腐食防止剤、解乳化剤及び泡コントロール剤から選択される1種以上の他の添加剤を含んでもよい。
[摩擦調整剤]
摩擦調整剤としては以下の物質を含む。即ち、高級脂肪酸類のグリセリルモノエステル類、例えば、グリセリルモノオレート、長鎖多価カルボン酸類とジオール類とのエステル、例えば、二量化された不飽和脂肪酸のブタンジオールエステル、オキサゾリン化合物、アルコキシ化されたアルキル置換モノアミン類とジアミン類及びアルキルエーテルアミン類、例えば、エトキシ化牛脂アミン及びエトキシ化牛脂エーテルアミンである。
他の公知の摩擦調整剤としては油溶性有機モリブデン化合物を含む。この様な有機モリブデン摩擦調整剤は、潤滑油組成物に抗酸化性物質及び老化防止剤としての機能を与える。この様な油溶性有機モリブデン化合物の例としては、ジチオカーバメート、ジチオホスファート(dithiophosphates)、ジチオホスフィナート(dithiophosphinates)、ザンテート、チオザンテート(thioxanthates)、スルフィドなど、及びこれらの混合物を列挙することができる。特に好ましいのは、モリブデンのジチオカーバメート、ジアルキルジチオホスファート、アルキルザンテート及びアルキルチオザンテートである。
更に、モリブデン化合物は酸性のモリブデン化合物であってもよい。これらの化合物はASTM D-664又はD-2896滴定法で測定され、且つ典型的には6価である様な塩基性窒素化合物と反応する。これらに含まれるモリブデン化合物としては、モリブデン酸、モリブデン酸アンモニウム、モリブデン酸ナトリウム、モリブデン酸カリウム、及び他のアルカリ金属のモリブデン酸塩、及び他のモリブデン酸塩、例えば、モリブデン酸水素ナトリウム塩、MoOCl4、MoO2Br2、Mo2O3Cl6、三酸化モリブデン、及び類似の酸性モリブデン化合物である。
モリブデン化合物は下記の化学式で表わされるものであってもよい。
Mo(ROCS2)4及びMo(RSCS2)4
ここで、Rはアルキル、アリール、アラルキル、アルコキシアルキルから成る群から選択される有機基であって、炭素数は通常1〜30であり、好ましくは2〜12、最も好ましくは2〜12のアルキル基である。特に好ましいのは、モリブデンのジアルキルジチオカーバメートである。
他の有機モリブデン化合物としては、3核モリブデン化合物、特に化学式Mo3SkLnQzで表わされる化合物とそれらの混合物であり、この式においてLは油相中に化合物を溶解又は分散させるのに充分な数の炭素原子を含む有機基を有する配位子から独立に選択され、nは1〜4、kは4〜7、Qは、水、アミン類、アルコール類、ホスフィン類及びエーテル類の様な中性の電子供与性化合物の群から選択され、Zは0〜5の範囲であり非化学量論的値を含む。配位子の有機基中には、21個以上の炭素原子が存在していなければならず、例えば、炭素原子数が25以上、30以上、35以上である。
配位子は互いに独立に下記の群
Figure 0005490679
及びこれらの混合物から選択され、ここにおいて、X,X1,X2及びYは夫々独立に酸素、イオウから選択され、R1,R2,Rは夫々独立に水素及び互いに同じか異なる有機基から選択される。好ましくは、有機基はアルキル基(例えば、配位子の残余の部分に結合している炭素原子が一級又は二級である)、アリール基、置換されたアリール基、及びエーテル基の様なヒドロカルビル基である。より好ましくは、各配位子は同じヒドロカルビル基を有する。
「ヒドロカルビル」なる用語は、配位子の残余の部分に直接結合する炭素原子を有する置換基を示し、本発明で述べる範囲内で性質が主にヒドロカルビル基である。この様な置換基としては下記を含む。
1.炭化水素置換基、即ち、脂肪族(例えば、アルキル又はアルケニル)、脂環式(例えば、シクロアルキル又はシクロアルケニル)置換基、芳香族−、脂肪族−及び脂環式−置換された芳香核及びその類似であり、環が配位子の他の部分を通じて完結している場合の環状置換基(即ち、何らかの2個の指示された置換基が脂環式基を形成する場合)である。
2.置換された炭化水素置換基、即ち、本発明で規定する範囲において、置換基の主としてヒドロカルビル的性質を変えない非炭化水素基を含むものである。当業者は適当な基(例えば、ハロゲン基、特にクロロ基及びフルオロ基、アミノ基、アルコキシル基、メルカプト基、アルキルメルカプト基、ニトロ基、ニトロソ基、スルホキシ基等)を知っている。
3.複素置換基(hetero substituents)、即ち、本発明で規定する範囲内で性質が主に炭化水素的であるが、炭化水素鎖中又は炭化水素から構成される環中に存在する炭素以外の原子を含む。
重要なことには、配位子の有機基は充分な数の炭素原子を有することにより、油中に溶解又は分散可能な化合物ならしめている。例えば、各有機基の炭素原子数は通常1〜100、好ましくは1〜30であり、より好ましくは4〜20である。好ましい配位子としては、ジアルキルジチオホスファート、アルキルザンテート及びジアルキルジチオカーバメートであり、これらの内では、ジアルキルジチオカーバメートがより好ましい。前記の2以上の官能基を含む有機配位子は、配位子としても、1以上の核(core)の結合子としても作用し得る。該化合物の形成には核の電荷とバランスする適当な電荷を有する配位子を選択しなければならないことを当業者は理解している。
Mo3SkLnQzなる化学式を有する化合物はカチオン性の核がアニオン性の配位子によって囲まれており、下記の様な構造で表わされ、正味の電荷は+4である。
Figure 0005490679
及び
Figure 0005490679
結果的には、これらの核を可溶化させるために、全ての配位子間の全体電荷は-4でなければならない。4つの単アニオン性配位子が好ましい。何らの学説に拘束されるのを望むことなしに、2個以上の3核(trinuclear)の核(core)が1以上の配位子により結合または互いに連結されてもよく、配位子は多座であってもよい。それは単核に多重結合を有する多座配位子の場合も含む。酸素及び/又はセレニウムは核中のイオウと置換可能であると思われる。
油溶性又は油分散性のある3核モリブデン化合物は適当な液体/溶剤中で(NH4)2Mo3S13・n(H2O)の様なモリブデン源を二硫化テトラルキルチウラムの様な適当な配位子源と反応させることにより合成可能であり、ここで、nは0〜2の間で可変であり、化学量論的値を含む。他の油溶性又は油分散性のある3核モリブデン化合物は(NH4)2Mo3S13・n(H2O)の様なモリブデン源の最適な溶剤中で二硫化テトラルキルチウラム、ジアルキルジチオカーバメート、又はジアルキルジチオホスファートのような配位子源及びシアン化物イオン、亜硫酸イオン、又は置換ホスフィンのようなイオウ抽出剤の反応の際に生成できる。その代わりに、[M']2[Mo3S7A6](ここで、M'は対イオンであり、Aは塩素、臭素、又はヨウ素のようなハロゲンである)のような3核モリブデン−ハロゲン化イオウ塩は、適当な液体/溶剤中でジアルキルジチオカーバメート又はジアルキルジチオホスファートの様な配位子源と反応して、油溶性又は油分散性の3核モリブデン化合物を形成してもよい。適当な液体/溶媒は、例えば、水性でも有機性でもよい。
化合物の油溶性又は油分散性は配位子の有機基の炭素原子数によって影響される。全ての配位子の有機基には炭素原子が合計21個以上存在しなければならない。好ましくは、選択される配位子源はその有機基中に充分な数の炭素原子を有することにより、その化合物を潤滑油組成物中に溶解するか分散せしめる。
ここで用いられる「油溶性」又は「分散性」なる用語は、必ずしも化合物や添加剤が全ての比率で油中に溶解、可溶化、混和又は懸濁可能であることを示さない。しかし、これらは、例えば、油が用いられる環境において所望の効果を発揮する程度に充分な量で油中に溶解するか或いは安定に分散する、ということを意味する。のみならず、もし必要であれば、他の添加剤を更に追加することはある特定の添加剤を高レベルで添加することを許容することがある。
好ましくは、モリブデン化合物は有機のモリブデン化合物である。のみならず、好ましくはモリブデン化合物はモリブデンジチオカーバメート(MoDTC)、モリブデンジチオホスファート、モリブデンジチオホスフィナート、モリブデンザンテート、モリブデンチオザンテート、モリブデンスルフィド、及びこれらの混合物から成る群から選択される。最も好ましくは、モリブデン化合物はモリブデンジチオカーバメートとして存在する。モリブデン化合物は3核のモリブデン化合物であってもよい。
[ジヒドロカルビルジチオホスファート金属塩]
ジヒドロカルビルジチオホスファート金属塩は老化防止剤及び抗酸化性物質として多用される。金属はアルカリ金属又はアルカリ土類金属、又はアルミニウム、鉛、錫、モリブデン、マンガン、ニッケル又は銅である。亜鉛塩は潤滑油に最も一般的に使われ、潤滑油組成物の全質量に対して0.1〜10質量%、好ましくは0.2〜2質量%添加される。それらは公知の方法に従って調製され、まず最初に、1以上のアルコール又はフェノールとP2S5との反応によりジヒドロカルビルジチオホスホン酸(DDPA)を形成させ、次いで生成したDDPAを亜鉛化合物で中和して、得ることが可能である。例えば、ジチオホスホン酸は一級及び二級アルコール類の混合物を反応して製造してもよい。代わりに、一方のヒドロカルビル基が完全に二級であり、他方のヒドロカルビル基が完全に一級の性質を有するという、複数のジチオホスホン酸を調製することも可能である。亜鉛塩を製造するには、いずれの塩基性又は中性の亜鉛化合物を用いてもよく、酸化物、水酸化物、及び炭酸塩が最も一般に用いられる。市販の添加剤には、中和反応で過剰の塩基性亜鉛化合物を用いるため、しばしば過剰な亜鉛を含有する。
好適な亜鉛ジヒドロカルビルジチオホスファート類はジヒドロカルビルジチオホスホン酸類の油溶性塩であり、下式によって示される。
Figure 0005490679
ここで、RとR’は1〜18、好適には2〜12の炭素原子数を含むヒドロカルビル基であって同一でも異なっていてもよく、該ヒドロカルビル基はアルキル基、アルケニル基、アリール基、アリールアルキル基、アルカリル基、及び脂環式基を含む。炭素原子数2〜8であるアルキル基がR及びR’として特に好適である。よって、該ヒドロカルビル基は、例えば、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、sec-ブチル基、アミル基、n-ヘキシル基、i-ヘキシル基、n-オクチル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシル基、2-エチルヘキシル基、フェニル基、ブチルフェニル基、シクロヘキシル基、メチルシクロペンチル基、プロペニル基、ブテニル基である。油溶性を得るためには、ジチオホスホン酸の全炭素原子数(即ち、RとR’)は一般に約5以上である。よって、亜鉛ジヒドロカルビルジチオホスファートは亜鉛ジアルキルジチオホスファート類を含む。本発明は、リン含有率レベルとして0.02〜0.12質量%、好ましくは0.03〜0.10質量%含む潤滑油組成物と一緒に用いる際に、有用である。特に好ましくは、潤滑油組成物中のリン含有率レベルは0.08質量%未満、例えば0.05〜0.08質量%である。
[無灰分散剤]
無灰分散剤は、老化又は燃焼の際の油の酸化の結果、サスペンションオイル中に生成する不溶性物質を保持する。それらは、特にガソリンエンジン中でのスラッジの沈降やワニス形成を防止するので、特に有用である。無灰分散剤は、粒子と会合して分散効果がある1以上の官能基が結合した、油溶性の高分子炭化水素骨格を含む。典型的には、高分子骨格はアミン、アルコール、アミド、又はエステルの極性部分により、しばしば橋かけ基を介して官能基化される。無灰分散剤は、例えば、油溶性塩、エステル類、アミノエステル類、アミド類、イミド類及び長鎖炭化水素置換されたモノ−及びジカルボン酸類又はそれらの無水物のオキサゾリン類、長鎖炭化水素を有するチオカルボン酸塩誘導体、ポリアミンが直接結合している長鎖脂肪族炭化水素、及び、長鎖置換フェノールとホルムアルデヒド及びポリアルキレンポリアミンとの縮合反応で生成されるマンニッヒ縮合生成物から選択してもよい。
これらの分散剤の油溶性高分子炭化水素骨格は、オレフィン高分子又はポリエン、特に、高分子の主要なモル分率(即ち、50モル%超)がC2〜C18オレフィン(例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン、ペンテン、オクテン-1、スチレン)、典型的にはC2〜C5オレフィンを含む高分子から誘導されるのが典型的である。油溶性高分子炭化水素骨格は、ホモポリマー(例えば、ポリプロピレンまたはポリイソブチレン)であっても、2種以上のオレフィンのコポリマー(例えば、エチレンとプロピレンもしくはブチレンのようなα−オレフィンとのコポリマー、又は2種の異なるα−オレフィン類のコポリマー)であってもよい。他のコポリマーとしては、該コポリマー中の主要でないモル分率、例えば1〜10モル%が、非共役ジエンであるものを含む。該非共役ジエンは、例えばC3〜C22非共役ジオレフィン(例えば、イソブチレンとブタジエンとのコポリマー、又はエチレン、プロピレン及び1,4-ヘキサジエンまたは5-エチリデン-2-ノルボルネンのコポリマー)である。好ましくは、ポリイソブテニル(Mnが400〜2,500、好適には950〜2,200)コハク酸イミド分散剤である。好ましくは、本発明の重質ディーゼル(HDD)エンジン用潤滑油組成物は窒素含有分散剤を、窒素として組成物中に0.08〜0.25質量%、好適には0.09〜0.18質量%、より好適には0.10〜0.15質量%含むような量で含む。
[酸化防止剤]
酸化防止剤又は抗酸化物質は鉱油の性質を低下させて使用中に劣化するのを防止する。酸化劣化は潤滑油中のスラッジ、金属表面上のワニス状の堆積物、及び粘度上昇によって立証される。この様な酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール類、アルキル側鎖(好ましくはC5〜C12)を有するアルキルフェノールチオエステルのアルカリ土類金属塩類、アルキルフェノールスルフィド類、油溶性フェナート類及び硫化フェナート類、リン硫化又は硫化炭化水素類又はエステル類、リン酸エステル類、金属チオカルバメート類、米国特許No.4,867,890に記載されている様な油溶性の銅化合物、及びモリブデン含有化合物を含む。
本発明での使用に適する、前記したヒンダードフェノール抗酸化物質以外のリンを含有しない補助的酸化防止剤としては、アルキル側鎖(好ましくはC5〜C12)を有するアルキルフェノールチオエステルのアルカリ土類金属塩類、ノニルフェノールスルフィドのカルシウム塩、無灰油溶性フェナート類、及び硫化フェナート類及びホスホ硫化又は硫化炭化水素類である。
2以上の芳香基が直接窒素に結合している芳香族アミン類は、もう一つの酸化防止剤用途に用いられる化合物群を構成する。それらは好ましくは少量で、例えば0.4質量%以下で用いられ、より好適には組成物中の他の成分の不純物として生じる量と同様の量以外すべて回避する。
2以上の芳香基が直接アミン性の窒素に結合している油溶性芳香族アミン類は、典型的には6〜16個の炭素原子を含む。該アミン類は2以上の芳香基を有してもよい。合計3個以上の芳香基を有する化合物であって、2個の芳香基が共有結合または一つの原子又は原子団(例えば、酸素かイオウ原子、又は-CO-、-SO2-かアルキレン基)によって繋がり、2個が一つのアミン窒素に直接結合する化合物は、2個以上の芳香基が直接窒素に結合している芳香族アミンと見做される。典型的には、該芳香環は、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アシルアミノ基、ヒドロキシ基及び窒素含有基から選択される1もしくはそれ以上の置換基によって置換されている。一つのアミン窒素に直接結合する2個以上の芳香基を有するこれらの油溶性芳香族アミン類の量は、好適には有効成分として0.4質量%を超えない。
[粘度調整剤]
粘度調整剤(VM)は潤滑油に高温及び低温での作業性を付与するように機能する。用いられるVMはその単独の機能しか持たないことがあってもよいし、多機能であってもよい。最適な粘度調整剤の代表的例としては、ポリイソブチレン、エチレンとプロピレンのコポリマー、ポリメアクリル酸塩類、メタクリレートコポリマー類、不飽和ジカルボン酸とビニル化合物のコポリマー類、スチレンとアクリル酸エステルとのインターポリマー類、及びスチレン/イソプレン、スチレン/ブタジエン、イソプレン/ブタジエンの部分水素化コポリマー類、同様に、ブタジエンとイソプレンの部分水素化ホモポリマー類を挙げることができる。さらに分散剤としても作用する多機能粘度調整剤も知られている。
粘度指数向上・分散剤は粘度指数向上剤としても、分散剤としても機能する。粘度指数向上・分散剤の例としては、アミン類、例えばポリアミンと、ヒドロカルビル置換基が化合物に粘度指数向上性を付与するに充分な鎖長を含むヒドロカルビル置換モノ−またはジカルボン酸類との反応生成物を含む。一般に、粘度指数向上・分散剤は、例えば、ビニルアルコールのC4〜C24不飽和エステル又はC3〜C10不飽和モノカルボン酸もしくはC4〜C10ジカルボン酸とC4〜C20の不飽和の窒素含有モノマーとのポリマーであり;C2〜C20オレフィンとアミン、ヒドロキシアミン又はアルコールで中和されたC3〜C10の不飽和モノ−又はジ−カルボン酸とのポリマーであり;又はエチレンとC3〜C20オレフィンとのポリマーであって、さらにC4〜C20不飽和窒素含有モノマーをグラフト反応し、又は不飽和酸がポリマー骨格にグラフトして、グラフト化した酸のカルボン酸グループとアミン、ヒドロキシアミンまたはアルコールと反応させることによって反応させたポリマーである。
[流動点降下剤]
別名「潤滑油流動性改良剤」(LOFI)として知られている流動点降下剤は流体が流れるか又は注入可能な最低温度を低下する。この様な添加剤は良く知られており、流体の低温流動性を改良する典型的な添加剤としては、C8〜C18ジアルキルフマル酸エステル/酢酸ビニルコポリマー及びポリメタクリレート類がある。
[防錆剤]
非イオン性ポリオキシアルキレンポリオール類及びそれらのエステル類、ポリオキシアルキレンフェノール類及びアニオン性のアルキルスルホン酸類から成る群から選択される防錆剤が使用可能である。
[腐食防止剤]
銅及び鉛含有腐食防止剤は使用可能であるが、本発明組成においては必須ではない。これらの化合部の典型例としては、5〜50個の炭素原子を含むチアゾールポリスルフィド類、それらの誘導体及びポリマーである。1,3,4-チアゾール類の誘導体、例えば米国特許No. 2,719,125、2,719,126、3,087,932に記載されている様な1,3,4-チアゾール類の誘導体が典型例である。他の類似の物質としては、米国特許No.3,821,236、3,904,537、4,097,387、4,107,059、4,136,043、4,188,299、及び4,193,882に記載されている。他種の添加剤としては、チアゾールのチオ−及びポリチオ−スルフェナミド類、例えば英国特許No.1,560,830に記載されているものがある。ベンゾトリアゾール誘導体もこの種の添加剤である。これらの化合物を潤滑油組成物に配合する場合、有効成分として0.2質量%を超えない量が好ましい。
[解乳化成分](demulsifying component)
少量の解乳化成分を使用してもよい。好ましい解乳化成分は欧州特許No.330,522に記載されている。それは、多価アルコールにビスエポキシドを反応させて得られる付加体にアルキレンオキシドを反応させて得られる。解乳化剤は有効成分として0.1質量%を超えない量で用いなければならない。有効成分基準で0.001〜0.05質量%の処理割合が便利である。
[泡コントロール]
泡コントロールはポリシロキサン型消泡剤、例えば、シリコーンオイルやポリジメチルシロキサンを含む多くの化合物によって達成することができる。
本発明では、配合品の粘度安定性を維持する添加剤を含むことが必要である場合がある。この様に、極性基含有添加剤が予備配合段階で適当に低粘度を達成するとしても、ある幾つかの組成が長期保存時に粘度上昇することが観察されてきた。この粘度上昇をコントロールするのに有効な添加剤としては、前記で開示した無灰分散剤の調製において用いられるモノ−またはジカルボン酸又は無水物との反応により官能基化された長鎖炭化水素を含む。
ほんの一部の添加量が有効成分(A.I.)として機能する様に、潤滑油や添加剤濃縮物に希釈液の形で添加剤を加えることは珍しい事ではない。例えば、添加剤が50% A.I.の分散剤である場合、分散剤は同量の希釈剤と同時に添加してもよい。一方、洗浄剤は通常希釈剤中に生成されて或る特定のTBN値を与えるが、しばしば全てがA.I.基準で言及されるわけではない。ここで用いられる場合、質量%なる用語は、洗浄剤に適用される場合、特に指示されない限り、洗浄剤及び希釈剤の全質量に対して言及され、他の全ての添加剤に適用される場合は、特に指示されない限り、有効成分の質量を言及する。
個々の添加剤は簡便法として、ベースストックに配合してもよい。即ち、各成分は、所望の濃度になる様に、ベースストックかベースオイル配合品に分散するか或いは溶解することにより、直接ベースストックかベースオイル配合品に添加される。この様な配合は室温かより高温で行われる。潤滑油組成物が1種以上の上記添加剤を含むとき、各添加物は、典型的にはそれらの所望の機能が果たせるような量で、ベースオイル中に配合される。クランクケース用潤滑油に用いられるこの様な添加剤の代表的量を下記のリストに示す。リストに記載する全ての量は有効成分の質量%である。
Figure 0005490679
好適には、粘度調整剤及び流動点降下剤を除くすべての添加剤は、濃縮品か、最終潤滑油を製造するためにベースストック中に引き続いて配合されることになる添加剤パッケージ中に配合される。該濃縮品が既定量のベース潤滑油と配合する際に、該濃縮品が最終組成中の所望の濃度になる様な適当な量で添加剤を含有するべく、組成化されるのが典型的である。
濃縮品は米国特許No.4,938,880に記載される方法に従って調製されるのが好ましい。該特許では、約100℃以上で予備配合される無灰分散剤と金属洗浄剤のプレミックスの製造について記載している。その後、プレミックス品は少なくとも85℃まで冷却してから、追加成分を添加する。
[クランクケース用潤滑油組成物]
クランクケース用潤滑油組成物は、濃縮品又は添加剤パッケージを2〜25質量%、好ましくは4〜20質量%、最も好ましくは約5〜18質量%含み、残部はベースストックである。好ましくは、Noack揮発性試験(ASTM D5880)により測定される最終クランクケース用潤滑油組成物の揮発性は15質量%以下、好ましくは13質量%以下、さらに好ましくは12質量%以下、最も好ましくは10質量%以下である。好適には、本発明の潤滑油組成物の構成上の(compositional)TBN (ASTM D4739) は10.5未満、例えば7.5〜10.5であり、好ましくは9.5以下、例えば8.0〜9.5である。
[船舶シリンダー用潤滑油]
船舶シリンダー用潤滑油組成物は該濃縮物又は添加剤パッケージを10〜35質量%、好ましくは13〜30質量%、最も好ましくは約16〜24質量%含み、残部はベースストックである。好適には、船舶シリンダー用潤滑油組成物の構成上のTBN (ASTM D2896)は40〜100であり、例えば50〜90の間である。
[トランクピストンエンジン油]
トランクピストンエンジン油は該濃縮物又は添加剤パッケージを7〜35質量%、好ましくは10〜28質量%、最も好ましくは12〜24質量%含み、残部はベースストックである。好適には、トランクピストンエンジン油の構成上のTBN (ASTM D2896)は20〜60であり、例えば25〜55の間である。
[潤滑油]
潤滑油は、粘度的にみて軽質の鉱物油から、ガソリンエンジンオイル、鉱物潤滑油及び重質ディーゼル油の様な重質の潤滑油までの範囲に亘る。一般に、油の粘度は、100℃で測定すると、2mm2/sec (センチストークス) 〜40 mm2/sec、特に4mm2/sec〜20mm2/secの範囲である。
天然油は動物油や植物油(例えば、ヒマシ油、ラード油)を含み;液体石油オイル、及びパラフィン系、ナフテン系及びパラフィン−ナフテン混合系の水素精製、溶剤処理又は酸処理した鉱物油を含む。石炭又はシェールから誘導された潤滑油粘度の油もベースオイルとして有用である。
合成潤滑油としては、重合(polymerized)及び共重合(interpolymerized)されたオレフィン(例えば、ポリブテン、ポリプロピレン、プロピレン−イソブテンコポリマー、塩素化ポリブチレン、ポリ(1-ヘキセン)、ポリ(1-オクテン)、ポリ(1-デセン))の様な炭化水素油とハロゲン置換炭化水素油を含み;さらに、アルキルベンゼン類(例えば、ドデシルベンゼン、テトラデシルベンゼン、ジノニルベンゼン、ジ(2-エチルヘキシル)ベンゼン);ポリフェニル類(例えば、ビフェニル、ターフェニル、アルキル化ポリフェノール);アルキル化ジフェニルエーテル類、アルキル化ジフェニルスルフィド類、及びこれらの誘導体、類似物、同族体を含む。
末端水酸基がエステル化、エーテル化等により修飾されたアルキレンオキシドポリマー類及びインターポリマー類並びにその誘導体は公知の合成潤滑油としてもう一つのグループを構成する。これらの例示としては、エチレンオキシドかプロピレンオキシドの重合によって合成されるポリアルキレンポリマー類や、ポリオキシアルキレンポリマー類のアルキル及びアリールエーテル類(例えば、分子量1,000のメチル-ポリイソ-プロピレングリコールエーテル、又は分子量1,000〜1,500のポリエチレングリコールのジフェニルエーテル);それらのモノ−及びポリ−カルボン酸エステル類、例えば酢酸エステル、テトラエチレングリコールのC3〜C8混合脂肪酸エステル類及びC13オキソ酸ジエステル類を挙げることができる。
合成潤滑油のもう一つのグループとしては、ジカルボン酸類(例えば、フタル酸、コハク酸、アルキルコハク酸、アルケニルコハク酸、マレイン酸、アゼライン酸、スベリン酸、セバシン酸、フマル酸、アジピン酸、リノレン酸ダイマー、マロン酸、アルキルマロン酸、アルケニルマロン酸類)と種々のアルコール(例えば、ブチルアルコール、ヘキシルアルコール、ドデシルアルコール、2-エチルヘキシルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコールモノエーテル、プロピレングリコール)とのエステルを含む。これらのエステルの特定の例としては下記の様な化合物を含む。即ち、アジピン酸ジブチル、セバシン酸ジ(2-エチルヘキシル)、フマル酸ジ-n-ヘキシル、セバシン酸ジオクチル、アゼライン酸ジイソオクチル、アゼライン酸ジイソデシル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジデシル、セバシン酸ジエイコシル、リノレン酸ダイマーの2-エチルヘキシルジエステル、セバシン酸1モルとテトラエチレングリコール2モル及び2-エチルヘキサン酸2モルとの反応により形成される錯体エステルである。<P-25、16行目>
合成油として有用なエステル類は、C5〜C12モノカルボン酸類、及びネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、及びトリペンタエリスリトールの様なポリオール類とポリオールエステル類から調製されるものを含む。
ポリアルキル−、ポリアリール−、ポリアルコキシ−またはポリアリールオキシ−シリコーンオイルとシリケートオイルの様なシリコンベースの油はもう一つの有用な合成潤滑油を構成し;この様な油としては、テトラエチルシリケート、テトライソプロピルシリケート、テトラ-(2-エチルヘキシル)シリケート、テトラ-(4-メチル-2-エチルヘキシル)シリケート、テトラ-(p-tert-ブチル-フェニル)シリケート、ヘキサ-(4-メチル-2-エチルヘキシル)ジシロキサン、ポリ(メチル)シロキサン類及びポリ(メチルフェニル)シロキサン類を含む。他の合成潤滑油としてはリン含有酸(例えば、トリクレジルホスファート、トリオクチルホスファート、デシルホスホン酸のジエチルエステル)の液体エステル類および重合したテトラヒドロフラン類を含む。
本発明の潤滑油中には、未精製、精製、及び再精製した油も使用可能である。未精製油は天然油又は合成油から精製処理せずに直接得られるものである。例えば、レトルト操作(retorting operation)から直接得られるシェールオイル;蒸留工程から直接得られる石油;又は、エステル化工程から直接得られ、更なる処理を経ずに用いられるエステル油、などが未精製油となる。精製油は、当該オイルが1又は2段階の精製工程で処理されて1以上の性質を改良する場合を除いて、未精製油と類似である。蒸留、溶媒抽出、酸又は塩基抽出、ろ過、浸出(percolation)の様な多くの精製技術は当業者に公知のものである。再精製油は精製油を供給するために使用されたものと類似の工程で得られるが使用済みの油で開始する。この様な再精製油は再生利用又は再処理した油としても知られており、消費された添加剤や油分解生成物を除去する技術を用いて追加の処理に委ねられる場合がしばしばある。
潤滑油粘度の油としては、グループI、グループII、グループIII、グループIV、グループVベースストックもしくは前記ベースストックのベース油混合物を含む。好適には、潤滑油粘度の油としては、Noack揮発性試験(ASTM D5880)により測定される油又は油混合物の揮発性が13.5%以下、好ましくは12%以下、より好ましくは10%以下、最も好ましくは8%以下であることを前提にした該混合物であり;そして、粘度指数(VI)が120以上、好適には125以上、最も好適には130〜140であることを前提に、グループIII、グループIV又はグループVのベースストック、又はこれらの混合物であることが好ましい。
本発明におけるベースストックとベースオイルの定義は下記の発行物において認められる定義と同じである。即ち、米国石油協会(API)発行物“エンジンオイル ライセンス及び認証体系”, Industry Services Department, Fourteenth Edition, December 1996, Addendum 1, December 1998。当該刊行物においては、ベースストックを下記の通り分類している。:
a) グループIのベースストックは、飽和化合物(saturates)を90%未満及び/又はイオウを0.03%超含み、表E-1で規定される試験法による粘度指数は80以上120未満である。
b) グループIIのベースストックは、飽和化合物を90%以上、イオウを0.03%以下含み、表E-1で規定される試験法による粘度指数は80以上120未満である。
c) グループIIIのベースストックは、飽和化合物を90%以上、イオウを0.03%以下含み、表E-1で規定される試験法による粘度指数は120以上である。
d) グループIVのベースストックはポリアルファオレフィン(PAO)類である。
e) グループVのベースストックはグループI、II、III、又はIVのいずれにも含まれない他の全てのベースストックを含む。
ベースストックは、好ましくはグループIIのベースストックである。
Figure 0005490679
本発明は、次に下記の例で説明されるが、これにより本発明の範囲が限定されるものではない。例1〜3は比較例であり、例4〜7は本発明の実施例である。
下記の過剰塩基金属サリチラート洗浄剤を調製した。
Figure 0005490679
アルキルサリチル酸の合成及びそれから誘導される過剰塩基洗浄剤の生成に関する方法は当業者によく知られている。例えば、該方法はUS 2007/0027043及びそこで引用される参考文献において記載されている。これらの例において用いられたアルキルサリチル酸は、例えばShell Chemicals社からSHOPなる商品名で販売されている様なC14〜C18リニアアルファオレフィン類から製造された。それは、約10モル%の未変換のアルキルフェノールを含み、酸含有率は1g当たり2.62ミリグラム当量であった。
完全に炭酸化された低塩基洗浄剤(例5〜7)を得るために、アルキルサリチル酸を過剰の(1当量の酸当たり2当量以上の)水酸化カルシウムで処理した。中和後、コロイド安定化されなかった過剰の石灰は遠心分離で除去した。次いで、反応混合物は過剰の(1当量の酸当たり2当量以上の)二酸化炭素で処理した。炭酸化後、生成物は再度遠心分離され、コロイド安定化されなかった固体材料を除去した。
過剰塩基金属サリチラート洗浄剤は下記の方法で調製した。
[仕込み量(g)]
Figure 0005490679
[方法]
例1はInfineum UK Limited社からInfineum M7102なる商標名で入手可能な市販品である。
例2
・キシレンとアルキルサリチル酸をフラスコ中で混合し、600rpmの速度で攪拌し、20分間で40℃まで加温した。
・石灰を該フラスコ中に添加し、混合物を40℃で60分間、600rpmの速度で攪拌した。
・メタノールと水を該フラスコ中に添加して、混合物を600rpmの速度で攪拌し、40分間で55℃まで加温した。
・二酸化炭素を、55℃で、1分間当たり0.73Lの速度で添加した。
・該混合物を55℃で20分間、600rpmの速度で攪拌した。
・該混合物を室温で5分間放置した。
・該混合物を1,800rpmの速度で30分間遠心分離した。
・遠心分離後、メタノール/水を添加すると、表面に曇り層が形成されるので、それを真空ポンプで除去した。
・ベース油を添加した。
・ロータリーエバポレーターを用いて、125℃で2時間かけて、キシレンと残存のメタノール及び水を留去した。
例3
・キシレンとアルキルサリチル酸をフラスコ中で混合し、600rpmの速度で攪拌し、20分間で60℃まで加温した。
・石灰を該フラスコ中に添加し、混合物を60℃で60分間、600rpmの速度で攪拌した。
・メタノールと水を該フラスコ中に添加して、混合物を600rpmの速度で、60℃において40分間攪拌した。
・二酸化炭素を、55℃で、1分間当たり0.73Lの速度で添加した。
・該混合物を55℃で20分間、600rpmの速度で攪拌した。
・該混合物を室温で5分間放置した。
・該混合物を1,800rpmの速度で30分間遠心分離した。
・遠心分離後、メタノール/水を添加すると、表面に曇り層が形成されるので、それを真空ポンプで除去した。
・ベース油を添加した。
・ロータリーエバポレーターを用いて、125℃で2時間かけて、キシレンと残存のメタノール及び水を留去した。
例4
・キシレン(40g)をフラスコ中に計量して、それにアルキルサリチル酸と石灰を添加した後、フラスコに残りのキシレン(157g)を充填して、40℃まで加温した。
・135分後、55℃まで昇温して、促進剤としてメタノール:水=97:3混合物を16.52g添加した。
・75分後、炭酸化を開始した。反応混合物に対して、二酸化炭素を合計0.20L吸収させた。
・15分後、炭酸化を停止し、窒素雰囲気下、50℃で30分間反応を攪拌継続させた。
・フラスコを湯浴から出して、遠心分離容器に移し、2,500rpmで30分間遠心分離した。
・該容器を遠心機から取り出して、底部に少量の固体が混じった薄黄色透明液体を含んでいることを確認した。該液体はデカント法で注意深くビーカーに採取した。90℃でフル真空下でベース油を含むロータリーエバポレーター中に該液体を流して溶媒を除去すると、茶色の透明液体が残った。
例5〜7
・反応器にキシレン(100g)、次いでアルキルサリチル酸と石灰、残部のキシレンを順次仕込んだ。400rpmの速度で攪拌を開始し、毎分60mLで窒素を該混合物中に通過させた。反応器を40℃に加温した。
・予め、メタノール97gと水3gとを混合して促進剤を調製しておいた。反応器中の混合物の温度が約40℃に達したら、該促進剤を反応器中に導入した。反応温度は〜35℃に下がった。該混合物を40℃になるまで再加熱した後、その温度で60分中和させた。
・1時間後、加熱と攪拌を止めて、デカント法により混合物を4個の鈍い先端形状(blunt nose)の内容量100mLのASTM遠心管に詰めた。遠心管を1,500rpmで1時間遠心させた。混合物が回転している間、反応器を酸で充分洗浄して未反応の石灰を除去した。
・遠心分離後、該混合物を注意深くデカントして反応器に戻した。その際、沈殿物が全く入らないように充分注意した。
・400rpmの速度で攪拌を開始し、毎分60mLで窒素を該混合物中に通過させ、反応器を加熱した。
・反応器の温度が55℃に達したら、毎分50mLで60分間炭酸化を開始した。二酸化炭素の導入を止めてから、毎分60mLで窒素を該混合物中に通過させた。
・該混合物を55℃で30分間加熱した。
・加熱の最後に、加熱攪拌を止めて該混合物をデカント法により4個の鈍い先端形状の内容量100mLのASTM遠心管に詰めた。該混合物を再度1,500rpmで1時間遠心した。
・遠心分離後、遠心管を遠心分離機から取り出した。遠心管内に、少量の沈殿物があることを確認した。又、沈殿物上且つバルク液体層の下に約0.1%の透明液体層があることも視認した。上層部(遠心管内の大部分)は透明な茶紫色液体であった。上層部をデカントしてベース油が入っているビーカーに入れた。
・次いで、生成物をロータリーエバポレーターに入れて、125℃で真空に引いて、キシレン及び残留のメタノールと水を留去させた。
[焦点ビーム反射法(FBRM)]
焦点ビーム反射法(FBRM)に拠り、レーザー光散乱を用いて、過剰塩基金属サリチラート洗浄剤のアスファルテン分散能を、アスファルテンの凝集、即ち「黒色スラッジ」(black sludge')形成を予測評価試験した。FBRM試験法は、2005年10月24日〜28日に東京で開催された第7回海洋技術国際シンポジウム(7th International Symposium on Marine Engineering)で開示され、該会議要旨集(the Conference Proceedings)の「サリチラート洗浄剤のTPEO用途における種々のベースストックとの利便性」(The Benefits of Salicylate Detergents in TPEO Applications with a Variety of Base Stocks)と題して刊行された。さらに詳細は、2007年5月21日〜24日にウィーンで開催されたCIMAC会議で開示され、該会議要旨集の「中速度の船舶用エンジンの潤滑のための新規ベース流体の挑戦との出会い−添加剤によるアプローチ」(Meeting the Challenge of New Base Fluids for the Lubrication of Medium Speed Marine Engines - An Additive Approach)と題して刊行された。後者の報告書では、FBRM法を用いることにより、グループI及びグループIIのベースストックをベースとする潤滑系の性能を予測するアスファルテン分散能に関する定量的結果を得ることが可能である、と開示されている。FBRMによる比較性能の予測は船舶用ディーゼルエンジンのエンジンテストで確認された。
FBRMプローブには光ファイバーケーブルを含み、それを通じてレーザー光がプローブ先端に到達する。該先端では、光学部品(optic)がレーザー光を小スポットに焦点を結ぶ。光学部品を回転させると、焦点ビームがプローブのウィンドウと試料の間の円周通路をスキャンする。粒子がそのウィンドウを通過すると、それらがスキャン通路を邪魔する結果、個々の粒子から後方散乱光をもたらす。
スキャンするレーザービームは粒子より遥かに速く進む。このことは、粒子は静置状態にあることを意味する。焦点ビームが粒子の一端に到達すると、後方散乱光の光量増加となり;焦点ビームが粒子の他端に到達すると、その量が減少することになる。
該装置は増加した後方散乱の時間を測定する。ある1個の粒子からの後方散乱の時間にスキャン速度を掛けると、その結果は距離もしくはコード長(chord length)になる。あるコード長は粒子端にあるいずれかの2点間の直線である。このことは、コード長分布として表わされ、コード長(粒子)の数のグラフはミクロン単位のコード長の関数として表わされる。測定がリアルタイムで実施されると、分布の統計が計算され、追跡される。典型的には、FBRMは1秒当たり数万のコードを測定して、結果として大まかな(robust)コード長当たりの数分布を与える。該方法はアスファルテン粒子の絶対的な粒度分布測定値を与える。
焦点ビーム反射プローブ(FBRM)、Lasentec D600L型は英国レスター市にある Mettler
Toledo社から提供された。該装置は1μm〜1mmの粒子径分解能を与える構成で用いられた。FBRMからのデータは幾つかの方法で提示することができる。幾つかの研究結果に拠れば、1秒当たりの平均カウント数はアスファルテン分散能の定量的決定に用いることが可能であることを示唆した。この値は平均粒子径と凝集体レベル双方の関数である。この用途では、平均カウント率(全サイズ領域における)は1検体当たり測定時間1秒でモニターされた。
過剰塩基洗浄剤(10質量%)とベースオイルを400rpmで攪拌し、60℃まで加熱しながら15分間混合した。温度が60℃に達したら、FBRMプローブを試料中に差し込んで、15分間測定を行った。重質燃料油(10質量%)の一部を(an aliquot)4枚羽根を用いて(400rpmで)攪拌しながら、潤滑油組成物に混合した。カウント速度が平衡値に達する時に(典型的には1時間後)1秒間あたりの平均カウント値を取った。
過剰塩基金属サリチラート洗浄剤をChevron 600 RLOP グループIIベースストック中で試験した。
[FBRM試験結果]
Figure 0005490679
上表に示す通り、炭酸化度80%以上の過剰塩基金属サリチラート洗浄剤は1秒当たりの平均粒子カウント数が少ない。この値は平均粒子径と凝集体レベル双方の関数である。よって、炭酸化度80%以上の過剰塩基金属サリチラート洗浄剤はアスファルテン分散能を改良する。

Claims (12)

  1. 塩基度指数が2未満で、且つ炭酸化度が80%以上である過剰塩基金属ヒドロカルビル置換ヒドロキシベンゾアート洗浄剤であって、該炭酸化度は過剰塩基金属ヒドロカルビル置換ヒドロキシベンゾアート洗浄剤中に存在する炭酸塩の含有率を洗浄剤中における全過剰塩基に対する相対モルパーセントで表したものである、過剰塩基金属ヒドロカルビル置換ヒドロキシベンゾアート洗浄剤。
  2. 炭酸化度が85%以上である、請求項1記載の過剰塩基金属ヒドロカルビル置換ヒドロキシベンゾアート洗浄剤。
  3. 炭酸化度が90%以上である、請求項1記載の過剰塩基金属ヒドロカルビル置換ヒドロキシベンゾアート洗浄剤。
  4. 炭酸化度が95%以上である、請求項1記載の過剰塩基金属ヒドロカルビル置換ヒドロキシベンゾアート洗浄剤。
  5. 炭酸化度が100%である、請求項1記載の過剰塩基金属ヒドロカルビル置換ヒドロキシベンゾアート洗浄剤。
  6. 金属がカルシウムである、請求項1から5のいずれかに記載の過剰塩基金属ヒドロカルビル置換ヒドロキシベンゾアート洗浄剤。
  7. ヒドロカルビル置換ヒドロキシベンゾアートがアルキルサリチラートである、請求項1から6のいずれかに記載の過剰塩基金属ヒドロカルビル置換ヒドロキシベンゾアート洗浄剤。
  8. 潤滑油粘度の油及び塩基度指数が2未満で炭酸化度が80%以上である過剰塩基金属ヒドロカルビル置換ヒドロキシベンゾアート洗浄剤を含む潤滑油組成物であって、該炭酸化度は過剰塩基金属ヒドロカルビル置換ヒドロキシベンゾアート洗浄剤中に存在する炭酸塩の含有率を洗浄剤中における全過剰塩基に対する相対モルパーセントで表したものである、潤滑油組成物。
  9. 潤滑油粘度の油がグループIIベースストックである、請求項記載の潤滑油組成物。
  10. 潤滑油組成物が好ましくはトランクピストンエンジン油である、請求項又はのいずれかに記載の潤滑油組成物。
  11. エンジン中のアスファルテン沈着即ち黒色ペイント状物質を減少させる方法であって、塩基度指数が2未満で炭酸化度が80%以上である過剰塩基金属ヒドロカルビル置換ヒドロキシベンゾアート洗浄剤を含む潤滑油組成物でエンジンを潤滑する工程を含み、該炭酸化度は過剰塩基金属ヒドロカルビル置換ヒドロキシベンゾアート洗浄剤中に存在する炭酸塩の含有率を洗浄剤中における全過剰塩基に対する相対モルパーセントで表したものである、方法。
  12. エンジン中のアスファルテン沈着即ち黒色ペイント状物質を減少させるための、潤滑油組成物における、塩基度指数が2未満で炭酸化度が80%以上である過剰塩基金属ヒドロカルビル置換ヒドロキシベンゾアート洗浄剤の使用であって、該炭酸化度は過剰塩基金属ヒドロカルビル置換ヒドロキシベンゾアート洗浄剤中に存在する炭酸塩の含有率を洗浄剤中における全過剰塩基に対する相対モルパーセントで表したものである、使用。
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