以下の実施の形態において、便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。
また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも良い。さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
また、以下の実施の形態で用いる図面においては、平面図であっても図面を見易くするためにハッチングを付す場合もある。また、以下の実施の形態においては、電界効果トランジスタを代表するMISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)をMISと略し、pチャネル型のMISFETをpチャネルMISと略し、nチャネル型のMISFETをnチャネルMISと略す。なお、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor FET)は、そのゲート絶縁膜が酸化シリコン(SiO2等)膜からなる構造の電界効果トランジスタであり、上記MISの下位概念に含まれるものとする。また、以下の実施の形態において、ウエハと言うときは、Si(Silicon)単結晶ウエハを主とするが、それのみではなく、SOI(Silicon On Insulator)ウエハ、集積回路をその上に形成するための絶縁膜基板等を指すものとする。その形も円形またはほぼ円形のみでなく、正方形、長方形等も含むものとする。
また、以下の実施の形態を説明するための全図において、同一機能を有するものは原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
本発明の実施の形態では、可燃性ガスセンサの一例としてSi−MOSFET型水素ガスセンサについて説明するが、別方式のガスセンサに適用できることは言うまでもない。
(実施の形態1)
本実施の形態1による簡易防爆構造の可燃性ガスセンサの基本的な構成を、図1を用いて説明する。図1(a)、(b)および(c)はそれぞれ可燃性ガスセンサの要部断面図、底面図および防水透湿性素材をかしめるための部品の斜視図である。
図1(a)および(b)に示すように、可燃性ガスセンサGS1では、センサチップ1を用いており、センサチップ1がステム2上に、断熱材3を介して配置されている。センサチップ1は断熱材3の上面に貼り付けられている。ステム2には、ステム2を貫通して、ステム2の表面(センサチップ1および断熱材3が配置された面側)と裏面(センサチップ1および断熱材3が配置された面と反対側)との両面に突出する複数のリード端子(ここでは12本を例示している)4が備わっており、リード端子4は、リード端子4の外周に設けられたガラス材2aによってステム2に固定されている。センサチップ1の主面上に形成された複数の電極パッドとステム2に繋がる複数のリード端子4とがそれぞれワイヤ5によって接続されている。
さらに、センサチップ1、断熱材3および複数のワイヤ5は、円筒形状の金属キャップ6により覆われており、金属キャップ6の側部の最下部(つばの部分6a)がステム2の周囲と溶接によって接合されている。センサチップ1は外気中の水素ガスを検出することから、金属キャップ6には、金属キャップ6の内側に外気を導入するための穴8が金属キャップ6の上部のほぼ中央部に形成されている。さらに、金属キャップ6の内側には、金属キャップ6の上部に接して防水透湿性素材9が設置されており、図1(c)に示す円柱形状の断熱材10によって防水透湿性素材9はかしめられている。本実施の形態1では、穴8を金属キャップ6の上部に設けたが、これに限定されるものではなく、例えば金属キャップ6の側部に形成してもよい。
防水透湿性素材9は、例えば環境外気(例えば空気など)やガスなどを直接出し入れすることのできる多孔質膜である。この防水透湿性素材9は、耐水性の他に防塵性または耐薬品性としての効果も有しており、さらには防爆機能も有している。典型的な防水透湿性素材9としては、例えばフッ素樹脂の典型であるポリテトラフルオロエチレンを延伸加工したフィルムとポリウレタンポリマーとを複合化して作るゴアテックス(登録商標)などがある。防水透湿性素材9は、水蒸気は通すが水は通さないという特徴(防水性と透湿性との両立)があり、例えば上記ゴアテックスでは、1cm2当たり14億個の微細な穴を含んでいる。
次に、本実施の形態1による防水透湿性素材の防爆性について図2を用いて説明する。図2は防水透湿性素材の防爆性を説明するための補助図であり、図2(a)、(b)および(c)はそれぞれ防水透湿性素材および金属焼結体板の火炎強さと膜厚との関係を示すグラフ図、防水透湿性素材の内部状態を説明する模式図および金属焼結体板の内部状態を説明する模式図である。
前述した可燃性ガスセンサGS1に備わるセンサチップ1の動作温度は、例えば100〜150℃であるが、可燃性ガスセンサGS1の実装構造を、金属キャップ6の内側で水素ガスが爆発しても金属キャップ6の外側に存在する水素ガスに引火し、爆発させない構造とする必要がある。ガス爆発の理論によれば、ガス燃焼の火炎がガス中を伝播し、壁を通り抜けるときに冷却されて壁中で死滅すれば外部への引火爆発は起こらないが、ガス燃焼の火炎が壁を通りぬければ外部への引火爆発は起こってしまう。この現象を支配する要因は、壁の穴の粒径、壁の穴の密度、壁を構成する材質の熱伝導度、火炎伝播に晒される壁の面積などであり、さらに実装内部の体積が大きくなると、実装内部での爆発エネルギーが大きくなることから、ガスが閉じ込められている実装内部の体積も考慮する必要がある。
従って、本実施の形態1では、実装内部(金属キャップ6の内側)の体積が一定とすれば、実装空間を作る壁である金属キャップ6と多孔質膜からなる防水透湿性素材9とが被る圧力が主として問題となり、特に、金属キャップ6に設けられた穴8の部分に位置し、金属キャップ6よりも強度の弱い防水透湿性素材9に被る圧力が問題となる。
そこで、可燃性ガスセンサGS1で用いた防水透湿性素材9と同じ材質の多孔質膜の防爆性の試験を行った。図2(a)に防水透湿性素材(可燃性ガスセンサGS1で用いた防水透湿性素材9と同じ材質)を通り抜ける火炎強さと膜厚との関係を示す。比較のために、金属焼結体板を通り抜ける火炎強さと膜厚との関係も同図に示す。防水透湿性素材9の内部状態は、図2(b)に示すように、ポリテトラフルオロエチレン11と空隙12とからなり、空隙12の穴径は、例えば1〜4μmである。また、金属焼結体板の内部状態は、図2(c)に示すように、金属焼結体13と空隙14とからなり、空隙14の穴径は、例えば100μm程度である。
図2(a)に示すように、防水透湿性素材および金属焼結体板は、その膜厚が厚くなるに従い、通り抜ける火炎強さは減衰する。しかし、その通り抜ける火炎強さの減衰の様子は、防水透湿性素材と金属焼結体板とで異なり、同じ膜厚(同一体積、同一被爆面積)で比較すると、空隙の穴径が小さい防水透湿性素材の方が、空隙の穴径が大きい金属焼結体板よりも、通り抜ける火炎強さが小さくなっていることが分かる。従って、材質の熱伝導率の違いはあっても、空隙の穴径を小さくすることにより、多孔質膜の防爆効果が向上すると考えられる。
本実施の形態1では、金属キャップ6の上部に形成された穴8を防水透湿性素材9により覆っているが、防水透湿性素材9に、空隙の穴径が1〜4μmの多孔質膜を用いることにより、火炎核を消滅させることができる。なお、実装内部で連続して爆発が繰り返し起こることがあり、この場合は発熱効果により防水透湿性素材9が融解する可能性がある。しかし、常時センサチップ1の温度またはヒータ配線の抵抗をモニタすることにより、実装内部で爆発は、直ぐに探知することができる。
次に、本実施の形態1による簡易防爆構造の可燃性ガスセンサの具体的な構造について図3〜図6を用いて説明する。図3は可燃性ガスセンサに備わるセンサチップの一例の光学顕微鏡写真、図4はセンサチップが貼り付けられた断熱材の上面図、図5はセンサチップが貼り付けられた断熱材の光学顕微鏡写真、図6は可燃性ガスセンサの要部断面図である。図3に示すセンサチップは、本発明者らが検討したセンサチップの一例であって、各素子の構成や配線は、これに限定されるものではない。
図3に示すように、センサチップ1は、シリコン基板15上に、センサ用nチャネルMIS16、参照用nチャネルMIS17、金属配線によるヒータ18、チップ温度を計測するためのpn接合ダイオード19、および複数の電極パッド20が配置された構造を有している。センサ用nチャネルMIS16と参照用nチャネルMIS17とはほぼ同一の構造をしており、センサ用nチャネルMIS16および参照用nチャネルMIS17の触媒金属ゲートのゲート長は、例えば20μm、ゲート幅は、例えば300μmである。
センサ用nチャネルMIS16の触媒金属ゲート、ソース領域およびドレイン領域はそれぞれ配線21を介して電極パッド20に接続されている。同様に、参照用nチャネルMIS17の触媒金属ゲート、ソース領域およびドレイン領域はそれぞれ配線21を介して電極パッド20に接続されている。また、ヒータ18の両端はそれぞれ配線21を介して電極パッド20に接続されており、pn接合ダイオード19のp領域およびn領域はそれぞれ配線21を介して電極パッド20に接続されている。
図4〜図6に示すように、センサチップ1は、PEEK材(ポリエーテル・エーテル・ケトン材)を3〜5mmの高さの円柱状に加工した断熱材3の上面に接着され、断熱材3はステム(例えばTO系のTO5−12ピン)2の上面に接着している。ステム2は、例えばAuめっきされたKovar(FeにNiおよびCoを配合した合金)製であり、その台座内径は、例えば7.6φである。センサチップ1の厚さは、例えば200〜500μm、チップサイズは、例えば2mm×2mmである。金属キャップ6は、例えばAuめっきされたKovar製である。金属キャップ6の高さは、例えば15mm、金属キャップ6の上部に形成された穴8の直径は、例えば0.5〜1.5mmである。防水透湿性素材9の穴径は1〜4μm、その厚さは、例えば0.3〜1mmである。断熱材10の厚さは、例えば3mmであり、金属キャップ6の内側にかしめられている。金属キャップ6とステム2とは、金属キャップ6の側部の最下部(つばの部分6a)において抵抗溶接法により溶接されている。
断熱材3の外周領域には、ステム2を貫通して設けられた12本のリード端子4が配置されている。センサチップ1に設けられた複数の電極パッド20のうち、センサ用nチャネルMIS16の触媒金属ゲート、ソース領域およびドレイン領域とそれぞれ配線21を介して電気的に接続された電極パッド20、参照用nチャネルMIS17の触媒金属ゲート、ソース領域およびドレイン領域とそれぞれ配線21を介して電気的に接続された電極パッド20、ヒータ18の両端とそれぞれ配線21を介して電気的に接続された電極パッド20、pn接合ダイオード19のp領域およびn領域とそれぞれ配線21を介して電気的に接続された電極パッド20は、ワイヤ5を用いてそれぞれリード端子4と接続されている。ワイヤ5は、例えばAl線またはAu線である。ワイヤ5のボンディングを容易に行うために、リード端子4は断熱材3中を貫通させる形で、センサチップ1が貼り付けられた断熱材3の上面よりも低く形成されている。また、センサチップ1のアースを取るためのリード端子4を1本設けており、これによりセンサチップ1の電気的特性を安定させている。ここでは、ウェル層や基板等へ電気的に接続される配線の図示は省略している。
次に、本実施の形態1による可燃性ガスセンサの防爆性能について説明する。以下に、本発明者らが行った水素爆発実験およびその結果について図7〜図10を用いて説明する。図7は水素防爆実験に用いた容器の要部断面図、図8は本実施の形態1による可燃性ガスセンサと同じ実装構造の爆発実験用試料の要部断面図、図9および図10は本発明者らが比較のために形成した爆発実験用試料の要部断面図である。
水素爆発実験には、図7に示す約50mLの銅製の容器35を使用した。容器35には水素着火温度が560℃以上に加熱できるニクロム線(図示は省略)が装着されている。容器35の上部は、例えばポリ塩化ビニリデンからなるフィルム36で覆い、粘土37を用いて容器35とフィルム36とを接着している。この容器35の内部に爆発実験用試料(例えば図示する爆発実験用試料S1)を据え付けて、外部から電圧5.0V、電流0.5A以下を加えることにより、爆発実験用試料が爆発するか否かの実験を行った。爆発が起きなかった場合には、ニクロム線を通電して水素爆発を確認し、これを容器35の内部に爆発に至る濃度の水素ガスが充満していたことの証拠とした。水素ガスの濃度は、理論的には容器35の内部の水素と酸素とが全て燃え尽くす約30%とした。
図8に示す本実施の形態1による可燃性ガスセンサと同じ実装構造の爆発実験用試料S1は、金属キャップ6および防水透湿性素材9を設置しており、この水素爆発実験には、3個の爆発実験用試料S1を使用した。金属キャップ6の上部に形成された穴8の直径は1.5mm、防水透湿性素材9の穴径は1μm、その厚さは0.3mmである。図9に示す本発明者らが比較のために形成した爆発実験用比較試料RS1は、爆発実験用試料S1に対して、金属キャップ6は設置したが、防水透湿性素材9は設置していない。また、図10に示す本発明者らが比較のために形成した爆発実験用比較試料RS2は、爆発実験用試料S1に対して、金属キャップ6および防水透湿性素材9は設置していない。また、図8〜図10に示すように、これら全ての試料S1,RS1,RS2では、水素ガスの着火源にはタングステンフィラメント線38を用い、タングステンフィラメント線38の両端はそれぞれステム2を貫通して設置された異なるリード端子4に接続されている。
実験結果を表1にまとめる。金属キャップ6のみを実装し、防水透湿性素材9を実装していない爆発実験用比較試料RS1と、金属キャップ6および防水透湿性素材9を実装していない爆発実験用比較試料RS2では、外部から電圧5V、電流0.5Aを加えて通電したところ、瞬時に爆発が生じた。これに対して、爆発実験用試料S1では、外部から電圧5V、電流0.5Aを加えて通電しても爆発が生じなかった。爆発実験用試料S1に対しては、タングステンフィラメント線38を燃焼させて、断線させた後、ニクロム線を通電して水素爆発を起こすことによって、爆発が可能な濃度の水素ガスが容器35の内部に充満していたことを確認している。また、爆発実験用試料S1では、金属キャップ6の上部に設けられた穴8から、タングステンフィラメント線38が燃え尽きるまで容器35の内部で赤く燃焼していることを確認している。
また、他の水素爆発実験において、金属キャップ6の上部に形成された穴8の直径を0.5〜3mmの範囲で用いたが、この範囲では防爆性に格段の違いは見られなかった。また、防水透湿性素材9の穴径を1〜4μmの範囲で、厚さを0.3〜1mmの範囲で用いたが、それぞれの範囲では防爆性に格段の差は見られなかった。これらの実験結果から、穴径が1〜4μm、厚さが0.3〜1mmの防水透湿性素材9を用いた実装は防爆に対して有効であると考えられる。
厳密に言えば、この水素爆発実験は、23〜50秒までは容器35の外部へ引火爆発しないことを示しているが、さらに長時間にわたり容器35の内部でタングステンフィラメント線38および水素ガスの燃焼が起こったときに、容器35の外部へ引火爆発するのか、防水透湿性素材9は融解するのかなどの問題は残る。しかし、現実には、可燃性ガスセンサGS1は長時間高温にさらされることはないため、問題はないと考えられる。
ところで、多くの可燃性ガスセンサでは、防爆性が強く、外気による擾乱(湿気、塩分、NOxなどのガスまたは粉塵など)から可燃性ガスセンサを守る実装技術が、可燃性ガスセンサの信頼性を保証するには不可欠である。
次に、本実施の形態1による可燃性ガスセンサの耐塩害性能について説明する。以下に、本発明者らが行った塩害試験の方法およびその結果について説明する。なお、防水透湿性素材が耐水性(H2Oガスではない)または耐薬品性に強いことは、これまでにも実証されている。塩害試験は、常時海岸または洋上に設置される機器に対するJIS規格の塩害試験C60068−2−52に準拠した。塩害試験C60068−2−52には、塩害強度の違いにより、表2に示す厳しさ(1)と厳しさ(2)とがあるが、両者を適用した。
図11(a)および(b)に、塩害試験に用いた本実施の形態1による可燃性ガスセンサの要部断面図および底面図を示す。塩害試験に用いた可燃性ガスセンサGS2では、前述した図1に示す可燃性ガスセンサGS1に加えて、防水透湿性素材の役割を確かめるために、金属キャップ6の側部にチューブ状の防水透湿性素材39を装填し、さらにステンレス線40により、チューブ状の防水透湿性素材39を締め付けている。チューブ状の防水透湿性素材39には、互いに穴径の異なる2種類(2μmと3.5μm)のチューブ状の防水透湿性素材39を用いた。チューブ状の防水透湿性素材39の厚さは、例えば0.8mmである。
図12に、本実施の形態1による可燃性ガスセンサの塩害試験後のSEM(Scanning Electron Microscope:走査型電子顕微鏡)写真を示す。図12(a)、(b)および(c)はそれぞれ塩害試験を行っていない試料のSEM写真、厳しさ(1)の塩害試験を行った後の試料のSEM写真および厳しさ(2)の塩害試験を行った後の試料のSEM写真である。
可燃性ガスセンサGS2のチューブ状の防水透湿性素材39で覆われていない金属キャップ6の側部、金属キャップ6のつばの部分6aとステム2との溶接部分、リード端子4とステム2との繋ぎのガラス材2aには赤錆による腐食が発生し、ステム2の影響によりセンサチップ1に動作不良が生じた。また、リード端子4にも赤錆が発生し、少しの力を加えただけでも容易に折れた。
また、図12(b)のa、bおよびcで示す箇所、ならびに図12(c)のd、e、fおよびgで示す箇所において、EDX(Energy Dispersive X-ray Fluorescence:エネルギー分散型蛍光X線分析法)により構成元素の分析を行ったところ、b、dおよびgで示す箇所では、金属キャップ6の表面をめっきするAuのみが検出されたが、c、eおよびfで示す箇所では、Auめっきが剥がれており、Feなどが検出された。金属キャップ6のつばの部分6aとステム2との溶接部分においては、溶接時にAuめっきが剥がれた場所aで赤錆による腐食が著しく進んでいる。この溶接部分における腐食がステム2の表面にも広がっている箇所もある。ステム2に備わる12本のリード端子4およびガラス材2aでも腐食が観察されている。厳しさ(2)の塩害試験では、さらに金属キャップ6の側部の表面にも広く赤錆が認められた。
これに対して、チューブ状の防水透湿性素材39で覆った部分は、厳しさ(1)および厳しさ(2)の塩害試験において錆は発生していない。ステンレス線40についても錆の発生は認められなかった。
また、6個の試料について水素応答特性を測定したとこと、厳しさ(2)の塩害試験後では、4個の試料では水素応答特性ΔVgおよび応答速度に変化は無かったが、2個の試料においては応答速度の低下が見られ、600秒経過しても応答速度は飽和しなかった。また、厳しさ(1)の塩害試験後では、水素応答特性ΔVgも応答速度も著しく低下したが、金属キャップ6を除去し、ワイヤ5を接続し直して再測定すると、応答速度は低下したままで変化はないが、水素応答特性ΔVgはある程度回復した。この様な現象の原因としては、金属キャップ6のつばの部分6aとステム2との溶接部分の腐食が進んだ箇所からの塩分や水の侵入、金属キャップ6とステム2との間に発生した赤錆、またはリード端子4の周りに発生した赤錆などが考えられる。なお、この塩害試験では、センサチップ1のセンサ用nチャネルMIS16のしきい値電圧Vthには顕著な変化は見られなかった。
リード端子4とステム2との繋ぎのガラス材2aで発生する錆は、ステム2の裏面をモールド材、例えばエポキシ樹脂などで覆うことにより防止することができる。
また、他の塩害試験において、金属キャップ6の上部に形成された穴8の直径を0.5〜3mmの範囲で用いたが、この範囲では水素応答特性ΔVgに格段の違いは見られなかった。また、防水透湿性素材9の穴径を1〜4μmの範囲で、厚さを0.3〜1mmの範囲で用いたが、それぞれの範囲では水素応答特性ΔVgに格段の差は見られなかった。これらの実験結果から、穴径が1〜4μm、厚さが0.3〜1mmの防水透湿性素材9を用いた実装は塩害に対して有効であると考えられる。
塩害を考慮する必要がない場合は、金属キャップ6およびKovar製のステム2を用いることができる。これに対して、塩害を考慮する必要がある場合は、金属キャップ6およびステム2の外側を防水透湿性素材39により覆うことにより、金属キャップ6およびステム2の腐食を防止することができる。なお、金属キャップ6およびステム2の外側を防水透湿性素材39により覆う可燃性ガスセンサの他の例については、後述する実施の形態2において説明する。また、金属キャップ6およびステム2に代えて、セラミック製またはステンレス製のキャップおよびステムを用いることもできる。
次に、本実施の形態1による可燃性ガスセンサの実装構造の耐粉塵性能について説明する。以下に、本発明者らが行った粉塵試験の方法およびその結果について説明する。大気中の粉塵、特に自動車や各種施設から大気中に排出される粒子状物質(Particulate Matter)に対する防水透湿性素材の防止能力試験を行った。高速道路直近で、海岸から80m程度に立地する実際の水素ステーションにセンサチップおよび実装品である可燃性ガスセンサを設置し、半年間に渡ってこれら試料の劣化を観察した。
図13に、粉塵試験12日経過後のセンサチップのSEM写真を示す。図13に示すように、大気中に排出される粒子状物質41が、センサ用nチャネルMIS16の触媒金属ゲート28(ゲート長20μm)を直撃しており、センサ用nチャネルMIS16の動作特性に顕著な劣化が見られた。しかし、可燃性ガスセンサのゲート領域には、光学顕微鏡による観察では、異物は見られなかった。この結果から、防水透湿性素材を用いた実装は防塵にも効果があることがわかる。また、センサ用nチャネルMIS16の動作特性も安定であり、水素応答特性ΔVgの変動も小さいことが確かめられた。
以上説明した防爆試験、塩害試験および防塵試験から、前述した図1に示す可燃性ガスセンサGS1は防爆および防塵に対して有効であり、前述した図11に示す可燃性ガスセンサGS2は防爆、耐塩害および防塵に対して有効であることが言える。
このように、本実施の形態1によれば、センサチップ1を用いて可燃性ガスセンサGS1を構成し、さらに断熱材3を介してセンサチップ1をステム2上に配置して金属キャップ6で覆う実装構造とすることにより、実装構造の内部の体積を、従来の耐圧防爆構造を採用したガスセンサの1/10以下である10mL以下(例えば前述した図4〜図6に示す可燃性ガスセンサGS1の体積は0.5mL程度)とすることができる。また、金属キャップ6の上部には外気を導入するための穴8が形成されるが、この穴8を金属キャップ6の内側から防水透湿性素材9で覆うことにより、可燃性ガスセンサGS1に防爆効果および防塵効果を持たせることができる。これにより、軽量小型で、防爆性を有する可燃性ガスセンサGS1を実現することができる。さらに、金属キャップ6の外側をチューブ状の防水透湿性素材39で覆うことにより、可燃性ガスセンサGS1よりも耐塩害効果の高い可燃性ガスセンサGS2を実現することができる。
ところで、防爆性および耐圧防爆構造のフレームアレスタでは、フレームアレスタの隙間を火炎が通過するときに熱を奪い、爆発温度以下にし、火炎が外部に漏れないように設計される。防爆には、フレームアレスタの隙間を火炎が通過するときに熱を奪い爆発温度以下とすることが必要である。本実施の形態1による可燃性ガスセンサGS1では、厚さが0.3〜1μmの防水透湿性素材9を用いているが、その公称ろ過径の最大値は1〜4μmと小さく、また、金属キャップ6の内部の空間も0.5mLと小さいので、ガス爆発のエネルギーが金属キャップ6の内部の空間の体積に比例することを考慮すれば、ガス爆発が外部に漏れることを防止するできることができる。また、小型軽量を考慮すると、金属よりも樹脂系材料が好適である。樹脂系材料は一般に耐熱性は劣るという問題はあるが、可燃性ガスセンサは長時間高温にさらされないことから、防水透湿性素材を使用することは問題とはならない。
(実施の形態2)
本実施の形態2では、金属キャップの外側も防水透湿性素材により覆った可燃性ガスセンサについて説明する。本実施の形態2による可燃性ガスセンサの基本的な構造を図14および図15を用いて説明する。図14は本実施の形態2による可燃性ガスセンサの第1例の要部断面図、図15は本実施の形態2による可燃性ガスセンサの第2例の要部断面図である。
図14に示す可燃性ガスセンサGS3は、前述した可燃性ガスセンサGS1と同様に、金属キャップ6の内側に、金属キャップ6の上部に接して防水透湿性素材9を配置しており、さらにステム2と金属キャップ6のつばの部分6aとの溶接部分を含めて、金属キャップ6の側部を全て防水透湿性素材39で包み込む実装構造を有している。リード端子4とステム2との繋ぎのガラス材2aで発生する錆は、ステム2の裏面をモールド材、例えばエポキシ樹脂42などで覆うことにより防止することができる。
図15に示す可燃性ガスセンサGS4は、金属キャップ6の内側には防水透湿性素材9を配置せず、ステム2と金属キャップ6のつばの部分6aとの溶接部分を含めて金属キャップ6の側部を全て防水透湿性素材39で包み込み、さらに金属キャップ6の上部も全て防水透湿性素材39で包み込む実装構造を有している。この場合、金属キャップ6の側部をカバーする防水透湿性素材39と、金属キャップ6の上部に接して配置される防水透湿性素材9と、接続部分とを断熱材10でかしめている。断熱材10は、PEEK材を3〜5mmの高さの円柱状にくりぬき、金属キャップ6の上面と側面に接着させている。リード端子4とステム2との繋ぎのガラス材2aで発生する錆は、ステム2の裏面をモールド材、例えばエポキシ樹脂42などで覆うことにより防止することができる。
なお、本実施の形態2では、前述した実施の形態1と同様に、金属キャップ6に形成する穴8を金属キャップ6の上部に設けたが、これに限定されるものではなく、例えば金属キャップ6の側部に形成してもよい。この場合も、金属キャップ6の外側に防水透湿性素材39を装着することができる。
このように、本実施の形態2によれば、金属キャップ6の上部に設けられる穴8を金属キャップ6の内側から防水透湿性素材9で覆い、さらに金属キャップ6の側部を外側から防水透湿性素材39で覆う、または金属キャップ6の上部および側部を外側から防水透湿性素材39で覆うことによっても、防爆効果、耐塩害効果、防塵効果などを有することができる。これにより、可燃性ガスセンサGS1,GS2よりも、耐塩害効果が向上した可燃性ガスセンサGS3,GS4を実現することができる。
(実施の形態3)
本実施の形態3による可燃性ガスセンサに備わるセンサチップを図16および図17を用いて説明する。図16(a)および(b)はそれぞれセンサ用nチャネルMISが配置されたヒータ配線領域の要部断面図および要部平面図、図17は参照用nチャネルMISが配置されたヒータ配線領域の要部断面図である。Si−MOSFET型水素ガスセンサの触媒金属ゲートにPtを用いている。PtゲートSi−MOSFET型水素ガスセンサに関しては、宇佐川らの日本国特許出願第2008−156427号(2008.6.16出願)に開示されているので、ここでの詳細な説明については、原則として繰り返さないこととする。以下、ゲート長(Lg)を、例えば20μm、ゲート幅(Wg)を、例えば300μmとするnチャネルMISに適用した場合について説明する。
まず、センサ用nチャネルMISが配置されたヒータ配線領域について説明する。図16(a)および(b)に示すように、センサチップの基板には、シリコン基板22上に埋め込み絶縁層23が形成され、さらに埋め込み絶縁層23上にチャネルシリコン層24が形成された、所謂SOIウエハを用いる。シリコン基板22の厚さは、例えば200〜750μm、埋め込み絶縁層23の厚さは、例えば0.1〜5μm、チャネルシリコン層24の厚さは、例えば0.1〜20μmである。埋め込み絶縁層23は、例えば酸化シリコン膜を用いることができる。
チャネルシリコン層24の主面には、センサ用nチャネルMIS16のゲート領域25を定義するために、局所酸化法を用いて酸化シリコン膜からなる局所酸化膜SiO226が形成されている。ゲート領域25のチャネルシリコン層24の主面にはゲート絶縁膜27を介して、例えばPtからなる触媒金属ゲート28が形成されている。触媒金属ゲート28には引き出し電極が電気的に接続されているが、図示は省略する。局所酸化膜SiO226下のチャネルシリコン層24には、n+型半導体領域からなるソース領域28Sおよびドレイン領域28Dが形成されている。センサ用nチャネルMIS16のしきい値電圧Vthは、例えば1.0Vである。図16(a)では、触媒金属ゲート28の取り出し電極の図示は省略している。
ゲート領域25を除いて、チャネルシリコン層24および局所酸化膜SiO226は層間絶縁膜29により覆われており、層間絶縁膜29に形成された接続孔30を通してソース領域28Sと電気的に接続するソース電極31S、およびドレイン領域28Dと電気的に接続するドレイン電極31Dが形成されている。層間絶縁膜29は、例えばリンドープガラスPSG(Phospho Silicate Glass)膜で形成することができる。局所酸化膜SiO226上で、かつ層間絶縁膜29上には、ヒータ配線32が形成されている。ヒータ配線32はAl合金膜により形成されており、線幅は、例えば5μm、高さは、例えば0.5μmである。また、ヒータ配線32は、触媒金属ゲート28とソース電極31Sとの間および触媒金属ゲート28とドレイン電極31Dとの間につづれ折り状態で配置されている。例えば触媒金属ゲート28とソース電極31Sとの間に長さ320μmを単位として5μm間隔で15本のつづれ折り状態でヒータ配線32を形成し、同様に、例えば触媒金属ゲート28とドレイン電極31Dとの間に長さ320μmを単位として5μm間隔で15本のつづれ折り状態でヒータ配線32を形成した場合には、ヒータ配線32の全長は、約1mmとなる。
さらに、ゲート領域25を除いて、ソース電極31S、ドレイン電極31Dおよびヒータ配線32は、表面保護膜33により覆われている。表面保護膜33は、例えば窒化シリコン膜を用いることができる。
さらに、ゲート領域25およびヒータ配線32の主要部を含む領域(以下、真正センサ領域と言う)34の下に位置するシリコン基板22が、くり貫かれている。このように、加熱される領域である真正センサ領域34の厚さを、例えば0.1〜20μm程度と薄くすることにより、ヒータ配線32に通電加熱したときに、加熱された真正センサ領域34に流入した熱量が周囲に逃げ難くなり、結果として低電力で真正センサ領域34の温度を100〜200℃程度に設定することができる。なお、シリコン基板22に対して異方性ドライエッチングとKOH溶液によるウエットエッチングとを行うことにより、シリコン基板22をくり貫くことが出来る。
次に、参照用nチャネルMIS17が配置されたヒータ配線領域について説明する。図17に示すように、参照用nチャネルMIS17が配置されたヒータ配線領域の構造は、前述したセンサ用nチャネルMIS16が配置されたヒータ配線領域の構造とほぼ同じである。相違する点は、センサ用nチャネルMIS16の触媒金属ゲート28は層間絶縁膜29および表面保護膜33により覆われていないが、参照用nチャネルMIS17の触媒金属ゲート28は層間絶縁膜29および表面保護膜33により覆われていることである。
なお、触媒金属ゲート28とソース電極31Sおよび触媒金属ゲート28とドレイン電極31Dとの間が数10μmと長くなるため、ソース・ゲート抵抗は高くなるが、可燃性ガスセンサの動作領域はソース・ドレイン電流が小さい領域で用いるので、大きな障害にはならないと考えられる。
また、センサチップには、センサ用nチャネルMIS16および参照用nチャネルMIS17を形成したが、nチャネルMISに代えてpチャネルMISを用いてもよく、同様にセンサチップを実現することができる。
次に、本実施の形態3による可燃性ガスセンサの消費電力について説明する。
本実施の形態3による可燃性ガスセンサでは、前述した図16に示すように、センサチップの構造を、触媒金属ゲート28とソース電極31Sとの間隙の距離および触媒金属ゲート28とドレイン電極31Dとの間隙の距離を長くして、この間隙に金属配線によるヒータ配線32を何重に折り曲げて挿入し、ゲート領域25およびヒータ配線32の主要部を含む真正センサ領域34の下に位置するシリコン基板22をくり貫き、ゲート領域25を加熱した熱により周辺のシリコン基板22が加熱され難い構造とし、さらに、前述した図1に示すように、センサチップ1とステム2との間に断熱材3を挿入する。このような構造とすることにより、実際に加熱する面積をセンサチップの全面積の1/50以下、全体積の1/1000以下とすることができる。
図18に、本実施の形態3による可燃性ガスセンサのヒータ配線の抵抗と消費電力との関係を説明するグラフ図を示す。
例えば前述した図16に示すセンサ用nチャネルMIS16において、ヒータ配線32の取り出し電極(電極パッド20)間に12.5mAの電流を流すと、ヒータ配線32の抵抗が76.8Ωでは、ゲート領域25における温度は100℃となるが、ヒータ配線32の取り出し電極(電極パッド20)間に係る電圧が1V弱であることから、消費電力は12mWとなる。さらに電流を増加して消費電力を20mWとしてもゲート領域25における温度は約200℃である。従って、センサチップの触媒金属ゲート28近傍(ゲート領域25)が100〜200℃に加熱されても、消費電力が25mW以下で、定格電圧1.2V以下、定格電流0.1A以下を達成することができる。
ヒータ配線32の材料には、Al合金を用いたが、例えば前述した特許出願第2008−156427号に開示されているように、Mo/Au/Mo積層構造を用いることもができる。Al合金からなる配線と、Mo/Au/Mo積層構造からなる配線の信頼試験を行った結果、両者において5年以上の予測寿命が得られている。
このように、本実施の形態3によれば、センサチップの構造を、周囲のシリコン基板22が加熱され難い構造とし、センサチップとステムとの間に断熱材を挿入することにより(例えば前述した図1参照)、センサチップの触媒金属ゲート28近傍が100〜200℃に加熱されても、消費電力が25mW以下で、定格電圧1.2V以下、定格電流0.1A以下を達成することができる。これにより、防爆性を有するセンサチップを実現することができる。本実施の形態3において示したセンサチップのみでも防爆性を有することができるが、前述した実施の形態1において示した可燃性ガスセンサGS1,GS2の実装構造または前述した実施の形態2において示した可燃性ガスセンサGS3,GS4の実装構造のように、防水透湿性素材9,39を備えた金属キャップ6を用いてもよい。これにより、さらに防爆効果が向上し、さらに耐塩害性、防塵性等を有することができる。
(実施の形態4)
前述した実施の形態3において説明したセンサチップは、例えば25mW以下の低い消費電力を示すことから、電池駆動によりコードレス化したセンサキットの中に組み込むことができる。そこで、本実施の形態4では、センサチップ、周辺回路および電源(例えば電池)等を一つにまとめた防爆性を有するセンサノードのセンサキットについて説明する。
本実施の形態4による簡易防爆構造のセンサキットの基本的な構成を、図19〜図21を用いて説明する。図19は本実施の形態4によるセンサノードのシステム展開図、図20は本実施の形態4による簡易防爆構造のセンサキットの断面模式図、図21(a)、(b)および(c)はセンサチップを含むセンサ部分の要部断面図、センサノード基板モジュールに備わるソケットの斜視図およびセンサノード基板モジュールに備わるソケットの平面図である。
図19に示すように、センサノードSNは、主にセンサモジュール100、通信制御モジュール200および電源系300から構成されている。センサネットのセンサノードの技術は、例えば特開2006−155009号公報(ガス検査システム)に開示されているので、その詳細は言及しないが、センサ101とその駆動回路102、ヒータ103、温度計104および温度計104とその駆動回路105からのアナログ信号をA/D変換機202,203を介してコントローラ(マイクロコンピュータ)201に取り込み、通信系206を通じてアンテナ207から無線を使ってサーバ208に情報を送り、リアルタイムでガス漏れを検知する技術である。図19中、符号204は閾値、205は比較器を示す。
センサモジュール100は、1つのIC(Integrated Circuit)チップによって製造することができる。しかし、センサ101は消耗品であり、定期的に取り替える必要があることから、センサ101は、センサノード基板モジュールから容易に交換できることが望ましい。本実施の形態4では、センサ101がセンサノード基板モジュールから簡単に取りはずしができる簡易防爆構造のセンサキットを例示する。
図20に示すように、本実施の形態4によるセンサキットGSKでは、センサノード基板モジュール43に、センサモジュール100、通信制御モジュール200および電源系300が実装されている。センサモジュール100中のセンサ101、ヒータ103および温度計104を前述した実施の形態3で説明したように、1つのシリコンチップに集積化している。センサ101の温度は、ヒータ配線の抵抗の温度特性から計測しており、センサモジュール100中の駆動回路102,105は別のICチップによって、センサノード基板モジュール43に実装されている。センサ101、ヒータ103および温度計104をICチップに集積化した部分をセンサチップ47と呼び、以下に示すように簡易実装したセンサ106として、センサノード基板モジュール43から簡単に取り外せる消耗品とする。
センサノード基板モジュール43は筐体基板44上にバッファ45を介して設置され、センサ106は、後述するようにソケットを用いて簡単に取り外しができるようにセンサノード基板モジュール43上に設置してある。センサノード基板モジュール43およびセンサ106は、例えば前述した実施の形態1による防水透湿性素材9を装着した金属キャップ6により覆われており、止め具46を用いて金属キャップ6は筐体基板44に固定されている。金属キャップ6の形状は円柱状ではなく、直方体またはその類似形状とすることができる。金属キャップ6の取り付け金具を含まない外形寸法は、例えば25(W)×20(H)×20(D)mm、その重さは20gである。アンテナ207は金属キャップ6から外に出ている。
図21(a)に示すように、センサ106では、センサチップ47を用いており、センサチップ47がステム48上に、断熱材49を介して配置されている。ステム48には、ステム48を貫通して、ステム48の表面と裏面との両面に突出する複数のリード端子(ここでは12本を例示している)50が備わっており、リード端子50は、リード端子50の外周に設けられたガラス材によってステム48に固定されている。センサチップ47の主面上に形成された複数の電極パッドとステム48に繋がる複数のリード端子50とがそれぞれワイヤ51によって接続されている。センサチップ47、断熱材49および複数のワイヤ51は、高さ6〜12mm程度のステンレス金網52により覆われており、ステンレス金網52の側部の最下部(つばの部分52a)がステム48の周囲と接合されている。
センサチップ47は、ステンレス金網52により覆われているだけであり、ステンレス金網52には十分な防爆性は期待できない。しかし、上記図20に示したように、センサチップ47を搭載するセンサノード基板モジュール43全体が、防爆性を有する防水透湿性素材9を装着した金属キャップ6により覆われているので、センサキットGSKは防爆性を有することができる。
また、前述したように、センサ106は、センサノード基板モジュール43に固定されたソケットに取り付ける構造となっている。具体的には、図21(b)および(c)に示すように、複数のソケットリード端子(ここでは12本を例示している)53がソケット54に備わっており、ソケット受け口55からセンサ106に備わるリード端子50を差し込むことにより、センサ106をセンサノード基板モジュール43に搭載する。
このように、本実施の形態4によれば、センサ106を搭載するセンサノード基板モジュール43全体を、防爆性を有する防水透湿性素材9を装着した金属キャップ6により覆うことにより、防爆性を有するセンサキットGSKを実現することができる。さらに、センサ106は、センサノード基板モジュール43に固定されたソケット54に着脱することにより容易に交換することができるので、センサ106の交換の作業性が向上し、またセンサ106が消耗した場合は、センサ106のみの交換によりセンサキットGSKの機能を修復できるので、コストも低減することができる。
(実施の形態5)
本実施の形態5による簡易防爆構造の接触燃焼式メタンガスセンサの基本的な構成を、図22に示す断面模式図を用いて説明する。
接触燃焼式メタンガスセンサ56は、検知素子57と補償用素子58とがステム59上に配置されており、検知素子57と補償用素子58との間には熱遮へい板60が設けられている。検知素子57は、例えばコイル状の白金線61に燃焼触媒を担持させた構造であり、白金線61の両端は金属リード線62、63に繋がっている。補償用素子58は、コイル状の白金線64に燃焼触媒を担持させない構造であり、白金線64の両端は金属リード線65,66に繋がっている。検知素子57の白金線61および補償用素子58の白金線64の径は、例えば10μm、それらの長さは、例えば300μmであり、消費電力は100mWにまで低減することができる。
ステム59には、ステム59を貫通して、ステム59の表面と裏面との両面に突出する4本のリード端子67が備わっており、リード端子67は、リード端子67の外周に設けられたガラス材によってステム59に固定されている。金属リード線62,63,65,66は異なるリード端子67に接続されている。さらに、検知素子57、補償用素子58および熱遮へい板60は、例えば前述した実施の形態1と同じ防爆性を有する防水透湿性素材9を装着した金属キャップ6により覆われており、金属キャップ6の側部の最下部(つばの部分6a)がステム59の周囲と接合されている。
本実施の形態5による簡易防爆構造の接触燃焼式メタンガスセンサにおいては、前述した実施の形態1に示した寸法と同じ寸法で作製した金属キャップ6を採用した場合、400℃前後の動作温度でも、安定した動作を得ることができる。
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
例えば前記実施の形態では、Si−MOSFETを用いた水素ガスセンサを例示したが、他の方式のガスセンサにも適用することができる。例えばMIS型キャパシタによる水素ガスセンサにも適用することができる。また、有機顔料を用いた水素ガスセンサまたはEMF型水素ガスセンサなどの動作原理の異なるセンサにも適用することができる。