以下、本発明の実施形態を添付図面に基づき詳細に説明する。本発明によるヒートポンプ装置は、暖房運転時、冷媒回路の作用で水を加熱することで温水を生成し、この温水を給湯、床暖房、ラジエータなどに利用する装置である。
ヒートポンプ装置は、図1に示すように、圧縮機100、四方弁200、冷媒−水熱交換器300、膨張弁400および外気を熱交換対象とする室外熱交換器500(背景技術の熱源側熱交換器4に相当)を冷媒管で順次接続する冷媒回路と、循環ポンプ600、冷媒−水熱交換器300(背景技術の給湯用熱交換器2に相当)および暖房端末700を配水管で順次接続する温水回路とを備えるヒートポンプサイクルAを有している。本実施形態では、暖房端末700として床暖房パネルを形成し、この床暖房パネルに温水が循環されるようになっている。
冷媒回路には、圧縮機100の吐出圧力を検知する圧縮機吐出圧力センサSpが四方弁200と冷媒−水熱交換器300の間に配置されている。また、暖房運転時の冷媒−水熱交換器300の凝縮温度を検知する冷媒−水熱交換器温度センサSt1が冷媒−水熱交換器300に配置され、暖房運転時における冷媒流れ方向での室外熱交換器入口の冷媒温度(以下、室外熱交換器500の入口温度と称す)を検知する室外熱交換器温度センサSt2が室外熱交換器500の膨張弁400側の入口付近に配置されている。なお、この室外熱交換器温度センサSt2は、除霜運転時における冷媒流れ方向での室外熱交換器出口の冷媒温度(以下、室外熱交換器500の出口温度と称す)を検知するセンサでもある。更に、熱交換対象となる外気を室外機内に導入するための室外ファン800が室外熱交換器500の付近に配置されている。
そして、ヒートポンプ装置は、マイクロコンピュータからなる暖房運転と除霜運転を制御するコントローラ900を有している。コントローラ900は、圧縮機吐出圧力センサSp、冷媒−水熱交換器温度センサSt1、室外熱交換器温度センサSt2の検知信号に基づいて演算処理を行い、その結果により、圧縮機100、四方弁200、膨張弁400および室外ファン800に制御信号を出力するようになっている。
以上説明してきたヒートポンプ装置の動作を説明する。まず、図1を用いて暖房運転と除霜運転の基本動作を説明する。暖房運転を開始する場合には、コントローラ900は四方弁200に制御信号を出力し、冷媒の流れ方向が実線矢印の方向となるように四方弁200をONにし、その後、圧縮機100の運転を開始することにより、室外熱交換器500を蒸発器、冷媒−水熱交換器300を凝縮器として機能させる。
圧縮機100から吐出される高温高圧の冷媒が四方弁200を経て冷媒−水熱交換器300に供給され、冷媒−水熱交換器300による冷媒と水との熱交換によって、水を加熱する。このとき、高温高圧の冷媒は冷媒−水熱交換器300で凝縮される。また、温水回路内を実線矢印のように流れる水は、冷媒の熱により加熱されて温水となる。
冷媒はその後、膨張弁400で減圧されて液相状態あるいは二相状態となり、室外熱交換器500に供給されて外気から熱を吸熱して蒸発し、四方弁200を経て圧縮機100に戻る。なお、暖房運転時には、コントローラ900は冷媒−水熱交換器300での冷媒から温水への放熱および室外熱交換器500での冷媒の外気からの吸熱が最適な効率となるように冷媒の流量を調整するため、膨張弁400の開度を制御する。また、コントローラ900は室外ファン800をONにし、室外熱交換器500に外気を導入して、室外熱交換器500による冷媒と外気との熱交換を促進する。
この暖房運転の継続中に、室外熱交換器温度センサSt2が所定温度以下の室外熱交換器500の入口温度を検知したとき、室外熱交換器500に着霜が生じたと判断し、四方弁200によって暖房運転時と冷媒の流れ方向を逆方向に切換えるリバース除霜方式の除霜運転に移行する。
暖房運転から除霜運転に移行する場合には、コントローラ900は、室外熱交換器温度センサSt2による室外熱交換器500の入口温度の検知信号に基づいて除霜運転への移行を決定し、圧縮機100の運転を停止して、冷媒の流れ方向が点線矢印の方向となるように四方弁200をOFFにし、その後、圧縮機100の運転を開始することにより、冷媒−水熱交換器300を蒸発器、室外熱交換器500を凝縮器として機能させる。
圧縮機100の運転を開始し、除霜運転が開始されると、圧縮機100から吐出される高温高圧の冷媒が四方弁200を経て室外熱交換器500に供給され、室外熱交換器500に流れる冷媒の熱により、室外熱交換器500の着霜が融霜除去される。このとき、高温高圧の冷媒は室外熱交換器500で凝縮される。
冷媒はその後、膨張弁400を経て冷媒−水熱交換器300に供給されて温水から熱を吸熱して蒸発し、四方弁200を経て圧縮機100に戻る。本発明では、暖房運転から除霜運転に移行する場合に、圧縮機100の運転を停止して四方弁200をOFFにした後、除霜運転に入る直前の暖房運転時の温水温度に相関のある冷媒の凝縮温度または凝縮圧力に基づいて膨張弁400の開度を調整することにより、除霜運転時の冷媒−水熱交換器300での冷媒の蒸発圧力が大きくなりすぎないようにしている。
本発明では、暖房運転時、室外熱交換器500の入口温度が、予め定めた温度以下になったことを検知すると、圧縮機100の運転を停止して四方弁200をOFFにし、その後、膨張弁400の開度を調整して圧縮機100の運転を開始することにより、除霜運転を開始する。除霜運転を所定時間継続した後、室外熱交換器500の出口温度が、予め定めた温度から所定温度以上の温度上昇があったことを検知すると、圧縮機100の運転を停止して四方弁200をONにすることにより、除霜運転を終了する。
上述の除霜運転を開始するため、本発明のヒートポンプ装置は、図3に示すように、除霜運転に入る直前の温水温度が高い場合の高温出湯モードと、除霜運転に入る直前の温水温度が低い場合の低温出湯モードの2種類の除霜運転モードを有し、ヒートポンプ装置は、高温出湯モードまたは低温出湯モードを選択して除霜運転を行う。高温出湯モードまたは低温出湯モードでの除霜運転は、冷媒−水熱交換器凝縮温度、膨張弁パルス数、圧縮機回転数、冷媒−水熱交換器蒸発圧力の各除霜運転条件の数値に則って制御される運転である。なお、除霜運転条件の数値のうち、膨張弁パルス数が高温出湯モードと低温出湯モードで異なる数値になっている。
次に、図2乃至図4を用いて本発明の特徴となる除霜運転動作を説明する。図2および図4において、Sはステップを、数字はステップ番号をそれぞれ表す。なお、本発明の第1実施例として、除霜運転モードの選択に、冷媒−水熱交換器温度センサSt1の検知結果を用いるヒートポンプ装置と、圧縮機吐出圧力センサSpの検知結果を用いるヒートポンプ装置の二つの実施例について説明する。また、この二つの実施例で説明するヒートポンプ装置の暖房能力については、圧縮機吐出圧力センサSpの検知結果を用いるヒートポンプ装置の方がより大きな暖房能力を持つ装置であるとして説明する。
まず、冷媒−水熱交換器温度センサSt1の検知結果を用いるヒートポンプ装置について説明する。図2に示すように、コントローラ900は圧縮機100と四方弁200とがONであるかどうかにより、暖房運転中であるかどうかを判断する(S1)。暖房運転中であれば(S1−YES)、S2に移行し、暖房運転中でなければ(S1−NO)、ルーチンを終了する。S2では、室外熱交換器500の入口温度Toを検知し、入口温度Toが−10℃以下であれば(S2−YES)、除霜運転への移行を決定してS3に移行し、入口温度Toが−10℃以下でなければ(S2−NO)、暖房運転の継続を決定して、ルーチンを終了する。
本実施形態では、室外熱交換器500の入口温度Toの検知は、室外熱交換器温度センサSt2により検知され、コントローラ900は、室外熱交換器温度センサSt2の検知信号に基づいて、除霜運転への移行の要否を判断する。S3では、冷媒−水熱交換器300の凝縮温度Twを冷媒−水熱交換器温度センサSt1で検知し、凝縮温度Twが37℃以上であれば(S3−YES)、S4に移行し、凝縮温度Twが37℃未満であれば(S3−NO)、S7に移行する。
本実施形態では、温水温度に相関のある冷媒−水熱交換器300の凝縮温度Twを検知することで温水温度を間接的に検知する。S4では、コントローラ900は、高温出湯モードによる運転制御を開始し、室外ファン800をOFFにするとともに、圧縮機100を停止する。コントローラ900は圧縮機100の停止から所定時間経過後、四方弁200をOFFとし(S5)、膨張弁400を絞る(S6)。S6では、コントローラ900から膨張弁400に対し、膨張弁パルス数を例えば150パルスとする制御信号を出力し、膨張弁400の開度を絞る。
一方、S7ではS4と同様に、コントローラ900は、低温出湯モードによる運転制御を開始し、室外ファン800をOFFにするとともに、圧縮機100を停止する。コントローラ900は圧縮機100の停止から所定時間経過後、四方弁200をOFFとし(S8)、膨張弁400を全開にする(S9)。S9では、コントローラ900から膨張弁400に対し、膨張弁パルス数を例えば480パルスとする制御信号を出力し、膨張弁400の開度を全開にする。
なお、膨張弁400の開度は、弁を開閉するステッピングモータに上述の制御信号を出力することにより調整され、膨張弁400は、ステッピングモータに480パルスの制御信号を出力すると全開に、0パルスの制御信号を出力すると全閉になるように制御される弁であり、0パルスから480パルスまでの間で膨張弁パルス数が大きくなると、これに対応するように膨張弁400の開度も大きくなるように制御されるものである。
更に、上述のように、凝縮温度Twが37℃未満のとき、膨張弁400の開度を全開(480パルス)にすることにより、室外熱交換器500に可能な限り高温の冷媒を供給して、冷媒−水熱交換器300の蒸発圧力が上限値を超えることなく、除霜能力を発揮するようにしている。一方、上述のように、凝縮温度Twが37℃以上のとき、膨張弁400の開度を絞る(150パルス)ことにより、冷媒−水熱交換器300の蒸発圧力が上限値を超えないようにしている。
S6およびS9において膨張弁400の開度を調整した後、コントローラ900は圧縮機100を回転させ、除霜運転を開始する(S10)。S10では、コントローラ900から圧縮機100に対し、圧縮機回転数を例えば70rpsとする制御信号を出力する。その後、S11では、コントローラ900は、室外熱交換器温度センサSt2で取得する室外熱交換器500の出口温度Toが15℃より高いか否かを判断する。コントローラ900は、室外熱交換器500の出口温度Toが15℃より高ければ(S11−YES)、圧縮機100を停止し(S12)、室外熱交換器500の出口温度Toが15℃以下であれば(S11−NO)、S11のステップを繰返し実行する。コントローラ900は、S12において圧縮機100を停止してから所定時間経過後、四方弁200をONとし、除霜運転を終了する(S13)。次に、膨張弁400を除霜運転に入る直前の暖房運転時の開度に調整する(S14)。S14において膨張弁400の開度を調整した後、コントローラ900は室外ファン800をONとし(S15)、除霜運転から暖房運転に戻される。
次に、圧縮機吐出圧力センサSpの検知結果を用いるヒートポンプ装置について説明する。図4に示すように、上述の冷媒−水熱交換器温度センサSt1の検知結果を用いるヒートポンプ装置と相違するS3’、S6’、S9’の各ステップのみを説明し、共通するステップの説明は省略する。冷媒−水熱交換器温度センサSt1の検知結果を用いるヒートポンプ装置との相違点は、図3に示すように、暖房能力の大きいヒートポンプ装置であるため、除霜運転条件のうち、冷媒−水熱交換器凝縮温度と膨張弁パルス数の数値を変更している点である。なお、各除霜運転条件の数値については、本実施例において説明した数値に限らず、圧縮機100、冷媒−水熱交換器300、膨張弁400などの仕様により、適宜設定されるものである。
以下、S3’、S6’、S9’の各ステップを説明する。図4のフローチャートにおいて、S3’では、圧縮機吐出圧力センサSpを利用して冷媒−水熱交換器300の凝縮圧力(圧縮機100の吐出圧力より若干小さくなる)を検知し、実験的に予め定めた凝縮圧力と凝縮温度の変換テーブルにしたがって、検知した凝縮圧力を凝縮温度に変換する。この変換した冷媒−水熱交換器300の凝縮温度Twが50℃以上であれば(S3’−YES)、S4に移行し、凝縮温度Twが50℃未満であれば(S3’−NO)、S7に移行する。
上述の変換テーブルはコントローラ900内の図示しない記憶手段に記憶され、コントローラ900は変換テーブルにしたがって、凝縮圧力を凝縮温度に変換する。以上のように、S3’では、凝縮温度に相関のある冷媒−水熱交換器300の凝縮圧力を検知し、この凝縮圧力を凝縮温度に変換することで温水温度を間接的に取得することが特徴になっている。
S6’では、コントローラ900から膨張弁400に対し、膨張弁パルス数を例えば200パルスとする制御信号を出力し、膨張弁400の開度を絞る。S9’では、コントローラ900から膨張弁400に対し、膨張弁パルス数を例えば400パルスとする制御信号を出力し、膨張弁400の開度を全開にせずに若干絞る。ここで、膨張弁400を若干絞るのは、暖房能力が大きいと、冷媒の流量が大きくなるので、冷媒の流れる冷媒音を抑制するためである。
なお、以上説明してきたヒートポンプ装置の除霜運転動作では、S3やS3’での凝縮温度Twの検知に替えて、温水温度センサを利用して、直接、温水温度を検知するようにしてもよい。
また、以上説明してきたヒートポンプ装置の除霜運転動作では、室外熱交換器500の入口温度Toが−10℃以下であれば、除霜運転への移行を決定し、入口温度Toが−10℃以下でなければ、暖房運転の継続を決定するようにしたが、除霜運転への移行条件としては、これに限るものではなく、例えば、以下のような3つの移行条件のうち、いずれか1つを選択して適用してもよい。
(1)室外熱交換器500の入口温度Toが暖房運転時に、−25℃以下になった場合、除霜運転への移行を決定し、それ以外の場合、暖房運転の継続を決定する。
(2)室外熱交換器500の入口温度Toが暖房運転時に圧縮機100の運転開始10分後の温度よりも、所定時間経過後、5℃以上の温度下降があった場合、除霜運転への移行を決定し、それ以外の場合、暖房運転の継続を決定する。
(3)室外熱交換器500の入口温度Toが暖房運転時に、例えば5分毎に検知される温度において5分前に検知された温度よりも、2℃以上の温度下降があった場合、除霜運転への移行を決定し、それ以外の場合、暖房運転の継続を決定する。
以上説明してきた本実施形態では、除霜運転時に、冷媒−水熱交換器300に流れる温水の温度に相関のある検知情報に基づき、冷媒が膨張弁400で制御されるため、除霜運転時に、膨張弁400で減圧された冷媒が、蒸発器として作用する冷媒−水熱交換器300に供給されることになり、この結果、温水温度が高温であっても、冷媒−水熱交換器300の蒸発圧力が大きくなりすぎるおそれがない。例えば、図3に示すように、冷媒−水熱交換器300の蒸発圧力を、圧縮機100の使用範囲を超えない上限値1.6MPa以内に抑制することができ、また、圧縮機100の使用範囲を超えないため、圧縮機100の吸込圧力も大きくなりすぎることなく、低圧縮比での運転を防ぐことができる。また、本実施形態では、除霜運転時に蒸発器として作用する熱交換器の熱交換対象が空気よりも高温の温水であるため、従来の空気調和機の除霜運転では不要な制御であった膨張弁400の開度を調整するという特徴がある。
更に、以上説明してきた本実施形態では、除霜運転に移行する場合、圧縮機100の停止から所定時間経過後、四方弁200をOFFとするようにし、また、除霜運転を終了する場合、圧縮機100の停止から所定時間経過後、四方弁200をONとするようにしている。この結果、四方弁200の切換え時には、四方弁200の高圧側と低圧側の差圧を小さくできるため、スライド弁の動きがスムーズとなり、弁切換音を小さくすることができる。
以上説明してきた本発明によるヒートポンプ装置によれば、圧縮機100、四方弁200、冷媒−水熱交換器300、膨張弁400および室外熱交換器500からなるヒートポンプサイクルAを有するヒートポンプ装置であって、室外熱交換器500への着霜を除去する除霜運転時に、四方弁200を切換えて暖房運転時と冷媒の流れ方向を逆方向とし、かつ、冷媒−水熱交換器300に流れる温水の温度に相関のある検知情報に基づいて膨張弁400の開度を調整することを特徴としている。
検知情報は冷媒−水熱交換器300の凝縮温度であり、膨張弁400の開度は、この凝縮温度が所定温度以上の場合の第1開度(例えば膨張弁パルス数が150パルス)を、前記所定温度未満の場合の第2開度(例えば膨張弁パルス数が480パルス)より小さくすることを特徴としている。また、検知情報は圧縮機100の吐出圧力であり、膨張弁400の開度は、この吐出圧力が所定圧力以上の場合の第1開度(例えば膨張弁パルス数が200パルス)を、前記所定圧力未満の場合の第2開度(例えば膨張弁パルス数が400パルス)より小さくすることを特徴としている。
これにより、除霜運転時、蒸発器として作用する冷媒−水熱交換器300の熱交換対象である温水の温度が高温であっても、膨張弁400の開度を制御することで冷媒−水熱交換器300の蒸発圧力を調整できるため、圧縮機100に負担がかからず、ヒートポンプ装置の信頼性を維持することができる。
次に、図5および図6を用いて本発明の特徴となる除霜運転動作の第2実施例を説明する。図5および図6において、Sはステップを、数字はステップ番号をそれぞれ表す。なお、本発明の第2実施例として、除霜運転モードの選択に、冷媒−水熱交換器温度センサSt1の検知結果を用いるヒートポンプ装置と、圧縮機吐出圧力センサSpの検知結果を用いるヒートポンプ装置の二つの実施例について説明する。また、この二つの実施例で説明するヒートポンプ装置の暖房能力については、圧縮機吐出圧力センサSpの検知結果を用いるヒートポンプ装置の方がより大きな暖房能力を持つ装置であるとして説明する。
また、本実施例では、ヒートポンプ装置の構成、基本動作および除霜運転条件や、ヒートポンプ装置の除霜運転時、膨張弁400の開度を調整したことによる効果については、図1乃至図4を用いて説明した第1実施例と同じであるため、説明を省略する。図1乃至図4を用いて説明した第1実施例と相違する点は、調整された膨張弁400の開度に応じて除霜運転の終了判断条件の数値を変更したことである。
まず、冷媒−水熱交換器温度センサSt1の検知結果を用いるヒートポンプ装置について説明する。図5に示すように、コントローラ900は圧縮機100と四方弁200とがONであるかどうかにより、暖房運転中であるかどうかを判断する(S20)。暖房運転中であれば(S20−YES)、S21に移行し、暖房運転中でなければ(S20−NO)、ルーチンを終了する。S21では、室外熱交換器500の入口温度Toを検知し、入口温度Toが−10℃以下であれば(S21−YES)、除霜運転への移行を決定してS22に移行し、入口温度Toが−10℃以下でなければ(S21−NO)、暖房運転の継続を決定して、ルーチンを終了する。
S21における室外熱交換器500の入口温度Toの検知は、室外熱交換器温度センサSt2により検知され、コントローラ900は、室外熱交換器温度センサSt2の検知信号に基づいて、除霜運転への移行の要否を判断する。S22では、冷媒−水熱交換器300の凝縮温度Twを冷媒−水熱交換器温度センサSt1で検知し、凝縮温度Twが37℃以上であれば(S22−YES)、S23に移行し、凝縮温度Twが37℃未満であれば(S22−NO)、S28に移行する。
S22において、温水温度に相関のある冷媒−水熱交換器300の凝縮温度Twを検知することで温水温度を間接的に検知する。S23では、コントローラ900は、高温出湯モードによる運転制御を開始し、室外ファン800をOFFにするとともに、圧縮機100を停止する。コントローラ900は圧縮機100の停止から所定時間経過後、四方弁200をOFFとし(S24)、膨張弁400を絞る(S25)。S25では、コントローラ900から膨張弁400に対し、膨張弁パルス数を例えば150パルスとする制御信号を出力し、膨張弁400の開度を絞る。
S25において膨張弁400の開度を絞った後、コントローラ900は圧縮機100を回転させ、除霜運転を開始する(S26)。S26では、コントローラ900から圧縮機100に対し、圧縮機回転数を例えば70rpsとする制御信号を出力する。その後、S27では、コントローラ900は、室外熱交換器温度センサSt2で取得する室外熱交換器500の出口温度Toが10℃より高いか否かを判断する。室外熱交換器500の出口温度Toが10℃より高ければ(S27−YES)、S33に移行し、室外熱交換器500の出口温度Toが10℃以下であれば(S27−NO)、S27のステップを繰返し実行する。
一方、S28ではS23と同様に、コントローラ900は、低温出湯モードによる運転制御を開始し、室外ファン800をOFFにするとともに、圧縮機100を停止する。コントローラ900は圧縮機100の停止から所定時間経過後、四方弁200をOFFとし(S29)、膨張弁400を全開にする(S30)。S30では、コントローラ900から膨張弁400に対し、膨張弁パルス数を例えば480パルスとする制御信号を出力し、膨張弁400の開度を全開にする。
S30において膨張弁400の開度を全開にした後、コントローラ900は圧縮機100を回転させ、除霜運転を開始する(S31)。S31では、コントローラ900から圧縮機100に対し、圧縮機回転数を例えば70rpsとする制御信号を出力する。その後、S32では、コントローラ900は、室外熱交換器温度センサSt2で取得する室外熱交換器500の出口温度Toが15℃より高いか否かを判断する。室外熱交換器500の出口温度Toが15℃より高ければ(S32−YES)、S33に移行し、室外熱交換器500の出口温度Toが15℃以下であれば(S32−NO)、S32のステップを繰返し実行する。
S27およびS32において室外熱交換器500の出口温度Toが10℃あるいは15℃より高いと判断した後、コントローラ900は圧縮機100を停止し(S33)、所定時間経過後、四方弁200をONとし、除霜運転を終了する(S34)。次に、膨張弁400を除霜運転に入る直前の暖房運転時の開度に調整する(S35)。S35において膨張弁400の開度を調整した後、コントローラ900は室外ファン800をONとし(S36)、除霜運転から暖房運転に戻される。
次に、圧縮機吐出圧力センサSpの検知結果を用いるヒートポンプ装置について説明する。図6に示すように、上述の冷媒−水熱交換器温度センサSt1の検知結果を用いるヒートポンプ装置と相違するS22’、S25’、S30’の各ステップのみを説明し、共通するステップの説明は省略する。冷媒−水熱交換器温度センサSt1の検知結果を用いるヒートポンプ装置との相違点は、図3に示すように、暖房能力の大きいヒートポンプ装置であるため、除霜運転条件のうち、冷媒−水熱交換器凝縮温度と膨張弁パルス数の数値を変更している点である。
以下、S22’、S25’、S30’の各ステップを説明する。図6のフローチャートにおいて、S22’では、圧縮機吐出圧力センサSpを利用して冷媒−水熱交換器300の凝縮圧力(圧縮機100の吐出圧力より若干小さくなる)を検知し、実験的に予め定めた凝縮圧力と凝縮温度の変換テーブルにしたがって、検知した凝縮圧力を凝縮温度に変換する。この変換した冷媒−水熱交換器300の凝縮温度Twが50℃以上であれば(S22’−YES)、S23に移行し、凝縮温度Twが50℃未満であれば(S22’−NO)、S28に移行する。
上述の変換テーブルはコントローラ900内の図示しない記憶手段に記憶され、コントローラ900は変換テーブルにしたがって、凝縮圧力を凝縮温度に変換する。以上のように、S22’では、凝縮温度に相関のある冷媒−水熱交換器300の凝縮圧力を検知し、この凝縮圧力を凝縮温度に変換することで温水温度を間接的に取得することが特徴になっている。
S25’では、コントローラ900から膨張弁400に対し、膨張弁パルス数を例えば200パルスとする制御信号を出力し、膨張弁400の開度を絞る。S30’では、コントローラ900から膨張弁400に対し、膨張弁パルス数を例えば400パルスとする制御信号を出力し、膨張弁400の開度を全開にせずに若干絞る。ここで、膨張弁400を若干絞るのは、暖房能力が大きいと、冷媒の流量が大きくなるので、冷媒の流れる冷媒音を抑制するためである。
以上説明してきた本実施形態では、除霜運転時に膨張弁400の開度を絞った場合と全開(または若干絞る)の場合とで、圧縮機100を停止して除霜運転を終了するための判断条件の数値を変更した。室外熱交換器500の出口温度Toの判断条件の数値を、膨張弁400の開度を絞った場合には、例えば10℃、膨張弁400の開度が全開(または若干絞る)の場合には、例えば15℃にそれぞれ設定したことにより、除霜運転中に室外熱交換器500の凝縮圧力が大きくなりすぎるおそれがなく、圧縮機100の負担を軽減することができる。
具体的に述べると、除霜運転時に膨張弁400の開度を絞った場合には、室外熱交換器出口における冷媒の過冷却度が全開の場合に比べて大きくなるため、室外熱交換器500の出口温度Toが同じ値であれば、除霜運転の終了判断時の室外熱交換器500の凝縮温度は、全開の場合に比べて高くなる。この結果、凝縮温度の高い方が時間的に早く着霜除去されることとなり、膨張弁400の開度を絞った場合には、室外熱交換器500の着霜除去から時間が経過した時点で除霜運転の終了が判断されるおそれがある。
このため、室外熱交換器500の着霜が除去され、室外熱交換器500に流れる冷媒の熱交換対象である霜が除去された状態で除霜運転を継続すると、霜の融け始めから大きくなる室外熱交換器500の凝縮圧力は時間の経過とともに大きくなり、圧縮機100に負担がかかってしまう。
本実施形態では、このような問題点を解決するため、膨張弁400の開度が全開の場合には、除霜運転の終了判断時の室外熱交換器500の凝縮温度が高くなりすぎることがないので、室外熱交換器500の出口温度Toを、室外熱交換器500に付着した霜が無くなる温度として十分余裕のある温度、例えば15℃に設定している。
一方、膨張弁400の開度を絞った場合には、除霜運転の終了判断時の室外熱交換器500の凝縮温度が高くなってしまうため、室外熱交換器500の出口温度Toを、室外熱交換器500に付着した霜が無くなる温度であり、かつ、除霜運転の終了判断時の室外熱交換器500の凝縮温度が低くなる温度、例えば10℃に設定している。
したがって、本実施形態によるヒートポンプ装置では、第1開度(例えば膨張弁パルス数が150パルス)の場合には、室外熱交換器500の出口温度が所定の第1温度(例えば10℃)以上に到達したときに除霜運転を終了し、第2開度(例えば膨張弁パルス数が480パルス)の場合には、室外熱交換器500の出口温度が第1温度(例えば10℃)より高い所定の第2温度(例えば15℃)以上に到達したときに除霜運転を終了することを特徴としている。
これにより、除霜運転時に膨張弁400の開度を絞った場合の除霜運転の終了を判断する条件である室外熱交換器500の出口温度を、膨張弁400の開度を全開とした場合のそれよりも低く設定したことで、除霜運転の終了判断を時間的に早めて、室外熱交換器500の着霜が除去された状態での無駄な除霜運転がなくなるため、除霜運転中の室外熱交換器500の凝縮圧力の上昇を抑え、圧縮機100に負担がかからず、ヒートポンプ装置の信頼性を維持することができる。