JP5519181B2 - 内燃機関の排気浄化装置 - Google Patents
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Description
また、本発明によれば、従来よりも低温下で効率良く粒子状物質を燃焼させてフィルタを再生することができ、フィルタの再生処理に伴う燃費ロスや触媒の劣化を抑制できる。また、通常走行時においても粒子状物質を連続燃焼させ得るため、再生頻度を低減でき、燃費の悪化を低減できる。さらには、低温下でフィルタを再生できるため、排気系レイアウトの自由度が高く、例えば車両床下にフィルタを配置することもできる。
この点、本発明では、Agを含む浄化触媒を用いることにより、Ag系触媒が本来有する優れた燃焼性能を十分に発揮できるため、低温下においても効率良く粒子状物質を燃焼除去できる。また、約600℃の高温域での再生処理においては、瞬時に粒子状物質を燃焼除去することができ、通常走行の加速時など温度が約350℃に達した場合にも、特別な制御無しに粒子状物質の一部を燃焼させることができる。
図3は、図2における隔壁5の部分拡大図である。図3に示されるように、隔壁5は、排気流入路2と排気流出路3とを連通する微細な細孔6を有し、この細孔6を排気が流通する。また、排気流入路2、排気流出路3、及び細孔6から構成される排気流路の壁面には、浄化触媒層7が設けられている。
浄化触媒層7は、後述する浄化触媒により構成されており、DPF1により捕捉されて排気中のPMを浄化する機能を有する。
本実施形態で用いる浄化触媒は、Agを含むことが好ましい。以下、その理由について詳しく説明する。
しかしながら、Ag2Oは、400℃程度で分解してAgメタルとなるため、触媒としての繰り返し耐久性に乏しい。このため、Ag2Oを用いる場合には、Ag2Oの安定性の確保が不可欠であると言える。
具体的には、本実施形態では、酸素放出能を有する複合酸化物にAgを担持させた浄化触媒を用いることが好ましい。例えば、CeO2に、Agを含浸させることにより得られるAg/CeO2が好ましく用いられる。また、CeZrO2に、Ag及びPdを含浸させることにより得られるPdAg/CeZrO2なども好ましく用いられ、これにより酸素脱離開始温度の大幅な低温化が可能となる(図4参照)。
なお、これら浄化触媒の表面付近のAgは、酸化雰囲気下ではAg2Oとして存在し、上述の機能を発揮する。この点については、後段で詳述する。
図5は、PdAg/CeZrO2のXRD(X線回折)スペクトル図である。図5において、Ag0と表示されたピークは、Agメタル由来のピークを表している。この図5から明らかであるように、PdAg/CeZrO2中に含まれるAgは、主にAgメタルとして存在することが分かる。
図6は、PdAg/CeZrO2を酸化雰囲気下に置いたときと、還元雰囲気下に置いたときのXPS(X線光電子分光)スペクトル図である。図6から明らかであるように、酸化雰囲気下では、浄化触媒の表面のAgはAg2Oとして存在し、還元雰囲気下では、Agメタルとして存在していることが分かる。これは、PM燃焼に対して活性が低いAg/α−Al2O3では、酸化雰囲気下においても表面のAgがAgメタルとして存在していることからも、本実施形態で好ましく用いられる浄化触媒特有の構成であると言える。
図7は、Ag/CeZrO2の表面状態を模式的に示した図である。図7に示すように、酸素供給材としてのCeZrO2から、表面付近のAgメタル(図7においてAg0と表示されている粒子を意味する)に酸素が供給されると、Agメタルは活性種であるAg2O(図7においてAg+と表示されている粒子とO*と表示されている粒子を意味する)に変換される。そして、このAg2Oは、PMと反応することによりAgメタルに戻るものの、直ちにCeZrO2からの酸素がAgメタルに供給される結果、常に表面付近のAgは、Ag2Oの状態で存在すると考えられる。
従って、本実施形態で好ましく用いられる浄化触媒、即ち、酸素放出能を有する複合酸化物にAgを担持させた浄化触媒によれば、表面付近に存在する活性種Ag2Oの作用によって、低温下で効率良くPMを燃焼除去できると考えられる。
なお、Agの結晶子径は、例えばX線回折装置により測定可能である。
また、複合酸化物は、アルカリ土類金属元素、遷移金属元素、第12族元素、及び第13族元素からなる群より選択される少なくとも2種以上を構成元素として含むことにより、構成元素の価数を変化させて酸素の吸収及び放出を行うものが好ましい。
また、複合酸化物が酸素放出能を有するために、多原子価を持つ元素が少なくとも1種含まれていることが好ましい。具体的には、Zr、V、Cr、Mn、Fe、Co、Cu、Nb、Ta、Mo、W、Ce、Pr、Sm、Eu、Tb、Yb、Pt、Pd、Rh、Ir、Ruなどの遷移金属元素が少なくとも1種含まれていることが好ましい。酸素放出は、複合酸化物を構成する元素の価数の変化に応じて、電荷のバランスを保つために複合酸化物の格子中の酸素が脱離する現象である。このため、Agとの組合せによる酸素放出能の観点から、上記遷移金属元素のうち、Ce、Zr、Pr、La、及びYが特に好ましい。
上記貴金属の担持量は、浄化触媒に対して0.1質量%〜3質量%と微量であることが好ましい。より好ましくは0.5質量%〜2質量%である。0.5質量%より少ない場合は、酸素放出能が低下し、2質量%より多い場合は、貴金属と複合酸化物の相互作用が強くなる結果、Agの担持効果が損なわれてしまう。
また、本実施形態では、アミン還元法又はアルコール還元法がより好ましく用いられる。アミン還元法を用いる場合には、還元剤として、トリエチルアミンが好ましく用いられる。また、アルコール還元法を用いる場合には、還元剤として、エチレングリコールやエタノールが好ましく用いられる。
なお、浄化触媒を構成する複合酸化物の調製方法も特に限定されず、硝酸塩分解法、有機酸錯体重合法など従来公知の調製方法を用いることができる。
ディッピング法では、例えば、浄化触媒を構成する材料を所定量含むスラリーを湿式粉砕などにより作製し、作製したスラリー中にDPFを浸漬させた後、DPFを引き上げて所定の温度条件で焼成を行うことにより、DPFに浄化触媒を担持させることができる。
また、発泡法では、上記ディッピング法で作製したスラリー中に、クエン酸などの有機酸を添加することにより、焼成時に触媒粒子を発泡させ、分散させることができる。このため、発泡法によれば、触媒粒子を全体に分散させることができるため、DPF表面に触媒を均一に担持させることができる。
図8に示すように、重量減少の開始が200℃付近であり、重量減少の終了が400℃付近であることから、200℃からPMが着火し、400℃でPMの燃焼が終了することが分かる。このように、接触性が良好なときのPM燃焼特性を、浄化触媒のポテンシャルと定義すると、PdAg/CeZrO2は、200℃〜400℃でPMを燃焼可能なポテンシャルを有すると言える。
図9は、500℃定常時のPM燃焼速度を表しており、燃焼終了時間が短いほどPM燃焼速度は速くなることを意味する。浄化触媒PdAg/CeZrO2のポテンシャルとしては、上述したように400℃以下でPMを燃焼できるため、500℃であれば瞬時にPMの燃焼が終了してもよいはずである。ところが、図9に示すように、90%のPMの燃焼が完了するまでの時間(以下、「T90」という)は、およそ20分と長時間を要することが分かる。これは、実際にディーゼルエンジンの排気流通下に配置した場合には、PMと浄化触媒との接触性が良好でないことが原因であると考えられ、これにより浄化触媒のポテンシャルが十分に発揮できていないと考えられる。
具体的には、本実施形態で用いる浄化触媒は、上記D90が2μm以下であることを特徴とする。D90が2μm以下であることにより、浄化触媒とPMとの接触性を向上させることができる。なお、D90は、粒度分布測定装置により測定可能であり、例えば、HORIBA製粒度分布測定装置「LA−920」により測定可能である。
また、本実施形態で用いる浄化触媒は、3μm〜10μmの空隙を有することが好ましい。この範囲の大きさの空隙を有することにより、浄化触媒をDPF表面に均一に担持させることができ、浄化触媒とPMとの接触性をより向上させることができる。さらには、水銀ポロシメータにより測定された孔径分布において、4μm〜8μmのピークを有することがより好ましい。なお、空隙の大きさは、水銀ポロシメータにより測定可能であり、例えば、島津製作所製水銀ポロシメータ「ポアサイザ9320」を用いて測定可能である。
また、DPF表面における浄化触媒の被覆率が30%以上であることが好ましい。被覆率が30%以上であれば、浄化触媒とPMとの良好な接触状態を確保できる。より好ましい被覆率は、70%以上である。なお、被覆率は、SEM観察により得られたSEM画像において、コントラストを強調させて白色部分(浄化触媒に相当)と黒色部分(DPFに相当)に分けた後、白色部分と黒色部分の面積を算出し、算出した面積値から求めることができる。
図12は、強制再生を実施したときの時間とPM残存率との関係の一例を示す図である。図12に示すように、500℃強制再生試験を実施した場合、初期はある程度の量のPMが瞬時に燃え、その後燃焼が穏やかになる。これは、初期においては、浄化触媒とPMとが良好に接触している部分については瞬時に燃焼するためである。そして、PMが燃焼した部分にはPMが存在しなくなる結果、浄化触媒とPMとの間に隙間が形成され、PMの燃焼反応の進行が遅くなる。このことから、試験開始〜30秒の間でのPM燃焼を初期燃焼と定義し、試験開始後30秒経過後の穏やかなPM燃焼をルーズコンタクト燃焼と定義する。また、浄化触媒とPMとの接触比率を、下記の数式(1)により算出し、この接触比率の増加により、接触性の向上を確認することができる。
[数1]
接触比率=初期燃焼量/全体PM量 ・・・(1)
NO2生成触媒としては特に限定はされないが、Pt、Pd、及びRhからなる群より選択される少なくとも1種の貴金属を含むことが好ましい。
また、DPF1に上記触媒を担持させる際には、先ず下層として浄化触媒を担持させた後、上層としてNO2生成触媒を担持させることが好ましい。
本実施形態によれば、浄化触媒の粒度分布における小粒径側からの累積分布が90%となるときの粒子径D90が2μm以下であることにより、DPF1の表面を緻密な浄化触媒からなる層で被覆できる。また、浄化触媒とPMの接触面積を増大でき、浄化触媒とPMとの接触性を向上させることができるため、PMの燃焼性能を向上させることができる。
また、本実施形態によれば、従来よりも低温下で効率良くPMを燃焼させてDPF1を再生することができ、DPF1の再生処理に伴う燃費ロスや浄化触媒の劣化を抑制できる。また、通常走行時においてもPMを連続燃焼させ得るため、再生頻度を低減でき、燃費の悪化を低減できる。さらには、低温下でDPF1を再生できるため、排気系レイアウトの自由度が高く、例えば車両床下にDPF1を配置することもできる。
[1質量%Pd30質量%Ag/CeZrO2、D90=2μm以下]
市販の特級試薬である、硝酸銀、硝酸パラジウム、CeZrO2(阿南化成製、Ce/Zr=2/8)、及びH2Oを、所定の組成となるように秤量して混合した。次いで、これをエバポレータにて減圧乾固し、200℃×2時間乾燥させた後、700℃×2時間の大気焼成を行うことにより、触媒粉末Aを得た。
上記で得た触媒粉末A、市販のSiO2ゾル、及びH2Oを、所定の組成となるように秤量して混合した。そこに、φ2mmのZrボールを、容器に対して50%の量混入し、ボールミルにて3日間、湿式粉砕を行うことにより、スラリーAを得た。
得られたスラリーAを、SiC製DPFにディッピング担持させた後、700℃×2時間の焼成を行うことにより得られたCSFを、実施例1とした。触媒の担持量は、60g/Lとした。
[1質量%Pd30質量%Ag/CeZrO2、D90=2μm以下、発泡法]
φ10mmのZrボールを、容器に対して10%の量混入し、ボールミルにて12時間、湿式粉砕した後、クエン酸を触媒量に対して4倍量添加した以外は、実施例1と同様の操作を行うことにより得られたCSFを、実施例2とした。触媒の担持量は、60g/Lとした。
[1質量%Pd30質量%Ag/CeZrO2、D90=2μm以下、発泡法]
スラリーAに、クエン酸を触媒量に対して4倍量添加した以外は、実施例1と同様の操作を行うことにより得られたCSFを、実施例3とした。触媒の担持量は、60g/Lとした。
[下層:1質量%Pd30質量%Ag/CeZrO2、D90=2μm以下、発泡法]
[上層:14質量%PtPd/Al2O3]
市販の特級試薬であるジニトロジアミン白金硝酸溶液、硝酸パラジウム、Al2O3(住友金属化学製)、及びH2Oを、所定の組成となるように秤量して混合した。次いで、これを、エバポレータにて減圧乾固し、200℃×2時間乾燥させた後、700℃×2時間の大気焼成を行うことにより、NO2生成触媒である触媒粉末Bを得た。
上記で得た触媒粉末B、市販のSiO2ゾル、及びH2Oを所定の組成となるように秤量して混合した。そこに、φ10mmのZrボールを容器に対して10%の量混入し、ボールミルにて12時間、湿式粉砕を行うことにより、スラリーBを得た。
実施例3で作製したCSFに、スラリーBをディッピング担持させた後、700℃×2時間の焼成を行うことにより得られたCSFを、実施例4とした。触媒の担持量は、上層60g/L、下層10g/Lとした。
[下層:1質量%Pd30質量%Ag/CeZrO2、D90=2μm以下、発泡法、アミン還元法]
[上層:14質量%PtPd/Al2O3]
市販の特級試薬である硝酸銀、ジニトロジアミンパラジウム、トリエチルアミン、ミリスチン酸を、所定の組成となるように秤量して混合溶液を作製した。この混合溶液に、CeZrO2(阿南化成製、Ce/Zr=2/8)を所定の組成となるように添加し、80℃×2時間混合した。次いで、メタノールにて洗浄ろ過を行い、60℃×12時間乾燥後、700℃×2時間の大気焼成を行うことにより、触媒粉末Cを得た。
上記で得た触媒粉末Cにより下層を形成する以外は、実施例4と同様の操作を行うことにより得られたCSFを、実施例5とした。触媒の担持量は、上層60g/L、下層10g/Lとした。
[14質量%PtPd/Al2O3]
スラリーBを、SiC製DPFにディッピング担持させ、700℃×2時間の焼成を行うことにより得られたCSFを、比較例1とした。触媒の担持量は、35g/Lとした。
[1質量%Pd30質量%Ag/CeZrO2]
クエン酸を添加しない以外は、実施例2と同様の操作を行うことにより得られたCSFを、比較例2とした。触媒の担持量は、60g/Lとした。
触媒粉末A、市販のSiO2ゾル、及びH2Oを、所定の組成となるように秤量し、さらにφ10mmのZrボールを容器に対して10%の量混入し、ボールミルにて12時間湿式粉砕を行うことにより、スラリーCを得た。
スラリーCを200℃で攪拌しながら蒸発乾固させた粉末を、参考例1とした。
スラリーCを、φ0.1mmZrビーズを用いたビーズミル装置Aにより2時間湿式粉砕した後、200℃で攪拌しながら蒸発乾固させた粉末を、参考例2とした。
スラリーCを、φ0.1mmZrビーズを用いたビーズミル装置B(ビーズミル装置Aよりも7〜8倍の粉砕エネルギを持つと考えられている)により45分間湿式粉砕した後、200℃で攪拌しながら蒸発乾固させた粉末を、参考例3とした。
スラリーCを、φ0.1mmZrビーズを用いたビーズミル装置Bにより45分間湿式粉砕した後、さらに湿式の高圧せん断装置にて50MPa/3Passしたものを200℃で攪拌しながら蒸発乾固させた粉末を、参考例4とした。
スラリーAの湿式粉砕時間を12時間とし、200℃で攪拌しながら蒸発乾固させた粉末を、参考例5とした。
スラリーAを200℃で攪拌しながら蒸発乾固させた粉末を、参考例6とした。
触媒粉末Aを、参考例7とした。
触媒粉末Cを、参考例8とした。
市販の特級試薬である硝酸銀、ジニトロジアミンパラジウム、エチレングリコール、ポリビニルピロリドン(PVP)を、所定の組成となるように秤量して混合溶液を作製した。この混合溶液に、CeZrO2(阿南化成製、Ce/Zr=2/8)を所定の組成となるように添加し、150℃×2時間、混合した。次いで、洗浄ろ過を行い、60℃×12時間乾燥後、700℃×2時間の大気焼成を行うことにより得られた触媒粉末を、参考例9とした。
市販の特級試薬である硝酸銀、硝酸パラジウム、エタノール、ポリビニルピロリドン(PVP)を。所定の組成となるように秤量して混合溶液を作製した。この混合溶液に、CeZrO2(阿南化成製、Ce/Zr=2/8)を所定の組成となるように添加し、150℃×2時間の加熱、還流を行った。次いで、真空乾燥を行い、700℃×2時間の大気焼成を行うことにより得られた触媒粉末を、参考例10とした。
実施例1〜5、及び比較例1〜2について、500℃強制再生試験を実施した結果、得られたT90を表1に示す。強制再生試験では、先ず、15ccのテストパネルに各浄化触媒をコートした。浄化触媒がコートされたテストパネルをディーゼルエンジンの排気流通下にセットし、上流側には酸化触媒PtPd/Al2O3を配置させた。次いで、ディーゼルエンジンの運転を実施し、PMの捕集量が4g/LになるようにPMを捕集させた。その後、N2中で昇温させ、500℃に達したところで700ppmのNO、5%のO2、及びN2バランスガスからなるモデルガスを線速度SV=100000h−1で導入した。このような手順により、強制再生試験を実施したときのPM残存率を調べた。
なお、各触媒のD90、接触比率についても併せて記載するが、これらについては後述する。
比較例1は、現在、量産されている貴金属系触媒で構成されたCSFである。この比較例1で用いた浄化触媒は、COやHCの浄化目的で使用されるものであるが、実際にはある程度の高温下であれば多少のPMを燃焼させることができる。貴金属系のPM燃焼メカニズムは、NOから生成されたNO2とPMとの反応であるため、非接触でも燃焼が進むのが特徴である。しかしながら、表1から明らかであるように、比較例1のT90は、約30分であり、燃焼速度はかなり遅い。また、接触比率は、9%と非常に低い。
これに対し、比較例2で用いたAg系触媒は、比較例1と同様にディッピング法により担持されたものである。また、触媒調製方法も、量産と同様の方法を用いたものであるが、比較例2のT90は、約20分であり、比較例1の貴金属系触媒より燃焼速度が速くなっている。PMの捕集状態、触媒の担持方法などは比較例1と同様であることから、Ag系触媒を用いることで、PMと浄化触媒とが接触している部位の燃焼速度が速くなり、全体の燃焼速度が速くなったものと考えられた。これこそがAg系触媒の特徴であり、接触性が低い状態でも貴金属系触媒よりは十分に速い速度でPMを燃焼させることができる。しかしながら、比較例2のAg系触媒では、接触比率が低いために、触媒のポテンシャルを十分に発揮できてはいない。
実施例1と比較例2の浄化触媒について、D50、D90、及び比表面積を測定した結果を表2に示す。測定には、HORIBA製粒度分布測定装置「LA−920」を用いた。
ここで、実施例1と比較例2のCSFについて、SEM観察を実施し、表面状態の比較検討も併せて行った。比較例2のSEM像は、既に図11に示した通りである。この図11から明らかであるように、比較例2のCSF表面に大きな触媒粒子が確認できる。これに対して、図13が実施例1のCSF表面のSEM像であり、図14が実施例1のDPF細孔内のSEM像である。図13のCSF表面のSEM像から、実施例1では、触媒粒子が小さいうえ、DPFの表面が露出している部分があることが判った。また、図14のDPF細孔内のSEM像から、実施例1では、DPF細孔内に触媒粒子が多く担持されていることが判った。これらの結果から、実施例1では、触媒粒子が小さすぎるために、その多くがDPF細孔内に担持されているものと考えられた。
また、実施例1と比較例2のT90については、表1に示した通りであり、両者の燃焼速度はほぼ同等であるものの、接触比率については、実施例1の方が比較例2に比して良好であることが判った。即ち、DPF細孔内など微細な触媒粒子が数多く存在する部分では、微細化効果によって触媒とPMとの接触比率が向上するものと考えられた。ただし、ルーズコンタクト燃焼領域では、良好な接触性が保たれず、燃焼速度が悪化することから、微細な触媒粒子をDPF表面に均一に担持させる必要があると考えられた。
実施例2は、比較例2の触媒材料を変えずに、ディッピング法ではなく発泡法を用いて触媒を担持させたCSFである。図15は、実施例2と比較例2のCSF表面に存在する空隙の大きさを、島津製作所製水銀ポロシメータ「ポアサイザ9320」を用いて測定した結果を示す図である。図15に示すように、実施例2のCSF表面には、比較例2には見られない3μm〜10μmの空隙が存在することが判った。これは、有機酸の発泡効果によるものと考えられた。また、比較例2のCSF表面には、0.6μm〜0.8μm程度の空隙のピークが存在するのに対して、実施例2のCSF表面では、空隙のピークが4μm〜8μmにシフトしていることが判った。
また、実施例2のCSFについて、SEM観察を実施し、表面状態の評価も併せて行った。図16は、実施例2のCSF表面のSEM像である。図16から明らかであるように、発泡法により触媒が分散して、全体的に均一に触媒が担持されていることが確認された。このように、全体的に均一に触媒が担持された実施例2のCSFでは、表1に示すように、接触比率が28%と比較例2に比して高く、T90も16分に短時間化されており、比較例2に比してPM燃焼性能が向上していることが確認された。
上述したように、実施例1と実施例2それぞれの接触比率は、比較例2に比して優れていることが判ったが、実施例3は、これら実施例1と実施例2の組合せ、即ち発泡法と触媒の微細化とを組み合わせたものである。この実施例3のCSFについて、SEM観察を実施し、表面状態の評価を行った。図17は、実施例3のCSF表面のSEM像である。また、図18は、図17の部分拡大図である。図17に示すように、実施例3のCSFでは、DPF細孔を塞ぐことなく、DPFの表面全体が触媒により均一に被覆されていることが判った。また、図18の部分拡大図から、微細な触媒粒子が密集して担持されていることが判った。
このように、発泡法と触媒の微細化との組合せにより、微細な触媒粒子をDPFの表面全体に均一に担持できる実施例3のCSFでは、表1に示すように接触比率が36%であり、実施例1や実施例2に比して接触性が向上していることが判った。また、接触性の向上により、T90が14分に時間化され、PMがより効率良く燃焼できていることが確認された。
実施例4は、実施例3にNO2生成触媒をさらに含有させたものであり、発泡法及び触媒の微細化による接触性の向上に、NO2生成触媒を組み合わせたものである。表1に示したように、実施例4のCSFの接触比率は52%であり、実施例3に比して接触性がさらに向上していることが判った。接触比率が52%であるということは、再生開始後30秒の間に、堆積したPMの52%が燃焼除去されることを意味しており、PMが非常に効率良く燃焼除去されていることが判る。また、T90がさらに12分に短時間化されていることも確認された。
実施例5は、実施例4のAg系触媒の調製方法をアミン還元法に変更したものである。このアミン還元法を用いて調製した実施例5と、含浸法を用いて調製した比較例2について、Ag結晶子径の測定を実施した。結果を表3に示す。なお、Ag結晶子径の測定には、リガク製X線回折装置「XRD−RINT III」を用いた。
また、表1に示したように、実施例5の接触比率は56%で非常に良好な接触性が得られたのは、活性種Agの微細化によりPMの接触性が向上したためであると考えられた。また、接触性が良好であるため、T90はさらに11.2分に短時間化されており、PMが非常に効率良く燃焼できていることが確認された。
参考例1〜6について、D90と酸素脱離開始温度の測定を行った結果を表4に示す。また、これらの測定結果を元に、D90と酸素脱離開始温度との関係を図19に示した。なお、D90の測定には、HORIBA製粒度分布測定装置「LA−920」を用い、酸素脱離開始温度の測定には昇温脱離装置(O2−TPD)を用いた。
表4に示すように、参考例2の酸素脱離開始温度は、参考例1に比して高温化していた。これは、湿式粉砕時のエネルギが強力であるために、活性種Agの剥離や触媒粒子表面への物理的打撃による活性の低下によるものと考えられた。従って、中程度の微細化は好ましくないことが判った。
また、参考例3及び参考例4の酸素脱離開始温度は、参考例1とほぼ同等であった。これは、参考例3及び参考例4は、参考例2をさらに微細化したものに相当するところ、上述の参考例2と同様の現象が生じるものの、さらなる微細化でD90を0.6μm以下にした場合にあっては、触媒表面積の増大によってPM燃焼性能が向上したためであると考えられた。
また、参考例5及び参考例6の酸素脱離開始温度は、参考例1に比して低温化していた。これは、参考例5及び参考例6では、微細化エネルギが弱いため微細化の程度は小さく、参考例3や参考例4に比して触媒粒子の大きさは大きいものの、Ag剥離や表面活性の低下が起こらない結果、触媒表面積の増大によってPM燃焼性能が向上したためであると考えられた。
以上の結果から、D90が2μm以下であれば、接触性を向上させつつ、優れたPM燃焼性能が得られることが確認された。
実施例3〜4と比較例2のCSFについて、DPF表面における浄化触媒の被覆率の測定を実施した。結果を表5に示す。なお、DPF表面における浄化触媒の被覆率は、SEM観察により得られたSEM画像において、コントラストを強調させて白色部分(浄化触媒に相当)と黒色部分(DPFに相当)に分けた後、白色部分と黒色部分の面積を算出し、算出した面積値から求めた。
浄化触媒の調製方法として、含浸法を用いた参考例7、アミン還元法を用いた参考例8、アルコール還元法を用いた参考例9及び参考例10について、Ag結晶子径とPM燃焼ピーク温度の測定を実施した。結果を表6に示す。なお、Ag結晶子径の測定には、リガク製X線回折装置「XRD−RINT III」を用いた。また、PM燃焼ピーク温度の測定にはTG−DTA測定装置を用いた。
この結果から、Ag結晶子径は42nmより小さいことが好ましいことが確認された。また、浄化触媒の調製方法としては、含浸法よりも還元法が好ましいことが確認された。さらには、還元法で用いる還元剤としては、トリエチルアミンやエチレングリコール、エタノールを好ましく用いることができることが確認された。
2…排気流入路
3…排気流出路
4…目封止材
5…隔壁
6…細孔
7…浄化触媒層
Claims (10)
- 内燃機関の排気通路に設けられ、当該内燃機関の排気中の粒子状物質を捕捉するとともに、捕捉した粒子状物質を浄化するための浄化触媒により構成された浄化触媒層を表面に有するフィルタを備えた内燃機関の排気浄化装置において、
前記浄化触媒層中の触媒粒子の粒度分布における小粒径側からの累積分布が90%となるときの粒子径D90が2μm以下であり、
前記浄化触媒層は、孔径が3μm〜10μmの空隙を有し且つ水銀ポロシメータにより測定された孔径分布において4μm〜8μmのピークを有することを特徴とする内燃機関の排気浄化装置。 - 前記フィルタの表面における前記浄化触媒の被覆率が、30%以上であることを特徴とする請求項1記載の内燃機関の排気浄化装置。
- 前記浄化触媒は、Agを含むことを特徴とする請求項1又は2記載の内燃機関の排気浄化装置。
- 前記Agは、結晶子径が42nm未満であることを特徴とする請求項3記載の内燃機関の排気浄化装置。
- 前記Agは、酸素放出能を有する複合酸化物に担持されており、
前記複合酸化物は、アルカリ土類金属元素、遷移金属元素、第12族元素、及び第13族元素からなる群より選択される少なくとも2種以上を構成元素として含むことにより、構成元素の価数を変化させて酸素の吸収及び放出を行うことを特徴とする請求項3又は4記載の内燃機関の排気浄化装置。 - 前記浄化触媒は、前記Agとともに前記複合酸化物に担持された、Ru、Pd、及びPtからなる群より選択される少なくとも1種の貴金属をさらに含むことを特徴とする請求項5記載の内燃機関の排気浄化装置。
- 前記浄化触媒は、還元法により調製されたことを特徴とする請求項1から6いずれか記載の内燃機関の排気浄化装置。
- 前記浄化触媒は、還元剤として、トリエチルアミン、エチレングリコール、又はエタノールを用いて調製されたことを特徴とする請求項7記載の内燃機関の排気浄化装置。
- 前記フィルタは、排気中のNOからNO2を生成するNO2生成触媒をさらに有することを特徴とする請求項1から8いずれか記載の内燃機関の排気浄化装置。
- 前記NO2生成触媒は、Pt、Pd、及びRhからなる群より選択される少なくとも1種の貴金属を含むことを特徴とする請求項9記載の内燃機関の排気浄化装置。
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