JP5527691B2 - Ii−vi族化合物半導体の製造方法、ii−vi族化合物半導体蛍光体の製造方法、および六方晶ii−vi族化合物半導体 - Google Patents
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Description
一方、湿式法は、金属化合物の水溶液と硫化水素や水硫化ソーダ(硫化水素ナトリウム)等とを反応させる方法であり、例えば、金属アルコキシドと硫化水素を反応させる方法(特許文献4参照)、金属塩と硫化ナトリウムを水中下反応させる方法(特許文献5参照)、金属塩とチオアセトアミドなどのチオアミドを反応させる方法(特許文献6)が知られている。
原料である金属粉末はインゴット等からの加工が必要であり、固体硫黄を用いる場合は粉末状のものを必要とする。一般的に顔料、固形潤滑剤用の金属硫化物は粉末状で使用されるが、乾式製造工程において加熱合成された金属硫化物のほとんどは焼結しており、粉砕工程を経て、製品化される。
一方、パルスプラズマを硫黄中で発生させて、金属を硫化させる方法に関して、開示されている(特許文献7参照)。
一方、湿式法に関する特許文献4のような金属アルコキシドを用いる方法では、原料が加水分解されやすく、酸化物を不純物として含有する場合、酸化物は、硫化物中に不純物として取り込まれる可能性が高い。したがって、高純度のものを得るには、厳しい管理が必要であるうえに、反応中にも加水分解物が生成するため、実質上、高純度の硫化物を得ることが難しい。特許文献5および6に関しても同様であり、反応中の原料および生成物の加水分解は避けがたく、高純度の硫化物を得ることは難しい。さらに、乾式法、湿式法
ともに熱的に安定な立方晶構造の金属硫化物しか得ることができず、六方晶構造の金属硫化物を得ることは極めて難しい。
また、特許文献7には、パルスプラズマ法による製法の記載はあるものの、II−VI族化合物半導体に関する記載は無く、さらに熱的に不安定な六方晶に関する記載も一切無い。
一方、パルスプラズマ法を用いて、生成する硫化物に、異種金属をドープする方法に関しては、過去に知られたものは無い。
したがって、本発明の目的は、工業的規模で安定的に、高純度のII−VI族化合物半導体を製造する方法を提供することにあり、加えて、金属ドープなどが容易な六方晶構造のII−VI族化合物半導体を提供すること、更にはII−VI族化合物半導体を生成する際に、同時に異種金属をドーピングして得られるII−VI族化合物半導体蛍光体を提供することにある。
すなわち、本発明によれば、以下のものが提供される。
[1] II−VI族化合物半導体の製造方法であって、硫化剤または硫化剤含有液体中で金属電極間にパルスプラズマ放電させて金属硫化物を生成させることを特徴とするII−VI族化合物半導体の製造方法。
[2] 該金属電極が、II族金属からなる電極である[1]記載のII−VI族化合物半導体の製造方法。
[3] 該硫化剤が硫黄、硫化水素、または有機硫黄化合物である、[1]または[2]記載のII−VI族化合物半導体の製造方法。
[4] 該II−VI族化合物半導体が硫化亜鉛である[1]、[2]または[3]記載のII−VI族化合物半導体の製造方法。
[5] 該硫化亜鉛が双晶を複数有する六方晶硫化亜鉛である[4]記載のII−VI族化合物半導体の製造方法。
[6] 双晶を複数有する六方晶II−VI族化合物半導体。
[7] 該II−VI族化合物半導体における双晶の間隔が10nm以下である[6]記載の六方晶II−VI族化合物半導体。
[8] 該II−VI族化合物半導体が硫化亜鉛である[6]または[7]記載の六方晶II−VI族化合物半導体。
[9] 硫化剤または硫化剤含有液体中で金属電極間にパルスプラズマ放電させてII−VI族化合物半導体を生成させる際に、付活剤をII−VI族化合物半導体にドープすることを特徴とするII−VI族化合物半導体蛍光体の製造方法。
[10] 付活剤が、銅、銀、金、マンガンおよび希土類元素から選ばれる少なくとも一種である[9]記載の製造方法
図2は、実施例1で得られた硫化亜鉛の透過電子顕微鏡写真(倍率10万)である。
図3は、実施例1で得られた硫化亜鉛の透過電子顕微鏡写真(倍率70万)である。
図4は、実施例1で得られた硫化亜鉛の透過電子顕微鏡EDXによる元素分析の結果である。
図5は、実施例2で得られた硫化亜鉛マグネシウムのX線結晶解析結果を示すチャートである。
図6は、実施例2で得られた硫化亜鉛マグネシウムの透過電子顕微鏡写真(倍率7万)である。
これらの金属は、単独で用いても、複数を用いてもかまわない。電極の形態としては、棒状、針金状、板状などいずれの形態であってもかまわない。両極の大きさに関しても、どちらかの大きさが異なるなどの形状を有していてもかまわない。
本発明では、硫化剤として、例えば、硫黄を使用する。使用できる硫黄としては、粉末、ゴム状硫黄などどのような形態を用いてもよく、液状、固体状いずれであってもかまわない。実施においてのプラズマ放電の効率を考慮して、硫黄が一部溶解した状態である溶融状硫黄中で実施することが好ましく、硫黄が実質的に全て溶解した状態である溶融硫黄中で実施することが最も好ましい。
本発明では、更に硫化水素、有機硫黄化合物を硫化剤として使用することもできる。硫化水素は、ガスを溶媒に溶解させても良いし、有機硫黄化合物を分解して生成させても良い。有機硫黄化合物としては特に限定されるものではないが、メタンチオール、エタンチオール、チオフェノールなどのチオール類、イソプロピルジスルフィド、ジブチルジスルフィドなどのジスルフィド類、尿素、チオホルムアミド、チオアセトアミドなどのチオアミド類を使用することができる。
有機硫黄化合物は、そのまま用いても良いし、溶媒に溶解して使用することもできる。使用できる溶媒としては、水、メタノールを使用することもできるが、酸素を含有する化合物は、一般に酸化反応を併発するため、硫化物生成の選択性を低下させる。そのため、反応性の低い、ヘキサン、オクタン、デカンなどの飽和炭化水素、ベンゼン、トルエン、ナフタレンなどの芳香族炭化水素化合物を使用することができる。硫黄化合物の溶解性を考慮すると、芳香族炭化水素化合物を使用することが好ましい。
有機硫黄化合物の使用量としては、パルスプラズマを発生させる時間に依存することは言うまでも無く、系内に硫化剤として存在していれば良く、反応性、生成効率を考慮すると、常に飽和に近い濃度を保てればよく、有機硫黄化合物が、懸濁した状況で実施しても構わない。
本発明では、II−VI族化合物半導体を生成するときに、同時に付活剤および必要に応じて共付活剤をドープすることができる。付活剤としてドープされる元素としては、銅、銀、金、マンガンおよび希土類元素から選ばれる少なくとも一種が挙げられる。
銅、銀、金、マンガンおよび希土類元素から選ばれる少なくとも一種をドープする方法としては、特に限定されるものではなく、使用する電極に合金化しておいても良いし、反応させる硫黄または有機硫黄化合物と共存させておいても良い。
合金化する場合の組成量としては、使用する付活剤によって差があることは言うまでも無いが、通常、元素量として、1ppmから50重量%の範囲で存在させることが出来る。銅のように、生成後化学的処理により、適正な濃度を調整できる場合には、100ppm〜50重量%の範囲で添加して合金化することができるが、その他の元素のように、化学的な処理による調整が困難な場合には、1〜10重量%の範囲で添加して合金化することが好ましい。
反応させる硫黄または有機硫黄化合物と共存させる場合に使用する元素導入方法としては、特に限定されるものではなく、硫化銅、硫化銀、硫化金、硫化マンガンまたは希土類硫化物などの硫化物を混合することも出来るし、相当する硫酸塩、塩酸塩、硝酸塩などの鉱酸塩、蟻酸塩、酢酸塩などの有機酸塩、およびアセチルアセトネートなどの有機錯体を使用することができる。得られる蛍光体の純度、操作性などを考慮すると、硫黄、有機硫黄化合物溶液に溶解または微細に分散していること、硫黄、有機硫黄化合物に接触しただけでは反応しないことが好ましく、有機酸塩、有機錯体、硫化物の使用が好ましい。
添加される化合物の量としては、通常使用される硫化剤に対して、1ppm〜10重量%の範囲、より好ましくは、10ppm〜5重量%の範囲で添加される。
本発明では、更に、必要に応じて共付活剤を添加することも出来る。使用できる共付活剤としては、塩素、臭素などのハロゲン、アルミニウム、ガリウム、インジウム、イリジウムなどの元素を挙げることが出来る。これらの元素の導入方法としても特に限定されるものではないが、反応させる硫化剤と混合して反応させることができる。混合に使用される化合物としては、ハロゲン化物、硫化アルミニウム、硫化ガリウム、硫化インジウム、硫化イリジウムなどの硫化物、相当する硫酸塩、塩酸塩、硝酸塩などの鉱酸塩、蟻酸塩、酢酸塩などの有機酸塩、およびアセチルアセトネートなどの有機錯体を使用することができる。得られる蛍光体の純度、操作性などを考慮すると、硫黄、有機硫黄化合物溶液に溶解または微細に分散していること、硫黄、有機硫黄化合物に接触しただけでは反応しないことが好ましく、ハロゲン化物、有機酸塩、有機錯体、硫化物の使用が好ましい。
添加される化合物の量としては、通常使用される硫化剤に対して、1ppm〜10重量%の範囲、より好ましくは、10ppm〜5重量%の範囲で添加される。
パルスプラズマ放電させる温度としては、特に制限されるものではなく、室温〜300℃の範囲で実施されることが好ましい。高すぎる温度では、硫黄の蒸気圧が上がり、特殊な反応容器が必要になるため好ましくなく、低すぎる温度では、プラズマ発生時の硫化物の生成効率が低下するため好ましくない。更に、硫黄の性状が反応性に大きく影響するため、溶融状態を維持していることが好ましく、110℃以上200℃以下が好ましく、120℃以上160℃以下がより好ましい。
本発明では、硫化剤または硫化剤含有液体中、特に硫黄中で金属電極間にパルスプラズマ放電させることにより、II−VI族化合物半導体が生成される。プラズマを発生させる電圧としては、特に制限されるものではなく、50V〜500Vの範囲、安全性、特殊な装置の必要性を考慮して、60V〜400Vの範囲が好ましく、80V〜300Vの範囲がより好ましい。
プラズマを発生させる電流としては、特に制限されるものではなく、電流量が多いほど、II−VI族化合物半導体の生成量が増えることが言うまでも無いが、0.1〜200Aの範囲、エネルギー効率を考慮して、1〜100Aの範囲で実施することが好ましい。
パルスプラズマを与える間隔に関しては、特に制限されるものではないが、5〜100ミリ秒が好ましく、6〜50ミリ秒のサイクルがより好ましい。
パルスプラズマ1回あたりの持続時間もまた、与える電圧および電流によって異なることはいうまでも無いが、通常1〜50マイクロ秒、放電の効率を考慮して、好ましくは2〜30マイクロ秒の範囲で実施される。
放電電圧の形状としては、特に制限されるものではなく、正弦波、矩形波、三角波など何れの方法で放電することも可能である。放電するエネルギーに対する効率を考慮すると、矩形波で放電することが好ましい。
放電電流の形状としても、特に制限されるものではなく、正弦波、矩形波、三角波など何れの方法で放電することも可能である。放電するエネルギーに対する効率を考慮すると、矩形波で放電することが好ましい。
本発明では、電極に振動を与えることも可能である。振動を与えることで、電極間に析出するII−VI族化合物半導体の滞留もなく、放電が効率的に行われるため好ましい。振動を与える方法としては、特に限定されるものではなく、定期的に振動を与えても、間欠的に振動を与える方法でもかまわない。
本発明を実施する雰囲気としては特に限定するものではなく、減圧下、加圧下、常圧下いずれの状態でも実施することができるが、通常、安全、操作性を考慮して、窒素、アルゴンなどの不活性ガス下で実施することができる。
生成するII−VI族化合物半導体は、硫化剤または硫化剤含有液体中、特に溶融硫黄中に堆積するので、溶融硫黄を一般的な方法、例えば、二硫化炭素のような良溶媒に硫黄を溶解し、残渣としてII−VI族化合物半導体を回収することができる。また、真空下、200℃に加熱して硫黄を昇華除去してII−VI族化合物半導体を得ることもできる。
本発明で得られるII−VI族化合物半導体は主として蛍光体の母体として用いられることから、硫化亜鉛であることが好ましく、II−VI族化合物半導体は、金属ドープが容易な点で、双晶を複数有する六方晶II−VI族化合物半導体であるのがより好ましく、双晶を複数有する六方晶硫化亜鉛であることがさらに好ましい。また、II−VI族化合物半導体における双晶の間隔は10nm以下であるのが最も好ましい。
以下、実施例を挙げて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
ICP発光分析の結果、亜鉛、硫黄以外検出されなかった。ICP発光分析、有機炭素分析結果を表1に示す。
得られた硫化亜鉛のX線結晶解析(XRD Cu Kα radiation,Rigaku RINT−2500VHF)結果を図1に示す。図1中の亜鉛は、電極からの不純物である。図1から、六方晶の硫化亜鉛が得られたことが確認できた。
得られた硫化亜鉛の透過電子顕微鏡(TEM Philips Tecnai F20 S−Twin)写真を図2および図3に示す(倍率各々10万倍および70万倍)。図3から、双晶を複数有する硫化亜鉛が得られたことが確認できた。
得られた硫化亜鉛の透過電子顕微鏡(TEM Philips Tecnai F20 S−Twin)付属のEDXによる元素分析結果を図4に示す。
ICP発光分析の結果、亜鉛、マグネシウム、硫黄以外検出されなかった。ICP発光分析、有機炭素分析結果を表1に示す。
得られた硫化亜鉛マグネシウムのX線結晶解析(XRD Cu Kα radiation,Rigaku RINT−2500VHF)結果を図5に示す。図5中の亜鉛は、電極からの不純物である。
得られた硫化亜鉛マグネシウムの透過電子顕微鏡(TEMPhilips Tecnai F20 S−Twin)結果を図6に示す。
ICP発光分析、有機炭素分析の結果を表1に示す。
ICP発光分析、有機炭素分析の結果を表1に示す。
ICP発光分析、有機炭素分析の結果を表1に示す。
ICP発光分析、有機炭素分析の結果を表1に示す。
ICP発光分析、有機炭素分析の結果を表1に示す。
ICP発光分析、有機炭素分析の結果を表1に示す。
比較例1(本発明と異なる従来技術)
酢酸亜鉛15.1g(0.1モル)、チオアセトアミド15g(0.2モル)をイオン交換水200mlに溶解し、酢酸1.2gを添加して、90℃に昇温して、1時間攪拌した。室温に冷却し、上澄み液をデカンテーションして除き、更にイオン交換水500mlで5回、洗浄した。得られた硫化亜鉛を、120℃で熱風乾燥して、硫化亜鉛9.1gを得た。
得られた硫化亜鉛を、ICP発光分析、有機炭素分析した結果を表1に示す。
Claims (9)
- II−VI族化合物半導体の製造方法であって、硫化剤または硫化剤含有液体中で少なくとも一方が亜鉛電極である金属電極間にパルスプラズマ放電させて硫化亜鉛又は硫化亜鉛マグネシウムであるII−VI族化合物半導体を生成させることを特徴とするII−VI族化合物半導体の製造方法。
- 該金属電極が、II族金属からなる電極である請求項1記載のII−VI族化合物半導体の製造方法。
- 該硫化剤が硫黄、硫化水素、または有機硫黄化合物である、請求項1または2記載のII−VI族化合物半導体の製造方法。
- 該II−VI族化合物半導体が硫化亜鉛である請求項1、2または3記載のII−VI族化合物半導体の製造方法。
- 該硫化亜鉛が双晶を複数有する六方晶硫化亜鉛である請求項4記載のII−VI族化合物半導体の製造方法。
- 双晶の間隔が10nm以下である請求項5記載のII−VI族化合物半導体の製造方法。
- 前記硫化剤は溶融硫黄である請求項1〜6のいずれかに記載のII−VI族化合物半導体の製造方法。
- 硫化剤または硫化剤含有液体中で少なくとも一方が亜鉛電極である金属電極間にパルスプラズマ放電させて硫化亜鉛又は硫化亜鉛マグネシウムであるII−VI族化合物半導体を生成させる際に、付活剤をII−VI族化合物半導体にドープすることを特徴とするII−VI族化合物半導体蛍光体の製造方法。
- 付活剤が、銅、銀、金、マンガンおよび希土類元素から選ばれる少なくとも一種である請求項8記載の製造方法。
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