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JP5531350B2 - 張力測定装置 - Google Patents
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JP5531350B2 - 張力測定装置 - Google Patents

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Description

本発明は、帯状体の幅方向の張力分布を測定する張力測定装置に関する。
薄鋼板等の帯状体を通板して、圧延、矯正、焼鈍、表面処理、脱脂、スリッティング等の各種処理を連続的に行うプロセスラインでは、帯状体の走行時の蛇行を防止するためや、各種処理を良好に行うために、帯状体が走行する長手方向に張力を付与することが多い。また、これらのプロセスラインに通板される帯状体には、耳波、中伸び、片伸びや、これらが複合した複合伸び等の幅方向での不均一歪みが存在することがある。これらの幅方向の不均一歪みは、板製品の平坦度不良となるのみでなく、スムーズな通板を阻害することもあるので、ロールベンディング装置やクーラントのゾーンコントロール装置等によって、不均一歪みを除去または低減するように平坦度制御が行われている。
上述した帯状体の長手方向に張力が付与されるプロセスラインでは、幅方向の不均一歪みが潜在化して、見かけ上平坦になることがある。このため、平坦度制御を行うために、帯状体がロール等によって支持される長手方向の2箇所の支持部位間で、帯状体に振動荷重や静荷重を負荷して、そのときの帯状体の幅方向の変位分布を計測することにより、幅方向の張力分布を測定し、不均一歪みを間接的に検出する技術が開発されている(例えば、特許文献1、2参照)。
特許文献1、2に記載されたものは、いずれも幅方向の不均一歪みが全て潜在化する場合を想定しており、特許文献1では、振動荷重による変位分布として、一次共振モードと二次共振モードを板幅方向の複数点で計測し、計測した変位分布の形状を、予め区分した張力分布パターンのいずれかに決定し、決定した張力分布パターンに従って、別途に計測した全張力を板幅方向の各位置に割り振ることで、張力分布を測定するようにしている。また、特許文献2では、幅方向の複数点で振動モードを計測し、各振動モードの周波数と振幅の正規化値から、幅方向の張力分布を測定するようにしている。
特許文献1に記載されたものは、張力分布を予め設定したいずれかの張力分布パターンに当てはめるので、実際に生じる複雑な張力分布を精度よく測定できない問題があった。また、特許文献2に記載されたものは、加振方法や加振位置によって振動モード形状がばらつくので、測定精度が悪化する問題があった。
本発明者らは、これらの問題に対して、どのような張力分布であっても精度よく測定できるように、荷重が負荷された帯状体の幅方向の複数の測定点における変位を計測する変位計測手段と、帯状体について、複数の測定点に対応する節点と、該節点に接合された節点に作用する張力を模擬したばねとを有する2次元の多質点系モデルにモデル化するモデル化手段と、計測された測定点の変位量分布と、モデルの節点の変位量分布とが一致するようなばねのばね定数を算出するばね定数算出手段と、算出されたばね定数に基づいて張力を算出する張力算出手段とを有する張力測定装置を先に提案している(特願2010−274345)。この張力測定装置も、帯状体の幅方向の不均一歪みが全て潜在化する場合を想定している。
特開平6−43051号公報 特開平7−218358号公報
上述した薄鋼板等のプロセスラインには、帯状体に付与できる張力が低い値に制約されるものや、例えば、矯正ラインの上流側のように、帯状体に大きな幅方向の不均一歪みが存在するものがあり、不均一歪みが全て潜在化せずに一部が顕在することがある。このように幅方向の不均一歪みが一部顕在する場合は、特許文献1、2に記載された張力分布測定方法や特願2010−274345で提案した張力測定装置は、いずれも幅方向の不均一歪みが全て潜在化することを前提としているので、張力分布を精度よく測定できない問題がある。
そこで、本発明の課題は、帯状体に幅方向の不均一歪みが一部顕在しても、張力分布を精度よく測定できるようにすることである。
上記の課題を解決するために、本発明は、長手方向に張力を付与された帯状体の幅方向の張力分布を、長手方向の2箇所の部位で支持された支持部位間で測定する張力測定装置において、前記2箇所の支持部位間で前記帯状体に振動荷重を負荷する振動荷重負荷手段と、この振動荷重負荷手段によって生じる振動変位を帯状体の幅方向の複数の測定点で計測する変位計測手段とを備え、前記帯状体について、前記幅方向の複数の各測定点に対応する各節点に作用する張力を模擬する直線ばねと、該各節点における幅方向の曲げ剛性を模擬する回転ばねとを含む2次元の多質点系モデルにモデル化するモデル化手段と、前記多質点系モデルの固有値解析から得られる前記各節点での固有振動数および振動モードが、前記計測された各測定点での振動変位から得られる固有振動数および振動モードと一致するような前記直線ばねおよび回転ばねの各ばね定数を算出するばね定数算出手段と、算出された前記直線ばねおよび回転ばねの各ばね定数を、それぞれ前記各測定点における張力値および曲げ剛性値に換算するばね定数換算手段とを有し、換算された前記各測定点における張力値から前記帯状体の幅方向の張力分布を求める構成を採用した。
すなわち、2箇所の支持部位間で帯状体に振動荷重を負荷する振動荷重負荷手段と、振動荷重負荷手段によって生じる振動変位を帯状体の幅方向の複数の測定点で計測する変位計測手段とを備え、帯状体について、幅方向の複数の各測定点に対応する各節点に作用する張力を模擬する直線ばねと、該各節点における幅方向の曲げ剛性を模擬する回転ばねとを含む2次元の多質点系モデルにモデル化するモデル化手段と、多質点系モデルの固有値解析から得られる各節点での固有振動数および振動モードが、計測された各測定点での振動変位から得られる固有振動数および振動モードと一致するような直線ばねおよび回転ばねの各ばね定数を算出するばね定数算出手段と、算出された直線ばねおよび回転ばねの各ばね定数を、それぞれ各測定点における張力値および曲げ剛性値に換算するばね定数換算手段とを有し、換算された各測定点における張力値から帯状体の幅方向の張力分布を求めることにより、不均一歪みの一部顕在によって幅方向の曲げ剛性が変化する帯状体であっても、張力を模擬する直線ばねのばね定数と、幅方向の曲げ剛性を模擬する回転ばねのばね定数とを未知数として算出し、張力分布を精度よく測定できるようにした。また、この張力測定装置は、幅方向の曲げ剛性分布も併せて求めることができるので、不均一歪みの顕在形態の推定にも寄与することができる。
前記ばね定数算出手段は、前記固有値解析から得られる前記各節点での固有振動数および振動モードと、前記各測定点での振動変位から得られる固有振動数および振動モードとの各差の二乗和が最小となるような前記直線ばねおよび回転ばねの各ばね定数を、繰り返し計算を用いた最小二乗法によって算出するものとすることができる。
前記ばね定数算出手段が、前記帯状体の振動モードに対する前記直線ばねおよび回転ばねの各ばね定数の係数行列の擬似逆行列を計算し、前記固有値解析から得られる前記各節点での固有振動数および振動モードと、前記各測定点での振動変位から得られる固有振動数および振動モードとが一致するような前記直線ばねおよび回転ばねの各ばね定数を、前記擬似逆行列を用いた最小二乗法によって算出するものとすることもできる。
前記計算された擬似逆行列から特異値分解により誤差成分を除去し、この誤差成分を除去した擬似逆行列を前記最小二乗法による各ばね定数の算出に用いることにより、直線ばねおよび回転ばねの各ばね定数を求める演算を簡単にすることができるとともに、より精度よく張力分布を測定することができる。
本発明に係る張力測定装置は、2箇所の支持部位間で帯状体に振動荷重を負荷する振動荷重負荷手段と、振動荷重負荷手段によって生じる振動変位を帯状体の幅方向の複数の測定点で計測する変位計測手段とを備え、帯状体について、幅方向の複数の各測定点に対応する各節点に作用する張力を模擬する直線ばねと、該各節点における幅方向の曲げ剛性を模擬する回転ばねとを含む2次元の多質点系モデルにモデル化するモデル化手段と、多質点系モデルの固有値解析から得られる各節点での固有振動数および振動モードが、計測された各測定点での振動変位から得られる固有振動数および振動モードと一致するような直線ばねおよび回転ばねの各ばね定数を算出するばね定数算出手段と、算出された直線ばねおよび回転ばねの各ばね定数を、それぞれ各測定点における張力値および曲げ剛性値に換算するばね定数換算手段とを有し、換算された各測定点における張力値から帯状体の幅方向の張力分布を求めるようにしたので、不均一歪みの一部顕在によって幅方向の曲げ剛性が変化する帯状体であっても、張力分布を精度よく測定することができる。
帯状体の張力分布測定装置の実施形態を示す構成図 図1のモデル化部で帯状体をモデル化する2次元多質点系モデルの概念図 図1の張力分布測定装置で張力分布を測定する第1の実施形態を示すフローチャート 図1の張力分布測定装置で張力分布を測定する第2の実施形態を示すフローチャート 図4での特異値分解結果を示すグラフ 図4での特異値分解の張力分布測定精度に対する効果を示すグラフ (a)、(b)、(c)は、それぞれ実施例での薄鋼板の張力分布測定結果をFEM解析結果と対比して示すグラフ ((a)、(b)、(c)は、それぞれ実施例でのアルミニウム薄板の張力分布測定結果をFEM解析結果と対比して示すグラフ (a)、(b)、(c)は、それぞれ実施例での薄鋼板の断面二次モーメント分布の算出結果を示すグラフ (a)、(b)、(c)は、それぞれ実施例でのアルミニウム薄板の断面二次モーメント分布の算出結果を示すグラフ
以下、図面に基づき、本発明の実施形態を説明する。この張力測定装置は、図1に示すように、走行する長手方向に張力を付与された帯状体1の張力分布を、長手方向の2箇所の部位で支持ロール2a、2bによって支持された支持部位間で測定するものであり、支持部位間の帯状体1に振動荷重を負荷する振動荷重負荷装置3と、振動荷重負荷装置3によって生じる振動変位を、帯状体1の幅方向の複数の測定点1aで計測する非接触式の変位計4と、各変位計4の出力に基づいて、帯状体1の張力分布を演算する演算装置5とからなる。帯状体1の各測定点1aは、支持部位間の長手方向の中間位置に等間隔で設定されている。
前記振動荷重負荷装置3は、帯状体1に空気を間歇的に噴射して振動荷重を負荷するものであるが、振動荷重負荷装置3は、水や油等の液体を間歇的に噴射するものや、磁力、静電力、電磁誘導による渦電流、音波等によって、振動荷重を負荷するものとすることもできる。また、帯状体1の1点を打撃する装置や、支持ロール2a、2bのいずれかを加振する装置とすることもできる。
前記変位計4は光反射式のレーザ変位計とされている。帯状体1が導電性を有するものである場合は、帯状体1に生じさせた渦電流の大きさを検出する渦電流式変位計や、帯状体1とセンサヘッド間の静電容量を検出する静電容量式変位計等とすることもできる。また、図1では、便宜上、変位計4を幅方向に等間隔で5台配置するように図示しているが、変位計4の配置台数(測定点1aの数)は任意に設定することができ、幅方向での配置間隔も、例えば、幅端部を密に、幅中央部を粗くするように不等間隔で配置してもよい。さらに、一部の変位計4を幅方向に移動可能としてもよい。
前記演算装置5は、各変位計4で計測された各測定点1aの振動変位から固有振動数と振動モードを算出する振動特性算出部5aと、帯状体1を後述する2次元多質点系モデルにモデル化するモデル化部5bと、2次元多質点系モデルの固有値を解析する固有値解析部5cと、振動特性算出部5aで算出された固有振動数および振動モードから2次元多質点系モデルの後述する直線ばねおよび回転ばねの各ばね定数を算出するばね定数算出部5dと、算出された直線ばねおよび回転ばねの各ばね定数を各測定点1aにおける張力値および曲げ剛性値に変換するばね定数変換部5eと、変換された各測定点1aの張力値から帯状体1の幅方向の張力分布を算出する張力分布算出部5fとで構成されている。
図2は、前記モデル化部5bで帯状体1をモデル化する2次元多質点系モデルを示す。この2次元多質点系モデルは、支持部位間の帯状体1について、振動変位の各測定点1aに対応する各節点11を、離間する固定面12に垂直に直線ばね13で連結し、隣接する節点11をリンク14で結合して、隣接するリンク14同士を回転ばね15で連結したものであり、各リンク14はその幅方向部位での質量mと慣性モーメントJを有する。
このように、前記2次元多質点系モデルは、帯状体1の張力の大小と固有振動数の大小との間に相関があることに着目し、振動荷重負荷装置3により加振された帯状体1の各計測点1aにおける振動変位と、各直線ばね13の各節点11における振動変位とが等しいものとして、帯状体1の幅方向の張力分布を直線ばね13のばね定数の変化として把握するとともに、各計測点1aにおける幅方向の曲げ剛性を、各節点11における回転ばね15のばね定数の変化として把握するようにモデル化したものである。
図3は、上述した張力分布測定装置を用いて張力分布を測定する第1の実施形態の手順を示す。まず、帯状体1に振動荷重負荷装置3で振動荷重を負荷し(ステップ1)、変位計4によって帯状体1の振動変位を計測して(ステップ2)、計測された振動変位から、振動特性算出部5aで帯状体1の固有振動数と振動モードを算出し(ステップ3)、モデル化部5bで帯状体1をモデル化する(ステップ4)。こののち、モデルの直線ばね13と回転ばね15の各ばね定数の初期値を設定し(ステップ5)、固有値解析部5cでモデルの固有振動数と振動モードを算出して(ステップ6)、後述する(17)式の評価関数を用いて、計測から求められた帯状体1の固有振動数および振動モードとの各差の二乗和を計算する(ステップ7)。つぎに、この二乗和の評価値が最小となるように収束したか否かを判定し(ステップ8)、収束していない場合は、各ばね定数の値を修正してステップ6に戻り、モデルの固有振動数と振動モードを繰り返し計算する。この繰り返し計算のループはばね定数算出部5dで行われる。収束した場合は、ばね定数変換部5eで、同定された直線ばね13と回転ばね15の各ばね定数をそれぞれ張力値と曲げ剛性値に換算し(ステップ9)、張力分布算出部5fで張力分布を算出して(ステップ10)、測定を終了する。
以下に、上述した第1の実施形態で帯状体1の張力分布を測定する方法を、具体的に説明する。ここでは、測定点1aおよびモデルの節点11の数を一般化してnとする。
前記変位計4で計測された帯状体1の振動変位vは、(1)式のようにモードベクトルvで表される。
={vi,1i,2 ・・・ vi,n (i=1〜m) (1)
ここに、iは幅方向の振動モードのモード次数である。
一方、前記2次元多質点系モデルの運動方程式は、帯状体1の質量マトリクスをM、各節点11の変位ベクトルをz、直線ばね13のばね定数kに相当する張力剛性マトリクスをK、回転ばね15のばね定数τに相当する曲げ剛性マトリクスをKτとすると、(2)式で表される。
z={z12 ・・・ zn (3)
質量マトリクスMは、帯状体1の寸法および物性から算出される既知行列であり、(4)式で表される。
質量マトリクスMの各要素に含まれる質量mと慣性モーメントJは、長手方向の振動モードを正弦波で近似して縮小した場合の等価質量と等価剛性から算出される。支持ロール2a、2b間の距離をL、帯状体1の板厚をt、密度をρ、リンク14の長さをlとすると、支持ロール2a、2b間の中心における等価質量mは、長手方向の振動モードを1次とすると、(5)式で求められる。
m=ρtlL/2 (5)
また、慣性モーメントJは、(5)式で求めた等価質量mから(6)式で求められる。
J=m(t+l)/12 (6)
張力剛性マトリクスKと曲げ剛性マトリクスKτは未知行列であり、張力剛性マトリクスKは直線ばね13のばね定数k(j=1〜n)を用いて(7)式で表される。
また、曲げ剛性マトリクスKτは回転ばね15のばね定数τ(j=1〜n−2)を用いて(8)式で表される。
曲げ剛性マトリクスKτの各要素に含まれる幅方向の曲げ剛性に相当するばね定数τが算出されたときの断面二次モーメントIへの換算式は(9)式で表される。
=τl/E (9)
つぎに、(1)式の帯状体1の振動変位vから得られる固有振動数ωおよび幅方向の振動モードから、幅方向の張力分布と曲げ剛性分布を求める方法について述べる。剛性行列K、Kτと質量行列Mは、一般的に固有振動数と振動モードとの間に(10)式の関係がある。
MΦΩ=(K+Kτ)Φ (10)
Ωは幅方向振動モードの固有振動数ω (i=1〜n)を対角要素とする行列で、(11)式で表される。
Λはi次の固有値λ(i=1〜n)を対角要素とする行列である。また、Φは対応するモードベクトルを列ベクトルφ(i=1〜n)とするモード行列であり、(12)式で表される。
Φ=〔φ φ ・・・ φ〕 (12)
φ={φi,1 φi,2 ・・・ φi,n (13)
φは固有値解析により得られるi次の振動モードベクトルで、(1)式で示した計測値のモードベクトルvに相当するが、計測値と解析値を区別するために、便宜上別の記号を用いる。
つぎに、未知の直線ばね13のばね定数k(i=1〜n)と回転ばね15のばね定数τ(i=1〜n)を繰り返し計算によって求める方法を説明する。各ばね定数k、τは未知数であるため、仮の初期値を設定して(10)〜(13)式から固有値λと振動モードベクトルφを計算し、繰り返し計算により計測値と解析値の誤差が最小となる各ばね定数k、τを算出する。具体的には、(14)式に示す評価関数を用いて、評価値Sが最小となる各ばね定数k、τを求める。
この評価関数は、計測されたモードベクトルvと振動モードベクトルφの各成分の差と、計測から得られた固有振動数ωの二乗と固有値λの差を固有振動数ωの二乗で除算した値とを計算し、これらを二乗和するものであり、振動モードベクトルφと固有値λとが直線ばね13と回転ばね15の各ばね定数k、τから計算されることから、パラメータとして各ばね定数k、τを有している。多質点系モデルの節点11での各ばね定数k、τは物理的に正の値をとるので、k>0、τ>0であることを拘束条件として、評価関数の評価値Sが最小となるように最適化問題を解く。最適化の方法としては、最急降下法、準ニュートン法等を用いることができ、これにより、各ばね定数k、τが算出される。
つぎに、算出した直線ばね13のばね定数kを各節点11すなわち各測定点1aでの張力Tに換算する。距離Lの支持ロール2a、2b間の帯状体1を幅方向にリンク14の長さlで分割した1要素を弦と見なして、各測定点1aでの張力Tが(15)式で与えられる。
また、帯状体1の総張力Ttotalは、各測定点1aでの張力Tの合計として(16)式で与えられる。
一方、算出した回転ばね15のばね定数τは、(9)式によって断面二次モーメントIに換算され、幅方向の曲げ剛性分布が算出される。
図4は、上述した張力分布測定装置を用いて張力分布を測定する第2の実施形態の手順を示す。帯状体1をモデル化するステップ4までは、第1の実施形態のものと同じである。第2の実施形態では、こののち、固有値解析部5cで、モデルの直線ばね13と回転ばね15の各ばね定数に対する係数行列の擬似逆行列を計算し(ステップ5)、特異値分解によって擬似逆行列の誤差成分を分離する(ステップ6)。つぎに、ばね定数算出部5dで、誤差成分を除去した擬似逆行列を用いて、最小二乗法によって直線ばね13と回転ばね15の各ばね定数を算出する(ステップ7)。各ばね定数を算出した後は第1の実施形態のものと同じであり、ばね定数変換部5eで、同定された直線ばね13と回転ばね15の各ばね定数をそれぞれ張力値と曲げ剛性値に換算して(ステップ8)、張力分布算出部5fで張力分布を算出し(ステップ9)、測定を終了する。
以下に、上述した第2の実施形態で帯状体1の張力分布を測定する方法を、具体的に説明する。ステップ1〜4およびステップ8〜9は第1の実施形態のものと同じであるので、ここではステップ5〜7についてのみ説明する。また、測定点1aおよびモデルの節点11の数は一般化してnとする。
この実施形態では、(10)式の関係を利用して、計測および固有値解析の各々から得られる固有振動数および振動モードが一致する直線ばね13と回転ばね15の各ばね定数を計算する。使用する固有振動数と振動モードの次数は、各ばね定数の同定計算を行う上ではいくつでもよく、ここでは、(12)式におけるモード行列Φに、(17)式に示すように、1〜m次モードの列ベクトルφ(i=1〜m、m≦n)を使用する場合について述べる。
Φ=〔φ φ ・・・ φ〕 (17)
(12)式に(17)式を代入して書き直すと、モード毎に独立した自由度nのベクトル方程式が(18)式に示すように得られる。
ωi Mφ=Kφ+Kτφ (18)
(18)式の右辺第1項は、(19)式に示すように、既知の係数行列ΦT,iと、未知の直線ばね13のばね定数kのベクトルkとの積にまとめることができる。
(18)式の右辺第2項も同様に、(20)式に示すように、既知の係数行列Φτ,iと、未知の回転ばね15のばね定数τのベクトルτとの積にまとめることができる。
(19)式と(20)式を(18)式に代入してモード毎のベクトル方程式を、未知ベクトルkとτについてまとめると、(21)式に示すように、n×m個の独立した方程式が得られる。
(21)式の左辺の既知ベクトルをkΦ、右辺のベクトルkの係数行列をΦ、ベクトルτの係数行列をΦτとおいて、(22)式で表す。
つぎに、振動モードと固有値の関係、および振動モードの直交性を利用した定式化を行う。(10)式に左側から転置行列Φを乗じると(23)式が得られる。
Φ(K+Kτ)Φ=ΦMΦΩ (23)
(23)式の関係を利用して、計測および固有値解析の各々から得られる固有振動数および振動モードが一致する直線ばね13と回転ばね15の各ばね定数k、τを計算する。(23)式の両辺は対称行列であるから、上三角成分または下三角成分についてのm(m+1)/2個の独立した等式が(24)式のように得られる。
また、マトリクスKは(7)式に示したように対角行列であるから、(24)式の左辺の第1項について展開し、未知のばね定数k(i=1〜n)についてまとめると、(25)式のように既知の係数行列Ψと未知のベクトルkとの積で表される。
同様に、(24)式の左辺の第2項は、(26)式のように既知の係数行列Ψτと未知のベクトルτとの積で表される。
(25)式と(26)式を(24)式に代入し、右辺の既知ベクトルをkΨとすると(27)式が得られる。
最終的に(22)式と(27)式を(28)式のようにまとめることにより、未知数2n−2個に対してm(m+1)/2+nm個の等式が得られる。
(28)式を最小二乗法で解けば直線ばね13と回転ばね15の各ばね定数k、τを求めることができる。ここで、(28)式の左辺における係数行列をA、未知ベクトルをx、右辺の既知ベクトルをbとおいて、(29)式のように表す。
Ax=b (29)
係数行列Aの擬似逆行列Aを用いて(29)式を書き直すと、(30)式と(31)式が得られる。
x=Ab (30)
=(AA)−1 (31)
(31)式で計算されるAを用いて(30)式の未知ベクトルx、すなわち、各ばね定数k、τを算出することができる。
ところで、計算に使用するモード数が少ない場合や、帯状体1の幅方向分割数が大きい場合は、行列Aのランクが不足し、(30)式の解から求められる張力が実際の張力分布と一致しなくなることがある。そこで、特異値分解を利用して望ましい解を求める。係数行列Aは特異ベクトルを列ベクトルとする直行行列P、Qと特異値を対角成分に持つ対角行列Dを用いて(32)式のように分解できる。
A=PDQ (32)
対角行列Dを特異値の大きい部分行列Dと特異値の小さい部分行列Dに分けると、(31)式の擬似逆行列Aは(33)式のように表される。
=Q −1 (33)
この(33)式で計算されるAを(30)式に用いることにより、より良好な結果を得るように、未知ベクトルx、すなわち、各ばね定数k、τを算出することができる。
図5は、片伸びの不均一歪みがある帯状体1に対して、2次モードまで用いた(28)式の係数行列Φを特異値分解した結果の例を示す。この特異値分解結果より、D=diag(σ1,・・・σ18)、D=diag(σ19,σ20,・・・)=0とした(33)式の擬似逆行列Aを用いて算出した張力分布を図6に示す。図6には、特異値分解をせずに(31)式の擬似逆行列Aを用いて算出した張力分布と、3次元FEM解析によって求めた張力分布も併せて示す。特異値分解なしの張力分布が、片伸びの存在する幅端部で大きく変動しているのに対して、特異値分解ありの張力分布は、正解値とするFEM解析結果とよく一致している。このことにより、特異値分解によって誤差成分を除去することにより、一般的な擬似逆行列を用いる最小二乗法よりも精度よく張力分布を測定できることが分かる。
実施例として、上述した第2の実施形態の張力測定装置を用いて、帯状体1としての板厚が1.0mmの薄鋼板と板厚が0.5mmのアルミニウム薄板とについて、不均一歪みが存在しないフラットな歪みパターンと、それぞれ中伸びと耳波の不均一歪みが一部顕在する歪みパターンの張力分布を測定した。いずれの場合も板幅は1000mm、支持ロール2a、2b間の距離Lは4500mmとし、長手方向に付与した総張力は、薄鋼板の場合は29400N、アルミニウム薄板の場合は4900Nとした。また、比較例として、不均一歪みが全て潜在化すると仮定し、幅方向の曲げ剛性を既知とした特願2010−274345で提案した張力測定装置を用いた張力分布の測定も行った。これらの実施例と比較例の張力分布の測定結果を、3次元FEM解析で張力分布を求めた解析結果と対比した。
図7(a)、(b)、(c)は、薄鋼板に対する張力分布の測定結果を示す。いずれの歪みパターンでも、不均一歪みの一部顕在による幅方向の曲げ剛性の変化を考慮した実施例の各張力分布が正解値とするFEM解析結果とよく一致しているのに対して、不均一歪みが全て潜在化すると仮定した比較例の各張力分布は、FEM解析結果と大きくずれるように張力が変動している。この結果より、本発明に係る張力測定装置は、不均一歪みが一部顕在しても帯状体1の張力分布を精度よく測定できることが分かる。
図8(a)、(b)、(c)は、アルミニウム薄板に対する張力分布の測定結果を示す。この場合も、実施例の各張力分布は、比較例の各張力分布よりも正解値のFEM解析結果とよく一致している。ただし、比較例の各張力分布のFEM解析結果とのずれは、薄鋼板の場合よりも小さくなっている。これは、アルミニウムのヤング率が鋼よりも小さいことと、アルミニウム薄板の板厚が薄鋼板よりも薄いことのために、不均一歪みの一部顕在による幅方向曲げ剛性の変化が少ないためと思われる。
図9(a)、(b)、(c)および図10(a)、(b)、(c)は、それぞれ薄鋼板とアルミニウム薄板の場合について、板幅方向の曲げ剛性分布に対応する板幅方向の断面二次モーメント分布を、本発明に係る張力測定装置で算出した結果を示す。いずれの場合も、中延びの歪みパターンでは、不均一歪みが顕在する幅中央部で断面二次モーメント、すなわち曲げ剛性が増大し、耳波の歪みパターンでは、不均一歪みが顕在する幅両端部で曲げ剛性が増大している。このことより、幅方向曲げ剛性を既知の一定値とする従来の張力測定装置では、不均一歪みが顕在する帯状体の張力分布の測定精度に限界があることが分かる。なお、アルミニウム薄板の場合は、各歪みパターンでの断面二次モーメントの増大量が薄鋼板の場合よりも1オーダー小さくなっており、図8において、比較例の張力分布とFEM解析結果とのずれが比較的小さかったことを裏付けている。
1 帯状体
1a 測定点
2a、2b 支持ロール
3 振動荷重負荷装置
4 変位計
5 演算装置
5a 振動特性算出部
5b モデル化部
5c 固有値解析部
5d ばね定数算出部
5e ばね定数換算部
5f 張力分布算出部
11 節点
12 固定面
13 直線ばね
14 リンク
15 回転ばね

Claims (4)

  1. 長手方向に張力を付与された帯状体の幅方向の張力分布を、長手方向の2箇所の部位で支持された支持部位間で測定する張力測定装置において、前記2箇所の支持部位間で前記帯状体に振動荷重を負荷する振動荷重負荷手段と、この振動荷重負荷手段によって生じる振動変位を帯状体の幅方向の複数の測定点で計測する変位計測手段とを備え、前記帯状体について、前記幅方向の複数の各測定点に対応する各節点に作用する張力を模擬する直線ばねと、該各節点における幅方向の曲げ剛性を模擬する回転ばねとを含む2次元の多質点系モデルにモデル化するモデル化手段と、前記多質点系モデルの固有値解析から得られる前記各節点での固有振動数および振動モードが、前記計測された各測定点での振動変位から得られる固有振動数および振動モードと一致するような前記直線ばねおよび回転ばねの各ばね定数を算出するばね定数算出手段と、算出された前記直線ばねおよび回転ばねの各ばね定数を、それぞれ前記各測定点における張力値および曲げ剛性値に換算するばね定数換算手段とを有し、換算された前記各測定点における張力値から前記帯状体の幅方向の張力分布を求めることを特徴とする張力測定装置。
  2. 前記ばね定数算出手段が、前記固有値解析から得られる前記各節点での固有振動数および振動モードと、前記各測定点での振動変位から得られる固有振動数および振動モードとの各差の二乗和が最小となるような前記直線ばねおよび回転ばねの各ばね定数を、繰り返し計算を用いた最小二乗法によって算出するものである請求項1に記載の張力測定装置。
  3. 前記ばね定数算出手段が、前記帯状体の振動モードに対する前記直線ばねおよび回転ばねの各ばね定数の係数行列の擬似逆行列を計算し、前記固有値解析から得られる前記各節点での固有振動数および振動モードと、前記各測定点での振動変位から得られる固有振動数および振動モードとが一致するような前記直線ばねおよび回転ばねの各ばね定数を、前記擬似逆行列を用いた最小二乗法によって算出するものである請求項1に記載の張力測定装置。
  4. 前記計算された擬似逆行列から特異値分解により誤差成分を除去し、この誤差成分を除去した擬似逆行列を、前記最小二乗法による各ばね定数の算出に用いるようにした請求項3に記載の張力測定装置。
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