JP5557026B2 - 変速制御装置 - Google Patents
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Description
また、本願において「回転電機」は、モータ(電動機)、ジェネレータ(発電機)、及び必要に応じてモータ及びジェネレータの双方の機能を果たすモータ・ジェネレータのいずれをも含む概念として用いている。
一方、アップシフト制御中であって、且つアクセル開度が所定値以下のアクセル低開度状態である場合に、解放側要素解放状態であれば、仮に、解放側要素の油圧指令を入力部材の回転速度の変化に応じて制御するようにしても、解放側要素の係合圧が再び上昇するまでに遅れが生じるために、入力部材の回転速度を応答性良く制御できない恐れがある。しかし、上記の特徴構成によれば、解放側要素解放状態であると判定された場合は、係合側要素が完全係合される前に、駆動力源の出力トルクを増加させる駆動力増加制御の指示を行うように制御方法が切り替えられる。従って、アクセル低開度状態であるために入力部材の回転速度が低下しやすい状況でも、解放側要素の油圧指令を入力部材の回転速度の変化に応じて制御しなくとも、入力部材の回転速度を応答性良くかつ精度良く制御できる。よって、係合側要素を係合するときにトルクショックが生じて車輪側に伝達されることを抑制できる。
前記駆動力を次第に減少させる期間と、前記係合側要素の係合圧を次第に増加させる期間を重複させる構成とすると好適である。
まず、本実施形態に係る車両用駆動装置1の駆動伝達系の構成について説明する。図1に示すように、車両用駆動装置1は、車両駆動用の駆動力源としてエンジンE及び回転電機MGを備え、これらのエンジンEと回転電機MGとが直列に駆動連結されるパラレル方式のハイブリッド車両用の駆動装置となっている。本実施形態では、車両用駆動装置1は、トルクコンバータTCと変速機構TMとを備えており、当該トルクコンバータTC及び変速機構TMにより、駆動力源としてのエンジンE及び回転電機MGの回転速度を変速すると共にトルクを変換して出力軸Oに伝達する。
変速段の切り替えに際しては、変速前において係合している摩擦係合要素のうちの一つ(以下、解放側要素と称す)を解放させると共に、変速前において解放されている摩擦係合要素のうちの一つ(以下、係合側要素と称す)を係合させる、いわゆる架け替え変速が行われる。以下では、変速機構TMに形成されている変速段を、変速比が大きい低速段から変速比が小さい高速段へ移行させる(例えば、第二速段から第三速段)アップシフトが行われる場合について説明する。
次に、上述した車両用駆動装置1の油圧制御系について説明する。油圧制御系は、図示しないオイルパンに蓄えられた作動油を吸引し、車両用駆動装置1の各部に作動油を供給するための油圧源として、図1に示すように、機械式ポンプ23及び電動ポンプ24の二種類のポンプを備えている。機械式ポンプ23は、トルクコンバータTCのポンプインペラTCaを介して入力軸Iに駆動連結され、エンジンE及び回転電機MGの一方又は双方の回転駆動力により駆動される。電動ポンプ24は、ポンプ駆動用の電動モータ25の駆動力により動作するオイルポンプである。電動ポンプ24を駆動する電動モータ25は、低電圧バッテリ(不図示)と電気的に接続され、低電圧バッテリからの電力の供給を受けて駆動力を発生する。この電動ポンプ24は、機械式ポンプ23を補助するためのポンプであって、車両の停止中や低速走行中など、機械式ポンプ23から必要な油量が供給されない状態で動作する。
車両用駆動装置1は、変速制御装置31及び動力制御装置32を備えている。変速制御装置31及び動力制御装置32は、互いに情報の受け渡しを行い、協調して制御を行うことができるように構成されている。以下、各制御装置について説明する。
動力制御装置32は、エンジン制御部33、回転電機制御部34、及び伝達クラッチ制御部35、並びにこれらの制御部を統合して制御を行う統合制御部36を備えている。エンジン制御部33、回転電機制御部34、伝達クラッチ制御部35、及び統合制御部36は、互いに情報の受け渡しを行うことができるように構成されている。
統合制御部36は、エンジンE、回転電機MG、並びに伝達クラッチECに対して行われる各種トルク制御を統合する制御を行う機能部である。
統合制御部36は、アクセル開度、及び車速、並びにバッテリの充電量等に応じて、エンジンE及び回転電機MGの駆動力源から入力軸Iに出力されて中間軸Mに伝達される駆動力の目標値である目標出力トルクを算出し、目標出力トルクを各駆動力源に割り振り、エンジン目標出力トルク及び回転電機目標出力トルクを算出するとともに、伝達クラッチECの目標伝達トルク容量を算出し、それらを他の制御部33から35に指令する機能部である。なお、エンジン目標出力トルク及び回転電機目標出力トルクの合計が、目標出力トルクとなる。
エンジン制御部33は、エンジンEの動作制御を行う機能部である。本実施形態では、エンジン制御部33は、統合制御部36から指令されたエンジン目標出力トルクをトルク指令値に設定し、エンジンEがトルク指令値のトルクを出力するようにエンジンEを制御する。また、エンジン制御部33は、エンジンEから実際に出力されている実出力トルクの情報を統合制御部36に伝達するように構成されている。エンジン制御部33は、トルク指令値に基づき実出力トルクの情報を算出して伝達するようにしてもよいし、エンジンEが実際に出力しているトルクを推定し、推定したトルクをエンジンEの実出力トルクの情報として伝達するようにしてもよい。
回転電機制御部34は、回転電機MGの動作制御を行う機能部である。回転電機制御部34は、統合制御部36から指令された回転電機目標出力トルクをトルク指令値に設定し、回転電機MGがトルク指令値のトルクを出力するように回転電機MGを制御する。なお、アクセル開度が小さく減速時などの回生発電中には、回転電機目標出力トルクは負に設定される。これにより、回転電機MGは正方向に回転しつつ負方向の回生トルクを出力して発電する。また、回転電機制御部34は、回転電機MGから実際に出力されている実出力トルクの情報を統合制御部36に伝達するように構成されている。回転電機制御部34は、トルク指令値に基づき実出力トルクの情報を算出して伝達するようにしてもよいし、回転電機MGが実際に出力しているトルクを回転電機MGに流れる電流等から推定し、推定したトルクを回転電機MGの実出力トルクの情報として伝達するようにしてもよい。
伝達クラッチ制御部35は、伝達クラッチECを制御する機能部である。ここで、伝達クラッチ制御部35は、統合制御部36から指令された目標伝達トルク容量に基づき、伝達クラッチECに供給される油圧を制御することにより、伝達クラッチECの係合又は解放を制御する。本実施形態においては、伝達クラッチECは、基本的に滑りのない係合状態である完全係合状態に制御されている。
次に、本実施形態に係る変速制御装置31の構成について説明する。変速制御装置31は、図2に示すように、変速装置2の動作制御を行う中核部材としての機能を果たしている。この変速制御装置31は、CPU等の演算処理装置を中核部材として備えると共に、当該演算処理装置からデータを読み出し及び書き込みが可能に構成されたRAM(ランダム・アクセス・メモリ)や、演算処理装置からデータを読み出し可能に構成されたROM(リード・オンリ・メモリ)等の記憶装置等を有して構成されている(不図示)。そして、ROM等に記憶されたソフトウェア(プログラム)又は別途設けられた演算回路等のハードウェア、或いはそれらの両方により、変速制御装置31の各機能部41〜45が構成される。
入力軸回転速度センサSe1は、入力軸Iの回転速度を検出するためのセンサである。変速制御装置31は、入力軸回転速度センサSe1の入力信号に基づいて入力軸Iの回転速度を検出する。中間軸回転速度センサSe2は、中間軸Mの回転速度を検出するためのセンサである。変速制御装置31は、中間軸回転速度センサSe2の入力信号に基づいて中間軸Mの回転速度を検出する。出力軸回転速度センサSe3は、出力軸Oの回転速度を検出するためのセンサである。変速制御装置31は、出力軸回転速度センサSe3の入力信号に基づいて変速装置2の出力側の回転速度を検出する。また、出力軸Oの回転速度は車速に比例するため、変速制御装置31は、出力軸回転速度センサSe3の入力信号に基づいて車速を算出する。
また、アクセル開度センサSe4は、運転者により操作されるアクセルペダルの操作量を検出することによりアクセル開度を検出するためのセンサである。変速制御装置31は、アクセル開度センサSe4の入力信号に基づいてアクセル開度を検出する。シフト位置センサSe5は、シフトレバーの選択位置(シフト位置)を検出するためのセンサである。変速制御装置31は、シフト位置センサSe5からの入力情報に基づいて、「ドライブレンジ」、「セカンドレンジ」、「ローレンジ」等のいずれの走行レンジが運転者により指定されたかを検出する。
変速制御部40は、変速機構TMの変速段を切り替える変速制御を行う機能部である。変速制御部40は、車速、アクセル開度、及びシフト位置などのセンサ検出情報に基づいて変速機構TMにおける目標変速段を決定し、目標変速段が変更された場合に変速段を切り替えると判定する。そして、変速制御部40は、変速段を切り替えると判定した後、油圧制御装置PCを介して変速機構TMに備えられた各摩擦係合要素B1、C1、・・・の油圧指令を制御して、各摩擦係合要素の係合又は解放を行い、変速機構TMに形成される変速段を目標変速段に切り替える。
変速制御部40は、アップシフト制御中に、解放側要素の油圧指令を制御する解放側油圧制御部41と、駆動力源から出力される駆動力を増加させる駆動力増加制御を指示する駆動力増加制御指示部42と、アップシフト制御中であって、且つアクセル開度が低開度状態判定値以下のアクセル低開度状態である場合に、解放側要素の係合圧が解放側判定値以下である解放側要素解放状態であるか否かを判定する解放判定部43と、解放判定部43により解放側要素解放状態でないと判定された場合に、解放側油圧制御部41に解放側要素の油圧指令を中間軸Mの回転速度の変化に応じて制御する解放側スリップ制御を行わせ、解放判定部43により解放側要素解放状態であると判定された場合に、駆動力増加制御指示部42に駆動力増加制御の指示を行わせる制御切替部44と、を備える。以下で、本実施形態に係る各機能部41から44の処理について、図3、4に示すタイムチャートの例に基づき説明する。
まず、図3に例を示すように、解放判定部43が、アップシフト制御中であって、且つアクセル低開度状態となった場合に、解放側要素解放状態であると判定する場合を説明する。
変速制御部40は、目標変速段が変速比の大きい変速段から変速比の小さい変速段へ変更され、アップシフトを行うと判定した場合に、一連のアップシフト制御のシーケンスを開始する(時刻t11)。図3に示す例は、アップシフトを開始した時点では、アクセル開度は、低開度状態判定値より大きいアクセル高開度状態となっており、駆動力源からの出力トルクは少なくともゼロより大きくなり、変速制御部40は、パワーオンアップシフト制御を開始する。
変速制御部40は、パワーオンアップシフト制御を開始した場合、制御フェーズを通常制御相からプレ制御相に移行させる(時刻t11)。プレ制御相は、変速機構TMの解放側要素及び係合側要素の係合圧を、予め変化させておくフェーズである。本実施形態では、変速制御部40は、プレ制御相に移行させた後(時刻t11)に、変速機構TMの係合側要素に、伝達トルク容量を生じ始めさせるために、係合側要素に供給される油圧を、所定の係合側予備圧にする制御を開始する。本例では、この係合側予備圧は、係合側要素のストロークエンド圧より所定圧だけ小さい圧に設定される。ここで、「ストロークエンド圧」は、摩擦係合要素が伝達トルク容量を発生させる直前の係合圧である。変速制御部40は、図3の例に示すように、係合側予備圧の制御の開始後、一時的に係合側予備圧より高い指令圧を設定し、実圧の立ち上がりを早める制御を行っている。
変速制御部40は、プレ制御相の開始後所定期間が経過した場合に、制御フェーズをプレ制御相からトルク制御相に移行させる(時刻t12)。
パワーオンアップシフト制御のトルク制御相では、トルクの関係は、低速段から高速段の状態に移行されるが、回転速度の関係は、変化せず低速段の状態の回転速度のままに維持され、係合側要素はトルクを摩擦により伝達しながら滑っている状態にされ、解放側要素は解放状態にされる。つまり、トルク制御相では、回転速度の関係は、低速段の関係のままで変化がなく、トルク分担だけが低速段から高速段の関係に移行される。
変速制御部40は、係合側要素の供給油圧(指令圧)が直結限界圧に到達した場合(時刻t13)に、制御フェーズをトルク制御相からイナーシャ制御相に移行させる。
パワーオンアップシフト制御のイナーシャ制御相では、係合側要素の供給油圧を直結限界圧より大きくすることにより、係合側要素の入出力部材間の摩擦により中間軸Mから車輪Wh側に伝達されるトルクである変速機構伝達トルクを、駆動力源から中間軸Mに伝達されている出力トルクである駆動力源出力トルクの大きさより上回らせる(時刻t13以降)。係合側要素により車輪Wh側に駆動力源出力トルク以上のトルクが伝達されるので、入力部材側(中間軸M)に作用する総計トルク(中間軸作用トルク)は負トルクになり、係合側要素の入力部材側の回転速度を出力部材側の回転速度まで減少させ、係合側要素の入出力部材間の回転速度差(滑り)がない状態に移行させる。この入力部材側の回転速度の減少速度は、負トルクとなる総計トルク(中間軸作用トルク)の大きさに比例し、入力部材側のイナーシャ(慣性モーメント)に反比例する。
図3に示す例では、イナーシャ制御相へ移行するとともに、解放側要素の係合圧としての供給油圧(指令圧)が解放判定値以下に減少してから(時刻t13以降)、アクセル開度が、低開度状態判定値以下に低下している(時刻t14)。
アクセル開度が低開度状態判定値以下に低下すると、アクセル開度に基づき算出されるドライバ要求出力トルクは負トルクまで低下する。よって、図3に示す例では、パワーオンアップシフト制御中に、パワーオフ状態に変化している。なお、本実施形態では、ドライバ要求出力トルクは、アクセル開度の変化に対して遅れを持って変化するように構成されており、図3に示す例では、駆動力源出力トルクは、アクセル開度が低開度状態判定値以下に低下してから、遅れを持って低下している。また、アクセル開度が低開度状態判定値以下に低下すると、回転電機目標出力トルクが負トルクに設定され、回転電機MGは回生発電を行う。
駆動力増加制御の説明を行う前に、本実施形態とは異なり、駆動力増加制御の指示を行わない場合に生じる課題を、図5に示す例を用いて、より具体的に説明する。図5の時刻t25の前までは、図3の時刻t15の前までと同様の制御が行われている。
中間軸Mの回転速度が高速段の目標回転速度に近づいてきた場合(時刻t24から時刻t25)に、係合側要素の供給油圧を低下させて変速機構伝達トルクによる負トルクの大きさを減少させても、駆動力源出力トルクが負トルクであるため、総計トルクは負トルクのままとなり、中間軸Mの回転速度の減少速度は増加している。また、中間軸Mの回転速度が高速段の目標回転速度に十分近づいた場合(時刻t25)に、係合側要素を滑りなく完全係合させるために、係合側要素の供給油圧を完全係合圧まで増加させる制御を開始している。よって、負トルクとなる総計トルクの大きさが更に増加している。このため、中間軸Mの回転速度は、高速段の目標回転速度に対して下側にオーバーシュートする(時刻t26〜時刻t28)。
図3に示す例では、解放側要素の係合圧としての供給油圧(指令圧)が解放判定値以下に減少してから(時刻t13)、アクセル開度が、低開度状態判定値以下に減少している(時刻t14)。よって、本例では、解放判定部43は、アップシフト制御中であって、且つアクセル開度が低開度状態判定値以下になりアクセル低開度状態となった場合に、解放側要素の係合圧が解放側判定値以下である解放側要素解放状態であると判定する(時刻t14)。
制御切替部44が駆動力増加制御の指示を行わせるように制御の切替を行った場合、駆動力増加制御指示部42は、係合側要素が完全係合される前に駆動力源から出力される駆動力を増加させる駆動力増加制御を指示する。本実施形態では、駆動力増加制御指示部42は、駆動力の増加量を算出し、駆動力の増加量を動力制御装置32に指令することにより、動力制御装置32に駆動力を増加させる駆動力増加制御の指示を行っている。
本実施形態では、駆動力増加制御指示部42は、アップシフト制御の進行状態である変速進行状態が、係合側要素が完全係合される前の予め定めた状態まで進行したと判定したときに、駆動力増加制御の指示を開始する。本例では、変速制御部40は、変速進行状態を、中間軸Mの回転速度が低速段の目標回転速度に一致する場合に0%になり、高速段の目標回転速度に一致する場合に100%になるような割合で正規化して算出している。駆動力増加制御指示部42は、変速進行状態が、所定割合に設定されている増加開始判定値(例えば90%)以上になったと判定したときに、駆動力増加制御の指示を開始する(時刻t15)。もしくは、中間軸Mの回転速度から高速段の目標回転速度を減算して求めた回転速度差である差回転速度Wが、所定値以下となったと判定したときに、駆動力増加制御の指示を開始するようにしてもよい。
駆動力増加制御指示部42は、駆動力増加制御の指示を開始した場合、係合側要素における入出力部材間の回転速度差の減少速度を減少させるように、駆動力源から出力される駆動力を増加させる制御の指示を行う。本実施形態では、駆動力増加制御指示部42は、差回転速度Wの減少速度に応じて、差回転速度Wの減少速度を減少させるように、駆動力源から出力される駆動力の増加量を算出する。より具体的には、駆動力増加制御指示部42は、駆動力を増加させる前の差回転速度Wの減少速度を算出し、減少速度に係合側要素の入力部材側のイナーシャを乗算した値をトルク増加量に設定する。ここで、トルク増加量は、ドライバ要求出力トルクからの増加量である。また、係合側要素の入力部材側のイナーシャは、変速機構TMにおける係合要素の入力部材側の歯車機構、中間軸M、トルクコンバータTC、入力軸I、回転電機MG、及びエンジンEなどの中間軸Mと一体的に回転している各回転部材のイナーシャの合計である。なお、入力部材側のイナーシャは、伝達クラッチECの係合状態、及びロックアップクラッチLCの係合状態に応じて変化する、中間軸Mと一体的に回転する各回転部材のイナーシャの合計に基づき、変更されるように構成されている。もしくは、駆動力増加制御指示部42は、差回転速度Wの減少速度に係合側要素の入力部材側のイナーシャを乗算した値を所定値又は所定割合だけ増加又は減少した値を、トルク増加量に設定してもよい。もしくは、算出した差回転速度Wの減少速度から目標とする減少速度を減算した値に、係合側要素の入力部材側のイナーシャを乗算した値をトルク増加量に設定してもよい。もしくは、駆動力増加制御指示部42は、差回転速度Wの減少速度に応じてトルク増加量を予め設定したマップを備え、差回転速度Wの減少速度及びマップに基づきトルク増加量を算出するようにしてもよい。あるいは、駆動力増加制御指示部42は、上記した増加開始判定トルクの設定と同様に、係合側要素の供給油圧に基づき係合側要素の伝達トルク容量を算出し、算出した伝達トルク容量からドライバ要求出力トルクを減算した値をトルク増加量に設定するようにしてもよい。
駆動力増加制御指示部42は、駆動力源から出力される駆動力を増加させる指示を行った後、駆動力増加制御を行わせない場合の目標駆動力まで、次第に駆動力源から出力される駆動力を減少させる指示を行って、駆動力増加制御の指示を終了する。
本実施形態では、上記のように差回転速度Wの減少速度及びイナーシャに基づきトルク増加量を算出した後、トルク増加量をゼロまで所定のトルク減少勾配で減少させる(時刻t15以降)。あるいは、トルク減少勾配の大きさは、増加目標出力トルクの減少勾配がドライバ要求出力トルクの減少勾配よりも大きくなる(例えば、2倍)ように設定されるように構成してもよい。そして、駆動力増加制御指示部42は、トルク増加量がゼロまで減少した場合に、動力制御装置32への指令を終了して駆動力増加制御の指示を終了する(時刻t18)。このように、係合側要素が完全係合される前に、駆動力の増加により差回転速度Wの減少速度を一旦減少させた後、駆動力の増加量を次第に減少させているので、差回転速度Wの減少速度を次第に増加させて差回転速度Wをゼロまで緩やかに減少させることができる。また、駆動力の増加量を次第に減少させているので、中間軸Mから車輪Wh側に伝達される変速機構伝達トルクの変化量を小さくすることができ、トルクショックの発生を抑制することができる。
変速制御部40は、駆動力増加制御指示部42が駆動力増加制御の指示を開始した場合に、係合側要素の係合圧(指令圧)を、完全係合圧まで増加させる制御を開始する。本実施形態では、変速制御部40は、駆動力増加制御指示部42が駆動力増加制御の指示を開始した場合(時刻t15以降)に、係合側要素の供給油圧(指令圧)を、所定の傾きで次第に増加させた後(時刻t15〜t17)、ステップ的に完全係合圧まで増加させる(時刻t17)。このように、係合側要素の係合圧を次第に増加させているので、駆動力の増加により差回転速度Wの減少速度が減少した後、差回転速度Wの減少速度を次第に増加させて差回転速度Wをゼロまで緩やかに減少させつつ、係合側要素を滑りのない係合状態である完全係合状態に移行させることができる。もしくは、変速制御部40は、差回転速度Wの大きさが所定値以下(例えば、50rpm以下)になった場合に、係合側要素の係合圧を、完全係合圧まで増加させる制御を開始するようにしてもよい。
次に、図4に例を示すように、解放判定部43が、アップシフト制御中であって、且つアクセル低開度状態となった場合に、解放側要素解放状態でないと判定する場合を説明する。
変速制御部40は、図3に示した場合と同様に、アップシフトを行うと判定した場合に、一連のアップシフト制御のシーケンスを開始する(時刻t31)。図4に示す例も、アップシフトを開始した時点では、アクセル開度は、低開度状態判定値より大きいアクセル高開度状態となっており、変速制御部40は、パワーオンアップシフト制御を開始する。
変速制御部40は、パワーオンアップシフト制御を開始した場合、図3に示した場合と同様に、制御フェーズを通常制御相からプレ制御相に移行させてプレ制御相の制御を開始する(時刻t31)。変速制御部40は、係合側要素の供給油圧を、所定の係合側予備圧にする制御を開始する。また、変速制御部40は、解放側要素の供給油圧を、完全係合圧から解放側予備圧まで減少させる。解放側予備圧は、駆動力源から出力されている駆動力源出力トルクを解放側要素が車輪Wh側に伝達できる最小限の油圧である直結限界圧より所定圧だけ大きくなるように設定される。
図4に示す例では、プレ制御相中に、アクセル開度が解放側判定値以下になりアクセル低開度状態となっている(時刻t32)。すなわち、解放側要素の係合圧が解放側判定値以下になるより前に、アクセル開度が解放側判定値以下になりアクセル低開度状態となっている。よって、本例では、解放判定部43は、アップシフト制御中であって、且つアクセル開度が低開度状態判定値以下になりアクセル低開度状態となった場合に、解放側要素の係合圧が解放側判定値より大きく解放側要素解放状態でないと判定する(時刻t32)。
制御切替部44は、解放判定部43により解放側要素解放状態でないと判定された場合には、駆動力増加制御指示部42に駆動力増加制御の指示を行わせず、解放側油圧制御部41に解放側要素の油圧指令を中間軸Mの回転速度の変化に応じて制御する解放側スリップ制御を行わせる制御の切替を行う(時刻t32)。すなわち、本例では、解放側要素が解放状態になる前に、パワーオフ状態になるので、解放側要素を解放させずに、解放側スリップ制御を行って、中間軸Mの回転速度が高速段の目標回転速度に近づいてきた場合に、解放側要素の供給油圧を増加させて解放側要素から中間軸Mに作用する正トルクを増加させる。駆動力源出力トルクが負トルクになっても、解放側油圧制御部41は、解放側要素の係合圧を変化させることにより、中間軸Mに作用する総計トルクを所望の値に制御できる。解放側油圧制御部41は、中間軸Mの回転速度の変化に応じて、解放側要素の油圧指令をフィードバック制御して、中間軸Mの回転速度が、高速段の目標回転速度に対して下側にオーバーシュートすることを抑制する。本例では、解放側油圧制御部41は、中間軸Mの回転速度が高速段の目標回転速度に近づくにつれて、差回転速度Wの減少速度が減少するように、解放側要素の油圧指令をフィードバック制御する。例えば、解放側油圧制御部41は、差回転速度Wに応じて予め設定された差回転速度Wの減少速度の目標値と、実際の差回転速度Wの減少速度と、の偏差が減少するように、解放側要素の油圧指令をフィードバック制御する。ここで、差回転速度Wの減少速度の目標値は、差回転速度Wが減少するにつれて、減少するように設定される。上記したように、差回転速度Wは、中間軸Mの回転速度から高速段の目標回転速度を減算して求めた回転速度差である。
変速制御部40は、プレ制御相の開始後所定期間が経過した場合に、解放側スリップ制御を実行する場合は、制御フェーズをプレ制御相からイナーシャ制御相に移行させる(時刻t33)。解放側スリップ制御のイナーシャ制御相では、解放側要素の供給油圧を直結限界圧より低下させることにより、解放側要素の入出力部材間の摩擦により中間軸Mから車輪側に伝達される負トルクの変速機構伝達トルクの大きさを、駆動力源から中間軸Mに伝達されている負トルクの駆動力源出力トルクの大きさより減少させる(時刻t33以降)。解放側要素の摩擦(滑り)により車輪Wh側に駆動力源出力トルクより小さい大きさの負トルクが伝達されるので、入力部材側(中間軸M)に作用する総計トルク(中間軸作用トルク)は負トルクになり、中間軸Mの回転速度を高速段の目標回転速度まで減少させることができる。ここで、解放側要素の供給油圧における直結限界圧からの低下量に比例して、負トルクとなる総計トルク(中間軸作用トルク)の大きさを増加できる。また、中間軸Mの回転速度の減少速度は、負トルクとなる総計トルク(中間軸作用トルク)の大きさに比例し、中間軸Mと一体的に回転する各回転部材のイナーシャ(慣性モーメント)に反比例する。よって、解放側油圧制御部41は、解放側要素の供給油圧における直結限界圧からの低下量を増減することにより、差回転速度Wの減少速度を増減させる。
変速制御部40は、中間軸Mの回転速度が高速段の目標回転速度に到達した場合に、係合側要素の係合圧(指令圧)を、完全係合圧まで増加させる制御を開始する。本実施形態では、変速制御部40は、中間軸Mの回転速度が高速段の目標回転速度に到達した場合(時刻t35)に、係合側要素の供給油圧(指令圧)を、完全係合圧までステップ的に増加させる。もしくは、変速制御部40は、差回転速度Wの大きさが所定値以下(例えば、50rpm以下)になった場合に、係合側要素の係合圧を、完全係合圧まで増加させる制御を開始するようにしてもよい。
次に、変速制御部40におけるアップシフト制御の処理について、図6のフローチャートを参照して説明する。まず、変速制御部40は、アップシフトを行うと判定した場合には、一連のアップシフト制御を開始する(ステップ#11:Yes)。解放判定部43は、アップシフト制御を開始した場合に、アクセル開度が低開度状態判定値以下のアクセル低開度状態であるか判定する(ステップ#12)。アクセル低開度状態であると判定された場合には(ステップ♯12:Yes)、解放判定部43は、解放側要素の係合圧が解放側判定値より大きく解放側要素解放状態でないと判定し、制御切替部44は、駆動力増加制御の指示ではなく、解放側スリップ制御を行わせる制御の切替を行う(ステップ♯22)。そして、解放側油圧制御部41は、解放側要素を解放させずに、一連の解放側スリップ制御を開始する(ステップ♯23)。変速制御部40は、一連の解放側スリップ制御が終了して、アップシフト制御が終了したと判定した場合には(ステップ♯24:Yes)、アップシフト制御の処理を終了する。
(1)上記の実施形態においては、変速制御装置31が、制御部40から45を備える場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、変速制御装置31が、エンジン制御部33、回転電機制御部34、伝達クラッチ制御部35、及び統合制御部36の何れか1つ又は複数と統合されて、備えられるようにすることも本発明の好適な実施形態の一つである。
E:エンジン(内燃機関)
EC:伝達クラッチ
TM:変速機構
Wh:車輪
W:差回転速度
I:入力軸
M:中間軸(入力部材)
O:出力軸(出力部材)
PC:油圧制御装置
Se1:入力軸回転速度センサ
Se2:中間軸回転速度センサ
Se3:出力回転速度センサ
Se4:アクセル開度センサ
Se5:シフト位置センサ
TC:トルクコンバータ
LC:ロックアップクラッチ
1:車両用駆動装置
2:変速装置
31:変速制御装置
32:動力制御装置
33:エンジン制御部
34:回転電機制御部
35:伝達クラッチ制御部
36:統合制御部
40:変速制御部
41:解放側油圧制御部
42:駆動力増加制御指示部
43:解放判定部
44:制御切替部
45:ロックアップクラッチ制御部
Claims (7)
- 少なくとも回転電機を有する駆動力源に駆動連結される入力部材と、車輪に駆動連結される出力部材と、複数の摩擦係合要素の係合及び解放が制御されることにより複数の変速段が切り替えられ、前記入力部材の回転速度を各変速段の変速比で変速して前記出力部材に伝達する変速機構と、を備えた変速装置を制御するための変速制御装置であって、
変速比の小さい前記変速段への切替を行うアップシフト制御中に、解放される側の摩擦係合要素となる解放側要素の油圧指令を制御する解放側油圧制御部と、
前記駆動力源から出力される駆動力を増加させる駆動力増加制御を指示する駆動力増加制御指示部と、
車両のアクセル開度が予め定めた判定値である低開度状態判定値より大きいアクセル高開度状態における前記アップシフト制御中に、車両のアクセル開度が前記低開度状態判定値以下のアクセル低開度状態に変化した場合に、前記解放側要素の係合圧が所定値以下である解放側要素解放状態であるか否かを判定する解放判定部と、を備え、
前記解放判定部により解放側要素解放状態でないと判定された場合に、前記解放側油圧制御部が前記解放側要素の油圧指令を前記入力部材の回転速度の変化に応じて制御し、前記解放判定部により解放側要素解放状態であると判定された場合に、前記駆動力増加制御指示部が前記駆動力増加制御の指示を行う変速制御装置。 - 前記駆動力増加制御指示部は、前記アップシフト制御の進行状態である変速進行状態が、係合される側の摩擦係合要素となる係合側要素が完全係合される前の予め定めた状態まで進行したと判定したときに、前記駆動力増加制御の指示を開始する請求項1に記載の変速制御装置。
- 前記駆動力増加制御指示部は、前記駆動力源から出力されている駆動力が予め定めたしきい値以下であることを条件として、前記駆動力増加制御の指示を行う請求項1又は2に記載の変速制御装置。
- 前記駆動力増加制御指示部は、係合される側の摩擦係合要素となる係合側要素における入出力部材間の回転速度差の減少速度を減少させるように、前記駆動力を増加させる指示を行う請求項1から3のいずれか一項に記載の制御装置。
- 前記駆動力増加制御指示部は、前記駆動力増加制御の指示を行う前における、係合される側の摩擦係合要素となる係合側要素における入出力部材間の回転速度差の減少速度に基づいて、前記駆動力の増加量を決定する請求項1から4のいずれか一項に記載の変速制御装置。
- 前記駆動力増加制御を開始した後、係合される側の摩擦係合要素となる係合側要素の係合圧を次第に増加させて完全係合させ、
前記駆動力を次第に減少させる期間と、前記係合側要素の係合圧を次第に増加させる期間を重複させる請求項1から5のいずれか一項に記載の変速制御装置。 - 前記駆動力増加制御指示部は、前記駆動力を増加させる指示を行った後、前記駆動力増加制御を行わせない場合の目標駆動力まで次第に前記駆動力源から出力される駆動力を減少させる指示を行う請求項1から6のいずれか一項に記載の変速制御装置。
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