JP5558887B2 - 低サイクル疲労強度に優れるTi、B添加鋼を用いた高強度部品の製造方法 - Google Patents
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Cは、強度を付与するために必要な元素であるが、0.10%未満であると、浸炭焼入れ処理した部品の芯部が確保できず、低サイクルの繰返し曲げ疲労強度の向上を図ることができない。焼入れ処理後の芯部の組織はマルテンサイトが主体であるが、C量の増大と共に増加する、マルテンサイトの硬さと微細化物の分散強化による降伏比の増加とのバランスからCの上限を0.60%とする。なお、芯部の強度をHV450以上とするためには好ましくは0.20%以上、より好ましくは0.30%以上とし、被削性の点から好ましくは0.40%以下とする。
Siは、鋼の脱酸に有効な元素であり、焼戻し軟化抵抗を向上し、焼入れ性の向上により、浸炭焼入れ処理した部品の芯部硬さを付与し、低サイクル繰返し曲げ疲労強度の向上に有効である。Siが0.01%未満ではその効果は十分でなく、1.5%を超えると浸炭性が阻害される。そこでSiは0.01〜1.5%とする。なお、Siの好ましい範囲は0.5〜1.5%である。
Mnは、鋼の脱酸に有効な元素であると共に、焼入れ性の向上により、焼入れ処理した部品の芯部硬さを付与し、低サイクル曲げ疲労強度の向上に有効である。Mnは0.3%未満ではその効果は十分でなく、2.0%を超えるとその効果は飽和する。そこで、Mnは0.3〜2.0%とする。
Crは、焼入れ性の向上をはかり浸炭焼入れ処理した部品の芯部硬さを付与し、低サイクル繰返し曲げ疲労強度の向上に有効である。Crは0.1%未満ではその効果は十分でなく、3.0%を超えるとその効果が飽和する。そこでCrは0.1〜3.0%とする。なお、望ましくはCrは1.5〜3.0%とする。
Tiは、TiCとして鋼中に微細に析出し、鋼を分散強化し、疲労き裂の生成および伝播を抑制する元素であるが、0.02%以下では、その効果は小さく、0.2%を超えると加工性を低下する。そこで、Tiは0.02〜0.2%とする。なお、Tiの望ましい範囲は0.05〜0.2%とする。
Bは、Pの粒界偏析を抑制すると共に、それ自体の粒界強度と粒界強度の向上および焼入れ性の向上により低サイクル繰返し曲げ疲労強度に有効な元素である。Bは0.0002%未満ではその効果が十分でなく、0.005%を超えるとその効果は飽和する。そこで、Bは0.0002〜0.005%とする。なお、Bの望ましい範囲は0.003〜0.005%である。
Pは、粒界に偏析して靱性および疲労強度を低下させ、その結果、衝撃強度および曲げ疲労強度を低下させる。そこで、Pは0.02%以下とする。
Sは、鋼中でMnSを形成し、これによる被削性の向上を図るために添加する。しかし、Sは、0.001%未満では、その効果は十分ではなく、一方、0.15%を超えると、その効果は飽和して粒界偏析を起こし、粒界脆化を引き起こす。そこで、Sは0.001〜0.15%とする。
Nは、鋼中でAl、Ti、Nb、Vなどと結合して窒化物または炭窒化物を生成し、結晶粒の粗大化を抑制する。Nは0.001%未満では、その効果は十分でなく、0.03%を超えると、その効果が飽和する。そこで、Nは0.001〜0.03%とする。なお、Nは望ましくは0.003〜0.008%とする。
Alは、鋼の脱酸のために添加する。Alは、0.001%未満ではその効果は十分でなく、0.06%を超えるとその効果は飽和する。そこで、Alは0.001〜0.06%とする。なお、Alは望ましくは0.01〜0.04%とする。
Oは、粒界偏析を起こして粒界脆化を起こし易くすると共に、鋼中で硬い酸化物系介在物を形成して脆性破壊を起こし易くする。そこで、Oは0.005%以下とする。
Moは、焼入れ性を向上して浸炭焼入れした鋼部品の芯部硬さを付与し、低サイクル繰返し曲げ疲労強度を向上する。Moは、0.1%未満ではその効果が十分でなく、1.5%を超えるとその効果は飽和する。そこで、Moは0.1〜1.5%とする。
Cuは、焼入れ性を向上して浸炭焼入れした鋼部品の芯部硬さを付与し、低サイクル繰返し曲げ疲労強度を向上する。Cuは、0.1%未満ではその効果が十分でなく、2.0%を超えるとその効果は飽和する。そこで、Cuは0.1〜1.5%とする。
Niは、焼入れ性を向上して浸炭焼入れした鋼部品の芯部硬さを付与し、低サイクル繰返し曲げ疲労強度を向上する。Niは、0.1%未満ではその効果が十分でなく、5.0%を超えるとその効果は飽和する。そこで、Niは0.1〜5.0%とする。
Nbは、添加によってNb炭窒化物を生成し、浸炭条件や浸炭前の加工工程が変化した場合でも、オーステナイト粒の微細化を安定的に図れ、低サイクル繰返し曲げ疲労強度の劣化が防止できる。しかし、Nbは0.2%を超えると被削性を劣化させる。そこで、Nbは0超〜0.2%とする。なお、望ましくはNbは0.03〜0.10%とする。
Vは、Nbと同様に、添加によってV炭窒化物を生成し、浸炭条件や浸炭前の加工工程が変化した場合でも、オーステナイト粒の微細化を安定的に図れ、低サイクル繰返し曲げ疲労強度の劣化が防止できる。しかし、Vは0.2%を超えると被削性を劣化させる。そこで、Vは0超〜0.2%とする。なお、望ましくはVは0.05〜0.10%とする。
Zrは、0.0003%未満では、組成改質され微細分散した粒状MnSによる低サイクル繰返し曲げ疲労強度の向上が十分でなく、0.005%を超えると上記の効果は飽和する。そこで、Zrは0.0003〜0.005%とする。
Mgは、0.0003%未満では、組成改質され微細分散した粒状MnSによる低サイクル繰返し曲げ疲労強度の向上が十分でなく、0.005%を超えると上記の効果は飽和する。そこで、Mgは0.0003〜0.005%とする。
希土類元素は、0.0001%未満では、組成改質され微細分散した粒状MnSによる低サイクル繰返し曲げ疲労強度の向上が十分でなく、0.005%を超えると上記の効果は飽和する。そこで、希土類元素は0.0001〜0.005%とする。
Caは、上記したように酸化物を低融点化し、切削環境下の温度上昇により軟質化することで、被削性を改善する。しかし、Caが0.0002%未満では、その効果は無く、0.01%を超えるとCaSを多量に生成して、被削性を低下する。そこで、Caは0.0002〜0.01%とする。
低サイクルの繰返し曲げ疲労強度に優れた高強度部品を得るためには、上述の化学成分を満足するだけではなく、焼入れ後の硬さ確保も重要となる。式(1)で、1.10未満では表面近傍の浸炭異常層、あるいは部品の芯部で不完全焼入れ相が多くなり十分な硬さ確保ができない。したがって、式(1)は1.10以上とする。
低サイクルの繰返し曲げ疲労強度に優れた高強度部品を得るためには、上述の化学成分を満足するだけではなく、焼入れ後の硬さ確保も重要となる。式(2)で、1.10未満では表面近傍の浸炭異常層、あるいは部品の芯部で不完全焼入れ相が多くなり十分な硬さ確保ができない。したがって、式(2)は1.10以上とする。
上記成分において、Ti、O、Caは鋼中の硫化物と酸化物の特性を変化させるため、含有量のバランスは被削性に大きな影響を及ぼす。100×Ti×O/Caが1未満の場合はCaSを多量に生成して被削性を低下させ、100×Ti×O/Caが100を超えるとCaによる硫化物と酸化物が十分に改質されない。そこで100×Ti×O/Ca=1〜100とする。
2 Vノッチ
3 支点
4 支点
5 当板
6 荷重
Claims (7)
- 化学成分が、質量%で、C:0.10〜0.60%、Si:0.01〜1.5%、Mn:0.3〜2.0%、Cr:0.1〜3.0%、Ti:0.02〜0.2%、B:0.0002〜0.005%、P:0.02%以下、S:0.001〜0.15%、N:0.001〜0.03%、Al:0.01〜0.06%、O:0.005%以下を含有し、かつ、C、Si、Mn、Crの含有量が(0.04+0.35C)×(1.00+0.70Si)×(0.70+3.96Mn)×(1.00+2.16Cr)≧1.10からなる式(1)によって得られる焼入れ指数を満足し、残部が実質的にFeと不可避的不純物よりなる鋼を用いて、浸炭温度880℃〜950℃、浸炭時間と拡散時間の合計が2〜7時間からなる浸炭処理をした後に油焼入れし、さらに焼戻し処理として150℃〜200℃で1〜3時間保持した後に空冷して鋼材とし、該鋼材からなる断面13mm×13mmの角棒の試験片に半径1.5mm、深さ3mmの切欠きを付与した後、切欠き側の支点間を80mmと、切欠きの反対側の支点間を20mmとする、低サイクルの繰り返し曲げ荷重をかける低サイクル4点曲げ疲労試験で、100サイクルで強度17kN以上かつ500サイクルで強度15kN以上の曲げ疲労強度を有する部品を該鋼材から形成することを特徴とする低サイクルの繰返し曲げ疲労強度に優れた高強度部品の製造方法。
- 請求項1の化学成分に加えて、質量%で、Mo:0.1〜1.5%、Cu:0.1〜2.0%、Ni:0.1〜5.0%の1種又は2種以上を含有し、かつ、C、Si、Mn、Cr、Mo、Cu、Niの含有量が、(0.04+0.35C)×(1.00+0.70Si)×(0.70+3.96Mn)×(1.00+2.16Cr)×(1.00+3.00Mo)×(1.00+0.37Cu)×(0.90+0.38Ni)≧1.10からなる式(2)によって得られる焼入れ指数を満足し、残部が実質的にFeと不可避的不純物よりなる鋼を用いて、浸炭温度880℃〜950℃、浸炭時間と拡散時間の合計が2〜7時間の浸炭後に油焼入れし、さらに焼戻し処理として150℃〜200℃で1〜3時間保持した後に空冷して鋼材とし、該鋼材からなる断面13mm×13mmの角棒の試験片に半径1.5mm、深さ3mmの切欠きを付与した後、切欠き側の支点間を80mmと、切欠きの反対側の支点間を20mmとする、低サイクルの繰り返し曲げ荷重をかける低サイクル4点曲げ疲労試験で、100サイクルで強度17kN以上かつ500サイクルで強度15kN以上の曲げ疲労強度を有する部品を該鋼材から形成することを特徴とする低サイクルの繰返し曲げ疲労強度に優れた高強度部品の製造方法。
- 請求項1または2の化学成分に加えて、質量%で、Nb:0超〜0.2%、V:0超〜0.2%の1種又は2種を含有し、かつ、請求項1に上記の化学成分を加えた場合は式(1)によって得られる焼入れ指数を満足し、あるいは請求項2に上記の化学成分を加えた場合は式(2)によって得られる焼入れ指数を満足し、残部が実質的にFeと不可避的不純物よりなる鋼を用いて、浸炭温度880℃〜950℃、浸炭時間と拡散時間の合計が2〜7時間の浸炭後に油焼入れし、さらに焼戻し処理として150℃〜200℃で1〜3時間保持した後に空冷して鋼材とし、該鋼材からなる断面13mm×13mmの角棒の試験片に半径1.5mm、深さ3mmの切欠きを付与した後、切欠き側の支点間を80mmと、切欠きの反対側の支点間を20mmとする、低サイクルの繰り返し曲げ荷重をかける低サイクル4点曲げ疲労試験で、100サイクルで強度17kN以上かつ500サイクルで強度15kN以上の曲げ疲労強度を有する部品を該鋼材から形成することを特徴とする低サイクルの繰返し曲げ疲労強度に優れた高強度部品の製造方法。
- 請求項1〜3のいずれか1項の化学成分に加えて、質量%で、Zr:0.0003〜0.005%、Mg:0.0003〜0.005%、希土類金属:0.0001〜0.005%の1種又は2種以上を含有し、かつ、その化学成分中にMo:0.1〜1.5%、Cu:0.1〜2.0%、Ni:0.1〜5.0%の1種又は2種以上を含有する場合には前記式(2)によって得られる焼入れ指数を満足し、その化学成分中に上記割合でMo、Cu、Niを含まない場合には式(1)によって得られる焼入れ指数を満足するものであって、残部が実質的にFeと不可避的不純物よりなる鋼を用いて、浸炭温度880℃〜950℃、浸炭時間と拡散時間の合計が2〜7時間の浸炭後に油焼入れし、さらに焼戻し処理として150℃〜200℃で1〜3時間保持した後に空冷して鋼材とし、該鋼材からなる断面13mm×13mmの角棒の試験片に半径1.5mm、深さ3mmの切欠きを付与した後、切欠き側の支点間を80mmと、切欠きの反対側の支点間を20mmとする、低サイクルの繰り返し曲げ荷重をかける低サイクル4点曲げ疲労試験で、100サイクルで強度17kN以上かつ500サイクルで強度15kN以上の曲げ疲労強度を有する部品を該鋼材から形成することを特徴とする低サイクルの繰返し曲げ疲労強度に優れた高強度部品の製造方法。
- 化学成分として、請求項2に記載の成分に加えて、質量%でCa:0.0002〜0.01%を含有し、又は、請求項2に記載の成分に加えて、質量%でCa:0.0002〜0.01%を含有するとともに、さらにNb:0超〜0.2%、V:0超〜0.2%、Zr:0.0003〜0.005%、Mg:0.0003〜0.005%、希土類金属:0.0001〜0.005%から選択した1種又は2種以上を含有し、かつ、前記式(2)によって得られる焼入れ指数を満足するものであって、さらに、式(2)に加えて、Ti、Ca、Oの含有量が、100×Ti×O/Ca=1〜100からなる式(3)を満足し、残部が実質的にFeと不可避的不純物よりなる鋼を用いて、浸炭温度880℃〜950℃、浸炭時間と拡散時間の合計が2〜7時間の浸炭後に油焼入れし、さらに焼戻し処理として150℃〜200℃で1〜3時間保持した後に空冷して鋼材とし、該鋼材からなる断面13mm×13mmの角棒の試験片に半径1.5mm、深さ3mmの切欠きを付与した後、切欠き側の支点間を80mmと、切欠きの反対側の支点間を20mmとする、低サイクルの繰り返し曲げ荷重をかける低サイクル4点曲げ疲労試験で、100サイクルで強度17kN以上かつ500サイクルで強度15kN以上の曲げ疲労強度を有する部品を該鋼材から形成することを特徴とする低サイクルの繰返し曲げ疲労強度に優れた高強度部品の製造方法。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の鋼を用いて、短辺250mm以下の角もしくは丸の鋼片に製造し、該鋼片を浸炭温度880℃〜950℃、浸炭時間と拡散時間の合計が2〜7時間の浸炭後に油焼入れし、さらに焼戻し処理として150℃〜200℃で1〜3時間保持した後に空冷して鋼材とし、該鋼材からなる断面13mm×13mmの角棒の試験片に半径1.5mm、深さ3mmの切欠きを付与した後、切欠き側の支点間を80mmと、切欠きの反対側の支点間を20mmとする、低サイクルの繰り返し曲げ荷重をかける低サイクル4点曲げ疲労試験で、100サイクルで強度17kN以上かつ500サイクルで強度15kN以上の曲げ疲労強度を有する部品を該鋼材から形成することを特徴とする低サイクルの繰返し曲げ疲労強度に優れた高強度部品の製造方法。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の鋼を用いて、短辺250mm以下の角もしくは丸の鋼片に製造し、該鋼片を浸炭温度880℃〜950℃、浸炭時間と拡散時間の合計が2〜7時間の浸炭処理している間に、もしくは、浸炭処理後の800℃〜900℃で保持している間に、NH3ガスを加えて浸炭浸窒処理した後、油焼入れし、さらに焼戻し処理として150℃〜200℃で1〜3時間保持した後に空冷して鋼材とし、該鋼材からなる断面13mm×13mmの角棒の試験片に半径1.5mm、深さ3mmの切欠きを付与した後、切欠き側の支点間を80mmと、切欠きの反対側の支点間を20mmとする、低サイクルの繰り返し曲げ荷重をかける低サイクル4点曲げ疲労試験で、100サイクルで強度17kN以上かつ500サイクルで強度15kN以上の曲げ疲労強度を有する部品を該鋼材から形成することを特徴とする低サイクルの繰返し曲げ疲労強度に優れた高強度部品の製造方法。
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