(実施例1)
以下に図面を参照して、本発明の実施の形態を例示する。但し、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状それらの相対配置などは、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものであり、この発明の範囲を以下の実施形態に限定する趣旨のものではない。
本実施例の画像形成装置の構成を図1に示す。図中1は像担持体たる感光ドラムである。感光ドラム1は矢印R1方向に回転する。2は帯電ローラである。3は露光装置,4は反射ミラーである。露光装置3から発信されたレーザービームが、反射ミラー4を介して感光ドラム1上の露光位置Aに達するように配置されている。現像装置5はブラックトナーを内包しており、図18にあるように画像形成装置本体に着脱可能に構成されている。感光ドラム1の下部には、転写ローラ6が配置されている。転写後の転写材Pは定着器15に送られる。転写位置Bに対して感光ドラム1の移動方向下流にはクリーニング装置9が設置されている。付属のブレードが感光ドラム1上のトナーを掻き落とせるように接触配置されている。
画像形成装置の画像形成動作について説明する。矢印R1方向に100mm/secで回転している感光ドラム1の表面上を、帯電ローラ2で所定電位に帯電する。露光位置Aにおいて、露光装置3,反射ミラー4により画像信号に応じて発信されたレーザービームにより、感光ドラム1上に静電潜像を形成する。形成した静電潜像を現像位置Cにおいて現像装置5で現像し、トナー像を形成する。感光ドラム1上に形成されたトナー像は、転写位置Bにて転写材Pに転写する。トナー像を転写された転写材Pは定着器15に送られる。定着器15は転写材P上のトナー像を加圧及び加熱して転写材Pに定着し、最終画像とする。
現像装置5について図2を用いて詳細に説明する。現像装置5は、トナーを収納する現像容器21、現像容器21の開口部に配設されたトナー担持体たる現像ローラ25、及び現像剤規制部材たる規制ブレード27、現像容器21の内部に現像ローラ25と隣接して設けられたトナー供給部材たる供給ローラ24からなる。現像ローラ25は、現像動作中は感光ドラム1と接触した状態で回転する。現像動作において、現像ローラ25と供給ローラ24は第1の駆動手段としての画像形成装置本体の駆動装置(不図示)から駆動伝達されるため、同じタイミングで回転開始と停止が行なわれる。現像動作終了後は、画像形成装置本体に設けられた、図1中に示すカム20が回転し、現像容器上部を押すことで、現像ローラ25を感光ドラム1から離間する。離間後、第1の駆動手段である駆動装置の回転駆動を停止している。
現像ローラ25は、ステンレス鋼、アルミニウム合金等で作られた第1の電極部材としてのφ8(mm)の導電性シャフト28と、その周囲に形成したシリコンゴムを基層とした導電性弾性層からなる。表層にはアクリル・ウレタン系ゴム層がコートされている。現像ローラ25の外径はφ13(mm)、体積抵抗は約10E5Ω・cmである。現像動作中において、現像ローラ25は、前述の現像位置Cで感光ドラム1に接触し、図2中の矢印R4方向に回転駆動できるように現像容器21に支持されている。画像形成中において、現像ローラの周速は160mm/secであり、画像形成装置本体の電圧印加手段により、現像バイアスが印加される。
供給ローラ24は、ステンレス鋼、アルミニウム合金等で作られた第2の電極部材としてのφ6(mm)の導電性シャフト29と、その周囲に形成した柔らかい連続気泡体からなる発泡表層たるウレタンスポンジ層から構成される。供給ローラ24の外径はφ15(mm)、体積抵抗は約10E5Ω・cmである。本実施例では、現像ローラ25のシャフト28の中心と供給ローラ24のシャフト29の中心との距離(以下、中心間距離)を13mmとし、現像ローラ25の表面が供給ローラ24のウレタンスポンジ層を、1.0mmほどの深さで押し込むように設置する。ここで侵入量とは、シャフト28の中心とシャフト29の中心間を結ぶ線分上で、供給ローラ24と現像ローラ25の外径の和を2で割って上記中心間距離を差し引いた長さである。供給ローラ24は、図2中の矢印R5方向と、矢印R5方向の逆方向との両方向に回転駆動できるよう現像容器21に支持されている。供給ローラの回転方向は、本体に設けられた駆動装置によって制御され、必要なタイミングで変更される。画像形成中において、供給ローラの回転速度(周速)は、矢印R5方向に140mm/secである。以降、画像形成時の供給ローラ回転方向である矢印R5方向を正方向として、矢印R5方向とは逆の供給ローラ回転方向を逆方向と呼ぶこととする。
規制ブレード27は、可撓性を持ったリン青銅板金から成り、一端を現像容器21に固定し、他端を自由端として現像ローラ25に当接させている。現像ローラ25の回転方向に対してカウンタ方向となる向きで、自由端近傍の平滑面が現像ローラ25の表面と摺擦するように配設されている。
その他、現像ローラ25と現像容器21の隙間を覆う洩れ防止シール26が設けられている。
次に、供給ローラへの逆回転駆動の駆動手段について図19を用いて説明する。現像装置には画像形成装置からの駆動を受け取るカップリングギア30が設けられている。また、供給ローラ24を駆動する供給ギア31と、現像ローラ25を駆動する現像ギア33がそれぞれ設けられている。まず、画像形成装置からの駆動をカップリングギア30が受け取ると、カップリングギア30により駆動される供給ローラのギア31が回転し、供給ローラ24が回転する。画像形成装置本体の駆動回転方向は正方向、逆方向いずれも回転可能であり、供給ギア31もカップリングギア30を介し、正方向、逆方向いずれも回転可能である。カップリングギア30はワンウェイクラッチ32へも駆動伝達する。ワンウェイクラッチ32は正方向である画像形成動作時の方向へ回転した場合のみ、現像ローラのギア33と係合して現像ギア33に駆動伝達し、現像ローラ25を回転させる。以上説明したように、本実施例では、現像ローラ25に駆動伝達するギアが、矢印R4方向の逆方向には噛まないようになっており、供給ローラ24の逆方向回転時に現像ローラに駆動伝達されないことで逆方向回転時のトナー漏れを防いでいる。ただし、後述するように、トナー切れの時期や現像装置の交換時期を精度良く検知する上では差分検知シーケンスを実行すればよく、現像ローラが矢印R4方向の逆方向に回転駆動されないことは必須ではない。また、本実施例では、供給ローラへの駆動伝達にカップリングギアを介しているが、後述するように、異なる供給ローラの回転方向を含む回転後の静電容量を測定するためには、供給ローラ24を逆回転駆動することができる構成であれば良い。例えば、供給ローラ24をカップリングギアを介さずに独立して駆動できる手段を設けても構わない。
ここで、供給ローラ24が所定の回転方向で回転している際の、供給ローラ24のウレタンスポンジ層とその周りの空気中に分散されたトナーの挙動を解説する。
まず正方向である矢印R5方向に供給ローラ24が回転している時の挙動を述べる。正方向回転時には、図20(a)に示すように、供給ローラ24と現像ローラ25の接触位置に対して、供給ローラ24の回転方向上流側にある領域(図2中のXの近傍)で供給ローラ24が圧縮され、回転方向下流側にある領域(図2中のYの近傍)で圧縮状態から開放される。ここで、X近傍においては、供給ローラ24が圧縮されるために、供給ローラ24に吸い込まれていたトナーが空気と共に吐き出される。逆に、Y近傍においては、供給ローラ24が圧縮状態から開放され元の形状に戻る際に、空気中に分散されたトナーが供給ローラ内に吸い込まれていく。
次に供給ローラ24が矢印R5方向の逆方向である矢印R6方向に回転している時のトナー挙動を説明する。逆方向回転時には、図20(b)に示すように、供給ローラ24と現像ローラ25の接触位置に対して、供給ローラ24の回転方向上流側にある領域(図2中のYの近傍)で供給ローラ24が圧縮され、回転方向下流側にある領域(図2中のXの近傍)で圧縮状態から開放されるため、正方向回転時とはトナーの吐き出し位置と吸い込み位置が逆になる。つまり、X近傍においては、供給ローラ24が圧縮状態から開放され元の形状に戻る際に、空気中に分散されたトナーが供給ローラ内に吸い込まれていく。逆に、Y近傍においては、供給ローラ24が圧縮されるために、供給ローラ24に吸い込まれていたトナーが空気と共に吐き出される。
このように、正方向回転時にはY部でトナーを吸い込みX部でトナーを吐き出す動作が行われるのに対し、逆方向回転時にはX部でトナーを吸い込みY部でトナーを吐き出すという、正方向回転時とは逆の動作が行われている。
このトナーの出入りがスムーズに行われる条件下では、供給ローラ24の近傍に堆積している粉流体としてのトナーの圧力と供給ローラ24内の粉流体としてのトナーの圧力が均衡し、供給ローラ24内部に保持されるトナー量と、現像剤容器内のトナー総量との間に一定の相関関係が現れる。よって、供給ローラ24のシャフト29と現像ローラ25間の静電容量は、単に供給ローラ24内部に保持されるトナー量を示すだけでなく、現像剤容器内のトナー総量を推測することができる(特許文献1参照)。なお、トナーの出入りは供給ローラ24の回転時のみ起こり、回転停止後の供給ローラ24は回転中のトナー量を維持している。この状態で現像装置5を移動する、姿勢を変えるなどしても供給ローラ24内部に保持されるトナー量は変化しない。
続いて、本実施例における現像装置のトナー残量測定方法について述べる。
本実施例では、トナー残量が多いときは、露光手段の発光量を算出することのできるピクセルカウント計数手段(ピクセルカウンター)を用いて、大まかなトナー使用量を推定する。1ピクセルカウントあたりのトナー使用量を本体メモリに記憶しておき、ピクセルカウンターでカウントされたピクセルカウント積算値からトナー使用量を推定する。ピクセルカウント積算値は、現像装置5に設けられた記憶手段であるメモリ23に記憶される。そして、トナー残量が比較的少なくなってきたら、トナー切れの時期や現像装置の交換時期を精度良く検知するために、静電容量を用いた差分検知シーケンス(後で詳述)を実行する。
以下、トナー残量測定のフローを、図4を用いて具体的に説明する。
画像形成時に、ピクセルカウントを計測する(S002)。画像形成動作終了時に、計測したピクセルカウントを積算し積算値Pcountを算出する(S003)。次に、積算値Pcountが所定値Pthに到達しているかを判断(S004)し、到達していると判断したときには上記静電容量を用いたトナー残量測定シーケンス(差分検知シーケンス)を起動させる(S005)。到達していないときには、PcountがPth以上になるまで通常の画像形成を継続する(S006)。
本実施例では、1回目の差分検知シーケンスの実行タイミングを、以下のように設定している。トナー残寿命0%のときに達するであろうピクセルカウント積算値P0%に対して20%少ない積算値をPthとした。(式1を参照)
Pth=P0%×0.8・・・・式1
このように、トナー切れ時のトナー残量よりも多いトナー残量のところで1回目の差分検知シーケンスの実行タイミングを設定している理由は以下である。トナー使用量のばらつきによってピクセルカウントで推測するトナー残量にはばらつきが生じる。このばらつきを考慮して、濃度薄画像や白抜け画像の発生前に確実に差分検知シーケンスを実行する必要がある。そのため、ピクセルカウントでトナー切れと推定するよりも若干早いタイミングで差分検知シーケンスを実行している。
また、2回目以降については、後述する算出方法によって、Pthを再計算し直し、新たに設けられたPthに達したときに、差分検知シーケンスを実行するようにしている。このようにすることで、少ない実行回数でトナー切れを検知することが可能となる。なおトナー切れとは、現像装置内にトナーが全く無い状態を指すのではなく、維持したい水準の画像品質を維持することが難しくなるようなトナー残量を指し、適宜設定される量である。以降トナー切れを上記の意味で用いることとする。
なお、本実施例では、トナー残量が多い時期には、大まかなトナー残量を短時間で推測するためにピクセルカウント方式を用いたが、トナー切れの時期や現像装置の交換時期を精度良く検知する上では差分検知シーケンスを実行すればよく、ピクセルカウント方式は必須ではない。例えば画像形成を所定枚数行うごとに差分検知シーケンスを実行してもよいし、他のトナー残量測定方式によって差分検知シーケンスの起動タイミングを決めても良い。
次に、差分検知シーケンスを実行する上で必要な、静電容量測定方法について説明する。まず静電容量を測定する構成として、図3に示すように、シャフト28に検知用の電圧印加手段が、シャフト29に検知回路が接続される。静電容量検知用の交流バイアスは、周波数50KHz、ピーク間電圧Vpp=200Vとした。そして静電容量測定時は、現像ローラ25のシャフト28に所定の交流バイアスを印加して、供給ローラ24のシャフト29に誘起される交流電圧からシャフト間の静電容量を検知する(シャフト28とシャフト29は、一方に交流バイアスを印加して、他方から出力を検出すればよいため、シャフト29に交流バイアスを印加して、シャフト28に誘起される交流電圧からトナー残量測定を行っても構わない)。シャフト29に誘起される交流電圧は、検知回路で整流され、整流されたDC電圧そのものか、前記DC電圧を数値化した信号情報が出力値として出力される。ここで出力された値は、シャフト28とシャフト29の間の静電容量を表し、この静電容量はシャフト28とシャフト29の間にあるトナーの量を反映する。図17に供給ローラ内のトナー量と、シャフト28とシャフト29との間の静電容量の関係を示す。トナーの誘電率は空気に対して3倍前後であるため、シャフト28とシャフト29の間にあるトナーの量が増えるほどシャフト28とシャフト29の間の静電容量も増加する。その関係はほぼ線形の関係にある。
なお、本実施例では、静電容量の検知を行う際は、感光ドラム1と現像ローラ25を離間し、現像ローラ25が停止した状態で行なっている。これにより感光ドラムの電位などの影響を軽減し、安定した状態での静電容量を測定している。ただし、後述するように、静電容量の差分を取って環境が静電容量に与える影響をキャンセルするためには、異なる回転方向の回転を含む動作をした後の静電容量を測定すればよく、例えば感光ドラム1と現像ローラ25が接触した状態や、現像ローラ25と供給ローラ24が回転した状態で静電容量の測定を行っても良い。
以下に、図5を用いて、本発明の特徴である差分検知シーケンスについて説明する。現像装置のピクセルカウント積算値PcountがPthに到達した場合、現像動作終了後、差分検知シーケンスを実行する(S005、S100)。最初に、現像駆動伝達可能な状態にして(S101)、正方向(矢印R5方向)に供給ローラを所定時間回転させる(S102)。本実施形態では、回転時間は15秒とした。ここで用いる回転速度は通常画像形成時に使用する回転速度とした。ここでは、長時間回転させることにより供給ローラのウレタンスポンジ層からトナーが吐き出された状態にしていると共に、供給ローラ内のトナー量を安定させている。15秒の回転後、現像ローラを感光ドラムから離間し、現像ローラと供給ローラの回転を停止する(S103)。その後第1の静電容量Cv1を測定する(S104)。
次に、再度、現像駆動伝達可能な状態にし(S105)、逆方向(矢印R6方向)への供給ローラの回転を含んだ第2の回転を行う。本実施形態では、逆方向、正方向、逆方向、正方向、逆方向の順に1秒ずつ計5秒回転させ(S106、S107、S108、S109、S110)た。ここで用いる回転速度は、回転方向の違いを除けば、通常画像形成時に使用する回転速度と同じとした。ここでは、後述するように、複数回異なる方向に回転させることにより静電容量Cv1測定時よりも供給ローラのウレタンスポンジ層にトナーが多く含まれた状態にしている。所定時間回転後、トナー残量測定を行うために、現像ローラを感光ドラムから離間し、現像ローラと供給ローラの回転を停止する(S111)。その後、第2の静電容量Cv2を測定する(S112)。
このように検出された静電容量Cv1とCv2の差分の絶対値|Cv1−Cv2|をΔCとすると、ΔCと現像装置内のトナー残量との関係は図6のようになる。トナー残量測定は、とくにトナー切れのタイミングを精度良く検知する必要があるため、トナー残量が相応に減っている状態で測定した。したがって、図におけるトナー残量の「多い」「少ない」は、トナー残量が相応に減っている状態の中での相対的な表現である。(なお、後出の図8,9,10,14,15,16においても「多い」「少ない」は同様の意味で用いた。)図6によると、ΔCとトナー残量は相関関係があることがわかる。トナー残量が多いところではΔCが大きいのだが、トナー残量が少なくなるにしたがってΔCが小さくなる。したがってΔCを計測することで、この相関関係を利用することにより、トナー残量を測定することが可能となる。
PcountがPthに到達し(S200)、差分検知シーケンスを実行(S201)してΔCを算出(S202)した後の動作について図7を用いて説明する。ΔC算出後に、ΔCが閾値ΔCth以下であるかを判断する(S203)。ΔCが閾値ΔCth以下であるとき(S203Yes)、トナー切れ信号を報知する(S204)。ここでの報知の内容は、トナーが所定量を下回ったことや、現像装置の交換を促す報知であって、例えば「トナーが少なくなりました。」「トナー切れです。」「カートリッジ(現像装置)を交換してください。」等の表示があげられる。また、閾値を複数設定することで段階的なトナー量を検知することも可能である。このようにすることで、ユーザーにトナー残量を段階的に報知することができる。一方、ΔCがΔCth以下に達していないときには(S203No)、ΔCとΔCthの差分ΔDを算出し(S205)、Pthを再設定する(S206)。そして図4のS000もしくはS001に戻り、ピクセルカウント積算値Pcountが新たに設定されたPthに到達するまで画像形成を継続する(S207)。Pthに到達した際に、2回目の差分検知シーケンスを実行し、算出されたΔCをもとにまた図7の動作を行う。
次にΔDからPthを再設定する方法について説明する。トナー残量とΔCの関係は図8のような関係になる。この関係から予め近似直線を算出しておき、画像形成本体の記憶手段にこの近似直線データを記憶しておく。ΔDと予め記憶された近似直線データからトナー切れに達するまでに使用可能なトナー量Xgを算出する。そのトナー量Xgを使用するときに、積算されると想定するピクセルカウントPxを算出する。今までのPthにPxを足した値であるPth’を新たなPthとして再設定する。再設定されたPthにピクセルカウント積算値Pcountが達したときに、2回目の差分検知シーケンスを実施する。その後も、ΔCがΔCth以下に達していないときには、S200からS203、そして、S205からS207までのフローを繰り返し、ΔCがΔCth以下になるまでこの動作を繰り返す。
ここで、静電容量の差分と容器内トナー量の相関関係について、現像装置内の観察結果をもとに、その物理的意味について推察する。
本発明者らは、供給ローラの回転方向を変えることで、トナー残量と供給ローラ内トナー量の関係が変化する現象を発見した。容器内トナー量に対する、供給ローラの異なる回転方向を含む回転(第1・第2の回転)をさせたときの、供給ローラ内のトナー含有量の関係を図9に示す。容器内トナー量が多い状態(ポイントA)では、正方向と逆方向に交互に回転させる第2の回転後の方が多くトナーを含有していて、正方向の回転のみの第1の回転後のトナー含有量との差が大きい。容器内トナー量が少なくなるにつれて、第1の回転後(正回転)、第2の回転後(正逆交互回転)ともに、供給ローラ内のトナー量が少なくなり、容器内トナー量が非常に少ない状態(ポイントB)では、第1と第2の回転後でほぼ同じトナー含有量を示している。
上記現象には、前述したような供給ローラの正回転と逆回転での、供給ローラのトナーの吸い込み位置と吐き出し位置が逆になることが影響していると考えられる。以下に上記現象が起こるメカニズムを推察する。
本発明者らの観察結果から、トナーがある程度少ない時(供給ローラがトナーに完全に埋まらないようなトナー量)において、正方向の回転後には、X部に貯まっているトナー量が多いことがわかった。また逆に、逆方向の回転後には、Y部に貯まっているトナー量が多いことがわかった。これは、吐き出し部(正回転ではX部)に供給ローラ内から吐き出されたトナーが供給ローラ周りに供給ローラの頂点を乗り越えず、吸い込み部(正回転ではY部)へ移動せずに貯まるためである。この状態から回転方向を変えた場合、吐き出し位置だった所が吸い込み位置となるために、吸い込むトナーが多く存在することになり、供給ローラ内にトナーをより含むことになる。
また、上記現象は、トナーが少ないときのみではなく、トナーが多い(供給ローラがトナーに完全に埋まるようなトナー量)時も起こる。これは、トナーの密度が変わることに起因すると考えられる。つまり、吐き出し部のトナーの密度は供給ローラから吐き出されるトナーにより高くなり、吸い込み部のトナー密度は逆に、供給ローラ内に吸い込まれるために疎となる。この状態から回転方向を変えた場合、吐き出し位置だった所が吸い込み位置となるために、吸い込むトナーが多く存在することになり、供給ローラ内にトナーをより含むことになる。さらに、正逆交互の回転を繰り返すことにより、吐き出し位置と吸い込み位置が逆になり、吐き出したトナーが吸い込み位置にくることが繰り返されるため、より顕著にこの傾向が現れる。上記現象が起こるメカニズムの説明は以上である。
結果として、ある程度容器内のトナーが残っている状態(図9のポイントA)では、正回転後と逆回転を交互に行う第2の回転後の方が、正回転させた第1の回転後より供給ローラ内のトナー量が多くなっている(静電容量が大きくなっている)。ここで、吸い込まれるトナーは、長い時間回転すると吐き出し位置より吐き出されてしまうが、吸い込み位置のトナー量が減らない短い時間の回転であれば、供給ローラ内に含まれた状態となる。そのために本実施例では、1秒ごとに供給ローラの回転方向を変化させた。
なお、容器内のトナー量が非常に少ない状態(図9のポイントB)のときは、正回転においても逆回転においても、吸い込み部と吐き出し部の両方のトナーがほとんど無くなっている。したがって、供給ローラの回転方向を変えても、供給ローラにトナーを吸い込むことが困難となる。言い換えると、容器内のトナー量がポイントAからポイントBに減るにつれて、第1の回転後と第2の回転後とで、供給ローラ内のトナー量の差が生じにくくなる。
これらの結果から、容器内トナー量と静電容量の関係は図9のようになり、その差分をとると図6のような結果となる。
以上を踏まえた上で、本発明の効果について、詳細に説明する。図10(a)に、高温高湿環境(30℃・80%RH:以下、H/Hと称す)、低温低湿環境(15℃・10%RH:以下、L/Lと称す)における、容器内トナー量と、正方向の回転(第1の回転)後と正逆交互の回転(第2の回転)後の静電容量の関係を示す。H/Hの測定値は、L/Lの測定値に対して、高い静電容量を示していることが分かる。しかし、各回転後の静電容量の差分を測定すると、図10(b)にあるようにH/HとL/Lでほぼ変わらない結果となっている。上記の結果によると、温度や湿度が静電容量に与える影響は、供給ローラの回転方向を変化させても同程度の影響であるため、残量検知のパラメータとして回転方向を変えて供給ローラ内トナー量を変化させた際の静電容量の差分を用いれば、環境の変化が静電容量に与える影響をキャンセルできる。したがって、本実施例の差分検知方式を用いてトナー残量測定を行うことで、温度・湿度環境が変化しても、温度センサや湿度センサを用いることなく、高精度なトナー残量測定を行うことが可能となる。これにより、トナー残量が所定量を下回ったことや、現像装置の交換時期を、温度・湿度環境が変化しても、温度センサや湿度センサを用いずに、ユーザーに精度良く報知することができる。
また、別の効果としては、以下がある。
従来は、供給ローラの発泡層中のトナー量が直前の印字履歴やトナーの堆積状態によって、出力値が変動してしまう場合があることであった。この課題に対し、本実施例にあるようにトナー残量測定を行う際に、供給ローラを所定時間回転させることで、供給ローラ内のトナー量が安定した状態を作り出せる。これによって、印字履歴などに起因する出力値の変動を抑え、高精度にトナー残量を検知することが可能となった。
なお、本実施例では、差分検知シーケンス内の、第1の回転後の供給ローラ内トナー量よりも、その後に回転させる第2の回転後における供給ローラ内トナー量の方が、含まれるようにしている。特に、本実施例のように、正逆交互に回転させた後に差分検知シーケンスを終了することで、その後の画像形成時に、供給ローラ内にトナーを多く含んだ状態にすることができる。これにより、差分検知シーケンス後に、高印字率の画像を出力しても濃度薄の画像や白抜け画像の発生を抑制することが可能となる。ただし、本発明の効果である、温度・湿度環境が変化しても高精度なトナー残量測定を行うことができるという効果を得る上では、供給ローラ回転方向をこのような順番に設定することは必須ではない。
また、本実施例では、差分検知シーケンス内の、供給ローラ内にトナーを含ませる回転方法(本実施例における第2の回転)において、回転方向を変える動作を入れることにより、さらにトナーが供給ローラ内に含まれるようにした。このように、正逆交互の回転との差分を用いることにより、容器内トナー量に対する静電容量の差分ΔCの傾きが大きくなる。そして静電容量の差分ΔCの傾きが大きくなると、差分ΔCを検知する時のばらつきに対して、トナー残量のばらつきが小さくなり、より高精度にトナー残量の検知を行うことが可能になる。以上から、本実施例のように、供給ローラの第1の回転または第2の回転において、異なる回転方向で複数回回転することで、より高精度にトナー残量の測定を行うことが可能である。
また、本実施例では、図5のフローを連続的に行なった。これらのフローは連続的に行うことが望ましいが、環境、容器内トナー量が大きく変わっていない状態であれば、これに限ったものではない。例えば、印字率が低い画像であれば、Cv1測定とCv2測定の間に数枚印刷しても大きな影響は無い。
また、本実施形態と同様の形態のカートリッジを複数並べてフルカラー画像を得られるようにした画像形成装置に関しても同様に有効である。
(実施例2)
以下に図面を参照して、本発明の実施の形態を例示する。但し、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状それらの相対配置などは、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものであり、この発明の範囲を以下の実施形態に限定する趣旨のものではない。
実施例2で用いている画像形成装置は、実施例1で用いた画像形成装置と同構成であり、使用している現像装置5、現像ローラ25、供給ローラ24も同じ構成である。
また本実施例における画像形成装置の画像形成動作についても、実施例1と同じ動作である。
画像形成時における現像ローラの周速は矢印R4方向に160mm/sec、供給ローラの周速は矢印R5方向に140mm/secである。供給ローラ24の回転方向は、矢印R5方向を正方向としたときに、正方向とその逆方向の両方向に変えることが可能となっている。供給ローラへの逆回転駆動の駆動手段についても、実施例1と同じである。
また、本実施例でも、実施例1と同様に、現像ローラに駆動伝達するギアが矢印R4方向の逆方向には噛まないようになっており、供給ローラ24の逆方向回転時に現像ローラに駆動伝達されないことで逆方向回転時のトナー漏れを防いでいる。ただし、トナー切れの時期や現像装置の交換時期を精度良く検知する上では差分検知シーケンスを実行すればよく、現像ローラが矢印R4方向の逆方向に回転駆動されないことは必須ではない。
続いて、本実施例における現像装置のトナー残量測定方法について述べる。基本的な、トナー残量測定の方法は実施例1と同じであることから、本実施例における特徴的な部分についてのみ後述する。
本実施例では、2種類の差分検知シーケンスを持ち、トナー残量がある程度少ないと判断した所から差分検知シーケンスの駆動方法を切り替える。まずトナーが少なくなってきた時点を差分検知シーケンスにより検知し、トナー切れ前の段階として報知する(以下トナー少報知と呼ぶ)。そして、トナー少報知後に、より少ないトナー量を高精度に検知できる供給ローラ回転方法にした差分検知シーケンスを行い、トナー切れや現像装置の要交換等の情報を報知する。始めの差分検知シーケンスを差分検知シーケンスL、それによりトナーが少ないと判断したその後に行う差分検知シーケンスを差分検知シーケンスOとする。
基本的なトナー残量測定のフローは実施例1の図4と同じである。本実施例では、1回目に行う差分検知シーケンスLの実行タイミングを、以下のように設定している。トナー残寿命0%のときに達するであろうピクセルカウント積算値P0%に対して80%少ない積算値をPthとした。(式2を参照)
Pth=P0%×0.2・・・・式2
なお、このPthは実施例1と同様に差分検知シーケンス後に再設定される。現像装置のピクセルカウント積算値PcountがPthに到達した場合、トナー少報知が未報知である場合、差分検知シーケンスLを実行する。トナー少報知が済んでいる場合は、差分検知シーケンスOを実行する。
本実施例での、差分検知シーケンス時の動きについて説明する。図12に差分検知シーケンスLの流れを、図13に差分検知シーケンスOの流れを示す。
まず差分検知シーケンスLについて説明する。現像装置のピクセルカウント積算値PcountがPthに到達した場合、現像動作終了後、差分検知シーケンスを実行する(S005、S100)。最初に、現像駆動伝達可能な状態にして(S301)、第1の回転を行う。ここでは正方向(矢印R5方向)に供給ローラを所定時間回転させ(S302)、その後逆方向(矢印R6方向)に供給ローラを所定時間回転させる(S303)。本実施形態では正方向の回転時間は15秒とし、逆方向の回転時間は1秒とした。ここで用いる回転速度は通常画像形成時に使用する回転速度とした。正回転時においては、長時間回転させることにより供給ローラのウレタンスポンジ層からトナーが吐き出された状態にしていると共に、供給ローラ内のトナー量を安定させている。所定時間回転後、トナー残量測定を行うために、現像ローラを感光ドラムから離間し、現像ローラと供給ローラの回転を停止する(S304)。その後第1の静電容量Cv1を測定する(S305)。
次に、再度、現像駆動伝達可能な状態にし(S306)、第1の回転と異なる回転方向である正方向(矢印R5方向)への供給ローラの回転を含んだ第2の回転を行う。本実施形態では、正方向、逆方向、正方向、逆方向の順に1回ずつ計4回回転させ(S307、S308、S309、S310)、回転時間はそれぞれ1秒とした。ここで用いる回転速度は、回転方向の違いを除けば、通常画像形成時に使用する回転速度と同じとした。ここでは、後述するように、複数回異なる方向に回転させることにより供給ローラのウレタンスポンジ層にトナーが吸い込まれた状態にしている。所定時間回転後、トナー残量測定を行うために、現像ローラを感光ドラムから離間し、現像ローラと供給ローラの回転を停止する(S311)。その後、第2の静電容量Cv2を測定する(S312)。
このように検出された静電容量Cv1とCv2の差分の絶対値|Cv1−Cv2|を算出し、これをΔCとする。算出されるΔCは図15のようになる。図11に、ΔCを算出した後の動作を示す。差分検知シーケンスLの閾値であるΔCthは、トナー少報知に対するターゲット残量を基準に定められている。ΔCがΔCth以下になった場合(S504Yes)には、「トナーが少なくなりました。」「カートリッジ(現像装置)の交換時期が近づいています。」等のトナー少報知を行う(S505)。そして、次に行うトナー切れ検知のための差分検知シーケンスOのタイミング決定のために、ΔCとΔCthの差分ΔDを算出し(S506)、Pthを再設定する(S507)。ここでの設定方法については後に詳述する。一方、ΔCがΔCth以下に達していないときには(S504No)、PthにP0%×0.2の値を足した値を再設定する。このようにピクセルカウント値を用いてトナーがある程度使用されたときに差分検知シーケンスをまた実行することで、簡易な制御でトナー少報知を行うことができる。ただしピクセルカウント方式が必須ではなく、その他のトナー残量検知方式を用いても良い。Pthが再設定された後、図4のS000もしくはS001に戻り、ピクセルカウント積算値Pcountが新たに設定されたPthに到達するまで画像形成を継続する(S206)。Pthに到達した際に、トナー少未報知であれば(S501Yes)2回目の差分検知シーケンスLを、トナー少報知済であれば(S501No)差分検知シーケンスOを、実行し、算出されたΔCをもとにまた図11の動作を行う。差分検知シーケンスLにおいて、ΔCがΔCth以下に達していないときには、S500からS504、そして、S508からS509までのフローを繰り返し、ΔCがΔCth以下になるまでこの動作を繰り返す。
次にトナー少報知時の次回差分検知シーケンスOの実行タイミングの決定方法について図16を用いて説明する。ΔDからPthを再設定する方法について説明する。トナー残量とΔCの関係は図15のような関係になる。この関係から予め近似直線を算出しておき、画像形成本体の記憶手段にこの近似直線データを記憶しておく。ΔDと予め記憶された近似直線データからトナー切れに達するまでに使用可能なトナー量Xgを算出する。そのトナー量Xgを使用するときに、積算されると想定するピクセルカウントPxを算出する。今までのPthにPxを足した値であるPth’を新たなPthとして再設定する。再設定されたPthにピクセルカウント積算値Pcountが達したときに、差分検知シーケンスOを実施する。
次に差分検知シーケンスOについて説明する。第1の静電容量の測定までは、実施例1における差分検知シーケンスと同じである(S401、S402、S403、S404)が、第2の回転は、逆回転1回に留めている(S405、S406)。回転時間は1秒とし、ここで用いる回転速度は、回転方向の違いを除けば、通常画像形成時に使用する回転速度と同じとした。ここでは、より短い時間で差分検知シーケンスを行うために、逆回転1回のみで供給ローラにトナーが含まれた状態にしている。所定時間回転後から、第2の静電容量Cv2の測定までも実施例1と同じである(S407、S408)。
このように検出された静電容量Cv1とCv2の差分の絶対値|Cv1−Cv2|を算出し、これをΔCとする。算出されるΔCは図15のようになる。ΔCの算出後からトナー切れ検知までの動作は実施例1と同じである。ここで差分検知シーケンスOの閾値ΔCth’は、差分検知シーケンスLの閾値ΔCthとは別に設定される値である。
図14に示すように、差分検知シーケンスLのΔCよりも、差分検知シーケンスOのΔCの傾きが大きいことが分かる。これは、差分検知シーケンスLでの供給ローラ内トナー量の少ない第1の回転でトナーを1回逆回転により含む動作をしており、差分が小さくなっているからである。ただしその分、差分検知シーケンスLでは、実施例1の正回転のようにトナーを吐き出す動作をした後との差分を取らないために、トナー残量の広い範囲に対して、より一定な直線関係を保っている。これは、異なる回転方向でトナーを供給ローラ内に含む場合には、トナーが吸い込み位置に必ず存在するが、一方向の回転では、トナーが少ない場合にトナーが吸い込み位置に、吐き出し位置から供給ローラの頂点を乗り越えて供給されない現象が起こるからである。
このように、まずトナーが多い状態では差分シーケンスLの供給ローラ回転方法にすることでトナー切れ前の段階検知を精度良く行うことができる。さらに、トナー切れ検知を差分検知シーケンスOの供給ローラ回転方法にすることで容器内トナー量に対する静電容量の差分ΔCの傾きが大きくなる。すなわち、容器内トナー量に対するΔCの感度が高くなり、より高精度にトナー残量の検知を行うことが可能になる。以上から、本実施例のように、差分検知シーケンスにおける回転方法を、検知したいトナー残量によって変化させることで、より高精度なトナー切れの検知を行うことや、より供給ローラの回転時間を短縮したシーケンスの実行などが可能である。
実施例1、2の差分検知シーケンスに共通する効果である、温度・湿度環境が変化しても高精度なトナー残量測定を行うことができるという効果を得るためには、供給ローラの回転方向を変化させることで供給ローラの発泡層に含まれるトナー量を変化させることが必要である。すなわち、供給ローラを第1の回転方向に回転させた後に静電容量Cv1を検知し、次いで、供給ローラを第2の回転方向に回転させた後に静電容量Cv2を検知することで、|Cv1−Cv2|をパラメータとしたトナー残量測定を実行することができる。