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JP5598085B2 - 変速伝動ユニット - Google Patents
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Description

本発明は、車輪を個々の電動モータにより駆動して走行可能な電気自動車に用いられる車輪ごとの駆動ユニット(インホイールモータユニットと俗称される)等に有用な変速伝動ユニットに関するものである。
かかる変速伝動ユニットとしては従来、インホイールモータユニットとして構成した例えば特許文献1に記載のようなものが提案されている。
このインホイールモータユニットは、減速機を用いることで高回転の小型伝動モータを利用することを可能としている。この場合、減速機としては遊星歯車組式の減速機を用い、このため同軸に突き合わせて対向配置した入力軸および出力軸を有する。かかる減速機の軸線方向一方側(車体内側)において上記入力軸に電動モータを結合し、軸線方向他方側(車体外側)において上記出力軸に車輪を結合したものである(特許文献1参照)。
かかるインホイールモータユニットを駆動車輪ごとに具える電気自動車にあっては、電動モータを駆動するとき、その回転が減速機による減速下で車輪に伝達され、車両を走行させることができる。
ところで減速機の、同軸に突き合わせて対向配置した入力軸および出力軸を回転自在に支承するに際しては、軸寸短縮のために、入力軸および出力軸の同軸突き合わせ端部を相互に相対回転可能に貫入させ合って入出力軸間軸受嵌合部を設定すると共に、この入出力軸間軸受嵌合部から軸線方向に離間した入力軸および出力軸の箇所をそれぞれ、インホイールモータユニットのケースに軸受して当該入出力軸の支承を行っている。
特開2008−037355号公報(図1,7)
しかし、かかる減速機入出力軸の支承構造にあっては、その入力軸および出力軸の同軸突き合わせ端部を相互に相対回転可能に嵌合させ、この入出力軸間軸受嵌合部から軸線方向に離間した入力軸および出力軸の箇所をそれぞれユニットケースに軸受するため、以下のような問題が発生する。
つまり、旋回走行時などにおいて車輪接地面から車輪へ横力(車幅方向荷重)が入力されると、出力軸はそのユニットケース側軸受部を支点として傾く傾向となる。
かかる車輪横力による出力軸の傾き(倒れ)は、上記の入出力軸間軸受嵌合部を経て入力軸におよび、入力軸をそのユニットケース側軸受部の周りので対応する方向へ傾倒させ、上記の入出力軸間軸受嵌合部において入力軸および出力軸間に軸交角を生じさせる。
ところで、入力軸および出力軸間は以下のような遊星歯車組式の減速機により駆動結合させてある。したがって、入出力軸の過度の傾斜は、減速機の回転要素間の噛み合いを悪化させ、部品間の耐久性劣化やノイズの発生をもたらすことになる。
本発明は、上記問題点に鑑みなされたもので、出力軸に車輪横力などの過度の外部入力が入った場合でも、入出力軸間が大きく傾斜することで発生する減速機等の変速機構の回転要素間の噛み合いが悪化したり、伝動モータ等の相対回転部品が相互に接触したりして起こる不具合を抑制することができる変速伝動ユニットを提供することを目的とする。
この目的のため、本発明の変速伝動ユニットは、以下のごとくにこれを構成する。
先ず、本発明の前提となる変速伝動ユニットを説明するに、これは、入力軸および出力軸の同軸突き合わせ端部を相互に相対回転可能に貫入させ合って入出力軸間軸受嵌合部を設定すると共に、この入出力軸間軸受嵌合部から軸線方向に離間した入力軸および出力軸の箇所をそれぞれユニットケースに軸受し、入力軸および出力軸間を変速機構により駆動結合したものである。
本発明は、かかる変速伝動ユニットにおいて、入力軸および出力軸のうちの少なくとも一方の軸に当接することで入力軸および出力軸の軸の傾きを規制する当て面を設けるとともに、この規制する傾きより小さい傾きの範囲では、上記一方の軸と当て面との間に入力軸および出力軸の傾きを許容する隙間を形成し、当て面を、ユニットケースの、車輪のホイールハブを回転自在に支持するハブ軸受と駆動ユニットとの間に配置されたシールド部に設け、シールド部が、駆動ユニットとハブ軸受とを分離するオイルシールを有し、このオイルシールを、当て面に対し駆動ユニット側に設けるように構成した点に特徴づけられる。
かかる本発明の変速伝動ユニットによれば、出力軸に作用する外部入力が小さく出力軸の傾斜が許容範囲内で小さいときは、上記隙間により一方の軸と当て面との間に入力軸および出力軸の傾きを可能とする一方、外部入力が過大となって出力軸が大きく傾くときは、入力軸および出力軸のうちの少なくとも一方の軸に設けた当て面に当接することで入力軸および出力軸の傾きを規制する。
従って、本発明によれば、出力軸に車輪横力などの過度の外部入力が入った場合でも、入出力軸間が大きく傾斜することで発生する変速機構の回転要素間の噛み合いが悪化したり、伝動モータ等の相対回転部品が相互に接触したりして起こる不具合を抑制することができる。したがって、変速機構等の作動不良を防止できるのみならず、相対回転部品の干渉を抑制して、変速伝動ユニットの耐久性を向上させることが可能となる。また、シールド部が、駆動ユニットとハブ軸受とを分離するオイルシールを有し、このオイルシールを、当て面に対し駆動ユニット側に設けるようにしたので、オイルシールにてユニットケースの内部と外部とを、したがって電動モータおよび変速機構からなる駆動ユニットとその外の軸受とを、分離し、それぞれのオイルやグリースが混入するのを抑制することが可能となる。
本発明に係る第1実施例のインホイールモータユニットとして構成した変速伝動ユニットを示す縦断側面図である。 図1におけるインホイールモータユニットの要部拡大詳細断面図である。 本発明に係る第2実施例のインホイールモータユニットとして構成した変速伝動ユニットを示す縦断側面図である。 図3におけるインホイールモータユニットの要部拡大詳細断面図である。 本発明に係る第3実施例のインホイールモータユニットとして構成した変速伝動ユニットを示す縦断側面図である。 図5に示すインホイールモータユニットで用いられる当て面付きメタルブッシュを示す拡大正面図である。 出力軸の限界傾倒時における、第1実施例〜第3実施例のインホイールモータユニットの入出力軸等の傾斜の様子を模式的に示した図である。
以下、本発明の実施の形態を、図面に示す実施例に基づき詳細に説明する。
<第1実施例の構成>
図1,2は、インホイールモータユニットとして構成した本発明の第1実施例になる変速伝動ユニットを示し、図1は、その縦断側面図、図2は、その要部拡大詳細断面図である。
これらの図に示すように、本実施例のインホイールモータユニットは、電気自動車などの車両の前後左右輪ごとに設けられ、それぞれユニットケース3、電動モータ4、遊星歯車組式減速機5(以下、単に「減速機」と言う)を有する。
ユニットケース3は、インホイールモータユニットのケース本体1と、このケース本体1のリヤ側(車体内側)に複数箇所でボルトにて組み付けるリヤカバー2と、ケース本体1のフロント側(車体外側)に複数箇所でボルトにて組み付けるシールド部材30と、から構成する。ユニットケース3の内部には、電動モータ4および減速機5を組み込んで収納する。なお、電動モータ4と減速機5とは、本発明の駆動ユニットに相当し、シールド部材は本発明のシールド部に相当する。
電動モータ4は、ケース本体1の円環状内周面に嵌合して固設した円環状のステータ6と、かかる円環状ステータ6の内周面に対し半径方向のギャップを持たせて回転可能に円環状ステータ6と同心配置したロータ7と、で構成する。
減速機5は、本発明における変速機構に相当するもので、本実施例では同軸に突き合わせて対向配置した入力軸8および出力軸9と、入力軸8のフロント側の同軸突き合わせ端部8a寄りの外面に一体形成したサンギヤ11と、このサンギヤ11の半径方向外側で、かつ軸方向に出力軸9側へ寄せて同心配置した状態でケース本体1に固定したリングギヤ12と、サンギヤ11に噛み合う大径ピニオン部13aおよびこれと一体に形成されてリングギヤ12に噛み合う小径ピニオン部13bとからなる複数(本実施例では3個)の段付きプラネタリピニオン(段付きピニオン)13と、これら段付きプラネタリピニオン13を回転自在に支持するキャリア14と、により構成する。
入力軸8は、このリヤ側部分をサンギヤ11からリヤカバー2に向かって延在させ、その中間部分にロータ7を固着支持するフランジ7aの内周側部分をボルト固定する。
一方、出力軸9は、そのフロント側部分を減速機5から入力軸8とは反対方向(フロント側)に延在させて、ケース本体1のフロント側端、すなわちシールド部材30の開口より突出させ、この突出箇所において後述のごとく車輪15を結合する。
これら入力軸8および出力軸9は、入力軸8の同軸突き合わせ端部8aを、出力軸9のリヤ側の同軸突き合わせ端部9aに形成した孔9bに挿入し、これら両者間にニードルローラ軸受を可とする軸受16を介在させることにより、相互に相対回転可能に支持し合う入出力軸間軸受嵌合部を設定する。なお、本実施例では、軸受16は、上記の嵌合に際し、サンギヤ11と大径ギヤ部13aとが噛合すると略同じ軸線方向位置において当該嵌着を行わせる。
この入出力軸間軸受嵌合部を成す軸受16から軸線方向リヤ側、フロント側にそれぞれ離間した、入力軸8および出力軸9のそれぞれの箇所を、ボール軸受を可とする軸受17および複列アンギュラ軸受を可とする軸受18で、ユニットケース3に軸受する。なお、軸受18は、ケース本体1の前端開口を塞ぐ端蓋19の内周と、ケース本体1の前端開口から突出する出力軸9の突出部に嵌着したホイールハブ21の外周との間に介在させる。
リングギヤ12は、ケース本体1の前端開口内に回転止め、且つ抜け止めして固設する。段付きプラネタリピニオン13は、3個一組として円周方向等間隔に配置し、この円周方向等間隔配置を保って段付きプラネタリピニオン13を共通なキャリア14により回転自在に支持する。ピニオンキャリア14は、キャリアプレート14a、14bと、これら間を連結し、段付きプラネタリピニオン13を回転自在に支持するキャリアピン14cと、からなる。
本実施例ではフロント側のキャリアプレート14aは出力軸9の入力軸8に近いリヤ側端部に出力軸9と一体形成し、減速機5の出力回転メンバとする。このため、キャリア14および段付きプラネタリピニオン13は、出力軸9から入力軸8側へ張り出して出力軸9に結着されることとなる。
次に、車輪15の出力軸9への結合構造を説明する。
ホイールハブ21と、これに同心で取り付けるブレーキディスク22のロータの内周側部分には、周方向に沿って所定距離離した孔を設け、これらのボルト孔を貫通して軸線方向に突出するよう複数個のホイールボルト23をホイールハブ21に植設する。
車輪15の取り付けに際しては、そのホイールディスクに穿ったボルト孔にホイールボルト23が貫通するよう位置合わせを行って当該ホイールディスクをブレーキディスク22の側面に密接させ、この状態でホイールボルト23にホイールナット24を緊締螺合することにより、出力軸9に対する車輪15の取り付けを行うように構成している。
ホイールハブ21にボール軸受17を介してこの外側に配置した支持部21aの外周端部とケース本体1との間には、半径方向内側へ入力軸8に向かって伸びる円環状のシールド部材30をボルトにて共締めする。このシールド部材30の内周側は折り曲げてオイルシール31を固定し、その先端が入力軸8の外周面に接触させる。これにより、オイルシール31にてユニットケース3の内部と外部とを、したがって電動モータ4および減速機5からなる駆動ユニットとその外の軸受18とを、分離し、それぞれのオイルやグリースが混入するのを抑制することが可能となる。
シールド部材30の内周側端部には、円筒状のメタルブッシュ32を固着する。このメタルブッシュ32は、この内周面が入力軸8の外周面に対し半径方向へ隙間33を有して対向するようにしている。この環状の隙間33の大きさは、後述するように、外部から過大な入力が出力軸9に作用して出力軸9がこのケース本体1の軸受18を支点として大きく傾斜したとき、出力軸9の外周面を、メタルブッシュ23の内周面(当て面)に当てて、出力軸9および入力軸8がそれ(限界傾斜角)以上の傾斜が生じないようにして減速機や他の周辺部品へ悪影響がでない許容範囲内となる大きさに設定しておく。
この隙間33の大きさは、本実施例では、たとえば図7に示すように0.25mm程度とする。第1実施例の場合、後述する第2、第3の実施例に比べて、当て面は、出力軸9が外部入力を受けたときの支点となる軸受18に最も近いので、隙間33の半径方向寸法は小さくなる上、加工、組み付け上のばらつきからみても小さく設定する必要がある。なお、図1,2では、理解しやすいように隙間33の大きさを誇張拡大して描いてある。
メタルブッシュ23の当て面は、同図から分かるように、オイルシール31より車輪15側に位置することになる。
以上のように構成したインホイールモータユニットにあっては、以下のように作用する。
<第1実施例の作用>
電動モータ4のステータ6に通電すると、これからの電磁力で電動モータ4のロータ7が回転駆動され、この回転駆動力は入力軸8を介して減速機5のサンギヤ11に伝達される。
これによりサンギヤ11は、大径ギヤ部13aを介して段付きプラネタリピニオン13を回転させるが、このとき固定のリングギヤ12が反力受けとして機能するため、段付きプラネタリピニオン13は、小径ギヤ部13bがリングギヤ12に沿って転動するような遊星運動を行う。
かかる段付きプラネタリピニオン13の遊星運動はキャリア14を介して出力軸9に伝達され、出力軸9を入力軸8と同方向に減速回転させる。
上記の伝動作用により、減速機5は、電動モータ4から入力軸8への回転を、サンギヤ11の歯数およびリングギヤ12の歯数により決まる比で減速して出力軸9に伝達する。
出力軸9への回転は、これに結合したホイールハブ21およびホイールボルト23を介して車輪15に伝達され、車両を走行させることができる。
なお車両の制動に際しては、ブレーキディスク22を軸線方向両側からブレーキパッド25で挟圧することにより車輪15を摩擦制動させて所期の目的を達成し得る。
通常の直進走行などで車輪15への横力が小さく出力軸9の傾斜角(軸受17,18を結ぶ線に対して出力軸9がなす角度)が小さい場合、出力軸9と入出力軸間軸受嵌合部で連結された入力軸8の傾斜角(軸受17,18を結ぶ線に対して入力軸8がなす角度)も小さい。したがって、この場合、減速機や電気モータ4等の回転に支障はなく順調に車輪15を回転させることができる。
一方、カーブ走行などで車輪15への横力が大きく出力軸9の傾斜角が大きくなった場合、出力軸9の外周面がシールド部材30に設けたメタルブッシュ32の内周側の当て面に当たらない範囲では、これら間の隙間33が確保される。したがって、この範囲では、減速機のギヤでの噛み合いが許容範囲以上に悪化したり、他の周辺部品が干渉したりしてインホイールモータユニットの作用に支障が及んだりその耐久性が悪化するといった問題は生じない。
また、出力軸9の傾斜角がさらに大きくなった場合、出力軸9の外周面がシールド部材30に設けたメタルブッシュ32の内周側の当て面に当たって、これらが当接した部分の隙間33はゼロとなる。この結果、出力軸9はそれ以上傾斜することはできず、この結果、出力軸9に同軸突き合わせ端部8a,9aで連結された入力軸8の傾斜もそれ以上大きくなるのを抑止される。これら入出力軸8,9の傾斜は、上述したように限界傾斜角に抑えられるので、この場合でも減速機のギヤでの噛み合いが許容範囲以上に悪化したり、他の周辺部品が干渉したりしてインホイールモータユニットの作用に支障が及んだりその耐久性が悪化するといった問題は生じない。
図7に上記限界傾斜角にある場合の入出力軸8,9等の関係を模式的に示す。図7の上半分には、第1実施例における入出力軸8,9を表す入出力線L81、L91等の関係が、また図7の下半分には傾斜角がない場合のインホイールモータユニットの構成要素を線図で描いてある。
同図に示すように、限界傾斜角の場合には、線L91で示す出力軸9は同図左上がりとなってシールド部材30のメタルブッシュ32の当て面に当接して(同図Aで示す)それ以上の傾斜角となるのを抑制される。このとき、当接箇所Aは、傾斜角ゼロの場合から半径方向外側に約0.25mm移動している。一方、入出力軸間軸受嵌合部にて軸受16にて連結された線L81で示す入力軸8は、同図中右上がりとなって、その最大傾斜角が抑えられる。
したがって、第1実施例のインホイールモータユニットでは、減速機のギヤでの噛み合いが許容範囲以上に悪化したり、他の周辺部品が干渉したりしてインホイールモータユニットの作用に支障が及んだりその耐久性が悪化することはない。なお、同図に示すように、軸受16、サンギヤ11の中心点G1、小径ピニオン13aの中心点G2等は、入出力軸8,9が傾斜する結果、それぞれ16'、G1'、G2'等で示すように軸方向へ若干移動する。
<第1実施例の効果>
以上、説明したように、第1実施例の変速伝動ユニットは、以下に列挙する効果を得ることができる。
(1)出力軸9に当接することでこの一方の軸の傾きを規制する当て面をユニットケース3のシールド部材30の内周面に固着したメタルブッシュ32の内周面で形成し、この規制する傾きより小さい傾きの範囲では、出力軸9と当て面との間に入力軸8および出力軸9の傾きを許容する隙間33を形成するように構成したので、出力軸9に過大な外部入力が作用して傾斜した場合でも、入出力軸8,9が傾斜角ゼロのときから限界傾斜角になるまでの当て面の半径方向移動距離K1は、隙間33の大きさまでで抑えられ、減速機のギヤでの噛み合いが許容範囲以上に悪化したり、他の周辺部品が干渉したりしてインホイールモータユニットの作用に支障が及んだりその耐久性を悪化させることを防止できる。よって、これらの懸念を心配する必要がなくなり、その分だけ設計の自由度が増すという付加的な効果も得られる。一方、出力軸9と当て面との間に入力軸8および出力軸9の傾きを許容する隙間33を形成するように構成したので、通常の走行状態(過大な外部入力が作用していない状態)においては軸が当面にあたらず、したがって発生する振動等による軸の倒れは許容される。よって、通常の走行状態において軸の回転が干渉されることや異音が発生することを防止できる。
(2)当て面を減速機や電気モータ4からなる駆動ユニットの外部に設けたので、当て面が出力軸9の外周面に当たることで発生するコンタミネーションが駆動ユニット内部に入るのを抑制することができる。
(3)シールド部材30に取り付けたオイルシール31を当て面に対し駆動ユニット側に設けたので、当て面や外部から駆動ユニット内部へのコンタミネーションを確実に防止できる。
(4)当て面をメタルブッシュ32により形成したので、出力軸9の回転を許容しながら、その最大傾斜角を限界傾斜角以内に規制することができる。
このため第1実施例においては、段付きプラネタリピニオン13の大径ギヤ部13aと、入力軸8上におけるサンギヤ11との噛み合い部において、殆どギヤの片当たりを生じさせることがなく、減速機5の作用に支障が及んだり、その耐久性が低下されるという懸念を払拭し得るし、相対回転部品が相互に接触するという懸念も確実に払拭することができる。
<第2実施例の構成>
次に、本発明に係る第2実施例につき、説明する。
図3,4は、第1実施例と同じくインホイールモータユニットとして構成した本発明の第2実施例になる変速伝動ユニットを示し、図3は、その縦断側面図、図4は、その要部拡大詳細断面図である。
これらの図において、図1,2におけると同様に機能する部分は同一符号を付して示し、ここでは、図1,2に示した第1実施例と異なる部分のみを説明することとし、同様な構成部分の重複説明を避ける。
本実施例は、当て面を付きメタルブッシュをシールド部材の内周面に設けた第1実施例に代えて、当て面を出力軸側に設けた点で第1実施例とは異なる。
このため本実施例にあっては、第1実施例と同様に、入力軸8および出力軸9は、入力軸8の同軸突き合わせ端部8aを、出力軸9のリヤ側の同軸突き合わせ端部9aに形成した孔9bに挿入し、これら両者間にニードルローラ軸受を可とする軸受16を介在させることにより、相互に相対回転可能に支持し合う入出力軸間軸受嵌合部を設定する。
そして、出力軸9の同軸突き合わせ端部9aに形成した孔9bの内周面に、円環状のメタルブッシュ34を、軸受16よりフロント側の位置に固定する。メタルブッシュ34の内周面は当て面を構成し、入力軸8の同軸突き合わせ端部8aの、上記軸受16よりフロント側部分との間で、半径方向に環状の隙間33を形成する。なお、本実施例では、出力軸9の限界傾斜角は第1実施例の場合より大きく設定している。また、当て面が軸受18よりリヤ側へ寄っているので、第2実施例での隙間33は、図7に示すようにたとえば0.7mm程度に設定してある。
<第2実施例の作用>
上記した図3,4に示す第2実施例においても、電動モータ4(ロータ7)の回転駆動力が入力軸8、減速機5のサンギヤ11および段付きプラネタリピニオン13、出力軸9を順次介して車輪15に伝達され、車両を走行させることができる。
通常の直進走行などで車輪15への横力が小さく出力軸9の傾斜角が小さい場合、出力軸9と入出力軸間軸受嵌合部で連結された入力軸8の傾斜角も小さい。したがって、この場合、減速機や電気モータ4等の回転に支障はなく順調に車輪15を回転させることができる。
一方、カーブ走行などで車輪15への横力が大きく出力軸9の傾斜角が大きくなった場合、出力軸9のメタルブッシュ34の当て面に、入力軸8の同軸突き合わせ端部8aの外周面が当て面に当たらない範囲では、これら間の隙間33が確保される。したがって、この範囲では、減速機のギヤでの噛み合いが許容範囲以上に悪化したり、他の周辺部品が干渉したりしてインホイールモータユニットの作用に支障が及んだりその耐久性が悪化するといった問題は生じない。
また、出力軸9の傾斜角がさらに大きくなった場合、入力軸8の同軸突き合わせ端部8aの外周面が、出力軸9の孔9b内に設けたメタルブッシュ34の内周側の当て面に当たって、これらが当接した部分の隙間33はゼロとなる。この結果、出力軸9はそれ以上傾斜することはできず、この結果、出力軸9に同軸突き合わせ端部8a,9aで連結された入力軸8の傾斜もそれ以上大きくなるのを抑止される。これら入出力軸8,9の傾斜は、上述したように限界傾斜角に抑えられるので、この場合でも減速機のギヤでの噛み合いが許容範囲以上に悪化したり、他の周辺部品が干渉したりしてインホイールモータユニットの作用に支障が及んだりその耐久性が悪化するといった問題は生じない。
上記限界傾斜角にある場合の入出力軸8,9等の関係を模式的に示す図7に示すように、限界傾斜角の場合には、線L92で示す出力軸9は同図左上がりとなって出力軸9のメタルブッシュ34の当て面に入力軸8の同軸突き合わせ端部8aが当接して(同図Bで示す)それ以上の傾斜角となるのを抑制される。このとき、当接箇所Bは、傾斜角ゼロの場合から半径方向外側に約0.7mm移動している。一方、入出力軸間軸受嵌合部にて軸受16にて連結された線L81で示す入力軸8は、同図中右上がりとなって、その最大傾斜角が抑えられる。なお、軸受16は16"で示す位置に来る。
したがって、第2実施例にインホイールモータユニットでは、減速機のギヤでの噛み合いが許容範囲以上に悪化したり、他の周辺部品が干渉したりしてインホイールモータユニットの作用に支障が及んだりその耐久性が悪化することはない。
<第2実施例の効果>
以上から分かるように、第2実施例のインホイールモータユニットは、第1実施例の上記効果(1)に加え、下記の効果を有する。
(5)メタルブッシュ34の当て面を、出力軸9の同軸突き合わせ端部9aに形成した孔9bに挿入した入力軸8の同軸突き合わせ端部8aとの間で、軸受16よりフロント側に設けたので、当て面で発生したコンタミネーションが駆動ユニット内部へ侵入するのを抑制することができる。
(6)また、メタルブッシュ34を同軸突き合わせ端部8a,9a間に配置したので、コンパクトな構造となり、インホイールモータユニットの設計自由度が大きくなる。
<第3実施例>
次に、本発明に係る第3実施例につき、以下に説明する。
図5は、第1実施例と同じくインホイールモータユニットとして構成した本発明の第3実施例になる変速伝動ユニットを示す縦断側面図、図6は、第3実施例になる変速伝動ユニットで用いる当て面付きメタルブッシュの拡大正面図である。
これらの図において、図1,2におけると同様に機能する部分は同一符号を付して示し、ここでは、図1,2に示した第1実施例と異なる部分のみを説明することとし、同様な構成部分の重複説明を避ける。
第3実施例では減速機を構成する遊星歯車機構を第1実施例同様に構成する。すなわち、減速機はサンギヤ11、リングギヤ12、段付きピストン13を回転自在に支持するピニオンキャリア14を有する。ピニオンキャリア14は、フロント側に出力軸9の同軸突き合わせ端部9aの外周から半径方向外側へ伸ばして一体形成したフロント側キャリアプレート14aと、リヤ側に設けたリヤ側キャリアプレート14bと、これら間を連結し段付きピニオン13を回転自在に支持するピニオンシャフト14cとを備えている。ピニオンシャフト14cは入出力軸8,9の軸を中心とする周回りの3カ所に等分配置されており、軸方向油孔とこれに接続した半径方向油孔とを有して、段付きピニオンを支持するニードルベアリングに油を供給するようになっている。また、この軸方向油孔は、リヤ側キャリアプレート14bに形成した半径方向油孔に接続してあり、その内周側開口部にて入力軸8の吹き出し油孔から吹き出された油を受けるようにしてある。
このリヤ側キャリアプレート14bの内周側には、円環状のメタルブッシュ35を溶接等にて取り付ける。このメタルブッシュ35の内周面は当て面を構成し、この内周面とこれと対向する入力軸8の部分との間には、半径方向に隙間33を形成する。第3実施例では、第2実施例と同様の限界傾斜角に収めるため、隙間33の大きさは、図7に示すように0.6mmに設定する。
メタルブッシュ35は、図6に示すように、円環状に形成し、ピニオンシャフト14cの位置に合わせて油孔35aを形成する。この油孔35aは、内周側をリヤ側キャリアプレート14bの油孔の径よりも拡径して油を受けやすくし、半径方向外側に向かうにしたがってリヤ側キャリアプレート14bの油孔の径程度まで縮径する。なお、メタルブッシュ35には、内周面に周に沿った油受け溝を形成するようにしてもよく、外周側にリヤ側キャリアプレート14bの油孔への油供給を容易にするため、周方向の油溝を形成するようにしてもよい。
<第3実施例の作用>
第3実施例のインホイールモータユニットにあっても、第1、第2次子異例同様に、出力軸9の傾斜が小さいときは入力軸8とリヤ側キャリアプレート14bのメタルブッシュ35との間に隙間33が確保され、順調に作動可能である。
一方、出力軸9の傾きが大きくなると、同軸突き合わせ端部8a、9aの軸受16を介して連結した入力軸8が傾き、限界傾斜角のところで、入力軸8の外周がリヤ側キャリアプレート14bのメタルブッシュ35の内周面、すなわち当て面に当たる。これにより、入力軸8のそれ以上の傾斜が抑制され、入力軸に軸受16を介して連結された出力軸9もそれ以上の傾斜が抑制される。この結果、減速機での噛み合い不良や他部品の干渉といった問題が防止できる。
この様子を図7に示すが、線L83で示す入力軸8と線L93で示す出力軸9とは、第2実施例の線L82、L92と同じになる。入出力軸8,9が傾斜角ゼロのときから限界傾斜角になるまでの当て面の半径方向移動距離K3は、隙間33の大きさまでで抑えられる。また、出力軸9の線L93をリヤ側へ延長した位置にあるリヤ側キャリアプレート14bのメタルブッシュ35の当て面と入力軸8との外周面との当接により、限界傾斜角を決めるようにしている。したがって、この場合、当て面は図7で左上がりの線L93と右上がりの線L83とが半径方向に大きく離れた位置で当接することになる。これに対し、第1実施例では当て面が軸受18から最も近い位置にあり、また第2実施例では当て面が第1実施例の当て面より軸受18より遠いが第3実施例の当て面より遙かに軸受18に近い位置にある。これから、出力軸9の同じ傾斜に対して当て面とその当接側のメタルブッシュ32,34,35との半径方向距離は、第3実施例が一番大きくなる。これは、出力軸9の傾きに対する感度が第3実施例で一番大きいことを意味する。
<第3実施例の効果>
以上から分かるように、第3実施例のインホイールモータユニットにあっては、第1実施例の上記効果(1)、(4)に加え、下記の効果を得ることができる。
(7)当て面をリヤ側キャリアプレート14bの内周面に設けたメタルブッシュ35の内周面にて構成し、当て面に出力軸9と軸受16を介して連結された入力軸8の外周面を当てるようにしたので、出力軸9の傾きに対する感度が高くなる。したがって、設計がしやすいといったメリットがある。
本発明を上記実施例にもとに説明したが、本発明はこれら実施例に限られることなく、以下のような種々の変更を施したものも含む。
ユニットケース3は、上記各実施例では、ケース本体1、リヤカバー2、シールド部材30とから構成しているが、これに限る必要はなく、たとえば、シールド部材30をケース本体1と一体形成しても良いことは言うまでもない。
また、メタルブッシュ32、34、35は軸8,9の外周面から離れた位置で、軸8,9の相手側(ケース本体1やピニオンキャリア14など)に設けたが、これとは逆に軸8,9側に設けてこの外周面を相手側に当てるようにしても良い。
さらに、記各実施例にあっては、当て面をメタルブッシュ32、34、35に形成したが、他の形式の軸受を用いその内輪側の内周面や外輪の外周面を当て面とすることも可能であるし、軸受以外でも良い。
上記した各実施例においてはいずれも、変速伝動ユニットを電気自動車のインホイールモータユニットとして構成したが、これに限られるものではなく、産業上のあらゆる伝動ユニットに適用可能であるのは言うまでもない。
また上記した各実施例においては、変速伝動ユニット内の変速機構として遊星歯車組式減速機を用いる場合につき説明したが、変速伝動ユニット内の変速機構としては、これに限られず、あらゆる型式の変速機構(増速機構を含む)を用いることができ、この場合も、本発明の前記着想を適用することで、同様な作用効果を奏し得ること勿論である。
1 ケース本体
2 リヤカバー
3 ユニットケース
4 電動モータ
5 遊星歯車組式減速機(変速機構)
6 ステータ
7 ロータ
8 入力軸
8a 同軸突き合わせ端部
9 出力軸
9a 同軸突き合わせ端部
9b 孔
11 サンギヤ
12 リングギヤ
13 段付きプラネタリピニオン(段付きピニオン)
13a 大径ギヤ部
13b 小径ギヤ部
14 ピニオンキャリア
14a、14b キャリアプレート
14c キャリアピン
15 車輪
16 ローラ軸受(入出力軸間軸受嵌合部)
17 ボール軸受
18 複列アンギュラ軸受
19 端蓋
21 ホイールハブ
22 ブレーキディスク
23 ホイールボルト
24 ホイールナット
30 シールド部材
31 オイルシール
32 メタルブッシュ
33 隙間
34 メタルブッシュ
35 メタルブッシュ

Claims (1)

  1. 入力軸および出力軸の同軸突き合わせ端部を相互に相対回転可能に貫入させ合って入出力軸間軸受嵌合部を設定すると共に、該入出力軸間軸受嵌合部から軸線方向に離間した入力軸および出力軸の箇所をそれぞれユニットケースに軸受し、
    前記入力軸および前記出力軸間を変速機構により駆動結合した変速伝動ユニットにおいて、
    前記変速機構と該変速機構を駆動する電動モータとを備えた駆動ユニットを収納するユニットケースを備え、
    前記入力軸および前記出力軸のうちの少なくとも一方の軸に当接することで前記入力軸および前記出力軸の傾きを規制する当て面を設け、
    前記規制する傾きより小さい傾きの範囲では、前記一方の軸と前記当て面との間に前記入力軸および前記出力軸の傾きを許容する隙間を形成するようにし、
    前記当て面は、前記ユニットケースの、車輪のホイールハブを回転自在に支持するハブ軸受と前記駆動ユニットとの間に配置されたシールド部に設け、
    前記シールド部は、前記駆動ユニットと前記ハブ軸受とを分離するオイルシールを有し、
    該オイルシールは、前記当て面に対し前記駆動ユニット側に設けたことを特徴とする変速伝動ユニット。
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