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JP5601889B2 - 酸化物薄膜トランジスタアレイ基板および有機el表示装置の製造方法 - Google Patents
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JP5601889B2 - 酸化物薄膜トランジスタアレイ基板および有機el表示装置の製造方法 - Google Patents

酸化物薄膜トランジスタアレイ基板および有機el表示装置の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、有機EL表示装置や放射線画像撮像装置などにおいて用いられる酸化物薄膜トランジスタアレイ基板の製造方法に関するものである。
従来、有機EL表示装置や放射線画像撮像装置などにおいて、薄膜トランジスタ(TFT)を2次元状に配列したアクティブマトリクス基板が用いられている。
そして、従来、たとえば有機EL表示装置のアクティブマトリクス基板としては、低温ポリシリコンまたはアモルファスシリコンからなる薄膜トランジスタが用いられていた。
しかしながら、低温ポリシリコンの薄膜トランジスタは高移動度と閾値電圧安定性を得ることができるが、移動度の均一性に問題がある。また、アモルファスシリコンの薄膜トランジスタは移動度均一性を得ることができるが、移動度の低さと閾値電圧の経時変動の問題がある。
そこで、近年、酸化物薄膜トランジスタの研究が盛んに行われているが、この酸化物薄膜トランジスタにおいても閾値電圧の経時シフトの問題がある。
ここで、たとえば、非特許文献1においては、IGZOからなる酸化物薄膜トランジスタは、ゲートバイアスストレスや電流ストレスによって閾値電圧がシフトすることが述べられており、また、この閾値電圧のシフトは時間の経過とともに元に戻ることが述べられている。
Japanese Journal of Applied Physics Vol.47, No.8, 2008, pp.6236- 6240, Mami Fujii et al
特開2007−178668号公報
しかしながら、非特許文献1においては、時間の経過によって閾値電圧が元に戻った後の酸化物薄膜トランジスタの閾値電圧の特性の変化については特に何も述べられていない。また、非特許文献1は、時間の経過によって閾値電圧のシフトが元に戻るという現象を開示しているだけであって、この現象を酸化物薄膜トランジスタの製法として利用することは何も開示していない。また、非特許文献1においては、350℃以上のアニールを加えているが、これは一般的には閾値電圧の安定化に効果があるとされている。
一方、特許文献1には、平面表示装置の組み立てが完了した後、「バーンイン」と呼ばれる高温動作テストを行うことによって、初期故障があるデバイスやパラメータが過度に偏移したデバイスを取り除く処理を行うことが提案されているが、上述したような薄膜トランジスタの閾値電圧のシフトを減少させて安定性を向上させるための処理については何も開示されていない。
本発明は、上記の事情に鑑み、高温処理を行うことなく、閾値電圧の安定性を向上させることができる酸化物薄膜トランジスタアレイ基板およびその酸化物薄膜トランジスタを用いた有機EL表示装置の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の酸化物薄膜トランジスタアレイ基板の製造方法は、基板上に複数の酸化物薄膜トランジスタを形成する薄膜トランジスタ形成工程と、各酸化物薄膜トランジスタのゲート電極にゲート電圧を印加することによって各酸化物薄膜トランジスタの閾値電圧のシフトを発生させる閾値電圧シフト工程と、ゲート電圧の印加を停止した後、その発生した閾値電圧のシフトを元の閾値電圧に向かって回復させる回復工程とを含むこと特徴とする。
また、上記本発明の酸化物薄膜トランジスタアレイ基板の製造方法においては、閾値電圧シフト工程と回復工程とを交互に複数回繰り返して行うようすることができる
また、閾値電圧シフト工程において、各酸化物薄膜トランジスタのソース−ドレイン間に電流を流すようにすることができる。
また、閾値電圧シフト工程を行うときのソース−ドレイン間の電流の大きさを、3μA以上とすることができる。
また、閾値電圧シフト工程においてゲート電圧の印加を行う際、各酸化物薄膜トランジスタのソース−ドレイン間に電流を流さないようにすることができる。
また、閾値電圧シフト工程を行うときの環境温度を、60℃〜70℃とすることができる。
また、閾値電圧シフト工程によって各酸化物薄膜トランジスタのトラップ密度を増加させることができる。
また、上記ゲート電圧を正の電圧とすることができる。
また、閾値電圧シフト工程において、0.5V以上の閾値電圧のシフトを発生させることができる。
また、酸化物薄膜トランジスタをIGZOを含むものとすることができる。
本発明の有機EL表示装置の製造方法は、上記本発明の製造方法によって作製された酸化物薄膜トランジスタアレイ基板上に有機EL発光素子を形成したことを特徴とする。
本発明の酸化物薄膜トランジスタアレイ基板および有機EL表示装置の製造方法によれば、各酸化物薄膜トランジスタのゲート電極にゲート電圧を印加することによって各酸化物薄膜トランジスタの閾値電圧のシフトを発生させる閾値電圧シフト工程と、ゲート電圧の印加を停止した後、その発生した閾値電圧のシフトを元の閾値電圧に向かって回復させる回復工程とを行うようにしたので、その後の酸化物薄膜トランジスタの閾値電圧のシフトを減少させることができ、より安定性の向上した酸化物薄膜トランジスタアレイ基板を作製することができる。
また、非特許文献1のように高温処理を行わなくてよいので、基板として熱に弱い樹脂などからなる可とう性基板を用いることができる。
本発明の製造方法によって作製されたアクティブマトリクス基板を用いた有機EL表示装置の概略構成図 図1に示す有機EL表示装置の画素回路の概略構成を表す回路図 図1に示す有機EL表示装置の画素回路の概略構成を表す層断面図 本発明の酸化物薄膜トランジスタアレイ基板の製造方法の一実施形態を示すフローチャート 駆動用トランジスタに電流負荷をかけて閾値電圧をシフトさせる方法を説明するための図 図5を回路図として表した図 駆動用トランジスタに電圧負荷をかけて閾値電圧をシフトさせる方法を説明するための回路図 駆動用トランジスタに電圧負荷をかけたときの閾値電圧のシフトを示す図 駆動用トランジスタに電圧負荷をかける前後の低周波CV測定の結果を示す図 図9に示す低周波CV測定の結果に基づいて算出されたトラップ密度を示す図 駆動用トランジスタに電流負荷をかけたときの閾値電圧のシフトを示す図 駆動用トランジスタに電圧負荷をかける前後の低周波CV測定の結果を示す図 図12に示す低周波CV測定の結果に基づいて算出されたトラップ密度を示す図 閾値電圧シフト工程と回復工程とを繰り返したときのトラップ密度の減少を示す図 1回目から5回目までの各閾値電圧シフト工程における駆動用トランジスタの閾値電圧のシフト量を示す図 1回目から5回目までの各閾値電圧シフト工程を行う前のVgs−Ids特性およびVgs−absIg特性の測定結果を示す図
以下、図面を参照して本発明の酸化物薄膜トランジスタアレイ基板の製造方法の一実施形態について説明する。本発明は、酸化物薄膜トランジスタアレイ基板の製造方法に特徴を有するものであるが、まずは、その酸化物薄膜トランジスタアレイ基板の一実施形態であるアクティブマトリクス基板とそのアクティブマトリクス基板を用いた有機EL表示装置の概略構成について説明する。図1は、本実施形態の製造方法によって作製されたアクティブマトリクス基板を用いた有機EL表示装置の概略構成図である。
有機EL表示装置は、図1に示すように、有機EL発光素子を有する画素回路11が2次元状に多数配列されたアクティブマトリクス基板10と、各画素回路11にゲートスキャン信号を出力する走査駆動回路12と、表示画像を表す表示データに基づいて各画素回路11の駆動用トランジスタにプログラム電圧を出力するゲート駆動回路13とを備えている。
そして、アクティブマトリクス基板10は、ゲート駆動回路13から出力されたプログラム電圧を各画素回路列に供給する多数のデータ線14と、走査駆動回路12から出力されたゲートスキャン信号を各画素回路行に供給する多数のゲート走査線15とを備えている。そして、データ線14とゲート走査線15とは直交して格子状に設けられており、これらの交差点近傍に画素回路11が設けられている。
図2に、1つの画素回路11の概略構成を表す回路図を示す。画素回路11は、図2に示すように、有機EL発光素子11aと、有機EL発光素子11aのカソード端子にドレイン端子Dが接続され、有機EL発光素子11aに駆動電流を流す駆動用トランジスタ11bと、駆動用トランジスタ11bのゲート端子Gとソース端子Sとの間に接続された容量素子11cと、容量素子11cの一端および駆動用トランジスタ11bのゲート端子Gとデータ線14との間に接続されたゲート選択用トランジスタ11dとを備えている。なお、有機EL発光素子11aのアノード端子には、電源電圧Vddが供給される電源電圧線が接続されている。
駆動用トランジスタ11bおよびゲート選択用トランジスタ11dは、N型の酸化物薄膜トランジスタから構成されている。具体的には、酸化物薄膜トランジスタの種類としては、たとえば、IGZO(InGaZnO)を材料とする無機酸化物からなる薄膜トランジスタを利用することができるが、IGZOに限らず、その他IZO(InZnO)なども用いることができる。
図3に、1つの画素回路11の層断面図を示す。画素回路11は、図3に示すように、基板20上に形成されるものであり、基板20の材料としては、ガラス、セラミックス、Fe,Al,Ni,Cu,Coやこれらの合金等の金属、Siなどの半導体基板のほか、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド等の可とう性基板を用いることができる。そのうち、柔軟性を持ち合わせており、応用性の高い可とう性基板を用いることが望ましい。
そして、まず、基板20上に、駆動用トランジスタ11bのゲート電極21と、ゲート選択用トランジスタ11dのゲート電極22と、容量素子11cを構成する下部電極23とが形成され、その後、ゲート電極21,22および下部電極23の上にゲート絶縁層24が形成され、そのゲート絶縁層24の上に駆動用トランジスタ11bの活性層27とゲート選択用トランジスタ11dの活性層30とが形成される。
そして、次に、駆動用トランジスタ11bのソース電極25およびドレイン電極26とゲート選択用トランジスタ11dのソース電極28およびドレイン電極29とが形成された後、層間絶縁膜31が形成され、その層間絶縁膜31上に画素電極32が形成される。なお、層間絶縁膜31には、画素電極32と駆動用トランジスタ11bのドレイン電極26とが電気的に接続されるようにホールが形成されている。また、本実施形態においては、ゲート選択用トランジスタ11dのドレイン電極29と下部電極23とによって容量素子11cが構成される。
そして、画素電極32の上に有機EL発光層33が形成された後、その上に上部電極34が形成される。
なお、上記説明は、アクティブマトリクス基板10の製造方法の概略であり、詳細な製造方法については後で詳述する。
ゲート電極21,22、ソース電極25,28、ドレイン電極26,29および下部電極23に用いる電極材としては、公知の導電性材料を用いることができる。例えば、Al,Cr,Ta,Ti,Au,Ag等の金属およびこれらの合金、SnO,ZnO,In,酸化インジウム錫(ITO)、酸化亜鉛インジウム(IZO)等の金属酸化物導電膜、またはこれらの混合物が挙げられるが、低抵抗であることおよびコストが安いという安定性の面からMoが望ましい。
活性層27,30の材料としては、公知の酸化物半導体材料を用いることができる。例えば、アモルファス酸化物半導体として、In、Ga及びZnの少なくとも一種を含む酸化物、例えば、Inを含む酸化物、InとZnを含む酸化物、及びIn、Ga及びZnを含む酸化物(InGaO(ZnO)m(mは6未満の自然数))があげられる。そのうち大面積における安定性が見込めるIn,Ga,Znのうち少なくとも1種の元素を含むアモルファス酸化物半導体が望ましい。
ゲート絶縁層24および層間絶縁膜31の材料としては、たとえば、SiO、SiNx、SiON、Al、Y、Ta、HfO等の絶縁体が用いられ、それらの化合物を2種以上含むようにしてもよい。また、透明ポリイミドのような高分子絶縁体を用いてもよい。
以上が、有機EL表示装置の概略構成の説明である。
次に、本発明における酸化物薄膜トランジスタアレイ基板の一実施形態であるアクティブマトリクス基板の製造方法について、図4のフローチャートと、図5および図6を参照しながらより詳細に説明する。
図4のフローチャートに示すように、まず、基板20上に上述したようにして駆動用トランジスタ11bとゲート選択用トランジスタ11dとが形成される(S10)。そして、その後、層間絶縁膜31と画素電極32とが形成され、図5に示すような構成となるが、ここで、画素電極32を画素毎に分離する前に、以下に説明するような駆動用トランジスタ11bの閾値電圧シフト工程が行われる。なお、画素電極32は、画素毎に分割する前は、全画素回路11にわたって一様な平面電極として形成されている。
具体的には、図5に示すように、ゲート選択用トランジスタ11dのゲート電極22に対して所定の電圧COM1が印加されるとともに、ゲート選択用トランジスタ11dのソース電極28に対して所定の電圧COM2が印加される。なお、COM1については、たとえば、ゲート走査線15を形成した後に、そのゲート走査線を介して各ゲート電極22に供給するようにすればよい。また、COM2については、データ線14を形成した後に、そのデータ線14を介して各ソース電極28に供給するようにすればよい。
そして、さらに、画素分割前の画素電極32に対して所定の電圧COM3を印加することによって、画素電極32を介して駆動用トランジスタ11bのドレイン電極26に所定電圧COM3を供給する。
図6は、図5の層断面図の状態を回路図として表した図である。本実施形態においては、COM1=10V、COM2=5V、COM3=5Vとし、これによりゲート選択用トランジスタ11dと駆動用トランジスタ11bとがオン状態となり、さらに駆動用トランジスタ11bのドレイン電極26へのCOM3の電圧印加によって駆動用トランジスタ11bのソース電極25とドレイン電極26との間にソース−ドレイン間電流Idsが流れることになる。
そして、本実施形態においては、上述したようなCOM1、COM2およびCOM3の電圧を設定することによって、Idsが3μA以上流れるようにしている。この3μAの電流は、画素回路11の有機EL発光素子11aを通常の使用動作、すなわち通常の表示動作において発光させるときの電流よりも大きい電流である。
そして、このような電流負荷を駆動用トランジスタ11bのソース−ドレイン間に一定時間かけることによって、駆動用トランジスタ11bの閾値電圧をシフトさせる(S12)。なお、本実施形態においては、上述したように3μA以上の大きさの電流を流すことによって駆動用トランジスタ11bの閾値電圧のシフトの速度を早くすることができ、製造時間を短縮することができる。また、このときCOM2の電圧印加によって容量素子11cに保持される電圧は、時間の経過によって放電するので、COM2の電圧印加としては、たとえば5Vの矩形波電圧を、表示フレームレートと同等の1/30sの周期で印加するようにすることが望ましい。
次に、上述したようなCOM1、COM2およびCOM3の電圧印加を停止し、電流負荷によって駆動用トランジスタ11bに生じた閾値電圧のシフトを回復させて、駆動用トランジスタ11bの閾値電圧を初期状態に戻す。すなわち、駆動用トランジスタ11bの電流負荷をかける前の元の閾値電圧に向かって戻す(S14)。
そして、上述した駆動用トランジスタ11bの閾値電圧のシフトと回復とを交互にn回繰り返して行う(S16)。なお、駆動用トランジスタ11bの閾値電圧のシフトと回復の回数については、少なくとも1回は行うが2回以上行うことが望ましい。さらに好ましくは5回以上である。また、駆動用トランジスタ11bの閾値電圧の一回のシフト量としては、0.5V以上であることが望ましく、より好ましくは1V以上である。
次いで、上述した駆動用トランジスタ11bの閾値電圧のシフトと回復の動作が行われた後、平面電極の状態の画素電極32が画素毎に分割され(S18)、その後、上述したように有機EL発光層33および上部電極34が形成されてアクティブマトリクス基板10が完成する(S20)。
また、上記実施形態の説明においては、駆動用トランジスタ11bのソース−ドレイン間に電流負荷をかけることによって駆動用トランジスタ11bの閾値電圧をシフトさせるようにしたが、これに限らず、駆動用トランジスタ11bに電圧負荷のみをかけることによって閾値電圧をシフトさせるようにしてもよい。具体的には、たとえば、図7に示すように、アクティブマトリクス基板10の画素回路11を形成した後に、ゲート走査線15を介してゲート選択用トランジスタ11dのゲート電極に10Vのゲート電圧を印加してゲート選択用トランジスタ11dをオンさせるとともに、データ線14を介してゲート選択用トランジスタ11dのソース電極に10Vのソース電圧を印加して容量素子11cに10Vの電圧を保持させる。そして、さらに有機EL発光素子11aのアノード端子に電源電圧Vddとして0Vを印加することによって、駆動用トランジスタ11bのソース−ドレイン間に電流が流れないようにする。すなわち、有機EL発光素子11aに駆動電流が流れないようにする。
これにより駆動用トランジスタ11bに電圧負荷のみをかけることができるとともに、有機EL発光素子11aに駆動電流が流れることによる有機EL発光素子11aの劣化を防止することができる。
そして、上述したような駆動用トランジスタ11bのゲート電極への電圧負荷によって、駆動用トランジスタ11bの閾値電圧をシフトさせることができる。なお、このときデータ線14へのソース電圧の供給によって容量素子11cに保持される電圧は、時間の経過によって放電するので、たとえば、5Vの矩形波電圧のソース電圧を、表示フレームレートと同等の1/30sの周期で印加することが望ましい。
そして、次に、ゲート走査線15およびデータ線14への電圧供給を停止し、電圧負荷によって駆動用トランジスタ11bに生じた閾値電圧のシフトを回復させ、駆動用トランジスタ11bの閾値電圧を初期状態に戻す。すなわち、駆動用トランジスタ11bの電圧負荷をかける前の元の閾値電圧に向かって戻す。
そして、上述した駆動用トランジスタ11bの閾値電圧のシフトと回復の動作を繰り返し行うことによってアクティブマトリクス基板10が完成する。なお、駆動用トランジスタ11bの閾値電圧のシフトと回復の回数については、電流負荷の場合と同様に、少なくとも1回は行うが2回以上行うことが望ましい。さらに好ましくは5回以上である。また、駆動用トランジスタ11bの閾値電圧の一回のシフト量も、電流負荷の場合と同様に、0.5V以上であることが望ましく、より好ましくは1V以上である。
ここで、上述したように駆動用トランジスタ11bの閾値電圧をシフトさせるためには駆動用トランジスタ11bに電流負荷をかけてもよいし電圧負荷をかけてもよいが、完成後の駆動用トランジスタ11bの閾値電圧の高い安定性を確保するという観点では、電流負荷によって駆動用トランジスタ11bの閾値電圧をシフトさせることが望ましい。以下、その理由について説明する。
まず、図8に、駆動用トランジスタ11bに電圧負荷をかけたときのVgs−Ids特性の変化を表したグラフを示す。また、図9に、図8に示すVgs−Ids特性を測定する際に、低周波CV測定を行った結果を示し、図10に、図9に示す低周波CV測定の測定結果に基づいて求められたトラップ密度の変化を表すグラフを示す。なお、低周波CV測定の測定周波数は10Hzである。また、低周波CV測定の測定結果からトラップ密度を抽出する方法については、たとえば、“M. Kimura, T. Nakanishi, K. Nomura, T. Kamiya and H. Hosono : Appl. Phys. Lett. 92(2008)133512”に示されているのでここでは説明を省略する。
そして、図8〜図10は、Vgs=25V、Vds=0Vとして500sの間、電圧負荷をかけた結果である。図8に示すように、電圧負荷の前後によって閾値電圧は平行シフトしていることがわかる。なお、図8中に示すVds=5Vと0.1Vは、Vgs−Ids特性を測定する際のVdsの条件である。そして、図9に示すように低周波CV特性もほぼ平行シフトするが、図10に示すように、トラップ密度がわずかであるが増加することがわかった。
一方、図11に、駆動用トランジスタ11bに電流負荷をかけたときのVgs−Ids特性の変化を表したグラフを示す。また、図12に、図11に示すVgs−Ids特性を測定する際に、低周波CV測定を行った結果を示し、図13に、図12に示す低周波CV測定の測定結果に基づいて求められたトラップ密度の変化を表すグラフを示す。なお、低周波CV測定の測定周波数は、上記と同様に10Hzである。
そして、図11〜図13は、Vg=Vds、Ids=3μAとして20時間の間、電流負荷をかけた結果である。なお、Vgs−Ids特性については、Vds=5Vの場合の測定結果と、Vds=0.1Vの場合の測定結果とを示している。図11に示すように、電流負荷の前後によって閾値電圧は平行シフトしていることがわかる。そして、図12に示すように低周波CV特性は、図9に示すような電圧負荷の場合の平行シフトとは異なり、傾きが緩くなる方向に変化することがわかった。そして、図13に示すように、トラップ密度の増加の割合が、図10に示した電圧負荷の場合よりも大きくなることがわかった。
ここで、図14に、電流負荷をかける前のトラップ密度の測定結果と、電流負荷による閾値電圧シフトと回復とを5回繰り返した後のトラップ密度の測定結果を示す。図14に示す結果より、駆動用トランジスタ11bにおいて閾値電圧のシフトと回復とを繰り返すことによって、トラップ密度は初期値よりも減少することがわかった。すなわち、駆動用トランジスタ11bのトラップ密度は、閾値電圧をシフトさせると一旦増加するが、その後、閾値電圧を回復させることによって初期値よりも減少することがわかった。
この結果より、駆動用トランジスタ11bの閾値電圧をシフトさせたときのトラップ密度の増加の割合が大きいほど、その後、閾値電圧を初期値に回復させたときのトラップ密度がより減少することがわかる。
したがって、上述したように、駆動用トランジスタ11bの閾値電圧をシフトさせたときのトラップ密度の増加の割合が、電圧負荷の場合よりも電流負荷の場合の方が大きいことから、閾値電圧を回復させたときのトラップ密度は、電圧負荷の場合よりも電流負荷の場合の方がより減少し、これにより閾値電圧のシフト量が減少して安定性がより高くなることがわかる。
ただし、駆動用トランジスタ11bの閾値電圧の安定性という観点では電流負荷の方がより好ましいが、上述したように電流負荷によって駆動用トランジスタ11bの閾値電圧をシフトさせるためには、有機EL発光素子11aの劣化を回避するため、有機EL発光素子11aの形成前に電流負荷をかけることが望ましい。したがって、アクティブマトリクス基板10の製造途中において閾値電圧シフト工程と回復工程とを行う必要があるため、埃などの混入や製造効率の観点からは電圧負荷と比較すると不利になる。逆にいうと、歩留まりや製造効率の観点からは、電圧負荷によって閾値電圧シフト工程を行う方がより好ましい。
以下、上述したアクティブマトリクス基板10の製造方法の一実施形態の具体的な実施例を説明する。
まず、基板20を用意する。本実施例では、基板20としてガラス基板(厚さ0.7mm、コーニング社イーグル2000(登録商標))を用いた。
そして、基板20上に、室温のもとDCマグネトロンスパッタ成膜によってMo膜を形成しエッチングによって、駆動用トランジスタ11bのゲート電極21と、ゲート選択用トランジスタ11dのゲート電極22と、容量素子11cを構成する下部電極23とを形成した。このときの膜厚は40nmであった。
次に、ゲート電極21,22および下部電極23の上に、室温のもとRFマグネトロンスパッタ成膜によってSiOのゲート絶縁層24を形成した。このときの膜厚は200nmであった。そして、その後、室温のもとRFマグネトロンスパッタ成膜とシャドウマスクパターニングとによって、ゲート絶縁層24の上に駆動用トランジスタ11bの活性層27とゲート選択用トランジスタ11dの活性層30とを形成した。活性層27,30の材料としてはa−IGZOを用い、スパッタ中のArの圧力を0.4Pa、酸素分圧を1.65%とした。
そして、次に、室温のもと抵抗加熱蒸着によってAl膜を200nmの厚さで形成し、これをエッチングすることによって駆動用トランジスタ11bのソース電極25およびドレイン電極26とゲート選択用トランジスタ11dのソース電極28およびドレイン電極29とを形成した。その後、N雰囲気下において180℃で1時間のポストアニールを行った。
なお、上述したようにして酸化物トランジスタを形成した結果、チャネル幅W/チャネル長L=1000μm/200μmであり、a−IGZOのキャリア濃度は約1016cm−3であった。
そして、層間絶縁膜31および画素電極32を形成した後、上述した電流負荷による閾値電圧シフト工程を行った。具体的には、Vgs=Vds、Ids=3μAとして14時間〜50時間の電流負荷をかけた。そして、Vgsの印加を停止し、室温で駆動用トランジスタ11bの閾値電圧を初期値まで回復させた。そして、閾値電圧シフト工程と回復工程とを5回繰り返して行った。
図15に、1回目から5回目までの各閾値電圧シフト工程における駆動用トランジスタ11bの閾値電圧のシフト量を示す。図15に示すように1回目の閾値電圧シフト工程においては、駆動用トランジスタ11bの閾値電圧が大きくシフトしたが、その後、2回目以降の閾値電圧シフト工程においては、回数が増すほど閾値電圧のシフト量が小さくなっていた。すなわち、閾値電圧シフト工程と回復工程とを経験することによって、これらの工程を行っていない駆動用トランジスタ11bと比較すると閾値電圧の安定性が向上した。
また、図16には、各閾値電圧シフト工程を行う前に、Vgs−Ids特性およびVgs−absIg特性を測定した結果を示している。なお、absIgは、ゲートリーク電流のことである。図16に示す結果より、閾値電圧シフト工程および回復工程を繰り返して行ったとしても、駆動用トランジスタ11bの電流特性およびゲートリーク電流特性は変化しないことがわかった。すなわち、これらの特性を変化させることなく、閾値電圧の安定性のみを向上させることができることがわかった。
また、上記実施形態のアクティブマトリクス基板の製造方法においては、閾値電圧シフト工程における環境温度を、通常の表示動作における動作温度よりも高くすることが望ましい。たとえば、通常の表示動作における動作保証温度が常温以上50℃以下である場合には、閾値電圧シフト工程における環境温度を60℃以上70℃以下とすることが望ましい。60℃以上とすることによって、閾値電圧のシフトの速度を早めることができるので製造時間を短縮することができる。また、70℃以下にすることによって、たとえば、基板として熱に弱い樹脂などからなる可とう性基板を用いることができる。
なお、上記実施形態の説明は、本発明の酸化物薄膜トランジスタアレイ基板の製造方法を有機EL表示装置のアクティブマトリクス基板の製造方法に適用したものであるが、本発明の製造方法はこれに限らず、たとえば、放射線画像撮像装置などに用いられる酸化物薄膜トランジスタアレイ基板の製造方法にも適用可能である。
10 アクティブマトリクス基板
11 画素回路
11a 有機EL発光素子
11b 駆動用トランジスタ
11c 容量素子
11d ゲート選択用トランジスタ
12 走査駆動回路
13 ゲート駆動回路
14 データ線
15 ゲート走査線
21,22 ゲート電極
23 下部電極
24 ゲート絶縁層
25,28 ソース電極
26,29 ドレイン電極
27,30 活性層
31 層間絶縁膜
32 画素電極
33 有機EL発光層
34 上部電極

Claims (11)

  1. 基板上に複数の酸化物薄膜トランジスタを形成する薄膜トランジスタ形成工程と、
    該各酸化物薄膜トランジスタのゲート電極にゲート電圧を印加することによって該各酸化物薄膜トランジスタの閾値電圧のシフトを発生させる閾値電圧シフト工程および前記ゲート電圧の印加を停止した後、前記発生した閾値電圧のシフトを元の閾値電圧に向かって回復させる回復工程を行うことによって、前記各酸化物薄膜トランジスタの前記閾値電圧シフト工程を行う前のトラップ密度よりも前記回復工程を行った後のトラップ密度を小さくする工程を含むこと特徴とする酸化物薄膜トランジスタアレイ基板の製造方法。
  2. 前記閾値電圧シフト工程と前記回復工程とを交互に複数回繰り返して行うことによって、最初の前記閾値電圧シフト工程を行う前の前記各酸化物薄膜トランジスタのトラップ密度よりも最後の前記回復工程を行った後のトラップ密度を小さくすることを特徴とする請求項1記載の酸化物薄膜トランジスタアレイ基板の製造方法。
  3. 前記閾値電圧シフト工程において、前記各酸化物薄膜トランジスタのソース−ドレイン間に電流を流すことを特徴とする請求項1または2記載の酸化物薄膜トランジスタアレイ基板の製造方法。
  4. 前記閾値電圧シフト工程を行うときの前記ソース−ドレイン間の電流の大きさが、3μA以上であることを特徴とする請求項3記載の酸化物薄膜トランジスタアレイ基板の製造方法。
  5. 前記閾値電圧シフト工程において前記ゲート電圧の印加を行う際、前記各酸化物薄膜トランジスタのソース−ドレイン間に電流を流さないことを特徴とする請求項1または2記載の酸化物薄膜トランジスタアレイ基板の製造方法。
  6. 前記閾値電圧シフト工程を行うときの環境温度が、60℃〜70℃であることを特徴とする請求項1から5いずれか1項記載の酸化物薄膜トランジスタアレイ基板の製造方法。
  7. 前記閾値電圧シフト工程によって前記各酸化物薄膜トランジスタのトラップ密度を増加させることを特徴とする請求項1から6いずれか1項記載の酸化物薄膜トランジスタアレイ基板の製造方法。
  8. 前記ゲート電圧が正の電圧であることを特徴とする請求項1から7いずれか1項記載の酸化物薄膜トランジスタアレイ基板の製造方法。
  9. 前記閾値電圧シフト工程において、0.5V以上の前記閾値電圧のシフトを発生させることを特徴とする請求項1から8いずれか1項記載の酸化物薄膜トランジスタアレイの製造方法。
  10. 前記酸化物薄膜トランジスタがIGZOを含むものであることを特徴とする請求項1から9いずれか1項記載の酸化物薄膜トランジスタアレイの製造方法。
  11. 請求項1から10いずれか1項記載の製造方法によって作製された酸化物薄膜トランジスタアレイ基板上に有機EL発光素子を形成したことを特徴とする有機EL表示装置の製造方法。
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