本発明は、LOX−1変異体−界面活性剤複合体およびRAGE変異体−界面活性剤複合体、ならびにこれらを用いて生活習慣病危険因子などを検出する方法に関する。
レクチン様酸化低密度リポタンパク質(LDL)受容体1(Lectin−like Oxidized LDL receptor:本明細書中以降、LOX−1ともいう)は、アテローム発生の原因となる酸化LDL(本明細書中以降、OxLDLともいう)のような変性LDLに対する特有のスカベンジャー受容体であり、1997年に、培養ウシ大動脈内皮細胞において初めて同定された。LOX−1は、他のスカベンジャー受容体と機能的には類似しているにもかかわらず、構造的には異なる独特の構造を有している。
ウシLOX−1(bLOX−1)は、C型レクチンファミリーに属する273アミノ酸残基からなる分子量約50kDaの糖タンパク質であり、N末端が細胞質内にあり、C末端が細胞外に出ている細胞膜1回貫通型のII型膜タンパク質である。ヒトLOX−1(hLOX−1)はまた、C型レクチンファミリーに属する273アミノ酸残基からなる約30kDa(139位および183位の糖鎖付加により、分子量約40kDa)のII型膜タンパク質である。この受容体は、構造的には、以下の4つのドメイン:N末端側の細胞質ドメイン、疎水性膜貫通ドメイン、ネックドメイン、およびC型レクチン様ドメイン(本明細書中以降、CTLDという)からなる。このCTLDは、種間で、特に、6個のシステイン残基の位置で高度に保存されており、LOX−1のリガンドを認識するための機能的ドメインである。このCTLD中の6個のシステイン残基は、hLOX−1の分子内ジスルフィド結合に関与している。この保存されたCTLDに加えて、hLOX−1および他の既知の種におけるネックドメインは、高い配列同一性を有している。また、Xieら(非特許文献1:Protein Expression and Prification 32:68−74(2003))によれば、CTLDが変性LDLを結合するのに十分な最小ドメインであり、たとえCTLDがグリコシル化されていなくても、変性LDLを認識および結合できることが明らかにされた。
これまでの研究により、LOX−1は、血管内皮細胞のみならず、マクロファージおよび活性化血管平滑筋細胞において発現されており、構造的に関連性のない種々の高分子(変性LDL、細菌、老化赤血球、アポトーシスを受けた細胞、および血小板があげられる)を認識し、生体防御機構や炎症性機転などの種々の生命現象において重要な役割を果たしていること、そしてその発現は種々の条件下で、高脂血症、糖尿病、高血糖、高血圧症、高血圧性腎硬化症、動脈硬化、虚血再灌流傷害、血管バルーン傷害後のような病態;ならびに酸化LDL、アンジオテンシンII、エンドセリン、TNF−α、後期糖化反応生成物(AGE)、TGF−β、8−イソ−プロスタグランジンF2α、ズリ応力のような刺激によって、調節されていることが分かっている(非特許文献2:Folia Pharmacol.Jpn. 127,103−107(2006))。
変性LDL測定に関しては、疾病の早期診断、機能性食品の予防効果評価、生活改善や投薬による治療効果の評価など様々な分野での活用が期待されている。これまで、ヒト血漿中の動脈硬化危険因子である変性LDLの測定には、モノクローナル抗体が用いられてきたが、特に変性LDLは分子の修飾構造は一定ではなく、意味のある分子種が明確でないなどの理由で、モノクローナル抗体による検出にも問題が多い。
後期糖化反応生成物(Advanced Glycation End Products:本明細書中以降、AGEという)は、糖尿病患者の生活の質を損ねる元凶である血管合併症として知られる糖尿病性血管障害の発症・進展に関与している。血管合併症による眼、神経、腎臓の障害は、それぞれ糖尿病網膜症、神経症、腎症(あわせて三大合併症)とよばれており、糖尿病患者に特徴的な病態である。
AGEを認識する受容体(Receptor for AGE:本明細書中以降、RAGEという)は、1992年に、ウシ肺から同定され、AGEと結合するイムノグロブリンスーパーファミリーに属する、分子量約35kDaのI型膜タンパク質(糖鎖修飾を受けた完全なRAGEは、分子量55kDa)である。RAGEの細胞外ドメインは、1つのV型イムノグロブリンドメイン、続いて、2つのC型イムノグロブリンドメイン(C1領域およびC2領域)の3つのイムノグロブリンフォールド構造を取るドメインが結合した構造を取っている。RAGEはまた、細胞膜1回貫通型のドメインおよび43アミノ酸の細胞内ドメインを含む。RAGEは、多様なクラスのリガンド(AGE、S100/カルグラニュリン(calgranuline)、アンホテリンおよびアミロイド−βペプチド(およびβ−シート原線維のクラス))と相互作用する。Vドメインは、リガンド結合に必須の部位であり、細胞内ドメインは、RAGE媒介性細胞内シグナル伝達に必須であることが示された(非特許文献3:Circ Res.2003;93:1159−1169)。
RAGEは、正常組織および血管系においては低レベルでしか発現されない。しかし、この受容体は、そのリガンドが蓄積した場所においてアップレギュレートされる。例えば、糖尿病患者の血管では、RAGEの代表的リガンドとしては、以下のAGE構造体が挙げられる:(カルボキシメチル)リジン−タンパク質付加物(インビボで存在する主なAGE)、カルボキシエチル−リジン(CEL)タンパク質付加物、ペントシジン−付加物(コラーゲンおよび基底膜の不安定化に関連した糖尿病組織において見いだされる主要なAGE架橋物質)、ピラリン、イミダゾロン、メチルグリオキサール(他の範囲のAGEの形成の前駆体)、クロスリン、フルオロリンク、プロピリジン、アルグピリミジン、ベスパーリジン、グリオキサール誘導リジンダイマー、デオキシグルコサミン誘導リジンダイマーなど。RAGEの発現は、糖尿病血管系において内皮細胞、平滑筋細胞、および浸潤性単核食細胞で増加している。AGE−RAGE相互作用は、血管系ホメオスタシスにおいて重要な細胞の特性を変化させる。例えば、RAGEがAGEと結合した後、内皮細胞は、VCAM−1、組織因子、およびIL−6の発現、ならびに高分子へのそれらの透過性を増加させる。単核食細胞において、RAGEは、サイトカインおよび増殖因子の発現を活性化し、可溶性AGEに応じて細胞移動を誘導するのに対して、走触性は、固定リガンドで起こる(非特許文献4:J.Clin.Invest.108:949−955(2001))。
これまでに、変性LDLを検出するために、抗酸化ホスファチジルコリンモノクローナル抗体および抗ヒトアポリポプロテインB抗体などが、そしてAGEを検出するために抗AGEモノクローナル抗体および抗ペントシジンモノクローナル抗体、AGE構造体を加水分解後のHPLCなどが用いられてきた。
また、LOX−1およびRAGEの細胞外領域には、血液中などに存在する特異性の高いプロテアーゼの認識部位は存在せず、切断をうけることはないと予想されてきた。しかし、実際、LOX−1の細胞外領域は、過剰量のトロンビンなどによって分解が起こり、RAGEの細胞外領域(sRAGE1という)は、過剰量のトロンビン、第Xa因子などによって切断が起こることを発明者らは初めて明らかにした。これらのプロテアーゼによる分解は、LOX−1およびRAGEを変性LDL/AGE検出アッセイなどにおいて活用する際に大きな問題となる。
また、変性LDLおよびAGEは分子の修飾構造が一定ではなく、バイオマーカーとして意味のある分子種が明確でないために、モノクローナル抗体、HPLCなどによる定量的検出にも問題が多い。LOX−1は、それぞれ、幅広い分子種の変性LDLおよびAGEを認識可能な曖昧さがありながら、変性を受けたLDLには鋭敏に反応する可能性が高い。そしてRAGEは幅広い分子種のAGEを認識可能なマルチリガンドレセプターであり、生体内のAGEを鋭敏に検出する可能性が高い。
Protein Expression and Prification 32:68−74(2003)
Folia Pharmacol.Jpn. 127,103−107(2006)
Circ Res.2003;93:1159−1169
J.Clin.Invest.108:949−955(2001)
特開2002−320489
特開2002−181820
特開2003−36499
特開2003−238404
特開2003−125786
特開2002−17353
本発明の課題は、抗体に代わる、汎用性の高い検出方法において使用しやすい、幅広い分子種の変性LDLおよびAGEを特異的に認識するペプチドを得ることである。
そこで本発明者らは、鋭意工夫した結果、認識能に影響を与えずにプロテアーゼ耐性を増したLOX−1およびRAGEの変異体−界面活性剤複合体を開発することに成功した。
従って、本発明はまた、LOX−1およびRAGEの変異体−界面活性剤複合体を使用して変性LDLおよびAGEを検出する方法を提供する。
一局面において、本発明は、C型レクチン様ドメインポリペプチド−界面活性剤結合複合体を提供し、上記C型レクチン様ドメインポリペプチドは、
(A1)配列番号2に示されるアミノ酸配列;
(A2)配列番号2に示されるアミノ酸配列において、90位および107位以外のアミノ酸位置で1または数個の置換、付加および/または欠失を含み、かつ天然型LOX−1の活性を示す、アミノ酸配列;および
(A3)配列番号1に示される核酸配列と相補的な核酸配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸配列によってコードされるアミノ酸配列であって、該コードされるアミノ酸配列において90位および107位のアミノ酸配列は、配列番号2における対応するアミノ酸を保持し、かつ天然型LOX−1の活性を示す、アミノ酸配列;
(B1)配列番号6に示されるアミノ酸配列;
(B2)配列番号6に示されるアミノ酸配列において、104位および121位以外のアミノ酸位置で1または数個の置換、付加および/または欠失を含む、天然型LOX−1の活性を示すアミノ酸配列;および
(B3)配列番号5に示される核酸配列と相補的な核酸配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸配列によってコードされるアミノ酸配列であって、該コードされるアミノ酸配列において104位および121位のアミノ酸配列は、配列番号6における対応するアミノ酸を保持し、かつ天然型LOX−1の活性を示す、アミノ酸配列;
(C1)配列番号8に示されるアミノ酸配列;
(C2)配列番号8に示されるアミノ酸配列において、172位および189位以外のアミノ酸位置で1または数個の置換、付加および/または欠失を含む、天然型LOX−1の活性を示すアミノ酸配列;および
(C3)配列番号7に示される核酸配列と相補的な核酸配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸配列によってコードされるアミノ酸配列であって、該コードされるアミノ酸配列において172位および189位のアミノ酸配列は、配列番号8における対応するアミノ酸を保持し、かつ天然型LOX−1の活性を示す、アミノ酸配列;
からなる群より選択される配列を含み得る。
本発明のC型レクチン様ドメインポリペプチド−界面活性剤結合複合体の一実施形態において、上記置換は、好ましくは、保存的置換であり得る。
本発明のC型レクチン様ドメインポリペプチドのなお別の実施形態において、上記(A1)〜(C3)に示されるアミノ酸配列、配列番号4の144位、155位、172位、243位、256位、264位に対応するシステインが保持され得る。
本発明のC型レクチン様ドメインポリペプチド−界面活性剤結合複合体の一実施形態において、上記欠失は、配列番号2、6および8において、配列番号4の268位〜271位までのアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列のうちのいずれか1〜6個のアミノ酸の欠失;配列番号4の200位〜205位までのアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列のうちのいずれかのアミノ酸の欠失;配列番号4の143位に対応するアミノ酸の欠失;または
これらの任意の組み合わせであり得る。
本発明のC型レクチン様ドメインポリペプチド−界面活性剤結合複合体の好ましい一実施形態において、上記(A1)〜(A3)において、上記付加は、配列番号4の61位〜142位から選択される任意の連続する1〜82個のアミノ酸配列の付加であり得る。
本発明のC型レクチン様ドメインポリペプチド−界面活性剤結合複合体のさらに好ましい実施形態において、上記付加は、フレキシブルなリンカー配列もしくはその反復配列、またはLDL受容体関連タンパク質(LRP)のEGF反復配列(上皮増殖因子受容体様システインリッチドメイン)を含む配列の付加であり得る。本発明のC型レクチン様ドメインポリペプチド−界面活性剤結合複合体のなお好ましい実施形態において、上記リンカー配列は、Gly-Gly-Ser、配列番号15、配列番号16に示されるアミノ酸配列であり得る、
本発明のC型レクチン様ドメインポリペプチド−界面活性剤結合複合体の一実施形態において、上記天然型LOX−1の活性は、変性LDLの認識能であり得る。
本発明のC型レクチン様ドメインポリペプチド−界面活性剤結合複合体の好ましい実施形態において、C型レクチン様ドメインポリペプチド−界面活性剤結合複合体は、好ましくは、タグ配列をさらに有し得る。さらに好ましくは、上記タグ配列は、配列番号17、配列番号18、または配列番号19であり得る。
本発明のC型レクチン様ドメインポリペプチド−界面活性剤結合複合体は、一実施形態において、標識をさらに含み得る。
本発明は、一局面において、上記C型レクチン様ドメインポリペプチド−界面活性剤結合複合体の二量体;上記C型レクチン様ドメインポリペプチド−界面活性剤結合複合体の多量体;上記C型レクチン様ドメインポリペプチド−界面活性剤結合複合体がジスルフィド結合によって結合されている、二量体を提供する。
なお別の局面において、本発明は、上記C型レクチン様ドメインポリペプチド−界面活性剤結合複合体を含む、変性LDL検出剤を提供し得る。
本発明の変性LDL検出剤の一実施形態において、上記検出剤におけるC型レクチン様ドメインポリペプチド−界面活性剤結合複合体は乾燥形態のものであり得る。
さらなる局面において、本発明は、上記C型レクチン様ドメインポリペプチド−界面活性剤結合複合体および基材を含む、変性LDL検出用デバイスを提供する。
上記変性LDL検出用デバイスの一実施形態において、上記検出用デバイスにおけるC型レクチン様ドメインポリペプチド−界面活性剤結合複合体は乾燥形態のものであり得る。
上記変性LDL検出用デバイスの一実施形態において、上記基材は、ビーズ、金粒子、プレート、試験管、チップ、磁性粒子、膜、繊維、スライドガラス、金属薄膜、フィルター、チューブ、ボール、ダイアモンド様炭素被膜ステンレスであり得る。さらに好ましい実施形態において、上記ビーズは、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコン樹脂、ナイロン樹脂、天然樹脂、プラスチック、ゼラチン、シリカゲル、金属、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、アガロース、ポリアミノ酸、セルロース、ハイドロキシアパタイト、ポリエチレン、ポリスルフォン、ポリプロピレン、セルロースアセテート、ポリメチルメタクリレート、セルロースジアセテート、メチレンビニルアルコールから作製されるビーズを含み得る。
本発明は、一局面において、被験体のサンプル中の変性LDLを検出する方法を提供し、上記方法は、
(A)被験体から単離されたサンプルを提供する工程;
(B)上記サンプルと、以下:
(1)本発明のC型レクチン様ドメインポリペプチド−界面活性剤結合複合体;
(2)本発明のC型レクチン様ドメインポリペプチド−界面活性剤結合複合体の二量体;
(3)本発明のC型レクチン様ドメインポリペプチド−界面活性剤結合複合体の多量体;
(4)本発明の変性LDL検出剤;または
(5)本発明の変性LDL検出用デバイス、
のうちのいずれかとを接触させて、上記C型レクチン様ドメインポリペプチドと上記変性LDLとの複合体を形成させる工程;および
(C)上記複合体を検出する工程、
を包含し得る。
本発明の被験体のサンプル中の変性LDLを検出する方法の一実施形態において、上記方法は、(B’)抗体と接触させて、3成分複合体を形成する工程をさらに包含し得る。上記方法の好ましい実施形態において、上記抗体は、抗ApoB抗体、抗OxLDL抗体、抗MDA−LDL抗体、抗アクロレイン(ACR)抗体、抗クロトンアルデヒド(CRA)抗体、抗マロンジアルデヒド(MDA)抗体、抗4−ヒドロキシノネナール(HNE)抗体、抗ヘキサノイルリジン(HEL)抗体からなる群より選択され得る。
本発明の被験体のサンプル中の変性LDLを検出する方法の一実施形態において、上記サンプルは、LDLを含む体液であり得、好ましくは、上記LDLを含む体液は、血液、血清、血漿、髄液、漿膜腔液、肺胞洗浄液であり得る。
本発明の被験体のサンプル中の変性LDLを検出する方法の一実施形態において、上記変性LDLは、酸化LDL、マロンジアルデヒド化LDL、アセチル化LDL、アクロレイン修飾LDL、ノネナール修飾LDL、ヘキサノイル化LDL,サクシニル化LDL、または糖化LDLから選択され得る。
本発明の被験体のサンプル中の変性LDLを検出する方法の一実施形態において、上記複合体を検出する工程は、光学的に検出する工程、物理的に検出する工程または化学的に検出する工程を包含し得る。
一局面において、本発明は、上記C型レクチン様ドメインポリペプチド−界面活性剤結合複合体を含む、変性LDL検出用キットを提供し得る。
別の一局面において、本発明は、上記C型レクチン様ドメインポリペプチド−界面活性剤結合複合体を含む変性LDL検出剤と、上記変性LDL検出剤と変性LDLとの複合体を検出するための手段とを備える、変性LDL検出システムを提供し得る。
本発明のシステムの好ましい実施形態において、上記検出手段は、光学的検出手段、物理的検出手段または化学的検出手段を包含し得る。なお好ましい実施形態において、上記光学的検出手段は、分光光度計、蛍光発色セルソーター(FACS)、比色計、蛍光光度計、化学発光検出器、電気化学発光検出器、イメージアナライザー、または顕微鏡を包含し得る。別の好ましい実施形態において、上記物理的検出手段は、電気検出、表面プラズモン共鳴、水晶発振マイクロバランス、または熱測定を包含し得る。さらに別の好ましい実施形態において、上記化学的検出手段は、質量分析、または高速液体クロマトグラフィーを包含し得る。
さらなる一局面において、本発明は、上記C型レクチン様ドメインポリペプチド−界面活性剤結合複合体を含む動脈硬化診断剤を提供し得る。
なお別の一局面において、本発明は、変性LDLによって引き起こされる疾患の診断を支援する方法を提供し、上記方法は、
(A)上記疾患に罹患していると疑われる被験体から単離されたサンプルを提供する工程;
(B)上記疾患に罹患していないコントロール被験体から単離されたサンプルを提供する工程;
(C)上記サンプルと、以下:
(1)本発明のC型レクチン様ドメインポリペプチド−界面活性剤結合複合体;
(2)本発明のC型レクチン様ドメインポリペプチド−界面活性剤結合複合体の二量体;
(3)本発明のC型レクチン様ドメインポリペプチド−界面活性剤結合複合体の多量体;
(4)本発明の変性LDL検出剤;
(5)本発明の変性LDL検出用デバイス;または
(6)本発明の動脈硬化診断剤、
のうちのいずれかとを接触させて、上記C型レクチン様ドメインポリペプチドと上記変性LDLとの複合体を形成させる工程;および
(D)上記複合体を検出する工程、
(E)上記被験体から単離されたサンプル中の複合体の量と、上記コントロール被験体から単離されたサンプル中の複合体の量とを比較して、上記被験体中の変性LDLの上記コントロール被験体に対する相対値を算出する工程、
を包含し得る。
本発明の変性LDLによって引き起こされる疾患の診断を支援する方法の一実施形態において、上記方法は、(C’)抗体と接触させて、3成分複合体を形成する工程をさらに包含し得る。
本発明の変性LDLによって引き起こされる疾患の診断を支援する方法の好ましい実施形態において、上記抗体は、抗ApoB抗体、抗OxLDL抗体、抗MDA−LDL抗体、抗アクロレイン(ACR)抗体、抗クロトンアルデヒド(CRA)抗体、抗マロンジアルデヒド(MDA)抗体、抗4−ヒドロキシノネナール(HNE)抗体、抗ヘキサノイルリジン(HEL)抗体からなる群より選択され得る。
本発明の変性LDLによって引き起こされる疾患の診断を支援する方法の一実施形態において、上記変性LDLにより引き起こされる疾患は、動脈硬化症、虚血性心疾患、脳血管障害、大動脈瘤、腎梗塞、高脂血症、および全身性エリテマトーデス(SLE)のような自己免疫疾患からなる群より選択され得る。好ましい実施形態において、上記虚血性心疾患は、心筋梗塞、または狭心症を含み得る。別の好ましい実施形態において、上記脳血管障害は、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血、または一過性脳虚血発作を含み得る。
一局面において、本発明は、上記C型レクチン様ドメインポリペプチド−界面活性剤結合複合体の、変性LDLにより引き起こされる疾患の診断のための医薬の製造のための使用を提供する。
さらなる一局面において、本発明は、C型レクチン様ドメインポリペプチド−界面活性剤結合複合体を製造する方法を提供し、上記方法は、
A)本発明のC型レクチン様ドメインポリペプチドを細菌宿主細胞で封入体として生産する工程;および
B)上記封入体を界面活性剤とサイクロアミロースでリフォールディングして、上記C型レクチン様ドメインポリペプチド−界面活性剤結合複合体を得る工程、
を包含し得る。
一局面において、本発明は、後期糖化反応生成物レセプター(RAGE)様ポリペプチド−界面活性剤結合複合体を提供し、上記RAGE様ポリペプチド−界面活性剤結合複合体は、
(P1)配列番号12に示されるアミノ酸配列;
(P2)配列番号12に示されるアミノ酸配列において、92位および95位以外のアミノ酸位置で1または数個の置換、付加および/または欠失を含む、天然型RAGEの活性を示すアミノ酸配列;および
(P3)配列番号11に示される核酸配列と相補的な核酸配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸配列によってコードされるアミノ酸配列であって、該コードされるアミノ酸配列において92位および95位のアミノ酸は、配列番号12における対応するアミノ酸を保持している、アミノ酸配列;
(Q1)配列番号14に示されるアミノ酸配列;
(Q2)配列番号14に示されるアミノ酸配列において、92位、95位、206位および250位以外のアミノ酸位置で1または数個の置換、付加および/または欠失を含む、天然型RAGEの活性を示すアミノ酸配列;および
(Q3)配列番号13に示される核酸配列と相補的な核酸配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸配列によってコードされるアミノ酸配列であって、該コードされるアミノ酸配列において92位、95位、206位および250位のアミノ酸は、配列番号14における対応するアミノ酸を保持している、アミノ酸配列;
(R1)配列番号37に示されるアミノ酸配列;
(R2)配列番号37に示されるアミノ酸配列において、92位、95位および206位以外のアミノ酸位置で1または数個の置換、付加および/または欠失を含む、天然型RAGEの活性を示すアミノ酸配列;および
(R3)配列番号36に示される核酸配列と相補的な核酸配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸配列によってコードされるアミノ酸配列であって、該コードされるアミノ酸配列において92位、95位および206位のアミノ酸は、配列番号37における対応するアミノ酸を保持している、アミノ酸配列;
(S1)配列番号39に示されるアミノ酸配列;
(S2)配列番号39に示されるアミノ酸配列において、92位、95位および206位以外のアミノ酸位置で1または数個の置換、付加および/または欠失を含む、天然型RAGEの活性を示すアミノ酸配列;および
(S3)配列番号38に示される核酸配列と相補的な核酸配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸配列によってコードされるアミノ酸配列であって、該コードされるアミノ酸配列において92位、95位および206位のアミノ酸は、配列番号39における対応するアミノ酸を保持している、アミノ酸配列;
(T1)配列番号41に示されるアミノ酸配列;
(T2)配列番号41に示されるアミノ酸配列において、14位、17位、128位および172位以外のアミノ酸位置で1または数個の置換、付加および/または欠失を含む、天然型RAGEの活性を示すアミノ酸配列;および
(T3)配列番号40に示される核酸配列と相補的な核酸配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸配列によってコードされるアミノ酸配列であって、該コードされるアミノ酸配列において14位、17位、128位および172位のアミノ酸配列は、配列番号41における対応するアミノ酸を保持している、アミノ酸配列;
(U1)配列番号43に示されるアミノ酸配列;
(U2)配列番号43に示されるアミノ酸配列において、92位および95位以外のアミノ酸位置で1または数個の置換、付加および/または欠失を含む、天然型RAGEの活性を示すアミノ酸配列;および
(U3)配列番号42に示される核酸配列と相補的な核酸配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸配列によってコードされるアミノ酸配列であって、該コードされるアミノ酸配列において92位および95位のアミノ酸は、配列番号43における対応するアミノ酸を保持している、アミノ酸配列;
(V1)配列番号45に示されるアミノ酸配列;
(V2)配列番号45に示されるアミノ酸配列において、92位および95位以外のアミノ酸位置で1または数個の置換、付加および/または欠失を含む、天然型RAGEの活性を示すアミノ酸配列;および
(V3)配列番号44に示される核酸配列と相補的な核酸配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸配列によってコードされるアミノ酸配列であって、該コードされるアミノ酸配列において92位および95位のアミノ酸は、配列番号45における対応するアミノ酸を保持している、アミノ酸配列;
(W1)配列番号47に示されるアミノ酸配列;
(W2)配列番号47に示されるアミノ酸配列において、92位および95位以外のアミノ酸位置で1または数個の置換、付加および/または欠失を含む、天然型RAGEの活性を示すアミノ酸配列;および
(W3)配列番号46に示される核酸配列と相補的な核酸配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸配列によってコードされるアミノ酸配列であって、該コードされるアミノ酸配列において92位および95位のアミノ酸は、配列番号47における対応するアミノ酸を保持している、アミノ酸配列;
(X1)配列番号49に示されるアミノ酸配列;
(X2)配列番号49に示されるアミノ酸配列において、92位および95位以外のアミノ酸位置で1または数個の置換、付加および/または欠失を含む、天然型RAGEの活性を示すアミノ酸配列;および
(X3)配列番号48に示される核酸配列と相補的な核酸配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸配列によってコードされるアミノ酸配列であって、該コードされるアミノ酸配列において92位および95位のアミノ酸は、配列番号49における対応するアミノ酸を保持している、アミノ酸配列;
からなる群より選択される配列を含み得る。
本発明のRAGE様ポリペプチド−界面活性剤結合複合体の一実施形態において、上記置換は、保存的置換であり得る。
本発明のRAGE様ポリペプチド−界面活性剤結合複合体の別の一実施形態において、上記(P1)〜(X3)に示されるアミノ酸配列において、配列番号10のアミノ酸配列における38位、99位、144位、208位、259位および301位に対応するシステイン残基は保持されている。
本発明のRAGE様ポリペプチド−界面活性剤結合複合体の好ましい一実施形態において、上記欠失は、配列番号12、14、37、39、41、43、45、47および49において、配列番号10の1位〜37位に対応するアミノ酸配列におけるいずれかのアミノ酸の欠失であり得る。
本発明のRAGE様ポリペプチド−界面活性剤結合複合体のさらに別の一実施形態において、上記付加は、配列番号10の1位〜22位から選択される任意の連続する1〜22個のアミノ酸配列のN末端側への付加、配列番号10の121位〜404位から選択される任意の連続する1〜284個のアミノ酸の付加、あるいはフレキシブルなリンカー配列もしくはその反復配列、またはLDL受容体関連タンパク質(LRP)のEGF反復配列(上皮増殖因子受容体様システインリッチドメインを含む配列の付加であり得る。好ましい実施形態において、上記リンカー配列は、Gly-Gly-Ser、配列番号15、配列番号16に示されるアミノ酸配列であり得る。
本発明のRAGE様ポリペプチド−界面活性剤結合複合体の一実施形態において、上記天然型RAGEの活性は、AGEの認識能であり得る。
本発明のRAGE様ポリペプチド−界面活性剤結合複合体のなお別の一実施形態において、上記RAGE様ポリペプチド−界面活性剤結合複合体は、タグ配列をさらに有し得る。好ましくは、上記タグ配列は、配列番号17、配列番号18、または配列番号19であり得る。
一局面において、本発明は、上記RAGE様ポリペプチド−界面活性剤結合複合体を含む後期糖化反応生成物(AGE)検出剤を提供し得る。
後期糖化反応生成物(AGE)検出剤の好ましい実施形態において、上記検出剤におけるRAGE様ポリペプチド−界面活性剤結合複合体は乾燥形態のものであり得る。
本発明は、一局面において、上記RAGE様ポリペプチド−界面活性剤結合複合体および基材を含む、AGE検出用デバイスを提供し得る。
上記AGE検出用デバイスの一実施形態において、上記検出デバイスにおけるRAGE様ポリペプチド−界面活性剤結合複合体は乾燥形態のものであり得る。
上記AGE検出用デバイスの一実施形態において、上記基材は、ビーズ、金粒子、プレート、試験管、チップ、磁性粒子、膜、繊維、スライドガラス、金属薄膜、フィルター、チューブ、ボール、ダイアモンド様炭素被膜ステンレスを含み得る。さらに好ましい実施形態において、上記ビーズは、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコン樹脂、ナイロン樹脂、天然樹脂、プラスチック、ゼラチン、シリカゲル、金属、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、アガロース、ポリアミノ酸、セルロース、ハイドロキシアパタイト、ポリエチレン、ポリスルフォン、ポリプロピレン、セルロースアセテート、ポリメチルメタクリレート、セルロースジアセテート、メチレンビニルアルコールから作製されるビーズを含み得る。
本発明は、一局面において、被験体のサンプル中のAGEを検出する方法を提供し、上記方法は、
(A)被験体から単離されたサンプルを提供する工程;
(B)上記サンプルと、以下:
(1)本発明のRAGE様ポリペプチド−界面活性剤結合複合体;
(2)本発明のAGE検出剤;または
(3)本発明のAGE検出用デバイス、
のうちのいずれかとを接触させて、上記ポリペプチドと上記AGEとの複合体を形成させる工程;および
(C)上記複合体を検出する工程、
を包含し得る。
本発明の被験体のサンプル中のAGEを検出する方法の一実施形態において、上記方法は、(B’)抗体と接触させて、3成分複合体を形成する工程をさらに包含し得る。上記好ましい方法の実施形態において、上記抗体は、抗HbA1c抗体、抗AGE抗体および抗カルボキシメチルリジン抗体からなる群より選択され得る。
本発明の被験体のサンプル中のAGEを検出する方法の一実施形態において、上記サンプルは、タンパク質を含む体液であり得、好ましくは、上記タンパク質を含む体液は、血液、血清、血漿、髄液、漿膜腔液、関節液、肺胞洗浄液、涙液または尿を含む体液であり得る。
本発明の被験体のサンプル中のAGEを検出する方法の一実施形態において、上記AGEは糖化タンパク質であり得る。
本発明の被験体のサンプル中のAGEを検出する方法の一実施形態において、上記複合体を検出する工程は、光学的に検出する工程、物理的に検出する工程または化学的に検出する工程を包含し得る。
一局面において、本発明は、上記RAGE様ポリペプチド−界面活性剤結合複合体を含む、AGE検出用キットを提供する。
別の一局面において、本発明は、上記RAGE様ポリペプチド−界面活性剤結合複合体を含むAGE検出剤と上記AGE検出剤とAGEとの複合体を検出するための手段とを備える、AGE検出システムを提供し得る。
本発明のシステムの好ましい実施形態において、上記検出手段は、光学的検出手段、物理的検出手段または化学的検出手段を包含し得る。なお好ましい実施形態において、上記光学的検出手段は、分光光度計、FACS、比色計、蛍光光度計、化学発光検出器、電気化学発光検出器、イメージアナライザー、または顕微鏡を包含し得る。別の好ましい実施形態において、上記物理的検出手段は、電気検出、表面プラズモン共鳴、水晶発振マイクロバランス、または熱測定を包含し得る。さらに別の好ましい実施形態において、上記化学的検出手段は、質量分析、または高速液体クロマトグラフィーを包含し得る。
さらなる局面において、本発明は、上記RAGE様ポリペプチド−界面活性剤結合複合体を含む、糖尿病性血管障害診断剤を提供し得る。
なお別の一局面において、本発明は、AGEにより引き起こされる疾患の診断を支援する方法を提供し、上記方法は、
(A)上記疾患に罹患していると疑われる被験体から単離されたサンプルを提供する工程;
(B)上記疾患に罹患していないコントロール被験体から単離されたサンプルを提供する工程;
(C)上記サンプルと、以下:
(1)本発明のRAGE様ポリペプチド−界面活性剤結合複合体;
(2)本発明のAGE検出剤;
(3)本発明のAGE検出用デバイス;または
(4)本発明の糖尿病性血管障害診断剤、
のうちのいずれかとを接触させて、上記RAGE様ポリペプチドと上記AGEとの複合体を形成させる工程;および
(D)上記複合体を検出する工程、
(E)上記被験体から単離されたサンプル中の複合体の量と、上記コントロール被験体から単離されたサンプル中の複合体の量とを比較して、上記被験体中のAGEの該コントロール被験体に対する相対値を算出する工程、
を包含し得る。
本発明のAGEにより引き起こされる疾患の診断を支援する方法の一実施形態において
上記方法は、(C’)抗体と接触させて、3成分複合体を形成する工程をさらに包含し得る。
本発明のAGEにより引き起こされる疾患の診断を支援する方法の好ましい実施形態において、上記抗体は、抗HbA1c抗体、抗AGE抗体および抗カルボキシメチルリジン抗体からなる群より選択され得る。
本発明のAGEにより引き起こされる疾患の診断を支援する方法の一実施形態において、上記AGEにより引き起こされる疾患は、糖尿病、糖尿病性血管障害、細小血管症、および大血管障害からなる群より選択され得る。好ましい実施形態において、上記細小血管症は、腎症、網膜症、または神経症を含み得る。別の好ましい実施形態において、上記大血管障害は、虚血性心疾患、脳血管疾患、または閉塞性動脈硬化症を含み得る。
一局面において、本発明は、上記RAGE様ポリペプチド−界面活性剤結合複合体質の、AGEにより引き起こされる疾患の診断剤の製造のための使用を提供する。
さらなる局面において、本発明は、RAGE様ポリペプチド−界面活性剤結合複合体を製造する方法を提供し、上記方法は、
A)本発明のRAGE様ポリペプチドを細菌宿主細胞で封入体として生産する工程;および
B)上記封入体を界面活性剤とサイクロアミロースでリフォールディングして、RAGE様ポリペプチド−界面活性剤結合複合体を得る工程、
を包含し得る。
本発明のなおさらなる実施形態および利点は、以下の詳細な説明を読んで理解すれば、当業者に認識される。
以下、本発明を説明する。本明細書の全体にわたり、単数形の表現は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。従って、単数形の冠詞または形容詞(例えば、英語の場合は「a」、「an」、「the」など)は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。また、本明細書において使用される用語は、特に言及しない限り、当該分野で通常用いられる意味で用いられることが理解されるべきである。したがって、他に定義されない限り、本明細書中で使用される全ての専門用語および科学技術用語は、本発明の属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾する場合、本明細書(定義を含めて)が優先する。
(用語の定義)
以下に本明細書において特に使用される用語の定義を列挙する。
本明細書において使用される場合、用語「受容体」とは、1個以上のリガンドと可逆的、かつ特異的に複合体化する1個以上の結合ドメインを備える生物学的な構造であって、ここで、この複合体化は生物学的な構造を有する。受容体は、完全に細胞の外部(細胞外の受容体)、細胞膜の中(しかし、受容体の部分を細胞外部の環境および細胞質ゾルに向けている)、または完全に細胞の中(細胞内の受容体)に存在し得る。これらはまた、細胞と独立的に機能し得る。細胞膜中の受容体は、細胞を、その境界の外部の空間と連絡(例えば、シグナル伝達)させ、そして細胞の内側および外側への分子およびイオンの輸送において機能させることを可能とする。本明細書において使用する場合、受容体は、受容体全長であっても、受容体のフラグメントであってもよい。
本明細書において使用される場合、用語「レクチン様酸化低密度リポタンパク質(LDL)受容体1(Lectin−like Oxidized LDL receptor)」とは、LOX−1ともいわれ、(1)配列番号4に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド;(2)上記配列番号4に示されるアミノ酸配列において1または数個のアミノ酸の置換、付加および/または欠失を含むアミノ酸配列を含み、かつ天然型LOX−1の活性を示すポリペプチド;(3)上記配列番号4に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつ天然型LOX−1の活性を示すポリペプチド;(4)上記配列番号4に示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の配列相同性を有するアミノ酸配列を含み、かつ天然型LOX−1の活性を示すポリペプチド;(5)配列番号3に示される核酸分子によってコードされるアミノ酸配列を含むポリペプチド;(6)上記配列番号3に示される核酸配列に対して相補的な核酸配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸配列によってコードされるアミノ酸配列を含み、かつ天然型LOX−1の活性を示すポリペプチド;(7)上記配列番号3に示される核酸配列において1または数個のヌクレオチドの置換、付加および/または欠失を有する核酸分子によってコードされるアミノ酸配列を含み、かつ天然型LOX−1の活性を示すポリペプチド;(8)上記配列番号3に示される核酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有する核酸分子によってコードされるアミノ酸配列を含み、かつ天然型LOX−1の活性を示すポリペプチド;および(9)上記配列番号3に示される核酸配列と少なくとも80%の配列相同性を有する核酸分子によってコードされるアミノ酸配列を含み、かつ天然型LOX−1の活性を示すポリペプチド、のうちの1つである。上記の同一性または相同性は、配列分析用ツールであるBLAST(NCBIのBLAST 2.2.9 (2004.5.12 発行))を用いてデフォルトパラメータを用いて算出される。ストリンジェントな条件は配列に依存して変化し、このような条件の決定は、当業者の技術範囲内である。また、LOX−1としては、ヒトLOX−1(hLOX−1ともいう)、ウシLOX−1(b−LOX1ともいう)、ブタLOX−1、マウスLOX−1、ウサギLOX−1のような哺乳動物のLOX−1が挙げられるが、これらに限定されない。bLOX−1は、C型レクチンファミリーに属する273アミノ酸残基からなる分子量約50kDaの糖タンパク質であり、N末端が細胞質内にあり、C末端が細胞外に出ている細胞膜1回貫通型のII型膜タンパク質である。hLOX−1はまた、C型レクチンファミリーに属する273アミノ酸残基からなる約30kDaのII型膜タンパク質である。LOX−1は、構造的には、以下の4つのドメイン:N末端側の細胞質ドメイン、疎水性膜貫通ドメイン、ネックドメイン、およびC型レクチン様ドメインからなる。
本明細書において使用される場合、用語「C型レクチン様ドメイン」とは、CTLDともいい、C型レクチンファミリーに属するメンバーの糖鎖認識部位と相同性を有する。CTLDは、このメンバー間で、種間で非常によく保存されており、6個のシステイン残基の位置は、完全に保存されている。また、CTLDは、LOX−1のリガンドを認識するための機能的ドメインであり、この中の6個のシステイン残基は、hLOX−1の3カ所の分子内ジスルフィド結合に関与している。従って、本発明の変異LOX−1−界面活性剤複合体は、配列番号4のアミノ酸配列において、144位、155位、172位、243位、256位、264位におけるシステインが保持されていることが好ましい。同様に、本発明のCTLD−界面活性剤複合体においても、配列番号4のアミノ酸配列における144位、155位、172位、243位、256位、264位におけるシステインに対応するアミノ酸が保持されていることが好ましい。この保存されたCTLDに加えて、hLOX−1および他の既知の種におけるネックドメインは、高い配列同一性を有している。また、hLOX−1における140位のシステインは、分子間ジスルフィド結合に関与し、hLOX−1の二量体を形成する。しかし、この140位のシステインは、変性LDLの認識に必須ではないので、発現された場合に、必ずしもこの140位のシステインが保持されている必要はなく、変異されていてもよい。さらに、hLOX−1では、183位のNと139位のNにおいて糖鎖が付加されている。糖鎖が付加されたhLOX−1の分子量は、40kDaである。通常hLOX−1はグリコシル化されているが、たとえグリコシル化されていなくても、グリコシル化された通常のhLOX−1と同様に、変性LDLを認識および結合できる。上記CTLDは、変性LDLを結合するのに必要十分な最小ドメインである。このLOX−1のC末端の4残基(LRAQ)は、リガンドの認識と取り込みに必須であり、C末端の7残基(KANLRAQ)がhLOX−1のフォールディングと輸送に必須である。hLOX−1のW150、R208、R229、R231、R248等がリガンド認識と取り込みに必須のアミノ酸である。LOX−1はまた、細胞膜から切断され、可溶性形態として放出され、健常者の血中にも存在することが報告されている。
本明細書において使用される場合、用語「CTLD様ポリペプチド」とは、「CTLD」、「PR(Protease−Resistant(プロテアーゼ耐性))−CTLD」、「CTLD14」(CTLD+ネックドメインのC末端側の14アミノ酸を有するポリペプチド)、「PR−CTLD14」、「CTLD+ネック」(CTLD+ネックドメインを有するポリペプチド)、または「PR−CTLD+ネック」に包含される全てのポリペプチドまたはその変異体を包含する。
本明細書において使用される場合、用語「CTLD」および「PR−CTLD」とは、代表的には、(1)配列番号2に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド;(2)上記配列番号2に示されるアミノ酸配列において1または数個のアミノ酸の置換、付加および/または欠失を含むアミノ酸配列を含むポリペプチド;(3)上記配列番号2に示されるアミノ酸配列において90位および107位以外のアミノ酸位置で1または数個の置換、付加および/または欠失を含み、かつ天然型LOX−1の活性を示すアミノ酸配列を含むポリペプチド;(4)上記配列番号2に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチド;(5)上記配列番号2に示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の配列相同性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチド;(6)配列番号1に示される核酸分子によってコードされるアミノ酸配列を含むポリペプチド;(7)上記配列番号1に示される核酸配列に対して相補的な核酸配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸分子によってコードされるアミノ酸配列を含むポリペプチド;(8)配列番号1に示される核酸配列と相補的な核酸配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸分子によってコードされるアミノ酸配列であって、該コードされるアミノ酸配列において90位および107位のアミノ酸は、配列番号2における対応するアミノ酸を保持し、かつ天然型LOX−1の活性を示すアミノ酸配列を含むポリペプチド;(9)上記配列番号1に示される核酸配列において1または数個の置換、付加および/または欠失を有する核酸配列によってコードされるアミノ酸配列を含み、かつ天然型LOX−1の活性を示すポリペプチド;(10)上記配列番号1に示される核酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有する核酸配列によってコードされるアミノ酸配列を含むポリペプチド;(11)上記配列番号1に示される核酸配列と少なくとも80%の配列相同性を有する核酸配列によってコードされるアミノ酸配列を含むポリペプチド、のうちの1つによって示される。上記の同一性または相同性は、配列分析用ツールであるBLAST(NCBIのBLAST 2.2.9 (2004.5.12 発行))を用いてデフォルトパラメータを用いて算出される。ストリンジェントな条件は配列に依存して変化し、このような条件の決定は、当業者の技術範囲内である。
本明細書において使用される場合、用語「CTLD14」および「PR−CTLD14」とは、(1)配列番号6に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド;(2)上記配列番号6に示されるアミノ酸配列において1または数個のアミノ酸の置換、付加および/または欠失を含むアミノ酸配列を含むポリペプチド;(3)上記配列番号6に示されるアミノ酸配列において104位および121位以外のアミノ酸位置で1または数個の置換、付加および/または欠失を含み、かつ天然型LOX−1の活性を示すアミノ酸配列を含むポリペプチド;(4)上記配列番号6に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチド;(5)上記配列番号6に示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の配列相同性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチド;(6)配列番号5に示される核酸分子によってコードされるアミノ酸配列を含むポリペプチド;(7)上記配列番号5に示される核酸配列に対して相補的な核酸配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸分子によってコードされるアミノ酸配列を含むポリペプチド;(8)配列番号5に示される核酸配列と相補的な核酸配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸分子によってコードされるアミノ酸配列であって、該コードされるアミノ酸配列において104位および121位のアミノ酸は、配列番号6における対応するアミノ酸を保持し、かつ天然型LOX−1の活性を示すアミノ酸配列を含むポリペプチド;(9)上記配列番号5に示される核酸配列において1または数個の置換、付加および/または欠失を有する核酸配列によってコードされるアミノ酸配列を含み、かつ天然型LOX−1の活性を示すポリペプチド;(10)上記配列番号5に示される核酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有する核酸配列によってコードされるアミノ酸配列を含むポリペプチド;(11)上記配列番号5に示される核酸配列と少なくとも80%の配列相同性を有する核酸配列によってコードされるアミノ酸配列を含むポリペプチド、のうちの1つによって示される。上記の同一性または相同性は、配列分析用ツールであるBLAST(NCBIのBLAST 2.2.9 (2004.5.12 発行))を用いてデフォルトパラメータを用いて算出される。ストリンジェントな条件は配列に依存して変化し、このような条件の決定は、当業者の技術範囲内である。
本明細書において使用される場合、用語「CTLD+ネック」および「PR−CTLD+ネック」とは、(1)配列番号8に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド;(2)上記配列番号8に示されるアミノ酸配列において1または数個のアミノ酸の置換、付加および/または欠失を含むアミノ酸配列を含むポリペプチド;(3)上記配列番号8に示されるアミノ酸配列において172位および189位以外のアミノ酸位置で1または数個の置換、付加および/または欠失を含み、かつ天然型LOX−1の活性を示すアミノ酸配列を含むポリペプチド;(4)上記配列番号8に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチド;(5)上記配列番号8に示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の配列相同性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチド;(6)配列番号7に示される核酸分子によってコードされるアミノ酸配列を含むポリペプチド;(7)上記配列番号7に示される核酸配列に対して相補的な核酸配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸分子によってコードされるアミノ酸配列を含むポリペプチド;(8)配列番号7に示される核酸配列と相補的な核酸配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸分子によってコードされるアミノ酸配列であって、該コードされるアミノ酸配列において172位および189位位のアミノ酸は、配列番号6における対応するアミノ酸を保持し、かつ天然型LOX−1の活性を示すアミノ酸配列を含むポリペプチド;(9)上記配列番号7に示される核酸配列において1または数個の置換、付加および/または欠失を有する核酸配列によってコードされるアミノ酸配列を含み、かつ天然型LOX−1の活性を示すポリペプチド;(10)上記配列番号7に示される核酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有する核酸配列によってコードされるアミノ酸配列を含むポリペプチド;(11)上記配列番号7に示される核酸配列と少なくとも80%の配列相同性を有する核酸配列によってコードされるアミノ酸配列を含むポリペプチド、のうちの1つによって示される。上記の同一性または相同性は、配列分析用ツールであるBLAST(NCBIのBLAST 2.2.9 (2004.5.12 発行))を用いてデフォルトパラメータを用いて算出される。ストリンジェントな条件は配列に依存して変化し、このような条件の決定は、当業者の技術範囲内である。
なお、上記CTLD様ポリペプチドは、天然型LOX−1の活性が保持されている限り、非天然アミノ酸を含んでいてもよいし、アミノ酸アナログ、アミノ酸誘導体などを含んでいてもよい。
上記に示されるCTLD様ポリペプチド−界面活性剤複合体においても、システイン残基は、分子内ジスルフィド結合に関与しているので、本発明のCTLD様ポリペプチドにおいて、配列番号4のアミノ酸配列の144位、155位、172位、243位、256位、264位に対応するシステインが保持されていることが好ましい。
本明細書において使用される場合、用語「リガンド」とは、特異的な受容体または受容体のファミリーに対する結合パートナーである。リガンドは、受容体に対する内因性のリガンドであるか、またはその代わりに、薬剤、薬剤候補、もしくは薬理学的手段のような受容体に対する合成リガンドであり得る。
本明細書において使用される場合、「変性LDL」とは、LDLが体内で活性酸素、酸化的酵素、Fe3+などと接触すること、あるいは、血管内皮細胞やマクロファージなどによる細胞依存性化学変化によって発生する種々の分子修飾を有する任意のLDL改変体である。生体内に存在する変性LDLとしては、代表的には、酸化LDL(完全酸化LDL(本明細書中F−OxLDLともいう)および部分酸化LDL(本明細書中M−OxLDLともいう)が挙げられる)、マロンジアルデヒド化LDL(MDA−LDL)、アクロレイン修飾LDL、ノネナール修飾LDL、クロトンアルデヒド(CRA)修飾LDL、4−ヒドロキシノネナール(HNE)修飾LDL、ヘキサノイル(HEL)修飾LDL、小粒子LDL(直径255nm以下のLDL)、糖化LDLなどが挙げられるが、これらに限定されない。酸化LDLが異常値を示す場合、動脈硬化症、虚血性心疾患(心筋梗塞、狭心症など)、脳血管障害(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血、一過性脳虚血発作など)、大動脈瘤、腎梗塞、高脂血症などのような疾患が予想されるがこれらに限定されない(「今日の臨床検査 2007−2008」発行所 株式会社 南江堂、参照)。一般に使用される検査方法では、基準物質としては、MDA−LDL(正常範囲:10〜80U/L)および酸化ホスファチジルコリン(正常範囲:8.4U/mL〜17.6U/mL)が使用されている。
本明細書において使用される場合、用語「後期糖化反応生成物(Advanced Glycation End Products)」とは、AGEともいわれ、糖尿病患者の生活の質を損ねる元凶である血管合併症として知られる糖尿病性血管障害の発症・進展に関与している。グルコースに代表される還元糖は、タンパク質、アミノ酸のアミノ基と非酵素的に反応して、シッフ塩基またはアマドリ転位化合物などの糖化生成物を形成する。ここまでの反応は可逆的であり、前期反応とよばれている。その後、さらに縮合、開裂、架橋形成などの複雑かつ不可逆的な反応を経て、後期糖化反応生成物を形成する。このような一連の反応は、グリケーションと称される。AGEはまた、このような過程を経て生成された構造物の総称である。生体中に存在するAGE構造としては、カルボキシメチルリジン(CML)、カルボキエチルリジン(CEL)、ペントシジン、ピラリン、イミダゾリン、メチルグリオキサール、クロスリンなどが挙げられるが、これに限定されない。血漿中に存在するアルブミン、イムノグロブリン、オボアルブミンなどが上記の糖化を受けた産物もAGEであり、AGEとして実験系に汎用されている。さらに、インビトロ実験系では、BSA(ウシ血清アルブミン)に糖化処理を施したもの、例えば、R−AGE(リボースにより糖化処理をしたBSA)、F−AGE(フルクトースにより処理をしたBSA);G−AGE(グルコースにより糖化処理をしたBSA)なども汎用されている。血糖コントロールの指標として用いられているヘモグロビンA1cはアマドリ転移化合物であるが、AGEに包含される。また、任意のタンパク質も、AGEに変換可能である。例えば、AGEに包含されるCMLアルブミンおよびCELアルブミンは、いずれもアルブミンが糖化を受けたAGEである。このようなAGE生成反応は、生体内において循環血液中、細胞外マトリクス、細胞内のいずれでも起こり得る。例えば、糖尿病患者の血管に存在するAGEとしては、:蛍光性で架橋構造を有するもの(ペントシジン、クロスリンなど)および蛍光も架橋もないもの(カルボキシメチルリジン、ピラリン、メチルグリオキサール(MG)−イミダゾロンなど)の2つに大別できる。AGEが異常値を示す場合、細小血管症(腎症、網膜症、神経症など)、大血管障害(虚血性心疾患、脳血管疾患、閉塞性動脈硬化症のような疾患が予想される。一般に使用される検査方法では、基準物質としては、ピラリン(正常範囲:血漿中23pmol/mL未満)、ペントシジン(正常範囲:血漿中0.00915〜0.0431μg/mL(ELISAで測定した場合))などが使用される(「今日の臨床検査 2007−2008」発行所 株式会社 南江堂、参照)。
本明細書において使用される場合、用語「AGE受容体(Receptor for AGE)」とは、RAGEともいわれ、(1)配列番号10に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド;(2)上記配列番号10に示されるアミノ酸配列において1または数個のアミノ酸の置換、付加および/または欠失を含むアミノ酸配列を含み、かつ天然型RAGEの活性を示すポリペプチド;(3)上記配列番号10に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつ天然型RAGEの活性を示すポリペプチド;(4)上記配列番号10に示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の配列相同性を有するアミノ酸配列を含み、かつ天然型RAGEの活性を示すポリペプチド;(5)配列番号9に示される核酸分子によってコードされるアミノ酸配列を含むポリペプチド;(6)上記配列番号9に示される核酸配列に対して相補的な核酸配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸分子によってコードされるアミノ酸配列を含み、かつ天然型RAGEの活性を示すポリペプチド;(7)上記配列番号9に示される核酸配列において1または数個のヌクレオチドの置換、付加および/または欠失を有する核酸分子によってコードされるアミノ酸配列を含み、かつ天然型RAGEの活性を示すポリペプチド;(8)上記配列番号9に示される核酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有する核酸分子によってコードされるアミノ酸配列を含み、かつ天然型RAGEの活性を示すポリペプチド;および(9)上記配列番号9に示される核酸配列と少なくとも80%の配列相同性を有する核酸分子によってコードされるアミノ酸配列を含み、かつ天然型RAGEの活性を示すポリペプチド、のうちの1つである。上記の同一性または相同性は、配列分析用ツールであるBLAST(NCBIのBLAST 2.2.9 (2004.5.12 発行))を用いてデフォルトパラメータを用いて算出される。ストリンジェントな条件は配列に依存して変化し、このような条件の決定は、当業者の技術範囲内である。RAGEはまた、1992年に、ウシ肺から同定され、AGEと結合するイムノグロブリンスーパーファミリーに属する、分子量約35kDaのI型膜タンパク質(糖鎖修飾を受けた完全なRAGEは、分子量55kDa)である。RAGEの細胞外ドメインは、1つのV型イムノグロブリンドメイン、続いて、2つのC型イムノグロブリンドメイン(C1領域およびC2領域)の、3つのイムノグロブリンフォールド構造を取るドメインが結合した構造を取っている。RAGEはまた、細胞膜1回貫通型のドメインおよび43アミノ酸の細胞質ドメインを含む。RAGEは、多様なクラスのリガンド(AGE、S100/カルグラニュリン、アンフォテリンおよびアミロイド−βペプチド)と相互作用する。Vドメインは、リガンド結合に必須の部位であり、細胞質ドメインは、RAGE媒介性細胞内シグナル伝達に必須である。RAGEはまた、各ドメイン内でジスルフィド結合を有するので、本発明の変異RAGE−界面活性剤複合体は、配列番号10のアミノ酸配列における38位、99位、144位、208位、259位および301位に対応するシステイン残基を保持していることが好ましい。RAGEは、正常組織および血管系においては低レベルでしか発現されない。しかし、この受容体は、そのリガンドが蓄積した場所においてアップレギュレートされる。RAGEの発現は、糖尿病血管系において内皮細胞、平滑筋細胞、周皮細胞、腎メサンギウム細胞および浸潤性単核食細胞で増加している。また、AGEが蓄積している動脈硬化巣のような病的部位においても、RAGEの発現が増加している。AGE−RAGE相互作用は、血管系ホメオスタシスにおいて重要な細胞の特性を変化させる。例えば、RAGEがAGEと結合した後、血管内皮細胞は、VCAM−1、組織因子、およびIL−6の発現、ならびに高分子へのそれらの透過性を増加させる。単核食細胞において、RAGEは、サイトカインおよび増殖因子の発現を活性化し、可溶性AGEに応じて細胞移動を誘導するのに対して、走触性は、固定リガンドで起こる。
本明細書において使用される場合、用語「RAGE様ポリペプチド」とは、「RAGE8」、「mRAGE8」、「RAGE1」、「mRAGE1」、「RAGE2」、「mRAGE2」、「RAGE3」、「mRAGE3」、「RAGE4」、「mRAGE4」、「RAGE7」、「mRAGE7」、「RAGE143」、「mRAGE143」、「RAGE223」、「mRAGE223」、「RAGE226」および「mRAGE226」と称されるポリペプチドまたはこれらの変異体を包含する。
本明細書において使用される場合、用語「RAGE8」および「mRAGE8」とは、(1)配列番号12に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド;(2)上記配列番号12に示されるアミノ酸配列において1または数個の置換、付加および/または欠失を含むアミノ酸配列を含むポリペプチド;(3)上記配列番号12に示されるアミノ酸配列において、92位および95位以外のアミノ酸位置で1または数個のアミノ酸の置換、付加および/または欠失を含むアミノ酸配列を含み、かつ天然型RAGEの活性を示すポリペプチド;(4)上記配列番号12に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有する変異体を含むポリペプチド;(5)上記配列番号12に示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の配列相同性を有する変異体を含むポリペプチド;(6)配列番号11に示される核酸分子によってコードされるアミノ酸配列を含むポリペプチド;(7)上記配列番号11に示される核酸配列に対して相補的な核酸配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸分子によってコードされるアミノ酸配列を含むポリペプチド;(8)上記配列番号11に示される核酸配列において1または数個の置換、付加および/または欠失を有する核酸分子によってコードされるアミノ酸配列を含むポリペプチド;(9)上記配列番号11に示される核酸配列と相補的な核酸配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸分子によってコードされるポリペプチドであって、該コードされるアミノ酸配列において92位および95位のアミノ酸配列は、配列番号12における対応するアミノ酸を保持し、かつ天然型RAGEの活性を示す、ポリペプチド;(10)上記配列番号11に示される核酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有する核酸分子によってコードされるアミノ酸配列を含むポリペプチド;および(11)上記配列番号11に示される核酸配列と少なくとも80%の配列相同性を有する核酸分子によってコードされるアミノ酸配列を含むポリペプチドのうちの1つによって示される。上記の同一性または相同性は、配列分析用ツールであるBLAST(NCBIのBLAST 2.2.9 (2004.5.12 発行))を用いてデフォルトパラメータを用いて算出される。ストリンジェントな条件は配列に依存して変化し、このような条件の決定は、当業者の技術範囲内である。
本明細書において使用される場合、用語「RAGE1」および「mRAGE1」とは、(1)配列番号14に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド;(2)上記配列番号14に示されるアミノ酸配列において1または数個の置換、付加および/または欠失を含むアミノ酸配列を含むポリペプチド;(3)上記配列番号14に示されるアミノ酸配列において、92位、95位、206位および250位以外のアミノ酸位置で1または数個のアミノ酸の置換、付加および/または欠失を含むアミノ酸配列を含み、かつ天然型RAGEの活性を示すポリペプチド;(4)上記配列番号14に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有する変異体を含むポリペプチド;(5)上記配列番号14に示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の配列相同性を有する変異体を含むポリペプチド;(6)配列番号13に示される核酸分子によってコードされるアミノ酸配列を含むポリペプチド;(7)上記配列番号13に示される核酸配列に対して相補的な核酸配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸分子によってコードされるアミノ酸配列を含むポリペプチド;(8)上記配列番号13に示される核酸配列において1または数個の置換、付加および/または欠失を有する核酸分子によってコードされるアミノ酸配列を含むポリペプチド;(9)上記配列番号13に示される核酸配列と相補的な核酸配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸分子によってコードされるアミノ酸配列であって、該コードされるアミノ酸配列において92位、95位、206位および250位のアミノ酸配列は、配列番号14における対応するアミノ酸を保持し、かつ天然型RAGEの活性を示す、ポリペプチド;(10)上記配列番号13に示される核酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有する核酸分子によってコードされるアミノ酸配列を含むポリペプチド;および(11)上記配列番号13に示される核酸配列と少なくとも80%の配列相同性を有する核酸分子によってコードされるアミノ酸配列を含むポリペプチド、のうちの1つによって示される。上記の同一性または相同性は、配列分析用ツールであるBLAST(NCBIのBLAST 2.2.9 (2004.5.12 発行))を用いてデフォルトパラメータを用いて算出される。ストリンジェントな条件は配列に依存して変化し、このような条件の決定は、当業者の技術範囲内である。
本明細書において使用される場合、用語「RAGE2」および「mRAGE2」とは、(1)配列番号37に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド;(2)上記配列番号37に示されるアミノ酸配列において1または数個の置換、付加および/または欠失を含むアミノ酸配列を含むポリペプチド;(3)上記配列番号37に示されるアミノ酸配列において、92位、95位および206位以外のアミノ酸位置で1または数個のアミノ酸の置換、付加および/または欠失を含むアミノ酸配列を含み、かつ天然型RAGEの活性を示すポリペプチド;(4)上記配列番号37に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有する変異体を含むポリペプチド;(5)上記配列番号37に示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の配列相同性を有する変異体を含むポリペプチド;(6)配列番号36に示される核酸分子によってコードされるアミノ酸配列を含むポリペプチド;(7)上記配列番号36に示される核酸配列に対して相補的な核酸配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸分子によってコードされるアミノ酸配列を含むポリペプチド;(8)上記配列番号36に示される核酸配列において1または数個の置換、付加および/または欠失を有する核酸分子によってコードされるアミノ酸配列を含むポリペプチド;(9)上記配列番号36に示される核酸配列と相補的な核酸配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸分子によってコードされるポリペプチドであって、該コードされるアミノ酸配列において92位、95位および206位のアミノ酸配列は、配列番号37における対応するアミノ酸を保持し、かつ天然型RAGEの活性を示す、ポリペプチド;(10)上記配列番号36に示される核酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有する核酸分子によってコードされるアミノ酸配列を含むポリペプチド;および(11)上記配列番号36に示される核酸配列と少なくとも80%の配列相同性を有する核酸分子によってコードされるアミノ酸配列を含むポリペプチド、のうちの1つによって示される。上記の同一性または相同性は、配列分析用ツールであるBLAST(NCBIのBLAST 2.2.9 (2004.5.12 発行))を用いてデフォルトパラメータを用いて算出される。ストリンジェントな条件は配列に依存して変化し、このような条件の決定は、当業者の技術範囲内である。
本明細書において使用される場合、用語「RAGE3」および「mRAGE3」とは、(1)配列番号39に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド;(2)上記配列番号39に示されるアミノ酸配列において1または数個の置換、付加および/または欠失を含むアミノ酸配列を含むポリペプチド;(3)上記配列番号39に示されるアミノ酸配列において、92位、95位および206位以外のアミノ酸位置で1または数個のアミノ酸の置換、付加および/または欠失を含むアミノ酸配列を含み、かつ天然型RAGEの活性を示すポリペプチド;(374)上記配列番号39に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有する変異体を含むポリペプチド;(5)上記配列番号39に示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の配列相同性を有する変異体を含むポリペプチド;(6)配列番号38に示される核酸分子によってコードされるアミノ酸配列を含むポリペプチド;(7)上記配列番号38に示される核酸配列に対して相補的な核酸配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸分子によってコードされるアミノ酸配列を含むポリペプチド;(8)上記配列番号38に示される核酸配列において1または数個の置換、付加および/または欠失を有する核酸分子によってコードされるアミノ酸配列を含むポリペプチド;(9)上記配列番号38に示される核酸配列と相補的な核酸配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸分子によってコードされるポリペプチドであって、該コードされるアミノ酸配列において92位、95位および206位のアミノ酸配列は、配列番号39における対応するアミノ酸を保持し、かつ天然型RAGEの活性を示す、ポリペプチド;(10)上記配列番号38に示される核酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有する核酸分子によってコードされるアミノ酸配列を含むポリペプチド;および(11)上記配列番号38に示される核酸配列と少なくとも80%の配列相同性を有する核酸分子によってコードされるアミノ酸配列を含むポリペプチド、のうちの1つによって示される。上記の同一性または相同性は、配列分析用ツールであるBLAST(NCBIのBLAST 2.2.9 (2004.5.12 発行))を用いてデフォルトパラメータを用いて算出される。ストリンジェントな条件は配列に依存して変化し、このような条件の決定は、当業者の技術範囲内である。
本明細書において使用される場合、用語「RAGE4」および「mRAGE4」とは、(1)配列番号41に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド;(2)上記配列番号41に示されるアミノ酸配列において1または数個の置換、付加および/または欠失を含むアミノ酸配列を含むポリペプチド;(3)上記配列番号41に示されるアミノ酸配列において、14位、17位、128位および172位以外のアミノ酸位置で1または数個のアミノ酸の置換、付加および/または欠失を含むアミノ酸配列を含み、かつ天然型RAGEの活性を示すポリペプチド;(4)上記配列番号41に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有する変異体を含むポリペプチド;(5)上記配列番号41に示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の配列相同性を有する変異体を含むポリペプチド;(6)配列番号40に示される核酸分子によってコードされるアミノ酸配列を含むポリペプチド;(7)上記配列番号40に示される核酸配列に対して相補的な核酸配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸分子によってコードされるアミノ酸配列を含むポリペプチド;(8)上記配列番号40に示される核酸配列において1または数個の置換、付加および/または欠失を有する核酸分子によってコードされるアミノ酸配列を含むポリペプチド;(9)上記配列番号40に示される核酸配列と相補的な核酸配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸分子によってコードされるポリペプチドであって、該コードされるアミノ酸配列において14位、17位、128位および172位のアミノ酸配列は、配列番号41における対応するアミノ酸を保持し、かつ天然型RAGEの活性を示す、ポリペプチド;(10)上記配列番号40に示される核酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有する核酸分子によってコードされるアミノ酸配列を含むポリペプチド;および(11)上記配列番号40に示される核酸配列と少なくとも80%の配列相同性を有する核酸分子によってコードされるアミノ酸配列を含むポリペプチド、のうちの1つによって示される。上記の同一性または相同性は、配列分析用ツールであるBLAST(NCBIのBLAST 2.2.9 (2004.5.12 発行))を用いてデフォルトパラメータを用いて算出される。ストリンジェントな条件は配列に依存して変化し、このような条件の決定は、当業者の技術範囲内である。
本明細書において使用される場合、用語「RAGE7」および「mRAGE7」とは、
(1)配列番号43に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド;(2)上記配列番号43に示されるアミノ酸配列において1または数個の置換、付加および/または欠失を含むアミノ酸配列を含むポリペプチド;(3)上記配列番号43に示されるアミノ酸配列において、92位および95位以外のアミノ酸位置で1または数個のアミノ酸の置換、付加および/または欠失を含むアミノ酸配列を含み、かつ天然型RAGEの活性を示すポリペプチド;(4)上記配列番号43に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有する変異体を含むポリペプチド;(5)上記配列番号43に示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の配列相同性を有する変異体を含むポリペプチド;(6)配列番号42に示される核酸分子によってコードされるアミノ酸配列を含むポリペプチド;(7)上記配列番号42に示される核酸配列に対して相補的な核酸配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸分子によってコードされるアミノ酸配列を含むポリペプチド;(8)上記配列番号42に示される核酸配列において1または数個の置換、付加および/または欠失を有する核酸分子によってコードされるアミノ酸配列を含むポリペプチド;(9)上記配列番号42に示される核酸配列と相補的な核酸配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸分子によってコードされるポリペプチドであって、該コードされるアミノ酸配列において92位および95位のアミノ酸配列は、配列番号43における対応するアミノ酸を保持し、かつ天然型RAGEの活性を示す、ポリペプチド;(10)上記配列番号42に示される核酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有する核酸分子によってコードされるアミノ酸配列を含むポリペプチド;および(11)上記配列番号42に示される核酸配列と少なくとも80%の配列相同性を有する核酸分子によってコードされるアミノ酸配列を含むポリペプチド、のうちの1つによって示される。上記の同一性または相同性は、配列分析用ツールであるBLAST(NCBIのBLAST 2.2.9 (2004.5.12 発行))を用いてデフォルトパラメータを用いて算出される。ストリンジェントな条件は配列に依存して変化し、このような条件の決定は、当業者の技術範囲内である。
本明細書において使用される場合、用語「RAGE143」および「mRAGE143」とは、(1)配列番号45に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド;(2)上記配列番号45に示されるアミノ酸配列において1または数個の置換、付加および/または欠失を含むアミノ酸配列を含むポリペプチド;(3)上記配列番号45に示されるアミノ酸配列において、92位および95位以外のアミノ酸位置で1または数個のアミノ酸の置換、付加および/または欠失を含むアミノ酸配列を含み、かつ天然型RAGEの活性を示すポリペプチド;(4)上記配列番号45に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有する変異体を含むポリペプチド;(5)上記配列番号45に示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の配列相同性を有する変異体を含むポリペプチド;(6)配列番号44に示される核酸分子によってコードされるアミノ酸配列を含むポリペプチド;(7)上記配列番号44に示される核酸配列に対して相補的な核酸配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸分子によってコードされるアミノ酸配列を含むポリペプチド;(8)上記配列番号44に示される核酸配列において1または数個の置換、付加および/または欠失を有する核酸分子によってコードされるアミノ酸配列を含むポリペプチド;(9)上記配列番号44に示される核酸配列と相補的な核酸配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸分子によってコードされるポリペプチドであって、該コードされるアミノ酸配列において92位および95位のアミノ酸配列は、配列番号45における対応するアミノ酸を保持し、かつ天然型RAGEの活性を示す、ポリペプチド;(10)上記配列番号44に示される核酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有する核酸分子によってコードされるアミノ酸配列を含むポリペプチド;および(11)上記配列番号44に示される核酸配列と少なくとも80%の配列相同性を有する核酸分子によってコードされるアミノ酸配列を含むポリペプチド、のうちの1つによって示される。上記の同一性または相同性は、配列分析用ツールであるBLAST(NCBIのBLAST 2.2.9 (2004.5.12 発行))を用いてデフォルトパラメータを用いて算出される。ストリンジェントな条件は配列に依存して変化し、このような条件の決定は、当業者の技術範囲内である。
本明細書において使用される場合、用語「RAGE223」および「mRAGE223」とは、(1)配列番号47に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド;(2)上記配列番号47に示されるアミノ酸配列において1または数個の置換、付加および/または欠失を含むアミノ酸配列を含むポリペプチド;(3)上記配列番号47に示されるアミノ酸配列において、92位および95位以外のアミノ酸位置で1または数個のアミノ酸の置換、付加および/または欠失を含むアミノ酸配列を含み、かつ天然型RAGEの活性を示すポリペプチド;(4)上記配列番号47に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有する変異体を含むポリペプチド;(5)上記配列番号47に示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の配列相同性を有する変異体を含むポリペプチド;(6)配列番号46に示される核酸分子によってコードされるアミノ酸配列を含むポリペプチド;(7)上記配列番号46に示される核酸配列に対して相補的な核酸配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸分子によってコードされるアミノ酸配列を含むポリペプチド;(8)上記配列番号46に示される核酸配列において1または数個の置換、付加および/または欠失を有する核酸分子によってコードされるアミノ酸配列を含むポリペプチド;(9)上記配列番号46に示される核酸配列と相補的な核酸配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸分子によってコードされるポリペプチドであって、該コードされるアミノ酸配列において92位および95位のアミノ酸配列は、配列番号47における対応するアミノ酸を保持し、かつ天然型RAGEの活性を示す、ポリペプチド;(10)上記配列番号46に示される核酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有する核酸分子によってコードされるアミノ酸配列を含むポリペプチド;および(11)上記配列番号46に示される核酸配列と少なくとも80%の配列相同性を有する核酸分子によってコードされるアミノ酸配列を含むポリペプチド、のうちの1つによって示される。上記の同一性または相同性は、配列分析用ツールであるBLAST(NCBIのBLAST 2.2.9 (2004.5.12 発行))を用いてデフォルトパラメータを用いて算出される。ストリンジェントな条件は配列に依存して変化し、このような条件の決定は、当業者の技術範囲内である。
本明細書において使用される場合、用語「RAGE226」および「mRAGE226」とは、(1)配列番号49に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド;(2)上記配列番号49に示されるアミノ酸配列において1または数個の置換、付加および/または欠失を含むアミノ酸配列を含むポリペプチド;(3)上記配列番号49に示されるアミノ酸配列において、92位および95位以外のアミノ酸位置で1または数個のアミノ酸の置換、付加および/または欠失を含むアミノ酸配列を含み、かつ天然型RAGEの活性を示すポリペプチド;(4)上記配列番号49に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有する変異体を含むポリペプチド;(5)上記配列番号49に示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の配列相同性を有する変異体を含むポリペプチド;(6)配列番号48に示される核酸分子によってコードされるアミノ酸配列を含むポリペプチド;(7)上記配列番号48に示される核酸配列に対して相補的な核酸配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸分子によってコードされるアミノ酸配列を含むポリペプチド;(8)上記配列番号48に示される核酸配列において1または数個の置換、付加および/または欠失を有する核酸分子によってコードされるアミノ酸配列を含むポリペプチド;(9)上記配列番号48に示される核酸配列と相補的な核酸配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸分子によってコードされるポリペプチドであって、該コードされるアミノ酸配列において92位および95位のアミノ酸配列は、配列番号49における対応するアミノ酸を保持し、かつ天然型RAGEの活性を示す、ポリペプチド;(10)上記配列番号48に示される核酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有する核酸分子によってコードされるアミノ酸配列を含むポリペプチド;および(11)上記配列番号48に示される核酸配列と少なくとも80%の配列相同性を有する核酸分子によってコードされるアミノ酸配列を含むポリペプチド、のうちの1つによって示される。上記の同一性または相同性は、配列分析用ツールであるBLAST(NCBIのBLAST 2.2.9 (2004.5.12 発行))を用いてデフォルトパラメータを用いて算出される。ストリンジェントな条件は配列に依存して変化し、このような条件の決定は、当業者の技術範囲内である。
なお、上記RAGE様ポリペプチドは、天然型RAGEの活性が保持されている限り、非天然アミノ酸を含んでいてもよいし、アミノ酸アナログ、アミノ酸誘導体などを含んでいてもよい。
上記のRAGE様ポリペプチドにおいても、分子内ジスルフィド結合を形成することは重要であるので、配列番号10のアミノ酸配列の38位、99位、144位、208位、259位および301位に対応するシステインは保持されていることが好ましい。
本明細書において「タンパク質」、「ポリペプチド」、「オリゴペプチド」および「ペプチド」は、本明細書において同じ意味で使用され、任意の長さのアミノ酸のポリマーをいう。このポリマーは、直鎖であっても分岐していてもよく、環状であってもよい。アミノ酸は、天然のものであっても非天然のものであってもよく、改変されたアミノ酸であってもよい。この用語はまた、複数のポリペプチド鎖の複合体へとアセンブルされたものを包含し得る。この用語はまた、天然または人工的に改変されたアミノ酸ポリマーも包含する。そのような改変としては、例えば、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化または任意の他の操作もしくは改変(例えば、標識成分との結合体化)。この定義にはまた、例えば、アミノ酸の1または2以上のアナログを含むポリペプチド(例えば、非天然アミノ酸などを含む)、ペプチド様化合物(例えば、ペプトイド)および当該分野において公知の他の改変が包含される。
本明細書において、「アミノ酸」は、本発明の目的を満たす限り、天然のものでも非天然のものでもよい。
本明細書において「アミノ酸誘導体」または「アミノ酸アナログ」とは、天然に存在するアミノ酸とは異なるがもとのアミノ酸と同様の機能を有するものをいう。そのようなアミノ酸誘導体およびアミノ酸アナログは、当該分野において周知である。本明細書では、アミノ酸誘導体およびアミノ酸アナログは、アミノ酸と同じ生物学的機能を提供し得る限り代替として使用され得ることが理解される。
本明細書において「天然のアミノ酸」とは、天然のアミノ酸のL−異性体を意味する。天然のアミノ酸は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、メチオニン、トレオニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、システイン、プロリン、ヒスチジン、アスパラギン酸、アスパラギン、グルタミン酸、グルタミン、γ−カルボキシグルタミン酸、アルギニン、オルニチン、およびリジンである。特に示されない限り、本明細書でいう全てのアミノ酸はL体であるが、D体のアミノ酸を用いた形態もまた本発明の範囲内にある。
本明細書において「非天然アミノ酸」とは、タンパク質中で通常は天然に見出されないアミノ酸を意味する。非天然アミノ酸の例として、ノルロイシン、パラ−ニトロフェニルアラニン、ホモフェニルアラニン、パラ−フルオロフェニルアラニン、3−アミノ−2−ベンジルプロピオン酸、ホモアルギニンのD体またはL体およびD−フェニルアラニンが挙げられる。
本明細書において「アミノ酸アナログ」とは、アミノ酸ではないが、アミノ酸の物性および/または機能に類似する分子をいう。アミノ酸アナログとしては、例えば、エチオニン、カナバニン、2−メチルグルタミンなどが挙げられる。アミノ酸模倣物とは、アミノ酸の一般的な化学構造とは異なる構造を有するが、天然に存在するアミノ酸と同様な様式で機能する化合物をいう。
アミノ酸は、その一般に公知の3文字記号か、またはIUPAC−IUB Biochemical Nomenclature Commissionにより推奨される1文字記号のいずれかにより、本明細書中で言及され得る。ヌクレオチドも同様に、一般に認知された1文字コードにより言及され得る。
本明細書では、アミノ酸配列および塩基配列の類似性、同一性および相同性の比較は、配列分析用ツールであるBLASTを用いてデフォルトパラメータを用いて算出される。同一性の検索は例えば、NCBIのBLAST 2.2.9 (2004.5.12 発行)を用いて行うことができる。本明細書における同一性の値は通常は上記BLASTを用い、デフォルトの条件でアラインした際の値をいう。ただし、パラメーターの変更により、より高い値が出る場合は、最も高い値を同一性の値とする。複数の領域で同一性が評価される場合はそのうちの最も高い値を同一性の値とする。
本明細書において、「対応する」アミノ酸とは、あるタンパク質分子またはポリペプチド分子において、比較の基準となるタンパク質またはポリペプチドにおける所定のアミノ酸と同様の作用を有するか、または有することが予測されるアミノ酸をいう。例えば、LOX−1においては、232位および249位におけるアミノ酸であり、RAGEにおいては、114位、117位、228位、272位におけるアミノ酸である。
本明細書において、「対応する」遺伝子とは、ある種において、比較の基準となる種における所定の遺伝子と同様の作用を有するか、または有することが予測される遺伝子をいい、そのような作用を有する遺伝子が複数存在する場合、進化学的に同じ起源を有するものをいう。従って、ある遺伝子(例えば、LOX−1)に対応する遺伝子は、その遺伝子のオルソログであり得る。したがって、ヒトの遺伝子に対応する遺伝子は、他の動物(マウス、ラット、ブタ、ウサギ、モルモット、ウシ、ヒツジなど)においても見出すことができる。そのような対応する遺伝子は、当該分野において周知の技術を用いて同定することができる。したがって、例えば、ある動物における対応する遺伝子は、対応する遺伝子の基準となる遺伝子の配列をクエリ配列として用いてその動物(例えば、マウス、ラット、ブタ、ウサギ、モルモット、ウシ、ヒツジなど)の配列データベースを検索することによって見出すことができる。
本明細書中で使用される「異種」とは、異なる配列または対応しない配列、あるいは異なる種由来の配列である、ヌクレオチド配列またはアミノ酸配列をいう。例えば、ヒトのヌクレオチド配列またはアミノ酸配列は、マウスのヌクレオチド配列またはアミノ酸配列に対して異種であり、そしてヒトLOX−1の核酸配列またはアミノ酸配列は、ヒトアルブミンのヌクレオチド配列またはアミノ酸配列に対して異種である。
本明細書において「フラグメント」とは、全長のポリペプチドまたはポリヌクレオチド(長さがn)に対して、1〜n−1までの配列長さを有するポリペプチドまたはポリヌクレオチドをいう。フラグメントの長さは、その目的に応じて、適宜変更することができ、例えば、その長さの下限としては、ポリペプチドの場合、3、4、5、6、7、8、9、10、15,20、25、30、40、50およびそれ以上のアミノ酸が挙げられ、ここの具体的に列挙していない整数で表される長さ(例えば、11など)もまた、下限として適切であり得る。また、ポリヌクレオチドの場合、5、6、7、8、9、10、15,20、25、30、40、50、75、100およびそれ以上のヌクレオチドが挙げられ、ここの具体的に列挙していない整数で表される長さ(例えば、11など)もまた、下限として適切であり得る。本明細書において、ポリペプチドおよびポリヌクレオチドの長さは、上述のようにそれぞれアミノ酸または核酸の個数で表すことができるが、上述の個数は絶対的なものではなく、同じ機能を有する限り、上限または下限としての上述の個数は、その個数の上下数個(または例えば上下10%)のものも含むことが意図される。そのような意図を表現するために、本明細書では、個数の前に「約」を付けて表現することがある。しかし、本明細書では、「約」のあるなしはその数値の解釈に影響を与えないことが理解されるべきである。本明細書において有用なフラグメントの長さは、そのフラグメントの基準となる全長タンパク質の機能のうち少なくとも1つの機能が保持されているかどうかによって決定され得る。
本明細書において「生物学的機能」とは、ある遺伝子またはそれに関する核酸分子もしくはポリペプチドについて言及するとき、その遺伝子、核酸分子またはポリペプチドが生体内において有し得る特定の機能をいい、これには、例えば、特異的な抗体の生成、酵素活性、抵抗性の付与等を挙げることができるがそれらに限定されない。本発明においては、例えば、LOX−1が変性LDLを認識する機能、RAGEがAGEを認識する機能などを挙げることができるがそれらに限定されない。本明細書において、生物学的機能は、「生物学的活性」によって発揮され得る。本明細書において「生物学的活性」とは、ある因子(例えば、ポリヌクレオチド、タンパク質など)が、生体内において有し得る活性のことをいい、種々の機能(例えば、転写促進活性)を発揮する活性が包含され、例えば、ある分子との相互作用によって別の分子が活性化または不活化される活性も包含される。2つの因子が相互作用する場合、その生物学的活性は、その二分子との間の結合およびそれによって生じる生物学的変化、例えば、一つの分子を抗体を用いて沈降させたときに他の分子も共沈するとき、2分子は結合していると考えられる。したがって、そのような共沈を見ることが一つの判断手法として挙げられる。例えば、ある因子が酵素である場合、その生物学的活性は、その酵素活性を包含する。別の例では、ある因子がリガンドである場合、そのリガンドが対応するレセプターへの結合を包含する。そのような生物学的活性は、当該分野において周知の技術によって測定することができる。
したがって、「活性」は、結合(直接的または間接的のいずれか)を示すかまたは明らかにするか;応答に影響する(すなわち、いくらかの曝露または刺激に応答する測定可能な影響を有する)、種々の測定可能な指標をいい、例えば、本発明のポリペプチドまたはポリヌクレオチドに直接結合する化合物の親和性、または例えば、いくつかの刺激後または事象後の上流または下流のタンパク質の量あるいは他の類似の機能の尺度が、挙げられる。
本明細書において「相互作用」とは、2つの物質についていうとき、一方の物質と他方の物質との間で力(例えば、分子間力(ファンデルワールス力)、水素結合、疎水性相互作用など)を及ぼしあうこという。通常、相互作用をした2つの物質は、会合または結合している状態にある。
本明細書中で使用される用語「結合」は、2つのタンパク質もしくは化合物または関連するタンパク質もしくは化合物の間、あるいはそれらの組み合わせの間での、物理的相互作用または化学的相互作用を意味する。結合には、イオン結合、非イオン結合、水素結合、ファンデルワールス結合、疎水性相互作用などが含まれる。物理的相互作用(結合)は、直接的または間接的であり得、間接的なものは、別のタンパク質または化合物の効果を介するかまたは起因する。直接的な結合とは、別のタンパク質または化合物の効果を介してもまたはそれらに起因しても起こらず、他の実質的な化学中間体を伴わない、相互作用をいう。
本明細書において第一の物質または因子が第二の物質または因子に「特異的に相互作用する」とは、第一の物質または因子が、第二の物質または因子に対して、第二の物質または因子以外の物質または因子(特に、第二の物質または因子を含むサンプル中に存在する他の物質または因子)に対するよりも高い親和性で相互作用することをいう。物質または因子について特異的な相互作用としては、例えば、核酸におけるハイブリダイゼーション、タンパク質における抗原抗体反応、リガンド−レセプター反応、酵素−基質反応など、核酸およびタンパク質の両方が関係する場合、転写因子とその転写因子の結合部位との反応など、タンパク質−脂質相互作用、核酸−脂質相互作用などが挙げられるがそれらに限定されない。従って、物質または因子がともに核酸である場合、第一の物質または因子が第二の物質または因子に「特異的に相互作用する」ことには、第一の物質または因子が、第二の物質または因子に対して少なくとも一部に相補性を有することが包含される。また例えば、物質または因子がともにタンパク質である場合、第一の物質または因子が第二の物質または因子に「特異的に相互作用する」こととしては、例えば、抗原抗体反応による相互作用、レセプター−リガンド反応による相互作用、酵素−基質相互作用などが挙げられるがそれらに限定されない。2種類の物質または因子がタンパク質および核酸を含む場合、第一の物質または因子が第二の物質または因子に「特異的に相互作用する」ことには、転写因子と、その転写因子が対象とする核酸分子の結合領域との間の相互作用が包含される。したがって、本明細書においてポリヌクレオチドまたはポリペプチドなどの生物学的因子に対して「特異的に相互作用する因子」とは、そのポリヌクレオチドまたはそのポリペプチドなどの生物学的因子に対する親和性が、他の無関連の(特に、同一性が30%未満の)ポリヌクレオチドまたはポリペプチドに対する親和性よりも、代表的には同等またはより高いか、好ましくは有意に(例えば、統計学的に有意に)高いものを包含する。そのような親和性は、例えば、ハイブリダイゼーションアッセイ、結合アッセイなどによって測定することができる。
本明細書中で使用される「接触(させる)」とは、化合物を、直接的または間接的のいずれかで、本発明のポリペプチドまたはポリヌクレオチドに対して物理的に近接させることを意味する。ポリペプチドまたはポリヌクレオチドは、多くの緩衝液、塩、溶液などに存在し得る。接触とは、核酸分子またはそのフラグメントをコードするポリペプチドを含む、例えば、ビーカー、マイクロタイタープレート、細胞培養フラスコまたはマイクロアレイ(例えば、遺伝子チップ)などに化合物を置くことが挙げられる。
本明細書において「複合体」とは、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、脂質、糖、低分子などの分子が複数種連結してできた分子をいう。そのような複合体としては、例えば、糖脂質、糖ペプチドなどが挙げられるがそれらに限定されない。本明細書では、配列番号2のアミノ酸を有するポリペプチドまたはその改変体もしくはフラグメントであって、LOX−1に関する生物学的な活性を有する限り、それぞれの改変体もしくはフラグメントなどをコードする核酸分子も使用することができる。また、そのような核酸分子を含む複合体も使用することができる。
本明細書において使用される場合、用語「3成分複合体」とは、広義には、第一の物質または因子と、この物質もしくは因子に特異的に相互作用する第二の物質もしくは因子と、これら第一の物質もしくは因子または第二の物質もしくは因子のいずれかに対して特異的に相互作用する第三の物質もしくは因子との複合体をいう。このような3成分複合体としては、受容体と、そのリガンドと、そのリガンドもしくはリガンド中の成分に特異的に相互作用する因子との複合体が挙げられるが、これに限定されない。最も狭義には、3成分複合体とは、本発明のCTLD様ドメインポリペプチド−界面活性剤結合複合体もしくはRAGE様ポリペプチド−界面活性剤複合体と、LOX−1もしくはRAGEのリガンドと、これらリガンドに対して特異的に結合する抗体との複合体をいう。3成分複合体を形成するために使用される抗体としては、代表的には、本発明の本発明のCTLD様ドメインポリペプチド−界面活性剤結合複合体もしくはRAGE様ポリペプチド−界面活性剤複合体のリガンド(例えば、MDA化LDL、すなわちMDA−LDL)またはリガンドに含まれる成分(例えば、リガンドがMDA−LDLの場合には、MDA)に特異的に結合する抗体(例えば、抗MDA−LDL抗体または抗MDA抗体)が挙げられるが、これらに限定されず、上記リガンドを認識する限りにおいて、抗体フラグメント(例えば、Fab、Fab’およびF(ab’)2、Fd、単鎖Fv(scFv)、単鎖抗体が挙げられる)が使用されてもよい。
本明細書において、ハイブリダイゼーションのための「ストリンジェントな条件」とは、標的配列に対して類似性または相同性を有するヌクレオチド鎖の相補鎖が標的配列に優先的にハイブリダイズし、そして類似性または相同性を有さないヌクレオチド鎖の相補鎖が実質的にハイブリダイズしない条件を意味する。ある核酸配列の「相補鎖」とは、核酸の塩基間の水素結合に基づいて対合する核酸配列(例えば、Aに対するT、Gに対するC)をいう。ストリンジェントな条件は配列依存的であり、そして種々の状況で異なる。より長い配列は、より高い温度で特異的にハイブリダイズする。一般に、ストリンジェントな条件は、規定されたイオン強度およびpHでの特定の配列についての熱融解温度(Tm)より約5℃低く選択される。Tmは、規定されたイオン強度、pH、および核酸濃度下で、標的配列に相補的なヌクレオチドの50%が平衡状態で標的配列にハイブリダイズする温度である。「ストリンジェントな条件」は配列依存的であり、そして種々の環境パラメーターによって異なる。核酸のハイブリダイゼーションの一般的な指針は、Tijssen(Tijssen(1993)、Laboratory Technniques In Biochemistry And MolecularBiology−Hybridization With Nucleic Acid Probes Part
I、第2章 「Overview ofprinciples of hybridization and the strategy of nucleic acid probeassay」、Elsevier,New York)に見出される。
代表的には、ストリンジェントな条件は、塩濃度が約1.0M Na+未満であり、代表的には、pH7.0〜8.3で約0.01〜1.0MのNa+濃度(または他の塩)であり、そして温度は、短いヌクレオチド(例えば、10〜50ヌクレオチド)については少なくとも約30℃、そして長いヌクレオチド(例えば、50ヌクレオチドより長い)については少なくとも約60℃である。ストリンジェントな条件はまた、ホルムアミドのような不安定化剤の添加によって達成され得る。本明細書におけるストリンジェントな条件として、50%のホルムアミド、1MのNaCl、1%のSDS(37℃)の緩衝溶液中でのハイブリダイゼーション、および0.1×SSCで60℃での洗浄が挙げられる。
本明細書において、「ストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド」とは、当該分野で慣用される周知の条件をいう。本発明のポリヌクレオチド中から選択されたポリヌクレオチドをプローブとして、コロニー・ハイブリダイゼーション法、プラーク・ハイブリダイゼーション法あるいはサザンブロットハイブリダイゼーション法等を用いることにより、そのようなポリヌクレオチドを得ることができる。具体的には、コロニーあるいはプラーク由来のDNAを固定化したフィルターを用いて、0.7〜1.0MのNaCl存在下、65℃でハイブリダイゼーションを行った後、0.1〜2倍濃度のSSC(saline−sodium citrate)溶液(1倍濃度のSSC溶液の組成は、150mM 塩化ナトリウム、15mM クエン酸ナトリウムである)を用い、65℃条件下でフィルターを洗浄することにより同定できるポリヌクレオチドを意味する。ハイブリダイゼーションは、Molecular Cloning 2nd ed.,Current Protocols in Molecular Biology,Supplement 1〜38、DNA Cloning 1:Core Techniques,A Practical Approach,Second Edition,Oxford University Press(1995)等の実験書に記載されている方法に準じて行うことができる。ここで、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする配列からは、好ましくは、A配列のみまたはT配列のみを含む配列が除外される。「ハイブリダイズ可能なポリヌクレオチド」とは、上記ハイブリダイズ条件下で別のポリヌクレオチドにハイブリダイズすることができるポリヌクレオチドをいう。ハイブリダイズ可能なポリヌクレオチドとして具体的には、本発明で具体的に示されるアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするDNAの塩基配列と少なくとも60%以上の相同性を有するポリヌクレオチド、好ましくは80%以上の相同性を有するポリヌクレオチド、90%以上の相同性を有するポリヌクレオチド、さらに好ましくは95%以上の相同性を有するポリヌクレオチドを挙げることができる。
本明細書において「高度にストリンジェントな条件」は、核酸配列において高度の相補性を有するDNA鎖のハイブリダイゼーションを可能にし、そしてミスマッチを有意に有するDNAのハイブリダイゼーションを除外するように設計された条件をいう。ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーは、主に、温度、イオン強度、およびホルムアミドのような変性剤の条件によって決定される。このようなハイブリダイゼーションおよび洗浄に関する「高度にストリンジェントな条件」の例は、0.0015M 塩化ナトリウム、0.0015M クエン酸ナトリウム、65〜68℃、または0.015M 塩化ナトリウム、0.0015M クエン酸ナトリウム、および50% ホルムアミド、42℃である。このような高度にストリンジェントな条件については、Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory(Cold
Spring Harbor,N,Y.1989);およびAnderson et al.、Nucleic Acid Hybridization:a Practical approach、IV、IRL Press Limited(Oxford,England).Limited,Oxford,Englandを参照のこと。必要により、よりストリンジェントな条件(例えば、より高い温度、より低いイオン強度、より高いホルムアミド、または他の変性剤)を、使用してもよい。他の薬剤が、非特異的なハイブリダイゼーションおよび/またはバックグラウンドのハイブリダイゼーションを減少する目的で、ハイブリダイゼーション緩衝液および洗浄緩衝液に含まれ得る。そのような他の薬剤の例としては、0.1%ウシ血清アルブミン、0.1%ポリビニルピロリドン、0.1%ピロリン酸ナトリウム、0.1%ドデシル硫酸ナトリウム(NaDodSO4またはSDS)、Ficoll、Denhardt溶液、超音波処理されたサケ精子DNA(または別の非相補的DNA)および硫酸デキストランであるが、他の適切な薬剤もまた、使用され得る。これらの添加物の濃度および型は、ハイブリダイゼーション条件のストリンジェンシーに実質的に影響を与えることなく変更され得る。ハイブリダイゼーション実験は、通常、pH6.8〜7.4で実施されるが;代表的なイオン強度条件において、ハイブリダイゼーションの速度は、ほとんどpH独立である。Anderson et
al.、Nucleic Acid Hybridization:a Practical Approach、第4章、IRL Press Limited(Oxford,England)を参照のこと。
DNA二重鎖の安定性に影響を与える因子としては、塩基の組成、長さおよび塩基対不一致の程度が挙げられる。ハイブリダイゼーション条件は、当業者によって調整され得、これらの変数を適用させ、そして異なる配列関連性のDNAがハイブリッドを形成するのを可能にする。完全に一致したDNA二重鎖の融解温度は、以下の式によって概算され得る。Tm(℃)=81.5+16.6(log[Na+])+0.41(%G+C)−600/N−0.72(%ホルムアミド)
ここで、Nは、形成される二重鎖の長さであり、[Na+]は、ハイブリダイゼーション溶液または洗浄溶液中のナトリウムイオンのモル濃度であり、%G+Cは、ハイブリッド中の(グアニン+シトシン)塩基のパーセンテージである。不完全に一致したハイブリッドに関して、融解温度は、各1%不一致(ミスマッチ)に対して約1℃ずつ減少する。
本明細書において「中程度にストリンジェントな条件」とは、「高度にストリンジェントな条件」下で生じ得るよりも高い程度の塩基対不一致を有するDNA二重鎖が、形成し得る条件をいう。代表的な「中程度にストリンジェントな条件」の例は、0.015M 塩化ナトリウム、0.0015M クエン酸ナトリウム、50〜65℃、または0.015M 塩化ナトリウム、0.0015M クエン酸ナトリウム、および20%ホルムアミド、37〜50℃である。例として、0.015M ナトリウムイオン中、50℃の「中程度にストリンジェントな」条件は、約21%の不一致を許容する。
本明細書において「高度」にストリンジェントな条件と「中程度」にストリンジェントな条件との間に完全な区別は存在しないことがあり得ることが、当業者によって理解される。例えば、0.015M ナトリウムイオン(ホルムアミドなし)において、完全に一致した長いDNAの融解温度は、約71℃である。65℃(同じイオン強度)での洗浄において、これは、約6%不一致を許容にする。より離れた関連する配列を捕獲するために、当業者は、単に温度を低下させ得るか、またはイオン強度を上昇し得る。
約20ヌクレオチドまでのオリゴヌクレオチドプローブについて、1M NaClにおける融解温度の適切な概算は、
Tm=(1つのA−T塩基につき2℃)+(1つのG−C塩基対につき4℃)
によって提供される。なお、6×クエン酸ナトリウム塩(SSC)におけるナトリウムイオン濃度は、1Mである(Suggsら、Developmental Biology
Using Purified Genes、683頁、BrownおよびFox(編)(1981)を参照のこと)。
配列番号2のアミノ酸配列を有するポリペプチドまたはその改変体もしくはフラグメントなどをコードする核酸は、本質的に1%ウシ血清アルブミン(BSA);500mM リン酸ナトリウム(NaPO4);1mM EDTA;42℃の温度で 7% SDS を含むハイブリダイゼーション緩衝液、および本質的に2×SSC(600mM NaCl;60mM クエン酸ナトリウム);50℃の0.1% SDSを含む洗浄緩衝液によって定義される低ストリンジェント条件下、さらに好ましくは本質的に50℃の温度での1%ウシ血清アルブミン(BSA);500mM リン酸ナトリウム(NaPO4);15%ホルムアミド;1mM EDTA; 7% SDS を含むハイブリダイゼーション緩衝液、および本質的に50℃の1×SSC(300mM NaCl;30mM クエン酸ナトリウム);1% SDSを含む洗浄緩衝液によって定義される低ストリンジェント条件下、最も好ましくは本質的に50℃の温度での1%ウシ血清アルブミン(BSA);200mM リン酸ナトリウム(NaPO4);15%ホルムアミド;1mM EDTA;7%SDSを含むハイブリダイゼーション緩衝液、および本質的に65℃の0.5×SSC(150mM NaCl;15mM クエン酸ナトリウム);0.1% SDSを含む洗浄緩衝液によって定義される低ストリンジェント条件下に配列番号1に示す配列の1つまたはその一部とハイブリダイズし得る。
本明細書において「相同性」は、2以上の配列の比較において、それらの配列が進化的に祖先を共有することを示す。2種類の遺伝子が相同性を有するか否かは、配列の直接の比較により類似性に基づいた判定をおこなうか、またはストリンジェントな条件下でのハイブリダイゼーション法によって調べられ得る。配列の直接の比較により類似性に基づいた判定をおこなう場合、その類似性測定過程のアライメントにおける最も単純な解釈として、同一な(もしくは等価である)文字列(塩基、アミノ酸残基など)で並置されている文字列が、これらの領域が祖先配列のまま変化しなかったものであることを示し、同一でない(もしくは、等価でない)文字列が、突然変異が一方の配列で起こったものであるとの考察が可能である。アライメントにおけるギャップ(インデル)は、配列の一方で、挿入または欠失が起こったものであると考えられる。つまり、それらの配列の同一性または類似性は高いことは、それらの配列における相同性を強く示唆することが理解される。相同性は、発現抑制剤の設計において参照される。
本明細書において「相補的」または「相補体」という用語は、本明細書では、相補領域全体がそのまま別の特定のポリヌクレオチドとWatson & Crick塩基対を形成することのできるポリヌクレオチドの配列を示す。本発明の目的で、第1のポリヌクレオチドの各塩基がその相補塩基と対になっている場合に、この第1のポリヌクレオチドは第2のポリヌクレオチドと相補であるとみなす。相補塩基は一般に、AとT(あるいはAとU)、またはCとGである。本願明細書では、「相補」という語を「相補ポリヌクレオチド」、「相補核酸」および「相補ヌクレオチド配列」の同義語として使用する。これらの用語は、その配列のみに基づいてポリヌクレオチドの対に適用されるものであり、2つのポリヌクレオチドが事実上結合状態にある特定のセットに適用されるものではない。
本明細書において、「改変体」とは、もとのポリペプチドまたはポリヌクレオチドなどの物質に対して、一部が変更されているものをいう。そのような改変体としては、置換改変体、付加改変体、欠失改変体、短縮(truncated)改変体、対立遺伝子変異体などが挙げられる。対立遺伝子(allele)とは、同一遺伝子座に属し、互いに区別される遺伝的改変体のことをいう。従って、「対立遺伝子変異体」とは、ある遺伝子に対して、対立遺伝子の関係にある改変体をいう。「種相同体またはホモログ(homolog)」とは、ある種の中で、ある遺伝子とアミノ酸レベルまたはヌクレオチドレベルで、相同性(好ましくは、60%以上の相同性、より好ましくは、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上の相同性)を有するものをいう。そのような種相同体を取得する方法は、本明細書の記載から明らかである。「オルソログ(ortholog)」とは、オルソロガス遺伝子(orthologous gene)ともいい、二つの遺伝子がある共通祖先からの種分化に由来する遺伝子をいう。例えば、多重遺伝子構造をもつヘモグロビン遺伝子ファミリーを例にとると、ヒトとマウスのαヘモグロビン遺伝子はオルソログであるが,ヒトのαヘモグロビン遺伝子とβヘモグロビン遺伝子はパラログ(遺伝子重複で生じた遺伝子)である。オルソログは、分子系統樹の推定に有用であることから、オルソログもまた、本発明において有用であり得る。
本明細書において「保存的(に改変された)改変体」は、アミノ酸配列および核酸配列の両方に適用される。特定の核酸配列に関して、保存的に改変された改変体とは、同一のまたは本質的に同一のアミノ酸配列をコードする核酸をいい、核酸がアミノ酸配列をコードしない場合には、本質的に同一な配列をいう。このような塩基配列の改変法としては、制限酵素などによる切断、DNAポリメラーゼ、Klenowフラグメント、DNAリガーゼなどによる処理等による連結等の処理、合成オリゴヌクレオチドなどを用いた部位特異的塩基置換法(特定部位指向突然変異法;Mark Zoller and Michael Smith,Methods in Enzymology,100,468−500(1983))が挙げられるが、この他にも通常分子生物学の分野で用いられる方法によって改変を行うこともできる。遺伝コードの縮重のため、多数の機能的に同一な核酸が任意の所定のタンパク質をコードする。例えば、コドンGCA、GCC、GCG、およびGCUはすべて、アミノ酸アラニンをコードする。したがって、アラニンがコドンにより特定される全ての位置で、そのコドンは、コードされたポリペプチドを変更することなく、記載された対応するコドンの任意のものに変更され得る。このような核酸の変動は、保存的に改変された変異の1つの種である「サイレント改変(変異)」である。ポリペプチドをコードする本明細書中のすべての核酸配列はまた、その核酸の可能なすべてのサイレント変異を記載する。当該分野において、核酸中の各コドン(通常メチオニンのための唯一のコドンであるAUG、および通常トリプトファンのための唯一のコドンであるTGGを除く)が、機能的に同一な分子を産生するために改変され得ることが理解される。したがって、ポリペプチドをコードする核酸の各サイレント変異は、記載された各配列において暗黙に含まれる。好ましくは、そのような改変は、ポリペプチドの高次構造に多大な影響を与えるアミノ酸であるシステインの置換を回避するようになされ得る。
あるアミノ酸は、相互作用結合能力の明らかな低下または消失なしに、例えば、リガンド分子の結合部位のようなタンパク質構造において他のアミノ酸に置換され得る。あるタンパク質の生物学的機能を規定するのは、タンパク質の相互作用能力および性質である。従って、特定のアミノ酸の置換がアミノ酸配列において、またはそのDNAコード配列のレベルにおいて行われ得、置換後もなお、もとの性質を維持するタンパク質が生じ得る。従って、生物学的有用性の明らかな損失なしに、種々の改変が、本明細書において開示されたペプチドまたはこのペプチドをコードする対応するDNAにおいて行われ得る。
上記のような改変を設計する際に、アミノ酸の疎水性指数が考慮され得る。タンパク質における相互作用的な生物学的機能を与える際の疎水性アミノ酸指数の重要性は、一般に当該分野で認められている(Kyte.JおよびDoolittle,R.F.J.Mol.Biol.157(1):105−132,1982)。アミノ酸の疎水的性質は、生成したタンパク質の二次構造に寄与し、次いでそのタンパク質と他の分子(例えば、酵素、基質、受容体、DNA、抗体、抗原など)との相互作用を規定する。各アミノ酸は、それらの疎水性および電荷の性質に基づく疎水性指数を割り当てられる。それらは:イソロイシン(+4.5);バリン(+4.2);ロイシン(+3.8);フェニルアラニン(+2.8);システイン/シスチン(+2.5);メチオニン(+1.9);アラニン(+1.8);グリシン(−0.4);スレオニン(−0.7);セリン(−0.8);トリプトファン(−0.9);チロシン(−1.3);プロリン(−1.6);ヒスチジン(−3.2);グルタミン酸(−3.5);グルタミン(−3.5);アスパラギン酸(−3.5);アスパラギン(−3.5);リジン(−3.9);およびアルギニン(−4.5))である。
あるアミノ酸を、同様の疎水性指数を有する他のアミノ酸により置換して、そして依然として同様の生物学的機能を有するタンパク質(例えば、リガンド結合能において等価なタンパク質)を生じさせ得ることが当該分野で周知である。このようなアミノ酸置換において、疎水性指数が±2以内であることが好ましく、±1以内であることがより好ましく、および±0.5以内であることがさらにより好ましい。疎水性に基づくこのようなアミノ酸の置換は効率的であることが当該分野において理解される。米国特許第4、554、101号に記載されるように、以下の親水性指数がアミノ酸残基に割り当てられている:アルギニン(+3.0);リジン(+3.0);アスパラギン酸(+3.0±1);グルタミン酸(+3.0±1);セリン(+0.3);アスパラギン(+0.2);グルタ
ミン(+0.2);グリシン(0);スレオニン(−0.4);プロリン(−0.5±1);アラニン(−0.5);ヒスチジン(−0.5);システイン(−1.0);メチオニン(−1.3);バリン(−1.5);ロイシン(−1.8);イソロイシン(−1.8);チロシン(−2.3);フェニルアラニン(−2.5);およびトリプトファン
(−3.4)。アミノ酸が同様の親水性指数を有しかつ依然として生物学的等価体を与え得る別のものに置換され得ることが理解される。このようなアミノ酸置換において、親水性指数が±2以内であることが好ましく、±1以内であることがより好ましく、および±0.5以内であることがさらにより好ましい。
本発明において、「保存的置換」とは、アミノ酸置換において、元のアミノ酸と置換されるアミノ酸との親水性指数または/および疎水性指数が上記のように類似している置換をいう。保存的置換の例は、当業者に周知であり、例えば、次の各グループ内での置換:アルギニンおよびリジン;グルタミン酸およびアスパラギン酸;セリンおよびスレオニン;グルタミンおよびアスパラギン;ならびにバリン、ロイシン、およびイソロイシン、などが挙げられるがこれらに限定されない。
本明細書中において、機能的に等価なポリペプチドを作製するために、アミノ酸の置換のほかに、アミノ酸の付加、欠失、または修飾もまた行うことができる。アミノ酸の置換とは、もとのペプチドを1つ以上、例えば、1〜10個、好ましくは1〜5個、より好ましくは1〜3個のアミノ酸で置換することをいう。アミノ酸の付加とは、もとのペプチド鎖に1つ以上、例えば、1〜10個、好ましくは1〜5個、より好ましくは1〜3個のアミノ酸を付加することをいう。アミノ酸の欠失とは、もとのペプチドから1つ以上、例えば、1〜10個、好ましくは1〜5個、より好ましくは1〜3個のアミノ酸を欠失させることをいう。アミノ酸修飾は、アミド化、カルボキシル化、硫酸化、ハロゲン化、アルキル化、リン酸化、水酸化、アシル化(例えば、アセチル化)などを含むが、これらに限定されない。置換、または付加されるアミノ酸は、天然のアミノ酸であってもよく、非天然のアミノ酸、またはアミノ酸アナログでもよい。天然のアミノ酸が好ましい。
このような核酸は、周知のPCR法により得ることができ、化学的に合成することもできる。これらの方法に、例えば、部位特異的変位誘発法、ハイブリダイゼーション法などを組み合わせてもよい。
本明細書において、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドの「置換、付加および/または欠失」とは、もとのポリペプチドまたはポリヌクレオチドに対して、それぞれアミノ酸もしくはその代替物、またはヌクレオチドもしくはその代替物が、置き換わること、付け加わること、または取り除かれることをいう。このような置換、付加および/または欠失の技術は、当該分野において周知であり、そのような技術の例としては、部位特異的変異誘発技術などが挙げられる。基準となる核酸分子またはポリペプチドにおけるこれらの変化は、目的とする機能(例えば、AGEの認識能など)が保持される限り、この核酸分子の5’末端もしくは3’末端で生じ得るか、またはこのポリペプチドを示すアミノ酸配列のアミノ末端部位もしくはカルボキシ末端部位で生じ得るか、またはそれらの末端部位の間のどこにでも生じ得、基準配列中の残基間で個々に散在する。置換、付加または欠失は、1つ以上であれば任意の数でよく、そのような数は、その置換、付加または欠失を有する改変体において目的とする機能(例えば、AGEの認識能など)が保持される限り、多くすることができる。例えば、そのような数は、1または数個であり得、そして好ましくは、全体の長さの20%以内、15%以内、10%以内、5%以内、または150個以下、100個以下、50個以下、25個以下などであり得る。
本明細書において使用される場合、用語「フレキシブルなリンカー配列」とは、特定の立体構造をとらず、連結される分子の機能に影響を与えない分子をいう。このようなリンカー配列は、当業者に周知である。リンカー配列がある分子に連結した場合に、その分子がとるべき立体構造を妨害せず、その電荷に実質的に影響を及ぼさない限り、どのようなリンカー配列を使用してもよい。
本明細書において使用される場合、用語「タグ配列」とは、受容体−リガンドのような特異的認識機構により分子を選別するための物質、より具体的には、特定の物質を結合するための結合パートナーの役割を果たす物質(例えば、ビオチン−アビジン、ビオチン−ストレプトアビジンのような関係を有する)をいう。よって、例えば、タグ配列が結合した特定の物質は、タグ配列の結合パートナーを結合させた基材を接触させることで、この特定の物質を選別することができる。このようなタグ配列は、当該分野で周知である。代表的なタグ配列としては、mycタグ、Hisタグ、HA、Aviタグなどが挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書において使用される場合、用語「検出剤」とは、広義には、目的の物質(例えば、変性LDL、AGEなど)を検出できるあらゆる因子をいう。
本明細書において使用される場合、用語「固相」とは、本明細書中において「基板」および「基材」と互換的に使用され、本発明のデバイスが構築される材料をいう。抗体のような分子が固定され得る平面状の支持体をいう。本発明において表面プラズモン共鳴の原理を用いて検出する場合、固相は、金、銀またはアルミニウムを含む金属薄膜を片面に持つガラス基板の基材であることが好ましい。本発明において水晶発振子マイクロバランスの原理を用いて検出する場合は、周波数変換素子(例えば水晶発振子、表面弾性波素子)を固相として用い、直接受容体を結合させる。水晶板の片面はシリコーンで被覆し、もう一方の面は金電極を施したものを固相として用いる。本発明において酵素結合イムノソルベント検定法(ELISA)のような機構を使用する場合、一般に、固相(基材)としては、マイクロタイタープレートが使用される。基板の材料としては、共有結合かまたは非共有結合のいずれかで、本発明において使用される生体分子に結合する特性を有するかまたはそのような特性を有するように誘導体化され得る、任意の固体材料が挙げられる。適切な基材としては、ビーズ、金粒子、プレート(例えば、マイクロタイタープレート)、試験管、チップ、磁性粒子、膜、繊維、スライドガラス、金属薄膜、フィルター、チューブ、ボール、ダイアモンド様炭素被膜ステンレスなどが挙げられるが、これらに限定されない。
固相および基板として使用するためのそのような材料としては、固体表面を形成し得る任意の材料が使用され得るが、例えば、ガラス、シリカ、シリコーン、セラミック、二酸化珪素、プラスチック、金属(合金も含まれる)、天然および合成のポリマー(例えば、ポリスチレン、セルロース、アミロース、キトサン、デキストラン、およびナイロン)以下が挙げられるがそれらに限定されない。基板は、複数の異なる材料の層から形成されていてもよい。例えば、ガラス、石英ガラス、アルミナ、サファイア、フォルステライト、炭化珪素、酸化珪素、窒化珪素などの無機絶縁材料を使用できる。また、ポリエチレン、エチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリエチレンテレフタレート、不飽和ポリエステル、含フッ素樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、アクリル樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、アセタール樹脂、ポリカーボネート、ポリアミド、フェノール樹脂、ユリア樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、スチレン・アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体、シリコーン樹脂、ポリフェニレンオキサイド、ポリスルホン等の有機材料を用いることができる。本発明においてはまた、ナイロン膜、ニトロセルロース膜、PVDF膜など、ブロッティングに使用される膜を用いることもできる。高密度のものを解析する場合は、ガラスなど硬度のあるものを材料として使用することが好ましい。基板として好ましい材質は、測定機器などの種々のパラメータによって変動し、当業者は、上述のような種々の材料から適切なものを適宜選択することができる。
本明細書において「チップ」は、多様の機能をもち、システムの一部となる超小型集積回路をいう。本明細書において、ビオチン化受容体を固定化した固相を、受容体チップおよび/または受容体マイクロチップと呼ぶ。
本明細書において使用される場合、用語「乾燥形態」とは、本発明のC型レクチン様ドメインポリペプチド−界面活性剤結合複合体もしくはRAGE様ポリペプチド−界面活性剤結合複合体を含む検出剤、デバイス、診断剤などにおいて、実質的に水分含量が低下している状態であることをいう。一般的には、「乾燥状態」は、風乾、減圧乾燥などの当該分野で周知の技術を用いて容易に達成することができる。
(一般技術)
本明細書において用いられる分子生物学的手法、生化学的手法、微生物学的手法は、当該分野において周知であり慣用されるものであり、例えば、Sambrook J.et
al.(1989).Molecular Cloning: A Laboratory Manual,Cold Spring Harborおよびその3rd Ed.(2001);Ausubel,F.M.(1987).Current Protocols in Molecular Biology,Greene Pub.Associates and Wiley−Interscience;Ausubel,F.M.(1989).Short Protocols in Molecular Biology: A Compendium of Methods from Current Protocols in Molecular Biology,Greene Pub.Associates and Wiley−Interscience;Innis,M.A.(1990).PCR Protocols: A Guide to Methods and Applications,Academic Press;Ausubel,F.M.(1992).Short Protocols in
Molecular Biology: A Compendium of Methods from Current Protocols in Molecular Biology,Greene Pub.Associates;Ausubel,F.M.(1995).Short Protocols in Molecular Biology: A Compendium of Methods from Current Protocols in Molecular Biology,Greene Pub.Associates;Innis,M.A.et al.(1995).PCR Strategies,Academic Press;Ausubel,F.M.(1999).Short Protocols in Molecular Biology: A Compendium of Methods from Current Protocols in Molecular Biology,Wiley,and annual updates;Sninsky,J.J.et al.(1999).PCR Applications: Protocols for Functional Genomics,Academic Press、別冊実験医学「遺伝子導入&発現解析実験法」羊土社、1997などに記載されており、これらは本明細書において関連する部分(全部であり得る)が参考として援用される。
人工的に合成した遺伝子を作製するためのDNA合成技術および核酸化学については、例えば、Gait,M.J.(1985).Oligonucleotide Synthesis:A Practical Approach,IRLPress;Gait,M.J.(1990).Oligonucleotide Synthesis:A Practical Approach,IRL Press;Eckstein,F.(1991).Oligonucleotides and Analogues:A Practical Approac,IRL Press;Adams,R.L.etal.(1992).The Biochemistry of the Nucleic Acids,Chapman&Hall;Shabarova,Z.et al.(1994).Advanced Organic Chemistry of Nucleic Acids,Weinheim;Blackburn,G.M.et al.(1996).Nucleic Acids in Chemistry and Biology,Oxford University Press;Hermanson,G.T.(I996).Bioconjugate Techniques,Academic Pressなどに記載されており、これらは本明細書において関連する部分が参考として援用される。
本発明において用いられる配列番号2のアミノ酸配列を有するポリペプチドならびにそのフラグメントおよび改変体は、遺伝子工学技術を用いて生産することができる。
本明細書において遺伝子について言及する場合、「ベクター」または「組み換えベクター」とは、目的のポリヌクレオチド配列を目的の細胞へと移入させることができるベクターをいう。そのようなベクターとしては、原核細胞、酵母、動物細胞、植物細胞、昆虫細胞、動物個体および植物個体などの宿主細胞において自立複製が可能、または染色体中への組込みが可能で、本発明のポリヌクレオチドの転写に適した位置にプロモーターを含有しているものが例示される。ベクターのうち、クローニングに適したベクターを「クローニングベクター」という。そのようなクローニングベクターは通常、制限酵素部位を複数含むマルチプルクローニング部位を含む。そのような制限酵素部位およびマルチプルクローニング部位は、当該分野において周知であり、当業者は、目的に合わせて適宜選択して使用することができる。そのような技術は、本明細書に記載される文献(例えば、Sambrookら、前出)に記載されている。好ましいベクターとしては、プラスミド、ファージ、コスミド、エピソーム、ウイルス粒子またはウイルスおよび組み込み可能なDNAフラグメント(すなわち、相同組換えによって宿主ゲノム中に組み込み可能なフラグメント)が挙げられるが、これらに限定されない。
ベクターの1つの型は、「プラスミド」であり、これは、さらなるDNAセグメントが連結され得る環状二重鎖DNAループをいう。別の型のベクターは、ウイルスベクターであり、ここで、さらなるDNAセグメントは、ウイルスゲノム中に連結され得る。特定のベクター(例えば、細菌の複製起点を有する細菌ベクターおよびエピソーム哺乳動物ベクター)は、これらが導入される宿主細胞中で自律的に複製し得る。他のベクター(例えば、非エピソーム哺乳動物ベクター)は、宿主細胞中への導入の際に宿主細胞のゲノム中に組み込まれ、それにより、宿主ゲノムと共に複製される。さらに、特定のベクターは、これらが作動可能に連結される遺伝子の発現を指向し得る。このようなベクターは、本明細書中で、「発現ベクター」といわれる。
従って、本明細書において「発現ベクター」または「発現プラスミド」とは、構造遺伝子およびその発現を調節するプロモーターに加えて種々の調節エレメントが宿主の細胞中で作動し得る状態で連結されている核酸配列をいう。調節エレメントは、好ましくは、ターミネーター、薬剤耐性遺伝子のような選択マーカーおよび、エンハンサーを含み得る。生物(例えば、哺乳動物)の発現ベクターのタイプおよび使用される調節エレメントの種類が、宿主細胞に応じて変わり得ることは、当業者に周知の事項である。
本発明において用いられ得る原核生物細胞に対する「組み換えベクター」としては、pcDNA3(+)、pBluescript−SK(+/−)、pGEM−T、pEF−BOS、pEGFP、pHAT、pUC18、pFT−DESTTM42GATEWAY、pENTRTM/D−TOPO(Invitrogen)などが例示される。原核生物細胞は、遺伝子の増幅、改変などに用いることができる。
本明細書において用いられ得る真核生物細胞に対する「組み換えベクター」としては、pECFP(Clontech)、pAcGFP(Clontech),pEYFP(Clontech),pDsRED(Clontech),pTRE(Clontech),pCMV(Clontech),pcDNA(Invitrogen)、pTarget(Promega)などを挙げることができるがそれらに限定されない。
本明細書において「哺乳動物発現ベクター」は、本発明の遺伝子の発現を調節するプロモーターなどの種々の調節エレメントが宿主細胞中で作動可能に連結されている核酸配列をいう。本願明細書で用いる用語「制御配列」は、機能的プロモーターおよび、任意の関連する転写要素(例えば、エンハンサー、CCAATボックス、TATAボックス、SPI部位など)を有するDNA配列をいう。本願明細書で用いる用語「作動可能に連結」は、遺伝子が発現し得るように、それに関するポリヌクレオチドと、その発現を調節するプロモーター、エンハンサー等の種々の調節エレメントとが宿主細胞中で作動し得る状態で連結されることをいう。哺乳動物発現ベクターは、好適には、哺乳動物遺伝子、プロモーター、ターミネーター、薬剤耐性遺伝子およびエンハンサーを含み得る。発現ベクターのタイプおよび使用される調節エレメントの種類が、宿主細胞に応じて変わり得ることは、当業者に周知の事項である。
上記のような哺乳動物発現ベクターは、当業者に周知の遺伝子組換え技術を用いて作製され得る。哺乳動物発現ベクターの構築には、例えば、pECFP系のベクター、pcDNA系のベクターなどが好適に用いられるが、これらに限定されない。
本明細書において「ターミネーター」は、遺伝子のタンパク質をコードする領域の下流に位置し、DNAがmRNAに転写される際の転写の終結、およびポリA配列の付加に関与する配列である。ターミネーターは、mRNAの安定性に寄与し、そして遺伝子の発現量に影響を及ぼすことが知られている。
本明細書において「プロモーター」とは、遺伝子の転写の開始部位を決定し、またその頻度を直接的に調節するDNA上の領域をいい、RNAポリメラーゼが結合して転写を始める塩基配列である。推定プロモーター領域は、構造遺伝子ごとに変動するが、通常構造遺伝子の上流にあるが、これらに限定されず、構造遺伝子の下流にもあり得る。
プロモーターは、誘導性であっても、構成的であっても、部位特異的であっても、時期特異的であってもよいが、構成的プロモーターまたは誘導性プロモーターが好ましい。プロモーターとしては、例えば、哺乳動物細胞、大腸菌、酵母などの宿主細胞中で発現できるものであればいかなるものでもよい。
本明細書において、プロモーターの発現が「構成的」であるとは、生物のすべての組織において、その生物の成長/増殖のいずれにあってもほぼ一定の量で発現される性質をいう。具体的には、ノーザンブロット分析したとき、例えば、任意の時点で(例えば、2点以上(例えば、5日目および15日目))の同一または対応する部位のいずれにおいても、ほぼ同程度の発現量がみられるとき、本発明の定義上、発現が構成的であるという。構成的プロモーターは、通常の生育環境にある生物の恒常性維持に役割を果たしていると考えられる。本発明のプロモーターの発現が「応答性」であるとは、少なくとも1つの因子が生物体に与えられたとき、その発現量が変化する性質をいう。特に、発現量が増加する性質を因子に対して「誘導性」といい、発現量が減少する性質を因子に対して「減少性」という。「減少性」の発現は、正常時において、発現が見られることを前提としているので、「構成的」な発現と重複する概念である。これらの性質は、生物の任意の部分からRNAを抽出してノーザンブロット分析で発現量を分析することまたは発現されたタンパク質をウェスタンブロットにより定量することにより決定することができる。因子に対して誘導性のプロモーターを本発明の部位特異的組換え誘導因子をコードする核酸とともに組み込んだベクターで形質転換された哺乳動物細胞または哺乳動物(特定の組織などを含む)は、そのプロモーターの誘導活性をもつ刺激因子を用いることにより、ある条件下での部位特異的組換え配列の部位特異的組換えを行うことができる。
本発明のポリヌクレオチドは、そのままでまたは改変されて、当業者に周知の方法を用いて、適切な発現ベクターに連結され、公知の遺伝子組換え技術により、宿主細胞に導入され得る。導入された遺伝子は、宿主細胞中のDNAに組み込まれて存在する。なお、宿主細胞中のDNAとは、染色体のみならず、宿主細胞中に含まれる各種オルガネラ(例えば、ミトコンドリアなど)に含まれるDNAを含む。
大腸菌を宿主細胞として使用する場合、trpプロモーター(Ptrp)、lacプロモーター(Plac)、PLプロモーター、PRプロモーター、PSEプロモーター等の、大腸菌およびファージ等に由来するプロモーター、SPO1プロモーター、SPO2プロモーター、penPプロモーター等を挙げることができる。またPtrpを2つ直列させたプロモーター(Ptrp x2)、tacプロモーター、lacT7プロモーター、let Iプロモーターのように人為的に設計改変されたプロモーター等も用いることができる。
本明細書において「複製起点」とは、DNA複製が開始する染色体上の特定領域をいう。複製起点は、内因性起点を含むようにそのベクターを構築することによって提供され得るか、または宿主細胞の染色体複製機構により提供され得るかのいずれかであり得る。そのベクターが、宿主細胞染色体中に組み込まれる場合、後者が十分であり得る。あるいは、ウイルス複製起点を含むベクターを使用するよりも、当業者は、選択マーカーと本発明のDNAとを同時形質転換する方法によって、哺乳動物細胞を形質転換し得る。適切な選択マーカーの例は、ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)またはチミジンキナーゼである(米国特許第4,399,216号を参照)。
本明細書において「作動可能に連結された(る)」とは、所望の配列の発現(作動)がある転写翻訳調節配列(例えば、プロモーター、エンハンサーなど)または翻訳調節配列の制御下に配置されることをいう。プロモーターが遺伝子に作動可能に連結されるためには、通常、その遺伝子のすぐ上流にプロモーターが配置されるが、必ずしも隣接して配置される必要はない。
本明細書において、核酸分子を細胞に導入する技術は、どのような技術でもよく、例えば、形質転換、形質導入、トランスフェクションなどが挙げられる。そのような核酸分子の導入技術は、当該分野において周知であり、かつ、慣用されるものであり、例えば、Ausubel F.A.ら編(1988)、Current Protocols in
Molecular Biology、Wiley、New York、NY;Sambrook Jら(1987)Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2nd Ed.およびその第三版,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY、別冊実験医学「遺伝子導入&発現解析実験法」羊土社、1997などに記載される。遺伝子の導入は、ノーザンブロット、ウェスタンブロット分析のような本明細書に記載される方法または他の周知慣用技術を用いて確認することができる。
また、ベクターの導入方法としては、細胞にDNAを導入する上述のような方法であればいずれも用いることができ、例えば、トランスフェクション、形質導入、形質転換など(例えば、リン酸カルシウム法、リポソーム法、DEAEデキストラン法、エレクトロポレーション法、パーティクルガン(遺伝子銃)を用いる方法など)が挙げられる。
本明細書において「形質転換体」とは、形質転換によって作製された細胞などの生命体の全部または一部をいう。形質転換体としては、原核細胞、酵母、動物細胞、植物細胞、昆虫細胞などが例示される。形質転換体は、その対象に依存して、形質転換細胞、形質転換組織、形質転換宿主などともいわれる。本発明において用いられる細胞は、形質転換体であってもよい。
本発明において遺伝子操作などにおいて原核生物細胞が使用される場合、原核生物細胞としては、Escherichia属、Serratia属、Bacillus属、Brevibacterium属、Corynebacterium属、Microbacterium属、Pseudomonas属などに属する原核生物細胞、例えば、Escherichia coli XL1−Blue、Escherichia coli XL2−Blue、Escherichia coli DH1が例示される。
本明細書において使用される場合、組換えベクターの導入方法としては、DNAを導入する方法であればいずれも用いることができ、例えば、塩化カルシウム法、エレクトロポレーション法[Methods.Enzymol.,194,182(1990)]、リポフェクション法、スフェロプラスト法[Proc.Natl.Acad.Sci.USA,84,1929(1978)]、酢酸リチウム法などが挙げられる。
本明細書において遺伝子発現(たとえば、mRNA発現、ポリペプチド発現)の「検出」または「定量」は、例えば、mRNAの測定および免疫学的測定方法を含む適切な方法を用いて達成され得る。分子生物学的測定方法としては、例えば、ノーザンブロット法、ドットブロット法またはPCR法などが例示される。免疫学的測定方法としては、例えば、方法としては、マイクロタイタープレートを用いるELISA法、RIA法、蛍光抗体法、ウェスタンブロット法、免疫組織染色法などが例示される。また、定量方法としては、ELISA法またはRIA法などが例示される。アレイ(例えば、DNAアレイ、プロテインアレイ)を用いた遺伝子解析方法によっても行われ得る。DNAアレイについては、(秀潤社編、細胞工学別冊「DNAマイクロアレイと最新PCR法」)に広く概説されている。プロテインアレイについては、Nat Genet.2002 Dec;32 Suppl:526−32に詳述されている。遺伝子発現の分析法としては、上述に加えて、RT−PCR、RACE法、SSCP法、免疫沈降法、two−hybridシステム、インビトロ翻訳などが挙げられるがそれらに限定されない。そのようなさらなる分析方法は、例えば、ゲノム解析実験法・中村祐輔ラボ・マニュアル、編集・中村祐輔 羊土社(2002)などに記載されており、本明細書においてそれらの記載はすべて参考として援用される。
本明細書において使用される場合、用語「標識」とは、特定の物質を検出するために、この物質に結合することが既知の物質に付加される分子をいう。標識としては、蛍光標識、化学発光標識、生物発光標識などが挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書において使用される場合、用語「リフォールディング」とは、異常な折り畳みを有するためにその本来有する機能を失っているポリペプチドの異常な構造を解きほぐし、界面活性剤により再凝集を防ぎつつ、サイクロアミロースの包接能を活用してそのポリペプチドの本来の正しい構造に再折りたたみすることをいう。
本明細書において使用される場合、用語「界面活性剤」とは、液体に溶解すると、溶液の表面張力を著しく減少させる物質をいう。界面活性剤は、溶液の中で臨海ミセル濃度を超えると、ミセルコロイドを形成する。界面活性剤は、親水性基と親油性基とを有するために、両親媒性化合物であり、二相界面で方向配位をして安定な層をなす。界面活性剤は、長鎖脂肪酸塩やドデシル硫酸ナトリウム(SDS)のような陰イオン性界面活性剤、臭化セチルトリメチルアンモニウムのような陽イオン界面活性剤、さらに両性界面活性剤、TritonシリーズおよびTweenシリーズのような非イオン性界面活性剤に分けられる。適切な界面活性剤としては、ポリオキシエチレン系界面活性剤、イオン性界面活性剤が挙げられるが、これらに限定されない。
(好ましい実施形態の説明)
以下に好ましい実施形態の説明を記載するが、この実施形態は本発明の例示であり、本発明の範囲はそのような好ましい実施形態に限定されないことが理解されるべきである。当業者はまた、以下のような好ましい実施例を参考にして、本発明の範囲内にある改変、変更などを容易に行うことができることが理解されるべきである。
本発明のC型レクチン様ドメインポリペプチド−界面活性剤結合複合体は、
(A1)配列番号2に示されるアミノ酸配列;
(A2)配列番号2に示されるアミノ酸配列において、90位および107位以外のアミノ酸位置で1または数個の置換、付加および/または欠失を含み、かつ天然型LOX−1の活性を示す、アミノ酸配列;および
(A3)配列番号1に示される核酸配列と相補的な核酸配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸配列によってコードされるアミノ酸配列であって、該コードされるアミノ酸配列において90位および107位のアミノ酸は、配列番号2における対応するアミノ酸を保持し、かつ天然型LOX−1の活性を示す、アミノ酸配列;
(B1)配列番号6に示されるアミノ酸配列;
(B2)配列番号6に示されるアミノ酸配列において、104位および121位以外のアミノ酸位置で1または数個の置換、付加および/または欠失を含む、天然型LOX−1の活性を示すアミノ酸配列;および
(B3)配列番号5に示される核酸配列と相補的な核酸配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸配列によってコードされるアミノ酸配列であって、該コードされるアミノ酸配列において104位および121位のアミノ酸は、配列番号6における対応するアミノ酸を保持し、かつ天然型LOX−1の活性を示す、アミノ酸配列;
(C1)配列番号8に示されるアミノ酸配列;
(C2)配列番号8に示されるアミノ酸配列において、172位および189位以外のアミノ酸位置で1または数個の置換、付加および/または欠失を含む、天然型LOX−1の活性を示すアミノ酸配列;および
(C3)配列番号7に示される核酸配列と相補的な核酸配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸配列によってコードされるアミノ酸配列であって、該コードされるアミノ酸配列において172位および189位のアミノ酸は、配列番号8における対応するアミノ酸を保持し、かつ天然型LOX−1の活性を示す、アミノ酸配列;
からなる群より選択される配列を含む、C型レクチン様ドメインポリペプチド−界面活性剤結合複合体を含み得る。好ましくは、本発明のC型レクチン様ドメインポリペプチド−界面活性剤結合複合体は、変性LDLの認識能を有し得る。好ましいのは、上記C型レクチン様ドメインポリペプチドのアミノ酸配列において、配列番号4における232位および249位のアミノ酸に対応するアミノ酸がA(アラニン)であるC型レクチン様ドメインポリペプチド−界面活性剤結合複合体である。このポリペプチド部分は、上記部位を変異させたことによって、大過剰のプロテアーゼに曝されても、分解されず、天然型LOX−1の活性を保持している。
一実施形態において、本発明のC型レクチン様ドメインポリペプチド−界面活性剤結合複合体は、そのC型レクチン様ドメインポリペプチドにおいて保存的置換を含んでいてもよい。別の実施形態において、本発明のC型レクチン様ドメインポリペプチド−界面活性剤結合複合体はまた、天然型LOX−1の活性を保持している限りにおいて、そのC型レクチン様ドメインポリペプチドにおいて欠失を含んでいてもよい。好ましい欠失としては、(A1)〜(C3)に示されるアミノ酸配列において、そのC末端から1〜6個目までのいずれか1〜6個のアミノ酸の欠失、配列番号4におけるアミノ酸配列の200位〜205位までに対応するアミノ酸配列のうちのいずれかのアミノ酸の欠失、もしくは配列番号2のアミノ酸配列の1位のアミノ酸に対応するアミノ酸の欠失、またはこれらの任意の組み合わせが挙げられ得る。
特に好ましいC型レクチン様ドメインポリペプチド−界面活性剤結合複合体としては、(P1)〜(X3)の各アミノ酸配列において、配列番号4における144位、155位、172位、243位、256位、264位に対応するシステインが保持されているものが挙げられる。
なお別の実施形態において、本発明のC型レクチン様ドメインポリペプチド−界面活性剤結合複合体は、そのC型レクチン様ドメインポリペプチドにおいて別の分子の付加を含んでいてもよい。好ましくは、このような付加は、(A1)〜(C3)に示されるアミノ酸配列において、配列番号4の61位〜142位に対応するアミノ酸から選択される任意の連続する1〜82個のアミノ酸配列、リンカー配列もしくはその反復配列、またはLDL受容体関連タンパク質(LRP)のEGF反復配列(上皮増殖因子受容体様システインリッチドメインを含む配列)の付加が挙げられるが、これらに限定されない。好ましいリンカー配列としては、Gly-Gly-Ser、配列番号15、配列番号16に示されるアミノ酸配列、または他の当該分野で公知のフレキシブルなリンカー配列が挙げられるが、これらに限定されない。
特に好ましい実施形態において、本発明のC型レクチン様ドメインポリペプチド−界面活性剤結合複合体は、配列番号2、配列番号4、配列番号6および配列番号8からなる群より選択されるアミノ酸配列を含み得る。
一実施形態において、本発明のC型レクチン様ドメインポリペプチド−界面活性剤結合複合体は、タグ配列をさらに含み得る。上記タグ配列としては、代表的には、配列番号17、配列番号18、および配列番号19が挙げられるが、これらに限定されない。
好ましい実施形態において、本発明のポリペプチドは、標識をさらに含み得る。代表的な標識としては、蛍光標識、化学発光標識、生物発光標識などが挙げられるが、これらに限定されない。好ましい蛍光標識としては、フルオレセイン、フルオレセインイソチアネート、ローダミン、過塩素酸1,1’−ジオクタデシル−3,3,3’,3’−テトラメチルインドカルボシアニン(DiD)、過塩素酸1,1’−ジオクタデシル−3,3,37,37−テトラメチル−endo−カルボシアニン(DiI)、Alexa、蛍光タンパク質などが挙げられるが、これらに限定されない。好ましい化学発光標識としては、ルミノール、ルシゲニンなどが挙げられるが、これらに限定されない。好ましい生物発光標識としては、ルシフェラーゼ、エクオリンなどが挙げられるが、これらに限定されない。
好ましい一実施形態において、本発明のC型レクチン様ドメインポリペプチド−界面活性剤結合複合体は、二量体であり得る。さらに好ましくは、本発明のC型レクチン様ドメインポリペプチド−界面活性剤結合複合体は、多量体であり得る。別の好ましい一実施形態において、本発明のC型レクチン様ドメインポリペプチド−界面活性剤結合複合体は、ジスルフィド結合によって結合された二量体であり得る。本発明のC型レクチン様ドメインポリペプチド−界面活性剤結合複合体は、単量体で変性LDLを認識できるので、必ずしも二量体である必要はないが、より高い認識能を発揮するためには、二量体または多量体を形成することが好ましい。本発明のC型レクチン様ドメインポリペプチド−界面活性剤結合複合体は、140位(ここでこの番号付けは、LOX−1のアミノ酸配列(配列番号4)に従う)のシステインによって分子間でジスルフィド結合されるのが好ましい。このような分子間ジスルフィド結合によって、生体内で通常発現されているような状態を再現することができ、より高感度な変性LDLの認識が可能になる。
本発明はまた、上記C型レクチン様ドメインポリペプチド−界面活性剤結合複合体を含む、変性LDL検出剤;変性LDL検出用キット;動脈硬化などの変性LDLによって引き起こされる疾患を診断するための診断剤を包含し得る。さらに、本発明は、これらを用いて被験体のサンプル中の変性LDLを検出する方法;変性LDL検出システム;LDLによって引き起こされる疾患の診断を支援する方法を包含し得る。上記変性LDLによって引き起こされる疾患としては、代表的には、動脈硬化症、冠動脈疾患、動脈炎、動脈硬化症に基づく冠攣縮性狭心症、拡張型心筋症、虚血性心疾患(心筋梗塞、狭心症など)、脳血管障害(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血、一過性脳虚血発作など)、大動脈瘤、腎梗塞、高脂血症などなどが挙げられるが、これらに限定されない。
本発明の検出剤および診断剤は、当該分野で周知の賦形剤を含み得る。このような賦形剤は、本発明のポリペプチドのリガンド認識能を妨害しない限り、どのようなものであってもよいことが理解される。また、このような検出剤およびキット中に含まれるC型レクチン様ドメインポリペプチド−界面活性剤結合複合体は、液体として提供されてもよいし、使用時に適宜調製するための乾燥粉体、乾燥フィルム、固相化物として提供されてもよい。
本発明はさらに、上記C型レクチン様ドメインポリペプチド−界面活性剤結合複合体と基材とを含む変性LDL検出用デバイス、上記C型レクチン様ドメインポリペプチド−界面活性剤結合複合体を含む変性LDL検出剤などを使用して変性LDLを検出する方法を包含し得る。
本発明の方法は、上記C型レクチン様ドメインポリペプチド−界面活性剤結合複合体、デバイス、検出剤などを、サンプルと接触させて、サンプル中に含まれる変性LDLと複合体を形成させる工程を包含し得る。一実施形態において、上記サンプルは、LDLを含む体液であり得る。代表的には、これらの体液としては、血液、血清、血漿、髄液、漿膜腔液、肺胞洗浄液などが挙げられ得るが、これらに限定されない。サンプルは、予め標識されていてもよいし、そうでなくてもよい。
一実施形態において、本発明の方法は、上記C型レクチン様ドメインポリペプチド−界面活性剤結合複合体、デバイス、検出剤などを、上記サンプルと接触させた後に、変性LDLもしくは変性LDLに含まれる成分に結合する抗体と接触させて、C型レクチン様ドメインポリペプチド−界面活性剤結合複合体と変性LDLと抗体との3成分複合体を形成させる工程を包含し得る。このように3成分複合体を形成させると、変性LDLをさらに特異的に検出できる可能性があり、よって、検出される変性LDLの種類、変性LDLにおける各種分子の組成などが明らかにできる。使用される好ましい抗体としては、抗ApoB抗体、抗OxLDL抗体、抗MDA−LDL抗体、抗アクロレイン(ACR)抗体、抗クロトンアルデヒド(CRA)抗体、抗マロンジアルデヒド(MDA)抗体、抗4−ヒドロキシノネナール(HNE)抗体、抗ヘキサノイルリジン(HEL)抗体が挙げられるが、これらに限定されない。
一実施形態において、上記デバイスは、採用される検出方法/検出手段に依存して、種々の形態をとり得る。上記デバイスにおいて使用される好ましい基材としては、ビーズ、金粒子、プレート(例えば、マイクロタイタープレート)、試験管、チップ、磁性粒子、膜、繊維、スライドガラス、金属薄膜、フィルター、チューブ、ボール、ダイアモンド様炭素被膜ステンレスなどが挙げられるが、これらに限定されない。好ましい実施形態において、上記ビーズは、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコン樹脂、ナイロン樹脂、天然樹脂、プラスチック、ゼラチン、シリカゲル、金属、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、アガロース、ポリアミノ酸、セルロース、ハイドロキシアパタイト、ポリエチレン、ポリスルフォン、ポリプロピレン、セルロースアセテート、ポリメチルメタクリレート、セルロースジアセテート、メチレンビニルアルコールから作製されるビーズなどであり得る。
さらに、本発明の方法は、複合体を検出する工程を包含し得る。複合体を検出するための手段/検出方法はまた、本発明のC型レクチン様ドメインポリペプチド−界面活性剤結合複合体に付加されている標識によって変動し得る。代表的な検出手段としては、光学的検出手段、物理的検出手段、化学的検出手段が挙げられる。好ましい実施形態において、上記光学的検出手段としては、一般に、分光光度計、FACS、比色計、蛍光光度計、化学発光検出器、電気化学発光検出器、イメージアナライザー、顕微鏡などが挙げられるが、これらに限定されない。好ましい実施形態において、上記物理的検出手段としては、一般に、電気検出、表面プラズモン共鳴、水晶発振マイクロバランス、熱測定などが挙げられるが、これらに限定されない。上記化学的検出手段としては、一般に、質量分析法、高速液体クロマトグラフィーなどが挙げられるが、これらに限定されない。
最も簡便に使用される変性LDLの検出方法は、酵素結合イムノソルベント検定法(ELISA)を採用するものである。ELISAは、標識系として酵素とその基質を用いる結合測定法であり、当該分野で周知である。
本発明の変性LDLによって引き起こされる疾患の診断を支援する方法においては、上記疾患に罹患していない被験体(例えば、健常者)サンプルと、上記疾患に罹患していることが疑われる被験体(患者)サンプルの両方で変性LDLが検出され、これらのサンプル間で本発明のC型レクチン様ドメインポリペプチド−界面活性剤結合複合体と変性LDLとの複合体の量が比較されて、上記疾患が疑われている被験体中の変性LDLのコントロール被験体に対する相対値が算出される。基準物質としては、MDA−LDL(正常範囲:10〜80U/L)および酸化ホスファチジルコリン(正常範囲:8.4U/mL〜17.6U/mL)が使用される。これらの正常範囲を参考にすることもできる。この相対値が異常値である場合、上記疾患に罹患していると診断され得る。変性LDLによって引き起こされる疾患は、代表的には、動脈硬化症、冠動脈疾患、動脈炎、動脈硬化症に基づく冠攣縮性狭心症、拡張型心筋症、虚血性心疾患(心筋梗塞、狭心症など)、脳血管障害(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血、一過性脳虚血発作など)、大動脈瘤、腎梗塞、高脂血症、および全身性エリテマトーデス(SLE)のような自己免疫疾患などが挙げられるが、これらに限定されない。
本発明の後期糖化反応生成物レセプター(RAGE)様ポリペプチド−界面活性剤結合複合体を提供し得、ここで該RAGE様ポリペプチド−界面活性剤結合複合体は、
(P1)配列番号12に示されるアミノ酸配列;
(P2)配列番号12に示されるアミノ酸配列において、92位および95位以外のアミノ酸位置で1または数個の置換、付加および/または欠失を含む、天然型RAGEの活性を示すアミノ酸配列;および
(P3)配列番号11に示される核酸配列と相補的な核酸配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸配列によってコードされるアミノ酸配列であって、該コードされるアミノ酸配列において92位および95位のアミノ酸は、配列番号12における対応するアミノ酸を保持している、アミノ酸配列;
(Q1)配列番号14に示されるアミノ酸配列;
(Q2)配列番号14に示されるアミノ酸配列において、92位、95位、206位および250位以外のアミノ酸位置で1または数個の置換、付加および/または欠失を含む、天然型RAGEの活性を示すアミノ酸配列;および
(Q3)配列番号13に示される核酸配列と相補的な核酸配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸配列によってコードされるアミノ酸配列であって、該コードされるアミノ酸配列において92位、95位、206位および250位のアミノ酸は、配列番号14における対応するアミノ酸を保持している、アミノ酸配列;
(R1)配列番号37に示されるアミノ酸配列;
(R2)配列番号37に示されるアミノ酸配列において、92位、95位および206位以外のアミノ酸位置で1または数個の置換、付加および/または欠失を含む、天然型RAGEの活性を示すアミノ酸配列;および
(R3)配列番号36に示される核酸配列と相補的な核酸配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸配列によってコードされるアミノ酸配列であって、該コードされるアミノ酸配列において92位、95位および206位のアミノ酸は、配列番号37における対応するアミノ酸を保持している、アミノ酸配列;
(S1)配列番号39に示されるアミノ酸配列;
(S2)配列番号39に示されるアミノ酸配列において、92位、95位および206位以外のアミノ酸位置で1または数個の置換、付加および/または欠失を含む、天然型RAGEの活性を示すアミノ酸配列;および
(S3)配列番号38に示される核酸配列と相補的な核酸配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸配列によってコードされるアミノ酸配列であって、該コードされるアミノ酸配列において92位、95位および206位のアミノ酸は、配列番号39における対応するアミノ酸を保持している、アミノ酸配列;
(T1)配列番号41に示されるアミノ酸配列;
(T2)配列番号41に示されるアミノ酸配列において、14位、17位、128位および172位以外のアミノ酸位置で1または数個の置換、付加および/または欠失を含む、天然型RAGEの活性を示すアミノ酸配列;および
(T3)配列番号40に示される核酸配列と相補的な核酸配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸配列によってコードされるアミノ酸配列であって、該コードされるアミノ酸配列において14位、17位、128位および172位のアミノ酸配列は、配列番号41における対応するアミノ酸を保持している、アミノ酸配列;
(U1)配列番号43に示されるアミノ酸配列;
(U2)配列番号43に示されるアミノ酸配列において、92位および95位以外のアミノ酸位置で1または数個の置換、付加および/または欠失を含む、天然型RAGEの活性を示すアミノ酸配列;および
(U3)配列番号42に示される核酸配列と相補的な核酸配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸配列によってコードされるアミノ酸配列であって、該コードされるアミノ酸配列において92位および95位のアミノ酸は、配列番号43における対応するアミノ酸を保持している、アミノ酸配列;
(V1)配列番号45に示されるアミノ酸配列;
(V2)配列番号45に示されるアミノ酸配列において、92位および95位以外のアミノ酸位置で1または数個の置換、付加および/または欠失を含む、天然型RAGEの活性を示すアミノ酸配列;および
(V3)配列番号44に示される核酸配列と相補的な核酸配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸配列によってコードされるアミノ酸配列であって、該コードされるアミノ酸配列において92位および95位のアミノ酸は、配列番号45における対応するアミノ酸を保持している、アミノ酸配列;
(W1)配列番号47に示されるアミノ酸配列;
(W2)配列番号47に示されるアミノ酸配列において、92位および95位以外のアミノ酸位置で1または数個の置換、付加および/または欠失を含む、天然型RAGEの活性を示すアミノ酸配列;および
(W3)配列番号46に示される核酸配列と相補的な核酸配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸配列によってコードされるアミノ酸配列であって、該コードされるアミノ酸配列において92位および95位のアミノ酸は、配列番号47における対応するアミノ酸を保持している、アミノ酸配列;
(X1)配列番号49に示されるアミノ酸配列;
(X2)配列番号49に示されるアミノ酸配列において、92位および95位以外のアミノ酸位置で1または数個の置換、付加および/または欠失を含む、天然型RAGEの活性を示すアミノ酸配列;および
(X3)配列番号48に示される核酸配列と相補的な核酸配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸配列によってコードされるアミノ酸配列であって、該コードされるアミノ酸配列において92位および95位のアミノ酸は、配列番号49における対応するアミノ酸を保持している、アミノ酸配列;
からなる群より選択される配列を含み得る。好ましくは、本発明のRAGE様ポリペプチド−界面活性剤結合複合体は、AGEの認識能を有し得る。好ましいのは、上記RAGE様ポリペプチドのアミノ酸配列各々において、配列番号10における114位、117位、228位および272位に対応するアミノ酸が、それぞれQ(グルタミン)、A(アラニン)、N(アスパラギン)、およびI(イソロイシン)であるRAGE様ポリペプチド−界面活性剤結合複合体である。このポリペプチド部分は、上記部位を変異させたことによって、大過剰のプロテアーゼに曝されても、分解されず、天然型RAGEの活性を保持している。
一実施形態において、本発明のRAGE様ポリペプチド−界面活性剤結合複合体は、そのRAGE様ポリペプチドにおいて保存的置換を含んでいてもよい。別の実施形態において、本発明のRAGE様ポリペプチド−界面活性剤結合複合体はまた、天然型RAGEの活性を保持している限りにおいて、そのRAGE様ポリペプチドにおいて欠失を含んでいてもよい。好ましい欠失としては、(P1)〜(X3)に示されるアミノ酸配列において、配列番号10のアミノ酸配列における37位(リジン)に対応するアミノ酸の位置までの欠失が挙げられる。
特に好ましいRAGE様ポリペプチド−界面活性剤複合体としては、配列番号10における38位、99位、144位、208位、259位および301位におけるシステインに対応するアミノ酸がさらに保持されているものが挙げられる。
別の実施形態において、本発明のRAGE様ポリペプチド−界面活性剤結合複合体は、そのRAGE様ポリペプチドにおいて別の分子の付加を含んでいてもよい。好ましくは、このような付加は、(P1)〜(X3)に示されるアミノ酸配列において、配列番号10の1位〜22位から選択される任意の1〜22個のアミノ酸配列のN末端側への付加、配列番号10の121位〜404位に対応するアミノ酸列から選択される任意の連続する1〜284個のアミノ酸の付加、あるいはフレキシブルなリンカー配列もしくはその反復配列、またはLDL受容体関連タンパク質(LRP)のEGF反復配列(上皮増殖因子受容体様システインリッチドメインを含む配列の付加が挙げられるが、これらに限定されない。好ましいリンカー配列としては、Gly-Gly-Ser、配列番号15、配列番号16に示されるアミノ酸配列、または他の当該分野で公知のフレキシブルなリンカー配列が挙げられるが、これらに限定されない。
特に好ましい実施形態において、本発明のRAGE様ポリペプチド−界面活性剤結合複合体は、配列番号12、14、37、39、41、43、45、47および49からなる群より選択されるアミノ酸配列を含み得る。
本発明の一実施形態において、本発明のRAGE様ポリペプチド−界面活性剤結合複合体は、タグ配列をさらに含み得る。上記タグ配列としては、代表的には、配列番号17、配列番号18、および配列番号19が挙げられるが、これらに限定されない。
好ましい実施形態において、本発明のRAGE様ポリペプチド−界面活性剤結合複合体は、標識をさらに含み得る。代表的な標識としては、蛍光標識、化学発光標識、生物発光標識などが挙げられるが、これらに限定されない。好ましい蛍光標識としては、フルオレセイン、フルオレセインイソチアネート、ローダミン、過塩素酸1,1’−ジオクタデシル−3,3,3’,3’−テトラメチルインドカルボシアニン(DiD)、過塩素酸1,1’−ジオクタデシル−3,3,37,37−テトラメチル−endo−カルボシアニン(DiI)、Alexa、蛍光タンパク質などが挙げられるが、これらに限定されない。好ましい化学発光標識としては、ルミノール、ルシゲニンなどが挙げられるが、これらに限定されない。好ましい生物発光標識としては、ルシフェラーゼ、エクオリンなどが挙げられるが、これらに限定されない。
本発明はまた、上記RAGE様ポリペプチド−界面活性剤結合複合体を含む、AGE検出剤;AGE検出用キット;糖尿病性血管障害などのようなAGEによって引き起こされる疾患を診断するための診断剤を包含し得る。さらに、本発明は、これらを用いて被験体のサンプル中のAGEを検出する方法;AGE検出システム;AGEによって引き起こされる疾患の診断を支援する方法を包含し得る。上記AGEによって引き起こされる疾患としては、糖尿病、非糖尿病性の腎機能障害、糸球体腎炎、糖尿病性血管障害、腎不全、細小血管症(腎症、網膜症、神経症など)、大血管障害(虚血性心疾患、脳血管疾患、閉塞性動脈硬化症などが挙げられるが、これらに限定されない。
本発明の検出剤および診断剤は、当該分野で周知の賦形剤を含み得る。このような賦形剤は、本発明のRAGE様ポリペプチド−界面活性剤結合複合体のリガンド認識能を妨害しない限り、どのようなものであってもよいことが理解される。また、このような検出剤およびキット中に含まれるRAGE様ポリペプチド−界面活性剤結合複合体は、液体として提供されてもよいし、使用時に適宜調製するための乾燥粉体、乾燥フィルム、固相化物として提供されてもよい。
本発明はさらに、上記RAGE様ポリペプチド−界面活性剤結合複合体、上記RAGE様ポリペプチド−界面活性剤結合複合体と基材とを含むAGE検出用デバイス、上記RAGE様ポリペプチド−界面活性剤結合複合体を含むAGE検出剤などを使用してAGEを検出する方法を包含し得る。
本発明の方法は、上記RAGE様ポリペプチド−界面活性剤結合複合体、デバイス、検出剤などを、サンプルと接触させて、サンプル中に含まれるAGEと複合体を形成させる工程を包含し得る。一実施形態において、上記サンプルは、タンパク質を含む体液であり得る。代表的には、これらの体液としては、血液、血清、血漿、髄液、漿膜腔液、関節液、肺胞洗浄液、涙液、尿などが挙げられるが、これらに限定されない。サンプルは、予め標識されていてもよいし、そうでなくてもよい。
一実施形態において、本発明の方法は、上記RAGE様ポリペプチド−界面活性剤結合複合体、デバイス、検出剤などを、上記サンプルと接触させた後に、AGEもしくはAGEに含まれる成分に結合する抗体と接触させて、RAGE様ポリペプチド−界面活性剤結合複合体とAGEと抗体との3成分複合体を形成させる工程を包含し得る。このように3成分複合体を形成させると、AGEをさらに特異的に検出できる可能性があり、よって、検出されるAGEの種類、AGEにおける各種分子の組成などが明らかにできる。使用される好ましい抗体としては、抗ヘモグロビンA1c(HbA1c)抗体、抗AGE抗体および抗カルボキシメチルリジン抗体が挙げられるが、これらに限定されない。
一実施形態において、上記デバイスは、採用される検出方法/検出手段に依存して、種々の形態をとり得る。上記デバイスにおいて使用される好ましい基材としては、ビーズ、金粒子、プレート(例えば、マイクロタイタープレートが挙げられる)、試験管、チップ、磁性粒子、膜、繊維、スライドガラス、または金属薄膜などが挙げられるが、これらに限定されない。好ましい実施形態において、上記ビーズは、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコン樹脂、ナイロン樹脂、天然樹脂、プラスチック、ゼラチン、シリカゲル、金属、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、アガロース、ポリアミノ酸、セルロース、ハイドロキシアパタイト、ポリエチレン、ポリスルフォン、ポリプロピレン、セルロースアセテート、ポリメチルメタクリレート、セルロースジアセテート、メチレンビニルアルコールから作製されるビーズなどであり得る。
さらに、本発明の方法は、複合体を検出する工程を包含し得る。複合体を検出するための手段/検出方法はまた、本発明のRAGE様ポリペプチド−界面活性剤結合複合体に付加されている標識によって変動し得る。代表的な検出手段としては、光学的検出手段、物理的検出手段、化学的検出手段が挙げられる。好ましい実施形態において、上記光学的検出手段としては、一般に、分光光度計、FACS、比色計、蛍光光度計、化学発光検出器、電気化学発光検出器、イメージアナライザー、顕微鏡などが挙げられるが、これらに限定されない。好ましい実施形態において、上記物理的検出手段としては、一般に、電気検出、表面プラズモン共鳴、水晶発振マイクロバランス、熱測定などが挙げられるが、これらに限定されない。上記化学的検出手段としては、一般に、質量分析法、高速液体クロマトグラフィーなどが挙げられるが、これらに限定されない。
最も簡便に使用されるAGEの検出方法は、分解反応後のHPLC分析、酵素結合イムノソルベント検定法(ELISA)を採用するものである。ELISAでは、標識系として酵素とその基質を用いる結合測定法であり、当該分野で周知である。
本発明のAGEによって引き起こされる疾患の診断を支援する方法においては、上記疾患に罹患していない被験体(例えば、健常者)サンプルと、上記疾患に罹患していることが疑われる被験体(患者)サンプルの両方でAGEが検出され、これらのサンプル間で本発明のRAGE様ポリペプチド−界面活性剤結合複合体とAGEとの複合体の量が比較されて、上記疾患が疑われている被験体中のAGEのコントロール被験体に対する相対値が算出される。基準物質としては、ピラリン(正常範囲:血漿中23pmol/mL未満)、ペントシジン(正常範囲:血漿中0.00915〜0.0431μg/mL(ELISAで測定した場合))が使用される(「今日の臨床検査 2007−2008」発行所 株式会社 南江堂、参照)。これらの正常範囲を参考にすることもできる。この相対値が異常値である場合、上記疾患に罹患していると診断される。AGEによって引き起こされる疾患は、代表的には、糖尿病、非糖尿病性の腎機能障害、糸球体腎炎、糖尿病性血管障害、腎不全、細小血管症(腎症、網膜症、神経症など)、大血管障害(虚血性心疾患、脳血管疾患、閉塞性動脈硬化症などが挙げられるが、これらに限定されない。
(CTLD様ポリペプチド−界面活性剤結合複合体およびRAGE様ポリペプチド−界面活性剤結合複合体の生成)
1つの局面において、本発明は、C型レクチン様ドメインポリペプチド−界面活性剤結合複合体を製造する方法およびRAGE様ポリペプチド−界面活性剤結合複合体を提供する。この方法は、C型レクチン様ドメインペプチドまたはRAGE様ポリペプチドを大腸菌で封入体として大量生産する工程を包含し得る。大腸菌などの細菌宿主細胞を用いて、外来タンパク質を多量に発現すると、封入体を形成する場合が多い。封入体は、ポリペプチドの折り畳みが異常であり、そのため、ポリペプチドが本来有する機能を失っている場合が多い。そこで、(1)封入体を形成しない(または少量のみの封入体を形成する)宿主細菌細胞の使用、(2)封入体を形成しない条件での宿主細菌細胞の培養、(3)形成された封入体のリフォールディング、または、(4)これら(1)〜(3)の組合せを用いる必要がある。これら各々について、限定されることはないが、例えば、本発明の方法は、さらに該封入体を界面活性剤とサイクロアミロースでリフォールディングする工程を包含し得る。
本明細書において、封入体として発現された本発明のポリペプチドのリフォールディングは、変性剤により間違った高次構造を解きほぐした後、環状糖質サイクロアミロースとポリオキシエチレン系界面活性剤を含有する溶液中、または環状糖質サイクロアミロースとイオン性界面活性剤を含有する溶液中で行われる。本明細書において使用される環状糖質サイクロアミロース(CAと略す)の重合度の下限は17以上、好ましくは30以上、より好ましくは50以上であり、重合度の上限は500以下、好ましくは200以下、より好ましくは100以下である。
上記リフォールディング法に使用されるポリオキシエチレン系界面活性剤としては、一般式CnH2n+1(OCH2CH2)xOHと表され、通常CnExと略記されるポリオキシエチレン系界面活性剤、好ましくはポリオキシエチレンソルビタンエステル、ポリオキシエチレンドデシルエーテル、ポリオキシエチレンヘプタメチルヘキシルエーテル、ポリオキシエチレンイソオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステルまたはスクロース脂肪酸エステルが挙げられるが、これらに限定されない。
上記リフォールディング法に使用されるイオン性界面活性剤としては、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、ドデシル硫酸ナトリウム、デオキシコール酸ナトリウム、3−[(3−コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−1−プロパンスルホン酸、ヘキサデシ
ルトリメチルアンモニウムブロマイド(以下、CTABと略記することもある。)、ミリスチルサルフォベタイン(以下、SB3−14と略記することもある。)などが挙げられ、特に、CTAB、SB3−14などのカチオン系、ないしは両性界面活性剤が望ましいが、これらに限定されない。
正しい高次構造にリフォールディングする際に使用する特に好ましい界面活性剤としては、ポリオキシエチレンソルビタンエステル、ポリオキシエチレンドデシルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステルまたはスクロース脂肪酸エステル、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムプロマイド(CTAB)、デオキシコール酸ナトリウム、ミリスチルサルフォベタイン(SB3−14)等が挙げられる。
界面活性剤を過剰量に添加することにより、ポリペプチドなどを変性状態にしている物質を希釈すると共に、ポリペプチド−界面活性剤複合体を形成させて、ポリペプチド同士の凝集を防ぐことができる。また、環状糖質としては、前記したように、重合度が17以上の環状α−1,4−グルカンなどを挙げることができる。
また、リフォールディングしたポリペプチドをアビジンもしくはストレプトアビジンを介して方向性を保った状態で固相上に固定し、例えばマイクロタイタープレート、ビーズなどに結合させたり、表面プラズモン共鳴や水晶発振子マイクロバランスなどの原理を利用した検出機器のセンサー部位として利用したりすることによって、変性LDLまたはAGEなどを簡便に検出することが可能である。
上記リフォールディング法に従って、間違った構造を取っているポリペプチドの構造を変性剤により解きほぐした後、過剰量の界面活性剤を添加することにより、本発明のポリペプチドを変性状態にしている物質を希釈すると共に、ポリペプチド−界面活性剤複合体を形成させ、ポリペプチド同士の凝集を防ぎ、次いで重合度が17以上の環状α−1,4−グルカンを添加し、その包接能を利用して前記ポリペプチド−界面活性剤複合体から界面活性剤を除き、ポリペプチドを、リガンド認識能を有する正しい高次構造に戻し、センサーとして利用することも可能である。
大腸菌内に蓄積した本発明のポリペプチドのリガンド認識に関係する領域の再構成は、第1段階として、不溶性画分に回収された受容体の細胞外領域またはリガンド認識領域を、最終濃度で40mMのDTTを含む6Mのグアニジン塩酸塩中で1時間処理し、間違った構造を解きほぐすことにより行う。続いて、第2段階として、70倍容量の0.01〜0.15%の範囲の界面活性剤溶液、好ましくは、0.05〜0.1%界面活性剤溶液(最終濃度で2mMのDL−cystineを含むTBS)を添加し、室温で1時間反応させる。
この過程で、変性剤が希釈されると同時に、変性剤の希釈に伴う受容体同士の凝集は、添加した界面活性剤が受容体・界面活性剤複合体を形成することにより防止される。さらに、最終段階として、最終濃度で0.6%になるように3%のCA保存溶液を添加し、室温で1時間反応させる。CAは、受容体・界面活性剤複合体から界面活性剤を剥離する。この過程で受容体は正しい立体構造にリフォールディングされ、再構成受容体を得ることができる。
上記リフォールディング法に用いる変性剤としては、グアニジン塩酸塩、尿素などがあるが、間違った構造を完全に解きほぐす目的で、最終濃度で6Mのグアニジン塩酸塩を一般に用いる。また、間違って形成されているS−S結合を切断する目的で、変性剤溶液中には最終濃度で40mMのDTTを添加する。処理するタンパク質濃度は、10〜25mg/m1程度である。封入体をTBSに懸濁した後、最終濃度で40mMのDTTを含む最終濃度6Mのグアニジン塩酸塩を加え、室温で1時間反応させる。
発現させたポリペプチド(例えば、CTLD様ポリペプチドまたはRAGE様ポリペプチド)を封入体として大腸菌内に蓄積させた後、上記したように、グアニジン塩酸塩などの変性剤を用いて間違った高次構造を解きほぐす。続いて、変性状態にあるビオチン化ポリペプチドに過剰量の界面活性剤を添加することにより、ポリペプチドを変性状態にしている物質を希釈すると共に、ポリペプチド同士の凝集を防ぐ。
次いで、環状糖質、例えば重合度が17以上の環状α−1,4−グルカンを添加し、その包接能を利用して前記界面活性剤を除き、正しい高次構造にリフォールディングし、リガンド認識能を有した状態に変換する。発現させたポリペプチドを利用して変性LDLまたはAGEなどを検出する。アビジンもしくはストレプトアビジン等を介して方向性を保った状態でチップ、キュベット等の固相上に固定し、これをセンサー(すなわち、受容体チップ)として使用する。
上記リフォールディングを用いることによって、封入体として発現されたCTLD様ポリペプチド、RAGE様ポリペプチドをリフォールディングして、正常な変性LDL結合活性またはAGE結合活性を有するポリペプチドとすることが可能である。
上記工程によって得られたポリペプチドは、混在している他のタンパク分子から分離されているという意味でそれ自体純度が非常に高いため、本発明において実際に使用する際にはこのポリペプチドをさらに精製してもよいし、精製せずそのまま使用してもよい。上記工程によって得られたポリペプチドには、本来の天然型のポリペプチドには結合していない、リフォールディング工程で使用した界面活性剤が結合している。これまで、このような再生されたタンパク質は、溶液中の遊離の界面活性剤だけでなく、ポリペプチドに結合している界面活性剤も、リフォールディング工程の後に除去する必要があると考えられていた。なぜなら、例えば、アッセイ系などで使用する場合において、界面活性剤が残っていると測定時に何らかの悪影響があると考えられていたからである。しかしながら、これに反して、本発明者らは、余分な界面活性剤分子も、再生(リフォールディング)されたポリペプチドに結合した界面活性剤分子も、除去する必要がないことを見いだした。むしろ、再生されたポリペプチドを界面活性剤と結合したままにすることで、界面活性剤分子を全く含んでいない天然型のポリペプチドと比較して、結合能などが天然型のポリペプチドと何ら遜色ないばかりか、アッセイ系で使用した場合にバックグランド値の低下がもたらされ、測定のS/N比が上昇した。その理由としては、再生されたタンパク質(例えば、CTLD様ポリペプチド)における物性が、可溶性ポリペプチドとして発現したタンパク質とは異なることが挙げられる。結果的に、リフォールドされたポリペプチドの精製工程および界面活性剤の除去工程は省略可能であり、生成しようとするポリペプチド(例えば、CTLD様ポリペプチド)の製造工程が簡略化されて、製造コストの低下がもたらされる。
上記のリフォールディング方法によって生成されたタンパク質もまた、本発明の範囲に包含され得ることが理解される。
(使用)
別の局面において、本発明は、本発明のリフォールディングされたポリペプチドの、変性LDLによって引き起こされる疾患(例えば、動脈硬化症など)、またはAGEによって引きおこされる疾患(例えば、糖尿病性血管障害)を診断するための薬剤を製造するための使用を提供する。ここで使用されるポリペプチドは、本明細書において上記される任意のものであり得ることが理解される。
本明細書において引用された、科学文献、特許、特許出願などの参考文献は、その全体が、各々具体的に記載されたのと同じ程度に本明細書において参考として援用される。
以上、本発明を、理解の容易のために好ましい実施形態を示して説明してきた。以下に、実施例に基づいて本発明を説明するが、上述の説明および以下の実施例は、例示の目的のみに提供され、本発明を限定する目的で提供したのではない。従って、本発明の範囲は、本明細書に具体的に記載された実施形態にも実施例にも限定されず、特許請求の範囲によってのみ限定される。
(材料および方法)
以下に示す実施例において、特段の記載がない場合、一般的に、以下に記載される材料および方法を用いて実験を行った。
(実施例1:LOX−1は、大過剰のプロテアーゼによって分解される)
本発明者らは、変性LDLおよびAGEを検出することにおいてより安定な変性LDL認識分子を得るために、LOX−1のリガンド認識に必須のC型レクチン様ドメイン(CTLD;LOX−1のアミノ酸配列の143位〜273位)のプロテアーゼに対する安定性について試験した。
cDNAライブラリーを、ヒト大動脈内皮細胞(HAEC)から単離したmRNA(Whittaker,Walkersville,MD,USA)により、コピーキット(Invitrogen,San Diego,CA,USA)を用いてcDNAライブラリーを構築した。Sawamuraら(Nature 386(6620),73−77(1997))に示される配列(GenBankアクセッション番号NM_002543もまた参照のこと)に基づいて、CTLDに適合する2種類の特異的プライマー:
5’−GTGCCAGGATCCCATATGCCTTGTCCGCAAGACTGGA−3’(順方向プライマー;配列番号20);および
5’−CAGCTCGAGTCACTGTGCTCTTAGGTTTGCC−3’(逆方向プライマー;配列番号21)
を用いて増幅した。増幅転写物を、ABI PRISM310 Genetic Analyzer(PE Applied Biosystems,Forster City,CA,USA)を用いて、DNA配列分析により確認した。
増幅転写物を、ABI PRISM310 Genetic Analyzer(PE
Applied Biosystems,Forster City,CA,USA)を用いて、DNA配列分析により確認した。
N末端ビオチン化タンパク質を生産するために、pET22b(Novagen,Madison,WI)のNdeI切断部位の上流に、AviTagをコードする配列を挿入し、pET N−Aviベクターを構築した。CTLDをコードするDNA(配列番号1)をNdeI切断部位、XhoI切断部位でpET N−Aviにクローニングした。CTLD内の分子間S−S結合を正しく構成するため、発現宿主としてOrigami B(DE3)(Novagen,USA)を用いた。上記で得られたベクターを、Origami B(DE3)に形質転換した。Origami B(DE3)は、チオレドキシンレダクターゼおよびグルタチオンレダクターゼ変異株であり、細胞質内に発現させたタンパク質のS−S結合形成を促進する性質がある。AviTagを付加する場合、AviTagおよび目的タンパク質をコードする核酸配列を含むベクターと、BirA遺伝子を含む発現ベクターとで同時に形質転換させた。得られた形質転換宿主細胞を、カナマイシン(15μg/ml)、アンピシリン(50μg/ml)、テトラサイクリン(12.5μg/ml)、クロラムフェニコール(34μg/ml)を添加した(いずれも最終濃度)LB培地中で25℃で培養した。CTLDの発現を、IPTGを添加することによって誘導し、20℃で20時間培養した後、菌体を収菌後、TBSにて洗浄し超音波破砕した。95%程度のCTLDは封入体を形成し、可溶性ポリペプチドとして得られるのは、5%程度であったが、可溶性ポリペプチド画分をNi−アガロースに吸着させた後、イミダゾールによる濃度勾配で溶出し、CTLDを部分精製した。得られたCTLDは、Ni−アガロース上に固定した状態で、DiD−AcLDLを認識し結合することを確認した。
このようにして得られたCTLD(0.25mg/mL)をプロテアーゼ処理した。反応は、0.1ml(最終濃度で0.02mgのCTLD含む)の系で行い(20mM Tris,pH8.4、150mM NaCl、2.5mM CaCl2)、2ユニットのトロンビン(1ユニット(1u)は、1mgの対象タンパク質を分解可能な濃度である)、10uのエンテロキナーゼ(1uは、0.05mgの対象タンパク質を分解可能な濃度)、または10uの第Xa因子(1uは、0.05mgの対象タンパク質を分解可能な濃度)とともに25℃で18時間反応させた。18時間後にフェニルメタンスルホニルフルオリド(PMSF)を添加し、反応を停止した直後に、この反応産物を、定法に従ってSDS−PAGE用に処理した。プロテアーゼ非処理である対象区は、プロテアーゼ添加と同時にPMSFを添加してプロテアーゼを不活化すると共に、直ちにSDS−PAGE用のサンプル処理に供し、−20℃にて保存した。プロテアーゼ処理区、非処理区をSDS−PAGEで泳動し、クーマシーブリリアントブルー(CBB)染色に供したところ、低分子領域にCTLDの断片が認められた(図3を参照のこと)。さらに、ペプチドマッピングを行ったところ、CTLDは、LOX−1のR231とG232の間、およびR248とG249との間に対応する位置で切断され、この切断部位はLOX−1のリガンド認識に必須なアミノ酸残基を含むことが明らかになった(図5を参照のこと)。
従って、本発明者らは、リガンド認識能に影響を与えずにプロテアーゼ耐性が付与されたCTLD様ポリペプチドの生成を試みた。
(実施例2:CTLD様ポリペプチドの生成)
実施例1において得られた知見に基づいて、上記の切断部位2箇所に変異を導入したCTLD様ポリペプチド(G232A/G249A;本実施例中、PR−CTLDともいう)をコードする核酸を、定法に従って生成した。定法に従って、この核酸を、シアン蛍光タンパク質(CFP)を融合させた哺乳動物用発現ベクターpECFP(Clontech,USA)に導入することによって、N末端にCFPが融合したPR−CTLDコード核酸を含むプラスミドを構築した。CHO細胞を10% FCSを補充したF12培地中、37℃において5%CO2加湿雰囲気下で培養した。1×104細胞/mlの密度で懸濁したCHO細胞400μlを、トランスフェクションを行う24時間前に、カバーガラス上に播種した。細胞を、LipofectAMINE試薬を用いて製造業者のプロトコルに従って、細胞をトランスフェクトし、48時間インキュベートし、CHO細胞に一過性発現させた。その後、この細胞を蛍光顕微鏡で観察したところ、CFPの蛍光によりCTLD様ポリペプチド発現細胞が確認できた。また、リガンドである変性LDLを蛍光色素である過塩素酸1,1’−ジオクタデシル−3,3,3’,3’−テトラメチルインドカルボシアニン(DiD;Molecular Probes,Eugene,OR)により標識し、この変性LDLをCTLD様ポリペプチド発現細胞に添加したところ、リガンドの認識能および取り込み能が確認できた(図4)。
これらの結果から、PR−CTLD発現細胞は、明瞭なリガンド取り込み能を示し、プロテアーゼ耐性を付与するために行ったアミノ酸置換は、変性LDL認識能には何ら影響を与えていないことが示された。
さらに、このPR−CTLDのプロテアーゼ感受性を検討したところ、2u(1uは、1mgの対象タンパク質を分解可能な濃度)のトロンビンで、0.02mgのPR−CTLDを18時間処理しても分解が起こらないことが確認され、プロテアーゼ耐性CTLD様ポリペプチド(PR−CTLD)を生成することに成功した(図3)。
(実施例3:タグ配列付加CTLD様ポリペプチドの生成)
実施例2において生成したCTLD様ポリペプチド(PR−CTLD)に加えて、さらに、CTLD様ポリペプチドと同様のプロテアーゼ耐性変異を導入した長さの異なるタンパク質PR−CTLD14(ネック領域の14アミノ酸を含む、LOX−1のアミノ酸129位〜273位;図5)を作成した。PR−CTLD14のアミノ酸配列には分子間S−S結合に関与するCysが含まれる。分子間S−S結合を形成しなくても認識能はあるが、細胞上で機能を発現する際には、一定以上の分子密度をとる必要がある(Xieら、DNA and Cell Biology 23(2):111−117(2004)およびMatsunagaら、Experimental Cell Research 313:1203−1214(2007))。そこで、高密度集積に寄与し得る構造として分子間S−S結合形成が可能なPR−CTLD14もまた、実施例2と同様に生成して、変性LDLを検出するアッセイ系を構築するのに使用した。
発現させたプロテアーゼ耐性のCTLD様ポリペプチド(PR−CTLDおよびPR−CTLD14)を検出/評価系において活用する際には、有効な修飾が施されていることが望ましい。そこでこれらの分子のN末側に2種類のタグ(一つは大腸菌内でビオチン化を受ける配列AviTag(GLNDIFEAQKIEWHE(配列番号17))、他方はストレプトアビジンに直接認識される配列であるStreptag(AWRHPQFGG(配列番号18))またはStreptagII(WSHPQFEK(配列番号19))を付加した。ビオチンとストレプトアビジンの結合は非共有結合で最も強く(KD=10−15M)、ストレプトアビジンを介した固定化などへの発展に際しても有効である。しかし、ビオチン化のためには、培地中へのビオチンの添加、ビオチンリガーゼを共発現させる必要があるなどの手間が掛かる。そこで、結合の強さでは劣るが(KD=10−7M)、遺伝子配列上でタグを付加し大腸菌で発現させればストレプトアビジンへの結合が可能なStreptagII(WSHPQFEK(配列番号19))付加タンパク質も生成した。いずれもpET系ベクターの5’側に、タグ配列をコードする核酸配列を導入して発現用プラスミドとした(pET N−Avi、pET N−StII)。定法に従って、これらの発現ベクターそれぞれにPR−CTLDおよびPR−CTLD14を導入して、発現構築物を生成した。AviTag付加タンパク質のビオチン化のために、pET系ベクターと同一菌体内で保持可能なpAC系ベクターにビオチンリガーゼをコードしているBirA遺伝子を導入し、発現用プラスミドを作製した(BirA/pAC)。
PR−CTLDおよびPR−CTLD14はともに、分子内S−S結合の形成が構造の安定化と機能に必須である。そこで発現宿主としてOrigami B(DE3)(Novagen,USA)を用いた。Origami B(DE3)は、チオレドキシンレダクターゼおよびグルタチオンレダクターゼ変異株であり、細胞質内に発現させたタンパク質のS−S結合形成を促進する性質がある。プロテアーゼ耐性CTLD様ポリペプチドにAviTagを付加する場合、AviTagおよび目的タンパク質をコードする核酸配列を含むベクターと、BirA遺伝子を含む発現ベクターとで同時に形質転換させた。得られた形質転換宿主細胞を、カナマイシン(15μg/ml)、アンピシリン(50μg/ml)、テトラサイクリン(12.5μg/ml)、クロラムフェニコール(34μg/ml)を添加した(いずれも最終濃度)LB培地中で37℃で培養した。StreptagIIコード核酸を含む発現ベクターで形質転換した場合は、カナマイシン(15μg/ml)、アンピシリン(50μg/ml)、テトラサイクリン(12.5μg/ml)を添加したLB培地中で37℃で培養した。PR−CTLDおよびPR−CTLD14の発現を、IPTGを添加することによって誘導した。
予備実験として、PR−CTLDおよびPR−CTLD14を可溶性ポリペプチドとして発現するための温度条件および誘導時間を調べた。温度条件は、(1)37℃、(2)25℃および(3)20℃に設定した。誘導時間は、(A)2時間、(B)4時間、(C)8時間、(D)18時間、(E)24時間に設定した。まず、これらの宿主細胞を37℃で誘導し、誘導されたタンパク質の分子量を測定したところ、予想される分子量のタンパク質の誘導が確認されたが、100%が不溶性画分に回収された。この結果に鑑みて、誘導時間を変動させずに、誘導時の温度を25℃に下げたところ、わずかながら可溶性ポリペプチドとしての発現が確認された。さらに誘導時の温度を20℃にまで下げて、誘導時間の検討を行ったところ、可溶性ポリペプチドとして回収するためには、温度条件(3)および誘導時間(D)18時間〜(E)24時間、特に20〜24時間の誘導が適切であると結論付けられた(図6を参照のこと)。
上記の形質転換細胞を37℃で12時間前培養した。本培養は、この前培養液を、20倍希釈になるように上記の各LB培地に添加し、25℃で旋回培養した。上記で得られた条件に基づいて、培養液の光学密度(A600)が約0.5に達したときに、培養温度を20℃に下げると同時に、1mM(最終濃度)IPTGを添加し、目的タンパク質の発現を誘導した。AviTag付加タンパク質を生成する場合は、誘導開始と同時に50μM(最終濃度)のビオチンを添加し、発現される目的タンパク質のビオチン化も同時に行わせた。誘導開始後20〜24時間後に12,000rpm×5分の遠心分離により菌体をペレット化して上清を廃棄し、適量のTBSで洗浄した。
TBSに懸濁した菌体を、超音波破砕機にて破砕後、15,000rpm×30分の遠心分離により回収される上清を可溶性画分とした。発現された目的タンパク質の90%以上が不溶性画分に残った。目的タンパク質は、精製のためのHisタグがC末側に付加されているので、Ni−アガロースに結合させた後、イミダゾールにより溶出させ精製した(図7)。検出用として付加したAviTagも精製に利用可能であり、この場合は、streptavidin Mutein matrix(Roche)に吸着後、ビオチンにより溶出させた。StrepTagIIの場合、Strep−Tactin Sepharose(IBA,US)に吸着後、desthiobiotinにより溶出させた。PR−CTLDおよびPR−CTLD14とも、1L当たりの収量は、以下の表1に示すように、0.5mg未満であった。
(実施例4:RAGEは、大過剰のプロテアーゼによって分解される)
本発明者らは、AGEを検出することにおいてより安定なAGE認識分子を得るために、図8に模式的に示されるRAGEの細胞外ドメイン(sRAGE1;RAGEのアミノ酸配列の23位〜332位)のプロテアーゼに対する安定性について試験した。
ヒト肺polyA RNAを鋳型に逆転写反応後、GenBankアクセッション番号AB036432に示される配列に基づいて、RAGEに適合する2種類の特異的プライマー:
5’−GAATTCAGGATGGCAGCCGGAACAGCAG−3’(順方向プライマー;配列番号22);および
5’−CTCGAGTCAAGGCCCTCCAGTACTAC−3’(逆方向プライマー;配列番号23)
を用いて増幅した。増幅転写物を、ABI PRISM310 Genetic Analyzer(PE Applied Biosystems,Forster City,CA,USA)を用いて、DNA配列分析により確認した。
pET系ベクターの3’側にAviタグ配列をコードする核酸配列を導入して、C末端ビオチン化タンパク質の生産を可能とするベクターを構築し発現用プラスミドとした(pPET C−Avi)。定法に従って、発現ベクターにRAGE1を導入して、発現構築物を生成した。
RAGEは、CTLDと同様に、S−S結合の形成が構造の安定化と機能に必須である。そこで発現宿主としてOrigamiB(DE3)(Novagen,USA)を用いた。Origami B(DE3)は、チオレドキシンレダクターゼおよびグルタチオンレダクターゼ変異株であり、細胞質内に発現させたタンパク質のS−S結合形成を促進する性質がある。ビオチン化ペプチドとして生産させるために、BirA遺伝子を含む発現ベクター(pET系ベクターと同一菌体内で保持可能なpAC系ベクターにビオチンリガーゼをコードしているBirA遺伝子を導入)とで同時に形質転換させた。得られた形質転換宿主細胞を、カナマイシン(15μg/ml)、アンピシリン(50μg/ml)、テトラサイクリン(12.5μg/ml)、クロラムフェニコール(34μg/ml)を添加した(いずれも最終濃度)LB培地中で25℃で培養した。RAGE様ポリペプチドの発現を、IPTGを添加することによって誘導した。誘導は25℃で18時間行った。25℃で誘導することにより、90%以上が可溶性ポリペプチドとして発現された。誘導開始と同時に50μM(最終濃度)のビオチンを添加し、発現される目的タンパク質のビオチン化も同時に行わせた。誘導開始後18時間後に12,000rpm×5分の遠心分離により菌体をペレット化して上清を廃棄し、適量のTBSで洗浄した。
TBSに懸濁した菌体を、超音波破砕機にて破砕後、15,000rpm×30分の遠心分離により回収される上清を可溶性画分とした。目的タンパク質は、精製のためのHisタグがC末側に付加されているので、Ni−アガロースに結合させた後、イミダゾールにより溶出させ精製した。検出用として付加したAviTagも精製に利用可能であり、この場合は、streptavidin Mutein matrix(Roche)に吸着後、ビオチンにより溶出させた。精製したタンパク質は、認識されている結合特異性およびR−AGE(リボースにより糖化処理をしたBSA)、F−AGE(フルクトースにより処理をしたBSA)、G−AGE(グルコースにより糖化処理をしたBSA)に対する親和性を示した。このことは、この精製タンパク質がビオチン化されていることを利用し、BIACOREのストレプトアビジンセンサーチップ上に、リガンド認識に関わる部分が外側を向くように固定化し、このセンサーチップをBIACORE本体に挿入後、表面プラズモン共鳴(Biacore 2000,Amersham−Pharmacia)により確認した。
このようにして得られたsRAGE1(0.25mg/mL)をプロテアーゼ処理した。反応は、0.1ml(最終濃度で0.02mgのsRAGE1含む)の系で行い(20mM Tris,pH8.4、150mM NaCl、2.5mM CaCl2)、2ユニットのトロンビン(1uは、1mgの対象タンパク質を分解可能な濃度)、10uのエンテロキナーゼ(1uは、0.05mgの対象タンパク質を分解可能な濃度)、または10uの第Xa因子(1uは、0.05mgの対象タンパク質を分解可能な濃度)とともに25℃で18時間反応させた。18時間後にPMSFを添加し、反応を停止した直後に、この反応産物を、定法に従ってSDS−PAGE用に処理した。プロテアーゼ非処理である対象区は、プロテアーゼ添加と同時にPMSFを添加しプロテアーゼを不活化すると共に、直ちにSDS−PAGE用のサンプル処理に供し、−20℃にて保存した。プロテアーゼ処理区、非処理区を、定法に従ってSDS−PAGEで泳動し、CBB染色に供したところ、低分子領域にsRAGEの断片が認められた(図9を参照のこと)。さらに、ペプチドマッピングを行ったところ、sRAGE1は、大過剰のトロンビンではRAGEのR114とV115の間、およびR228とV229との間に該当する位置で、大過剰の第Xa因子ではRAGEのR114とV115の間、V117とY118との間、およびM272とK273との間に該当する位置で切断されることが明らかになった(図8を参照のこと)。
従って、本発明者らは、リガンド認識能に影響を与えずにプロテアーゼ耐性が付与されたRAGE様ポリペプチドの生成を試みた。
(実施例5:RAGE様ポリペプチドの生成))
実施例4において得られた知見に基づいて、上記の切断部位4箇所に変異を導入したsRAGE1様ポリペプチド(R114Q/V117A/R228N/M272I;本実施例中、mRAGE1ともいう)を定法に従って生成した。この核酸を、定法に従って、シアン蛍光タンパク質(CFP)を融合させた哺乳動物用発現ベクターpECFP(Clontech,USA)またはpTarget(Promega)に導入することによって、N末端にCFPが融合したmRAGE1コード核酸を含むプラスミドを構築した。CHO細胞を10% FCSを補充したF12培地中、37℃において5%CO2加湿雰囲気下で培養した。1×104細胞/mlの密度で懸濁したCHO細胞400μlを、トランスフェクションを行う24時間前に、カバースリップ上に播種した。細胞を、LipofectAMINE試薬を用いて製造業者のプロトコルに従って、細胞をトランスフェクトし、48時間インキュベートし、CHO細胞に一過性発現させた。その後、この細胞を蛍光顕微鏡で観察したところ、CFPの蛍光によりmRAGE1発現細胞が確認できた。また、リガンドであるリボースにより糖化処理したBSA(R−BSA)を蛍光色素であるAlexa633(Molecular Probe)により標識し、この標識糖化BSAをmRAGE1発現細胞に添加したところ、リガンドの認識能および取り込み能が確認できた。
mRAGE1発現細胞は、明瞭なリガンド取り込み能を示し(図10)、プロテアーゼ耐性の増大を狙ったアミノ酸置換は、リガンド認識能には影響を与えていないことが示された。
さらに、そのプロテアーゼ感受性を検討したところ、天然型に比べ耐性が上昇していることが示され、プロテアーゼ耐性の上がったRAGE分子の作出に成功した(図11)。
(実施例6:RAGEのリガンド認識能に必須の最小領域の決定)
これまで、RAGEの細胞外領域がリガンド認識に必須であることは知られていたが、細胞外領域のどの部分がリガンド認識に必要十分であるかは明らかにされていない。よってリガンド認識に必須の最小領域を決定する目的で、領域欠損などによる削りこみを行って、miniRAGEを作製した。
miniRAGEとして、GenBankアクセッション番号AB036432に示される配列に基づいて、以下のプライマー:
順方向プライマー(RAGE1、RAGE2、RAGE3、RAGE7、RAGE8、RAGE9、RAGE143、RAGE223およびRAGE226に共通)
5’−CTACATATGGCTCAAAACATCACAGC−3’(配列番号24)
逆方向プライマー
・RAGE1については、
5’−TTACTCGAGAGCCTGCAGTTGGCCC−3’(配列番号25)
・RAGE2については、
5’−TTACTCGAGACCAGACACGGGGCTG−3’(配列番号26)
・RAGE3については、
5’−TTACTCGAGAAGCTACTGCTCCACC−3’(配列番号27)
・RAGE7については、
5’−TTACTCGAGAAACACCAGCCGTGAGT−3’(配列番号28)
・RAGE8については、
5’−TTACTCGAGAAATCTGGTAGACACGG−3’(配列番号29)
・RAGE9については、
5’−TTACTCGAGACTTGGTCTCCTTTCC−3’(配列番号30)
・RAGE143については
5’−TTACTCGAGTCCCCACCTTATTGGG−3’(配列番号33)、
・RAGE223については、
5’−TTACTCGAGCTGTGCGCAAGGCCCG−3’(配列番号34)
・RAGE226については、
5’−TTACTCGAGACTGGATGGGGGCTGTGC−3’(配列番号35)
を設計し、RAGE4については、順方向プライマー
5’−TCGCATATGGCAATGAACAGGAATGG−3’(配列番号31)
逆方向プライマー
5’−TTACTCGAGAGCCTGCAGTTGGCCC−3’(配列番号32)
を設計し、RAGE2(天然型RAGEのアミノ酸配列23〜250位)をコードするDNA、RAGE3(天然型RAGEのアミノ酸配列23〜230位)をコードするDNA、RAGE4(天然型RAGEのアミノ酸配列101〜332位)をコードするDNA、RAGE7(天然型RAGEのアミノ酸配列23〜137位)をコードするDNA、RAGE8(天然型RAGEのアミノ酸配列23〜120位)をコードするDNA、RAGE9(天然型RAGEのアミノ酸配列23〜112位)をコードするDNA、RAGE143(天然型RAGEのアミノ酸配列23〜143位)をコードするDNA、RAGE223(天然型RAGEのアミノ酸配列23〜223位)をコードするDNA、およびRAGE226(天然型RAGEのアミノ酸配列23〜226位)をコードするDNAを得た。
これらminiRAGEをコードするDNAを、制限酵素の認識配列を付加した特異的プライマーによりPCRにより増幅した後、pCR2.1(Invitrogen)をクローニング用ベクターとしてTAクローニングを行い、塩基配列を確認した。
(2)タグ配列付加RAGE様ポリペプチドの生成
実施例6において生成したRAGE様ポリペプチド(sRAGE1、mRAGE1、RAGE2〜RAGE8、RAGE143、RAGE223およびRAGE226)を検出/評価系において活用する際には、有効な修飾が施されていることが望ましい。そこでこれらの分子のN末側に2種類のタグ(一つは大腸菌内でビオチン化を受ける配列AviTag(GLNDIFEAQKIEWHE(配列番号17))、他方はストレプトアビジンに直接認識される配列であるStreptag(AWRHPQFGG(配列番号18)またはWSHPQFEK(配列番号19))を付加した。ビオチンとストレプトアビジンの結合は非共有結合で最も強く(KD=10−15M)、ストレプトアビジンを介した固定化などへの発展に際しても有効である。しかし、ビオチン化のためには、培地中へのビオチンの添加、ビオチンリガーゼを共発現させる必要があるなどの手間が掛かる。そこで、結合の強さでは劣るが(KD=10−7M)、遺伝子配列上でタグを付加し大腸菌で発現させればストレプトアビジンへの結合が可能なStreptagII(WSHPQFEK(配列番号19))付加タンパク質も生成した。いずれもpET系ベクターの3’側にタグ配列をコードする核酸配列を導入して、発現用プラスミドとした(pET C−Avi、pET C−StII)。定法に従って、これらの発現ベクターに、mRAGEおよびminiRAGEを導入して、発現構築物を生成した。AviTag付加タンパク質のビオチン化のために、pET系ベクターと同一菌体内で保持可能なpAC系ベクターにビオチンリガーゼをコードしているBirA遺伝子を導入したBirA/pACを作製した。
RAGEは、CTLDと同様に、S−S結合の形成が構造の安定化と機能に必須である。そこで発現宿主としてOrigamiB(DE3)(Novagen,USA)を用いた。Origami B(DE3)は、チオレドキシンレダクターゼおよびグルタチオンレダクターゼ変異株であり、細胞質内に発現させたタンパク質のS−S結合形成を促進する性質がある。RAGE様ポリペプチド(sRAGE1、mRAGE1、RAGE2〜RAGE8、RAGE143、RAGE223およびRAGE226をまとめて「RAGE様ポリペプチド」と称する)にAviTagを付加する場合、AviTagおよびこのポリペプチドをコードする核酸配列を含むベクターと、BirA遺伝子を含む発現ベクターとで同時に形質転換させた。得られた形質転換宿主細胞を、カナマイシン(15μg/ml)、アンピシリン(50μg/ml)、テトラサイクリン(12.5μg/ml)、クロラムフェニコール(34μg/ml)を添加した(いずれも最終濃度)LB培地中で37℃で培養した。StreptagIIコード核酸を含む発現ベクターで形質転換した場合は、カナマイシン(15μg/ml)、アンピシリン(50μg/ml)、テトラサイクリン(12.5μg/ml)を添加したLB培地中で37℃で培養した。RAGE様ポリペプチドの発現を、IPTGを添加することによって誘導した。
予備実験として、RAGE様ポリペプチドを可溶性ポリペプチドとして発現するための温度条件および誘導時間を調べた。温度条件は、(1)37℃、(2)25℃および(3)20℃に設定した。誘導時間は、(A)18時間、(B)20時間、および(C)24時間に設定した。まず、これらの宿主細胞を37℃で誘導し、誘導されたタンパク質の分子量を測定したところ、大部分が不溶性画分に回収された。培養温度を25℃に下げるとsRAGEの場合、90%以上が可溶性ポリペプチドとして発現されたが、mRAGE1の場合は、20%程度しか可溶性ポリペプチドとして発現されなかった。各miniRAGEに関しては、欠損部分が長くなるほど可溶化率が下がる傾向が観察された。RAGE8およびRAGE9に関しては培養温度を下げても殆どが不溶性となり、可溶性ポリペプチドとして発現させるのは困難であった。上記の結果に鑑みて、培養温度を25℃に維持して、誘導時間の検討を行ったところ、誘導時間(A)18時間が適切であることが分かった(図13を参照のこと)。
上記の形質転換細胞を37℃で12時間前培養した。本培養は、この前培養液を、20倍希釈になるように上記の各LB培地に添加し、25℃で旋回培養した。上記で得られた条件に基づいて、培養液の光学密度(A600)が約0.5に達したときに、1mM(最終濃度)IPTGを添加し、目的タンパク質の発現を誘導した。AviTag付加タンパク質を生成する場合は、誘導開始と同時に50μM(最終濃度)のビオチンを添加し、発現される目的タンパク質のビオチン化も同時に行わせた。誘導開始後18時間後に12,000rpm×5分の遠心分離により菌体をペレット化して上清を廃棄し、適量のTBSで洗浄した。
TBSに懸濁した菌体を、超音波破砕機にて破砕後、15,000rpm×30分の遠心分離により回収される上清を可溶性画分とした。目的タンパク質は、精製のためのHisタグがC末側に付加されているので、Ni−アガロースに結合させた後、イミダゾールにより溶出させ精製した(図13)。検出用として付加したAviTagも精製に利用可能であり、この場合は、streptavidin Mutein matrix(Roche)に吸着後、ビオチンにより溶出させた。StrepTagIIの場合、Strep−Tactin Sepharose(IBA,US)に吸着後、desthiobiotinにより溶出させた。
(3)RAGEのリガンド認識能に必須の最小領域の決定
上記のようにして溶出させた各MiniRAGEの発現効率、可溶性ポリペプチドとして発現する比率、収率などは以下の表2に示すとおりである。
上記の結果から、RAGEのリガンド認識能に必須の最小領域は、RAGE8(天然型RAGEのアミノ酸配列23〜120位)であることが分かった。
(実施例7:CTLD様ポリペプチドのリフォールディング)
(1)CTLD様ポリペプチドのリフォールディング
実施例3に示されるように、CTLD様ポリペプチドは、ほとんどが封入体として発現されるので、発現宿主をBL21(DE3)とし、100%近くを封入体として発現させた後、サイクロアミロースの包接能を活用しリフォールディングさせた。これにより、20mg/L程度の変異受容体を得ることが可能になった。
上記実施例3で得られた発現構築物とBirA遺伝子を含むベクターとで同時に形質転換させたBL21(DE3)、若しくは発現構築物のみで形質転換させたBL21(DE3)を、以下のように培養した。培養は、LB培地を基本とし、アンピシリン(50μg/ml)、クロラムフェニコール(34μg/ml)を添加した(いずれも最終濃度)。StreptagIIを付加したポリペプチドを発現させる場合、若しくは発現構築物のみで形質転換させたBL21(DE3)の場合、LB培地にアンピシリン(50μg/ml)を添加した。
本培養は、実施例3に示される前培養液を20倍希釈になるように添加し、37℃で旋回培養した。培養液の濁度(A600)が約0.5に達したときに、1mM(最終濃度)IPTGを添加し、目的タンパク質の発現を誘導した。AviTag付加ポリペプチドを発現させる場合は、誘導開始と同時に50μM(最終濃度)のビオチンを添加し、発現タンパク質のビオチンも同時に行わせた。誘導開始後4時間後に12,000rpm×5分の遠心分離で菌体を回収し、TBSにて洗浄した。
次いで、TBSに懸濁した菌体を超音波破砕機にて破砕後、細胞破砕液の沈殿画分をTBSで洗浄し封入体とした。封入体を最終濃度40mMのDTTを含む6Mのグアニジン塩酸塩溶液で室温にて1時間処理し、間違った構造を完全に解きほぐした。続いて、70倍容量の4種類の界面活性剤溶液(0.1% CTAB、SB3−14、Tween 40、Tween 60、いずれも最終濃度で2mMのDL−cystineを含むTBS溶液)を添加し、室温で1時間反応させた後、最終濃度で0.6%になるように、それぞれに3%CA溶液を加え、さらに室温で1時間反応させた。その反応溶液を、15,000rpmで5分間遠心分離し、得られた上清を、リフォールディング溶液とした。CTAB、SB3−14を用いた場合、CTLD様ポリペプチドの90%程度がリフォールディング溶液として回収されていることが確認されたが、Tween40,Tween60では効果が無かった(図14)。精製はHisタグを活用したNi−Agarose精製、またはビオチン、StrepTagを利用して、実施例3に示される可溶性ポリペプチドの精製と同様に精製できた。以下の表3に、CTABを用いた場合の結果を示す。
(2)可溶性PR−CTLDとRe−CTLDの変性LDL認識能の比較
各濃度のF−OxLDL(0、0.1、0.2、0.4、0.8、1、2、4、8、10、15、20μg/mL)を96穴プレートに分注し(50μl/ウェル)、4℃で一晩放置後、1%BSA/0.02%Tween20含TBS(300μl/ウェル)でブロッキング(37℃で4時間、若しくは4℃で一晩)し、ビオチン化CTLD(5μg/ml、100μl/ウェル)と37℃で2時間反応させた。定法に従ってHRP標識ストレプトアビジン(濃度10mU/mL;100μl/ウェル)を添加し、37℃で1時間反応させた後、TMB(HRPの基質)を添加し、15分間放置した。1N HClにて反応停止後、A450の吸光度を測定した。各反応工程の間は、TBS−Tween(0.02% Tween−20)にて5回洗浄した。結果を、図16に示す。
図16から明らかなように、Re−CTLDの認識能は、可溶性CTLDに比較して遜色が無いことが実証された。
(実施例8:RAGE様ポリペプチドのリフォールディング)
(1)RAGE様ポリペプチドのリフォールディング
実施例6に示されるように、RAGE様ポリペプチドは、ほとんどが封入体として発現されるので、発現宿主をBL21(DE3)とし、100%近くを封入体として発現させた後、サイクロアミロースの包接能を活用しリフォールディングさせた。これにより、20mg/L程度の変異受容体を得ることが可能になった。
上記で得られたBL21(DE3)を、以下のように培養した。培養は、LB培地を基本とし、アンピシリン(50μg/ml)、クロラムフェニコール(34μg/ml)を添加した(いずれも最終濃度)。StreptagIIを付加したポリペプチドを発現させる場合、LB培地にアンピシリン(50μg/ml)を添加した。前培養は、37℃で12時間培養することによって行った。
本培養は、上記に示される前培養液を20倍希釈になるように添加し、37℃で旋回培養した。培養液の濁度(A600)が約0.5に達したときに、1mM(最終濃度)IPTGを添加し、目的タンパク質の発現を誘導した。AviTag付加ポリペプチドを発現させる場合は、誘導開始と同時に50μM(最終濃度)のビオチンを添加し、発現タンパク質のビオチンも同時に行わせた。誘導開始後4時間後に12,000rpm×5分の遠心分離で菌体を回収し、TBSにて洗浄した。
次いで、TBSに懸濁した菌体を超音波破砕機にて破砕後、細胞破砕液の沈殿画分をTBSで洗浄し封入体とした。封入体を最終濃度40mMのDTTを含む6Mのグアニジン塩酸塩溶液で室温にて1時間処理し、間違った構造を完全に解きほぐした。続いて、70倍容量の4種類の界面活性剤溶液(0.1% CTAB、SB3−14、Tween 40、Tween 60、いずれも最終濃度で2mMのDL−cystineを含むTBS溶液)を添加し、室温で1時間反応させた後、最終濃度で0.6%になるように、それぞれに3%CA溶液を加え、さらに室温で1時間反応させた。その反応溶液を、15,000rpmで5分間遠心分離し、得られた上清を、リフォールディング溶液とした。RAGE様ポリペプチドは、4種類の界面活性剤(CTAB、SB3−14、Tween40、およびTween60)いずれによっても効率的にリフォールディングされた(図15)。精製はHisタグを活用したNi−Agarose精製、またはビオチン、StrepTagを利用して、実施例6に示される可溶性ポリペプチドの精製と同様に精製できた。以下の表4に、CTABを用いた場合の結果を示す。
(実施例9:CTLD様ポリペプチドによる変性LDLの検出と、市販の抗体による変性LDLの検出との比較)
ヒト血漿中の動脈硬化危険因子である変性LDLの測定手法は、疾病の早期診断、機能性食品の予防効果評価、生活改善や投薬による治療効果の評価など様々な分野での活用が期待されている。しかし、変性LDLは分子の修飾構造が一定ではなく、意味のある分子種が明確でないためにモノクローナル抗体による変性LDLの検出は、必ずしも正確であるとは言えなかった。一方で、LOX−1は、幅広い分子種の変性LDLを認識可能な曖昧さがありながら、変性を受けたLDLには鋭敏に反応する可能性が高い。そこで、簡便かつ汎用性が高いELISAシステムにおいて、抗体に代わる分子として受容体認識能を活用可能か検討した。
(1)リガンドの調製
リガンドとして、以下のものを使用した:LDL(変性を受けていない正常なLDL(ネガティブコントロール。ヒト血漿より調製、またはMolecular Probe,USAより購入);完全酸化LDL(銅酸化法により調製);部分酸化LDL(銅酸化法により調製);マロンジアルデヒド化LDL(MDA−LDL(酸化ストレスの指標)。MDA修飾により調製)。
酸化LDLを、以下のように調製した。調製に際して、可能なものはすべて滅菌し、可能な限り無菌的に操作した。
完全酸化LDLに関しては、LDLを、必要な場合、酸化する前に予め透析して、EDTAを完全に取り除いた。このEDTA非含有LDLを、EDTA非含有PBS(以下、(−)PBSという)で1mg/mL濃度の溶液にし、その溶液に、最終濃度が5μMになるようにCuSO4を添加した。次いで、この溶液を、37℃で20時間インキュベートし、その後、50μM ブチル化ヒドロキシトルエンまたは1mM EDTA(最終濃度)を添加して、酸化を停止した。この溶液を、Tris−EDTA(50mM Tris−HCl,pH7.4、150mM NaCl、0.05%EDTA)またはPBS(−)(1mM KH2PO4、10mM Na2HPO4、137 mM NaCl、2.7mM KCl、pH 7.4)に対して透析した。得られた完全酸化LDL含有溶液を濾過滅菌し、その濾液に0.02% NaN3(最終濃度)を添加し、使用時まで4℃で保存した。
部分酸化LDLに関しては、同様に、EDTA非含有LDLを、EDTA非含有PBS(以下、(−)PBSという)で2mg/mL濃度の溶液にし、その溶液に、最終濃度が2μMになるようにCuSO4を添加した。次いで、この溶液を、37℃で4時間インキュベートし、その後、50μM ブチル化ヒドロキシトルエンまたは1mM EDTA(最終濃度)を添加して、酸化を停止した。この溶液を、Tris−EDTA(50mM Tris−HCl,pH7.4、150mM NaCl、0.05%EDTA)またはPBS(−)に対して透析した。得られた部分酸化LDL含有溶液を濾過滅菌し、その濾液に0.02% NaN3(最終濃度)を添加し、使用時まで4℃で保存した。
MDA−LDLを以下のように調製した。0.165mLのマロンアルデヒドビス(ジメチルアセタール)(Aldrich,USA)の急速酸加水分解(0.2mLの12M
HCl)により、マロンジアルデヒドを室温で生成し、4.8mLの0.1M リン酸緩衝液(pH6.4)をこの溶液に添加し、10M NaOHでpHを6.4に調節した。EDTA非含有LDLを、0.01M リン酸ナトリウム/0.15M NaCl/0.01% EDTA、pH7.4(緩衝液A)中の等量のタンパク質(5〜10mg/mL)と、0.1M リン酸ナトリウム(pH6.4)中の新たに調製した0.2M マロンジアルデヒドとを混合し、この混合物を37℃で3時間インキュベートすることによって修飾した。この混合物を緩衝液Aに対して、4℃で16時間透析することにより、反応を停止した。MDA−LDL含有溶液を濾過滅菌し、その濾液に0.02% NaN3(最終濃度)を添加し、使用時まで4℃で保存した。
(2)CTLD様ポリペプチドによる変性LDLの検出と、市販の抗体による変性LDLの検出との比較
96穴プレート(Nunc)に、LDLおよび上記のように調製した各リガンドを、0.1μg/ml、1μg/ml、10μg/mlにTBSで希釈した後、100μl/ウェルずつ分注し、4℃で一晩放置した。TBSでプレートを洗浄し、2%スキムミルク/TBSにて1時間ブロッキングおよびTBSで洗浄した後、5μg/mlに希釈した各受容体(ネイティブCTLD、ネイティブCTLD14、PR−CTLDおよびPR−CTLD14)溶液100μlを添加し、2時間室温で放置した。TBSにて十分に洗浄した後、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)標識ストレプトアビジン(Roche,Germany)の100,000×希釈溶液を100μl/ウェルで添加し、さらに室温で1時間放置した。TBSにて十分に洗浄後、HRPの発色基質である3,3’,5,5’
テトラメチルベンジジン(TMB(Sigma−Aldrich,USA)を50μl/ウェルで添加し、発色を確認後に反応停止液として1N HClを50μl/ウェルで加え、A450における吸光度を測定した。比較対照として、市販の抗酸化LDLウサギポリクローナル抗体(Novus Biologicals,USA)、抗MDA−LDLマウスモノクローナル抗体(Antibody shop,Denmark)を、CTLD様ポリペプチドの代わりに使用した。抗体使用時は、HRP−ストレプトアビジンの代わりに、HRP標識2次抗体を使用した。
その結果、PR−CTLDおよびPR−CTLD14はともに、1μg/mlの濃度(ウェル当たりでは、100ng)の濃度の完全酸化LDL、部分酸化LDL、MDA−LDLを十分認識可能なことが示された。未変性のLDLとも反応はするが、10μg/mL(well当たりでは1μg)と検出感度が低かった。また、目的タンパク質の変性LDL認識能は、以下の表5に示されるように、プロテアーゼ耐性変異を導入していないネイティブCTLD、ネイティブCTLD14と比較しても、何ら遜色が無いことが示された。
さらに、市販の抗酸化LDL抗体、抗MDA−LDL抗体は、以下の表6に示されるように、未変性LDLとも反応する上、酸化LDL、MDA−LDLへの特異性が特別高くないことが明らかになった。
これらの結果から、PR−CTLD、PR−CTLD14は、ELISAにおける抗体に代わる変性LDL検出系として十分に機能し得ることが示された。
総変性LDLを捕捉した後、総変性LDLに占める各種変性LDL分子種の検出への可能性を明らかにする目的で、サンドイッチELISAシステムにおけるPR−CTLDの有効性を検討した。
96穴のプレートに5μg/mlの濃度にTBSにて希釈した受容体(PR−CTLDおよびPR−CTLD14)溶液を、100μl/ウェルで添加した。4℃で一晩放置した後、2% スキムミルク溶液で1時間ブロッキングおよびTBSでの洗浄後、LDL、完全酸化LDL、部分酸化LDL、MDA−LDLの各リガンドを添加し、室温で2時間反応させた。TBSにて十分に洗浄した後、抗酸化LDL抗体、または抗MDA−LDL抗体と反応させ、TBSで十分に洗浄し、次いで、HRP標識2次抗体と反応させ、TBSで十分に洗浄した。この96穴プレートに、TMBを基質として添加し、上記のようにA450の吸光度を測定した。上記で説明したように、使用した抗体の特異性が低いために、完全なタイプ分けには至らなかったが、各種LDLを捕捉後、異なった特異性の抗体などの分子を使用することにより、最初の段階で捕えられた総変性LDLを分類可能なことが示された(表7)。
(3)Re−CTLDは、変性LDLを特異的に検出する
酸化LDLを検出するために、種々の抗体が使用されている。また、市販の酸化LDL測定用キット(サンドイッチELISA機構による)において二次抗体として抗ApoB抗体が使用されていることから、Re−CTLDと抗ApoB抗体とを組み合わせて、より実用的な酸化LDL検出系を作製することが考えられる。そこで、本実験においては、抗ApoB抗体を用いた新たな検出系が実現可能かどうかを調べるために、酸化されていないLDLに対する特異性を検討した。
96穴のプレートに15μg/mlの濃度にTBSにて希釈した受容体(PR−CTLD)溶液を、50μl/ウェルで添加した。4℃で一晩放置した後、1% BSA/0.02%Tween20含TBS溶液(300μl/ウェル)で一晩ブロッキングおよびTBSでの洗浄後、LDL、完全酸化LDL、部分酸化LDL、MDA−LDLの各リガンド(濃度0、0.01、0.04、0.1、0.2、0.4、0.8、1、2、4、8および10μg/mL)を100μl/ウェルで添加し、37℃で2時間反応させた。TBS-Tween(0.02% Tween20)にて十分に洗浄した後、HRP標識抗ApoB抗体と37℃で60分反応させ、TBS―Tweenで十分に洗浄した。この96穴プレートに、TMBを基質として添加し、上記のようにA450の吸光度を測定した。結果を図17に示す。この図から明らかなように、Re−CTLDは変性LDLを特異的に検出し、LDLに対する特異性は極めて低いことが実証された。
(実施例10:CTLD様ポリペプチドによる変性LDL含有溶液からの変性LDLの除去)
(1)人工の変性LDL含有溶液からの変性LDLの除去
溶液中に存在する変性LDLなどの除去にPR−CTLDなどが有効であるか明らかにする目的で、PR−CTLD等をビーズ上に固定化し、この固定化ビーズに変性LDLを結合させた。Mutein Matrix 10μl(50%スラリー)とビオチン化CTLDまたはビオチン化PR−CTLD(5μg/100μl TBS)を4℃で30分間反応させた。2,500rpm×5分間のスイングローターによる遠心分離でこのMatrixを回収後、冷TBSで繰り返し洗浄した。続いて、DiD標識変性LDLと5分間反応させた後、このMatrixと上清を回収した。コントロールとして、CTLDを結合させていないMutein Matrix 10μl(50%スラリー)のみを添加した実験区を設けた。回収した上清(100μl)を蛍光フリーのマイクロタイタープレートに分注し、マイクロタイタープレート対応の蛍光光度計(Molecular Device)により蛍光強度を測定した。その結果、CTLDもしくはPR−CTLDを結合したMatrixと反応させた上清からは蛍光がほとんど検出できず、CTLDおよびPR−CTLDにより変性LDLが溶液中から完全に除去されたことが示された。
上記の結果から、表8に示すように、固相上に固定化されたCTLDおよびPR−CTLDは、変性LDLを結合し、このことによって溶液中から除去可能なことが示された。
(2)変性LDL含有血漿モデルからの変性LDLの除去
Ni−agaroseビーズ 20μl(50%スラリー)とRe−PR−CTLD(5μg/100μl TBS)を4℃で30分間反応させた。2500rpm×5分間のスイングローターによる遠心分離でこのビーズを回収後、冷TBSで繰り返し洗浄した。
大過剰の酸化LDLを添加した血漿中(120μl)にRe−PR−CTLDを固定化したNi−agaroseビーズ 20μl(50%スラリー)を添加し、30分間4℃で反応させた後、遠心(2,800rpm×5分間)し、上清に回収される血漿中の酸化LDL濃度を、上記実施例9(3)で用いたCTLD−抗ApoB抗体によるサンドイッチELISA法により測定し、含有酸化LDL除去効率を求めた。結果を図18に示す。
Re−PR−CTLD固定化ビーズにより、10μg/ml程度までの酸化LDLであれば、変性LDL含有血漿モデルから酸化LDLを86%回収可能なことが確認された。100μg/mlという異常な高濃度を含有するモデル血漿においても、含有変性LDLのうちの50%以上は回収可能であった。
(実施例11:RAGE様ポリペプチドによるAGEの検出)
ヒト血液、尿中などのAGEの測定手法は、糖尿病性血管障害の早期診断、機能性食品の予防効果評価、生活改善や投薬による治療効果の評価など様々な分野での活用が期待される。しかし、AGEは分子の修飾構造が一定ではなく、バイオマーカーとして意味のある分子種が明確でないなど、モノクローナル抗体やHPLCなどによるAGEの定量的検出は、必ずしも正確であるとは言えなかった。一方でRAGEは幅広い分子種のAGEを認識可能なマルチリガンドレセプターであり、生体内のAGEを鋭敏に検出する可能性が高い。そこで、広く様々な分野で活用されており汎用性が高いELISAシステムにおいて、受容体認識能を活用可能か検討した。
(1)リガンドの調製
リガンドとして、以下のものを使用した:cBSA(糖化処理をしていないBSA,ネガティブコントロールとして使用);R−AGE(リボースにより糖化処理をしたBSA)、F−AGE(フルクトースにより処理をしたBSA);G−AGE(グルコースにより糖化処理をしたBSA)。
糖化BSAを、以下のように調製した。調製に際して、可能なものはすべて滅菌し、可能な限り無菌的に操作した。
エタノールで洗浄したスパチュラを使用して、各糖(グルコース 4.51g、フルクトース 4.51gおよびリボース 3.75g)を秤量して、滅菌したキャップ付きプラスチックチューブ中に入れた。各プラスチックチューブに、20mLの滅菌1M リン酸ナトリウム緩衝液(pH7.4)を無菌的に添加し、穏やかに転倒混和することによってその溶液を混合した。最後に21mLのエンドトキシンフリーの蒸留水を添加した。各成文の最終濃度は、400mM リン酸ナトリウム緩衝液(pH7.4)中、50mg/mL BSA、500mM グルコース(Glu500 BSA)、500mM フルクトース(Fru500 BSA)、500mM リボース(Rib500 BSA)であった。Millipore Express 0.22μmフィルタ(Millipore)を使用して濾過滅菌した後、これらの糖−BSA溶液を、最大12週間、遮光して37℃でインキュベートした。1週間に1回、無菌条件下で、チューブをアルコールに浸したペーパータオルで拭いてからキャップを開け、各糖−BSA調製物を80μl取り出し、3.5mmマイクロプローブを備えたpHメーターでpHをモニターした。各糖−BSA溶液のpHを、10N 水酸化ナトリウム溶液(エンドトキシンフリー)で7.4に調節した。1週間に1回pHを調節した後、5〜10mLずつ分注して、分析に供するまで−80℃で保存した。未反応の糖を除去することによってこの反応を停止するために、分注したものをすべて解凍して透析チューブに入れ、オートクレーブ処理したビーカー中で滅菌PBSに対して完全に透析した。透析チューブから糖−BSA溶液を取り出す前に、チューブの開口部を70%エタノールで滅菌した。取り出した糖−BSA溶液を、滅菌チューブに入れ、使用時まで4℃で保存した。
(2)RAGE様ポリペプチドによるAGEの検出
sRAGE、mRAGE、RAGE1〜RAGE8については、96穴プレート(Nunc)に、BSAおよび上記のように調製した各リガンドを、TBSにて0.1μg/ml、1μg/ml、5μg/ml、10μg/mlにTBSにて希釈した後、100μl/ウェルずつ分注し、4℃で一晩放置した。Protein−Freeブロッキング剤(Pierce,USA)により1時間ブロッキングおよびTBSで洗浄した後、5μg/mlに希釈した受容体(sRAGE、mRAGE、RAGE1〜RAGE8)溶液を100μlを添加し、2時間室温で放置した。
RAGE143、RAGE223およびRAGE226については、96穴プレート(Nunc)に、BSAおよび上記のように調製した各リガンドを、TBSにて0、0.01、0.04、0.1、0.2、0.4、0.8、1、2、4、8および10μg/mLに希釈した後、100μl/ウェルずつ分注し、4℃で一晩放置した。Protein−Freeブロッキング剤(Pierce,USA)により1時間ブロッキングおよびTBSで洗浄した後、5μg/mlに希釈した各RAGE様ポリペプチド溶液を100μlを添加し、2時間室温で放置した。
上記のように処置した各96穴プレートをTBSにて十分に洗浄した後、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)標識ストレプトアビジン(Roche,Germany)の100,000×希釈溶液を100μl/ウェルで添加し、さらに室温で1時間放置した。TBSにて十分に洗浄後、HRPの発色基質である3,3’,5,5’ テトラメチルベンジジン(TMB(Sigma−Aldrich,USA)を50μl/ウェルで添加し、発色を確認後に反応停止液として1N HClを50μl/ウェルで加え、A450における吸光度を測定した。比較対照として、市販の抗AGE抗体(Trans Genic Inc.,USA)、抗ペントシジン抗体(Trans Genic Inc.,USA)を各RAGE様ポリペプチドの代わりに使用した。抗体使用時は、HRP−ストレプトアビジンの代わりに、HRP標識2次抗体を使用した。
その結果、4箇所に変異を導入したmRAGE1にも天然型のRAGEに遜色がない認識能が確認された。さらに、可溶性ポリペプチドとして調製可能であったRAGE2、RAGE3、およびRAGE7も認識能を有していた。RAGE143、RAGE223およびRAGE226もまた、AGE認識能を有していた。mRAGE1については、0.1〜10μg/mlの範囲において非常に検出感度が高かったために、さらに低い濃度(0、0.001、0.004、0.01、0.02、0.04、0.08、0.1、0.2、0.4、0.8および1μg/ml)(TBS希釈))でも実験を行ったところ、非常に微量のリガンドを認識できることが分かった(図19A)。
以下の表9は、可溶性ポリペプチドとして発現されるRAGE様ポリペプチドについての結果を示す。いずれもネガティブコントロールであるcBSAはほとんど認識せず、特異性が強いことが示された。いずれのRAGEでも反応のバックグランドが高いという難点はあるが、検出感度もよく、0.1μg/ml(ウェル当たりでは10ng)でも十分に検出可能であり、また、生体内における反応性 R−AGE > F−AGE > G−AGEと一致した反応の強度を示した。また、バックグラウンドが高く、リガンドごとに値が異なるため、各実験においてリガンドを添加しなかった場合のA450もまた表中に示した。mRAGE、RAGE143、RAGE223およびRAGE226については、その検出感度をそれぞれ、図19A〜Dにグラフに示す。RAGE143は、C1ドメイン、C2ドメインを欠いているにも関わらず、RAGE1と同等の認識特性を示し、認識能も大差は無かった。RAGE223およびRAGE226は、C2ドメインを欠いているにも関わらず、RAGE1と同等の認識特性を示し、認識能にも遜色が無かった。
さらに、市販の抗AGE抗体も検出に使用可能であったが、検出感度はRAGEの方が高かった。抗ペントシジン抗体は、いずれのタイプのAGEとの反応も確認できず、ELISA系への適用は難しいことが示された。
総AGEを捕捉した後、総AGEに占める各種AGE分子種の検出への可能性を明らかにする目的で、サンドイッチELISAシステムにおけるRAGE様ポリペプチドの有効性を検討した。
96穴のプレートに5μg/mlの濃度にTBSにて希釈した受容体(各RAGE様ポリペプチド)溶液を100μl/ウェルで添加した。4℃で一晩放置した後、Proetin−Freeブロッキング剤で1時間ブロッキングおよびTBSでの洗浄後、C−BSA、R−BSA、F−BSA、G−BSAの各AGEを添加し、室温で2時間反応させた。TBSにて十分に洗浄し、抗AGE抗体と反応させ、TBSで十分に洗浄し、次いで、HRP標識2次抗体と反応させ、TBSで十分に洗浄した。この96穴プレートに、TMBを基質とて添加し、上記のようにA450の吸光度を測定した。上記で説明したように、使用した抗体の特異性が低いために、完全なタイプ分けには至らなかったが、各種AGEを捕捉後、異なった特異性の抗体などの分子を使用することにより、最初の段階で捕えられた総AGEを分類可能なことが示された(表10)。
(3)RAGE143、RAGE223およびRAGE226によるAGEの検出および認識能の比較
上記(2)と同様に、RAGE143、RAGE223およびRAGE226によるAGE(cBSA、R−AGE、F−AGEおよびG−AGE)の検出を行った。その結果をそれぞれ図20A〜Dに示す。これら図から明らかなように、RAGE143、RAGE223およびRAGE226はいずれも、RAGE1と同等の認識特性を示し、認識能にも遜色が無いことが実証された。
(4)RAGE143、RAGE223およびRAGE226によるヘモグロビンA1cの検出
ヘモグロビンA1c(HbA1c)はアマドリ転移化合物であるが、AGEに包含され、血糖コントロールの指標として用いられている。そこで、RAGE143、RAGE223およびRAGE226の各分子が、ヘモグロビンA1cを特異的に検出するか否かを決定した。
HbA1c(KAMIYA BIOMEDICAL CAMPANY,USA、 KAI−098C)をプレート上に固定し、上記(2)のAGE検出の場合と同様にして、RAGE143、RAGE223およびRAGE226で検出した。結果を図21に示す。各RAGE様分子によりHbA1cが検出可能なことが示された。
(5)RAGE様ポリペプチドと種々の抗体によるAGEの検出
AGEの構造は、変性LDL以上に多様であるため、AGEを定量可能な優れた抗体および特定の構造のAGE分子種を識別可能な特異性の高い抗体に関する報告は少なく、AGE分子種の定量と各分子の識別の両方を可能にするパネル開発は、酸化LDL分子種に関するパネル開発以上に困難である。従って、現時点で実現可能なAGE様分子種の定量および各分子種の識別を可能にするパネルを作製するために、サンドイッチELISAを行い、多様な構造のAGE様分子種の定量および各分子種の識別を可能にするパネル作製を試みた。
(a)抗HbA1c抗体;
RAGE143、RAGE223およびRAGE226をプレート上に固定化し、抗HbA1cマウスモノクローナル抗体(EXOCELL,INC,USA、 E85A)でサンドイッチELISAを行った。一般的な検出工程は、上記(2)と同様である。ただし、抗HbA1c抗体は、HRP標識がなされていないため、二次抗体として、HRP標識抗マウスIgG抗体を用いて検出した。
結果を図22に示す。RAGE143、RAGE223およびRAGE226のいずれもHbA1cを濃度依存的に検出可能なことが実証された。
(b)抗AGE抗体;
RAGE143、RAGE223およびRAGE226をプレート上に固定化し、抗AGEマウスモノクローナル抗体(TransGenic Inc.,日本 6D12)でサンドイッチELISAを行った。一般的な検出工程は、上記(2)と同様である。ただし、抗AGE抗体は、HRP標識がなされていないため、二次抗体として、HRP標識抗マウスIgG抗体を用いて検出した。
結果を図23Aおよび図23Bに示す。RAGE143、RAGE223およびRAGE226のいずれも、cBSAに対してはほとんど反応せず、R−AGEに対して高い反応性を有することが実証された。
(実施例12:RAGE様ポリペプチドによるAGE含有溶液からのAGEの除去)
溶液中に存在するAGEなどの除去にmRAGE1などが有効であるか明らかにする目的で、RAGE様ポリペプチドをビーズ上に固定化し、この固定化ビーズにAGE(R−BSA)を結合させた。Mutein Matrixと10μl(50% スラリー)とビオチン化ネイティブRAGEまたはビオチン化mRAGE1(5μg/100μl TBS)を4℃で30分間反応させた。2,500rpm×5分間のスイングローターによる遠心分離でこのMatrixを回収後、冷TBSにて繰り返し洗浄した。続いて、Alexa633標識R−BSAと5分間反応させた後、Matrixと上清を回収した。コントロールとしてRAGEもmRAGE1も結合させていないMutein Matrix 10μl(50% スラリー)のみを添加した実験区を設けた。回収した上清(100μl)を蛍光フリーのマイクロタイタープレートに分注し、マイクロタイタープレート対応の蛍光光度計(Molecular Device)により蛍光強度を測定した。その結果、RAGEもしくはmRAGEを結合したMatrixと反応させた上清からは蛍光がほとんど検出できず、RAGEおよびmRAGEによりAGE溶液中から完全に除去されたことが示された(表11)。
(実施例13:リフォールディングされたCTLD様ポリペプチドまたはRAGE様ポリペプチドによる変性LDLまたはAGEの検出)
(1)Re−CTLD様ポリペプチドによる変性LDLの検出
上記実施例7において作製したリフォールディングした分子も可溶性ポリペプチドと同様に、変性LDLを検出できるか否かを確認した。検出方法は、上記実施例9に記載されるとおりである。予備試験の結果、CTLD様ポリペプチドおよびリフォールディングしたCTLD様ポリペプチドの場合は、全てTBSを使用した。
結論として、リフォールディングされたCTLD様ポリペプチドは、可溶性CTLD様ポリペプチドと何ら遜色のない反応性を示した(表12)。さらにリフォールディングにより得られた分子には、リフォールディング過程で使用した界面活性剤が結合している。そのため、その物性が可溶性ポリペプチドとして発現した受容体と異なっていた。その特徴は、ELISAの結果から観察された。
リフォールディングに使用した界面活性剤のELISAへの影響をCTLDの場合、CTAB,SB3−14に関して検討した(表14)。可溶化にはSB3−14も有効であったが、ELISAの結果からCTABによるリフォールディングが検出系としては有効であることが示された。
表12の結果から明らかなように、Re−CTLDおよびRe−CTLD14の種々の変性LDLに対する特異性は非常に高いので、さらに低い濃度(0、0.005、0.01、0.02、0.04、0.08、0.1、0.2、0.4、0.8、1、1.5μg/ml)の各変性LDLを調製して、基本的には実施例7(2)に記載されるように検出を行った。測定は、通常使用されるマイクロプレートリーダーを用いて行った。結果をそれぞれ、図24Aおよび24Bに示す。
これら図から明らかなように、Re−CTLDおよびRe−CTLD14は、完全酸化LDL、部分酸化LDL、マロンジアルデヒド化LDLなど、代表的な変性LDLをプレート上で認識可能であることが確認された。また測定は、通常のマイクロプレートリーダーで行えるため、実験室、病院、その他医療検査機関において容易に行うことができる。
Re−CTLD14については、リフォールディング直後では、Re−CTLDより感度が高かったが、数週間以上の冷蔵保存時には沈殿が生じ、活性が低下したが、リフォールディング直後に固相上で乾燥させた場合には、安定であると考えられる。
(2)Re−ビオチン化CTLDおよび/またはRe−ビオチン化なしCTLDと、種々の抗体とによる変性LDLの検出
(I)材料および方法
本実施例において使用する抗体のうち、(a)〜(c)については、従来からLDLの生体内修飾に伴って生じると報告がある変性LDLの成分(もしくは変性LDL自体)に結合する抗体である。(d)〜(h)については、最近、LDLの生体内修飾に伴って生じると報告がある変性LDLの成分に結合する抗体である。「動脈硬化症」というグループに属するとしても、脳血管系の動脈硬化症と心臓血管系の動脈硬化症では、生じる変性LDLの種類が異なるとの報告もあり、CTLDと各成分に特異的な抗体とを組み合わせることで、多様な変性LDL分子種の検出および定量を可能にするパネルが作製可能であると考えられる。この可能性を探るための基礎として、本実施例を行った。
本実施例では、具体的には、全てサンドイッチELISAを用いて各変性LDL(完全酸化LDL、部分酸化LDL、MDA−LDL)を検出した。Re−CTLD(15μg/ml、50μl/ウェル)をプレートに分注後、4℃で一晩放置した。ビオチン化されている場合には、予めストレプトアビジンを固定化したプレートを準備し、ストレプトアビジンを介して方向性を維持して固定した。その後、1%BSA/0.02%Tween20含TBS(300μl/ウェル)を加え、4℃で1晩ブロッキングした。各変性LDL(濃度:0、0.01、0.04、0.1、0.2、0.4、0.8、1、2、4、8、10μg/mL)を、100μl/ウェル添加し、37℃で反応後、以下に示す各抗体(100μl/ウェル)と反応させた後、最終的にはHRP−TMBによる発色で認識能を検出した。各反応の間は、TBS―Tweenで5回洗浄した。
(II)結果
(a)抗ApoB抗体による検出
現在報告のある酸化LDL検出用ELISAは、検出に抗ApoB抗体を使用するのが一般的であるので、本実験では、各酸化LDLを検出するために、HRP標識抗ApoBウサギポリクローナル抗体(GeneTex,Inc.(USA), GTX40047)とRe−ビオチン化なしCTLDまたはRe−ビオチン化CTLDと組み合わせて使用した。
結果をそれぞれ図25A〜Bに示す。これら図から明らかなように、Re−ビオチン化なしCTLDまたはRe−ビオチン化CTLDと抗ApoBとの組み合わせは、変性LDLを高感度で検出できることが示された。しかし、抗ApoB抗体を用いた場合、変性LDL内のApoBも脂質同様に酸化などの修飾を受けている可能性が高く、抗ApoB抗体による検出が最適であるかは疑問がある。従って、抗ApoB抗体以外にも、さらに種々の変性LDLの成分に結合する抗体を用いて、Re−CTLDとの併用によって、変性LDLを高感度で検出し得るか否かを確認した。
(b)抗酸化LDL(抗OxLDL)抗体による検出
抗OxLDL抗体を用いたサンドイッチELISA(ビオチン化なしのCTLD)
上記実施例9(2)に示されるように、抗OxLDL抗体の変性LDL認識特異性は低い。抗酸化LDL抗体を用いた競合ELISA系も販売されてはいる(MercodiaOxidizedLDLCompetiticeELISA, Mercodia(Sweden))が、このキットも含めて、抗酸化LDL抗体の特異性は高くない。しかし、優れた抗体が得られれば、抗ApoB抗体に代わる検出系となり得る。そこで、本実験では、比較的特性の高い抗体として、抗OxLDLウサギポリクローナル抗体(NOVUS Biologicals,Inc(USA), NB600−1332)を選択し、このポリクローナル抗体とRe−ビオチン化なしCTLDまたはRe−ビオチン化CTLDとを組み合わせて使用し、二次抗体としてHRP標識抗ウサギIgG抗体とさらに37℃で1時間反応させることによって、変性LDLの認識を検出した。
結果を図26A〜Bに示す。これら図から明らかなように、Re−CTLDと上記抗OxLDLウサギポリクローナル抗体との組み合わせは、変性LDLを高感度で検出できることが示された。
(c)抗MDA−LDL抗体による検出
抗MDA−LDL抗体は市販されており、この抗体の特異性は高いと報告されている。そこで、本実験では、市販の抗MDA−LDLマウスモノクローナル抗体(ANTIBODY SHOP(Denmark)、 HYB262)とRe−ビオチン化なしCTLDまたはRe−ビオチン化CTLDとを組み合わせて使用し、二次抗体としてHRP標識抗マウスIgG抗体とさらに37℃で1時間反応させることによって、変性LDLの認識を検出した。
結果を図27A〜Bに示す。これら図から明らかなように、Re−CTLDと抗MDA−LDLマウスモノクローナル抗体との組み合わせは、MDA−LDLのみを極めて特異的に検出できることが示された。
(d)抗アクロレイン(ACR)抗体による検出
アクロレイン(ACR)は、脂質の過酸化反応により生成し、動脈硬化巣における存在が確認されている。そこで、市販の抗アクロレインマウスモノクローナル抗体(日油株式会社、日本)とRe−ビオチン化CTLDとを組み合わせて使用し、二次抗体としてHRP標識抗マウスIgG抗体とさらに37℃で1時間反応させることによって、変性LDLの認識を検出した。
結果を図28に示す。抗ACRモノクローナル抗体との組み合わせは、MDA−LDLを顕著に検出することが実証された。
(e)抗クロトンアルデヒド(CRA)抗体による検出
クロトンアルデヒド(CRA)は、生体内の脂質の酸化反応などにより生じることが報告された。そこで市販の抗CRAマウスモノクローナル抗体(日油株式会社、日本)とRe−ビオチン化CTLDとを組み合わせて使用し、二次抗体としてHRP標識抗マウスIgG抗体とさらに37℃で1時間反応させることによって、変性LDLの認識を検出した。
結果を図29に示す。抗ACRモノクローナル抗体との組み合わせは、酸化LDLおよびMDA−LDLを顕著に検出することが実証された。
(f)抗マロンジアルデヒド(MDL)抗体による検出
マロンジアルデヒド(MDA)は、脂質の酸化により生じる。本実施例13(2)(c)の抗MDA−LDL抗体は、MDA−LDL(すなわちMDA化LDL)に結合する抗体であるが、本実験において使用する抗MDAモノクローナル抗体は、MDAがタンパク質のリジン残基と反応して生じるジヒドロピリジン−リジン誘導体(DHP−Lys)に高い反応性を示す抗体である。そこで市販の抗MDAマウスモノクローナル抗体(日油株式会社、日本)とRe−ビオチン化CTLDとを組み合わせて使用し、二次抗体としてHRP標識抗マウスIgG抗体とさらに37℃で1時間反応させることによって、変性LDLの認識を検出した。
結果を図30に示す。抗MDAモノクローナル抗体との組み合わせは、MDA−LDLを顕著に検出することが実証された。
(g)抗4−ヒドロキシノネナール(HNE)抗体による検出;
不飽和脂肪酸が酸化ストレスを受けて生成する酸化二次生成物である4−ヒドロキシノ−2−ノネナール(HEN)は、タンパク質のLys、Cys、Hisのアミノ基と比較的安定な反応物(マイケル付加化合物)を形成し、抗HNEモノクローナル抗体は、この反応物を認識する。そこで、市販の抗HNEマウスモノクローナル抗体(日油株式会社、日本)とRe−ビオチン化CTLDとを組み合わせて使用し、二次抗体としてHRP標識抗マウスIgG抗体とさらに37℃で1時間反応させることによって、変性LDLの認識を検出した。
結果を図31に示す。抗HNEモノクローナル抗体との組み合わせは、MDA−LDLおよび酸化LDLを顕著に検出することが実証された。
(h)抗ヘキサノイルリジン(HEL)抗体による検出;
脂質の過酸化による生じる4−ヘキサノールは、Lysと反応して、ヘキサノイル−Lysを形成する。抗HELモノクローナル抗体は、このヘキサノイル−Lysを認識する。そこで、市販の抗HELマウスモノクローナル抗体(日研ザイル株(日本)、日本老化制御研究所)とRe−ビオチン化CTLDとを組み合わせて使用し、二次抗体としてHRP標識抗マウスIgG抗体とさらに37℃で1時間反応させることによって、変性LDLの認識を検出した。
結果を図32に示す。抗HELモノクローナル抗体との組み合わせは、MDA−LDLおよび酸化LDLを顕著に検出することが実証された。
(3)市販の酸化LDL測定キットとの比較
本実施例においては、市販のキットとして、協和メデックス社(日本、東京)製の酸化LDL測定試薬「MX」を使用した。このキットでは、抗酸化ホスファチジルコリン(PC)マウス抗体がプレート上に固定化されており、HRP標識抗ヒトApoBヤギ抗体とのサンドイッチELISAにより酸化LDLを検出する。このキットにおいて使用されている抗酸化PC抗体部分を可溶性PR−CTLD、Re−PR−CTLD(ビオチン化の有りおよびなし両者)に置き換えて、上記抗ApoB抗体と本発明のRe−CTLDとを用いたサンドイッチELISAを作製して、市販のキットと比較し、本発明のRe−CTLDの変性LDLに対する特異性を確認した。
結果を図33に示す。この図から明らかなように、抗PC抗体を本発明のPR−CTLDで置き換えても、上記キットと同様の感度で変性LDLを検出可能なことが実証された。よって、本発明のPR−CTLDは、大腸菌のような細菌で大量かつ安価に製造できるため、PR−CTLDを用いるサンドイッチELISAの方が安定に供給できる。
(4)市販の抗MDA−LDL抗体を用いて作製した酸化LDL測定キットとの比較
本実施例においては、市販のキットにおいて使用される予定である抗MDA−LDL抗体と本発明のRe−CTLDとを用いたサンドイッチELISAを作製し、同じサンドイッチELISA機構を用いる発売予定のキットと比較して、本発明のRe−CTLDの変性LDLに対する特異性を確認した。。発売が予定されているキットでは、抗MDA−LDL抗体がプレート上に固定化されており、抗ApoB抗体とのサンドイッチELISAにより酸化LDL(特にMDA−LDL)を検出する。本発明のRe−CTLDを用いたサンドイッチELISAを行うにあたって、抗MDA−LDL抗体を固定化したプレートを作製し、以下の4つの系のサンドイッチELISAを設計した:
1.酸化LDL(Ox−LDL)と反応させた後、抗ApoB抗体で検出する系(市販のキットと同じ);
2.Ox−LDLと反応させた後、Re−PR−CTLD(ビオチン化)と反応させる系;
3.MDA−LDLと反応させた後、抗ApoB抗体で検出する系(市販のキットと同じ);
4.MDA−LDLと反応させた後、Re−PR−CTLD(ビオチン化)と反応させる系。
結果を図34に示す。抗ApoBモノクローナル抗体を使用した発売予定の系に準じた検出系(検出系1:菱形、検出系3:四角)の場合、高いOD値を与えるものの、酸化LDLとMDA−LDLの識別が極めて低かった。一方、CTLDを使用した検出系(検出系2:三角、検出系4:×)では、MDA−LDLに対する認識能が高く、MDA−LDLに特異的な検出系として優れていた。バックグランドが高いという欠点はあるが、低濃度範囲における認識能も高く、感度的にも優れていることが実証された。
(実施例14:Re−RAGE様ポリペプチドによるAGEの検出)
(1)Re−RAGE様ポリペプチドによるAGEの検出
上記実施例8において作製したリフォールディングしたRAGE様ポリペプチドも可溶性ポリペプチドと同様に、AGEを検出できるか否かを確認した。検出方法は、上記実施例11(2)に記載されるとおりである。予備試験の結果、Re−RAGE様ポリペプチドに限り、TBS−Tweenを使用した場合に安定して活性が検出されたので、本試験においては、ELISAにおける洗浄、希釈溶液は全てTBS−Tween(0.02%Tween20を含むTBS)を使用した。上記実施例において可溶性ポリペプチドとして発現したRAGE様ポリペプチドの場合は、TBSを使用した。
結論として、リフォールディングされたRAGE様ポリペプチド(Re−RAGE)は、可溶性RAGE様ポリペプチドと何ら遜色のない反応性を示した(表13)。さらリフォールディングにより得られた分子には、リフォールディング過程で使用した界面活性剤が結合している。そのため、その物性が可溶性ポリペプチドとして発現した受容体と異なっていた。その特徴は、ELISAの結果から観察された。ことにRAGEに顕著であるが、界面活性剤と結合したことで、バックグランド値の低下がもたらされ、測定のS/N比が上昇する結果となった(表13)。
さらに、可溶性ポリペプチドとしての取得が不可能であったRAGE8およびRAGE9に関しても認識能の検証が可能になった。その結果、RAGE8でも、AGEの検出に使用することができるが、V領域のみのRAGE9では、ほとんど認識能が確認されず、V領域のみでは十分に機能し得ないことが示された。
RAGEに関しては、RAGE7に関して4種類の界面活性剤の影響を検討した。CTAB以外に、Tween40,60の系もS/N比が向上しており使用可能であることが示された(表15)。使用する界面活性剤により、精製効率、検出系としての優位性、分子の安定性が異なることから、リフォールディング過程で目的分子と複合体を形成した界面活性剤が分子の特性に影響していることが示された。
さらに、Re−miniRAGEのリガンド認識能を詳細に比較した。リガンドとして、表13に示される濃度より低い濃度(0、0.01、0.04、0.1、0.2、0.4、0.8、1、2、4、8μg/mL)のコントロールBSA(c−BSA)、AGE(R−AGE、F−AGEおよびG−AGE)を調製し(実施例11(1)を参照のこと)、そして市販のCML−BSA(CycLex Co., Ltd(カタログ番号CY−R2054(長野、日本))およびHbA1cを(KAMIYA BIOMEDICAL CAMPANY,USA、 KAI−098C)を上記と同じ濃度に調製し、実施例11(2)に記載されるように検出を行った。測定は、通常使用されるマイクロプレートリーダーを用いて行った。結果を図35A〜C、図36A〜D、および図37A〜Bに示す。
図35A〜Cまたは表13から明らかなように、Re−RAGE 1,3,7は、可溶性RAGEと同様に、AGEを認識した。しかし、図36Aから明らかなように、Re−RAGE3についてはバックグラウンド値が高いものの、いずれのRe−RAGE様ポリペプチドも、cBSAを濃度依存的に検出しなかった。また、図36B〜Dから認められるように、Vドメインを欠くRAGE4はAGEに対する認識能を有しておらず、この事実から、Vドメインは、AGE認識に必須であると考えられる。図37A〜Bから明らかなように、Re−RAGE様ポリペプチドは、CML−BSAおよびHbA1cを認識することが示された。
(2)Re−RAGE143、223および226によるAGE(R−AGE)の検出および認識能の比較
Re−RAGE143、223および226と抗AGE抗体とを使用して実施例11(5)に記載されるようなサンドイッチELISAを行う以外は、上記実施例11(2)と同様に検出を行った。ただし、抗R−AGE抗体は、HRP標識がなされていないため、二次抗体として、HRP標識抗マウスIgG抗体を用いて検出した。
結果を図38A〜Bに示す。これら図から明らかなように、Re−RAGE143、223および226はいずれも、コントロールBSA(C−BSA)は殆ど認識せず(図38A)、R−AGEに対する特異的認識能が回復している(図38B)ことが実証された。
上記と同様に調製したプレートをクリーンベンチで1日乾燥させたものを使用して、同様にAGEに対する認識能を調べた。
結果を図38C〜Dに示す。これら図から明らかなように、Re−RAGE143、223および226はいずれも、安定してAGEを認識し、図38A〜Bに示されるのと同様に、コントロールBSA(C−BSA)は殆ど認識せず(図38C)、R−AGEに対する特異的認識能が回復している(図38D)ことが実証された。
(3)市販のAGE検出キットとの比較
本実施例においては、市販のCycLex社製のCircuLexTM CML/Nε−(carboxymethyl)lysine ELISAキット(カタログ番号CY−8066)を使用した。このキットでは、CML−HSAがプレート上に固定化されており、競合ELISAの原理に基づいてCML−HSA量を定量する。よって、CML−HSA量に対してA450は減少する。
この市販のキットを用いた競合ELISAを行う前に、カルボキシメチルリジンを結合したリガンド分子、CML−BSA(カタログ番号CY−R2052、CycLex Co.,Ltd製)およびCML−HSA(ヒト血清アルブミン)、ならびにCML化リジンと同様にAGEの一つとして知られるCEL(カルボキシエチル)化リジンを結合したリガンド分子、CEL−BSAおよびCEL−HSA(それぞれ、カタログ番号CY−R2054およびCY−R2067、CycLex Co.,Ltd製)を、種々の濃度(0、0.01、0.04、0.1、0.2、0.4、0.8、1、2、4、および8μg/mL)に調製してプレート上に固定し、miniRAGE(RAGE1、2、3、4、7、および8)でこれら分子に対する認識能を調べた。結果をそれぞれ図39A〜Dに示す。いずれのリガンド分子に関しても、RAGE1、3は、認識能が高かった。RAGE7でも認識は可能であった。また、miniRAGEは、CEL化分子よりもCML化分子に対する認識能が高かった。
第二に、上記キットと本発明のRe−RAGEとを比較するために、以下の実験を行った。この市販のキットを用いた競合ELISAについては、製造業者の説明書で推奨されるように行った。本発明のRe−RAGEを用いる実験については、その市販のキット中に含まれる抗CML付加物モノクローナル抗体KM−2A9をプレートに固定化し、この抗体に直接CML−HSAを認識させ、続いてビオチン化Re−RAGE1を反応させ、HRP標識ストレプトアビジン(実施例9(2)に示されるように調製)と反応させ、最終的にHRPの基質であるTMBを加え、発色を比色した。結果を図40に示す。市販のキットの方が吸光度の値としては高かった。しかし、本発明のRe−RAGEの場合、0.1μg/ml以下の領域でも検出可能である点など、感度的には遜色がなかった。
(実施例15:(Re−)RAGEは、変性LDLをも認識する)
(1)miniRAGEの変性LDLに対する認識能
RAGE1の変性LDLに対する認識能
AGEの代わりに変性LDLをリガンドとして使用して、RAGE様ポリペプチド(RAGE1)による変性LDLの検出を行った。各リガンド(完全酸化LDL、部分酸化LDL、MDA−LDL)を、0、0.001、0.004、0.01、0.02、0.04、0.08、0.1、0.2、0.4、0.8および1μg/mLの濃度でTBSで希釈した後プレート上に固定し、RAGE1で検出した。基本的な検出工程は、実施例9(2)と同様であった。結果を図41に示す。
RAGEはマルチリガンドレセプターであるものの、意外なことに、この図から明らかなように、酸化LDL、MDA−LDLなど、本来CTLDにより検出される変性LDL分子も効果的に認識可能であった。酸化LDLに対する特異性の高い優れた抗体が多くないという現状に鑑みれば、RAGE様ポリペプチドとCTLD様ポリペプチドとを組み合わせることにより、特異性の高いサンドイッチELISAを組むことの可能性が示された。
(2)Re−RAGEの変性LDLに対する認識能
本実験においては、Re−RAGE1〜9を使用した以外は、上記(1)と同様に、AGEの代わりに完全酸化LDLをリガンドとして、RAGE様ポリペプチドによる変性LDLの検出を行った。結果を図42に示す。この図から明らかなように、Re−RAGE1および3による完全酸化LDLの認識が高かった。Re−RAGE2および7は、Re−RGAE1および3には劣るが、認識能が認められた。よって、Re−RAGE143、223および226も、変性LDLに対する認識能を有し、変性LDLの検出用素子として機能すると考えられる。
(3)RAGE様ポリペプチドによる変性LDL含有血漿モデルからの変性LDLの除去
Ni−agaroseビーズ 20μl(50%スラリー)とRe−RAGE1(5μg/100μl TBS)を4℃で30分間反応させた。2500rpm×5分間のスイングローターによる遠心分離でこのビーズを回収後、冷TBS−Tweenで繰り返し洗浄した。
大過剰の酸化LDLを添加した血漿中(120μl)にRe−RAGE1を固定化したNi−agaroseビーズ 20μl(50%スラリー)を添加し、30分間4℃で反応させた後、遠心(2,800rpm×5分間)し、上清に回収される血漿中の酸化LDL濃度を、受容体がRe−RAGE1であることを除いて、上記実施例9(3)に記載されるようにRe−RAGE1−抗ApoB抗体によるサンドイッチELISA法により測定し、含有酸化LDL除去効率を求めた。結果を図43に示す。
Re−RAGE1固定化ビーズにより、20μg/ml程度までの酸化LDLであれば、変性LDL含有血漿モデルから酸化LDLを100%回収可能なことが確認された。100μg/mlという異常な高濃度を含有するモデル血漿においても、含有変性LDLのうちの80%以上は回収可能であった。
(4)RAGE様ポリペプチドとCTLD様ポリペプチドとの組み合わせによる変性LDLの検出
CTLDは変性LDLのみではなく、AGE認識能も有している。一方、RAGEはAGEのみではなく、変性LDL認識能を有している。そこで両者を組み合わせ、サンドイッチELISAによる検出系を組み立てた。
抗ApoB抗体の代わりにRe−RAGE様ポリペプチドを使用することを除いて、実施例9(3)に記載されるように、変性LDLの検出を行った。
Re−PR−CTLDをプレート上に固定化し、LDL、完全酸化LDL、cBSA、R−AGE(濃度0、0.01、0.04、0.1、0.2、0.4、0.8、1、2、4、8および10μg/mL)と反応させた。続いてRe−ビオチン化RAGE1(5μg/mL;100μl/ウェル)と反応させ、さらにHRP標識ストレプトアビジン(実施例9(2)に示されるように調製)と反応後、最終的には比色定量を行った。結果を図44に示す。
図から明らかなように、LDLに比して完全酸化LDLに対する認識が有意に高く、cBSAに比してR−AGEに対する認識能が有意に高かった。現時点では、バックグラウンド値が高いなどの問題はあるが、さらに条件を至適化することによって、バックグラウンド値の低い、より特異性の高い変性LDL検出系が開発可能であると考えられる。
(実施例16:Re−CTLDを固定化した基材の安定性および種々の抗体を用いた変性LDLの検出)
(1)Re−CTLD固定化ビーズの保存期間による変性LDL認識能の変化
検出用ビーズとしての安定性を検証する目的で、Re−CTLDをNi−Agaroseビーズに固定化したものを用いて、変性LDLが安定して検出できるか否かを調査した。
実施例10(2)に従って、Re−PR−CTLD固定化Ni−Agaroseビーズ(20μl×5;50%スラリー)を調製した。このように調製したビーズを4℃で保存した。上記5連で調製したビーズのうち1連を調製直後(0週間とする)に変性LDL検出のために使用して、検出安定性の基準とした。残りのビーズのうちの4連を、調製後1、2、4、6週間の間、4℃で保存し、保存期間による変性LDL検出の安定性の変化を測定した。変性LDL含有血漿モデルは、実施例7(2)に従って測定時に調製した。結果を図45に示す(0週間で測定した場合の結果を100%として示した)。
Re−CTLDは4℃で保存時に、数週間で一部が沈殿することがあるが、図から明らかなように、固相上へ固定すると分子の安定性が上昇し、6週間経過しても、変性LDL認識能の97%が保持され、固相上で極めて安定であることが示された。
(2)Re−CTLD固定化乾燥プレートの保存期間による変性LDL認識能の変化
ELISAプレートとしての安定性を検証する目的で、Re−CTLDを96穴プレートに固定化し、一旦乾燥させたプレートを用いて、変性LDLが安定して検出できるか否かを調査した。検出工程は、基本的には実施例9(3)に示されるとおりである。使用した受容体、検出するまでのプレートの保存期間および使用する二次抗体は、以下のとおりである。
(a)受容体:Re−CTLD、保存期間:0(すなわち、乾燥直後)、二次抗体:抗ApoB抗体
(b)受容体:Re−CTLD、保存期間:1週間、二次抗体:抗ApoB抗体
(c)受容体:Re−ビオチン化CTLD、保存期間:1週間、二次抗体:抗ApoB抗体
(d)受容体:Re−ビオチン化CTLD、保存期間:1週間、二次抗体:抗OxLDL抗体
(e)受容体:Re−ビオチン化CTLD、保存期間:1週間、二次抗体:抗MDA LDL抗体
96穴のプレートに、15μg/mlの濃度にTBSにて希釈した受容体(Re−PR−CTLD(ビオチン化ありまたはなし))溶液を50μl/ウェルで添加した。4℃で一晩放置した後、1%BSA/0.02%Tween20含TBSで4℃で一晩ブロッキングし、ブロッキング溶液を除去した。その後、クリーンベンチ内でプレートを乾燥させ、使用時まで、4℃で保存しておいた。上記の条件で認識能が維持されているか否かを確認した。(a)〜(e)についての結果を、それぞれ、図46A〜Eに示す。
これら図から明らかなように、ストレプトアビジンを介した固定のあるなしに拘わらず、乾燥過程を経たRe−CTLD固定化プレートにおいても、実施例13(1)のように乾燥過程を経ていないRe−CTLD固定化プレートと同様に安定して変性LDLを検出可能であり、乾燥状態での保存、輸送が可能であることが示された。
(実施例17:Re−miniRAGEを固定化した基材の安定性および種々の抗体を用いた変性LDLの検出)
実施例16(1)と同様に、miniRAGEにおいても検出用ビーズとしての安定性を検証する目的で、Re−RAGE1をNi−Agaroseビーズに固定化したものを用いて、変性LDLが安定して検出できるか否かを調査した。
実施例10(2)に従って、Re−RAGE1固定化Ni−Agaroseビーズ(20μl×5;50%スラリー)を調製した。このように調製したビーズを4℃で保存した。上記5連で調製したビーズのうち1連を調製直後(0週間とする)に変性LDL検出のために使用して、検出安定性の基準とした。残りのビーズのうちの4連を、調製後1、2、4、6週間の間、4℃で保存し、保存期間による変性LDL検出の安定性の変化を測定した。結果を図45に示す(0週間で測定した場合の結果を100%として示した)。
図から明らかなように、固相上へ固定すると分子の安定性が上昇し、6週間経過しても、変性LDL認識能の96%が保持され、固相上で極めて安定であることが示された。
(実施例18:Re−PR−CTLDおよびPR−CTLD14の動脈硬化診断への応用)
実施例13(2)(I)に示されるようにRe−CTLD固定化プレートを調製し、変性LDL測定用サンプルとして、正常血清(120μl)中に0、0.02、0.05、0.1、0.2、0.4、0.5、1、2および4μg/mL血漿となるように完全酸化LDLを添加し、変性LDL含有血漿モデルを調製した。変性LDLの検出工程は、基本的に実施例13(2)(I)に従って、抗ApoB抗体を使用するサンドイッチELISAにより行った。結果を図47に示す。
図から明らかなように、プレートに固定化したRe−CTLDが血漿中の成分に妨害されずに酸化LDLを認識可能なことが実証された。また血漿中には大量のLDLが存在するが、CTLDの親和性は酸化LDLに対して圧倒的に高いため、膨大な量のLDLより先に酸化LDLが結合することが検証された。
これらの結果と、動脈硬化の疑いがある患者から得られた血漿で得られた値とを比較することにより、患者血清中に含まれる変性LDLの相対量を算出する。これらの値を、臨床検査で使用される値と比較することによって、上記患者が動脈硬化および他の変性LDLによって引き起こされる疾患に罹患しているかどうかを予想することができる。
(実施例19:RAGE様ポリペプチドの糖尿病性血管障害への応用)
受容体としてRe−RAGEを使用することを除いて、実施例13(2)(I)に示されるようにRe−RAGE固定化プレートを調製し、AGE測定用サンプルとして、正常血清(120μl)中に0、0.02、0.05、0.1、0.2、0.4、0.5、1、2および4μg/mL血漿となるようにAGEを添加し、AGE含有血漿モデルを調製した。AGEの検出工程は、基本的に実施例11(5)に従って、抗AGE抗体を使用するサンドイッチELISAにより行う。
プレートに固定化したRe−RAGEが血漿中の成分に妨害されずにAGEを認識可能なことが実証される。
これらの結果と、糖尿病性血管障害の疑いがある患者から得られた血漿で得られた値とを比較することにより、患者血清中に含まれるAGEの相対量を算出する。これらの値を、臨床検査で使用される値と比較することによって、上記患者が糖尿病性血管障害および他のAGEによって引き起こされる疾患に罹患しているかどうかを予想することができる。
CTLD様ポリペプチド−界面活性剤結合複合体およびRAGE様ポリペプチド−界面活性剤結合複合体は、動脈硬化、糖尿病性血管障害などの早期診断、機能性食品の予防効果評価、生活改善や投薬による治療効果の評価など様々な分野で活用できる。
図1は、LOX−1の模式図をあらわす。図中の数字は、LOX−1のアミノ酸配列の番号付けに従うアミノ酸残基の位置を表す。
図2は、RAGEの模式図を表す。図中の数字は、RAGEのアミノ酸配列の番号付けに従うアミノ酸残基の位置を表す。
図3は、C型レクチン様ドメイン(CTLD)およびCTLD様ポリペプチド(PR−CTLD)のプロテアーゼによる分解の程度を示す。CTLDまたはPR−CTLDを大過剰のプロテアーゼ(T:トロンビン、E:エンテロキナーゼ、Xa:第Xa因子)ともに37℃で18時間インキュベートした後、SDS−PAGEで泳動した後、CBB染色した。Aは、天然型C型レクチン様ドメイン(ネイティブCTLD)のプロテアーゼによる分解を示す。Bは、PR−CTLD(G232A/G249A変異が導入されている)のプロテアーゼによる分解を示す。
図4は、CTLD様ポリペプチド発現細胞 による変性LDL の認識および取り込みを示す。Aは、PR−CTLDをトランスフェクトしたCHO細胞の明視野像を示す。Bは、CFPの蛍光により、PR−CTLDの発現が確認された細胞を示す。Cは、CFPの蛍光によりPR−CTLDの発現が確認された細胞によるDiD標識AcLDLの明瞭な取り込みを示す。
図5は、LOX−1の細胞外領域および変性LDLの認識に必須の最小領域、ならびに分子間S−S結合を形成するアミノ酸残基を含むネック由来の14アミノ酸残基とCTKDからなるCTLD14を示す。図中の矢印は、大過剰のトロンビンに対して感受性の部位を示す。
図6は、温度および誘導時間を変化させた場合の形質転換細胞において発現されたCTLD様ポリペプチドのSDS−PAGE像を示す。Aは、PR−CTLDを含む発現ベクターで形質転換した細胞を37℃で培養したときのPR−CTLDの発現状態を示す。レーン1:誘導前;レーン2および3:誘導後2時間;レーン4および5:誘導後4時間。レーン2および4は、可溶性画分を示す。レーン3および5は、不溶性画分を示す。発現は良好であるが、100%が不溶性として発現した。Bは、誘導後20℃で培養したときの時のPR−CTLDの発現状態を示す。発現量は低いが、可溶性画分へ発現する割合は増えた。レーン1:誘導前;レーン2:誘導24時間後の可溶性画分、レーン:誘導24時間後の不溶性画分。
図7は、形質転換細胞から発現されたPR−CTLD可溶性画分をNi−アガロースに吸着させた後、0.1Mイミダゾールで洗浄し、0.5Mイミダゾールにて溶出させた結果を示す。レーン1は、Ni−アガロース吸着画分であり、レーン2は、0.5M イミダゾール溶出画分である。
図8は、hRAGEおよびhRAGEの可溶性ドメイン(hsRAGE)およびhsRAGEを構成する各ドメインを模式的に示す。図中の矢印およびアミノ酸の1文字表記と数字の組み合わせは、大過剰のプロテアーゼに感受性の部位を示す。括弧中の記号は、T:トロンビン、Xa:第Xa因子を示す。矢印で示される位置に、アミノ酸置換R114Q、V117A、R228N、M272Iを導入して、PR−CTLDを作製する。
図9は、hsRAGEのプロテアーゼによる分解の程度を示す。hsRAGEを大過剰のプロテアーゼ(T:トロンビン、E:エンテロキナーゼ、Xa:第Xa因子)とともに37℃で18時間インキュベートし、SDS−PAGEで泳動した後、CBB染色した。0で示されるレーンは、プロテアーゼ非処理区のhsRAGEを泳動した。18で示されるレーンは、18時間のプロテアーゼ処理後のhsRAGEを泳動した。Hisタグ除去の目的のために、pET C−Aviにはエンテロキナーゼ認識配列が挿入されている。エンテロキナーゼによる切断は、デザインに従いタグ部分のみが除去された予想される分子量の減少が起こっている。それに対して、TやXaにより処理した結果、hsRAGEにはプロテアーゼによって特異的に切断される部位が存在しないにもかかわらず、予想外の切断による断片が確認された。
図10は、mRAGE1発現細胞 によるALexa633標識AGEの認識および取り込みを示す。Aは、mRAGE(R114Q/V117A/R228N/ M272I )をトランスフェクトした細胞の明視野像を示す。Bは、 mRAGE発現細胞におけるALexa633標識AGEの顕著な取り込みを示す。
図11は、mRAGEのプロテアーゼによる分解の程度を示す。Aは、hsRAGE1(天然型)のプロテアーゼ処理結果を示す。Bは、mRAGEのプロテアーゼ処理結果を示す。それぞれ、レーン1は、第Xa因子(必要量の100倍濃度)添加直後に、反応を停止させたものを示し、レーン2は、必要量の10倍濃度の第Xa因子を添加し、23℃で4時間反応させたものを示し、レーン3は、必要量の100倍濃度の第Xa因子を添加し、23℃で2時間反応させたものを示す。反応停止後に、SDS−PAGEに供しCBB染色した。レーン2でhsRAGEに観察される切断されたRAGE由来のバンドがmRAGEでは少なく、レーン3でも同様な傾向が観察され、mRAGEはプロテアーゼ抵抗性が増していることが確認された。
図12は、領域欠損によるhsRAGEの削りこみを示す。図中の数字は、RAGEのアミノ酸配列のアミノ酸番号付けに従う。
図13は、温度および誘導時間を変化させた場合の形質転換細胞において発現されたRAGE様ポリペプチドのSDS−PAGE像を示す。上段は、左から順に、天然型RAGE1(hsRAGE1)、mRAGE、RAGE2、RAGE3およびRAGE7のSDS−PAGE像を示す。レーン1は、可溶性画分であり、レーン2は、不溶性画分である。欠損により分子量が小さくなるに連れ、発現量、可溶性ポリペプチドとしての発現量が共に低下した(表6もまた参照のこと)。下段は、Mutein−Matrixに吸着後、ビオチンで溶出することにより精製したRAGE様ポリペプチドを示す。N:天然型RAGE1(hsRAGE1);M:mRAGEを示す。
図14は、封入体からリフォールディングの過程を経て得られたCTLD様ポリペプチドのリフォールディング率を示す。Aは、封入体からリフォールディングの過程を経て得られたCTLDのSDS−PAGE像である。Bは、封入体からリフォールディングの過程を経て得られたPR−CTLDのSDS−PAGE像である。Cは、refoldingに使用する界面活性剤の違いによるリフォールディング効率を示すSDS−PAGE像である。
図15は、封入体からリフォールディングの過程を経て得られたRAGE様ポリペプチドのリフォールディング率を示す。Aは、界面活性剤の種類によるmRAGEのリフォールディング効率を示すSDS−PAGE像である。レーン1−3:CTAB;レーン4−6:SB3−14;レーン7−9:Tween40;レーン10−12:Tween60;レーン1,4,7,10:リフォールディング溶液;レーン2,5,9,11:Ni−agarose吸着画分;レーン3,6,9,12:イミダゾール溶出画分。Bは、リフォールディングの過程を経て得られたRAGE7のSDS−PAGE像である。レーン1−3:SB3−14;レーン4−6:Tween40;レーン7−9:Tween60。Cは、CTABによりリフォールディングされたmRAGEの精製率を示す;レーン1:リフォールディング溶液、2:Ni−Agarose結合、3:0.1Mイミダゾール溶出、4:0.25Mイミダゾール溶出、5:0.5Mイミダゾール溶出。
図16は、変性LDLの濃度を変化させた場合の吸光度値(A450)の変化を表す。グラフ中、菱形は可溶性CTLDを表し、四角は、Re−CTLDを表す。このグラフから、可溶性CTLDとre−CTLDがともに、変性LDLを特異的に認識することが理解される。
図17は、ビオチン化なしのCTLDと抗ApoB抗体によるサンドイッチELISAを行ったときの、種々のリガンド濃度に対する吸光度値(A450)の変化を表す。グラフ中、菱形は、完全酸化LDL(F−OxLDL)を表し、四角は、中程度酸化LDL(M−OxLDL)を表し、三角は、MDA−LDL(MDA化LDL)を表し、×は、LDLを表す。このグラフから、Re−CTLDは、変性LDLを特異的に検出することが理解される。
図18は、種々の濃度の変性LDLを含む変性LDL含有血漿モデルからの、CTLDを結合させたビーズの変性LDL除去効率を示す。菱形は、CTLDを表し、四角は、RAGE1を表す。
図19は、ELISAでRAGE様ポリペプチドを受容体としてAGEの検出を行った場合の、種々のAGE濃度に対する吸光度値(A450)の変化を表す。図19Aは、mRAGE1を受容体として使用した場合を示し、図19Bは、RAGE143を受容体として使用した場合を示し、図19Cは、RAGE223をを受容体として使用した場合を示し、図19Dは、RAGE226を受容体として使用した場合を示す。グラフ中、菱形は、cBSA(コントロールBSA)を表し、四角はR−AGE(リボースにより糖化処理をしたBSA)を表し、三角はF−AGE(フコースにより糖化処理をしたBSA)を表し、×は、G−AGEは、(グルコースにより糖化処理をしたBSA)を表す。
図20Aは、RAGE143、RAGE223およびRAGE226を受容体としてAGEの検出を行った場合の、種々のAGE濃度に対する吸光度値(A450)の変化を表す。図20Aは、種々のcBSA濃度に対する吸光度値の変化を表し、図20Bは、種々のR−AGE濃度に対する吸光度値の変化を表し、図20Cは、種々のF−AGE濃度に対する吸光度値の変化を表し、図20Dは、種々のG−AGE濃度に対する吸光度値の変化を表す。これらグラフから、RAGE143、RAGE223およびRAGE226は、AGEを特異的に認識することが理解される。
図21は、RAGE143(菱形)、RAGE223(四角)およびRAGE226(三角)を受容体としてAGEの検出を行った場合の、種々のヘモグロビンA1c(HbA1c)濃度に対する吸光度値の変化を表す。これらグラフから、いずれのRAGE様ポリペプチドも、HbA1cを特異的に検出することが理解される。
図22は、RAGE143(菱形)、RAGE223(四角)およびRAGE226(三角)を受容体として使用し、抗HbA1c抗体との組み合わせてサンドイッチELISAによりHbA1cの検出を行った場合の、種々の濃度のHbA1cに対する吸光度値の変化を示す。このグラフから、いずれの受容体も、HbA1cを濃度依存的に検出可能であることが理解される。
図23は、RAGE143(菱形)、RAGE223(四角)およびRAGE226(三角)を受容体として使用し、抗AGE抗体との組み合わせてサンドイッチELISAを行った場合の、種々の濃度のAGEに対する吸光度値の変化を示す。図23Aは、cBSAをリガンドとして用いた場合の結果を示し、図23Bは、R−AGEをリガンドとして用いた場合の結果を示す。これらグラフから、いずれのRAGE様ポリペプチドも、cBSAに対してはほとんど反応せず、R−AGEに対して高い反応性を有することが理解される。
図24A〜Bは、CTLD様ポリペプチド(図24A:Re−CTLDおよび図24B:Re−CTLD14)を受容体として使用した場合の種々の濃度のリガンドに対する吸光度値の変化を示す。グラフ中、菱形は、完全酸化LDL(F−OxLDL)を表し、四角は、中程度酸化LDL(M−OxLDL)を表し、三角は、MDA−LDL(MDA化LDL)を表す。これらグラフから、いずれの受容体も各種変性LDLを認識可能であることが理解される。
図25A〜Bは、Re−ビオチン化なしCTLD(図25A)またはRe−ビオチン化CTLD(図25B)を受容体として使用し、抗ApoB抗体と組み合わせたサンドイッチELISAにより種々の濃度の変性LDLを検出した場合の吸光度値の変化を示す。グラフ中、菱形は、完全酸化LDL(F−OxLDL)を表し、四角は、中程度酸化LDL(M−OxLDL)を表し、三角は、MDA−LDL(MDA化LDL)を表す。これらグラフから、抗ApoB抗体との組み合わせにおいて、いずれの受容体も高感度で変性LDLを検出し得ることが理解される。
図26A〜Bは、Re−ビオチン化なしCTLD(図26A)またはRe−ビオチン化CTLD(図26B)を受容体として使用し、抗OxLDL抗体と組み合わせたサンドイッチELISAにより種々の濃度の変性LDLを検出した場合の吸光度値の変化を示す。グラフ中、菱形は、完全酸化LDL(F−OxLDL)を表し、四角は、中程度酸化LDL(M−OxLDL)を表し、三角は、MDA−LDL(MDA化LDL)を表す。これらグラフから、抗OxLDL抗体との組み合わせにおいて、いずれの受容体も高感度で変性LDLを検出し得ることを示す。
図27A〜Bは、Re−ビオチン化なしCTLD(図27A)またはRe−ビオチン化CTLD(図27B)を受容体として使用し、抗MDA−LDL抗体と組み合わせたサンドイッチELISAにより種々の濃度の変性LDLを検出した場合の吸光度値の変化を示す。グラフ中、菱形は、完全酸化LDL(F−OxLDL)を表し、四角は、中程度酸化LDL(M−OxLDL)を表し、三角は、MDA−LDL(MDA化LDL)を表す。これらグラフから、抗MDA−LDL抗体との組み合わせにおいて、いずれの受容体もMDA−LDLのみを極めて特異的に検出し得ることが理解される。
図28は、Re−ビオチン化なしCTLDを受容体として使用し、抗ACRモノクローナル抗体と組み合わせたサンドイッチELISAにより種々の濃度の変性LDLを検出した場合の吸光度値の変化を示す。グラフ中、菱形は、完全酸化LDL(F−OxLDL)を表し、四角は、中程度酸化LDL(M−OxLDL)を表し、三角は、MDA−LDL(MDA化LDL)を表す。このグラフから、抗ACRモノクローナル抗体との組み合わせにおいて、Re−ビオチン化なしCTLDがMDA−LDLを顕著に検出し得ることが理解される。
図29は、Re−ビオチン化なしCTLDを受容体として使用し、抗CRAモノクローナル抗体と組み合わせたサンドイッチELISAにより種々の濃度の変性LDLを検出した場合の吸光度値の変化を示す。グラフ中、菱形は、完全酸化LDL(F−OxLDL)を表し、四角は、中程度酸化LDL(M−OxLDL)を表し、三角は、MDA−LDL(MDA化LDL)を表す。このグラフから、抗CRAモノクローナル抗体との組み合わせにおいて、Re−ビオチン化なしCTLDが酸化LDLおよびMDA−LDLを顕著に検出し得ることが理解される。
図30は、Re−ビオチン化なしCTLDを受容体として使用し、抗MDAモノクローナル抗体と組み合わせたサンドイッチELISAにより種々の濃度の変性LDLを検出した場合の吸光度値の変化を示す。グラフ中、菱形は、完全酸化LDL(F−OxLDL)を表し、四角は、中程度酸化LDL(M−OxLDL)を表し、三角は、MDA−LDL(MDA化LDL)を表す。このグラフから、抗MDAモノクローナル抗体との組み合わせにおいて、Re−ビオチン化なしCTLDがMDA−LDLを顕著に検出し得ることが理解される。
図31は、Re−ビオチン化なしCTLDを受容体として使用し、抗HNEモノクローナル抗体と組み合わたサンドイッチELISAにより種々の濃度の変性LDLを検出した場合の吸光度値の変化を示す。グラフ中、菱形は、完全酸化LDL(F−OxLDL)を表し、四角は、中程度酸化LDL(M−OxLDL)を表し、三角は、MDA−LDL(MDA化LDL)を表す。このグラフから、抗HHNEモノクローナル抗体との組み合わせにおいて、Re−ビオチン化なしCTLDがMDA−LDLおよび酸化LDLを顕著に検出し得ることが理解される。
図32は、Re−ビオチン化なしCTLDを受容体として使用し、抗HELモノクローナル抗体と組み合わせたサンドイッチELISAにより種々の濃度の変性LDLを検出した場合の吸光度値の変化を示す。グラフ中、菱形は、完全酸化LDL(F−OxLDL)を表し、四角は、中程度酸化LDL(M−OxLDL)を表し、三角は、MDA−LDL(MDA化LDL)を表す。このグラフから、抗HELモノクローナル抗体との組み合わせにおいて、Re−ビオチン化なしCTLDがMDA−LDLおよび酸化LDLを顕著に検出し得ることが理解される。
図33は、市販の変性LDL検出用キットにおいて使用される抗PC抗体を本発明のPR−CTLDで置き換えて種々の濃度の変性LDLを検出した場合の吸光度値の変化を示す。グラフ中、菱形は、可溶性PR−CTLDを表し、四角は、Re−ビオチン化PR−CTLDを表し、三角はRe−PR−CTLDを表す。このグラフから、本発明のPR−CTLDは上記キットと同様の感度で変性LDLを検出可能であることが理解される。
図34は、市販のキットにおいて使用される抗ApoBモノクローナル抗体の代わりにCTLDを使用して種々の濃度の変性LDLを検出した場合の吸光度値の変化を示す。グラフ中、菱形は、MDA−LDL抗体と抗ApoB抗体とによるOx−LDLの検出(検出系1)を表し、四角は、MDA−LDL抗体と抗ApoB抗体とによるMDA−LDLの検出(検出系3)を表し、三角は、MDA−LDL抗体とCTLDとによるOx−LDLの検出(検出系2)を表し、×は、MDA−LDL抗体とCTLDとによるMDA−LDLの検出(検出系4)を表す。このグラフから、CTLDを使用した検出系では、MDA−LDLに対する認識能の方が高いことが理解される。
図35A〜Cは、Re−RAGE1(図35A)、Re−RAGE3(図35B)、Re−RAGE7(図35C)を受容体として使用して種々の濃度のAGEを検出した場合の吸光度値の変化を示す。これらグラフから、いずれのRe−RAGE様ポリペプチドも可溶性RAGEと同様に、AGEを特異的に認識することが理解される。
図36A〜Dは、Re−RAGE1(図36A)、Re−RAGE2(図36B)、Re−RAGE3(図36C)、Re−RAGE7(図36D)を受容体として使用して種々の濃度のAGEを検出した場合の吸光度値の変化を示す。これらグラフから、Re−RAGE 1,3,7は、種々のAGEに対する認識能を有し、RAGE8は、AGEの検出に使用することができるが、V領域のみのRAGE9では、ほとんど認識能が確認されず、Vドメインを完全に欠くRAGE4は、AGEに対する認識能を有していないことが理解される。また、図36Aから、Re−RAGE3のバックグラウンド値が高いものの、いずれのRe−RAGE様ポリペプチドによるcBSAの濃度依存的検出も認められないことが理解される。
図37A〜Bは、Re−RAGE様ポリペプチドを受容体として使用して種々の濃度のCML−BSA(図37A)およびHbA1c(図37B)を検出した場合の吸光度値の変化を示す。
図38A〜Bは、RAGE143(菱形)、RAGE223(四角)およびRAGE226(三角)を受容体として使用して、抗AGE抗体と組み合わせたサンドイッチELISAを行った場合の種々の濃度のコントロールBSA(図38A)およびR−AGE(図38B)に対する吸光度値(A450)の変化を表す。図38C〜Dは、乾燥プレートの状態でRAGE143(菱形)およびRAGE223(四角)を受容体として使用して、抗AGE抗体と組み合わせたサンドイッチELISAを行った場合の種々の濃度のコントロールBSA(図38C)およびR−AGE(図38D)に対する吸光度値(A450)の変化を表す。これらグラフから、いずれのRe−RAGE様ポリペプチドもc−BSAを殆ど認識せず、R−AGEに対する特異的認識能が回復していることが理解される。
図39A〜Dは、Re−RAGE様ポリペプチドを受容体として、それぞれ、リガンドとしてCML−BSA(図39A)、CML−HSA(図39B)、CEL−BSA(図39C)およびCEL−HSA(図39D)の検出を行った場合の、種々のリガンド濃度に対する吸光度値の変化を示す。これらグラフから、RAGE1、3がいずれのリガンドに関しても認識能が高く、miniRAGEはCEL化分子よりもCML化分子に対する認識能が高いことが理解される。
図40は、市販のキット(anti−CML−HAS)およびRAGE1を受容体として、リガンドとしてCML−HSAを検出する場合の、種々のリガンド濃度に対する吸光度値の変化を示す。このグラフから、RAGE1は0.1μg/ml以下の領域でも検出可能であることが理解される。
図41は、RAGE1を受容体として変性LDLを検出する場合の、種々の変性LDLの濃度に対する吸光度値の変化を示す。
図42は、種々のRAGE様ポリペプチドを受容体として変性LDLを検出する場合の、種々の変性LDLの濃度に対する吸光度値の変化を示す。このグラフから、Re−RAGE1および3が完全酸化LDLを認識し、Re−RAGE2および7は、Re−RGAE1および3には劣るが、認識能を有することが理解される。
図43は、CTLD固定化ビーズまたはRe−RAGE1固定化ビーズを使用して、抗ApoB抗体とのサンドイッチELISA法を使用した場合の、種々の濃度の変性LDLを含む変性LDL含有血漿モデルからの酸化LDL除去効率を示す。グラフにおいて菱形は、CTLD固定化ビーズを使用した場合を表し、四角は、Re−RAGE1固定化ビーズを使用した場合を表す。このグラフから、いずれの受容体を結合したビーズも変性LDLを回収し得ることが理解される。
図44は、Re−PR−CTLDとRe−RAGEとのサンドイッチELISA法を用いて変性LDLを検出した場合の、種々の濃度の変性LDLに対する吸光度値の変化を示す。このグラフから、PR−CTLDが、LDLよりも完全酸化LDLに対する認識が有意に高く、cBSAよりもR−AGEに対する認識能が有意に高いことが理解される。
図45は、Re−PR−CTLD固定化Ni−AgaroseビーズおよびRe−RAGE固定化Ni−Agaroseビーズの保存期間による変性LDL検出の変化を示す。このグラフから、保存期間6週間後であっても、変性LDLが安定して検出できることが理解される。
図46A〜Eは、それぞれ、(a)受容体:Re−CTLD、保存期間:0(すなわち、乾燥直後)、二次抗体:抗ApoB抗体;(b)受容体:Re−CTLD、保存期間:1週間、二次抗体:抗ApoB抗体;(c)受容体:Re−ビオチン化CTLD、保存期間:1週間、二次抗体:抗ApoB抗体;(d)受容体:Re−ビオチン化CTLD、保存期間:1週間、二次抗体:抗OxLDL抗体;(e)受容体:Re−ビオチン化CTLD、保存期間:1週間、二次抗体:抗MDA LDL抗体の条件を用いた場合の、種々の濃度のリガンドに対する吸光度値の変化を示す。このグラフから、ストレプトアビジンを介した固定のあるなしに拘わらず、乾燥過程を経たRe−CTLD固定化プレートが安定して変性LDLを検出可能であることが理解される。
図47は、Re−CTLD固定化プレートを使用して、抗ApoB抗体を使用するサンドイッチELISAによりの酸化LDLの検出を行った場合の、種々の濃度の酸化LDLに対する吸光度の変化を示す。このグラフから、プレートに固定化したRe−CTLDが血漿中の成分に妨害されずに酸化LDLを認識可能であることが明らかにされる。
配列番号1:PR−CTLDまたはCTLDをコードする核酸配列
配列番号2:PR−CTLDまたはCTLDのアミノ酸配列
配列番号3:PR−Lox−1またはLox−1をコードする核酸配列
配列番号4:PR−Lox−1またはLox−1のアミノ酸配列
配列番号5:PR−CTLD14またはCTLD14をコードする核酸配列
配列番号6:PR−CTLD14またはCTLD14のアミノ酸配列
配列番号7:Lox−1のCTLD+ネックまたはPR−CTLD+ネックをコードする核酸配列
配列番号8:Lox−1のCTLD+ネックまたはPR−CTLD+ネックのアミノ酸配列
配列番号9:RAGEまたはmRAGEをコードする核酸配列
配列番号10:RAGEまたはmRAGEのアミノ酸配列
配列番号11:RAGE8またはmRAGE8をコードする核酸配列
配列番号12:RAGE8またはmRAGE8のアミノ酸配列
配列番号13:RAGE1またはmRAGE1をコードする核酸配列
配列番号14:RAGE1またはmRAGE1のアミノ酸配列
配列番号15:Gly-Gly-Gly-Ser
配列番号16:Gly-Gly-Gly-Gly-Ser
配列番号17:AviTagのアミノ酸配列
配列番号18:Streptagのアミノ酸配列
配列番号19:StreptagIIのアミノ酸配列
配列番号20:CTLDの順方向プライマー
配列番号21:CTLDの逆方向プライマー
配列番号22:RAGEの順方向プライマー
配列番号23:RAGEの逆方向プライマー
配列番号24:miniRAGE(RAGE1、RAGE2、RAGE3、RAGE7、RAGE8、RAGE9、RAGE143、RAGE223およびRAGE226)の順方向プライマー
配列番号25:RAGE1の逆方向プライマー
配列番号26:RAGE2の逆方向プライマー
配列番号27:RAGE3の逆方向プライマー
配列番号28:RAGE7の逆方向プライマー
配列番号29:RAGE8の逆方向プライマー
配列番号30:RAGE9の逆方向プライマー
配列番号31:RAGE4の順方向プライマー
配列番号32:RAGE4の逆方向プライマー
配列番号33:RAGE143の逆方向プライマー
配列番号34:RAGE223の逆方向プライマー
配列番号35:RAGE226の逆方向プライマー
配列番号36:RAGE2またはmRAGE2をコードする核酸配列
配列番号37:RAGE2またはmRAGE2のアミノ酸配列
配列番号38:RAGE3またはmRAGE3をコードする核酸配列
配列番号39:RAGE3またはmRAGE3のアミノ酸配列
配列番号40:RAGE4またはmRAGE4をコードする核酸配列
配列番号41:RAGE4またはmRAGE4のアミノ酸配列
配列番号42:RAGE7またはmRAGE7をコードする核酸配列
配列番号43:RAGE7またはmRAGE7のアミノ酸配列
配列番号44:RAGE143またはmRAGE143をコードする核酸配列
配列番号45:RAGE143またはmRAGE143のアミノ酸配列
配列番号46:RAGE223またはmRAGE223をコードする核酸配列
配列番号47:RAGE223またはmRAGE223のアミノ酸配列
配列番号48:RAGE226またはmRAGE226をコードする核酸配列
配列番号49:RAGE226またはmRAGE226のアミノ酸配列