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JP5614871B2 - 熱可塑性樹脂製遮熱床シート - Google Patents
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JP5614871B2 - 熱可塑性樹脂製遮熱床シート - Google Patents

熱可塑性樹脂製遮熱床シート Download PDF

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Description

本発明は、プールサイド、船舶デッキ、ベランダ、屋上等に使用される遮熱性を有する熱可塑性樹脂製遮熱床シートに関するものである。
熱可塑性樹脂製床シートは機能性、デザイン性、施工性、価格の面で優れ、公共施設、ビル、学校、病院、工場、マンション等の主に屋内で幅広く使用されている。さらに、プールサイドやマンションのベランダ、外廊下、階段等の屋外においても使用されている。また、熱可塑性樹脂製床シートの中でも機能面、価格面、加工性、施工性から、ポリ塩化ビニル製が主に使用されている。
屋外用途においては、屋内用途と異なりより高い耐候性、耐汚染性、防滑性が要求されている。しかし、プールサイド等においてはこれらの機能だけでなく、素足歩行時の安全性が課題となっている。すなわち、太陽光線により表面が高温となった床面を素足で歩行すると熱く、場合によっては火傷を生じるおそれがあった。
そこで、このような太陽光による温度上昇を軽減する技術として、熱可塑性樹脂製床シートの表面に遮熱性を有した塗料で被膜を形成することにより、太陽光線による熱可塑性樹脂製床シートの表面温度上昇を抑制する方法がある(特許文献1参照)。しかし、この方法は、太陽光線によるシートの表面温度上昇を抑制する効果としては不十分であり、実際にこれをプールサイドで使用した場合、太陽光線で熱せられた熱可塑性樹脂製床シート面を素足に接触すると熱く、長時間接触した場合、低温火傷を負う危険がある。
さらに床材の表面に塗料を塗布させる必要があるため、施工面で手間がかかり納期やコストにおいて問題があった。また、品質面においても経時において塗膜が剥れたり、磨耗により遮熱性能を発揮できない状態になることがあった。
特に表面に凹凸を設けた床材の場合は、凹凸部の形成後に遮熱性を有した塗料を塗布するために塗料の被膜が凸部には形成され難く、逆に凹部には塗料が溜まってしまい均一な被膜を形成することが困難であった。さらに、凸部は凹部に比して磨耗されやすく塗料による被膜がより剥がれやすく、遮熱性を有した塗料による被膜の耐久性という面においても問題があった。
一方でこのような熱可塑性樹脂製床シートをプールサイドなど殺菌消毒液との接触する可能性のある部位に敷設した場合には、殺菌消毒液により熱可塑性樹脂製床シートの表面が変色し、外観が損なわれることがあった。
実用新案登録第3118832号
本発明は太陽光線による熱可塑性樹脂製床シートの表面温度上昇を抑制し、さらに熱可塑性樹脂製床シート上を素足で静止または歩行しても熱いと感じさせず、防滑性、排水性、清掃性、エンボス加工性の優れた熱可塑性樹脂製床遮熱シートを提供し、また熱可塑性樹脂製遮熱床シートをプールサイド等の殺菌消毒液を使用する部位に敷設した際に長期間に亘って殺菌消毒液に曝しても変色しにくく、外観が損なわれず遮熱機能も低下することのない熱可塑性樹脂製遮熱床シートを提供することを課題とする。
上記課題を解決するために本発明が講じた手段は、請求項1では300〜2100nmの波長領域における日射反射率が40〜80%である表層を有する熱可塑性樹脂製床シートであって、前記表層は縮合アゾ系、酸化鉄系、複合酸化物系の中から選ばれるいずれか一種以上の着色顔料を含有しており、該表層の表面に凸部を複数形成し、該凸部の上面面積が3.0〜10.0mmであり、該凸部の高さが0.7〜1.5mmであり、隣接する凸部同士の間隔が1.0〜3.0mmであるプールサイド用熱可塑性樹脂製遮熱床シートとすることであり、請求項2では濃度10重量%殺菌消毒液の30日間浸漬試験における前記熱可塑性樹脂製床シートを塩素系殺菌消毒液に30日間浸漬させた前後の上記表層のCIE−L*a*b*表色系での色差ΔE*ab値が5.0以下であるプールサイド用熱可塑性樹脂製遮熱床シートとすることである。
本発明は、300〜2100nmの波長領域における日射反射率が40〜80%である表層を有することで、太陽光線による熱可塑性樹脂製床シート表面の温度上昇を抑制することができ、熱可塑性樹脂製床シート表面に複数の凸部を設けることで、平坦状の熱可塑性樹脂製床シート表面と比較して足裏が接触する面積が少なくなり、太陽光線で熱せられた熱可塑性樹脂製床シート表面上を素足で静止または歩行しても熱いと感じにくくなる。さらに、凸部の上面面積を3.0〜10.0mmに、凸部の高さを0.7〜1.5mmに、隣接する凸部同士の間隔を1.0〜3.0mmに設定することで、太陽光線で熱せられた熱可塑性樹脂製床シート表面上を素足で歩行及び静止しても、熱さを感じにくくなる効果が増大し、夏期炎天下に於いて優れた遮熱効果が得られるようになる。加えて、優れた防滑性、排水性、清掃性、エンボス加工性を兼ね備えることができた。
また、本発明の熱可塑性樹脂製遮熱床シートは10重量%の殺菌消毒液に30日間曝されていてもCIE−L表色系での色差ΔEab値が5.0以下であるため、熱可塑性樹脂製遮熱床シートを殺菌消毒液と接触する部位に敷設した場合には、消毒液による目立った変色をしないために当該床シートの外観を損なうことなく、さらに変色による遮熱性能の低下を引き起こすことなくその性能を維持し続けることができるといった効果が得られる。
本発明の実施形態に係る遮熱性床シートの模式斜視図 (図1−1)本発明の実施形態に係る遮熱性床シートの全体の模式斜視図 (図1−2)本発明の実施形態に係る遮熱性床シートを一部拡大した模式斜視図 図1のA−A線に沿った切断面の拡大断面図(図2−1)図1のA−A線に沿った切断面の拡大断面図(図2−2)凸部((図2−1)の点線円部分)の拡大図 凸部が形成されていない部分を有する本発明の実施形態に係る遮熱性床シートの模式斜視図 (図3−1)凸部を形成しない部分をライン状とした本発明の実施形態に係る遮熱性床シートの全体の模式斜視図(図3−2)〜(図3−4)凸部を形成しない部分を格子状とした本発明の実施形態に係る遮熱性床シートの全体の模式斜視図 本発明の基材層を積層した態様の熱可塑性樹脂製遮熱床シートの断面図
以下、図面を参照して本発明の具体的な実施形態を詳述する。
図1は本発明に係る熱可塑性樹脂製遮熱床シートの模式斜視図、図2は図1のA−A線に沿った切断面の拡大断面図である。
本発明の熱可塑性樹脂製遮熱床シートは表層の表面に長方形、多角形、円形、楕円形、不定形など種々の形状をもつ凸部2を多数有し、凸部2は直線状またはランダムに配列形成している。さらに、凸部2の上面にはさらに細かい凹凸部を形成することが好ましい。これにより防滑性を向上させ、加えて表面をつや消しとすることが出来るために意匠性、美観性も向上するために好ましい態様である。
また、熱可塑性樹脂製遮熱床シート1の表層に形成される該凸部2は表層の全面にわたって形成されているが、一部凸部2が形成されていない部分があってもよい。この場合、図3のように凸部2が形成されない部分をライン状とすることや格子状とすることで意匠性を高めることも出来るために好ましく、さらに排水性や防滑性といった機能を付加できる効果もある。
また、凸部2は、素足で歩いても痛くならないように凸部上面2aと凸部側面2bの境界部分は尖っておらず、丸みを帯びている。凸部上面2aと凸部側面2bの境界部分が尖っていると、素足歩行時に痛みを感じ、さらには切傷を生じる恐れもあり、安全性の面から好ましくない。
さらに、凸部2の上部面積は、太陽光線で温められた熱可塑性樹脂製遮熱床シート表面上を素足で静止または歩行しても熱いと感じにくくさせる観点から3.0〜10.0mmとすることが必要であり、さらに、4.0〜8.0mmとすることが好ましい。3.0mm未満だと熱可塑性樹脂製遮熱床シート表面上を素足で歩行するときに痛さを感じるため好ましくなく、一方、10.0mmより大きいと足裏が熱可塑性樹脂製遮熱床シート表面に接触する面積が大きくなり、熱を受け易くなり、場合によっては、低温火傷を負う危険があり好ましくない。
また、一つの凸部2と隣接する他の凸部との間隔を1.0〜3.0mmにすることが必要であり、これにより凸部と凸部との間に溜まった熱が放出しやすくなるため、熱可塑性樹脂製遮熱床シートが蓄熱するのを抑制できる。前記間隔が1.0mm未満では凸部と凸部との間に熱が溜まりやすくなるのと同時に排水性も悪くなる。3.0mmより大きくなると、熱可塑性樹脂製遮熱床シート1表面凹凸の凹面にも足裏が接触することになって熱さが感じやすくなるとともに、足裏が当該表面凹凸に食い込むことで痛さを感じることとなる。さらに上記間隔を1.5〜2.5mmにすることがより好ましい。
また、熱可塑性樹脂製遮熱床シート1表面に形成された凸部の高さを0.7〜1.5mmに設定することが必要であり、0.9〜1.3mmに設定することが好ましい。凸部の高さが0.7mm未満の場合、防滑性が悪く、熱可塑性樹脂製遮熱床シート1表面凹凸の凹面にも足裏が接するようになり熱さも感じ易くなる。逆に凸部の高さが1.5mmより大きい場合、隣接する凸部同士の間に塵埃が溜まりやすくなり清掃性が悪く、エンボス加工性も悪くなる。
本発明の熱可塑性樹脂製遮熱床シート1は、図1に示すように表層1aと裏層1bを積層一体化したものがよく使用されるが、表層のみの単層シートや、表層1aの下側に裏層、中間層、ガラス繊維等の基材などを設けて多層構造としてもよい。表層1aと裏層1bの間や裏層1bの内部にガラス繊維等の基材層を設けて寸法安定性を高めることができ、表層に模様を形成して美観と意匠性を高めることもできる。
上記基材層としては、麻布,綿布,ガラス繊維織布などの織布、綿・麻などの天然繊維不織布,ポリエステルなどの化学繊維不織布,ガラス不織布などの不織布、等が使用でき、寸法安定性を高める効果からはガラス繊維織布やガラス不織布が好ましく、さらにガラス繊維織布が好ましい。ガラス繊維織布は熱可塑性樹脂からなる層と積層すると織布の目に熱可塑性樹脂が食い込む為にガラス繊維織布が強固にガラス繊維織布は熱可塑性樹脂からなる層に積層される。また、図4のように裏層1b1と裏層1b2の層間に基材層4としてガラス繊維織布積層するときには、ガラス繊維織布の目から一の裏層の熱可塑性樹脂が他の裏層に食い込む為に、裏層1b1と基材層4と裏層1b2が強固に積層されるために、好ましい実施態様である。
表層1aに使用される熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合樹脂等のオレフィン系樹脂や、ポリ塩化ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、SBR、NBRなどが例示でき、また、これらの2種類以上の樹脂を組み合わせて使用してもよい。
上記ポリ塩化ビニル系樹脂としては、塩化ビニル単独重合体であるポリ塩化ビニル樹脂、塩化ビニルと酢酸ビニル、エチレン、(メタ)アクリル酸エステル、塩化ビニリデン等との共重合体などが使用でき、加工性、成形性、基材への接着性に優れる観点からポリ塩化ビニル樹脂が更に好ましく使用できる。
また、上記の熱可塑性樹脂には、必要に応じて酸化防止剤、滑剤、安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、可塑剤、加工助剤、難燃剤、充填材、顔料、抗菌剤、防カビ剤、帯電防止剤等を添加しても良い。
また、耐候性や耐光性や野外使用時の耐久性の向上を要する場合には、紫外線吸収剤やヒンダードアミン系光安定剤(HALS)を添加することが好ましく、2種類以上を組合せて使用してもよい。
紫外線吸収剤としては、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−tert−ブチル−4’−(2−メタクロイルオキシエトキシエトキシ)ベンゾフェノン、5,5’−メチレンビス(2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン)等のベンゾフェノン系;2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−ドデシル−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−C7 〜C9 混合アルコキシカルボニルエチルフェニル)トリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2' −メチレンビス(4−tert−オクチル−6−ベンゾトリアゾリルフェノール)、2−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−カルボキシフェニル)ベンゾトリアゾールのポリエチレングリコールエステル、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−6ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(直鎖及び側鎖ドデシル)−4−メチルフェノール等のベンゾトリアゾール系;2−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシロキシフェニル)−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−オクトキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン等のトリアジン系;フェニルサリシレート、レゾルシノールモノベンゾエート、2,4−ジtert−ブチルフェニル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、2,4−ジ−tert−アミルフェニル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート系;2−エチル−2' −エトキシオキザニリド、2−エトキシ−4' −ドデシルオキザニリド等の置換オキザニリド系;エチル−α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリレート、メチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレート等のシアノアクリレート系等が挙げられる。
紫外線吸収剤の添加量は熱可塑性樹脂100重量部に対して0.1〜2.0重量部が好ましく、0.3〜1.5重量部がさらに好ましい。添加量が0.1重量部より少ないと効果が得られにくく、添加量が2.0重量部より多くなると加工機へのプレートアウトやブルームやブリードといった問題を生じる可能性があるからである。
熱可塑性樹脂としてポリ塩化ビニル樹脂を使用したときには、可塑剤および安定剤を添加することが好ましい。該可塑剤としては、DOP、DINP、DUPなどのフタル酸系可塑剤、DOA、DINA、DIDAなどのアジピン酸系可塑剤、ポリエステル系可塑剤、トリメリット酸系可塑剤、TCP、TXPなどのリン酸エステル系可塑剤、エポキシ化大豆油等のエポキシ系可塑剤などが使用できる。なかでも、DOP、DINPなどのフタル酸系可塑剤が耐候性、耐久性、可塑化効率、加工性の面から好ましい。
前記可塑剤の添加量は、加工性と柔軟性の観点からポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対して20〜80重量部が好ましく、30〜60重量部の範囲がさらに好ましい。
前記安定剤としては、Ba/Zn系、Ca/Zn系、Pb系、スズ系安定剤を使用することが出来、安全性と熱安定性、加工性の面からBa/Zn系を用いるのが好ましい。また、熱安定性と加工性の点からホスファイト、ポリオール、β―ジケトンなどの着色防止剤、ハイドロタルサイト等を添加してもよい。
前記安定剤の添加量は加工性と熱安定性、耐候性の観点からポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対して0.1〜5重量部が好ましく、0.3〜3重量部の範囲がさらに好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂製遮熱床シートを多層構造とする場合、表層以外の層には、表層に使用することが出来る前記熱可塑性樹脂を使用することが出来る。また層間の密着性の点からは表層と同種の熱可塑性樹脂を使用することが好ましく、例えば図1において表層1aにポリ塩化ビニル系樹脂を使用したときには裏層1bにもポリ塩化ビニル系樹脂を使用することが好ましい態様である。
さらに、前記表層以外の層には、表層に使用することが出来る前記添加剤を添加することができる。また前記表層以外の層がポリ塩化ビニル系樹脂から成るときは、表層に使用することが出来る前記可塑剤や前記安定剤を使用できる。この場合の前記可塑剤の添加量は、加工性と柔軟性の点からポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対して10重量部から80重量部が好ましく、30重量部から70重量部がさらに好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂製遮熱床シートの表層は300〜2100nmの波長領域における日射反射率が40〜80%であることを要する。日射反射率が40%未満の場合、太陽光線による熱可塑性樹脂製遮熱床シート表面の温度上昇を抑制することができず、熱くて素足歩行をするのが困難となり、低温火傷を負う危険がある。日射反射率が80%より大きいと、熱可塑性樹脂製遮熱床シート表面の温度上昇を抑制でき熱さを感じにくくなるが、熱可塑性樹脂製遮熱床シート表面での太陽光線の照り返しが強くなり、目眩を起こす危険がある。日射反射率が55〜70%の表層を用いることで表面温度の上昇と反射による目眩をより適切に防止することが出来好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂製遮熱床シートの表層が、300〜2100nmの波長領域における日射反射率が40〜80%となるように、該表層には所定の顔料を添加することを要する。ここで、熱可塑性樹脂製遮熱床シートの表層に添加する顔料としては、近赤外線に対する反射率が高い顔料を使用することが望ましい。日射反射率はJIS A 5759に規定された方法で測定することができる。
上記顔料としては、フタロシアニン系、アゾ系、縮合アゾ系、アンスラキノン系、ペリノン・ペリレン系、キナクリドン系、トリフェニルメタン系、ジオキサジン系、酸化チタン系、酸化鉄系(赤色酸化鉄、黄色酸化鉄)、スピネル型焼成系、クロム酸鉛系、紺青系、酸化クロム系、複合酸化物系、縮合多環系が挙げられ使用することができるが、その中でも、上記顔料単体使用で300〜2100nmの波長領域で50%以上の日射反射率を有するものが好ましい。
また、顔料の添加量が少ないと、熱可塑性遮熱床シートの鮮やかさが得られにくく、顔料の添加量が多くなると顔料が加工機表面にプレートアウトする問題が生じやすく、加工性が低下するおそれがある。そこで、熱可塑性樹脂100重量部に対して、顔料の添加量を3.0〜25.0重量部とすることが、シートの鮮やかさと加工性の面から好ましい。
従って、上述したように素足で痛さ、熱さを感じずに歩行できるようにし、優れた防滑性、排水性、清掃性、エンボス加工性を兼ね備えるためには、300〜2100nmの波長領域における日射反射率が40〜80%である表層を有する熱可塑性樹脂製床シートとした上で、表面凸部の上面面積を3.0〜10.0mmとし、該凸部の高さを0.7〜1.5mmとし、隣接する凸部同士の間隔を1.0〜3.0mmとする必要がある。
本発明の熱可塑性遮熱床シート1を、プールサイドなどの殺菌消毒剤液と接触する可能性のある部位に使用する場合に、熱可塑性遮熱床シートは10重量%殺菌消毒液に30日間曝しても、国際照明委員会(CIE)で定めるL表色系での色差ΔEab値が5.0以下であることが好ましく、色差ΔEab値が5.0以下の場合、目視で観察した時、変色が殆ど目立たず、外観が損なわれていないと判断することができる。一方、色差ΔEab値が5.0より大きいと、目視で変色が確認できるようになるため、外観の変化に留意すべきときには、好ましくないと判断される場合もある。さらに、色差ΔEab値が3.0より小さい場合だと、目視では全く変色していないと判断することができ、より好ましい。
上記の条件を満足させる着色顔料として好ましいものは、縮合アゾ系、酸化鉄系(赤色酸化鉄、黄色酸化鉄)、複合酸化物系が挙げられる。また、これら顔料を単独で使用するより複合して使用したほうが色差ΔEab値が小さくなり好ましく、さらに美観性も向上する。
上記殺菌消毒剤としては塩素系、フェノール系、アルコール系等が挙げられ、プールの殺菌消毒には塩素系であるジクロロイソシアヌル酸カリウム、次亜塩素酸カルシウム、トリクロロイソシアヌル酸ナトリウム、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム、次亜塩素酸ナトリウム等が主に使用される。
本発明の「10重量%殺菌消毒液の30日間浸漬試験における上記表層の色差ΔEab値」の評価に使用する殺菌消毒液は、上記の殺菌消毒剤を水で溶解または希釈させ、10重量%に調整したものである。
また、本発明の上記試験に使用される殺菌消毒剤は、実際に殺菌消毒剤としてプールで使用されており変色で問題となる殺菌消毒剤である。プールサイド等を主な敷設場所とする熱可塑性遮熱床シートの場合には、上記塩素系殺菌消毒剤で評価することが好ましい。
上記色差ΔEab値は浸漬前後の熱可塑性遮熱床シートの表層を分光測色計により測定した値であり、ΔEab=[(ΔL+(Δa+(Δb] 1/2の計算式から算出される。
すなわち本発明のΔEab値は熱可塑性遮熱床シートを殺菌消毒液に30日間浸漬させた前後の色変化を数値で表した指標であり、このΔEab値が大きいほど試験前後での色変化が大きく、殺菌消毒液により外観が大きく影響受けたことを表している。
本発明の熱可塑性遮熱床シートは、カレンダー成形、押出成形、コーティング成形等の公知の方法で製造することが出来き、カレンダー成形、押出成形が好適である。
また、本発明の熱可塑性遮熱床シートを多層構造とする場合には、例えば多層押出機により各層を同時に押出し、積層することにより製造できる。または、各層をそれぞれ、押出成形、カレンダー成形等により成形し、各層をラミネート機にて積層することも出来る。さらに、カレンダーや押出機等によりシート成形と積層を同時に行なうことによっても製造することが出来る。本発明においては、カレンダー成形機を使用することで、表層の色や幅、厚みを簡単に変更でき、押出機と比較して高速でシートを製造できる点で好ましい。
基材層を設ける場合には、所定の位置に基材層を設けることが出来るが、最下層に基材層を設けるときには、例えば上記のシートを製造後にラミネート機で基材層を積層することにより製造できる。また、基材層とシートの製造を同時に行なうことも出来る。
さらに、基材層を各層の層間に設ける場合には、上記のようにシートと基材層を積層後に、シートを積層した裏面側にさらにシートを積層することで製造することが出来る。この裏面側にシートを積層する際にも、上記と同様に、あらかじめ製造しておいたシートをラミネート機で積層してもよく、また、カレンダーや押出機等でシートを製造すると同時に前記裏面側に積層することも出来る。また、基材層と各層との密着性が充分に得られない場合には、基材層に各種のプライマー処理を施すことが出来る。
さらに本発明の熱可塑性遮熱床シート1の表層1aには多数の凸部2を設けているが、これは、例えばカレンダーや押出機で製造した多層または単層シートにエンボス加工を施すことにより製造することが出来る。また、押出機やカレンダーで多層または単層シートを製造した後にエンボス加工を施すことにより連続的にインラインで凸部2を形成することも出来る。
更に本発明の具体的な実施例と比較例を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[表層−1]
塩化ビニル樹脂100重量部に対して酸化チタン系顔料(TiO)を8.0重量部、複合酸化物系グリーン顔料(組成:TiO−CoO−NiO−ZnO)を5.0重量部、複合酸化物系ブルー顔料(組成:CoO−Al)1.5重量部を各々複合添加して、シート化したサンプルを作製した。
[表層−2]
塩化ビニル樹脂100重量部に対して酸化チタン系顔料(TiO)を10.0重量部、複合酸化物系グリーン顔料(組成:TiO−CoO−NiO−ZnO)を5.0重量部、複合酸化物系ブルー顔料(組成:CoO−Al)1.5重量部を各々複合添加したこと以外は、表層−1と同様にしてシートサンプルを作製した。
[表層−3]
塩化ビニル樹脂100重量部に対して酸化チタン系顔料(TiO)を12.0重量部、複合酸化物系グリーン顔料(組成:TiO−CoO−NiO−ZnO)を5.0重量部、複合酸化物系ブルー顔料(組成:CoO−Al)1.5重量部を各々複合添加したこと以外は、表層−1と同様にしてシートサンプルを作製した。
[表層−4]
塩化ビニル樹脂100重量部に対して複合酸化物系グリーン顔料(組成:TiO−CoO−NiO−ZnO)を5.0重量部単独で添加したこと以外は、表層−1と同様にしてシートサンプルを作製した。
[表層−5]
塩化ビニル樹脂100重量部に対して複合酸化物系ブルー顔料(組成:CoO−Al)を1.5重量部単独で添加したこと以外は、表層−1と同様にしてシートサンプルを作製した。
[表層−6]
塩化ビニル樹脂100重量部に対して酸化チタン系顔料(TiO)を8.0重量部単独で添加したこと以外は、表層−1と同様にしてシートサンプルを作製した。
表層−1〜表層−6で記載しているシートサンプルの日射反射率から遮熱性を評価した。評価結果は表1に示す。
<日射反射率の測定>
JIS A 5759「窓ガラス用フィルム」における光学的性能試験に準拠して行った。表層の日射反射率の測定結果は表1に示した。
Figure 0005614871
[実施例1]
上記の方法で測定した日射反射率が57%であった表層−3を表層として選択し、これに裏層を積層させることで、表面が平坦状の熱可塑性遮熱床シートを作製した。更に、このシートにエンボス加工を施すことによって、凸部の上面積が3.3mm、隣接する凸部同士の間隔が1.1mm、凸部の高さが0.8mm、である塩化ビニル系樹脂シートを作製した。
ここで裏層は、基材層の両面に塩化ビニル樹脂100重量部に対して可塑剤50重量部、安定剤3重量部、無機質充填剤150重量部を配合した樹脂材料からなる層を積層してシート化することで作製した。

[実施例2]
凸部の上面積が4.2mm、隣接する凸部同士の間隔が1.7mm、凸部の高さが0.7mmとなるエンボス加工を施したこと以外は、実施例1と同様にして表面に凸部を複数形成した塩化ビニル系樹脂シートを作製した。
[実施例3]
凸部の上面積が8.0mm、隣接する凸部同士の間隔が2.6mm、凸部の高さが1.3mmとなるエンボス加工を施したこと以外は、実施例1と同様にして表面に凸部を複数形成した塩化ビニル系樹脂シートを作製した。
[実施例4]
凸部の上面積が7.5mm、隣接する凸部同士の間隔が2.4mm、凸部の高さが1.0mmとなるエンボス加工を施したこと以外は、実施例1と同様にして表面に凸部を複数形成した塩化ビニル系樹脂シートを作製した。
[実施例5]
凸部の上面積が9.5mm、隣接する凸部同士の間隔が1.4mm、凸部の高さが1.1mmとなるエンボス加工を施したこと以外は、実施例1と同様にして表面に凸部を複数形成した塩化ビニル系樹脂シートを作製した。
[実施例6]
凸部の上面積が6.0mm、隣接する凸部同士の間隔が2.0mm、凸部の高さが1.5mmとなるエンボス加工を施したこと以外は、実施例1と同様にして表面に凸部を複数形成した塩化ビニル系樹脂シートを作製した。
[比較例1]
凸部の上面積が3.7mm、隣接する凸部同士の間隔が0.9mm、凸部の高さが0.8mmとなるエンボス加工を施したこと以外は、実施例1と同様にして表面に凸部を複数形成した塩化ビニル系樹脂シートを作製した。
[比較例2]
凸部の上面積が10.1mm、隣接する凸部同士の間隔が2.6mm、凸部の高さが1.5mmとなるエンボス加工を施したこと以外は、実施例1と同様にして表面に凸部を複数形成した塩化ビニル系樹脂シートを作製した。
[比較例3]
凸部の上面積が3.3mm、隣接する凸部同士の間隔が1.3mm、凸部の高さが1.6mmとなるエンボス加工を施したこと以外は、実施例1と同様にして表面に凸部を複数形成した塩化ビニル系樹脂シートを作製した。
[比較例4]
凸部の上面積が3.3mm、隣接する凸部同士の間隔が3.5mm、凸部の高さが0.6mmとなるエンボス加工を施したこと以外は、実施例1と同様にして表面に凸部を複数形成した塩化ビニル系樹脂シートを作製した。
[比較例5]
凸部の上面積が2.7mm、隣接する凸部同士の間隔が0.5mm、凸部の高さが2.0mmとなるエンボス加工を施したこと以外は、実施例1と同様にして表面に凸部を複数形成した塩化ビニル系樹脂シートを作製した。
[比較例6]
凸部の上面積が12.0mm、隣接する凸部同士の間隔が3.1mm、凸部の高さが0.3mmとなるエンボス加工を施したこと以外は、実施例1と同様にして表面に凸部を複数形成した塩化ビニル系樹脂シートを作製した。
得られた塩化ビニル系樹脂シートについて、以下に記載する評価方法及び評価基準で評価し、その結果を実施例は表2に、比較例は表3に示す。
<評価方法及び評価基準>
(1)素足の温感性:得られた塩化ビニル系樹脂シートを夏期晴天時に屋外に設置し人が素足歩行し、素足の温感性を評価した。
○:熱いと感じにくく素足歩行が可能
△:熱さを感じるが素足歩行が可能
×:熱くて素足歩行が困難
(2)足裏への感触:得られた塩化ビニル系樹脂シートを夏期晴天時に屋外に設置し人が素足歩行し、素足への感触を評価した。
○:素足で歩行する際に痛いと感じない
△:素足で歩行する際に痛さを感じるが、素足歩行が可能
×:素足で歩行する際に痛いと感じ、素足歩行が困難
(3)排水性:床表面に水を流し、目視で評価した。
○:水の流れが良い
×:水の流れが悪い
(4)防滑性:床表面に散水し、湿潤状態にした後に人が歩行して感応式で評価した。
○:滑り難い、安全に歩行できる
△:少し滑るが、安全に歩行できる
×:滑り易く、危険である
(5)エンボス加工性
○:加工性が良い
×:加工性が悪い
Figure 0005614871





Figure 0005614871
殺菌消毒液を使用する部位に敷設する場合に適した実施例を以下で説明する。
[実施例7〜9]
顔料の種類と塩化ビニル樹脂100重量部に対しての添加量を表4に示すようにした以外は、実施例3と同様にして、表層と裏層を有し、凸部の上面積が8.0mm、隣接する凸部同士の間隔が2.6mm、凸部の高さが1.3mmである塩化ビニル系樹脂シートを作製した。評価結果を表4に示す。ここで、表4の日射反射率は殺菌消毒液に対する変色性評価を行なう前のシートの測定結果である。
なお、素足の温感性、足裏への感触、排水性、防滑性、清掃性、エンボス加工性の評価は全て○であった。
<殺菌消毒液に対する変色性の評価方法と評価基準>
殺菌消毒剤であるジクロロイソシアヌル酸ナトリウムを水で希釈させ、10重量%に調整した塩素系の殺菌消毒液に実施例7〜9で作成したシートを30日間浸漬させた。
このときの浸漬前後のシートの表面を分光測色計により測定し、ΔEab値=[(ΔL+(Δa+(Δb] 1/2を算出した。
ΔEab値が5.0以下:変色が目立たない ○
ΔEab値が5.0より大きい:変色が目立つ ×
[比較例7〜10]
顔料を表4に示したものを使用した以外は、[実施例7〜9]と同様にしてシートを作成した。評価結果を表4に示す。なお、比較例7〜9は上記殺菌消毒液に対する変色性評価の結果、変色が著しく目立ったので、日射反射率の測定は行わなかった。











Figure 0005614871
酸化チタン系顔料:TiO
縮合系アゾ顔料:ジアゾイエロー
酸化鉄系顔料:ポリアゾレッド
縮合多環系顔料:イソインドリノン系イエロー
複合酸化物系1:ブルー(CoO−Al
複合酸化物系2:亜鉛鉄クロムブラウン
ピロリン酸系:マンガンバイオレット
本発明の熱可塑性樹脂製床シートは、太陽光線による床シートの表面温度上昇を抑制し、床シート上を素足で静止または歩行しても熱いと感じさせず、防滑性、排水性、清掃性、エンボス加工性に優れており、また、殺菌消毒液に曝されても長期間に亘って変色しにくく、外観が損なわれず遮熱機能も低下することがないため、プールサイド、船舶デッキ、建築物のベランダ、外廊下、階段、屋上等に広く使用することができる。
1 熱可塑性樹脂製遮熱床シート
1a 表層
1b 裏層
1b1 裏層1
1b2 裏層2
2 凸部
2a 凸部上面
2b 凸部側面
3 表層の表面
4 基材層
5 凸部を形成しない部分

Claims (2)

  1. 300〜2100nmの波長領域における日射反射率が40〜80%である表層を有する熱可塑性樹脂製床シートであって、前記表層は縮合アゾ系、酸化鉄系、複合酸化物系の中から選ばれるいずれか一種以上の着色顔料を含有しており、該表層の表面に凸部を複数形成し、該凸部の上部面積が3.0〜10.0mmであり、一つの凸部と隣接する他の凸部との間隔が1.0〜3.0mmであり、該表層の表面上の該凸部の高さが0.7〜1.5mmであることを特徴とするプールサイド用熱可塑性樹脂製遮熱床シート。
  2. 濃度10重量%殺菌消毒液の30日間浸漬試験において、前記熱可塑性樹脂製床シートを塩素系殺菌消毒液に30日間浸漬させた前後の上記表層のCIE−L*a*b*表色系での色差ΔE*ab値が5.0以下であることを特徴とする請求項1に記載のプールサイド用熱可塑性樹脂製遮熱床シート。
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