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JP5625188B2 - 圧延銅箔およびその製造方法 - Google Patents
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本発明は、フレキシブルプリント配線板(Flexible Printed Circuit;以下、「FPC」という)用に好適な圧延銅箔およびその製造方法に関する。
近年の電気機器の小型化、高密度化に伴い、これらの機器に用いる回路基板にも、小型化、ファインピッチ化、高密度化が要求されている。このような背景において、薄層で柔軟性に優れるフレキシブルプリント配線基板(FPC)の需要が伸びている。FPCは、たとえば絶縁性のポリイミドフィルムのベース材の上に、銅箔からなる回路が形成された構造となっており、高い屈曲性を有することから、電子機器内の可動部や折り曲げ部に適用できるという特徴がある。
たとえば、狭い空間に実装が可能なFPCは、デジタルカメラ、携帯電話、HDD、プリンタ、液晶パネルなどの内部に折りたたんで実装されている。また、HDD、DVD、CD−ROMなどのディスク関連機器の可動部および折りたたみ式携帯電話機の折り曲げ部などにも多く用いられている。
最近、これらの電気機器の小型化、高密度化がいっそう進展し、さらに狭い場所への実装が要求されるようになってきている。このような狭い場所に屈曲した状態での実装を可能とするため、FPCにはさらに高い柔軟性が要求されている。FPCの柔軟性をさらに高めるためには、ベース材のフィルム自体の柔軟性を向上させたり、フィルムの厚みを薄くしたりすることが必要ではあるが、回路基板を形成する銅箔の柔軟性のさらなる向上を図ることも重要である。
一般に、銅箔の「柔軟性が高い」ということは、銅箔の物性値の1つである「引張強度が小さい」ことに置き換えられる。すなわち、引張強度がきわめて小さい銅箔が要求されているといえる。
一方、電気機器の携帯化に伴い、これらの電気機器への二次電池の搭載が一般的となっているが、このような携帯可能な電気機器に対しては、限られたバッテリ容量による長時間の稼動が要求されている。たとえば、HDDヘッドのサスペンションにおいても、このサスペンションを動かすための動力がわずかではあるが必要である。サスペンションは繰り返して動かされるため、その動きによるバッテリの消耗への影響は大きく、これにより多くの電気が消費される。したがって、サスペンションの可動部に付帯するFPCに対しても、特に高い柔軟性が要求されている。このような用途においても、優れた柔軟性を備えるFPCを実現するために、引張強度がきわめて小さい銅箔が要求されているといえる。
FPCの導体として、種々の銅箔が採用されており、その銅箔としては、優れた屈曲性、たとえば、100万回以上の屈曲性を有することから、圧延銅箔が使用されることが多い。ここで、冷間圧延加工された圧延銅箔を、再結晶焼鈍することにより、その屈曲性を著しく向上させうることは、よく知られている。一般的に、冷間圧延加工仕上がりの圧延銅箔とフィルム基材とを密着一体化させるための熱処理を施すことにより、同時に圧延銅箔を再結晶焼鈍している。この熱処理の条件は、180℃〜300℃において、1分〜60分であり、典型的には200℃で30分程度である。
これまでも、FPCの導体として使用する圧延銅箔については、種々の改良が検討されてきている。たとえば、HHDヘッドのサスペンションに使用される積層体においては、圧延銅箔の薄層化が検討されている。特許文献1では、この用途に使用される圧延銅箔は、高い導電率、かつ低い引張強度を有することが好ましいとして、厚さが1μm〜20μmで、引張強度が600MPa以下である圧延銅箔が提案されている。しかしながら、その実施例や比較例の引張強度は、いずれも面圧10MPa、温度300℃の条件で、20分〜150分熱処理したのちにおいて、400MPa程度にすぎず、200MPaを下回るような低い引張強度は実現されていない。
また、特許文献2には、高屈曲電解銅箔の引張強度を125MPa以上、300MPa以下とする旨の記載はあるものの、高屈曲電解銅箔において、このような引張強度を実現するための製造条件などについて具体的な説明はまったくなされていない。耐熱性を有する銅箔を使用して、300℃〜450℃の熱処理過程を経ることで、高屈曲電解銅箔が軟化、再結晶し、屈曲特性に著しく優れたフレキシブル銅張り積層板を提供できるとの記載はあるが、その引張強度に関して、具体的な記載はまったくなされていない。実際には、電解銅箔により上記のような引張強度を実現することは困難であると考えられる。
さらに、特許文献3には、FPCにおいて使用される、屈曲性に優れた圧延銅箔が開示されている。この技術では、フレキシブルプリント基板における高屈曲性を達成するためには、積層板になった時点で、銅箔の金属組織を屈曲性にとって好ましい状態に再結晶させることが重要として、所定の焼鈍条件により、引張強度が400MPa以上である銅箔を得て、その後、300℃、5秒の条件の熱処理を施して、再結晶焼鈍している。しかしながら、かかる高い引張強度の圧延銅箔をこのような条件で再結晶焼鈍しても、200MPaを下回る小さな引張強度の銅箔を得ることはできない。なお、特許文献3には、最終圧延加工度を変化させて引張強度が200MPa以下となる銅箔が開示されているが、これらは積層時に破断やハンドリングの問題が生じるほか、ピンホールなどの問題を生じる可能性が高い。
このように、FPCの導体として使用する圧延銅箔には、ハンドリングの問題や破断やピンホールの問題などが生ずることなく、かつ、再結晶焼鈍後に200MPaをはるかに下回るきわめて小さな引張強度を有する、柔軟性の高い圧延銅箔の実現が要求されている。
特開2005−285198 特開2008−98613 特開2010−100887
本発明は、上述の問題を解決するためになされたもので、電子機器用のFPCにおける導体として使用するのに好適な所定の厚さを有し、ハンドリング性および屈曲性に優れ、かつ再結晶焼鈍後の引張強度が好ましくは200MPaをはるかに下回るきわめて小さな引張強度を有する高い柔軟性と信頼性を備える圧延銅箔を提供することにある。
本発明者は、銅箔の柔軟性を向上させる製造方法について鋭意検討を進めた結果、最終冷間圧延における圧延加工率を工夫することにより、ハンドリング性および屈曲性に優れ、かつ再結晶焼鈍後の引張強度が好ましくは200MPaをはるかに下回るきわめて小さな引張強度を有する圧延銅箔が得られるとの知見を得て、本発明を完成したものである。
すなわち、本発明の圧延銅箔の製造方法は、銅鋳塊を熱間圧延により所定の厚さにしたのち、冷間圧延と中間焼鈍を繰り返して、厚さが0.27mm以上、2.0mm以下の最終冷間圧延用の母材を得て、該母材を用いて最終冷間圧延を施す際の圧延加工率を99.0%以上、99.3%以下とすることにより、厚さが5μm以上、50μm以下であって、再結晶焼鈍前における引張強度が535MPa以上、550MPa以下となる圧延銅箔を得ることを特徴とする。
また、得られた圧延銅箔に、180℃以上、300℃以下、10分以上、60分以下の条件で、熱処理をさらに施して、該圧延銅箔を再結晶焼鈍し、該再結晶焼鈍後の圧延銅箔の引張強度を80MPa以上、90MPa以下とすることを特徴とする。
本発明により、厚さが5μm以上、50μm以下であって、再結晶焼鈍前の引張強度が535MPa以上、550MPa以下であって、かつ、180℃以上、300℃以下、10分以上、60分以下の条件で熱処理を施し、再結晶焼鈍した後の引張強度が80MPa以上、90MPa以下である圧延銅箔が提供される。
本発明によれば、電子機器用のFPCの導体として使用するのに好適な、積層時のハンドリング性に優れており、かつ、積層後に引張強度が200MPaをはるかに下回るきわめて小さな引張強度を有し、柔軟性の高い圧延銅箔を得ることができる。よって、本発明により、きわめて高い屈曲性と信頼性を備えるFPCが提供される。
本発明の圧延銅箔は、厚さが5μm以上、50μm以下であって、再結晶焼鈍前の引張強度が535MPa以上、550MPa以下であり、180℃以上、300℃以下、10分以上、60分以下の条件で熱処理を施し、再結晶焼鈍した後の引張強度が80MPa以上、90MPa以下であることを特徴とする。
本発明の圧延銅箔は、このような特性を具備することにより、積層時のハンドリング性を損なうことなく、積層後にきわめて高い柔軟性を発揮するため、電子機器用のFPCの導体として好適に用いることができる。
圧延銅箔の原材料としては、酸素濃度が10ppm以下の無酸素銅や、酸素濃度が比較的高いタフピッチ銅の鋳塊を使用することができる。この鋳塊を、熱間圧延により所定の厚さにしたのち、さらに冷間圧延と中間焼鈍を繰り返し、所定の厚さにした最終冷間圧延用の母材を得る。ここで、最終冷間圧延前の母材の厚さを「to」(単位:mm)、最終冷間圧延後の銅箔の厚さを「t」(単位:mm)として、
式:「圧延加工率(%)=(1−t/to)×100」
により求められる、最終冷間圧延における圧延加工率を所定の範囲とすることで、再結晶焼鈍前の引張強度を535MPa以上、550MPa以下とすると共に、再結晶焼鈍後には、80MPa以上、90MPa以下というきわめて小さな引張強度を実現することができる。
本発明では、この最終圧延工程における圧延加工率を所定の範囲、すなわち99.0%以上、99.3%以下とする点に特徴がある。また、本発明では、その後に、180℃以上、300℃以下、10分以上、60分以下の熱処理により再結晶焼鈍することが重要である。
すなわち、最終冷間圧延における圧延加工率を適切に規制し、その後に熱処理を施すことで、再結晶焼鈍後の圧延銅箔において、厚さが5μm以上、50μm以下の範囲で、80MPa以上、90MPa以下というきわめて小さい引張強度を実現する点に、本発明の特徴があるといえる。
従来の圧延銅箔では、最終冷間圧延後の厚さが5μm以上、50μm以下の範囲内にある場合、その後に、180℃〜300℃、10分〜60分の条件による熱処理を施しても、引張強度を200MPa程度までしか低下させることができなかったが、最終冷間圧延における圧延加工率を98.5%以上、99.3%以下ときわめて大きくすることにより、無酸素銅でもタフピッチ銅でも、その後の熱処理によって再結晶焼鈍すると、きわめて小さな引張強度を有する圧延銅箔を得ることができ、かかる圧延銅箔を用いることで、FPCの高い柔軟性が十分に確保されることとなる。
最終冷間圧延の圧延加工率が98.5%より小さいと、最終冷間圧延後の熱処理による再結晶焼鈍を行っても、引張強度が100MPa以下にはならず、本発明のような高い柔軟性を備える圧延銅箔を得ることができない。また、最終冷間圧延の圧延加工率が99.3%を超えてしまうと、圧延形状が制御できず、所望の厚さを圧延により達成することができないという問題が生ずる。
最終冷間圧延の圧延加工率、98.5%以上好ましく99.0%以上とすることにより、圧延銅箔の熱処理後の引張強度を100MPa以下ときわめて小さいものとすることができ、特に、99.0%以上、99.3%未満の圧延加工率により、熱処理後の引張強度を80MPa以上、90MPa以下とすることができる。
なお、再結晶焼鈍前の引張強度が400MPaより小さいと、圧延銅箔の強度が弱すぎて積層時におけるハンドリング性に問題が生ずる。また、再結晶焼鈍後の引張強度は、100MPa以下であれば従来よりも十分に柔軟性が高くなり、90MPa以下と、より低くなるほど、柔軟性が高くなって、FPCの屈曲性に貢献する。しかしながら、再結晶焼鈍後の引張強度が80MPaを下回ると、FPCの屈曲時に箔が破断するなどの問題が生じる。
また、圧延銅箔の厚さは、5μm以上、50μm以下とするが、厚みが5μm未満では、板厚が薄くなりすぎて、圧延中に銅箔が破断して圧延できない場合があり、圧延できた場合でも、強度が弱くなりすぎて、積層時における圧延銅箔をハンドリングする際に、銅箔が破断するなどしてハンドリング性に問題が生ずる。また、銅箔にピンホールなどの欠陥が入りやすくなり、積層後にも問題が生ずる可能性があるため、本来の電子機器用のFPCの導体として使用するのに好適な厚さとする必要がある。
一方、厚みが50μmを超えると、最終冷間圧延における圧延加工率を99.0%以上、99.3%以下の範囲とするためには、最終冷間圧延用の母材の厚さが厚くなりすぎて、大きな圧延加工率の実現が困難となる。
本発明においても、最終冷間圧延後に、圧延銅箔に所定の熱処理を施すが、その熱処理条件は、従来と同様に、熱処理温度を180℃以上、300℃以下とし、処理時間を10分以上、60分以下とする。
熱処理温度が180℃未満では、焼鈍が不十分であり、300℃を超えると、焼鈍効果が飽和する。一方、処理時間が10分未満では、焼鈍が不十分であり、60分を超えると、焼鈍効果が飽和する。
原材料として、酸素濃度10ppm以下の無酸素銅と、酸素濃度250ppmのタフピッチ銅を用意し、それぞれ溶解および鋳造を行い、約200mmの厚さの鋳塊を作製した。作製した鋳塊を厚さ18mmまで熱間圧延で薄くしたのち、表面を面削し、冷間圧延により、2.5mmまで圧延した。
この後、焼鈍および冷間圧延工程を数回繰り返し、厚さ0.2mm〜2.5mmの最終冷間圧延前の母材を得た。
その後、母材の厚さと圧延加工率の組合せにより、最終冷間圧延により最終的に、厚さが5μm、16μm、33μm、50μmとなるまで、圧延銅箔を薄くして、最終冷間圧延後であって熱処理(再結晶焼鈍)前の複数の圧延銅箔をサンプルとして得た。
圧延加工率は、最終冷間圧延前の母材の厚みをto(単位:mm)、最終冷間圧延後の銅箔厚みをt(単位:mm)として、
式:「圧延加工率(%)=(1−t/to)×100」
を用いて、計算した。
実施例においては、最終冷間圧延前の母材の厚さを0.27mm〜2.0mmの範囲とし、圧延加工率を99.0%以上、99.3%以下の範囲とした。また、参考例においては、最終冷間圧延前の母材の厚さを、実施例と同様に0.27mm〜2.0mmの範囲とし、圧延加工率を94.0%以上、99.0%未満の範囲とした。さらに、比較例として、最終冷間圧延の圧延加工率が本発明の上限を超えるもの(比較例1)、最終圧延後の厚さが本発明の下限を下回るもの(比較例2)、および従来と同様の圧延加工率の最終冷間圧延により圧延銅箔を得たもの(比較例3および4)をそれぞれサンプルとした。
最終冷間圧延後、5μm〜50μmに圧延した圧延銅箔を、フレキシブルプリント配線板(FPC)の製造工程での熱処理を考慮して、200℃、30分、および一部のものについては、180℃、30分の熱処理を行い、熱処理後の圧延銅箔の引張強度を測定した。圧延銅箔の引張強度の評価は、IPC−TM−650,2.4.18の引張試験方法により測定した。なお、引張方向は圧延方向として測定した。
表1に、本発明の実施例、参考例および比較例の引張強度の結果を、それぞれの製造条件と合わせてまとめて示す。
表1に示す結果からも明らかであるが、本発明の圧延銅箔の製造条件とすることにより、最終冷間圧延工程後の熱処理による再結晶焼鈍により、従来の製造条件で得られる銅箔(比較例3および4参照)と異なり、いずれも200MPaをはるかに下回る100MPa以下の引張強度を実現できており、さらに、圧延加工率を上限付近の99.0〜99.3%とすることで、80MPa台という、実用性のある範囲において、きわめて小さい引張強度を実現することができている。上限値の99.3%を超えると、母材の厚さが厚い場合には、圧延形状を制御できず、厚さを16μm以下とする圧延ができない(比較例1)。また、圧延加工率が、下限値の94.0%未満の条件で圧延を行うと、その後の熱処理による再結晶焼鈍しても、圧延銅箔の引張強度は160MPa以下にはならず、本発明のような柔軟性に高い圧延銅箔を得ることができないことが理解される(比較例5)。
さらに、圧延加工率を本発明の範囲内としても、最終冷間圧延後の銅箔の厚さが5μm未満となるように条件を設定すると、最終冷間圧延時に破断が生じ圧延ができなくなってしまう(比較例2)。
Figure 0005625188

Claims (3)

  1. 厚さが5μm以上、50μm以下であって、再結晶焼鈍前の引張強度が535MPa以上、550MPa以下であって、かつ、180℃以上、300℃以下、10分以上、60分以下の条件で熱処理を施し、再結晶焼鈍した後の引張強度が80MPa以上、90MPa以下であることを特徴とする圧延銅箔。
  2. 銅鋳塊を熱間圧延により所定の厚さにしたのち、冷間圧延と中間焼鈍を繰り返して、厚さが0.27mm以上、2.0mm以下の最終冷間圧延用の母材を得て、該母材を用いて最終冷間圧延を施す際の圧延加工率を99.0%以上、99.3%以下として、厚さが5μm以上、50μm以下であって、引張強度が535MPa以上、550MPa以下である圧延銅箔を得ることを特徴とする圧延銅箔の製造方法。
  3. 得られた圧延銅箔に、180℃以上、300℃以下、10分以上、60分以下の条件で、熱処理を施して、該圧延銅箔を再結晶焼鈍し、該再結晶焼鈍後の圧延銅箔の引張強度を80MPa以上、90MPa以下とすることを特徴とする、請求項に記載の圧延銅箔の製造方法。
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