JP5675720B2 - 負極活物質の製造方法および負極活物質 - Google Patents
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Description
本発明は、生産性に優れた、雲母族鉱物の組成を有する負極活物質の製造方法に関する。
近年におけるパソコン、ビデオカメラおよび携帯電話等の情報関連機器や通信機器等の急速な普及に伴い、その電源として優れた電池(例えばリチウム電池)の開発が重要視されている。また、情報関連機器や通信関連機器以外の分野では、例えば自動車産業界において、電気自動車やハイブリッド自動車に用いられるリチウム電池等の開発が進められている。
リチウム電池等の電池は、通常、正極層と、負極層と、正極層および負極層の間に形成された電解質層とを備える。また負極層は、通常、負極活物質を含有する。例えば特許文献1においては、少なくとも一種の遷移金属を組成に有する雲母族鉱物を負極活物質として含有するリチウム二次電池が開示されている。また特許文献2においては、層状粘土鉱物を負極材料として用いたリチウム二次電池が開示されている。このような鉱物は、豊富に存在する資源であり、特殊な加工処理を施さなくても負極活物質として十分に機能する。そのため、安価で環境負荷も小さいという利点を有し、また良好な電池特性を示す電池を形成することができる。
雲母族鉱物は通常、層状の結晶構造を有するものである。そのため、雲母族鉱物と同様の構造を有する化合物の合成を試みる場合、結晶化工程が必要となる。さらに、結晶化工程では、所望の結晶構造を得るために、例えば焼成条件の厳密な制御が必要となり、生産性が低くなるという問題がある。
上記実情に鑑みて、本発明は、生産性に優れた、雲母族鉱物の組成を有する負極活物質の製造方法を提供することを主目的とする。
上記課題を解決するために、本発明者等が上記鉱物について詳細に検討したところ、上記鉱物と同様の組成を有するガラス状の化合物においても、伝導イオン(例えばLiイオン)の挿入脱離が可能であることが確認され、本発明を完成させるに至った。すなわち、本発明においては、ガラス状の負極活物質の製造方法であって、雲母族鉱物を形成可能な組成を有する原料混合体を熱処理して原料溶融物を形成する熱処理工程と、上記原料溶融物を冷却してガラス化する冷却工程と、を有することを特徴とする負極活物質の製造方法を提供する。
本発明によれば、雲母族鉱物を形成可能な組成を有する原料混合体を熱処理して原料溶融物を得た後に原料溶融物を冷却することで、雲母族鉱物の組成を有するガラス状の負極活物質を得ることができる。また本発明は、厳密な制御を必要とする結晶化工程を含まないことから、従来の雲母族鉱物の組成を有する化合物の合成に比べて生産性が高いという利点を有する。
上記発明においては、上記原料混合体は、一般式:XY3ZSi3O10A2で表される負極活物質を形成可能であり、上記X元素が、K、Na、Ca、Li、Srの少なくとも一種であり、上記Y元素が、Mg、Fe(II)、Al、Liの少なくとも一種であり、上記Z元素が、Si、Al、Fe(III)、Ge、Ga、Bの少なくとも一種であり、上記A元素が、OH、F、Cl、O、Sの少なくとも一種であることが好ましい。
また上記発明においては、上記熱処理工程において、上記原料混合体が乾式法および湿式法によって混合されることが好ましい。
また上記発明においては、上記原料混合体を熱処理する温度が、1100℃以上であることが好ましい。
また本発明においては、一般式:XY3ZSi3O10A2で表されるガラス状の負極活物質であって、上記X元素が、K、Na、Ca、Li、Srの少なくとも一種であり、上記Y元素が、Mg、Fe(II)、Al、Liの少なくとも一種であり、上記Z元素が、Si、Al、Fe(III)、Ge、Ga、Bの少なくとも一種であり、上記A元素が、OH、F、Cl、OおよびSの少なくとも一種であることを特徴とする負極活物質を提供する。
本発明によれば、上述した一般式で表される組成を有し、ガラス状であり、伝導イオン(例えばLiイオン)の挿入脱離が可能であるため、負極活物質として機能する。
本発明においては、雲母族鉱物の組成を有するガラス状の負極活物質を製造することができ、また生産性に優れるという効果を奏する。
以下、本発明の負極活物質の製造方法、および負極活物質について詳細に説明する。
A.負極活物質の製造方法
まず、本発明の負極活物質の製造方法について説明する。本発明の負極活物質の製造方法は、ガラス状の負極活物質の製造方法であって、雲母族鉱物を形成可能な組成を有する原料混合体を熱処理して原料溶融物を形成する熱処理工程と、上記原料溶融物を冷却してガラス化する冷却工程と、を有することを特徴とする。
まず、本発明の負極活物質の製造方法について説明する。本発明の負極活物質の製造方法は、ガラス状の負極活物質の製造方法であって、雲母族鉱物を形成可能な組成を有する原料混合体を熱処理して原料溶融物を形成する熱処理工程と、上記原料溶融物を冷却してガラス化する冷却工程と、を有することを特徴とする。
図1は、本発明の負極活物質の製造方法の一例を示すフローチャートであり、具体的には次のような工程を経ることにより負極活物質を得ることができる。すなわち、雲母族鉱物を形成可能な組成を有する原料混合体を形成する。その後、原料混合体の溶融温度以上の熱処理温度で熱処理を行い、原料溶融物を形成する(熱処理工程)。次に、得られた原料溶融物を冷却することでガラス化する(冷却工程)。その結果、雲母族鉱物の組成を有するガラス状の負極活物質を得ることができる。
本発明によれば、雲母族鉱物を形成可能な組成を有する原料混合体を熱処理して原料溶融物を得た後に原料溶融物を冷却することで、雲母族鉱物の組成を有するガラス状の負極活物質を得ることができる。また本発明は、厳密な制御を必要とする結晶化工程を含まないことから、従来の雲母族鉱物の組成を有する化合物の合成に比べて生産性が高いという利点を有する。
一般的に、雲母族鉱物は層状の結晶構造を有している。図2は、雲母族鉱物の結晶構造の一例を説明する模式図である。図2に示すように、雲母族鉱物は、一対の四面体層と八面体層とから構成されるタブレット構造を有するものであり、上記タブレット構造間(層間)に陽イオン(例えばK、Na、Ca等)が配置されている。上記四面体層は、四面体の中心としてSi元素を含有し、四面体(および結合する八面体)の頂点としてO元素を含有するものである。なお、上記Si元素は、陽イオン(例えばAl、Fe(III)等)で一部置換されていても良く、また上記O元素は、陰イオン(例えばF、OH等)で一部置換されていても良い。また上記八面体層は、八面体の中心として陽イオン(例えばFe(II)、Mn等の遷移金属元素)を含有するものである。
従来、雲母族鉱物と同様の機能性を有する化合物を合成する目的から、雲母族鉱物と同様の構造を有する化合物を合成する場合、上述したような結晶構造を形成する必要がある。このような結晶構造を得るためには、厳密な制御を必要とする結晶化工程を有することが必要であり、生産性が低い。上記結晶化工程としては、例えばガラス状の化合物を形成した後に熱処理を行い結晶化する方法を挙げることができる。これに対して、本発明者等は、雲母族鉱物と同様の組成を有する化合物であれば結晶構造を有していなくても、すなわちガラス状であっても、雲母族鉱物と同様の機能性を有することを確認した。そのため、本発明は、上述したような結晶化工程を有する必要がなく、生産性に優れている。
また特許文献1等によれば、雲母族鉱物は伝導イオンを挿入脱離することができ、負極活物質として機能することが開示されている。雲母族鉱物が伝導イオンを挿入脱離する詳細なメカニズムについては明らかではないが、次のように推測される。すなわち、雲母族鉱物を構成する元素間に伝導イオン(例えばLiイオン)が挿入脱離されると考えられる。
一方、本発明においては、雲母族鉱物を形成可能な組成を有する原料混合体を熱処理して原料溶融物を形成した後に原料溶融物を冷却することで、雲母族鉱物の組成を有するガラス状の負極活物質とすることができる。このようなガラス状の負極活物質は、伝導イオンを十分に挿入脱離することができ、負極活物質として十分に機能する。ここで、上記ガラス状の負極活物質が伝導イオンを挿入脱離するメカニズムについては明らかではないが、次のように推測される。すなわち、ガラス状であるため、負極活物質を構成する原子間に隙間が生じており、上記隙間を有することで伝導イオンが挿入脱離しやすくなると考えられる。
以下、本発明の負極活物質の製造方法について、工程ごとに説明する。
以下、本発明の負極活物質の製造方法について、工程ごとに説明する。
1.熱処理工程
本発明における熱処理工程は、雲母族鉱物を形成可能な組成を有する原料混合体を熱処理して原料溶融物を形成する工程である。
本発明における熱処理工程は、雲母族鉱物を形成可能な組成を有する原料混合体を熱処理して原料溶融物を形成する工程である。
(1)原料混合体
本発明における原料混合体は、雲母族鉱物を形成可能な組成を有するものであれば特に限定されるものではない。また上記原料混合体は、例えば一般式:XY3ZSi3O10A2で表される負極活物質を形成可能なものであることが好ましい。
本発明における原料混合体は、雲母族鉱物を形成可能な組成を有するものであれば特に限定されるものではない。また上記原料混合体は、例えば一般式:XY3ZSi3O10A2で表される負極活物質を形成可能なものであることが好ましい。
上記一般式における上記X元素は、K、Na、Ca、Li、Srの少なくとも一種であれば特に限定されるものではなく、少なくともKを含有していることが好ましい。上記Y元素は、Mg、Fe(II)、Al、Liの少なくとも一種であれば特に限定されるものではないが、中でもMgおよびFe(II)の少なくとも一方を含有していることが好ましい。上記Z元素は、Si、Al、Fe(III)、Ge、Ga、Bの少なくとも一種であれば特に限定されるものではないが、中でもAlおよびFe(III)の少なくとも一方を含有していることが好ましい。また上記A元素は、OH、F、Cl、O、Sの少なくとも一種であれば特に限定されるものではなく、中でもOHおよびFの少なくとも一方を含有していることが好ましい。
上記原料混合体は、上記X元素、Y元素、Z元素およびA元素として、上述した元素の中から任意の元素をそれぞれ組み合わせて含有することができる。中でも、Y元素としてMgを含有し、Z元素としてFe(III)を含有したもの、またはY元素としてFe(II)を含有し、Z元素としてAlを含有したものであることが特に好ましい。Y元素としてMgを含有し、Z元素としてFe(III)を含有した原料混合体の一例としては、一般式:KMg3FeSi3O10F2で表される負極活物質を形成可能なものを挙げることができる。また、Y元素としてFe(II)を含有し、Z元素としてAlを含有した原料混合体の一例としては、一般式:KFe3AlSi3O10F2で表される負極活物質を形成可能なものを挙げることができる。
上記原料混合体がZ元素としてFe(III)を含有する場合、Z元素全体におけるFe(III)の割合としては、例えば、0.1mol%以上であることが好ましく、20mol%以上であることがより好ましく、50mol%以上であることが特に好ましい。また上記一般式におけるZ元素がすべてFe(III)であっても良い。
上記原料混合体がY元素としてFe(II)を含有する場合、Y元素全体におけるFe(II)の割合としては、例えば、0.1mol%以上であることが好ましく、20mol%以上であることがより好ましく、50mol%以上であることが特に好ましい。また上記一般式におけるY元素がすべてFe(II)であっても良い。
また本発明における原料混合体は、雲母族鉱物を形成可能な組成を有しているものであれば特に限定されるものではなく、具体的には、黒雲母(一般式:K(Mg,Fe(II))3ZSi3O10A2(ZはAlおよび/またはFe(III)であり、AはOHおよび/またはFである。))、鉄雲母(一般式:KFe3AlSi3O10(OH,F)2)等を形成可能な組成を有しているものとすることができる。
本発明における原料混合体としては、例えば、上記一般式におけるX元素源、Y元素源、Z元素源、Si元素源、A元素源となる複数の原料を混合することにより得ることができる。上記各元素源としては、それぞれの元素を含有しているものであれば特に限定されるものではないが、例えば、酸化物、水酸化物、フッ化物、塩化物、硫化物、炭酸塩等を挙げることができる。
上述した元素源となる複数の原料を混合する方法としては、上記原料を十分に混合できる方法であれば特に限定されるものではなく、例えば乳鉢混合法、ボールミル混合法、撹拌混合法等を挙げることができる。
上記混合方法としては、乾式法のみであっても良く、湿式法のみであっても良いが、乾式法および湿式法を組み合わせて行うことが好ましい。例えば、混合時に使用する容器等の壁面に原料が固着することを防ぐことができ、乾式法のみで混合する態様および湿式法のみで混合する態様と比べて、良好な混合状態を得ることができるからである。また、本発明においては、乾式法および湿式法がこの順に行われることが好ましい。なお、湿式法に用いられる溶媒としては、上述した原料を劣化させなければ特に限定されるものではなく、例えばエタノール等のアルコール類や非水系極性溶媒等を挙げることができる。
(2)原料溶融物
本発明における原料溶融物は、上述した原料混合体を熱処理して形成されるものである。
本発明における原料溶融物は、上述した原料混合体を熱処理して形成されるものである。
上述した原料混合体を熱処理する温度(熱処理温度)としては、所望の負極活物質が得られる程度の温度であれば特に限定されるものではなく、例えば上記原料混合体が溶融する温度以上とすることができる。上記熱処理温度は、例えば、原料混合体が有する雲母族鉱物の組成、すなわち、目的とする負極活物質の組成に応じて適宜設定することができる。具体的には、1100℃以上であることが好ましく、1250℃以上であることがより好ましく、1300℃以上であることが特に好ましい。
本発明における熱処理時間としては、均質な原料溶融物を得られる程度の長さであれば特に限定されるものではなく、原料混合体が有する組成等に応じて適宜設定することができ、例えば2時間以上であることが好ましい。熱処理時間が上記範囲より短い場合、十分に均質な原料溶融物を得ることができない可能性があるからである。
熱処理工程における雰囲気としては、原料混合体が有する雲母族鉱物の組成等に応じて適宜選択することができる。具体的には原料混合体がFe(III)を含有する場合、例えば大気雰囲気を挙げることができる。また原料混合体がFe(II)を含有する場合、例えば酸素を含有しない雰囲気(例えば不活性雰囲気)であることが好ましい。酸素を含有する雰囲気とした場合、Fe(II)が酸化されてしまい、所望の負極活物質を得ることが困難となる可能性があるためである。また、本発明における加熱方法としては所望の温度を付与できる方法であれば特に限定されない。
2.冷却工程
次に、本発明における冷却工程について説明する。本発明における冷却工程は、上述した原料溶融物を冷却してガラス化する工程である。これにより、雲母族鉱物の組成を有するガラス状の負極活物質を得ることができる。
次に、本発明における冷却工程について説明する。本発明における冷却工程は、上述した原料溶融物を冷却してガラス化する工程である。これにより、雲母族鉱物の組成を有するガラス状の負極活物質を得ることができる。
本発明における原料溶融物を冷却する方法としては、熱処理工程で得られた原料溶融物を冷却してガラス化できる方法であれば特に限定されるものではない。このような冷却方法としては、原料溶融物の組成、すなわち上述した原料混合体が有する組成等に応じて適宜選択されるものであるが、例えば、原料溶融物を冷却、ガラス化できる程度の低温の冷却媒体と、原料溶融物とを接触させる方法を挙げることができる。上記冷却媒体としては、例えば、水、氷水、冷却ロール等を用いることができる。なお、ガラス状の負極活物質が得られるのであれば、冷却方法は室内放冷(炉外放冷)であっても良い。また冷却時間は、原料溶融物の組成、すなわち上述した原料混合体が有する組成等に応じて適宜設定することできる。
3.負極活物質
本発明によって得られる負極活物質は、上述した熱処理工程および冷却工程により得られ、雲母族鉱物の組成を有するガラス状の負極活物質であれば特に限定されるものではなく、中でも一般式:XY3ZSi3O10A2で表されるものであることが好ましい。このような負極活物質については、「B.負極活物質」において詳細に説明する。
本発明によって得られる負極活物質は、上述した熱処理工程および冷却工程により得られ、雲母族鉱物の組成を有するガラス状の負極活物質であれば特に限定されるものではなく、中でも一般式:XY3ZSi3O10A2で表されるものであることが好ましい。このような負極活物質については、「B.負極活物質」において詳細に説明する。
B.負極活物質
次に、本発明の負極活物質について説明する。本発明の負極活物質は、一般式:XY3ZSi3O10A2で表されるガラス状の負極活物質であって、上記X元素が、K、Na、Ca、Li、Srの少なくとも一種であり、上記Y元素が、Mg、Fe(II)、Al、Liの少なくとも一種であり、上記Z元素が、Si、Al、Fe(III)、Ge、Ga、Bの少なくとも一種であり、上記A元素が、OH、F、Cl、O、Sの少なくとも一種であることを特徴とするものである。
次に、本発明の負極活物質について説明する。本発明の負極活物質は、一般式:XY3ZSi3O10A2で表されるガラス状の負極活物質であって、上記X元素が、K、Na、Ca、Li、Srの少なくとも一種であり、上記Y元素が、Mg、Fe(II)、Al、Liの少なくとも一種であり、上記Z元素が、Si、Al、Fe(III)、Ge、Ga、Bの少なくとも一種であり、上記A元素が、OH、F、Cl、O、Sの少なくとも一種であることを特徴とするものである。
本発明によれば、上述した一般式で表される組成を有し、ガラス状であり、伝導イオン(例えばLiイオン)の挿入脱離が可能であるため、負極活物質として機能する。このような組成としては、例えば、上述した黒雲母(一般式:KMg3FeSi3O10F2(Fe(III)置換型))および鉄雲母(一般式:KMg3FeSi3O10F2(Fe(II)置換型))の組成を挙げることができる。
ここで、本発明において「ガラス状である」とは、CuKα線を用いたX線回折(XRD)測定における半値幅が4°以上となるハローピークを有していることをいう。ハローピークは、通常、XRD測定する化合物において、上記化合物を構成する原子が無秩序に配列している場合に観察できる。また本発明においては、上記ハローピークのピークトップが2θ=25°〜30°の範囲内に存在していることが好ましい。
上記負極活物質は、CuKα線を用いたXRD測定において、上述したハローピークを有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば上述した一般式におけるY元素およびZ元素の少なくとも一方を含有するスピネル化合物の結晶相を示すピークが観察されないことが好ましい。負極活物質内に不純物として析出する結晶相の割合を十分に低くできるからである。また上記負極活物質は、上述したハローピークを有していれば雲母族鉱物と同様の結晶相のピークを有していても良く、有していなくても良い。
具体的には、本発明によって得られる負極活物質が上述したFe(III)置換型である場合、CuKα線を用いたXRD測定において、上述したハローピークを有しており、2θ=35.6°±0.5°の位置に不純物相(Z元素(Fe(III))を有するスピネル型酸化物、MgFe2O4)のピークを有していないことが好ましい。またこの場合、上記負極活物質は、上述したハローピークを有していれば雲母族鉱物と同様の結晶相のピーク(例えば2θ=26.8°±0.5°のピーク)を有していても良く、有していなくても良い。
また本発明によって得られる負極活物質が上述したFe(II)置換型である場合、CuKα線を用いたXRD測定において、上述したハローピークを有しているものであり、2θ=35.6°±0.5°の位置に不純物相(Y元素(Fe(II))を有するスピネル型酸化物、MgFe2O4)のピークが観察されないことが好ましい。またこの場合、上記負極活物質は、上述したハローピークを有していれば雲母族鉱物と同様の結晶相のピークを有していても良く、有していなくても良い。
また上記負極活物質は、主相としてガラス状の相を有していることが好ましく、中でも負極活物質内における結晶相の割合が0であることがより好ましい。
負極活物質の形状としては、例えば粒子形状、薄膜形状等を挙げることができる。また、負極活物質が粒子形状である場合、その平均粒径は、例えば0.1μm〜50μmの範囲内であることが好ましい。
また本発明においては、上述した負極活物質を用いることを特徴とする電池を提供することができる。上記電池としては、正極活物質を含有する正極層と、上述した負極活物質を含有する負極層と、上記正極層および上記負極層の間に形成される電解質層とを有するものであれば特に限定されるものではない。上記電池の構成としては、一般的な電池に用いられるものを使用することができる。
上記電池としては、上述した原料混合体におけるX元素の種類等によって選択されるものであり、例えばリチウム電池、ナトリウム電池、マグネシウム電池およびカルシウム電池等を挙げることができる。また、本発明の負極活物質を用いて作製した電池は、一次電池であっても良く、二次電池であっても良いが、中でも、二次電池であることが好ましい。繰り返し充放電でき、例えば車載用電池として有用だからである。なお、上記一次電池とは、例えば一次電池的利用が可能な電池、すなわち、まず十分に充電を行い、その後放電を行う電池をいう。このような電池の形状としては、例えば、コイン型、ラミネート型、円筒型および角型等を挙げることができ、中でも角型およびラミネート型が好ましく、特にラミネート型が好ましい。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下に実施例を示して本発明をさらに具体的に説明する。
[実施例1]
(負極活物質の合成)
次に示す出発原料を準備した。
・二酸化珪素(SiO2、和光純薬株式会社)
・酸化マグネシウム(MgO、和光純薬株式会社)
・酸化鉄(III)(Fe2O3、和光純薬株式会社)
・フッ化カリウム(KF、和光純薬株式会社)
・フッ化マグネシウム(MgF2、和光純薬株式会社)
(負極活物質の合成)
次に示す出発原料を準備した。
・二酸化珪素(SiO2、和光純薬株式会社)
・酸化マグネシウム(MgO、和光純薬株式会社)
・酸化鉄(III)(Fe2O3、和光純薬株式会社)
・フッ化カリウム(KF、和光純薬株式会社)
・フッ化マグネシウム(MgF2、和光純薬株式会社)
原料混合体の組成がKMg3FeSi3O10F2となるように、上記出発原料を秤量した。上記出発原料をメノウ乳鉢に入れ、乾式法で5分間混合した後、さらに湿式法(溶媒:エタノール)で5分間混合して原料混合体を得た。次に、原料混合体1gを、150MPaの圧力で静水圧プレス(CIP)により成形し、乾燥した。原料混合体を白金容器に充填・密閉し、大気雰囲気下、1350℃、2時間の条件で熱処理して混合溶融物を形成した。その後、混合溶融物を室内放冷(炉外放冷)し、ガラス状の負極活物質を得た。
[実施例2〜3]
原料混合体を熱処理する温度を1320℃としたこと以外は、実施例1と同様に負極活物質を得た。
原料混合体を熱処理する温度を1320℃としたこと以外は、実施例1と同様に負極活物質を得た。
[実施例4]
次に示す出発原料を準備した。
・二酸化珪素(SiO2、和光純薬株式会社)
・酸化アルミニウム(Al2O3、和光純薬株式会社)
・酸化鉄(II)(FeO、Aldrich社)
・フッ化カリウム(KF、和光純薬株式会社)
・フッ化鉄(II)(FeF2、和光純薬株式会社)
次に示す出発原料を準備した。
・二酸化珪素(SiO2、和光純薬株式会社)
・酸化アルミニウム(Al2O3、和光純薬株式会社)
・酸化鉄(II)(FeO、Aldrich社)
・フッ化カリウム(KF、和光純薬株式会社)
・フッ化鉄(II)(FeF2、和光純薬株式会社)
原料混合体の組成がKFe3AlSi3O10F2となるように、出発原料を秤量した。上記出発原料をメノウ乳鉢に入れ、乾式法で5分間混合した後、さらに湿式法(溶媒:エタノール)で5分間混合して原料混合体を得た。次に、原料混合体1gを、150MPaの圧力で静水圧プレス(CIP)により成形し、乾燥した。原料混合体を白金容器に充填・密閉し、不活性雰囲気下、1300℃、2時間の条件で熱処理して混合溶融物を形成した。その後、混合溶融物を室内放冷(炉外放冷)し、ガラス状の負極活物質を得た。
[評価1]
(X線回折測定)
実施例1〜4で得られた負極活物質を用いて、CuKα線によるX線回折(XRD)測定を行った。その結果を図3に示す。図3に示されるように、実施例1〜4のいずれにおいても、半値幅が4°以上となるハローピークを有することが確認できた。また、実施例1〜4のいずれにおいても、2θ=25°〜30°の範囲内にハローピークのピークトップが存在することが確認できた。これにより、実施例1〜4で得られた負極活物質はガラス状であることが確認された。
(X線回折測定)
実施例1〜4で得られた負極活物質を用いて、CuKα線によるX線回折(XRD)測定を行った。その結果を図3に示す。図3に示されるように、実施例1〜4のいずれにおいても、半値幅が4°以上となるハローピークを有することが確認できた。また、実施例1〜4のいずれにおいても、2θ=25°〜30°の範囲内にハローピークのピークトップが存在することが確認できた。これにより、実施例1〜4で得られた負極活物質はガラス状であることが確認された。
また実施例1〜3では、2θ=35.6°±0.5°の位置に不純物相(スピネル型酸化物、MgFe2O4)のピークは確認されなかった。なお、実施例1および3では、26.8°±0.5°の位置に雲母族鉱物と同様の結晶相のピークが確認されたが、実施例2では、上記結晶相のピークは確認されなかった。また実施例4においても、2θ=35.6°±0.5°の位置に不純物相(スピネル型酸化物、FeAl2O4)のピークは確認されなかった。
[評価2]
(電池作製)
実施例3および4で得られた負極活物質を用いて評価用電池を作製し、電池特性の評価を行った。まず、固形分15%のポリイミドバインダー前駆体(東レ株式会社製)0.160gと、溶媒であるNMP0.285gとを軟膏容器に封入し、マグネッチクスターラーチップを投入した後、撹拌機で5分間撹拌した。次に、導電助剤HS−100を加えてさらに5分間撹拌した。続いて、実施例3および4で得られた負極活物質を40μmメッシュで分級した。分級後の負極活物質0.250gを加えて10分間混合してスラリーを作製した。なお、負極活物質、バインダーおよび導電助剤の重量比は、負極活物質:バインダー:導電助剤=64:6:30である。
(電池作製)
実施例3および4で得られた負極活物質を用いて評価用電池を作製し、電池特性の評価を行った。まず、固形分15%のポリイミドバインダー前駆体(東レ株式会社製)0.160gと、溶媒であるNMP0.285gとを軟膏容器に封入し、マグネッチクスターラーチップを投入した後、撹拌機で5分間撹拌した。次に、導電助剤HS−100を加えてさらに5分間撹拌した。続いて、実施例3および4で得られた負極活物質を40μmメッシュで分級した。分級後の負極活物質0.250gを加えて10分間混合してスラリーを作製した。なお、負極活物質、バインダーおよび導電助剤の重量比は、負極活物質:バインダー:導電助剤=64:6:30である。
次に、集電体として銅箔を用意した。その後、銅箔の表面に、ドクターブレード法によりスラリーを塗工し、ロールプレス法により3回プレスを行った。続いて、Ar気流下、5℃/minで昇温し、350℃で2時間保持することで、バインダーを熱処理した。その後、φ=16mmで打ち抜き、試験電極を得た。コインセルを用い、作用極として上記試験電極を用い、対極としてLi金属を用い、セパレータとして、ポリエチレン製セパレータを用いた。また電解液として、エチレンカーボネート(EC)、エチルメチルカーボネート(EMC)およびジメチルカーボネート(DMC)をEC:EMC:DMC=3:4:3の体積比で混合した溶媒に、支持塩であるLiPF6を濃度1mol/Lで溶解させたものを用いた。これらを用いて評価用電池を得た。なお、コインセルはかしめによって下缶が歪むため、作用極および対極に厚さ0.5mmのスペーサ−を入れた。
(初回充放電特性評価)
実施例3および4で得られた負極活物質を含有する評価用電池を用いて60℃における初回充放電特性を評価した。なお、充放電条件は次の通りである。
充電電位:0.01V、電流値:0.1C(活物質当たり1000mAh/gから1C容量算出)、Cut:0.02mA
放電電位:2.0V、電流値:0.1C
その結果を、図4および表1に示す。図4および表1の結果から、雲母族合物と同様にLiイオンが挿入脱離していることが確認できた。したがって、雲母族鉱物と同様の組成を有するガラス状化合物は、負極活物質として機能することが確認できた。
実施例3および4で得られた負極活物質を含有する評価用電池を用いて60℃における初回充放電特性を評価した。なお、充放電条件は次の通りである。
充電電位:0.01V、電流値:0.1C(活物質当たり1000mAh/gから1C容量算出)、Cut:0.02mA
放電電位:2.0V、電流値:0.1C
その結果を、図4および表1に示す。図4および表1の結果から、雲母族合物と同様にLiイオンが挿入脱離していることが確認できた。したがって、雲母族鉱物と同様の組成を有するガラス状化合物は、負極活物質として機能することが確認できた。
また、一般的に負極活物質として広く用いられている黒鉛の初回Li脱離容量は350mAh/g程度であり、本発明で得られる負極活物質の初回Li脱離容量の方が高くなることが確認できた。
(サイクル特性評価)
実施例3および4で得られた負極活物質を含有する評価用電池を用いて、25℃におけるサイクル特性を評価した。なお、充放電条件は、充放電特性評価と同様として充放電を行い、50サイクル繰り返した。その結果を、図5に示す。図5に示すように、いずれの評価用電池も10サイクル目程度までは、容量が低下するものの、それ以降は容量が安定していることが確認できた。
実施例3および4で得られた負極活物質を含有する評価用電池を用いて、25℃におけるサイクル特性を評価した。なお、充放電条件は、充放電特性評価と同様として充放電を行い、50サイクル繰り返した。その結果を、図5に示す。図5に示すように、いずれの評価用電池も10サイクル目程度までは、容量が低下するものの、それ以降は容量が安定していることが確認できた。
Claims (5)
- ガラス状の負極活物質の製造方法であって、
雲母族鉱物を形成可能な組成を有する原料混合体を熱処理して原料溶融物を形成する熱処理工程と、
前記原料溶融物を冷却してガラス化する冷却工程と、
を有することを特徴とする負極活物質の製造方法。 - 前記原料混合体は、一般式:XY3ZSi3O10A2で表される負極活物質を形成可能であり、
前記X元素が、K、Na、Ca、Li、Srの少なくとも一種であり、
前記Y元素が、Mg、Fe(II)、Al、Liの少なくとも一種であり、
前記Z元素が、Si、Al、Fe(III)、Ge、Ga、Bの少なくとも一種であり、
前記A元素が、OH、F、Cl、O、Sの少なくとも一種であることを特徴とする請求項1に記載の負極活物質の製造方法。 - 前記熱処理工程において、前記原料混合体が乾式法および湿式法の両方によって混合されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の負極活物質の製造方法。
- 前記原料混合体を熱処理する温度が、1100℃以上であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載の負極活物質の製造方法。
- 一般式:XY3ZSi3O10A2で表されるガラス状の負極活物質であって、
前記X元素が、K、Na、Ca、Li、Srの少なくとも一種であり、
前記Y元素が、Mg、Fe(II)、Al、Liの少なくとも一種であり、
前記Z元素が、Si、Al、Fe(III)、Ge、Ga、Bの少なくとも一種であり、
前記A元素が、OH、F、Cl、O、Sの少なくとも一種であることを特徴とする負極活物質。
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