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JP5737181B2 - 光学素子用樹脂成形品の製造装置、及び、光学素子の製造方法 - Google Patents
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光学素子用樹脂成形品の製造装置、及び、光学素子の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、光学素子用樹脂成形品の製造装置、及び、光学素子の製造方法に関し、特に、樹脂により形成された基材の表面の一部に光学面を有し、基材の内部に加圧流体を外部から注入することによって形成された中空部を有する光学素子用樹脂成形品の製造装置、及び、光学素子の製造方法に関する。
複写機やレーザービームプリンタに代表されるデジタル機器は、近年の高画質、高精細化の要求により記録密度等の更なる増大が求められてきている。しかしながら、高精細化等のためにはおのずと使用する部品各々の高い制御、精度が求められ、その一部品である光学素子にいたっても、光源から照射された光を透過、反射等を行って集光や偏向、変形させるため、光学面のより一層の高面精度が求められている。特に最近では、長寿命、安定出力が得られる短波長の青色レーザが注目され、これによりさらに微少なスポットが形成できるため、それに対応した高面精度な光学素子が要求されてきている。
ところが要求される面精度が高まってくるに従い、従来それほど気にしていなかった点が大きな技術課題として顕在化してきている。その最たる課題としては、樹脂射出成形での樹脂硬化時の収縮に伴い発生する反りやヒケによる光学面の変形の影響がある。特に、fθ特性を持たせるような光学素子においては、走査方向に対して発生する反りの影響がより顕在化し、従来の射出成形ではこのような高精度な光学部品の品質を確保することが困難な状況となってきている。また、上述したようにレーザビームに短波長、例えば、青色レーザでの適用の場合、樹脂製レンズの耐候性が高面精度を維持するのに更なる障害となる。
この問題に対し、本発明者は、中空射出成形の効果に着目し光学部品への適用を考えた。中空射出成形により中空を形成することで、成形品の反りやヒケの原因となる樹脂の体積収縮時の引張応力が中空部に解放され、中空部の表面にヒケという形で発現することで、成形品の表面に発生する反りやヒケが緩和できるからである。
ここで、樹脂成形品に中空部を設ける方法としては、以下のガスアシスト成形法がある。例えば、光学的反射面を形成するための金型面を有するキャビティが設けられた金型を使用し、キャビティ内に溶融熱可塑性樹脂を射出し、キャビティ内に突設させたノズルの先端部からキャビティ内の溶融熱可塑性樹脂中に加圧流体を注入し、中空部を形成し(加圧流体注入工程)、キャビティ内の熱可塑性樹脂が固化、冷却するまでの間、中空部内の圧力を所望の圧力範囲に保持し(保圧工程)、中空部内の加圧流体を排気し(加圧流体排気工程)、その後、金型を開き、金型から樹脂成形品である光学的反射部材を取り出している(離型工程)。
上記の加圧流体注入工程、保圧工程、加圧流体排気工程を設けることにより、成形品の表面に発生する反り等を緩和し、成形品の光学面の精度を向上させることができる(例えば、特許文献1)。
特開2001−105449号公報
ところでこのような加圧流体を注入させる成形装置として特許文献1に記載の技術では、可動側の金型にノズルが配置された成形装置が開示されている。しかしながら係る構成は、成形品を金型から離型する際の離型抵抗を生じさせる。この点、特許文献1に記載された成形装置では特に考慮されていないが、本発明のような高い光学面の面精度が要求される光学素子においては、係る構成による離型抵抗はそのまま光学面に悪影響を生じかねず、そのまま採用する事は困難である。
本発明は、上記の問題を解決するものであり、ノズルといった異形な形状を金型に備える場合であっても、金型から成形品を離型する際に光学性能に悪影響を与えず、効率的に成形品としての光学素子を離型する事ができる光学素子用樹脂成形品の製造装置、及び、光学素子の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の第1の形態は、表面の一部に光学面と内部に中空部とを有する樹脂性の基材を含む光学素子用樹脂成形品の製造装置であって、固定配置された第1金型と、前記第1金型に対して型締め方向及び型開き方向に移動可能に設けられ、前記型締めすることにより前記光学面より広いキャビティを形成するように設けられた、前記キャビティ内に射出される溶融樹脂に前記光学面を転写するための転写面を含む金型面を前記キャビティ側に有する第2金型と、前記第2金型の前記転写面を除く前記金型面から前記キャビティ側へ先端部を突出するように前記第2の金型に設けられ、前記キャビティ内に射出される前記溶融樹脂中に加圧流体を注入することにより前記中空部を形成するためのノズルと、前記金型面の前記転写面の外側で前記ノズルの周囲に複数本設けられ、それぞれの一端が前記ノズルの周囲から前記型締め方向へ向けて、それぞれの他端が前記型締め方向に配されたプレートに取り付けられて、前記型締め方向及び型開き方向に移動可能に前記第2の金型に設けられ、前記型締めのときは前記プレートを介して前記一端が前記第2の金型面の位置になるよう支持されて、前記型開きのときは前記プレートが相対的に前記型締め方向へ移動することにより前記一端が前記第2の金型の金型面から突出することで、前記溶融樹脂が固形化した前記基材を前記第2の金型から離間させるエジェクターピンと、を備えたことを特徴とする光学素子用樹脂成形品の製造装置である。
さらに、本発明の第の形態は、第の形態に係る光学素子用樹脂成形品の製造装置であって、前記ノズルは軸状に形成され、前記ノズルの先端部は、前記ノズルの先端から前記ノズルの基端側に向かって前記軸の外径を徐々に大きくさせたテーパー形状を有していることを特徴とする。
さらに、本発明の第の形態は、第1又は第2の形態に係る光学素子用樹脂成形品の製造装置であって、前記ノズルの先端部は、コーティング膜で被膜されていることを特徴とする。
さらに、本発明の第の形態は、表面の一部に光学面と内部に中空部とを有する樹脂性の基材を含む光学素子の製造方法であって、固定配置された第1の金型に対して前記光学面を転写するための転写面を含む金型面を有する第2の金型により型締めすることにより、前記転写面に接するキャビティを形成するとともに、前記キャビティ内に、前記第2の金型に設けられたノズルの先端部を突出させ、かつ、該ノズルの周辺に設けられ複数のエジェクターピンの一端が前記第2の金型面の位置になるように前記複数のエジェクターピンの他端が取り付けられたプレートを配置しておく、型締め工程と、前記キャビティ内に前記の溶融樹脂を射出する溶融樹脂射出工程と、前記溶融樹脂射出工程でキャビティ内の一部に溶融樹脂が注入された段階で、前記ノズルの先端部を通して加圧流体を注入することで、前記溶融樹脂中に前記中空部を形成する加圧流体注入工程と、前記第1の金型に対して前記第2の金型を移動させることで離間させる型開き工程と、前記型開き工程における第2の金型の移動に対して相対的に、前記プレートを該移動とは反対方向に移動させることで、前記複数のエジェクターピンの前記一端を前記第2の金型の金型面より突出させて、前記第2の金型から前記加圧流体注入工程を経て成形された中空部を有する前記光学素子を離型させる離型工程と、を有することを特徴とする光学素子の製造方法である。
本発明によれば、第2金型に転写面、及び、ノズルを設けたことにより、基材を離型するときの離型抵抗が第1金型より第2金型の方が大きくなり、基材を第1金型から容易に離型することが可能となる。また、第2金型にエジェクターピンを設け、エジェクターピンの先端面をキャビティの金型面から突出させて、基材を第2金型から離型することが可能となる。さらに、基材を離型させるとき、エジェクターピンの先端面により、ノズルの先端部と転写面との間の中間部である金型面から突出させたので、基材をノズルの先端部及び転写面からそれぞれ離型させ易く、離型抵抗による歪みを基材の光学面に生じさせず、基材の光学面の精度低下を防止することが可能となる。
本発明の一実施形態に係るfθミラーの平面図である。 (a)はfθミラーの部分正面図、(b)は(a)のIIb−IIb線断面図、(c)は、(a)のIIc−IIc線断面図、(d)は(a)のIId−IId線断面図である。 本発明の一実施形態に係る射出成形機の正面図である。 射出成形機の部分正面図である。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。図1から図4は、本発明の一実施形態を示している。
(光学素子用樹脂成形品)
先ず、本発明の一実施形態に係る射出成形機により製造すべき光学素子用樹脂成形品について説明する。光学素子用樹脂成形品は、鏡面性、寸法精度、軽量性、安全性、耐久性、経済性が強く要求される電気製品、自動車部品、医療用、保安用、建材用、家庭用品など多くの用途に好適な光学素子である。
本発明に係る光学素子の一例としては、レーザ走査光学装置に組み込まれ、光源から出射した出射光を入射し、ポリゴンミラーに集光させ、ポリゴンミラーが所定速度で回転することによって走査された走査光に対してfθ特性を持たせるfθミラー10である。
次に、fθミラー10について図1及び図2を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るfθミラーの平面図、図2(a)はfθミラーの部分正面図、図2(b)は図2(a)のIIb−IIb線断面図、図2(c)は、図2(a)のIIc−IIc線断面図、図2(d)は図2(a)のIId−IId線断面図である。
fθミラー10においては、長尺の板状の基材と、基材の一つの表面11に位置する光学面(鏡面部)13と、光学面13の裏面の基材内部に位置する中空部14とを有する。中空部14の長尺方向の長さは光学面13の長尺方向の長さより長く、さらに、中空部14の両端を光学面13の長尺方向の両端より外側に形成することで、樹脂の硬化に伴う収縮により発生する引張応力が中空部14に解放されるため、樹脂の体積収縮に伴う長尺方向の反りが光学面13全体にわたり緩和され面精度が向上する。
従来技術では、樹脂の体積収縮に伴って成形品による金型の抱え込みが発生し、離型抵抗による光学面13の歪みが発生していたが、光学面13を板面全体にわたり基材より厚さ方向で突出させることで、離型抵抗による光学面13の歪みの発生を抑制することが可能となる。光学面13の表面粗さRaは、Ra≦5(nm)の範囲内で形成されていることが好ましい。それにより、例えば、波長500nm以下の短波長用で用いられる面精度を達成することが可能となる。また、2(nm)<Ra≦5(nm)の範囲内で形成されていることがより好ましい。
fθミラー10の周壁12は抜き勾配を有している。第2金型22(図3、図4参照)のキャビティ31の金型面311に抜き勾配を付けることにより、第2金型22からfθミラー10を離型するときの離型抵抗を減少させ、fθミラー10の光学面13のひずみや変形を防止することが可能となる。また、金型の耐久性を向上することも可能となる。ここでの抜き勾配は、fθミラー10の材料及び厚み(図2(a)に示す厚さ方向の寸法)等に応じて設定され、1°〜10°であることが好ましい。
fθミラー10においては、fθミラー10をレーザ走査光学装置の所定位置に設置するための位置決め部15を有している。位置決め部15は、長尺方向の位置決め部151、短尺方向の位置決め部152、及び、厚さ方向(長尺方向及び短尺方向にそれぞれ直交する方向)の位置決め部153を有している。fθミラー10の周壁12に形成された長尺方向の位置決め部151を図2(a)、図2(b)に示す。また、fθミラー10の周壁12に形成された短尺方向の位置決め部152を図2(a)、図2(c)に示す。さらに、基材の表面11であって、長尺方向の端縁部に形成された厚さ方向の位置決め部153を図2(a)、図2(d)に示す。
長尺方向の位置決め部151は、周壁12から2〜3mm程度、短尺方向に突出させた突起部であり、突起部は、長尺方向に対して直交する両側面151aを有している。また、短尺方向の位置決め部152は、周壁12から0.2〜0.5mm程度、短尺方向に突出させた突起部であり、突起部は、短尺方向に対して直交する先端面152aを有している。さらに、厚さ方向の位置決め部152は、基材の表面11(光学面13を除く)から0.2〜0.5mm程度、厚さ方向に突出させた突起部であり、突起部は、厚さ方向に対して直交する先端面153aを有している。なお、図1においては、各位置決め部15を省略したfθミラー10の周壁12を示している。
長尺方向の位置決め部151の側面151a、短尺方向の位置決め部152の先端面152a、及び、厚さ方向の位置決め部153の先端面153aを、レーザ走査光学装置の予め定められた各所に当接させることにより、fθミラー10をレーザ走査光学装置の所定位置に設置することが可能となる。
また、fθミラー10においては、ガスノズル35の先端部351の跡であるノズル跡16、及び、エジェクターピン36の先端面361の跡であるエジェクターピン跡17を有している。ノズル跡16、及び、エジェクターピン跡17は、基材の表面11であって、パーティングライン跡18から光学面13が形成された片側の表面(光学面13を除く)に形成されている。ここで、パーティングライン跡18とは、第1金型と第2金型の型合わせ面の跡である。ノズル跡16を図2(d)に示し、また、エジェクターピン跡17を図1に示す。
ノズル跡16は、光学面13から一段下がった基材の表面11の長尺方向の一端部に設けられている。ノズル跡16は、略円形断面の溝形状に形成され、口径約5mmの開口部161と、開口部161より小径に形成された底部162を有している。ノズル跡16は中空部14の一端側に通じている。ノズル跡16は、ガスノズル35の先端部351の形状を転写した形状に形成されている。ノズル跡16は抜き勾配を有している。ガスノズル35の先端部351には抜き勾配を付けることにより、ガスノズル35の先端部351とfθミラー10のノズル跡16とを少しでも相互に離間させると、ノズル跡16がガスノズル35の先端部351から離れるため、ノズル跡16の離型抵抗を減少させ、ノズル跡16及び、ノズル跡16近傍の光学面のひずみや変形を防止することが可能となる。また、金型の耐久性を向上することも可能となる。ここでの抜き勾配は、ノズル跡16がガスノズル35の先端部351に抱き付くことを考慮すれば、1°以上であることが好ましく、ガスノズル35の軸径を必要以上に大きくさせないことを考慮すれば10°以下であることがさらに好ましい。なお、ガスノズル35の詳細な形状及び配置については後述する。
エジェクターピン跡17は、光学面13から一段下がった基材の表面11であって、ノズル跡16の周囲にほぼ等間隔をおいて複数設けられていると共に、光学面13の周囲に互いに所定の間隔をおいて複数設けられている。この場合において、エジェクターピン跡17は、光学面13とノズル跡16との間の基材の表面11に形成されている。エジェクターピン跡17は、直径約2mmの円形の線状に形成されている。エジェクターピン跡17は、エジェクターピン36の先端面361の形状(約2mmの外径を有する円形形状)を転写した形状に形成されている。なお、エジェクターピン36の詳細な形状及び配置については後述する。
fθミラー10を離型したとき、fθミラー10には、ゲートに充填された溶融樹脂により形成されたゲート形状樹脂19、及び、ゲート形状樹脂19を介して、ランナー322に充填された溶融樹脂により形成されたランナー形状樹脂19aが連結されている。上記したノズル跡16、及び、エジェクターピン跡17はランナー形状樹脂19aの表面に形成されても良い。この場合においても、エジェクターピン跡17は、光学面13とノズル跡16との間の基材の表面11に形成されている。また、ノズル跡16、及び、エジェクターピン跡17は、パーティングライン跡18から光学面13が形成された片側の表面に形成されている。
パーティングライン跡18は、型合わせ面(後述する第1金型21と第2金型22との合わせ面)の跡であり、線状に形成される。fθミラー10の周壁12の下端(光学面13が形成された基材の表面11とは、反対側の表面11)に形成されたパーティングライン跡18を図2(a)に示す。
(射出成形機)
次に、fθミラー10の基材を製造するための射出成形機(光学素子用樹脂成形品の製造装置)について図3及び図4を参照して説明する。図3は、キャビティ31に充填された溶融樹脂を長尺方向で剪断して示した射出成形機の正面図、図4は、第1金型21、第2金型22、ガスノズル35、及び、エジェクターピン36を主に示した射出成形機の部分正面図である。
射出成形機は、キャビティ31を有する金型と、キャビティ31に溶融樹脂を充填させる充填手段(図示省略)と、充填された溶融樹脂中に圧縮ガス(加圧流体)を注入するためのガス注入手段34と、溶融樹脂の充填、溶融樹脂の充填停止、及び、圧縮ガスの注入開始、圧縮ガスの注入停止、中空部からの圧縮ガスの排気をそれぞれ制御する制御手段(図示省略)を有している。
(金型)
金型は、第1金型21と、第1金型21との間で型締めをすべく第1金型21に対して近接し、又は、基材を離型すべく第1金型21に対して離間するように移動可能に設けられた第2金型22とを有する。第1金型21及び第2金型22には、型締めすることによりキャビティ31、ランナー(図示省略)、及び、スプール(図示省略)が形成される。
キャビティ31には、ゲート、ランナー、及び、スプールが連続して形成されている。キャビティ31、並びに、ランナー及びスプール(金型の通路)に沿ってヒータ(図示省略)が設けられている。ヒータを設けたことにより、キャビティ31及び金型の通路に接触した溶融樹脂が熱伝導によって冷却された流動性を失って固化するのを防止している。ヒータに代えて、金型に温度調節用の水路を設けても良い。
第1金型21は、第1金型取付板211に取り付けられている。また、第2金型は、第2金型取付板に221に受け板222を介して取り付けられている。第2金型22には、キャビティ31内に射出される溶融樹脂に光学面13を転写するための転写面223を有している。光学面13の表面粗さRa≦5(nm)を達成するため、転写面223は、表面粗さRaが5nm以下に切削加工で形成されている。
第2金型22には、ガスノズル35が設けられている。ガスノズル35は、転写面223を除くキャビティ31の金型面311に形成された貫通穴312を通って、キャビティ31内に突設させた先端部351を有している。ガスノズル35は、キャビティ31内の溶融樹脂中に先端部351から圧縮ガスを注入することにより中空部14を形成する。
ガスノズル35は軸状に形成されている。ガスノズル35は、外径約φ5mmから徐々に先細に形成された先端部351、外径約φ5mmの軸部352、及び、外径約φ18mmの基端部353を有している。ガスノズル35の先端からガスノズル35の基端側に向かって軸の外径を徐々に大きくさせたテーパー形状を有するガスノズル35の先端部351を図4に示す。ガスノズル35の先端部351は、1°〜10°の抜き勾配が付けられている。ガスノズル35の先端部351に抜き勾配を付けたことにより、前述したように、ノズル跡16の離型抵抗を減少させ、ノズル跡16及び、ノズル跡16近傍の光学面のひずみや変形を防止することが可能となる。また、金型の耐久性を向上することも可能となる。
また、ガスノズル35の先端部351は、離型性を向上させるコーティング膜を有している。コーティング膜としては、例えば、白金系合金膜、ダイヤモンド状炭素膜、窒化チタン膜、酸化クロム膜等が挙げられ、耐酸化性を向上させるコーティング膜としては、例えば、貴金属薄膜等が挙げられる。
ガスノズル35の先端部351の被膜処理としては、電気メッキ、拡散メッキ、蒸着メッキ、無電解メッキ、容射等の金属被膜処理、CVD、PVD、イオンプレーティング、スパッタリング、真空蒸着などによるセラミックコーティング等の非金属被膜処理、又は、それらの複合被膜処理が挙げられる。具体的には、硬質クロム等の電解メッキ及び無電解メッキ、窒化チタン(TiN)、窒化クロム(CrN)、窒化チタンアルミ(TiAlN)等のセラミックコーティング処理等が挙げられる。
第2金型22にはエジェクターピン36が設けられている。エジェクターピン36は、外径約φ2mmの軸状に形成されている。エジェクターピン36を通すための挿通穴313が、第2金型のキャビティ31の金型面311に4箇所設けられている。4箇所の挿通穴313は、ガスノズル35の基端部353(図1に想像線で示す)の周囲にほぼ等間隔で設けられている。その中の2つの挿通穴313は、ガスノズル35の先端部351と転写面223との間のキャビティ31の金型面311に設けられている。他の2つの挿通穴313は、ガスノズル35の先端部351を中心として転写面223とは反対側の金型面311に設けられている。また、4つの挿通穴313に対応して4つの挿通穴224が受け板222に形成されている。
以上の挿通穴313の配置により、ガスノズル35の基端部353(図1に想像線で示す)の周囲にほぼ等間隔で4つのエジェクターピン36が設けられ、その中の2つのエジェクターピン36が、ガスノズル35の先端部351と転写面223との間のキャビティ31の金型面311に設けられている。これに限らず、ガスノズル35の先端部351と転写面223との間のキャビティ31の金型面311には、1以上のエジェクターピン36が設けられていれば良い。
第2金型取付板221と受け板222との間には、エジェクタープレート225が配置されている。エジェクタープレート225は、付勢手段により受け板222に対し所定距離を保持するように支持されている。
エジェクターピン36の基端側は、挿通穴313、及び、挿通穴224を通り抜け、エジェクターピン36の基端部363が、エジェクタープレート225に固定されている。第2金型22が第1金型21との間で型締めすべく近接したとき、エジェクターピン36の先端面361は、挿通穴313を塞ぐように没入していて、それにより、キャビティ31の金型面311の一部を構成する。
第2金型22を第1金型21に対し離間させると、第2金型22と共に、受け板222、エジェクタープレート225、及び、エジェクターピン26が第1金型21から離間する。さらに、第2金型22を第1金型21に対し所定量離間させると、エジェクタープレート225が第2金型取付板221に当接し、エジェクタープレート225及びエジェクターピン36が第2金型22と相対的に移動し、エジェクターピン36の先端面361が、金型面311からキャビティ31内に突出して、fθミラー10を第2金型22から離型させる。エジェクターピン36の突出位置は、ガスノズル35の先端部に対応する位置とガスノズル35の先端部が配置される側のfθミラー10の光学面の端部との間に配置されている。
エジェクタープレート225に固定されたエジェクターピン36の基端部363、及び、金型面311の一部を構成した先端面361を図3、図4に示す。第2金型22が第1金型21に対して離間したときのエジェクターピン36の先端面361を図4(a)に示す。また、第2金型22が第1金型21に対して近接したときのエジェクターピン36の先端面361を図4(b)に示す。
次に、金型のキャビティ31に溶融樹脂を充填するための手段、及び、充填された溶融樹脂中に圧縮ガスを注入するための手段について説明する。
(充填手段)
充填手段は、fθミラー10の短尺側から長尺方向に向かって充填させるように金型に配置されることが望ましい。fθミラー10の短尺側をキャビティ31の下端側として図1に示す。
スプール(金型の通路)には、図外の充填手段の噴出口が通じている。充填手段は、溶融樹脂を噴出口から押し出すためのスクリュー(図示省略)を有している。スクリューは、溶融樹脂を噴出口からスプール、ランナー、ゲートに通し、キャビティ31に充填させる。
(ガス注入手段)
ガス注入手段34は、圧縮ガスが貯留されるタンク(図示省略)、電磁弁(図示省略)、及び、ガスノズル35を有している。ガスノズル35の先端部351はキャビティ31に通じる射出口部を有している。制御手段は、電磁弁(図示省略)の開閉を制御する。使用する圧縮ガスは、樹脂と反応や混合しないものであれば良い。例えば、不活性ガスが上げられる。安全面及びコスト面を鑑みた場合、不燃性と中毒性、また安価な方法で得られることから、好ましくは、窒素が良い。
(制御手段)
制御手段は、中空部に充填される溶融樹脂の先端部が所定位置に達したとき、その検出信号を受けて、充填された溶融樹脂中に圧縮ガスの注入を開始させる。また、制御手段は、圧縮ガスの注入を開始してから所定時間経過後に、圧縮ガスの注入を停止させる。
(光学素子用樹脂成形品の材料)
次に、fθミラー10の材料について説明する。fθミラー10の基材を構成する樹脂材料は、例えば、ポリカーボネイト、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、シクロオレフィンポリマー、又は、これらの2種以上からなる樹脂を挙げることができる。fθミラー10においては、中でも、ポリカーボネイト、シクロオレフィンポリマーを使用することが好ましい。
次に、fθミラー10の光学面13を構成する材料等について説明する。光学面13を構成する材料として、例えば、一酸化ケイ素、二酸化ケイ素、アルミナを挙げることができる。成膜方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の公知の成膜方法を用いることができる。
(製造方法)
次に、fθミラー10の製造方法について説明する。
金型のキャビティ31に溶融樹脂を充填する前において、第1金型21に対して第2金型22を近接させ、第1金型21と第2金型22とを型締めし、キャビティ31を形成する。このとき、ガスノズル35の先端部351は貫通穴312からキャビティ31内に突出し、キャビティ31の金型面311の一部を構成し、また、エジェクターピン36の先端面361は、挿通穴313に没入し、挿通穴313の穴縁と滑らかに連続し、キャビティ31の金型面311の一部を構成する(図4(b)参照)。また、充填手段のシリンダー(図示省略)は、所定の溶融温度になるように設定されている。又、制御手段は、電磁弁を閉じさせている。制御手段が、充填手段を制御し、スクリューを回転させて、溶融樹脂を充填手段の噴出口から射出させ(溶融樹脂射出工程)、スプール、ランナー、及び、ゲートに通させ、キャビティ31に充填させる。
さらに、溶融樹脂をキャビティ31に充填させる。充填された溶融樹脂の先端部が所定位置に達し、その検出信号を受けて、制御手段は、充填手段を制御し、キャビティ31への溶融樹脂の充填を停止させる。次に、制御手段は、ガス注入手段34を制御して、電磁弁を解放させる。それにより、タンク(図示省略)内の圧縮ガスをガスノズル35の先端部351からキャビティ31内に噴出させる。
充填された溶融樹脂中に長尺方向へ圧縮ガスを注入させる(圧縮ガスの注入工程)。それにより、樹脂中に長尺方向へ延びた中空部を形成させることができる。また、溶融樹脂の先端部が所定位置に到達したとき、その検出信号を受けて、溶融樹脂の充填を停止させる。
次に、金型との熱伝導により、溶融樹脂を固化、冷却させる。固化、冷却させるまでの間、中空部14を所定圧力に保圧する(保圧工程)。保圧することにより、基材表面を転写面に押し付けるので、基材表面の面転写性を向上させることが可能となる。圧縮ガスの注入工程から保圧工程の中で、基材表面に光学面13が形成される。次に、中空部14内の圧縮ガスを排気し、金型を開き、fθミラー(樹脂成形品)10を取り出す。
第2金型22を第1金型21に対して離間させる型開きについて、詳細に説明する。第2金型22に転写面223、及び、ガスノズル35を設けたため、第2金型22を第1金型21に対して離間させるとき、fθミラー10の離型抵抗が第1金型21より第2金型22の方が大きくなり、fθミラー10が第2金型22と共に移動する。fθミラー10の光学面13が第2金型22の転写面223に付着し、fθミラー10のノズル跡16がガスノズル35の先端部351に付着している。
さらに、第2金型22を第1金型21に対して離間させると、エジェクタープレート225が第2金型取付板221に当接し、転写面223の周囲に所定間隔で配された複数のエジェクターピン36の先端面361が第2金型22のキャビティ31の金型面311から突出する(離型工程)。また、ガスノズル35の基端部353の周囲にほぼ等間隔で配された4つのエジェクターピン36の先端面361が突出する。それにより、fθミラー10を第2金型22から離型させることができる(図4(a)参照)。
4つのエジェクターピン36の先端面361の中には、ガスノズル35の先端部351と転写面223との間の金型面311に配した2つのエジェクターピン36の先端面361を含むため、fθミラー10をガスノズル35の先端部351及び転写面223からそれぞれ離型させ易く、離型抵抗による歪みをfθミラー10の光学面13に生じさせず、fθミラー10の光学面13の精度低下を防止することが可能となる。また、ガスノズル35の先端部351からfθミラー10が受けた離型抵抗による歪みを光学面13側に伝えず、この点からも、fθミラー10の光学面13の精度低下を防止することが可能となる。
また、ガスノズル35の先端部351がテーパー形状を有し、1°〜10°の抜き勾配が付けられているので、ガスノズル35の先端部351からfθミラー10が受ける離型抵抗を減少させることが可能となる。さらに、ガスノズル35の先端部351はコーティング膜で被覆されることにより離型性を有しているので、ガスノズル35の先端部351からfθミラー10が受ける離型抵抗をさらに減少させることが可能となる。
第2金型22から離型されたfθミラー10においては、光学面13を除いた基材の表面11に、位置決め部15、ノズル跡16、及び、エジェクターピン跡17が形成されているので、ノズル跡16等により、光学面13の精度低下を招くおそれがない。
10 fθミラー
11 基材の表面
12 周壁
13 光学面
14 中空部
15 位置決め部 151 長尺方向の位置決め部
151a 両側面
152 短尺方向の位置決め部
152a 先端面
153 厚さ方向の位置決め部
153a 先端面
16 ノズル跡
161 開口部
162 底部
17 エジェクターピン跡
18 パーティングライン跡
19 ゲート形状樹脂
19a ランナー形状樹脂
21 第1金型
211 第1金型取付板
22 第2金型
221 第2金型取付板
222 受け板
223 転写面
224 挿通穴
225 エジェクタープレート
31 キャビティ
311 キャビティの金型面
312 貫通穴
313 挿通穴
34 ガス注入手段
35 ガスノズル
351 ガスノズルの先端部
352 ガスノズルの軸部
353 ガスノズルの基端部
36 エジェクターピン
361 エジェクターピンの先端面

Claims (4)

  1. 表面の一部に光学面と内部に中空部とを有する樹脂性の基材を含む光学素子用樹脂成形品の製造装置であって、
    固定配置された第1金型と、
    前記第1金型に対して型締め方向及び型開き方向に移動可能に設けられ、前記型締めすることにより前記光学面より広いキャビティを形成するように設けられた、前記キャビティ内に射出される溶融樹脂に前記光学面を転写するための転写面を含む金型面を前記キャビティ側に有する第2金型と、
    前記第2金型の前記転写面を除く前記金型面から前記キャビティ側へ先端部を突出するように前記第2の金型に設けられ、前記キャビティ内に射出される前記溶融樹脂中に加圧流体を注入することにより前記中空部を形成するためのノズルと、
    前記金型面の前記転写面の外側で前記ノズルの周囲に複数本設けられ、それぞれの一端が前記ノズルの周囲から前記型締め方向へ向けて、それぞれの他端が前記型締め方向に配されたプレートに取り付けられて、前記型締め方向及び型開き方向に移動可能に前記第2の金型に設けられ、前記型締めのときは前記プレートを介して前記一端が前記第2の金型面の位置になるよう支持されて、前記型開きのときは前記プレートが相対的に前記型締め方向へ移動することにより前記一端が前記第2の金型の金型面から突出することで、前記溶融樹脂が固形化した前記基材を前記第2の金型から離間させるエジェクターピンと、を備えたことを特徴とする光学素子用樹脂成形品の製造装置。
  2. 前記ノズルは軸状に形成され、
    前記ノズルの先端部は、前記ノズルの先端から前記ノズルの基端側に向かって前記軸の外径を徐々に大きくさせたテーパー形状を有していることを特徴とする請求項に記載の光学素子用樹脂成形品の製造装置。
  3. 前記ノズルの先端部は、コーティング膜で被覆されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の光学素子用樹脂成形品の製造装置。
  4. 表面の一部に光学面と内部に中空部とを有する樹脂性の基材を含む光学素子の製造方法であって、
    固定配置された第1の金型に対して前記光学面を転写するための転写面を含む金型面を有する第2の金型により型締めすることにより、前記転写面に接するキャビティを形成するとともに、前記キャビティ内に、前記第2の金型に設けられたノズルの先端部を突出させ、かつ、該ノズルの周辺に設けられ複数のエジェクターピンの一端が前記第2の金型面の位置になるように前記複数のエジェクターピンの他端が取り付けられたプレートを配置しておく、型締め工程と、
    前記キャビティ内に前記の溶融樹脂を射出する溶融樹脂射出工程と、
    前記溶融樹脂射出工程でキャビティ内の一部に溶融樹脂が注入された段階で、前記ノズルの先端部を通して加圧流体を注入することで、前記溶融樹脂中に前記中空部を形成する加圧流体注入工程と、
    前記第1の金型に対して前記第2の金型を移動させることで離間させる型開き工程と、
    前記型開き工程における第2の金型の移動に対して相対的に、前記プレートを該移動とは反対方向に移動させることで、前記複数のエジェクターピンの前記一端を前記第2の金型の金型面より突出させて、前記第2の金型から前記加圧流体注入工程を経て成形された中空部を有する前記光学素子を離型させる離型工程と、を有することを特徴とする光学素子の製造方法。
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