JP5746519B2 - 耐熱性電気絶縁シート材料及びその製造方法 - Google Patents
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Description
アラミド紙の端材や破損材などは、カレンダー加工による高温、高圧の処理を実施されているため、水だけでは全く解繊しない。そのため、焼却または廃棄処分がなされている。また、有機溶剤に溶解後、再度、バージンの原料と同様に抄紙原料であるフロックやファイブリッド、パルプなどに成形するケミカルリサイクルが実施されているが、この方法は、環境的な配慮が必要であり、かつ、コストが高くなる傾向にはある。
さらに、特開平7−243189号公報には、アラミド紙を粉砕したアラミド紙パルプを使用した多孔性アラミド成形物の記載がある。しかしながら、前記成形物は、多孔性のため、電気絶縁性が不十分であると考えられる。
第2の態様において、本発明は、芳香族ポリアミドよりなる合成紙であるカレンダー加工されたアラミド紙を乾式粉砕して微粒子を調製し、調製した微粒子と、アラミドファイブリッドと、水とを組み合わせて混合スラリーを形成し、形成したスラリーを使用して抄紙することを特徴とする耐熱性電気絶縁シート材料の製造方法を提供する。
本発明において、アラミドとは、アミド結合の60%以上が芳香環に直接結合した線状高分子化合物(芳香族ポリアミド)を意味する。このようなアラミドとしては、例えばポリメタフェニレンイソフタルアミドおよびその共重合体、ポリパラフェニレンテレフタルアミドおよびその共重合体、ポリ(パラフェニレン)−コポリ(3,4ジフェニルエーテル)テレフタールアミドなどが挙げられる。これらのアラミドは、例えばイソフタル酸塩化物およびメタフェニレンジアミンを用いた従来既知の界面重合法、溶液重合法等により工業的に製造されており、市販品として入手することができるが、これに限定されるものではない。これらのアラミドの中で、ポリメタフェニレンイソフタルアミドが、良好な成型加工性、熱接着性、難燃性、耐熱性などの特性を備えている点で好ましく用いられる。
本発明において、アラミドファイブリッドとは、抄紙性を有するフィルム状のアラミド粒子であり、アラミドパルプとも呼ばれる(特公昭35−11851号公報、特公昭37−5732号公報等参照)。
アラミドファイブリッドは、通常の木材パルプと同様に、離解、叩解処理を施し抄紙原料として用いることが広く知られており、抄紙に適した品質を保つ目的でいわゆる叩解処理を施すことができる。この叩解処理は、デイスクリファイナー、ビーター、その他の機械的切断作用を及ぼす抄紙原料処理機器によって実施することが出来る。この操作において、ファイブリッドの形態変化は、日本工業規格P8121に規定の濾水度試験方法(フリーネス)でモニターすることができる。本発明において、叩解処理を施した後のアラミドファイブリッドの濾水度は、10cm3〜300cm3(カナディアンフリーネス)の範囲内にあることが好ましい。この範囲より大きな濾水度のファイブリッドでは、それから成形される多熱性電気絶縁シート材料の強度が低下する可能性がある。一方、10cm3よりも小さな濾水度を得ようとすると、投入する機械動力の利用効率が小さくなり、また、単位時間当たりの処理量が少なくなることが多く、さらに、ファイブリッドの微細化が進行しすぎるためいわゆるバインダー機能の低下を招きやすい。したがって、このように10cm3よりも小さい濾水度を得ようとしても、格段の利点が認められない。
アラミド短繊維は、アラミドを材料とする繊維を切断したものであり、そのような繊維としては、例えば帝人(株)の「テイジンコーネックス(登録商標)」、デュポン社の「ノーメックス(登録商標)」などの商品名で入手することができるものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
アラミド短繊維の長さは、一般に1mm以上50mm未満、好ましくは2〜10mmの範囲内から選ぶことができる。短繊維の長さが1mmよりも小さいと、シート材料の力学特性が低下し、他方、50mm以上のものは、湿式法でのアラミド紙の製造にあたり「からみ」、「結束」などが発生しやすく欠陥の原因となりやすい。
本発明において、アラミド紙とは、前記のアラミドファイブリッド及びアラミド短繊維から主として構成されるシート状物であり、一般に20μm〜1000μmの範囲内の厚さを有している。さらに、アラミド紙は、一般に10g/m2〜1000g/m2の範囲内の坪量を有している。
アラミド紙は、一般に、前述したアラミドファイブリッドとアラミド短繊維とを混合した後シート化する方法により製造される。具体的には、例えば上記アラミドファイブリッド及びアラミド短繊維を乾式ブレンドした後に、気流を利用してシートを形成する方法、アラミドファイブリッド及びアラミド短繊維を液体媒体中で分散混合した後、液体透過性の支持体、例えば網またはベルト上に吐出してシート化し、液体を除いて乾燥する方法などが適用できるが、これらのなかでも水を媒体として使用する、いわゆる湿式抄造法が好ましく選択される。
湿式抄造法では、少なくともアラミドファイブリッド、アラミド短繊維を含有する単一または混合物の水性スラリーを、抄紙機に送液し分散した後、脱水、搾水および乾燥操作することによって、シートとして巻き取る方法が一般的である。抄紙機としては長網抄紙機、円網抄紙機、傾斜型抄紙機およびこれらを組み合わせたコンビネーション抄紙機などが利用される。コンビネーション抄紙機での製造の場合、配合比率の異なるスラリーをシート成形し合一することで複数の紙層からなる複合体シートを得ることができる。抄造の際に必要に応じて分散性向上剤、消泡剤、紙力増強剤などの添加剤が使用される。
上記のようにして得られたアラミド紙は、一対のロール間にて高温高圧で熱圧することにより、密度、機械強度を向上することができる。熱圧の条件は、たとえば金属製ロール使用の場合、温度100〜350℃、線圧50〜400kg/cmの範囲内を例示することができるが、これらに限定されるものではない。熱圧の際に複数のアラミド紙を積層することもできる。上記の熱圧加工を任意の順に複数回行うこともできる。
本発明において使用する微粒子とは、上記のカレンダー加工されたアラミド紙を粉砕した後の、光学的繊維長測定装置で測定したときの長さ加重平均繊維長が1mm以下であることが好ましい。ここで、光学的繊維長測定装置としては、Fiber Quality Analyzer(Op Test Equipment社製)、カヤニー型測定装置(カヤニー社製)などの測定機器を用いることができる。このような機器においては、ある光路を通過する微粒子の繊維長さと形態が個別に観測され、測定された繊維長は統計的に処理される。長さ加重平均された繊維長が1mmを越える微粒子を用いた場合には、耐熱性電気絶縁シートの表面の凹凸が大きくなり、絶縁破壊電圧が局所的に低下する。さらに、シート製造中の微粒子の脱離によりシートに穴が発生して絶縁破壊電圧の低下などが起こりやすくなる。
上記のカレンダー加工されたアラミド紙を粉砕する方法としては、乾式法、湿式法または両方の手段で粉砕し微粒子化する方法が好ましい。乾式法とは、シュレッダー、クラッシャー、ニーダー等を用い、実質的に水分を介在させずにアラミド紙に衝撃を与え微粒子に分解する方法である。また、湿式法とは、水媒体中でアラミド紙に衝撃を与えて粒度を小さくする方法である。そのような湿式粉砕を効率的に実施する設備としては、高速離解機、リファイナー、ビーター等が例示できるが、これらに限定されるわけではない。
本発明では微粒子を製造する際、乾式法による粉砕を実施した後、湿式法による粉砕を実施し、さらに湿式法による粉砕の際、アラミドファイブリッドと混合した状態で、湿式法により粉砕する方法が好ましい。アラミドファイブリッドと混合することにより、混合液が均質化されやすく、均質で細かい微粒子が製造しやすくなり、さらには同時に湿式処理することにより、シート製造のために実施が必要なアラミドファイブリッド単体での叩解処理を省略することも可能となる。
本発明の耐熱性電気絶縁シート材料とは、前記の微粒子とアラミドファイブリッドから主として構成されるシート状物であり、一般に20μm〜5mmの範囲内の厚さを有している。さらに、耐熱性電気絶縁シート材料は、一般に10g/m2〜5000g/m2の範囲内の坪量を有している。
耐熱性電気絶縁シート材料におけるアラミドファイブリッドの含有量は所望の電気絶縁性を達成するのであれば特に制限はないが、耐熱性電気絶縁シート材料の製造中における工程強度を保つために5〜80重量%が好ましく、さらに十分な電気絶縁性を得るために15〜80重量%が好ましく、さらに十分な強度を発現するためには30〜80重量%が特に好ましい。耐熱性電気絶縁シート材料における微粒子の含有量は、20〜95重量%の範囲が好ましいが、この範囲に限定されるわけではなく、リサイクルの観点からは30重量%以上が好ましく、工程強度を保つためにはより好ましくは30〜85重量%の範囲であり、特に好ましくは50〜85重量%の範囲である。
耐熱性電気絶縁シート材料は、一般に前述した微粒子とアラミドファイブリッドとを混合した後シート化する方法により製造される。具体的には、例えば上記微粒子とアラミドファイブリッドを乾式ブレンドした後に、気流を利用してシートを形成する方法、上記微粒子及びアラミドファイブリッドを液体媒体中で分散混合した後、液体透過性の支持体、例えば網またはベルト上に吐出してシート化し、液体を除いて乾燥する方法などを適用できるが、これらのなかでも水を媒体として使用する、いわゆる湿式抄造法が好ましく選択される。
湿式抄造法では、少なくとも微粒子、アラミドファイブリッドを含有する単一または混合物の水性スラリーを、抄紙機に送液し分散した後、脱水、搾水および乾燥操作することによって、シートとして巻き取る方法が一般的である。抄紙機としては長網抄紙機、円網抄紙機、傾斜型抄紙機およびこれらを組み合わせたコンビネーション抄紙機などが利用される。コンビネーション抄紙機での製造の場合、配合比率の異なるスラリーをシート成形し合一することで複数の紙層からなる複合体シートを得ることができる。抄造の際に必要に応じて分散性向上剤、消泡剤、紙力増強剤などの添加剤が使用される。
耐熱性電気絶縁シート材料にアラミド短繊維を添加することで、さらに引張強度を高めることができる。耐熱性電気絶縁シート材料におけるアラミド短繊維の含有量は、5〜50重量%の範囲が好ましいが、この範囲に限定されるわけではなく、リサイクルの観点からは30重量%以下で、工程強度を保つために5〜30重量%の範囲が特に好ましい。
またこれ以外にその他の繊維状成分(例えばポリフェニレンスルフィド繊維、ポリエーテルエーテルケトン繊維、セルロース系繊維、PVA系繊維、ポリエステル繊維、アリレート繊維、液晶ポリエステル繊維、ポリエチレンナフタレート繊維などの有機繊維、ガラス繊維、ロックウール、アスベスト、ボロン繊維などの無機繊維ガラス繊維)を添加することが出来る。
本発明の耐熱性電気絶縁シート材料において、アラミドファイブリッドは、バインダーとして優れた特性を有しているため微粒子および他の添加成分を効率的に補足でき、本発明の耐熱性電気絶縁シート材料製造において原料歩留まりが良好となると同時にシート内で層状に重なり、貫通孔を減少させることが可能で、電気絶縁性が向上する。
このようにして得られた耐熱性電気絶縁シート材料は、一対の平板間または金属製ロール間にて高温高圧で熱圧することで密度、機械強度を向上することができる。熱圧の条件は、たとえば金属製ロール使用の場合、温度100〜350℃、線圧50〜400kg/cmが例示できるがこれらに限定されるものではない。加熱操作を加えずに常温で単にプレスだけを行うこともできる。熱圧の際に複数の耐熱性電気絶縁シート材料を積層することもできる。上記の熱圧加工を任意の順に複数回行うこともできる。
以下、本発明について実施例を挙げて説明する。なお、これらの実施例は、本発明の内容を、例を挙げては説明するためのものであり、本発明の内容を何ら限定するものではない。
(1)坪量、厚みの測定
JIS C2111に準じて実施した。
(2)密度の計算
坪量÷厚みで計算した。
(3)長さ加重平均繊維長
Op Test Equipment社製Fiber Quality Analyzerを用い、約4000個の微粒子についての長さ加重平均繊維長を測定した。
(4)引張強度の測定
テンシロン引張試験機を幅15mm、チャック間隔50mm、引張速度50mm/分で実施した。
(5)絶縁破壊電圧
ASTM D149にしたがって、電極径51mmで交流による直昇圧法により実施した。
特開昭52−15621号公報に記載の、ステーターとローターの組み合わせで構成されるパルプ粒子の製造装置(湿式沈殿機)を用いて、ポリメタフェニレンイソフタルアミドのファイブリッドを製造した。これを、離解機、叩解機で処理し長さ加重平均繊維長を0.9mmに調節した。
一方、デュポン社製メタアラミド繊維(ノーメックス(登録商標)、単糸繊度2デニール)を、長さ6mmに切断(以下「アラミド短繊維」と記載)し抄紙用原料とした。
調製したアラミドファイブリッドとアラミド短繊維をおのおの水中で分散しスラリーを作成した。これらのスラリーを、ファイブリッドとアラミド短繊維とが1/1の配合比率(重量比)となるように混合し、タッピー式手抄き機(断面積625cm2)にてシート状物を作製した。次いで、これを金属製カレンダーロールにより温度330℃、線圧300kg/cmで熱圧加工し、カレンダー加工されたアラミド紙を得た。
(微粒子原料調製)
上記カレンダー加工されたアラミド紙を乾式粉砕機で粉砕した。開孔径3mmの篩を通過したものと水との混合スラリーを調製し、このスラリーを離解機、叩解機で処理して長さ加重平均繊維長が表1に示すサイズとなるように調節した。
(耐熱性電気絶縁シート材料の製造)
調製した微粒子、調製したアラミドファイブリッド、および調製したアラミド短繊維を、おのおの水に分散してスラリーを作製した。これらのスラリーを、微粒子、ファイブリッドおよびアラミド短繊維が表1に示す配合比率(重量比)となるように混合し、タッピー式手抄き機(断面積625cm2)にてシート状物を作製した。次いで、これを金属製カレンダーロールにより温度330℃、線圧300kg/cmで熱圧加工し、耐熱性電気絶縁シート材料を得た。なお、対照例は、微粒子を含まないことを除いて、実施例1−4と同様に作製した。このようにして得られた耐熱性電気絶縁シート材料の主要特性値を表1に示す。
実施例1〜3の耐熱性電気絶縁シート材料は絶縁破壊電圧も十分に高く、さらに250℃10分間の処理でも外観に変化が見られなかったことから、耐熱性電気絶縁シート材料として有用である。
(微粒子原料調製)
上記カレンダー加工されたアラミド紙を乾式粉砕機で粉砕した。開孔径3mmの篩を通過したものとアラミドファイブリッドと水との混合スラリーを調製し、このスラリーを離解機、叩解機で処理して長さ加重平均繊維長が表2に示すサイズとなるように調節した。
(耐熱性電気絶縁シート材料の製造)
アラミド紙とアラミドファイブリッドの混合物を粉砕して調製した微粒子、およびアラミド短繊維を、おのおの水に分散してスラリーを作製した。これらのスラリーを、微粒子、ファイブリッドおよびアラミド短繊維が表2に示すの配合比率(重量比)となるように混合し、タッピー式手抄き機(断面積625cm2)にてシート状物を作製した。次いで、これを金属製カレンダーロールにより温度330℃、線圧300kg/cmで熱圧加工し、耐熱性電気絶縁シート材料を得た。このようにして得られた耐熱性電気絶縁シート材料の主要特性値を表2に示す。実施例4〜6の耐熱性電気絶縁シート材料は、微粒子とアラミドファイブリッドとの混合スラリーを粉砕したため、実施例1〜3の耐熱性電気絶縁シート材料よりも短時間で微粒子原料とアラミドファイブリッドが調成できた。また、実施例1〜3とほぼ同等かそれ以上の特性を示した。
(微粒子原料調製)
上記カレンダー加工されたアラミド紙を乾式粉砕機で粉砕した。開孔径3mmの篩を通過したものと水との混合スラリーを調製し、このスラリーを離解機、叩解機で処理して長さ加重平均繊維長が表3に示すサイズとなるように調節した。
(耐熱性電気絶縁シート材料の製造)
調製した微粒子、調製したアラミドファイブリッド、および調製したアラミド短繊維を、おのおの水中で分散しスラリーを作製した。これらのスラリーを、微粒子、ファイブリッドおよびアラミド短繊維が表3に示す配合比率(重量比)となるように混合し、タッピー式手抄き機(断面積625cm2)にてシート状物を作製した。次いで、これを金属製カレンダーロールにより温度330℃、線圧300kg/cmで熱圧加工し、耐熱性電気絶縁シート材料を得た。このようにして得られた耐熱性電気絶縁シート材料の主要特性値を表3に示す。比較例1〜4の耐熱性電気絶縁シート材料は絶縁破壊電圧が低いため、耐熱性電気絶縁シート材料としては不十分であると考えられる。
Claims (3)
- 芳香族ポリアミドよりなる合成紙であるカレンダー加工されたアラミド紙とアラミドファイブリッドの混合物を粉砕することによって得られる長さ加重平均繊維長が1mm以下である微粒子を含有することを特徴とする耐熱性電気絶縁シート材料。
- 電気絶縁破壊電圧が10kV/mm以上であることを特徴とする請求項1に記載の耐熱性電気絶縁シート材料。
- 芳香族ポリアミドよりなる合成紙であるカレンダー加工されたアラミド紙を粉砕して微粒子を調製し、
調製した微粒子と、アラミドファイブリッドと、水とを組み合わせて混合スラリーを形成し、
形成したスラリーをさらに湿式粉砕して微粒子とアラミドファイブリッドの混合物の長さ加重平均繊維長を1mm以下に調節したスラリーを使用して抄紙することを特徴とする耐熱性電気絶縁シート材料の製造方法。
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