JP6649701B2 - アラミド紙、及びその製造方法 - Google Patents
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Description
近年、変圧器、モータなど絶縁材料を必要とする機器の小型化、軽量化により、さらに耐熱性が高く薄い絶縁材料が求められている。
本発明は、又、上記電気絶縁シート材料の製造方法を提供することを目的とする。
すなわち、第一の態様において、本発明は、芳香族ポリアミドから形成されるファイブリッド及び短繊維との混合物から形成されたアラミド紙であり、下記不等式(1)及び(2)
40≦[FB] ≦90 (1)
[厚み]/([短繊維の繊維径]×2)≦1.25 (2)
〔式中、[FB]はアラミド紙中のファイブリッドの含量(重量%)である〕
を満たすファイブリッド含量及び厚みを有するアラミド紙を提供する。
また、第二の態様において、本発明は、少なくとも一対の発熱体の間に芳香族ポリアミドから形成されるファイブリッド及び短繊維との混合物から形成されたアラミド紙を挟んで熱圧加工することを含み、上記発熱体による熱圧加工後の上記アラミド紙の収縮率が3%以下である、第一の態様に記載のアラミド紙の製造方法を提供する。
さらに、第三の態様において、本発明は、少なくとも一対の発熱体の間に芳香族ポリアミドから形成されるファイブリッド及び短繊維との混合物から形成されたアラミド紙を挟み、1000kg/cm2以上の圧力を加えると同時に、上記発熱体より、下式(3)
Q≧ [BW]×c×(Tg−t) (3)
〔式中、[BW]は樹脂シートの坪量(g/m2)であり、cは上記アラミド紙の比熱(J/g/K)であり、Tgは上記アラミド紙のガラス転移温度(℃)であり、tは発熱体に挟まれる前の上記アラミド紙の温度(℃)であり、上記発熱体の表面の温度はTg以下である〕
で表される熱量Q(J/m2)を供給することを含む、第一の態様に記載のアラミド紙の製造方法を提供する。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明において、アラミドとは、アミド結合の60%以上が芳香環に直接結合した線状高分子化合物(芳香族ポリアミド)を意味する。このようなアラミドとしては、例えばポリメタフェニレンイソフタルアミド及びその共重合体、ポリパラフェニレンテレフタルアミド及びその共重合体、ポリ(パラフェニレン)−コポリ(3,4ジフェニルエーテル)テレフタルアミドなどが挙げられる。これらのアラミドは、例えばイソフタル酸塩化物およびメタフェニレンジアミンを用いた従来既知の界面重合法、溶液重合法等により工業的に製造されており、市販品として入手することができるが、これに限定されるものではない。これらのアラミドの中では、ポリメタフェニレンイソフタルアミドが、良好な成型加工性、熱接着性、難燃性、耐熱性などの特性を備えている点で好ましく用いられる。
本発明において、アラミドファイブリッドとは、抄紙性を有するフィルム状のアラミド粒子であり、アラミドパルプとも呼ばれる(特公昭35−11851号公報、特公昭37−5732号公報等参照)。
アラミドファイブリッドは、通常の木材パルプと同様に、離解、叩解処理を施し抄紙原料として用いることが広く知られており、抄紙に適した品質を保つ目的でいわゆる叩解処理を施すことができる。この叩解処理は、ディスクリファイナー、ビーター、その他の機械的切断作用を及ぼす抄紙原料処理機器によって実施することができる。この操作において、ファイブリッドの形態変化は、日本工業規格P8121に規定の濾水度試験方法(フリーネス)でモニターすることができる。本発明において、叩解処理を施した後のアラミドファイブリッドの濾水度は、10〜300cm3(カナディアンスタンダードフリーネス)の範囲内にあることが好ましい。この範囲より大きな濾水度のファイブリッドでは、それから成形される多熱性電気絶縁シート材料の強度が低下する可能性がある。他方、10cm3よりも小さな濾水度を得ようとすると、投入する機械動力の利用効率が小さくなり、また、単位時間当たりの処理量が少なくなることが多く、さらに、ファイブリッドの微細化が進行しすぎるため、いわゆるバインダー機能の低下を招きやすい。したがって、10cm3よりも小さな濾水度を得ようとしても、格段の利点が認められない。
本発明のアラミド紙において、アラミドファイブリッドは、バインダーとして優れた特性を有しているため微粒子及び他の添加成分を効率的に補足でき、本発明のアラミド紙製造において原料歩留まりが良好となると同時にシート内で層状に重なり、貫通孔を減少させることが可能で、電気絶縁性が向上する。
本発明において、アラミド短繊維とは、アラミドを材料とする繊維を切断したものであり、そのような繊維としては、例えば帝人(株)の「テイジンコーネックス(登録商標)」、デュポン社の「ノーメックス(登録商標)」などの商品名で入手することができるものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
アラミド短繊維の長さは、一般に1mm以上50mm未満、好ましくは2〜10mmの範囲から選ぶことができる。短繊維の長さが1mmよりも小さいと、シート材料の力学特性が低下し、他方、50mm以上のものは、湿式法でのアラミド紙の製造に際して「からみ」「結束」などが発生しやすく欠陥の原因となりやすい。
アラミド短繊維の繊維径は、好ましくは0.1〜25μm、より好ましくは1〜20μmの範囲から選ぶことができる。
本発明において、アラミド紙とは、前記のアラミドファイブリッド及びアラミド短繊維から主として構成されるシート状物であり、下記不等式(1)及び(2)
40≦[FB] ≦90 (1)
[厚み]/([短繊維の繊維径]×2)≦1.25 (2)
〔式中、[FB]はアラミド紙中のファイブリッドの含量(重量%)である〕
を満たす、ファイブリッド含量及び厚みを有している。ファイブリッドの含量が40重量%より少なくなると、アラミド紙はより多孔質な構造となり、電気絶縁性に支障をきたす原因となりやすい。また、90重量%より大きくなると、相対的に短繊維の含量が少なくなり、後述する少なくとも一対の発熱体の間に挟んで熱圧加工した後の上記のアラミド紙の収縮率が3%を越え、収縮による厚み増加により、上記(2)式の範囲の厚みを有することが困難となる。
アラミド紙は、一般に、前述したアラミドファイブリッドとアラミド短繊維とを混合した後シート化する方法により製造される。具体的には、例えば上記アラミドファイブリッド及びアラミド短繊維を乾式ブレンドした後に、気流を利用してシートを形成する方法、アラミドファイブリッド及びアラミド短繊維を液体媒体中で分散混合した後、液体透過性の支持体、例えば網またはベルト上に吐出してシート化し、液体を除いて乾燥する方法などが適用できるが、これらのなかでも水を媒体として使用する、いわゆる湿式抄造法が好ましく選択される。
湿式抄造法では、少なくともアラミドファイブリッド、アラミド短繊維を含有する単一または混合物の水性スラリーを、抄紙機に送液し分散した後、脱水、搾水及び乾燥操作することによって、シートとして巻き取る方法が一般的である。抄紙機としては長網抄紙機、円網抄紙機、傾斜型抄紙機及びこれらを組み合わせたコンビネーション抄紙機などが利用される。コンビネーション抄紙機での製造の場合、配合比率の異なるスラリーをシート成形し合一することで複数の紙層からなる複合体シートを得ることができる。抄造の際に必要に応じて分散性向上剤、消泡剤、紙力増強剤などの添加剤が使用される。
また、これ以外にその他の繊維状成分(例えば、ポリフェニレンスルフィド繊維、ポリエーテルエーテルケトン繊維、セルロース系繊維、PVA系繊維、ポリエステル繊維、アリレート繊維、液晶ポリエステル繊維、ポリエチレンナフタレート繊維などの有機繊維、ガラス繊維、ロックウール、アスベスト、ボロン繊維などの無機繊維ガラス繊維)を添加することができる。
アラミド紙は、一般に5〜1000g/m2、好ましくは15〜200g/m2の範囲内の坪量を有している。
アラミド紙の引張強度は、好ましくは0.5kgf/15mm以上、より好ましくは1kgf/15mm以上の範囲内である。さらに、アラミド紙の透気度は、好ましくは3000秒以上、より好ましくは4000秒以上の範囲内である。
上記のようにして得られたアラミド紙は、一対の発熱体間にて高温高圧で熱圧することにより、密度、結晶化度、耐熱性、寸法安定性、及び機械強度が向上することが知られている。熱圧の条件は、上記発熱体間に挟んで熱圧加工した後の上記のアラミド紙の収縮率が3%以下であることが好ましい。上記収縮率が3%を越えると、収縮による厚み増加により、上記(2)式の範囲の厚みを有することが困難となる。上記収縮率は、より好ましくは2%以下であり、さらに好ましくは1.5%以下である。
さらに、好ましくは少なくとも一対の発熱体の間に上記アラミド紙を挟み、1000kg/cm2以上の圧力を加えると同時に、上記発熱体より、下式(3)
Q≧ [BW]×c×(Tg−t) (3)
〔式中、[BW]は樹脂シートの坪量(g/m2)であり、cは上記アラミド紙の比熱(J/g/K)であり、Tgは上記アラミド紙のガラス転移温度(℃)であり、tは発熱体に挟まれる前の上記アラミド紙の温度(℃)であり、上記発熱体の表面の温度はTg以下である〕
で表される熱量Q(J/m2)をアラミド紙単位面積あたりへ供給すると上記収縮率も3%以内に抑えられ、かつ充分な熱圧により、短繊維自身も変形し、より薄いシートの作製が可能となる。
上記熱圧加工として、例えば、上記アラミド紙の坪量が20g/m2、比熱1.89J/g/K、ガラス転移温度275℃、金属ロールに挟まれる前の温度が20℃のとき、発熱体として、金属製ロール使用の場合、表面温度100〜275℃、金属ロールがアラミド紙に接する外周長を例えば1mmとすれば線圧100kg/cm以上、の金属ロールからアラミド紙への供給熱量9640J/m2以上を例示することができるが、これらに限定されるものではない。上記の熱圧加工を任意の順に複数回行うこともできる。
本発明において、ガラス転移温度は、試験片を室温から3℃/分の割合で昇温させ、示差走査熱量計にて発熱量を測定し、吸熱曲線に2本の延長練を引き、延長線間の1/2直線と吸熱曲線の交点から求められる値であり、実施例で用いたアラミド紙のガラス転移温度は275℃であった。
本発明において、比熱は、試験片を室温から3℃/分の割合で昇温させ、示差走査熱量計にて比熱を測定した。実施例で用いたアラミド紙の比熱は1.89J/g/Kであった。
以下、本発明を、実施例を挙げてさらに具体的に説明する。なお、これらの実施例は、単なる例示であり、本発明の内容を何ら限定するためのものではない。
(1)収縮率
カレンダー加工前後のアラミド紙の幅を測定し、下記の式で計算した。
[カレンダー加工後のアラミド紙の幅]/[カレンダー加工前のアラミド紙の幅]×100%
(2)坪量、厚みの測定
JIS C2300−2に準じて実施した。
厚みむらに関しては連続した40点の厚みを測定し、その標準偏差を厚みむらとした。
(3)密度の計算
坪量÷厚みで計算した。
(4)引張強度の測定
テンシロン引張試験機を幅15mm、チャック間隔50mm、引張速度50mm/分で実施した。
(5)透気度
王研式透気度計(旭精工社製KG−2)を用いて測定した透気度をガーレー式透気度に換算した。一連のシートについては、この時間が短いほど多孔質で、電気絶縁性が低いと言える。
特開昭52−15621号公報に記載の、ステーターとローターの組み合わせで構成されるパルプ粒子の製造装置(湿式沈殿機)を用いて、ポリメタフェニレンイソフタルアミドのファイブリッドを製造した。これを、離解機、叩解機で処理し長さ加重平均繊維長を0.9mmに調節した(アラミドファイブリッドの濾水度:100ml(カナディアンフリーネス))。一方、デュポン社製メタアラミド繊維(ノーメックス(登録商標)、単糸繊度2デニール、繊維径15μm)を、長さ6mmに切断(以下「アラミド短繊維」と記載)した。
(アラミド紙の製造)
上記のとおり調製したアラミドファイブリッドとアラミド短繊維をおのおの水中で分散しスラリーを作製した。これらのスラリーを、アラミドファイブリッドとアラミド短繊維が表1に示す各配合比率(重量比)となるように混合し、タッピー式手抄き機(断面積625cm2)にてシート状物を作製した。次いで、これを金属製カレンダーロールにおいて、ロールとアラミド紙が接する外周長を1mmとなるように調整し、表1に示す各カレンダー条件で熱圧加工し(発熱体に挟まれる前のアラミド紙の温度は20℃である)、アラミド紙を得た。このようにして得られたアラミド紙の主要特性値を表1に示す。
[厚み]/([短繊維の繊維径]×2)≦1.25 (2)
を満たすほど、充分に薄くなっており、また、強度も高く、透気度も充分に高く、耐熱性が本質的に高いアラミド素材を使用しているので、変圧器、モータなどの絶縁材料として有用である。
(アラミド紙の製造)
上記のとおり調製したアラミドファイブリッドとアラミド短繊維をおのおの水中で分散しスラリーを作製した。これらのスラリーを、アラミドファイブリッドとアラミド短繊維が表2に示す各配合比率(質量比)となるように混合し、タッピー式手抄き機(断面積625cm2)にてシート状物を作製した。次いで、これを金属製カレンダーロールにおいて、ロールとアラミド紙が接する外周長を1mmとなるように調整し、表2に示す各カレンダー条件で熱圧加工し(発熱体に挟まれる前のアラミド紙の温度は20℃である)、アラミド紙を得た。このようにして得られたアラミド紙の主要特性値を表2に示す。
Claims (3)
- 芳香族ポリアミドから形成されるファイブリッド及び短繊維との混合物から形成されたアラミド紙であり、下記不等式(1)及び(2)
40≦[FB] ≦90 (1)
[厚み]/([短繊維の繊維径]×2)≦1.25 (2)
〔式中、[FB]はアラミド紙中のファイブリッドの含量(重量%)である〕
を満たすファイブリッド含量及び厚みを有し、透気度が3000秒以上であるアラミド紙。 - 少なくとも一対の発熱体の間に芳香族ポリアミドから形成されるファイブリッド及び短繊維との混合物から形成されたアラミド紙を挟んで熱圧加工することを含み、上記発熱体による熱圧加工後の上記アラミド紙の収縮率が3%以下である、請求項1に記載のアラミド紙の製造方法。
- 少なくとも一対の発熱体の間に芳香族ポリアミドから形成されるファイブリッド及び短繊維との混合物から形成されたアラミド紙を挟み、1000kg/cm2以上の圧力を加えると同時に、上記発熱体より、下式(3)
Q≧ [BW]×c×(Tg−t) (3)
〔式中、[BW]はアラミド紙の坪量(g/m2)であり、cは上記アラミド紙の比熱(J/g/K)であり、Tgは上記アラミド紙のガラス転移温度(℃)であり、tは発熱体に挟まれる前の上記アラミド紙の温度(℃)であり、上記発熱体の表面の温度はTg以下である〕
で表される熱量Q(J/m2)を供給することを含む、請求項1に記載のアラミド紙の製造方法。
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