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JP5748331B2 - ガラスハードディスク基板用研磨液組成物 - Google Patents
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JP5748331B2 - ガラスハードディスク基板用研磨液組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、ガラスハードディスク基板用研磨液組成物、ガラスハードディスク基板の製造方法、及びガラスハードディスク基板の研磨方法に関する。
ハードディスクドライブは高速で回転するため消費電力が高く、近年では環境への配慮からも大きな問題になっており、低消費電力化が求められている。消費電力を低減するためには、ハードディスク1枚あたりの記録容量を増大させ、ドライブに搭載されるハードディスクの枚数を減らし、軽量化する方法がある。基板1枚あたりの記録容量を向上させるためには、単位記録面積を縮小する必要がある。しかし、記録面積を縮小すると磁気信号が弱くなる問題が発生する。そこで磁気信号の検出感度を向上するため、磁気ヘッドの浮上高さをより低くするための技術開発が進められている。ハードディスク基板の研磨においては、この磁気ヘッドの低浮上化に対応するため、表面粗さなどの平滑性や、残留物などの欠陥の低減に対する要求が厳しくなっている。このような要求に対し、アクリル酸/スルホン酸共重合体を含有する研磨液組成物が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、製造時のコストを削減するために、ガラスハードディスク基板の仕上げ研磨工程において、使用した研磨液を再度研磨機に投入し、継続的に研磨液を循環させて再利用する、循環研磨という手法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2007−191696号公報 特開2007−245265号公報
ハードディスクドライブのさらなる大容量化を実現するためには、従来の研磨液組成物による表面粗さの低減だけでは不十分で、研磨後の基板表面の残留物をより低減する必要がある。また、高い生産性を維持しながら、研磨後の基板表面の欠陥をさらに低減する必要がある。
また、従来の研磨液組成物を用いて長時間の循環研磨を行った場合、研磨速度が徐々に低下するという問題があり、研磨液組成物の循環研磨における耐久性をさらに改善する必要がある。
本発明は、循環研磨において長時間研磨速度を維持しながら研磨すること、すなわち、研磨速度の低下が抑制された循環研磨が可能で、高い清浄性と高い研磨速度を実現できるガラスハードディスク基板用研磨液組成物、並びに該研磨液組成物を用いたガラスハードディスク基板の製造方法及びガラスハードディスク基板の研磨方法を提供する。
本発明は、アミン化合物と、酸と、シリカ粒子と、水とを含有するガラスハードディスク基板用研磨液組成物であって、前記アミン化合物は、アミノアルコール並びにピペラジン及びその誘導体からなる群から選択され、分子内に窒素原子を2個又は3個有し、そのうち少なくとも1個は1級アミンもしくは2級アミンである、ガラスハードディスク基板用研磨液組成物に関する。
本発明は、その他の態様として、本発明のガラスハードディスク基板用研磨液組成物を用いてガラスハードディスク基板を循環研磨する工程を含む、ガラスハードディスク基板の製造方法及びガラスハードディスク基板の研磨方法に関する。
本発明によれば、研磨後の基板表面の高い清浄性を実現し、高い研磨速度で研磨でき、かつ循環研磨において高い研磨速度を維持することが可能なガラスハードディスク基板用研磨液組成物、これを用いたガラスハードディスク基板の製造方法、およびガラスハードディスク基板の研磨方法を提供できる。
本発明は、従来の研磨液組成物を使用したガラスハードディスク基板の循環研磨における研磨速度低下の原因の1つが、研磨後に再利用のために回収される研磨液組成物のpHの増大であるという知見に基づく。さらに、本発明は、アミノアルコール並びにピペラジン及びその誘導体等の所定のアミン化合物と酸とシリカ粒子とを組み合わせた研磨液組成物とすることにより、研磨後に回収される研磨液組成物のpHの変化を抑制できるとともに、研磨において優れた清浄性及び研磨速度を両立できるという知見に基づく。
すなわち、本発明はガラスハードディスク基板用研磨液組成物(以下、「本発明の研磨液組成物」ともいう。)であって、アミン化合物と、酸と、シリカ粒子と、水とを含有し、前記アミン化合物は、アミノアルコール並びにピペラジン及びその誘導体からなる群から選択され、分子内に窒素原子を2個又は3個有し、そのうち少なくとも1個は1級アミンもしくは2級アミンであるガラスハードディスク基板用研磨液組成物に関する。本発明の研磨液組成物によれば、研磨後の基板表面の高い清浄性を実現し、高い研磨速度で研磨でき、かつ循環研磨において研磨速度を維持することができる。
[清浄性]
本明細書において清浄性とは研磨工程において基板表面に残留する物質を除去する性能を指す。研磨後に基板表面に残留する物質には、例えば砥粒、研磨中に発生する研磨クズ、研磨パッドのカス、ステンレスなどの研磨機に使用される部材などが挙げられる。本発明の研磨液組成物を用いて研磨すれば研磨後の基板表面の清浄性が向上し、磁気ヘッドの浮上高さが低減でき、ガラスハードディスク基板の記録容量増大が可能となる。
[循環研磨における耐久性]
本明細書において循環研磨における耐久性とは、循環研磨において再利用される研磨液組成物の性能をいい、とりわけ、循環研磨において再利用される研磨液組成物を用いた研磨の研磨速度の低下の抑制の程度をいう。従来のガラスハードディスク基板の循環研磨においては、研磨速度の低下、すなわち、循環研磨における耐久性の低さが問題となっていた。研磨液組成物の循環研磨における耐久性は、実施例に示す通り、研磨前後のpHの変化量で評価することもできる。
[シリカ粒子]
本発明の研磨液組成物はシリカ粒子を含有する。本発明の研磨液組成物で使用されるシリカ粒子は、コロイダルシリカ粒子、ヒュームドシリカ粒子、表面修飾したシリカ粒子等が挙げられるが、研磨後の基板表面の清浄性向上の観点から、コロイダルシリカ粒子が好ましい。また、シリカ粒子の使用形態としては、スラリー状であるのが好ましい。
コロイダルシリカ粒子は、珪酸ナトリウム等の珪酸アルカリ金属塩を原料とし、水溶液中で縮合反応させて粒子を成長させる水ガラス法で得られうる。あるいは、コロイダルシリカ粒子は、テトラエトキシシラン等のアルコキシシランを原料とし、アルコール等の水溶性有機溶媒を含有する水中で縮合反応させて成長させるアルコキシシラン法で得られうる。また、ヒュームドシリカ粒子は、四塩化珪素等の揮発性珪素化合物を原料とし、酸素水素バーナーによる1000℃以上の高温下で加水分解させて成長させる気相法で得られうる。
前記シリカ粒子の平均粒子径は、研磨速度の向上、研磨後の基板表面の清浄性向上、及び表面粗さ低減の観点から、5〜200nmが好ましく、より好ましくは7〜100nm、さらに好ましくは9〜80nm、さらにより好ましくは10〜50nmである。
前記シリカ粒子の平均粒子径は、透過型電子顕微鏡(TEM)商品名「JEM−2000FX」(80kV、1〜5万倍、日本電子社製)により当該製造業者が添付した説明書に従って試料を観察し、TEM像を写真撮影し、この写真をスキャナで画像データとしてパソコンに取り込み、解析ソフト「WinROOF ver.3.6」(販売元:三谷商事)を用いて個々のシリカ粒子の円相当径を求め、それを粒子径とし、1000個以上のシリカ粒子の粒子径を求めた後、その平均値を算出して求めることができる。
本発明に使用されるシリカ粒子は、透過型電子顕微鏡(TEM)観察による測定で得られた該シリカ粒子の最大径を直径とする円の面積を該シリカ粒子の投影面積で除して100を乗じた値(特許第3253228号参照、以下、「SF1」という。)の平均値が、100〜140の範囲であることが好ましく、100〜135の範囲であることがより好ましく、100〜130の範囲であることがさらに好ましい。SF1を上記範囲内にすることで、ガラスハードディスク基板の表面粗さをさらに低減できる。上記SF1は100に近いほど球状に近い形状であることを表す。
本発明に使用されるシリカ粒子は、透過型電子顕微鏡(TEM)観察による測定で得られた該シリカ粒子の周長を円周とする円の面積を該シリカ粒子の投影面積で除して100を乗じた値(特許第3253228号参照、以下、「SF2」という。)の平均値が、100〜130の範囲であることが好ましく、100〜125の範囲であることがより好ましく、100〜120の範囲であることがさらに好ましく、100〜115の範囲であることがさらにより好ましく、100〜110の範囲であることがさらにより好ましい。SF2を上記範囲内にすることで、ガラスハードディスク基板の表面粗さをさらに低減できる。なお、上記SF2は100に近いほど表面が滑らかな形状であることを表す。
SF1及びSF2の測定方法としては、例えば、日本電子製透過型電子顕微鏡「JEM−2000FX」(80kV、1〜5万倍)により、当該顕微鏡のメーカーが添付した説明書に従って試料を観察し、TEM像を写真撮影し、この写真をスキャナで画像データとしてパソコンに取り込み、解析ソフト「WinROOF ver.3.6」(販売元:三谷商事)を用いて、粒子一個の最大径と投影面積を計測して、SF1を求めることができる。また、同様の方法により、粒子一個の周長と投影面積を計測して、SF2を求めることができる。
本発明の研磨液組成物中のシリカ粒子の含有量は、研磨速度向上及び表面粗さ低減の観点から、研磨液組成物中、好ましくは1〜20重量%、より好ましくは2〜19重量%、さらに好ましくは3〜18重量%、さらにより好ましくは5〜16重量%である。
[アミン化合物]
本発明で使用されるアミン化合物は、研磨速度及び清浄性の向上の両立の観点、並びに循環研磨における耐久性向上の観点から、アミノアルコール並びにピペラジン及びその誘導体からなる群から選択されるアミン化合物であり、その分子内に窒素原子を2又は3個有する。窒素原子は、1級アミン、2級アミン及び3級アミンのいずれの状態でも構わないが、清浄性の向上の観点、循環研磨における耐久性向上の観点から、そのうち少なくとも1個は1級アミンもしくは2級アミンである。本発明の研磨液組成物に含有されるアミン化合物は、一種類でもよく、二種類以上でもよい。また、本発明において、アミン化合物は、塩の形態であってもよく、例えば、塩酸、硫酸、リン酸等の無機酸、有機酸等との塩が挙げられる。
本発明の研磨液組成物により、清浄性が向上する理由は、以下のように推定される。アミン化合物はガラスハードディスク基板に吸着し、基板表面が正電荷を帯びる。一方研磨後に基板上に残留する物質(シリカ粒子、研磨クズ等)に対してもアミン化合物が吸着し、正電荷を帯びる。その結果、ガラスハードディスク基板と残留物との間に反発力が発生し、残留物の吸着が抑制される効果が発現する。よって研磨液組成物に配合される化合物中に含まれるアミンの数が増えるほど正電荷を帯びやすくなるため清浄性が向上すると考えられるが、アミン化合物のアミンの個数が増えると、研磨速度が低下する傾向がある。これはガラスハードディスク基板にアミン化合物が強固に吸着することから保護膜効果が発現するために研磨速度が低下すると考えられる。つまり清浄性の向上と研磨速度の向上を両立するためには、最適なアミンの個数を含有する化合物を添加する必要がある。さらに、アミン化合物が存在することで、研磨時にガラスハードディスク基板からアルカリ金属イオン(特にナトリウムイオン)が溶出することによるpHの変化を抑制することができ、循環研磨における研磨速度の維持、すなわち、研磨液組成物の循環研磨における耐久性を向上することができる。ただし、これらの推測は本発明を限定するものではない。
本発明で使用されるアミン化合物としては、例えば、2‐[(2‐アミノエチル)アミノ]エタノール、2,2′‐(エチレンビスイミノ)ビスエタノール、N‐(2‐ヒドロキシエチル)‐N′‐(2‐アミノエチル)エチレンジアミン、2,2′‐(2‐アミノエチルイミノ)ジエタノール、N1,N4‐ビス(ヒドロキシエチル)ジエチレントリアミン、N1,N7‐ビス(ヒドロキシエチル)ジエチレントリアミン、1,3‐ジアミノ‐2‐プロパノール等のアミノアルコール;ピペラジン、1‐メチルピペラジン、3‐(1‐ピペラジニル)‐1‐プロパンアミン、1‐(2‐アミノエチル)ピペラジン、4‐メチルピペラジン‐1‐アミン、1‐ピペラジンメタンアミン、4‐エチル‐1‐ピペラジンアミン、1‐メチル‐4‐(2‐アミノエチル)ピペラジン、1‐(2‐ヒドロキシエチル)ピペラジン等のピペラジン誘導体が挙げられるが、研磨速度及び清浄性の向上の両立の観点並びに循環研磨における耐久性向上の観点から、2‐[(2‐アミノエチル)アミノ]エタノール、2,2′‐(エチレンビスイミノ)ビスエタノール、N‐(2‐ヒドロキシエチル)‐N′‐(2‐アミノエチル)エチレンジアミン、2,2′‐(2‐アミノエチルイミノ)ジエタノール、N1,N4‐ビス(ヒドロキシエチル)ジエチレントリアミン、N1,N7‐ビス(ヒドロキシエチル)ジエチレントリアミン、1,3‐ジアミノ‐2‐プロパノール、ピペラジン、1‐メチルピペラジン、3‐(1‐ピペラジニル)‐1‐プロパンアミン、1‐(2‐アミノエチル)ピペラジン、4‐メチルピペラジン‐1‐アミン、1‐ピペラジンメタンアミン、4‐エチル‐1‐ピペラジンアミン、1‐メチル‐4‐(2‐アミノエチル)ピペラジン、及び1‐(2‐ヒドロキシエチル)ピペラジンからなる群から選択されるアミン化合物が好ましく、より好ましくは、1‐(2‐ヒドロキシエチル)ピペラジン、1‐(2‐アミノエチル)ピペラジン、2‐[(2‐アミノエチル)アミノ]エタノール、ピペラジンであり、さらに好ましくは、1‐(2‐アミノエチル)ピペラジン、2‐[(2‐アミノエチル)アミノ]エタノール、さらにより好ましくは、1‐(2‐アミノエチル)ピペラジン、2‐[(2‐アミノエチル)アミノ]エタノールである。
また、前記アミン化合物は、アミンの揮発等による異臭発生防止及び作業者の安全性向上の観点から、25℃における蒸気圧が0.2mmHg以下であることが好ましく、より好ましくは0.1mmHg以下である。このようなアミン化合物としては、例えば、2‐[(2‐アミノエチル)アミノ]エタノール、1‐(2‐ヒドロキシエチル)ピペラジン、1‐(2‐アミノエチル)ピペラジンが好ましい。ここで、25℃における蒸気圧とは一定の温度において液相又は固相と平衡にある蒸気相の圧力のことを指し、具体的には、Handbook of Chemical Compound Data for Process Safty(著:Carl L.Yaws、出版:Gulf Publishing Company)、もしくは CRC Handbook of Chemistry and Physics 88th Edition (著:Lide, D.R,(ed))に記載されている。
研磨液組成物中における、アミン化合物の含有量は、清浄性向上の観点及び循環研磨における耐久性向上の観点から、0.001重量%以上が好ましく、0.01重量%以上がより好ましく、0.05重量%以上がさらに好ましい。また研磨速度向上の観点から、5重量%以下が好ましく、4重量%以下がより好ましく、3重量%以下がさらに好ましく、0.5重量%以下がさらにより好ましく、0.2重量%以下がさらにより好ましい。すなわち、研磨液組成物中におけるアミン化合物の含有量は、0.001〜5重量%が好ましく、0.01〜4重量%がより好ましく、0.05〜3重量%がさらに好ましく、0.05〜0.5重量%がさらにより好ましく、0.05〜0.2重量%がさらにより好ましい。なお、上述のアミン化合物の含有量は、研磨液組成物中のアミン化合物が複数種類の場合、それぞれのアミン化合物の含有量を示す。
[酸]
本発明の研磨液組成物は酸を含有する。本発明において、酸は塩の形態であってもよい。本発明の研磨液組成物に使用される酸としては、硝酸、硫酸、亜硫酸、過硫酸、塩酸、過塩素酸、リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸、ピロリン酸、トリポリリン酸、アミド硫酸等の無機酸; メタンジスルホン酸、エタンジスルホン酸、フェノールジスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸等の含硫黄有機酸; 2−アミノエチルホスホン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、エタン−1,1,−ジホスホン酸、エタン−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1−ヒドロキシ−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1,2−ジカルボキシ−1,2−ジホスホン酸、メタンヒドロキシホスホン酸、2−ホスホノブタン−1,2−ジカルボン酸、1−ホスホノブタン−2,3,4−トリカルボン酸、α−メチルホスホノコハク酸等の含リン有機酸; マロン酸、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、イソクエン酸、フタル酸、ニトロトリ酢酸、ニトロ酢酸、エチレンジアミンテトラ酢酸、オキサロ酢酸等の多価カルボン酸; 酢酸、プロピオン酸、安息香酸、乳酸、グリコール酸、等の1価カルボン酸; グルタミン酸、ピコリン酸、アスパラギン酸等のアミノカルボン酸等が挙げられる。これらの化合物は単独で用いてもよいし、混合して用いてもよい。中でも、循環研磨における耐久性向上の観点、並びに、研磨速度向上、清浄性向上、及び研磨廃液の汚染低減の観点から、含硫黄有機酸、多価カルボン酸、1価カルボン酸、含リン有機酸、及び含リン無機酸が好ましい。その具体例としては、メタンジスルホン酸、エタンジスルホン酸、フェノールジスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸等の含硫黄有機酸、マロン酸、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、イソクエン酸、フタル酸、ニトロトリ酢酸、エチレンジアミンテトラ酢酸等の多価カルボン酸、酢酸、プロピオン酸、安息香酸、乳酸、グリコール酸、等の1価カルボン酸、ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、ホスホノブタントリカルボン酸、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸等の含リン有機酸、リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸、ピロリン酸、トリポリリン酸等の含リン無機酸等が挙げられる。これらの中でも循環研磨における耐久性向上の観点から多価カルボン酸、1価カルボン酸、含リン有機酸及び含リン無機酸からなる群から選択される酸が好ましく、より好ましくは多価カルボン酸、1価カルボン酸、及び含リン無機酸からなる群から選択される酸であり、さらにより好ましくは多価カルボン酸、及び1価カルボン酸からなる群から選択される酸であり、さらにより好ましくはコハク酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、グリコール酸、含リン無機酸であり、クエン酸、リン酸、グリコール酸、ホスホン酸、ホスフィン酸、ピロリン酸、トリポリリン酸がさらにより好ましく、クエン酸、グリコール酸がさらにより好ましい。また、研磨速度向上、清浄性向上、及び研磨廃液の汚染低減の観点から、無機酸が好ましく、含リン無機酸がより好ましく、リン酸がさらに好ましい。これらの化合物は単独で用いてもよいし、混合して用いてもよく、清浄性向上の観点から、クエン酸とリン酸を混合して用いることが好ましい。クエン酸とリン酸の好ましい混合比(重量比)としては0.05:1〜2.5:1、より好ましくは0.2:1〜2:1である。
これらの酸の塩を用いる場合、特に限定はなく、具体的には、金属、アンモニウム、アルキルアンモニウム等との塩が挙げられる。上記金属の具体例としては、周期律表(長周期型)1A、1B、2A、2B、3A、3B、4A、6A、7A又は8族に属する金属が挙げられる。これらの中でも、研磨速度向上及び粗さ低減の観点から1A族に属する金属又はアンモニウムとの塩が好ましい。
本発明の研磨液組成物中における酸の含有量は、研磨速度向上の観点及び循環研磨における耐久性向上の観点から、0.05重量%以上が好ましく、より好ましくは0.1重量%以上、さらに好ましくは0.15重量%以上である。また、前記酸の含有量は、研磨装置の腐食をさらに抑制できるため、10重量%以下が好ましく、より好ましくは7.5重量%以下、さらに好ましくは5重量%以下である。したがって、前記酸の含有量は、0.05〜10重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜7.5重量%、さらに好ましくは0.15〜5重量%である。なお、上述の酸の含有量は、研磨液組成物中の酸が複数種類の場合、それぞれの酸の含有量を示す。
本発明の研磨液組成物中における前記アミン化合物と前記酸の重量比(アミン化合物の重量/酸の重量)は、研磨速度及び清浄性の向上の観点、並びに循環研磨における耐久性向上の観点から、0.001〜1.0が好ましく、より好ましくは0.005〜0.5、さらに好ましくは0.01〜0.1である。
[水]
研磨液組成物中の水は、媒体として使用されるものであり、蒸留水、イオン交換水、純水及び超純水等が使用され得る。本発明の研磨液組成物中の水の含有量は、研磨液組成物の取扱いがさらに容易になるため、55重量%以上が好ましく、より好ましくは70重量%以上、さらに好ましくは80重量%以上、特に好ましくは85重量%以上である。また、前記水の含有量は、研磨速度向上の観点から、99重量%以下が好ましく、より好ましくは98重量%以下、さらに好ましくは97重量%以下である。したがって、前記媒体の含有量は、55〜99重量%が好ましく、より好ましくは70〜98重量%、さらに好ましくは80〜97重量%、さらにより好ましくは85〜97重量%である。
[研磨液組成物のpH]
本発明の研磨液組成物のpHは、前記アミン化合物及び前記酸の含有量を調整することにより適宜調整することができる。本発明の研磨液組成物のpHは、研磨機の腐食防止及び作業者の安全性向上の観点から、0.5以上が好ましく、より好ましくは1.0以上、さらに好ましくは1.5以上、さらにより好ましくは2.0以上である。また、研磨速度向上の観点から、4.0以下が好ましく、より好ましくは3.5以下である。したがって、研磨液組成物のpHは、0.5〜4.0が好ましく、より好ましくは1.0〜3.5、さらに好ましくは1.5〜3.5、さらにより好ましくは2.0〜3.5である。
[その他の成分]
本発明の研磨液組成物は、さらに、殺菌剤、抗菌剤、増粘剤、分散剤、防錆剤等を含んでもよい。これらの成分の研磨液組成物中の含有量は、研磨特性の観点から、5重量%以下が好ましく、より好ましくは3重量%以下、さらに好ましくは1重量%以下である。
[研磨液組成物の調製方法]
本発明の研磨液組成物は、各成分を公知の方法で混合することにより、調製することができる。研磨液組成物は、経済性の観点から、通常、濃縮液として製造され、これを使用時に希釈する場合が多い。前記研磨液組成物は、そのまま使用してもよいし、濃縮液であれば希釈して使用すればよい。濃縮液を希釈する場合、その希釈倍率は、特に制限されず、前記濃縮液における各成分の濃度(研磨材の含有量等)や研磨条件等に応じて適宜決定できる。
研磨液組成物のpHは、前記成分の混合後、所定のpHに調整してもよいし、混合前にそれぞれ調整していてもよい。前記pHの調整は、pH調整剤により行うことができる。
[ガラスハードディスク基板の製造方法]
本発明のガラスハードディスク基板の製造方法(以下、「本発明の製造方法」ともいう。)は、本発明の研磨液組成物を用いてガラスハードディスク基板を研磨する工程を含む。
本発明の研磨液組成物の研磨対象であるガラスハードディスク基板(以下、被研磨基板ともいう。)としては、アルミノ珪酸ガラス、ホウ珪酸ガラス、アルミノホウ珪酸ガラス、化学強化工程でナトリウムがカリウムに置換されたアルミノ珪酸ガラス等が挙げられるが、研磨速度向上の観点から、アルミノ珪酸ガラス基板、化学強化工程でナトリウムがカリウムに置換されたアルミノ珪酸ガラスが好ましく、アルミノ珪酸ガラス基板がより好ましい。アルミノ珪酸ガラス基板は、その構成元素としてO(酸素)以外ではSi(ケイ素)を最も多く含み、次いでAlを多く含む。通常、Siの含有量は20〜40重量%であり、Alの含有量は3〜25重量%で、他にもNaなどを含むことがあるが、ハードディスク用として用いられる場合には、研磨速度の向上及び基板の透明性維持の観点から、Alの含有量は、5〜20重量%がより好ましく、7〜15重量%がさらに好ましい。なお、アルミノ珪酸ガラス基板中に含まれるAlの含有量の測定条件の詳細は実施例に示すとおりである。
ガラスハードディスク基板は、例えば、溶融ガラスの型枠プレス又はシートガラスから切り出す方法によってガラス基材を得る工程から、形状加工工程、端面研磨工程、粗研削工程、精研削工程、粗研磨工程、仕上げ研磨工程、化学強化工程を経て製造される。化学強化工程は仕上げ研磨工程の前に施しても良い。また各工程の間には洗浄工程が含まれることがある。そして、ガラスハードディスク基板は、製造方法において、記録部形成工程を経ることで磁気ハードディスクとなる。前記記録部形成工程は、例えば、付着層、軟磁性層、下地層、中間層、磁性層、保護層、及び潤滑層を成膜する工程を含む。本発明の製造方法は、これらの工程を含みうる。
一実施形態において、例えば、前記粗研削工程では#400程度のアルミナ砥粒が、前記形状加工工程では円筒状の砥石が、前記端面研磨工程ではブラシが、前記精研削工程では#1000程度のアルミナ砥粒が、それぞれ、用いられる。但し、本発明はこれらに限定されない。
粗研磨工程では砥粒として酸化セリウム粒子が、仕上げ研磨工程では砥粒としてシリカ粒子が好適に用いられる。本発明の研磨液組成物は、仕上げ研磨工程及び/又は最終(仕上げ)研磨工程で使用されることが好ましい。
各工程後には、ガラスハードディスク基板表面の残留物を除去するために、アルカリ性洗浄剤、中性洗浄剤、酸性洗浄剤もしくは超純水を含む洗浄槽で超音波洗浄を行う。その後、超純水、IPA(イソプロピルアルコール)等で洗浄し、超純水やIPAから基板を引き上げながら乾燥する、もしくはスピンドライなどにより乾燥する工程が含まれることがある。洗浄工程中にスクラブ処理が入っても良い。
ガラスハードディスク基板には、磁気ヘッドの読み書きエラーが発生しない平滑面が要求される。即ち、基板表面の平坦性(粗さ、うねり等)が良好で、欠陥(残留物等の凸欠陥、スクラッチやピット等の凹欠陥)が少ないことが求められ、基板の製造工程の中で研磨工程が基板表面の平坦性の向上と欠陥除去の役割を担う。故に、研磨工程において、仕上げ研磨工程が特に重要である。
研磨工程は、被研磨基板の研磨対象面に本発明の研磨液組成物を供給し、前記研磨対象面に研磨パッドを接触させ、所定の圧力(荷重)をかけながら、研磨パッドや被研磨基板を動かすこと等によって行うことができる。研磨工程における具体的な研磨方法には、後述するガラスハードディスク基板の研磨方法を参照できる。なお、前記研磨は、従来公知の研磨装置により行うことができる。研磨工程における被研磨基板としては、例えば、前記精研削工程を経た直後のガラスハードディスク基板などが挙げられる。本発明の製造方法は、とりわけ、本発明の研磨液組成物を用いてガラスハードディスク基板を循環研磨する工程を含むことが好ましい。
[循環研磨]
本明細書において循環研磨とは、ガラスハードディスク基板の研磨工程において、使用した研磨液を再度研磨機に投入し、研磨液を研磨機内で循環させて再利用する手法である。研磨後の廃液を一度全量回収してから研磨機に再投入しても良いし、廃液を回収タンクに戻しながら連続的に研磨機に再投入しても良い。ガラスハードディスク基板を酸性の研磨液を用いて研磨する際には、ガラスハードディスク基板に含有されているアルカリ金属イオンが溶出することがある。アルカリイオンが溶出すると研磨液のpHが上昇してしまうため、長時間研磨をしていると研磨速度が低下してくることを本発明者は見出した。その際、前述の酸とアミン化合物を併用すると、緩衝能が増大して、研磨速度の低下を抑制し、より長時間の循環研磨が可能となる。
研磨液組成物を研磨機内で循環させて再利用する際、その再利用回数は特に制限されないが、本発明の研磨液組成物は、ガラスハードディスク基板を好ましくは10〜30回、より好ましくは20〜30回研磨する場合の使用に適している。1回の研磨とは1バッチの研磨のことを指す。
[ガラスハードディスク基板の研磨方法]
本発明の研磨液組成物を用いてガラスハードディスク基板を研磨する方法(以下、「本発明の研磨方法」ともいう。)で用いる研磨装置としては、特に制限はなく、被研磨基板を保持する冶具(キャリア:アラミド製等)と研磨布(研磨パッド)とを備える研磨装置を用いることができる。中でも、両面研磨装置が好適に用いられる。
研磨パッドの材質としては、有機高分子等が挙げられ、前記有機高分子としては、ポリウレタン等が挙げられる。前記研磨パッドの形状は、不織布状が好ましい。例えば、粗研磨工程ではスウェード調のウレタン製硬質パッド、仕上げ研磨工程ではスウェード調のウレタン製軟質パッドが好適に用いられる。
該研磨装置を用いる研磨方法の具体例としては、被研磨基板をキャリアで保持し研磨パッドを貼り付けた1対の研磨定盤で挟み込み、本発明の研磨液組成物を研磨パッドと被研磨基板との間に供給し、所定の圧力の下で研磨定盤及び/又は被研磨基板を動かすことにより、本発明の研磨液組成物を被研磨基板に接触させながら被研磨基板を研磨する研磨方法が挙げられる。
本発明の研磨方法は、前記研磨液組成物を研磨パッドと被研磨基板の間に存在させ、所定の研磨荷重で研磨する工程を含むことが好ましい。本発明において、「研磨荷重」とは、研磨時に被研磨基板を挟み込む定盤から被研磨基板の研磨対象面に加えられる圧力を意味する。研磨荷重の調整は、通常の研磨装置であれば容易に調整可能であるが、例えば、定盤や被研磨基板等への空気圧や錘の負荷によって行うことができる。研磨荷重は、研磨速度を向上させる観点から、好ましくは3kPa以上、4kPa以上がより好ましく、5kPa以上がさらに好ましく、6kPa以上がさらにより好ましい。研磨中に研磨機に振動が発生しないように安定に研磨できるという観点から、好ましくは40kPa以下、30kPa以下がより好ましく、20kPa以下がさらに好ましく、15kPa以下がさらにより好ましい。従って、高い研磨速度を維持し、安定に研磨できるという観点から、好ましくは3〜40kPa、より好ましくは4〜30kPa、さらに好ましくは5〜20kPa、さらにより好ましくは6〜15kPaである。前記研磨荷重の調整は、定盤や基板等への空気圧や錘の負荷によって行うことができる。
本発明の研磨方法は、仕上げ研磨工程に用いられるのがより好ましい。また、本発明の研磨方法は、とりわけ、本発明の研磨液組成物を用いてガラスハードディスク基板を循環研磨する工程を含むことが好ましい。
研磨液組成物の供給方法は、予め研磨液組成物の構成成分が十分に混合された状態で研磨パッドとガラスハードディスク基板の間にポンプ等で供給する方法、研磨の直前の供給ライン内等で構成成分を混合して供給する方法、シリカ粒子のスラリーとアミン化合物を含有する水溶液とを別々に研磨装置に供給する方法等を用いることができる。
研磨液組成物の供給速度は、コスト低減の観点から、被研磨基板1cm2あたり1.0mL/分以下が好ましく、より好ましくは0.6mL/分以下、さらに好ましくは0.4mL/分以下である。また、前記供給速度は、研磨速度をさらに向上できることから、ガラスハードディスク基板1cm2あたり0.01mL/分以上が好ましく、より好ましくは0.025mL/分以上、さらに好ましくは0.05mL/分以上である。したがって、前記供給速度は、ガラスハードディスク基板1cm2あたり0.01〜1.0mL/分が好ましく、より好ましくは0.025〜0.6mL/分、さらに好ましくは0.05〜0.4mL/分である。また循環研磨をする場合であれば研磨液組成物を再利用できるので供給流量は上記記載の流量よりも多くなってもよい。
[実施例1〜10及び比較例1〜17]
1.被研磨ガラスハードディスク基板の調製
セリア砥粒を含有する研磨液組成物であらかじめ粗研磨したアルミノ珪酸ガラス基板を被研磨ガラスハードディスク基板として用意した。基板中に含まれるSiの含有量は27.1重量%、Alの含有量は8.6重量%であり、ESCA法を用い以下の測定条件で測定した。
〔ESCA測定条件〕
・試料作製
アルミノ珪酸ガラス基板を1cm×1cmに切断し、カーボン製両面テープ上に乗せ固定した。表面のゴミ等を除くためにArスパッタを加速電圧2kVで6分間かけ、ESCA測定を実施した。
・測定
機器:アルバックファイ製 PHI Quantera SXM
X線源:単色化AlKα線、1486.6eV、25W、15kV
ビーム径:100μm
X線入射角:45°
測定範囲:500×500(μm2
Pass energy:280.0(survey)、140.0eV(narrow)
Step size:1.00(survey)、0.250eV(narrow)
測定元素:C,N,O,Na,Mg,Al,Si,S,K,Ti,Zr,Nb
帯電補正:Neutralizer及びAr+照射
2.研磨液組成物の調製
イオン交換水に酸(クエン酸、リン酸、グリコール酸、硫酸又はクエン酸及びリン酸)を添加した後、下記のアミン化合物を研磨液総重量の0.1重量%になるようにそれぞれ添加し、さらにコロイダルシリカ粒子(平均粒子径:25nm、SF1:123、SF2:109)を研磨液総重量の8重量%になるよう添加し、pHを3.0に調整して実施例1〜10及び比較例1〜17の研磨液組成物を得た。なお、クエン酸、リン酸、硫酸、及びグリコール酸の添加量は、配合後のpHが3.0になるように適宜調整した。実施例1〜4、実施例10、比較例1〜11、比較例16のクエン酸の含有量は0.5〜2.5重量%であった。実施例5〜7、比較例12〜14のリン酸の含有量は0.1〜1.0重量%であった。実施例8、比較例15のクエン酸の配合量は0.1〜1.0重量%、リン酸の含有量は0.1〜1.0重量%であった。比較例17の硫酸の含有量は0.1〜0.3重量%であった。実施例9のグリコール酸の含有量は0.2〜1.0重量%であった。また、実施例8及び比較例15における、クエン酸とリン酸との混合比(重量比)は、1.7:1.0であった。実施例1〜10及び比較例1〜17の研磨液組成物におけるアミン化合物は以下に示すとおりである。
実施例1,5 :2‐[(2‐アミノエチル)アミノ]エタノール(日本乳化剤社製)実施例2,6,8,9,10:1‐(2‐ヒドロキシエチル)ピペラジン(日本乳化剤社製)
実施例3,7 :1‐(2‐アミノエチル)ピペラジン(東ソー社製)
実施例4 :ピペラジン(和光純薬工業社製)
比較例1,12,15〜17:なし
比較例2,13 :アクリル酸/アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体ナトリウム塩(共重合モル比89/11、重量平均分子量2,000、東亞合成社製)比較例3 :エチルアミン(和光純薬工業社製)
比較例4 :ジエチルアミン(和光純薬工業社製)
比較例5 :トリエチルアミン(和光純薬工業社製)
比較例6 :トリエチレンテトラアミン(東ソー社製)
比較例7 :テトラエチレンペンタアミン(東ソー社製)
比較例8,14 :モノエタノールアミン(シグマアルドリッチ社製)
比較例9 :ピペリジン(和光純薬工業社製)
比較例10 :ポリエチレンイミン(SP−003、分子量300、日本触媒社製)比較例11 :エチレンジアミン四酢酸塩(シグマアルドリッチ社製)
3.測定方法
シリカ粒子の平均粒子径、シリカ粒子のSF1及びSF2の測定は、以下のように行った。
〔シリカ粒子の平均粒子径の測定方法〕
コロイダルシリカを含む試料を、透過型電子顕微鏡「JEM−2000FX」(80kV、1〜5万倍、日本電子社製)により当該製造業者が添付した説明書に従って試料を観察し、TEM(Transmission Electron Microscope)像を写真撮影した。この写真をスキャナで画像データとしてパソコンに取り込み、解析ソフト「WinROOF ver.3.6」(販売元:三谷商事)を用いて、個々のシリカ粒子の円相当径を計測し、粒子径を求めた。このようにして、1000個のシリカ粒子の粒子径を求めた後、これらの平均値を算出し、この平均値を平均粒子径とした。
〔シリカ粒子のSF1及びSF2の測定方法〕
コロイダルシリカを含む試料を、上記平均粒子径の測定方法と同様の方法によりTEM像を写真撮影し、この写真をスキャナで画像データとしてパソコンに取り込み、上記と同様の解析ソフトを用いて、粒子一個の最大径と投影面積を計測し、SF1を算出した。このようにして、100個のシリカ粒子のSF1を求めた後、これらの平均値を算出し、この平均値をSF1とした。SF2の場合は、上記と同様の解析ソフトを用いて、粒子一個の周長と投影面積を計測し、SF2を算出した。このようにして、100個のシリカ粒子のSF2を求めた後、これらの平均値を算出し、この平均値をSF2とした。
4.研磨方法
実施例1〜9、比較例1〜15の研磨液組成物を用いた研磨は、下記の標準研磨試験の条件で行った。
〔研磨条件〕
研磨試験機:スピードファム社製「両面9B研磨機」
研磨パッド:スウェードタイプ(厚さ0.9mm、平均開孔径30μm)
研磨液組成物供給量:100mL/分(被研磨基板1cm2あたりの供給速度:約0.3
mL/分)
下定盤回転数:32.5rpm
研磨荷重:8.4kPa
キャリア:アラミド製、厚さ0.45mm
研磨時間:20分
被研磨基板:アルミノ珪酸ガラス基板(外径65mm、内径20mm、厚さ0.635mm)
投入基板枚数:10枚
リンス条件:荷重=2.0kPa、時間=2分、イオン交換水供給量=約2L/分
実施例10及び比較例16、17については、下記の循環研磨試験を行い、研磨液組成物の循環耐久性を評価した。
〔循環研磨試験〕
研磨液500mLを仕込んだ研磨液供給容器から研磨機へ研磨液を供給し、研磨した後に排出される研磨廃液を前記研磨液供給容器に戻し、研磨液が研磨機に再度供給されるようにしながら研磨を行った。循環研磨試験における研磨条件は前述の〔研磨条件〕と同様である。1バッチ目は仕込み研磨液量500mlを用いて20分研磨するが、研磨中には一度研磨された研磨液も容器に戻るため、1バッチ目の研磨中も、戻った研磨液が仕込みの研磨液と混合され、研磨に使用された。2バッチ目、3バッチ目も研磨液を新しく調製することなく、前のバッチで使用した研磨液を使用して循環研磨を行った。
5.評価方法
研磨速度、循環耐久性、基板清浄性、及びアミン臭の評価は、以下のように行った。
〔研磨速度の測定方法〕
研磨前後の基板の重量差(g)を該基板の密度(2.46g/cm3)、基板の表面積
(30.04cm2)、及び研磨時間(分)で除した単位時間当たりの研磨量を計算
し、研磨速度(μm/分)を算出した。その結果を、下記表1に、比較例1を100とした相対値として示す。
〔循環耐久性の評価1:研磨液組成物の研磨中のpH変化の測定方法〕
上記の研磨方法でガラスハードディスク基板を研磨する際の、研磨前の研磨液組成物のpH及び研磨後の廃液のpHをpHメーター(東亜電波工業(株)製、ガラス式水素イオン濃度指数計「HM−30G」を用いて測定し、研磨前後のpHの差を研磨中のpH変化値として算出し、循環研磨における耐久性の評価とした。なお、pH変化値が正の数である場合、pHが増加したことを示す。その結果を、下記表1に示す。
〔循環耐久性の評価2:研磨速度の測定方法及びpH変化の測定方法〕
前述の循環研磨試験により得られた1〜3バッチの各基板における研磨速度を算出した。結果を下記表2に、比較例16の1バッチ目の研磨速度を100とした相対値として示す。なお、研磨速度の測定方法は、前述の測定方法と同様であり、相対研磨速度100は、0.63mg/分であった。また、研磨(バッチ)前後のpH変化を上述の〔循環耐久の評価1〕と同様に算出した。その結果を下記表2に示す。
〔基板清浄性の評価:残留パーティクルの測定方法〕
ガラスハードディスク基板を研磨・洗浄・乾燥した後、下記に示す方法で基板上に残留したパーティクル数を測定した。
測定機器:KLA Tencor社製、OSA6100
評価:前述の研磨方法により研磨した基板10枚のうち、無作為に4枚を選択し、各々の基板を10000rpmにてレーザーを照射して突起欠陥を測定した。その4枚の基板の各々両面にある突起欠陥数(個)の合計を8で除して、基板面当たりのパーティクル数として算出した。その結果を、下記表1に、比較例1を100とした相対値として示す。
〔アミン臭の評価〕
表1に示す各研磨液組成物について、室温条件において、3名のパネラーによる官能評価により以下の評価基準に従ってアミン臭を評価した。
〔評価基準〕
N:アミン臭ほとんど無し
D:アミン臭有り
Figure 0005748331
Figure 0005748331
上記表1に示すとおり、実施例1〜9の研磨液組成物は、比較例1〜15に比べて優れた研磨速度及び清浄性を示し、さらに、優れた循環耐久性を示した。また、上記表2に示すとおり、実施例10の研磨液組成物は、比較例16、17に比べて研磨速度の低下が抑制され、優れた循環耐久性を示した。
本発明の研磨液組成物によれば、ガラスハードディスク基板の研磨工程において、高研磨速度と高清浄性の両立を実現でき、循環研磨において長時間高い研磨速度を維持できる。したがって、本発明の研磨液組成物は、ガラスハードディスク基板の製造において有用である。

Claims (10)

  1. アミン化合物と、酸と、シリカ粒子と、水とを含有するガラスハードディスク基板用研磨液組成物であって、前記アミン化合物は、アミノアルコール並びにピペラジン及びその誘導体からなる群から選択され、分子内に窒素原子を2個又は3個有し、そのうち少なくとも1個は1級アミンもしくは2級アミンである、ガラスハードディスク基板用研磨液組成物。
  2. 前記アミン化合物が、2‐[(2‐アミノエチル)アミノ]エタノール、2,2′‐(エチレンビスイミノ)ビスエタノール、N‐(2‐ヒドロキシエチル)‐N′‐(2‐アミノエチル)エチレンジアミン、2,2′‐(2‐アミノエチルイミノ)ジエタノール、N1,N4‐ビス(ヒドロキシエチル)ジエチレントリアミン、N1,N7‐ビス(ヒドロキシエチル)ジエチレントリアミン、1,3‐ジアミノ‐2‐プロパノール、ピペラジン、1‐メチルピペラジン、3‐(1‐ピペラジニル)‐1‐プロパンアミン、1‐(2‐アミノエチル)ピペラジン、4‐メチルピペラジン‐1‐アミン、1‐ピペラジンメタンアミン、4‐エチル‐1‐ピペラジンアミン、1‐メチル‐4‐(2‐アミノエチル)ピペラジン、及び1‐(2‐ヒドロキシエチル)ピペラジンからなる群から選択される、請求項1記載のガラスハードディスク基板用研磨液組成物。
  3. 前記アミン化合物が、2‐[(2‐アミノエチル)アミノ]エタノール、1‐(2‐アミノエチル)ピペラジン、及び1‐(2‐ヒドロキシエチル)ピペラジンからなる群から選択される、請求項1又は2に記載のガラスハードディスク基板用研磨液組成物。
  4. 前記酸が、多価カルボン酸、一価カルボン酸、含リン有機酸、及び含リン無機酸からなる群から選択される酸である、請求項1から3のいずれかに記載のガラスハードディスク基板用研磨液組成物。
  5. 前記酸が、多価カルボン酸、及び一価カルボン酸からなる群から選択される酸である、請求項1から4のいずれかに記載のガラスハードディスク基板用研磨液組成物。
  6. 前記研磨液組成物のpHが、0.5〜4.0である、請求項1から5のいずれかに記載のガラスハードディスク基板用研磨液組成物。
  7. 前記ガラスハードディスク基板が、アルミノ珪酸ガラス基板である、請求項1から6のいずれかに記載のガラスハードディスク基板用研磨液組成物。
  8. 請求項1から7のいずれかに記載の研磨液組成物を用いてガラスハードディスク基板を循環研磨する工程を含む、ガラスハードディスク基板の製造方法。
  9. 前記ガラスハードディスク基板が、アルミノ珪酸ガラス基板である、請求項8記載のガラスハードディスク基板の製造方法。
  10. 請求項1から7のいずれかに記載の研磨液組成物を用いてガラスハードディスク基板を循環研磨する工程を含む、ガラスハードディスク基板の研磨方法。
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