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JP5773750B2 - 可変パッド - Google Patents
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JP5773750B2 - 可変パッド - Google Patents

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Description

この発明は、レール底面とタイプレートとの間に軌道パッドと共に介装される樹脂注入式の可変パッドに関するものである。
軌道スラブやPCまくら木にレールを締結する場合、タイプレートをこれら軌道スラブやPCまくら木に固定し、このタイプレートに可変パッドおよび軌道パッドを挟んでレールを載せ、レールを保持するものが公知である。
特開2005−282112 特開2006−233477 特開2004−169437
特許文献1、2、3には、上下一対の樹脂シートを重ねて周縁を封着し、内部に樹脂充填室を形成した平面視略四角形の扁平な袋本体が示されている。この袋本体の対角位置には樹脂注入口および空気抜き口が形成され、樹脂注入口から注入した樹脂を樹脂充填室に注入しつつ、内部の空気を空気抜き口から排出させるものである。
またこれらの特許文献1、2、3には、袋本体の中に剛性繊維からなる織布状補強材(特許文献1)や補強繊維布(特許文献2、3)を予め収容しておき、注入した樹脂中にこの補強材を埋め込んで樹脂を硬化させることも示されている。ここに織布状補強材や補強繊維布としてはガラス繊維が用いられている。
しかし従来のものは補強材は織布あるいは繊維布であるため、樹脂注入時に補強材に付着した空気が円滑に排出できず、また補強材は通常樹脂充填室内で波打っているのでその片面に空気が溜まってそのまま樹脂中に残り易い。このため、注入樹脂の中に空気が残ったまま樹脂が硬化するという現象が発生し、樹脂硬化後の可変パッドの強度が低下したり耐久性に悪影響が出るという問題があった。
また、従来の可変パッドに充填する樹脂は硬化すると非常に硬い板状となり、レール締結装置のゆるみや軌道パッドの抜けによりレールを車両が通る度に繰り返し加わる大きな衝撃により割れることがある。このため、可変パッドの点検、交換に十分配慮することが必要であり、メンテナンスに手間がかかるという問題もあった。特に従来の可変パッドに用いていたガラス繊維は、伸び率が小さいため樹脂の破断に伴い繊維も破断してバラバラとなる恐れが有る。この場合には、軌道狂いや列車揺動の原因にもなり得る。
さらにガラス繊維の取り扱いについては、「粉じん障害防止規則」(労働衛生法に基づく規則、労働省令第18号)、「ガラス繊維およびロックウールの労働衛生に関する指針について」(揮発第1号)により、石綿代替品として、人体への影響や環境への影響などを考慮して厳しく規制されている。
この発明はこのような事情に鑑みなされたものであり、注入樹脂に空気が混入しにくくして硬化後の樹脂強度の低下を防ぎ、耐衝撃強度と耐久性を増大させてメンテナンスの手間を減らすことができ、補強材が可変パッドの破損によって周囲に飛散せずその取り扱いに前記法規上の不都合が生じないようにすることができる可変パッドを提供することを目的とする。
本発明によれば前記1の目的は、レールの下方に挿入され、樹脂液の注入量により厚さを調整し、前記樹脂液を硬化させることによって、レール荷重を支持すると共にレール高さを設定する可変パッドにおいて、平面視四角形の扁平な樹脂充填室を形成する樹脂製の袋本体と、この袋本体の隅に開口し前記樹脂充填室内に樹脂を導く樹脂注入口と、前記樹脂の注入に伴って前記樹脂充填室内から空気を排出するための空気抜き口と、ポリエステル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ナイロン繊維、ビニロン繊維、アラミド繊維のいずれかの糸をメッシュ状に形成し前記糸の交叉部を固着したものであって前記袋本体の前記樹脂充填室内に広げて収容されたメッシュ状補強材と、を備え、前記メッシュ状補強材の開口を一辺が2〜15mmの多角形としたことを特徴とする可変パッド、により達成される。
ここに開口の一辺を2mm以下にすると、空気と樹脂の流動が円滑でなくなり、メッシュ状補強材回りの樹脂に気泡が残る確率が高くなり、可変パッドの強度と耐久性が低下する。また16mm以上にすると気泡がほぼ無くなりこれ以上にする意味が無くなる一方、補強材の目付け(使用量)が減るためにその強度がガラスクロスを入れたものに比較して減少する。従って、一辺の長さは2〜15mmとするのがよい。なお気泡の抜け易さとこの一辺の長さは注入時の樹脂の粘度(粘性)が影響するが、通常使用する可変パッド用の二液混合型のポリウレタン樹脂や、ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂は注入時(未硬化時)には共に粘度が小さく約100〜150mPa・s(ミリパスカル秒)である。従って極めて流動性がよいので、粘度の影響については考慮する必要が無いと考えられる。
従来より補強材として用いられているガラス繊維は、引っ張り強さは大きい(3.9〜4.7gf/D )が、伸び率(延性)が極めて小さい(3〜4%)。すなわち粘り強さ(toughness)が小さく、脆く折れ易いという性質がある。一方可変パッドに用いる樹脂は硬化すると硬い板状で大きな衝撃が加わると割れることがある。このため大きな衝撃により樹脂が割れるとガラス繊維が容易に破断することになり、これにより可変パッドがバラバラになりタイプレートから飛び出したり抜け易くなることから、レールとタイプレートの間に間隙が生じることを発明者は知った。また樹脂内には補強材により移動しにくくなった気泡や繊維内(繊維間)の気泡が残りこれにより可変パッドの耐久性が低下することを知った。
そこで発明者は、補強材から空気が容易に排出されて樹脂注入後の袋内に気泡が残らないようにする方法を検討し、その結果補強材自身をメッシュ状にして空気が樹脂に押されて円滑に排出できるようにするという着想を得たものである。本発明はこの着想に基づいてなされたものである。
補強材はメッシュ状であるから、その開口を通して樹脂や空気が容易に流動できる。このため補強材が波打っていてもその両面或いは片面に空気が溜まることが無い。従って可変パッド内に残る空気が無くなり、空気混入による可変パッドの耐久性の低下を防ぐことができる。また補強材として、伸び率が大きく耐衝撃性が良好な有機繊維を採用することにより、仮に大きい衝撃が加わって硬化した樹脂が割れても繊維は破断せず可変パッドはバラバラになりにくい。このため可変パッドの飛び出しが防止され、急な軌道狂いや列車動揺を防ぐことができる。さらに、有機繊維を採用するから製造時の粉じん障害防止規則などの法規に抵触せず安全性が確保できる。また各糸の交叉部は固定して糸が移動するのを防ぐので、大きい開口寸法にすることができる。
ここに用いる補強材としては、ガラス繊維に代えて、ポリエステル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ナイロン繊維、ビニロン繊維、アラミド繊維のいずれかの糸をメッシュ状に形成したものとした。これらはガラス繊維(伸び率は3〜4%)に比べて、伸び率が大きい(12〜34%)ため耐衝撃性と靭性が高く、仮に硬化樹脂が割れても繊維は破断せずバラバラになりにくく、タイプレートから飛び出さない。従って、レールとタイプレートの間に間隙が生じず、急激な軌道狂いや列車動揺を防止することができる。
本発明の一実施例の適用例を示す軌道締結装置の断面図 その要部に樹脂の充填系路を加えて示す分解斜視図 レール高さ調整方法の動作流れ図 可変パッドの構成を示す図 図4におけるV−V線端面の拡大図 メッシュ構造の一例を示す平面図(A)と編み目の拡大斜視図(B) メッシュ構造の他の例を示す平面図(A)と編み目の拡大斜視図(B) 目合い(横軸)とシャルピー衝撃試験結果(縦軸)の変化を示す図
メッシュ状補強材の開口は、一辺の長さ(目合い)を2〜15mmとするが、この寸法は使用する糸の太さ(糸条太さ)、糸の中に含まれた細かい空気の量、樹脂や空気とのなじみ性など糸の特性によって適切に設定する必要がある。例えば糸の中に空気を含みにくい場合や糸の表面から空気の気泡や空気の膜を剥離しやすい材質の場合には、目合いを小さくできる。糸が細い場合は目合いを小さくできるが、糸が太い場合は目合いを大きくする必要がある。
メッシュ状補強材は、比較的大きい開口寸法の開口にするために、繊維の交叉部を固着するが、このためには接着剤や熱溶着などの適宜の手段を用いることができる
メッシュ状補強材は、例えば三本の糸を三軸構造にした三本模紗織りのものとすることができる(請求項2)。ここに模紗織りは、織り目(あるいは固着点)が透けて見えもので高級織物である「紗(しゃ)」で用いる織り方である。三軸構造は3本の糸で囲まれる正三角形の開口を形成したものであり、各辺が非平行なのでこの開口に入って硬化した樹脂との食いつきが良く樹脂が剥離しにくくなって強度が増大する。このため樹脂と一体化し易く高強度、高弾性を持たせることが可能である。
糸の織り構造は、開口が比較的大きくなるラッセル織りであってもよい。ラッセル織りは「ジャージー」生地として良く知られた織り方であって、二本の糸を縦糸と横糸として編んだ二軸構造にしたもので織機が単純になる。なおメッシュに構成する糸は、細い繊維を束ねた糸、紐、幅が狭い帯状のクロス(編み物、布地)などを含む。
図1は本発明の一実施例を適用する軌道スラブのレール締結装置の一例(直結8形一般用)を示す断面図、図2はその要部の分解斜視図に樹脂充填系を加えて示す図、図3はレール高さ調整方法の動作流れ図である。
図1において符号10は軌道スラブであり、このスラブ10はレール長さ方向に数mの長さを持ったPC(Prestressed concrete)の板であり、路盤に位置決めされて敷設される。このスラブ10には所定位置に予め埋込栓カラー12が埋込まれている。
同図において14は鉄製のタイプレートであり、レール長さ方向に約18cmの長さを持つ。このタイプレート14はゴムマットなどの絶縁板16を挟んでスラブ10上に位置決めされて置かれる。このタイプレート14はアンカー用Tボルト18とナット20によってスラブ10に固定される。
Tボルト18は下端にT字型のボルト頭18aを持つ。前記埋込栓カラー12はこのボルト頭18aを通すように略ダ円形の平断面形状を持ち、ボルト頭18aをここに上方から挿入して90°回転させることによりボルト頭18aを埋込栓カラー12の底に設けた係合部12aに係合させるものである。
ここにTボルト18とタイプレート14とは絶縁カラー22により電気的に絶縁される。この絶縁カラー22は、円筒形のボス部と、このボス部24の上端から外径方向へ拡径するフランジ部とを有する。この絶縁カラー22は、例えばガラス短繊維を約8重量%混入したポリカーボネート樹脂を射出成形することにより製作される。
Tボルト18には、図1に示すように、絶縁板16、タイプレート14が通され、さらに鉄製のカバープレート28、絶縁カラー22、座金30、ばね座金32、座金34が通される。そして最後にナット20が螺着され、締付けられる。ここに絶縁カラー22のボス部はカバープレート28およびタイプレート14のボルト孔内へ進入している。このようにしてタイプレート14とTボルト18との間は絶縁カラー22により電気的に絶縁される。
図1で36はレールであり、レール高さ調節用の樹脂注入式可変パッド38および軌道パッド40を介してタイプレート14に載せられる。そしてレール36を押える板ばね42は、ボルト44およびナット46によってタイプレート14に締付け固定される。
ここにタイプレート14には、レール底部ガイド用の突壁48,48が一体に形成されている。これらの突壁48,48は、レール36の底部36Aの幅にほぼ一致する間隔を空けて起立する。前記可変パッド38および軌道パッド40はこれら突壁48,48の間に敷かれ、その上にレール36の底部36Aが載せられる。そしてレール36は両突壁48,48により左右方向(幅方向)への移動が規制される。
突壁48,48には下方に向って広がった切欠部50,50が幅方向に横断するように形成され、ここに前記ボルト44の略台形に形成されたボルト頭(図示せず)が係合する。
軌道パッド40はステンレス鋼板で作られた金属板52と、この金属板52の下面に接着されたゴム板54とを有する。金属板52は、タイプレート14のレール長手方向の長さよりも長く作られ、タイプレート14の長さに対応する部分を挟む両端部分が幅方向に突出して舌状部56となっている。4つの舌状部56はその先端部分が下方へ折曲されている。これらの舌状部56はタイプレート14の突壁48,48に係合してその位置決めを行うものである。
次に可変パッド38を説明する。この可変パッド38は、図4、5に示すように偏平状かつ略四角形の袋本体38aと、この袋本体38aの中に広げて敷かれたメッシュ状補強材38bとを持ち、この袋本体38aの内部に樹脂を注入して硬化させたものである。この可変パッド38は、ポリエチレンやポリプロピレン、EVA、ナイロンなどのシートをラミネートしたものなどから所定形状の上下一対のシートを切抜き、これら上下のシートの周縁を溶着して袋状とし、内側に扁平な樹脂充填室を形成したものである。
この可変パッド38の袋本体38aは図2に示すように、タイプレート14の突壁48間を埋める寸法よりも、レール長手方向に長い四角形であり、両端の突出部分の対角位置には樹脂注入口58と空気抜き口60とが形成されている。注入口58は、略対角方向外側へ延出した細い通路状である。注入口58には樹脂の注入を許容する一方向弁58aが取付けられている。また空気抜き口60は、レール長手方向に突出している。空気抜き口60内にはその通路に沿って長い詰め栓60aが装填されている。
詰め栓60aは例えば棒状の綿で作られ、長手方向に空気を通し易くかつ樹脂液を通しにくくしたものである。この詰め栓60aは、可変パッド38を作る際に上下一対のシートの間に挟んで両シートを溶着することにより、空気抜き口60に装填することができる。
袋本体38aの中には、本発明に係るメッシュ状補強材38bが収容されている。このメッシュ状補強材38bは、ポリエステル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ナイロン繊維、ビニロン繊維、アラミド繊維のいずれかの糸、紐あるいは幅が狭い帯状に編んだものをメッシュ状に形成したものである。図6、図7はメッシュの構造例を示すものであり、図6の(A)は三本の糸を三軸構造にした三本模紗織りの構造を示す平面図、(B)は同じく編み目構造の拡大斜視図である。図7の(A)は二本の縦横の糸を編んだ2軸構造のラッセル織りの構造を示す平面図、(B)は同じくその編み目構造の拡大斜視図である。
図6に示す三軸構造は、3本の糸38cで囲まれる正三角形の開口38dを形成したものであり、各辺が非平行なのでこの開口に入って硬化した樹脂との食いつきが良く樹脂が剥離しにくくなって強度が増大する。このため樹脂と一体化し易く高強度、高弾性を持たせることが可能である。糸の織り構造は、図7に示すメッシュ状補強材38b′のように、縦と横の糸38c′で形成される開口38d′が正方形あるいは長方形になるラッセル織りであってもよい。この構造では織機が単純になり、製造が容易である。また各糸の交叉部38e、38e′は糸が移動するのを防ぐために固着しておく。例えば交叉部38e、38e′を接着剤で固定したり、熱圧着により固定しておく。
なおメッシュ状補強材38b、38b′(以下図7のものを含めて単に38bという。38c′、38d′、38e′についても同様。)は、樹脂注入口58付近で袋本体38aの上面(または下面)に熱溶着部39で熱溶着されている(図4、5)。この熱溶着部39は樹脂注入口58から樹脂を注入する際にメッシュ状補強材38bが移動したり注入口58付近でまくれたり折れ曲がったりするのを防ぐものである。
この可変パッド38の上には前記した軌道パッド40が重ねられる(図1、2)。この時軌道パッド40は、両端部分がタイプレート14の両側へ突出し、舌状部56はタイプレート14の両端面、すなわち突壁48,48の両端面に係合する(図1参照)。このように4つの舌状部56がそれぞれ突壁48,48の両端面に係合するから、軌道パッド40は正確に位置決めされる。すなわちこの舌状部56は軌道パッド40の移動を規制するストッパとして機能する。
この軌道パッド40の上にレール36を載せた状態でレールの高さ調節を行う。この作業はレール36を後記するスペーサー、高さ調整用ブロック、ジャッキ、扛上機などを用いて所定の高さに保持し、この状態で注入口58から樹脂液を注入し、空気が空気抜き口60の詰め栓60aを通って大気へ抜けた後に、樹脂液が詰め栓60aを塞いだ状態で注入することにより行われる。この樹脂の注入は樹脂充填装置70によって行われ、充填する樹脂の量によってレールを所定の高さに支持する。注入口58には一方向弁58aが装着されているので樹脂は逆流することがない。そして、樹脂は所定時間後に硬化する。
次に樹脂充填器70を図2を用いて説明する。この樹脂充填器70は、主剤を収容する気密タンク(収容タンク)72と、硬化剤を収容する気密タンク(収容タンク)74と、これらのタンク72、74に空気圧を供給し主剤と硬化剤を送出する空気ポンプ(樹脂供給ポンプ)76と、送出された樹脂を袋体に注入する樹脂注入ガン78と、ポンプ76を駆動する制御部(図示せず)とを備える。ここに充填樹脂としてポリエステル樹脂を用いる時は、主剤はポリエステル樹脂にコバルト、硬化促進剤を添加したものであり、硬化剤はポリエステル樹脂に有機過酸化物を添加したものである。
樹脂注入ガン78はスタティックミキサーなどの混合器(ノズル)である。この樹脂注入ガン78は、コック(開閉弁、図示せず)付きのノズルホルダ78aと、ロッド状のノズル部78bとを持ち、タンク72から吐出される主剤と、タンク74から吐出される硬化剤とを均一に混合してロッド状のノズル部78bから吐出する。
次にこの樹脂充填器70を用いてレール高さを調整する方法を説明する。図1において、まずレール36をタイプレート14から解放する。すなわちタイプレート14からナット46を緩め、板ばね42を取外す。そしてレール36とスラブ10の間に、スペーサとなる高さ調整用ブロックなどの高さ調整具(図示せず)を挟んで、レール36の高さを所定の高さ(例えば目標の高さ)に設定する(図3,ステップS200)。高さ調整用ブロックを挟むのに代えて、レール36をジャッキあるいは扛上機などを用いて引き揚げて保持してもよい。
この状態ではレール底部36Aの下に間隙ができるので、軌道パッド40を押し上げてその下に樹脂充填前の可変パッド38の袋を挿入する(ステップS202)。そして前記図2に説明した樹脂充填装置70を用いてこの可変パッド38の袋に樹脂を充填する(ステップS204)。この樹脂の充填にあたり、まず樹脂注入ガン78のロッド状のノズル部78bを可変パット38の注入口58に挿入して固定する。この状態でポンプ76でタンク72、74内を加圧すれば、主剤および硬化剤が樹脂注入ガン78に送られる。
主剤および硬化剤はこの樹脂注入ガン78で均質に混合されて、可変パッド38に流入する。この時注入口58に設けた一方向弁58aを通るから、混合した樹脂は可変パッド38から樹脂注入ガン78に逆流することがない。袋本体38aに入った樹脂はその一部がメッシュ状補強材38bの熱溶着部39を迂回しつつメッシュ状補強材38bの上・下面に分かれて図4に矢印で示すように流動する。
ここにメッシュ状補強材38bは前記のように、糸をメッシュ状にして糸の交叉部を固着したものであり、開口(目合い)の寸法を2〜15mmとしたものである。このため樹脂の流入に伴い、樹脂充填室内の空気は開口を自由に流れるから、メッシュ状補強材38bの表面あるいは裏面に溜まって可変パッド38の樹脂の中に泡状に混入することがない。メッシュ状補強材38bは熱溶着部39で袋本体38aに熱溶着され、また樹脂もメッシュの開口を自由に流れるから、樹脂がメッシュ状補強材38bを折り曲げたり皺をつけたりすることもなく、またメッシュ状補強材38bを樹脂の中に偏在させることなく均一に広げた状態で樹脂を硬化させることができる。このため可変パッド38の強度を向上させ、その耐久性を増大させることができる。
可変パッド38に混合した樹脂が注入されると、可変パッド38内の空気は空気抜き口60から詰め栓60aを通って大気中へ押し出される。詰め栓60aは空気に対して圧損(通路抵抗)が小さいので、空気は円滑に排出される。空気が完全に抜けると可変パッド38内の樹脂液がこの空気抜き口60に入り、樹脂液は詰め栓60aに浸入する。
詰め栓60aは樹脂液に対して圧損(通路抵抗)が非常に大きいので、樹脂液はこの詰め栓60aに袋本体38a側から浸み込むだけで通過しない。また浸み込んだ樹脂液は、詰め栓60aに捕捉されて詰め栓60aの通気孔を塞ぐだけでなく、詰め栓60aの中でここに捕捉された樹脂液の硬化が速やかに進行する。このため詰め栓60aは空気抜き口60を完全に閉じることになる。
その後空気ポンプ76の駆動により可変パッド38内に樹脂液がさらに圧入される。このため可変パッド38の厚さが増える。レール36とタイプレート14との間の間隙がなくなる厚さになったら、樹脂注入ガン78のコック(開閉弁)を閉じて、樹脂注入ガン78bのロッド部78bを注入口58から抜けばよい。可変パッド38に入った混合樹脂はしばらく放置することによって硬化する(ステップS206)。このようにして順次異なる可変パッド38に樹脂を充填すればよい。
樹脂の硬化後にレール高さ調整具を取外す(ステップS208)。また樹脂の硬化後には、樹脂注入口58および空気抜き口60をその根元付近で切断して除去する(ステップS210)。作業が終わったら、樹脂注入ガン78を取外し、洗浄する。すなわち主剤と硬化剤が樹脂注入ガン78内で硬化する前に混合した樹脂を取り除く必要があるからである。
比較例
次に本発明に係るメッシュ状補強材38bを用いることによる効果が、糸の種類などによりどのように変化するか実験した結果を次の表1に示す。
Figure 0005773750
この表1において、試験例(A)〜(G)はいずれも樹脂充填室に充填する樹脂としてポリエステル樹脂を用いたものであり、これらのうち(E)、(F)、(G)は本発明によるメッシュ状補強材を組み合わせた場合、(A)〜(D)は比較のためにクロスの(布状、織布状の)補強材、すなわち目合いが0〜2mm以下の補強材を組み合わせた場合である。また(E)はメッシュ状補強材であるが目合いが20mmと大きい補強材を使用した場合である。これらの試験例(A)〜(G)で用いる充填樹脂は、出願人(株式会社アレン)より販売されているポリエステル樹脂「AP−104」(商品名)である。
また試験例(A)で用いるガラスクロスは、日東紡株式会社製のガラスクロス#350であって、製品WF350/100BS6(目付け328g/m2)である。このガラスクロスの目合いは0〜2mmである。
試験例(B)で用いるポリエステルクロスNC−300は、日本ワイドクロス株式会社製のもので、目付け320g/m2である。試験例(C)で用いるアラミドクロスAK−20/20は、ファイベックス株式会社製であり目付け325g/m2である。試験例(D)で用いるビニロンクロスUV−200は、ユニチカ株式会社製であり目付け220g/m2である。これらの目合いも0〜2mmである。試験例(E)で用いる3軸アラミドメッシュは、帝人株式会社製の製品テクノーラATT200であり、その目付けは28g/m2、目合いは20mmである。
試験例(F)の3軸ビニロンメッシュは、ユニチカ株式会社製の商品名トリネオTSS−1810であり、その目付けは88g/m2、目合いは10mmである。試験例(G)の2軸ポリエステルメッシュは、前田工繊株式会社製のT−200Gであり、その目付けは300g/m2であり、目合いは4.5×5.0(たて×よこ)である。
ここにシャルピー衝撃試験はJISK6911およびJISK7111に準じた方法で行った。表1中で、「樹脂は割れるが破壊せず(測定限界以上)」は、可変パッドに必要な要求強度より十分に大きい強度で樹脂は割れるが、この時繊維で補強されているのでばらばらに破壊しないという状態を示している。「エア溜まりの状態」の「○」はエアの溜まりがない状態(目視により気泡が認められない状態)を示し、「△」は部分的に小さいエアー溜まりが見られる状態を示す。
これらの試験例から、本発明による場合(F)〜(G)によれば、十分な強度が得られると同時に、仮に割れてもバラバラになることが無く、有機繊維のため粉塵障害防止規則に抵触せず安全性が確認された。これはメッシュ状補強材38bにより「エアー溜まりの状態」が○となり、大きな空気の泡が無くなっていることにより樹脂の硬化強度が増大したためと、補強材としてガラス繊維に替えて有機繊維を用いたためと考えられる。また試験例(E)によれば、メッシュ状補強材を使用しても目合いが大きい場合には、目付けが少なくなることによりガラスクロスより強度が弱くなるため補強硬化が低下すると考えられる。
図8は横軸に目合いを、縦軸に強度(シャルピー試験結果)をとって、前記表1の試験例(E)と(F)を記載したものである。この図から、目合いが大きくなると強度が低下するので、可変パッドとして必要とする最小限の強度を試験例(A)ガラスクロスを用いた場合の強度である10.9とし、この強度以上にするために必要な目合いを少し余裕をもって約15mmと求めた。この結果に基づいて、この発明では目合いの範囲を2〜15mmとしたものである。
14 タイプレート
36 レール
38 可変パッド
38a 袋本体
38b、38b′ メッシュ状補強材
38c、38c′ 糸
38d、38d′ 開口
38e、38e′ 交叉部(固着部)
39 熱溶着部
40 軌道パッド
58 樹脂注入口
58a 一方向弁
60 空気抜き口
70 樹脂充填装置

Claims (2)

  1. レールの下方に挿入され、樹脂液の注入量により厚さを調整し、前記樹脂液を硬化させることによって、レール荷重を支持すると共にレール高さを設定する可変パッドにおいて、
    平面視四角形の扁平な樹脂充填室を形成する樹脂製の袋本体と、
    この袋本体の隅に開口し前記樹脂充填室内に樹脂を導く樹脂注入口と、
    前記樹脂の注入に伴って前記樹脂充填室内から空気を排出するための空気抜き口と、
    ポリエステル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ナイロン繊維、ビニロン繊維、アラミド繊維のいずれかの糸をメッシュ状に形成し前記糸の交叉部を固着したものであって前記袋本体の前記樹脂充填室内に広げて収容されたメッシュ状補強材と、
    を備え、前記メッシュ状補強材の開口を一辺が2〜15mmの多角形としたことを特徴とする可変パッド。
  2. メッシュ状補強材は、三本の糸を三軸構造にした三本模紗織りのものである請求項1の可変パッド。
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