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JP5784686B2 - 土留構造体、擁壁構造体及び土壌構造体 - Google Patents
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土留構造体、擁壁構造体及び土壌構造体 Download PDF

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本発明は、土木工事に用いられる、10〜20cm程度の割られた石であるいわゆる割栗石の代替材を用いた各種構造体に関する。
割栗石は、岩石を打ち割って製造される10〜20cm程度の小塊状の石材であり、土木工事の材料として広く用いられている。具体的には、山斜面や道路脇等の崖や、川岸や海岸や池岸等の堤に積んで土壌の土留め材として用いたり、例えば、下記特許文献1に開示されたように擁壁を形成するための材料として用いたり、金属ネットに充填された割栗石を土壌斜面に配して突き固めたりするための材料として用いられている。また、地盤の基礎を形成するために割栗石を相互にかみ合わせながら土壌地盤を突き固める割栗石地業にも用いられる。また、未舗装の道に割栗石を敷設して突き固めるための舗装材としても用いられる。
ところで、林業においては、人工林を保全するために間伐が行われている。間伐は森林の成長過程で密集化する立木を間引くことにより、太くしっかりした木を育てるための作業である。間伐では多くの間伐材が発生するが、間伐材は価格が安く、間伐の有効な利用方法が少なく、重労働の間伐作業に応じた充分な収益は得られにくい。従来、日本の森林の多くは、林業従事者により、植林や間伐等の手入れを施すことにより保全されてきたが、近年、海外からの著しく安価な木材が大量に輸入されることにより、国産材を生産する林業経営が経済的に厳しくなっている事情がある。このような日本の森林の林業経営の厳しさは、国内の林業従事者の人手不足を招き、結果として、間伐が充分に行われない荒れた森林を増やしている。間伐が充分に行われていない森林においては、太い気が育たず、その結果、山の保水力や土留め力が低下して、大水や山崩れ等の災害を引き起こすおそれもある。
林業従事者による間伐を衰退させないための試みとして、高付加価値を実現しうる間伐材の新たな活用方法が模索されている。従来、間伐材は、建築現場の足場材や木柵の材料、割箸材、木炭材等として用いられていた。このような従来の用途とは異なる新たな用途として、木質バイオマスの原料としての利用も試みられている。
特開2000−204571号公報
山斜面や道路脇等の崖や、川岸や海岸や池岸等の堤の土壌の土留めを図るために割栗石を用いた場合、次のような問題があった。割栗石を用いて擁壁等を形成した場合、割栗石は石材であるために、人為的に割栗石を除去する作業を行わない限り、割栗石はその場所に半永久的に残ってしまう。また、森林の山斜面や川岸に割栗石を敷設した場合、割栗石には微生物や菌類等が育ちにくいために、割栗石を敷設した部分にはそれらを栄養源とする動植物も育ちにくくなったり、その山斜面の植生が著しく乏しくなったりするという問題があった。また、割栗石は、採石場の近辺の石材加工場で生産された後、施工現場まで運搬される。石材加工場から施工現場までの距離が遠い場合には、大量の割栗石を運搬するために多大なコストが掛かるという問題もあった。
また、特許文献1は、擁壁を形成するための充填剤として、割栗石の他、木材を開示している。しかしながら、擁壁を形成するための材料として木材を用いた場合には、数か月から数年で腐食してしまうという問題があった。
本発明は、数十年から数百年程度で分解し、また、動植物の生育も阻害しにくい、炭化層を有する木材のブロック状の割栗石代替材を用いた土留構造体、擁壁構造体及び土壌構造体を提供することを目的とする。
本発明に用いられる割栗石代替材は、表層に炭化層を有するブロック状の木材からなる。このような割栗石代替材は木材を主体とする素材であるために、土木工事に用いた場合、無機物である割栗石のように半永久的に残ることがなく、また、微生物や菌類等の生育を阻害しないために森林や河岸の環境に対する負荷が低い。また、少なくともその表層に炭化層を有するために、炭化層を有しない木材のように、数か月や数年程度で腐食分解することはなく、数十年から数百年程度の期間において徐々に分解するために割栗石の代替材としての機能を充分に発揮する。さらに、土木工事の施工現場の近辺から間伐材等の木材を調達できる場合には、多大な運搬コストを掛けずに、木材の形状を整えて炭化処理するだけで、製造することができる。また、副次的には、割栗石代替材の炭化層から溶出する多量のミネラル分やアルカリ性物質等は土壌を改質する効果も発揮する。炭化層の厚みとしては3〜15mmであることが木材の短期間での腐食を充分に抑制できる点から好ましい。
割栗石代替材は、断面の少なくとも一つが鋭角を有する多角形状でブロック状であり、断面の少なくとも一つが台形状であることが好ましい。このような鋭角を有する多角形状の断面を有する割栗石代替材は、表面に角ばった部分を有するために、複数の割栗石代替材を土壌に敷きこんだ場合に、互いに噛みあいやすいために力が掛かっても流れることなく、土壌に安定的に固定することができる。
割栗石代替材の大きさは特に限定されないが、見掛け体積が10〜8000cm3であることが、作業性及び土壌に安定的に固定できる点から好ましい。
発明に係る土留構造体は、四角柱形状の木材の一つの面から隣接する一つの面に向かって一部を切り落とした形状で斜面及び台形状側面を有する木材を炭化処理して形成された、表層に炭化層を有するブロック状(棒状またはチップ状を除く)の割栗石代替材の複数個を土壌に敷設及び/または埋設して形成されるものである。また、複数個の上述した割栗石代替材をネットで固定して形成されてもよい。このようなネットとしては、自然分解性素材から形成されていることが環境負荷が低い点から好ましい。
また、本発明に係る擁壁構造体は、四角柱形状の木材の一つの面から隣接する一つの面に向かって一部を切り落とした形状で斜面及び台形状側面を有する木材を炭化処理して形成された、表層に炭化層を有するブロック状(棒状またはチップ状を除く)の割栗石代替材の複数個を、土壌の斜面に敷設及び/または埋設して形成されるものである。このような擁壁構造体は、数十年から数百年程度で徐々に分解し、また、動植物の育つ森林や河岸の環境に対する負荷が低い。
本発明によれば、数十年から数百年程度で分解し、また、動植物の生育も阻害しにくい炭化層を有する木材からなる割栗石代替材を用いた土留構造体、擁壁構造体及び土壌構造体を提供することができる。
図1(a)は実施形態の割栗石代替材の斜視模式図、図1(b)は図1(a)のA−A’断面における断面模式図である。 図2は土壌斜面2に割栗石代替材1を用いて擁壁を形成したときの様子を説明するための説明図である。 図3は土壌斜面2にカゴ状のネット3に割栗石代替材を充填して得られた土留構造体を配したときの様子を説明するための説明図である。 図4は未舗装路に割栗石代替材を配して形成した舗装構造体を説明するための説明図である。 図5は畝が形成された畑35に、複数個の割栗石代替材1を埋設した土壌構造体40を説明するための説明図である。
以下、割栗石代替材、土留構造体、擁壁構造体、及び舗装構造体の実施形態を図1〜図5を参照しながら説明する。
図1(a)は割栗石代替材1の斜視模式図であり、図1(b)は図1(a)のA−A’断面における断面模式図である。割栗石代替材1は、中心部に存在する木材層1aとその表層に存在する炭化層1bとを有するブロック状の木材からなる。このような割栗石代替材を土木工事に用いた場合には、木材を原料とする割栗石代替材は無機物の割栗石のように半永久的に残ることがなく、また、動植物の育つ森林や河岸の環境に対する負荷が低い。さらに、土木工事の施工現場の近辺から間伐材等の木材を調達できる場合には、多大な運搬コストを掛けずに、現場の近辺で木材の形状を整えて炭化処理するだけで製造することができる。
割栗石代替材は表層に炭化層を有する。そのために、数か月や数年で腐食分解することはなく、数十年から数百年程度で徐々に分解するために割栗石の代替材としての機能を充分に発揮する。表面の炭化状態は特に限定されず、腐食により短期間で崩壊することが抑制される程度に炭化されている限り特に限定されないが、表面から深く炭化されていればいるほど、腐食しにくくなる。
炭化層の厚みとしては、割栗石代替材の形状にもよるが、例えば、2〜15mm、さらには3〜10mm、とくには5〜8mm程度であることが好ましい。炭化層の厚みが薄すぎる場合には、腐食を抑制する効果が不充分になり、厚すぎる場合には、長期間腐食しにくくなるとともに、生産性も低下する傾向がある。また、割栗石代替材中の炭化層の体積割合は特に限定されないが、例えば、1〜50体積%、さらには10〜40体積%程度であることが好ましい。
割栗石代替材の原料となる木材の種類は、マツ,スギ,ヒノキ等の針葉樹や、ウバメガシ,カシ,クヌギ,クリ等の広葉樹等、特に限定なく用いられる。なお、土木工事の施工現場の近辺から間伐材等の木材を調達できる場合には、間伐材を原料として製造することにより、割栗石を運搬する際に発生する多大な運搬コストが削減できる点から特に好ましい。
割栗石代替材の形状は、図1に示したような四角柱形状の木材の一つの面から隣接する一つの面に向かって一部を切り落とすことにより形成された斜面及び台形状側面を有するブロック状であることが好ましい。すなわち、斜面や岸に、複数個の割栗石代替材を重ねたり並べたりして配置したときに、崩れたり、安定しなかったりすることを防ぐ点から、外形に鋭角を有するように、任意の断面の少なくとも一つが鋭角を有する多角形状になるような形状、さらには、断面の少なくとも一つが台形状や略楔形のような鋭角を有する。鋭角を有する多角形状の断面を有する場合には外形にも鋭角が形成されるために、複数の割栗石代替材を土壌に敷きこんだ場合に、角で互いに噛みあいやすくなり、力が掛かっても流れることなく、土壌に安定的に固定される。
割栗石代替材の大きさは特に限定されず、配置される場所及び目的に応じて適宜選択される。その見掛け体積としては、10〜8000cm3、さらには、100〜1000cm3程度であることが作業性及び土壌に安定的に固定できる点から好ましい。
また、割栗石が大きさでランク分けされているように、例えば、大、中、小のようにランク分けされた複数の大きさのものを準備して、用途に応じて選択してもよい。例えば、図1のような形状の場合、H及びWで示される部分の長さが8〜10cm程度、で見掛け体積が1000cm3以上のものを大とし、H及びWで示される部分の長さが6〜8cm程度であり、見掛け体積が200〜1000cm3程度のものを中とし、H及びWで示される部分の長さが6cm以下、または見掛け体積が200cm3以下のものを小のようにランク分けし、用途に応じて使い分けてもよい。
次に、このような割栗石代替材を用いて施工された擁壁構造体を図2を参照して説明する。図2は土壌斜面2に割栗石代替材1を用いて擁壁を形成したときの様子を説明するための説明図である。図2においては、擁壁10は、土壌斜面2に高さ方向、幅方向、厚み方向に3次元的に積層されるように複数個の割栗石代替材料1を埋め込んで突き固めて形成されている。このような擁壁10を形成することにより、土壌斜面の崩壊を抑制することができる。なお、割栗石代替材料1同士の隙間には必要に応じて砂利や土で埋めたり、アンカーボルトを打つことにより、さらに固定性を高めてもよい。
また、図3は土壌斜面2にカゴ状のネット3に複数個の割栗石代替材1を充填して得られた土留構造体20を配したときの様子を説明する。図3に示すように、複数個の割栗石代替材1をカゴ状や袋状のネット3に充填したり、平状のネットで覆ったりすることにより、土壌に敷設または埋設された複数個の割栗石代替材1をネットで固定することができる。それにより、割栗石代替材1が脱落したり、流れたりすることを抑制することができる。
複数個の割栗石代替材を固定するためのネットとしては、金網や樹脂網等、特に限定なく用いられるが、本実施形態の割栗石代替材を固定するためのネットとしては、天然繊維からなる素材や、植物のつるや、生分解性繊維からなるような自然分解性素材から形成されや線材から形成されていることが環境負荷が低い点から特に好ましい。
また、図4は未舗装路4に複数個の割栗石代替材1を敷設または埋設した舗装構造体30を説明するための説明図である。山道、河岸、海岸等においては、アスファルトやコンクリートでの舗装が難しく、また、舗装することにより景観を損なうことがある。このような場合、図4に示すように、未舗装路4に複数の割栗石代替材1を敷設または埋設し、突き固めることにより、地盤の安定した舗装構造を形成することができる。
また、図5は、畝が形成された畑35に、複数個の割栗石代替材1を埋設して固めた土壌構造体40を説明するための説明図である。畑においては、花卉や野菜の生育に適した水はけと保湿性とのバランスが求められる。そのために、畑に割栗石を敷設または埋設することにより水はけを調整することも考えられる。しかしながら、無機物の割栗石を敷設または埋設した場合には、永久的に残ってしまう。本発明の割栗石代替材1を埋設することにより、このような問題は解決される。また、木質繊維を含むために保水性が向上する一方、隣り合う割栗石代替材1同士の空隙から余分な水が抜けるために排水性にも優れる。さらに、割栗石代替材の炭化層から溶出する多量のミネラル分やアルカリ性物質等は土壌をアルカリ改質する効果も発揮する。
畑に埋設される割栗石代替材の大きさとしては、図1のような形状の場合、H及びWで示される部分の長さが2〜4cm程度であり、見掛け体積が10〜100cm3程度であることが、作業性及び水はけと保湿性とアルカリ改質効果が発揮されやすい点から好ましい。大きすぎる場合には、畑に埋設する作業性がとくに低下するとともに、比表面積が小さくなるために表面からのアルカリ改質成分が溶出される量が低下する傾向がある。
栗石代替材は、土木工事に用いられる割栗石の代替材として用いられる。また、木材として間伐材を用いた場合には、間伐材の有効利用に寄与する。
1 割栗石代替材
1a 木材層
1b 炭化層
2 土壌斜面
3 ネット
4 未舗装路
10 擁壁
20 土留構造体
30 舗装構造体
40 土壌構造体

Claims (9)

  1. 四角柱形状の木材の一つの面から隣接する一つの面に向かって一部を切り落とした形状で斜面及び台形状側面を有する木材を炭化処理して形成された、表層に炭化層を有するブロック状(棒状またはチップ状を除く)の割栗石代替材の複数個を、土壌に敷設及び/または埋設して形成されることを特徴とする土留構造体。
  2. 前記台形状側面の高さが6〜10cmである請求項1に記載の土留構造体。
  3. 前記炭化層の厚みが2〜15mmである請求項1または2に記載の土留構造体。
  4. 前記割栗石代替材の見掛け体積が10〜8000cm3である請求項1〜3の何れか1項に記載の土留構造体。
  5. 複数個の前記割栗石代替材をネットで固定して形成される請求項1〜4の何れか1項に記載の土留構造体。
  6. 前記ネットが生分解性素材から形成されている請求項5に記載の土留構造体。
  7. 四角柱形状の木材の一つの面から隣接する一つの面に向かって一部を切り落とした形状で斜面及び台形状側面を有する木材を炭化処理して形成された、表層に炭化層を有するブロック状(棒状またはチップ状を除く)の割栗石代替材の複数個を、土壌の斜面に敷設及び/または埋設して形成されることを特徴とする擁壁構造体。
  8. 前記台形状側面の高さが6〜10cmである請求項7に記載の擁壁構造体。
  9. 畑の畝の深部に埋設され、木材を炭化処理して形成された表層に炭化層を有するブロック状(棒状またはチップ状を除く)の割栗石代替材の複数個を、層状に並べて土で固定されて形成されることを特徴とする土壌構造体。
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