JP5800464B2 - イオン伝導性無機化合物とその合成方法、及び、アルカリ金属イオン二次電池の製造方法 - Google Patents
イオン伝導性無機化合物とその合成方法、及び、アルカリ金属イオン二次電池の製造方法 Download PDFInfo
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Description
現在、リチウムイオン二次電池は、電解質に有機電解液を用いたものが主流となっている。しかし、電解液である有機溶媒は引火点が低く、発火、燃焼を引き起こす危険性がある。また、過充電状態や高温環境下において可燃性ガス発生のおそれがあり、安全性を十分に確保するのが困難である。そこで、電解質に無機固体電解質を用いた固体電池が提案されている。固体電池は、上述の可燃性の有機溶媒を用いていないため、液漏れや発火などの問題を生じるおそれがなく、安全性に優れている。
特許文献1には、H3PO4、Li3PO4、又は、H3PO2をリン源として放電プラズマ焼結法により、LiTi2(PO4)3を製造する方法が開示されている。
特許文献2には、H3PO4、(NH4)2HPO4をリン源として放電プラズマ焼結法により、LiTi2(PO4)3を製造する方法が開示されている。
特許文献3には、リン酸水素アンモニウム、又は、リン酸ピロリン酸をリン酸源として溶融塩法により、Li1+aXaTi2-a(PO4)3(Xは、Al 、Sc、Y、La、In、Fe、Ga、Crから選ばれる1種、0≦a<0.7)を製造する方法が開示されている。
特許文献4には、(NH4)2HPO4をリン酸源として単結晶電極層上にレーザアブソープション法やスパッタリング法により、Li1+xM1xTi2-x(PO4)3(M1は、Al 、Sc、In、Fe、Cr、Ga 、Y、Laから選ばれる1種、0≦x<2.0)を製造する方法が開示されている。
例えば、
a.) (NH4)3PO4を原料として、Li1.3Al0.3Ti1.7(PO4)3を合成した場合、反応式は
0.65Li2CO3+0.15 Al2O3+1.7TiO2+3(NH4)3PO4
→Li1.3Ai0.3Ti1.7(PO4)3+a1NH3
+b1NOx+c1H2O+d1CO2
(a1,b1,c1,d1はいずれも実数)
となり、理論収率は59.3wt%である。
b.) (NH4)2HPO4を原料として、Li1.3Al0.3Ti1.7(PO4)3を合成した場合、反応式は
0.65 Li2CO3+0.15 Al2O3+1.7TiO2+3(NH4)2HPO4
→Li1.3Ai0.3Ti1.7(PO4)3+a2NH3
+b2NOx+c2H2O+d2CO2
(a2,b2,c2,d2はいずれも実数)
となり、理論収率は64.4wt%である。
b.) (NH4) H2PO4を原料として、Li1.3Al0.3Ti1.7(PO4)3を合成した場合、反応式は
0.65Li2CO3+0.15Al2O3+1.7TiO2+3(NH4)H2PO4
→Li1.3Ai0.3Ti1.7(PO4)3+a3NH3+b3NOx+c3H2O+d3CO2
(a3,b3,c3,d3はいずれも実数)
となり、理論収率は70.5wt%である。
これらの原料を用いてLTPや金属置換型LTPを製造する場合は、製造収率が60〜70wt%と低く、さらに、アンモニアや窒素酸化物等の有害ガスの発生が避けられず、有害ガスの処理費用もかかることから、製造コストが高くなるという問題があった。
また、特許文献3に記載されたリン酸ピロリン酸は、リン酸及びピロリン酸のことである。リン酸(H3PO4)には上記した吸湿性等の問題がある。ピロリン酸(H4P2O7)は、通常の水分を含む空気中では不安定な物質で、吸湿によりリン酸になる。吸湿性があり、常温液体のリン酸に変化しやすいということで、五酸化リンと同様の問題がある。
また、Li3PO4は、リチウム源にもリン源にもなる物質である。しかし、Li3PO4はLiとPの元素含有比でLiが多い物質である。そのため、LTPや金属置換型LTPのようなPの元素含有比の多い物質を合成するには、他にリン源を用意して混合する必要がある。場合によっては原料の一部が過剰投与となり不経済であるという問題があった。
以上、リチウムイオン伝導性の無機固体電解質材料の合成方法における問題点を説明したが、リチウム以外にも一般的にアルカリ金属イオン伝導性の無機固体電解質材料の合成において、従来のリン源の原料を用いる場合には上記した問題があり、より優れたリン源原料に対するニーズがあった。
M2yM12-y(PO4)3(ただし、Aはアルカリ金属元素であり、M1は、Ti、Snから選択された金属元素であり、M2は、Al、 Yから選択された金属元素である。Y≦0.5である)で表されるアルカリ金属リン酸化合物であることを特徴とするイオン伝導性無機化合物の合成方法である。
本発明(4)によれば、化合物を構成する元素の含有比を正確に制御することによりイオン伝導度等の物性の向上が可能になった。
本発明(5)によれば、イオン伝導度の高い低コストの固体電解質材料を用いることで、高性能で低コストの全固体型の二次電池の製造が可能になった。
本願発明者等は、上記目的を達成するために鋭意検討を行い、実験を重ねた結果、窒素元素を含まないピロリン酸塩(ピロリン酸金属化合物)をリン源として用いることにより、有害物質を発生させずに高い収率で、アルカリ金属イオン伝導性の無機化合物を合成可能であること、また、生成物を構成する元素の含有比を正確に制御可能であり、例えば、イオン伝導度等の物性が優れた無機化合物を合成可能であることを見出した。
以下に、具体例を挙げて本発明による代表的なイオン伝導性無機化合物の合成反応の反応式と理論収率を説明する。ただし、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。比較例は、従来のリン源を用いたイオン伝導性無機化合物の合成反応の説明である。最初に、具体例として、ピロリン酸塩のみをリン源として用いる場合について説明する。
[具体例1]
反応生成物:Li1.3Al0.3Ti1.7(PO4)3
反応原料:リチウム源(LiPO3)、アルミニウム源(Al2O3)、チタン源(TiO2)、チタン及びリン源(TiP2O7)
反応式は
1.3LiPO3+0.15Al2O3+0.85TiO2+0.85TiP2O7
→Li1.3Ai0.3Ti1.7(PO4)3
となり、ガス発生がなく、理論収率は100wt%である。
[具体例2]
反応生成物:Li1.3Y0.3Ti1.7(PO4)3
反応原料:リチウム源(Li2CO3)、イットリウム源(Y2O3)、チタン源(TiO2)、チタン及びリン源(TiP2O7)
反応式は
0.65Li2CO3+0.15Y2O3+0.2TiO2+1.5TiP2O7
→Li1.3Y0.3Ti1.7(PO4)3
となり、ガス発生がなく、理論収率は100wt%である。
[具体例3]
反応生成物:LiSn2 (PO4)3
反応原料:リチウム源(LiPO3)、スズ源(SnO2)、スズ及びリン源(SnP2O7)
反応式は
LiPO3+ SnO2+SnP2O7
→LiSn2
(PO4)3
となり、ガス発生がなく、理論収率は100wt%である。
比較のため、リン酸二水素アンモニウムを使用してLi1.3Y0.3Ti1.7(PO4)3、及び、LiSn2(PO4)3を合成する場合の反応式と理論収率を下記に記す。
[比較例1]
反応生成物:Li1.3Y0.3Ti1.7(PO4)3
反応原料:リチウム源(Li2CO3)、イットリウム源(Y2O3)、チタン源(TiO2)、リン源(NH4H2PO4)
反応式は
0.65Li2CO3+0.15Y2O3+1.7TiO2+3NH4H2PO4
→Li1.3Y0.3Ti1.7(PO4)3+a4NH3+b4Nox+c4H2O+d4CO2
(a4,b4,c4,d4はいずれも実数)
となり、アンモニアガス、酸化窒素ガス、炭酸ガスの発生があり、理論収率は71.4wt%である。
[比較例2]
反応生成物:LiSn2 (PO4)3
反応原料:リチウム源(Li2CO3)、スズ源(SnO2)、リン源(NH4H2PO4)
反応式は
0.5Li2CO3+2.0SnO2+3NH4H2PO4
→LiSn2(PO4)3+a5NH3+b5Nox+c5H2O+0.5CO2
(a5,b5,c5はいずれも実数)
となり、アンモニアガス、酸化窒素ガス、炭酸ガスの発生があり、理論収率は77.4wt%である。
このように、アンモニウム塩としては最も収率が高くなると考えられるリン酸二水素アンモニウムを反応原料に選択した場合においても、反応原料の30%近くが有害ガス又は炭酸ガスとして消費されることがわかる。これは、いずれのリチウム−りん−金属化合物の合成であっても、リン源となりうる窒素含有リン酸化合物中に占めるアンモニア分子の占める割合が高いほど、合成の際にアンモニアガス又は窒素酸化物が生成される量が増加するため、著しい重量減少を起こすためである。これは、目的合成物を構成する金属元素がいかなるものであろうと共通に起こる現象である。
以下、本発明の実施の形態に係るイオン伝導性無機化合物の製造方法を、リチウムイオン伝導性無機化合物の製造方法を例にとって説明する。なお、以下に説明する製造方法はリチウムだけでなく、例えばナトリウムなどの他のアルカリ金属イオン伝導性を備えた無機化合物の製造方法にも適用可能であることは言うまでもない。
上述の具体例1を例にとり説明する。最初に、リチウム源(LiPO3)、アルミニウム源(Al2O3)、チタン源(TiO2)、チタン及びリン源(TiP2O7)を所定の重量比となるように混合する。ここで、リン源としてはピロリン酸塩であるTiP2O7を混合する。その後、ライカイ機にて乾式粉砕・分散を行う。次に、分散によって得られた粉末をペレッターにて成型し、その後、例えば、大気雰囲気下にて加熱焼成しLi1.3Al0.3Ti1.7(PO4)3を合成する。加熱条件は、例えば、600〜1200℃、2〜10時間が好ましい。本特許の実施にあたっては、反応原料粉末の粉砕と混合を十分に行なってから、加熱により合成反応を促進させることが望ましい。反応原料を細かくすることは、反応原料同士の接触面積の増大を促す効果がある。反応原料同士の接触面積が増大することにより、合成時の加熱による元素拡散が速やかに行なわれ、より短時間の加熱で目的物を得ることが可能になる。反応原料粉末の粉砕・分散方法としては、ライカイ機、乾式振動ミル等による乾式粉砕、ポットミル、ビーズミルなど、硬質メディアと共に液体に分散し物理的な衝撃を加えた後、スプレードライヤー、スラリードライヤーを用いて反応原料混合粉を得ることができる。本発明の効果は、反応原料として有害ガスを発生する原因となる窒素含有リン化合物の使用量を最小限にすることに起因するため、反応原料の混合分散方法は上記方法に限らず、いかなる混合分散方法を用いた場合でもその効果を発揮する。
A1+y M2yM12-y(PO4)3
と表すことができる。ただし、M1は、Ti、Hf、Ge、Sn、Zr、Si、V、Nbから選択された金属元素であり、M2は、Al、Sc、
In、Fe、Cr、 Ga、 Y、Laから選択された金属元素である。
上記のイオン伝導性無機化合物を合成するためのリン供給源としては、ピロリン酸塩を用いるのが好ましい。ピロリン酸塩は、特許文献3に記載されたピロリン酸とは異なり、ピロリン酸と金属が化合して中和した常温で固体の物質のことである。ピロリン酸塩は、リン酸やピロリン酸と異なり、中和した固体であるため、常温では反応性が低く吸湿性も低く取り扱いが容易である。係るピロリン酸塩の化学式は、
M1xP2O7 x<2
と表すことができる。
本発明のリン供給源としてピロリン酸塩を用いるイオン伝導性無機化合物の合成方法は、その化学式A1+y M2yM12-y(PO4)3におけるM1とPの元素比、すなわち、2-y:3が、ピロリン酸塩の化学式M1P2O7におけるM1とPの元素比である1:2=0.5より小さい時(y ≧ 0.5の場合)は、すべてのリン源がピロリン酸でまかなえるために、リン酸アンモニウム化合物のようなリン源を原料として混合する必要がなく、そのため有害ガスの発生がなく、本発明による効果を十分に得ることが可能である。
それに対し、y < 0.5の場合は、ピロリン酸以外にリン源を用いる必要がある。しかし、従来のリン源にピロリン酸塩を反応原料の一部として併用することにより、有害ガス発生量の低減、収率の向上等の効果を得ることが可能である。以下に、y=0.5の場合であるが、リン源として、ピロリン酸塩とリン酸二水素アンモニウムを用いた場合の、反応式と理論収率を説明する。
[比較例3]
リン源としてNH4H2PO4のみを用いてLi1.5Al0.5Ti1.5(PO4)3を合成した場合、
反応式は
0. 75Li2CO3+0.25Al2O3+1.5TiO2+3NH4H2PO4
→Li1.5Al0.5Ti
1.5(PO4)3+GAS
となり、アンモニアガス、酸化窒素ガス、炭酸ガスの発生があり、理論収率は69.7wt%である。
[具体例4]
これに対し、リン源としてTiP2O7を用いてLi1.5Al0.5Ti1.5(PO4)3を合成した
場合、
反応式は
0.75Li2CO3+0.25Al2O3+1.5TiP2O7
→Li1.5Al0.5Ti1.5
(PO4)3
となり、アンモニアガス、酸化窒素ガス等の有害ガスの発生がなく、理論収率は92.0wt%である。
以下に、具体例を用いて、本発明のリチウムイオン伝導性無機化合物を固体電解質材料として用いるリチウムイオン二次電池の製造方法を説明するが、本発明に係るリチウムイオン二次電池の製造方法はこれらの具体例に限定されない。また、本発明のイオン伝導性化合物の製造方法を用いた二次電池の製造方法は、リチウムイオン二次電池に限らず、リチウム以外のアルカリ金属イオン二次電池に適用可能で優れた発明の効果が得られることは言うまでもない。
製造方法の第一の具体例として、下記工程(1)〜(5)を含む多層全固体型リチウムイオン二次電池の製造方法が挙げられる。
工程(1):金属粉末と正極活物質を含む正極ペースト、金属粉末と負極活物質を含む負極ペースト、固体電解質の粉末を含む固体電解質ペーストを準備する。
工程(2):PET基材上に固体電解質ペーストを塗布、乾燥し、固体電解質シートを作製する。以下、グリーンシートを単にシートと呼ぶことにする。次に、固体電解質シートの上に、正極ペーストを塗布、乾燥し、正極シートを作製する。また、固体電解質シートの上に、負極ペーストを塗布、乾燥し、負極シートを作製する。
工程(3):固体電解質シートと正極シートが積層した正極ユニットをPET基材から剥離する。また、固体電解質シートと負極シートが積層した負極ユニットをPET基材から剥離する。次に、正極ユニットと負極ユニットを交互に積層し、固体電解質シートを介して正極シートと負極シートが交互に積層した積層体を作製する。この時、必要に応じて、積層体の一方の側面には負極シートが露出せず、もう一方の側面には正極シートが露出しないように、正極ユニットと負極ユニットのアライメントを行って積層する。
工程(4):積層体を圧着、焼成し、焼結積層体を作製する。
工程(5):積層体の側面に、正極層と接続するように正極端子を形成し、負極層と接続するように負極端子を形成する。電極端子(引き出し電極)の形成は、例えば、引出電極ペーストを電池の各側面に塗布後、500〜900℃の温度で焼成して設けることができる。図示しないが、必要に応じ、積層体の最外部に保護層を形成して、電池を完成する。
工程(1’):正極活物質を含む正極ペースト、負極活物質を含む負極ペースト、固体電解質の粉末を含む固体電解質ペーストを準備する。
工程(2’):PET基材上に固体電解質ペースト、正極ペースト、正極集電体ペースト、正極ペーストの順序で、ペーストを塗布し、場合により乾燥させた後、基材を剥離して正極ユニットを作製し、基材上に固体電解質ペースト、負極ペースト、負極集電体ペースト、負極ペーストの順序で、ペーストを塗布し、場合により乾燥させた後、基材を剥離して負極ユニットを作製する。
工程(3’):正極ユニットと負極ユニットを交互に積層し、固体電解質シートを介して正極シートと負極シートが交互に積層した積層体を作製する。この時、必要に応じて、積層体の一方の側面には負極シートが露出せず、もう一方の側面には正極シートが露出しないように、正極ユニットと負極ユニットのアライメントを行って積層する。
工程(4’):積層体を圧着、焼成し、焼結積層体を作製する。
工程(5’):積層体の側面に、正極層と接続するように正極端子を形成し、負極層と接続するように負極端子を形成する。電極端子(引き出し電極)の形成は、例えば、引出電極ペーストを電池の各側面に塗布後、500〜900℃の温度で焼成して設けることができる。図示しないが、必要に応じ、積層体の最外部に保護層を形成して、電池を完成する。
工程(i):金属粉末と正極活物質を含む正極ペースト、金属粉末と負極活物質を含む負極ペースト、リチウムイオン伝導性無機物質の粉末を含む固体電解質ペーストを準備する。
工程(ii):正極ペースト、固体電解質ペースト、負極ペースト、固体電解質ペーストの順序で塗布、乾燥し、グリーンシートからなる積層体を作製する。この時、必要に応じて、積層体の一方の側面には負極シートが露出せず、もう一方の側面には正極シートが露出しないように、アライメントを行って積層する。
工程(iii):必要に応じ、グリーンシートの作製に用いた基材を剥離して、積層体を圧着焼成し、焼結積層体を作製する。
工程(iv):積層体の側面に、正極層と接続するように正極端子を形成し、負極層と接続するように負極端子を形成する。必要に応じ、積層体の最外部に保護層を形成して、電池を完成する。
特許文献5には、段落[0049]に、一酸化錫、ピロリン酸錫、三酸化二硼素、炭酸カリウム、酸化マグネシウム、二酸化ゲルマニウムを乾式混合して焼成することにより、リチウムイオン二次電池の負極材料であるSnGe0.1B0.5P0.58Mg0.1K0.1O3.35を合成する実施例が開示されている。ピロリン酸塩であるピロリン酸錫を用いて無機化合物の合成を行っている点では、本発明に係る技術と類似している。
しかし、特許文献5に記載されたピロリン酸錫はSn2P2O7でありSnとPの比が等しいことからLiSn2(PO4)3のような化合物を合成する際にはリン源が不足することとなり、他にリン源を用意して混合する必要がある。
非特許文献1には、LTPにピロリン酸塩であるLi4P2O7をバインダーとして混合してから焼成することによりLTPのイオン伝導度を向上したと記載されている。しかし、非特許文献1には
、(NH4)2HPO4を原料としてLTPを合成したと記載されており、窒素系有害ガスの発生防止を目的としてピロリン酸塩を用いたものではない。
(実施例)
実施例では、反応原料のリン源としてピロリン酸塩を用いて金属元素置換型LTPの合成を行った。
(実施例1)
リチウム源としてLi2CO3を用い、リン源としてピロリン酸塩であるTiP2O7を用いて、Li1.3Al0.3Ti1.7(PO4)3の合成を行なった。最初に、Li2CO3、Al2O3、TiO2、TiP2O7を重量比が0.65:0.15:0.2:1.5となるように混合した後、ライカイ機にて乾式粉砕・分散を1時間行なった。次に、分散によって得られた粉末をペレッターにて直径40mmφ、高さ約10mmに成型し、その成型体の重量を測定した。重量測定後、重量既知の白金セッター上に乗せ、大気雰囲気下にて温度800℃、4時間の焼成を行い、Li1.3Al0.3Ti1.7(PO4)3を合成した。焼成終了後、サンプルを取り出し、白金セッターごと重量を測ることにより、反応前の重量と反応後の重量を割り出し、焼成反応後の成型体の重量を、反応前の重量で除することにより収率を計算した。また、焼成過程に発生するガスを採取しアンモニアガス検知管にてアンモニアガスの発生の有無を調べた。合成された無機化合物はX線回折装置にて同定した。その結果、図1に示すように、Li1.3Al0.3Ti1.7(PO4)3の生成が確認された。アンモニアガスの発生は観測されず、収率は、91.2%であった。
リチウム源としてLiPO3を用い、リン源としてピロリン酸塩であるTiP2O7を用いて、Li1.3Al0.3Ti1.7(PO4)3の合成を行なった。最初に、LiPO3、Al2O3、TiO2、TiP2O7を重量比が1.3:0.15:0.85:0.85となるように混合した後、ライカイ機にて乾式粉砕・分散を1時間行なった。次に、分散によって得られた粉末をペレッターにて直径40mmφ、高さ約10mmに成型し、その成型体の重量を測定した。重量測定後、重量既知の白金セッター上に乗せ、大気雰囲気下にて温度800℃、4時間時間の焼成を行い、Li1.3Al0.3Ti1.7(PO4)3を合成した。焼成終了後、サンプルを取り出し、白金セッターごと重量を測ることにより、反応前の重量と反応後の重量を割り出し、焼成反応後の成型体の重量を、反応前の重量で除することにより収率を計算した。また、焼成過程に発生するガスを採取しアンモニアガス検知管にてアンモニアガスの発生の有無を調べた。合成された無機化合物はX線回折装置にて同定した。その結果、Li1.3Al0.3Ti1.7(PO4)3の生成が確認された。アンモニアガスの発生は観測されず、収率は、97.9%であった。
リチウム源としてLi2CO3を用い、リン源としてピロリン酸塩であるTiP2O7を用いて、Li1.3Y0.3Ti1.7(PO4)3の合成を行なった。最初に、Li2CO3、Y2O3、TiO2、TiP2O7を重量比が0.65:0.15:0.2:1.5となるように混合した後、ライカイ機にて乾式粉砕・分散を1時間行なった。次に、分散によって得られた粉末をペレッターにて直径40mmφ、高さ約10mmに成型し、その成型体の重量を測定した。重量測定後、重量既知の白金セッター上に乗せ、大気雰囲気下にて温度800℃、4時間の焼成を行い、Li1.3Y0.3Ti1.7(PO4)3を合成した。焼成終了後、サンプルを取り出し、白金セッターごと重量を測ることにより、反応前の重量と反応後の重量を割り出し、焼成反応後の成型体の重量を、反応前の重量で除することにより収率を計算した。また、焼成過程に発生するガスを採取しアンモニアガス検知管にてアンモニアガスの発生の有無を調べた。合成された無機化合物はX線回折装置にて同定した。その結果、Li1.3Y0.3Ti1.7(PO4)3の生成が確認された。アンモニアガスの発生は観測されず、収率は、91.1%であった。
リチウム源としてLi2CO3を用い、リン源としてピロリン酸塩であるSnP2O7を用いて、LiSn2(PO4)3の合成を行なった。最初に、Li2CO3、SnO2、SnP2O7を重量比が0. 5:0. 5: 1.5となるように混合した後、ライカイ機にて乾式粉砕・分散を1時間行なった。次に、分散によって得られた粉末をペレッターにて直径40mmφ、高さ約10mmに成型し、その成型体の重量を測定した。重量測定後、重量既知の白金セッター上に乗せ、大気雰囲気下にて温度1000℃、4時間の焼成を行い、LiSn2(PO4)3を合成した。焼成終了後、サンプルを取り出し、白金セッターごと重量を測ることにより、反応前の重量と反応後の重量を割り出し、焼成反応後の成型体の重量を、反応前の重量で除することにより収率を計算した。また、焼成過程に発生するガスを採取しアンモニアガス検知管にてアンモニアガスの発生の有無を調べた。合成された無機化合物はX線回折装置にて同定した。その結果、LiSn2(PO4)3の生成が確認された。アンモニアガスの発生は観測されず、収率は、94.8%であった。
リチウム源としてLi2CO3を用い、リン源としてピロリン酸塩であるTiP2O7を用いて、Li1.5Al0.5Ti1.5(PO4)3の合成を行なった。最初に、Li2CO3、Al2O3、TiP2O7を重量比が0.75:0.25:1.5となるように混合した後、ライカイ機にて乾式粉砕・分散を1時間行なった。次に、分散によって得られた粉末をペレッターにて直径40mmφ、高さ約10mmに成型し、その成型体の重量を測定した。重量測定後、重量既知の白金セッター上に乗せ、大気雰囲気下にて温度800℃、4時間の焼成を行い、Li1.5Al0.5Ti1.5(PO4)3を合成した。焼成終了後、サンプルを取り出し、白金セッターごと重量を測ることにより、反応前の重量と反応後の重量を割り出し、焼成反応後の成型体の重量を、反応前の重量で除することにより収率を計算した。また、焼成過程に発生するガスを採取しアンモニアガス検知管にてアンモニアガスの発生の有無を調べた。合成された無機化合物はX線回折装置にて同定した。その結果、図2に示すように、Li1.5Al0.5Ti1.5(PO4)3の生成が確認された。アンモニアガスの発生は観測されず、収率は、90.6%であった。
比較例では、反応原料のリン源として、ピロリン酸塩を用いずに、NH4H2PO4のみを用いて、金属元素置換型LTPの合成を行った。
(比較例1)
リチウム源としてLi2CO3を用い、リン源としてNH4H2PO4を用いて、Li1.3Al0.3Ti1.7(PO4)3の合成を行なった。最初に、Li2CO3、Al2O3、TiO2、NH4H2PO4を重量比が0.65:0.15:1.7:3となるように混合した後、ライカイ機にて乾式粉砕・分散を1時間行なった。次に、分散によって得られた粉末をペレッターにて直径40mmφ、高さ約10mmに成型した。大気雰囲気下にて900℃で仮焼を行い、再度粉砕した後、粉砕粉をペレッターにて直径40mmφ、高さ約10mmに成型し、その成型体を大気雰囲気下にて1100℃、4時間の焼成を行った。各焼成の前後で重量を測定し、焼成反応後の成型体の重量を、反応前の重量で除することにより収率を計算した。また、焼成過程に発生するガスを採取しアンモニアガス検知管にてアンモニアガスの発生の有無を調べた。合成された無機化合物はX線回折装置にて同定した。その結果、Li1.3Al0.3Ti1.7(PO4)3の生成が確認された。アンモニアガスの発生が確認され、収率は、61.5%であった。
リチウム源としてLiPO3を用い、リン源としてNH4H2PO4を用いて、Li1.3Al0.3Ti1.7(PO4)3の合成を行なった。最初に、LiPO3、Al2O3、TiO2、NH4H2PO4を重量比が1.3:0.15:1.7:1.7となるように混合した後、ライカイ機にて乾式粉砕・分散を1時間行なった。次に、分散によって得られた粉末をペレッターにて直径40mmφ、高さ約10mmに成型した。大気雰囲気下にて900℃で仮焼を行い、再度粉砕した後、粉砕粉をペレッターにて直径40mmφ、高さ約10mmに成型し、その成型体を大気雰囲気下にて1100℃、4時間の焼成を行った。各焼成の前後で重量を測定し、焼成反応後の成型体の重量を、反応前の重量で除することにより収率を計算した。また、焼成過程に発生するガスを採取しアンモニアガス検知管にてアンモニアガスの発生の有無を調べた。合成された無機化合物はX線回折装置にて同定した。その結果、Li1.3Al0.3Ti1.7(PO4)3の生成が確認された。アンモニアガスの発生が確認され、収率は、73.6%であった。
リチウム源としてLi2CO3を用い、リン源としてNH4H2PO4を用いて、Li1.3Y0.3Ti1.7(PO4)3の合成を行なった。最初に、Li2CO3、Y2O3、TiO2、NH4H2PO4を重量比が0.65:0.15:1.7:3となるように混合した後、ライカイ機にて乾式粉砕・分散を1時間行なった。次に、分散によって得られた粉末をペレッターにて直径40mmφ、高さ約10mmに成型した。大気雰囲気下にて900℃で仮焼を行い、再度粉砕した後、粉砕粉をペレッターにて直径40mmφ、高さ約10mmに成型し、その成型体を大気雰囲気下にて1100℃、4時間の焼成を行った。各焼成の前後で重量を測定し、焼成反応後の成型体の重量を、反応前の重量で除することにより収率を計算した。また、焼成過程に発生するガスを採取しアンモニアガス検知管にてアンモニアガスの発生の有無を調べた。合成された無機化合物はX線回折装置にて同定した。その結果、Li1.3Y0.3Ti1.7(PO4)3の生成が確認された。アンモニアガスの発生が確認され、収率は、61.0%であった。
リチウム源としてLi2CO3を用い、リン源としてNH4H2PO4を用いて、LiSn2(PO4)3の合成を行なった。最初に、Li2CO3、SnO2、NH4H2PO4を重量比が0. 5:2:3となるように混合した後、ライカイ機にて乾式粉砕・分散を1時間行なった。次に、分散によって得られた粉末をペレッターにて直径40mmφ、高さ約10mmに成型した。大気雰囲気下にて900℃で仮焼を行い、再度粉砕した後、粉砕粉をペレッターにて直径40mmφ、高さ約10mmに成型し、その成型体を大気雰囲気下にて1100℃、4時間の焼成を行った。各焼成の前後で重量を測定し、焼成反応後の成型体の重量を、反応前の重量で除することにより収率を計算した。また、焼成過程に発生するガスを採取しアンモニアガス検知管にてアンモニアガスの発生の有無を調べた。合成された無機化合物はX線回折装置にて同定した。その結果、LiSn2(PO4)3の生成が確認された。アンモニアガスの発生が確認され、収率は、69.0%であった。
リチウム源としてLi2CO3を用い、リン源としてNH4H2PO4を用いて、Li1.5Al0.5Ti1.5(PO4)3の合成を行なった。最初に、Li2CO3、Al2O3、TiO2、NH4H2PO4を重量比が0.75:0.25:1:3となるように混合した後、ライカイ機にて乾式粉砕・分散を1時間行なった。次に、分散によって得られた粉末をペレッターにて直径40mmφ、高さ約10mmに成型した。大気雰囲気下にて900℃で仮焼を行い、再度粉砕した後、粉砕粉をペレッターにて直径40mmφ、高さ約10mmに成型し、その成型体を大気雰囲気下にて1100℃、4時間の焼成を行った。各焼成の前後で重量を測定し、焼成反応後の成型体の重量を、反応前の重量で除することにより収率を計算した。また、焼成過程に発生するガスを採取しアンモニアガス検知管にてアンモニアガスの発生の有無を調べた。合成された無機化合物はX線回折装置にて同定した。その結果、図3に示すように、Li1.5Al0.5Ti1.5(PO4)3の生成が確認された。アンモニアガスの発生が確認され、収率は、59.9%であった。
実施例1〜5では、アンモニアガスの発生は観測されず、金属置換型LTPの収率は90%以上と高かった。それに対し、リン源にピロリン酸塩を用いずに、NH4H2PO4のみを用いた比較例では、すべての合成においてアンモニアガスの発生が確認された。比較例の収率は、60〜70%と低かった。また、比較例の中には、サンプルペレットが膨れてしまい原型を留めないものもあった。これは、アンモニア等のガスの発生量が多いために起こるものと考えられる。目的生成物以外の物質が多量に発生することにより収率を低下させる原因となっている。また、実施例と比較例のいずれの合成物も目的生成物であることがX線回折測定の結果から確認できた。
Claims (1)
- リン供給源として少なくともピロリン酸塩を用い、前記ピロリン酸塩の化学式が、M1xP2O7(ただし、x<2)であり、
イオン伝導性無機化合物の化学式が、A1+y M2yM12-y(PO4)3
(ただし、Aはアルカリ金属元素であり、M1は、Ti、Snから選択された金属元素であり、
M2は、Al、 Yから選択された金属元素である。Y≦0.5である)で表されるアルカリ金属リン酸化合物であることを特徴とするイオン伝導性無機化合物の合成方法。
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