以下、本発明を詳細に説明する。本発明では、チタニア担体を使用する。チタニア担体は、ルチル型チタニア(ルチル型の結晶構造を有するチタニア)やアナターゼ型チタニア(アナターゼ型の結晶構造を有するチタニア)、非晶質のチタニア等からなるものであることができ、また、これらの混合物からなるものであってもよい。本発明では、ルチル型チタニア及び/又はアナターゼ型チタニアからなるチタニア担体が好ましく、中でも、チタニア担体中のルチル型チタニア及びアナターゼ型チタニアに対するルチル型チタニアの比率(以下、ルチル型チタニア比率ということがある。)が50%以上のチタニア担体が好ましく、70%以上のチタニア担体がより好ましく、90%以上のチタニア担体がさらにより好ましい。ルチル型チタニア比率が高くなるほど、得られる担持酸化ルテニウムの熱安定性が向上する傾向となり、触媒活性がより良好となる。上記ルチル型チタニア比率は、X線回折法(以下XRD法)により測定でき、以下の式(1)で示される。
ルチル型チタニア比率[%]=〔IR/(IA+IR)〕×100 (1)
IR:ルチル型チタニア(110)面を示す回折線の強度
IA:アナターゼ型チタニア(101)面を示す回折線の強度
尚、チタニア担体中のナトリウム含有量は200重量ppm以下であるのが好ましく、また、カルシウム含有量は200重量ppm以下であるのが好ましい。また、チタニア担体中の全アルカリ金属元素の含有量が200重量ppm以下であるのがより好ましく、また、チタニア担体中の全アルカリ土類金属元素の含有量が200重量ppm以下であるのがより好ましい。これらアルカリ金属元素やアルカリ土類金属元素の含有量は、例えば、誘導結合高周波プラズマ発光分光分析法(以下、ICP分析法ということがある。)、原子吸光分析法、イオンクロマトグラフィー分析法等で測定することができ、好ましくはICP分析法で測定する。尚、チタニア担体の中にアルミナ、ジルコニア、酸化ニオブなどの酸化物が含まれていてもよい。
チタニア担体の比表面積は、窒素吸着法(BET法)で測定することができ、通常BET1点法で測定する。該測定により得られる比表面積は、通常5〜300m2/gであり、好ましくは5〜50m2/gである。比表面積が高すぎると、得られる担持酸化ルテニウムにおけるチタニアや酸化ルテニウムが焼結しやすくなり、熱安定性が低くなることがある。一方、比表面積が低すぎると、得られる担持酸化ルテニウムにおける酸化ルテニウムが分散しにくくなり、触媒活性が低くなることがある。
本発明においては、チタニアに予めシリカが担持されてなるチタニア担体を使用することができる。かかるチタニア担体の調製法としては、例えば、チタニアにケイ素化合物を担持させた後、酸化性ガスの雰囲気下で焼成して調製する方法や、塩化チタン(TiCl4)、臭化チタン(TiBr4)の如きハロゲン化チタンと、塩化ケイ素(SiCl4)、臭化ケイ素(SiBr4)の如きハロゲン化ケイ素とを酸化性ガスの雰囲気下で熱処理して調製する方法等が挙げられ、中でも、チタニアにケイ素化合物を担持させた後、酸化性ガスの雰囲気下で焼成して調製する方法が好ましい。
チタニアにケイ素化合物を担持させる場合、かかるケイ素化合物としては、テトラアルコキシシラン、アルキルアルコキシシラン、フェニルアルコキシシラン、ハロゲン化アルコキシシラン、ハロゲン化シラン等が挙げられ、中でも、テトラアルコキシシランが好ましい。テトラアルコキシシランとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等が挙げられ、中でも、テトラエトキシシランが好ましい。アルキルアルコキシシランとしてはメチルトリメトキシシランやジメチルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン等が挙げられる。また、フェニルアルコキシシランとしてはフェニルトリメトキシシランやフェニルトリエトキシシラン等が挙げられる。ハロゲン化アルコキシシランとしては、SiCl(OR)3(以下、Rはアルキル基を表す。)、SiCl2(OR)2、SiCl3(OR)等が挙げられる。ハロゲン化シランとしては、塩化ケイ素(SiCl4)、臭化ケイ素(SiBr4)等が挙げられる。ケイ素化合物は、必要に応じて、その水和物を用いてもよいし、それらの2種以上を用いてもよい。ケイ素化合物の使用量は、チタニア1モルに対し、0.0005〜0.15モルが好ましく、より好ましくは0.0010〜0.10モルである。2種以上のケイ素化合物を使用する場合、ケイ素化合物の合計使用量が、チタニアに対して、上記範囲となればよい。
チタニアにケイ素化合物を担持させる方法としては、チタニアを、ケイ素化合物をアルコール及び/又は水に溶解させてなる溶液(以下、ケイ素化合物溶液ということがある)で接触処理する方法が挙げられる。アルコールとしては、メタノール、エタノール等が挙げられる。水としては、蒸留水、イオン交換水、超純水等の純度の高い水が好ましい。使用する水に不純物が多く含まれると、かかる不純物が触媒に付着して、触媒の活性を低下させる場合がある。該接触処理において、処理時の温度は、通常0〜100℃、好ましくは0〜50℃であり、処理時の圧力は通常0.1〜1MPa、好ましくは大気圧である。また、かかる接触処理は、空気雰囲気下や、窒素、ヘリウム、アルゴン、二酸化酸素の如き不活性ガス雰囲気下で行うことができ、この際、水蒸気を含んでいてもよい。
ケイ素化合物溶液での接触処理としては、含浸、浸漬等が挙げられる。前記チタニアをケイ素化合物溶液で接触処理する方法として、例えば、(A)チタニアにケイ素化合物溶液を含浸させる方法、(B)チタニアをケイ素化合物溶液に浸漬させる方法等が挙げられるが、前記(A)の方法が好ましい。
チタニアにケイ素化合物を担持させる場合においては、チタニアにケイ素化合物を担持させた後、好ましくは乾燥し、その後、酸化性ガスの雰囲気下で焼成を行う。かかる乾燥において、その温度は、10℃〜100℃が好ましく、その圧力は、0.01〜1MPaが好ましく、より好ましくは大気圧である。かかる乾燥は、空気雰囲気下や、窒素、ヘリウム、アルゴン、二酸化酸素の如き不活性ガス雰囲気下で行うことができ、この際、水蒸気を含んでいてもよい。また、空気、不活性ガス又は空気と不活性ガスとの混合ガスの流通下に乾燥を行ってもよく、この際、水蒸気を含んでいてもよい。水蒸気含有ガス流通下で乾燥を行う場合、水蒸気含有ガスにおける水蒸気の濃度は、乾燥条件における飽和水蒸気量以下の範囲で設定され、その濃度としては、0.5〜10体積%が好ましく、1.0〜5体積%がより好ましい。水蒸気含有ガスとしては、水蒸気と不活性ガスとの混合ガスが好ましい。前記乾燥において、ガス流通下に乾燥を行う場合、該ガスの流通速度は、チタニア担体におけるガスの空間速度(GHSV)として、標準状態(0℃、0.1MPa換算)で10〜2000/hが好ましく、100〜1000/hがより好ましい。尚、空間速度は、乾燥処理を施す装置内を通過する1時間当りのガス量(L/h)を、乾燥処理を施す装置内のチタニア担体容量(L)で除することにより求めることができる。
また前記焼成により、担持されたケイ素化合物はシリカに変換される。酸化性ガスとは、酸化性物質を含むガスであり、例えば、酸素含有ガスが挙げられる。その酸素濃度は通常1〜30容量%程度である。この酸素源としては、通常、空気や純酸素が用いられ、必要に応じて不活性ガスや水蒸気で希釈される。酸化性ガスは、中でも、空気が好ましい。焼成温度は、通常100〜1000℃、好ましくは250〜450℃である。
前記焼成により、前記チタニアにシリカを担持することができる。最終的に得られる担持酸化ルテニウムを酸化反応触媒に使用する場合は、前記焼成後にケイ素化合物が全てシリカとなっている必要はなく、一部アルコキシド基や加水分解されたケイ素化合物が残存していても、該酸化反応の際にシリカに変換されるので問題は無い。
ハロゲン化チタンと、ハロゲン化ケイ素とを酸化性ガスの雰囲気下で熱処理して、チタニアにシリカが担持されてなるチタニア担体を調製する方法としては、例えば、特開2004−210586号公報に記載の方法等に準ずることができる。その具体例としては、600℃以上でガス化したハロゲン化チタン及びハロゲン化ケイ素を、600℃以上の酸素の存在下又は酸素及び水蒸気の存在下で熱処理し、次いで、得られた粉体を300〜600℃で熱処理することで、シリカが担持された粉末状のチタニア担体を得る方法等が挙げられる。得られたチタニア担体を、混練、成形し、次いで焼成するのが好ましい。焼成したチタニア担体は、公知の方法に基づいて調製することができ、例えば、粉末状のチタニア担体を、有機バインダー等の成形助剤及び水と混練し、ヌードル状に押出成形した後、乾燥、破砕して成形体を得、次いで得られた成形体を空気等の酸化性ガス雰囲気下で焼成することで調製できる。また、上記ハロゲン化チタンとしては塩化チタン(TiCl4)が、上記ハロゲン化ケイ素としては塩化ケイ素(SiCl4)が、それぞれ好ましく採用される。
上記ハロゲン化ケイ素の使用量は、ハロゲン化チタン1モルに対して、通常0.001〜0.3モルであり、好ましくは0.004〜0.03モルである。
上述のチタニア担体に、酸化ルテニウムを担持する。チタニア担体への酸化ルテニウムの担持は、チタニア担体をルテニウム化合物及び溶媒を含む溶液で接触処理した後、溶媒の含有量がチタニア担体の重量を基準として0.10〜15重量%になるまで乾燥し、次いで、得られた乾燥物をチタニア担体の重量を基準として1.0〜15重量%の溶媒を含む状態で保持した後、酸化性ガス雰囲気下で焼成することにより実施される。
前記ルテニウム化合物としては、例えば、RuCl3、RuBr3の如きハロゲン化物、K3RuCl6、K2RuCl6の如きハロゲノ酸塩、K2RuO4、Na2RuO4の如きオキソ酸塩、Ru2OCl4、Ru2OCl5、Ru2OCl6の如きオキシハロゲン化物、K2[RuCl5(H2O)4]、[RuCl2(H2O)4]Cl、K2[Ru2OCl10]、Cs2[Ru2OCl4]の如きハロゲノ錯体、[Ru(NH3)5H2O]Cl2、[Ru(NH3)5Cl]Cl2、[Ru(NH3)6]Cl2、[Ru(NH3)6]Cl3、[Ru(NH3)6]Br3の如きアンミン錯体、Ru(CO)5、Ru3(CO)12の如きカルボニル錯体、[Ru3O(OCOCH3)6(H2O)3]OCOCH3、[Ru2(OCOR1)4]Cl(R1=炭素数1〜3のアルキル基)の如きカルボキシラト錯体、K2[RuCl5(NO)]、[Ru(NH3)5(NO)]Cl3、[Ru(OH)(NH3)4(NO)](NO3)2、[Ru(NO)](NO3)3の如きニトロシル錯体、ホスフィン錯体、アミン錯体、アセチルアセトナト錯体等が挙げられる。中でもハロゲン化物が好ましく用いられ、特に塩化物が好ましく用いられる。尚、ルテニウム化合物としては、必要に応じて、その水和物を使用してもよいし、また、それらの2種以上を使用してもよい。
チタニア担体とルテニウム化合物との使用割合は、後述する焼成後に得られる担持酸化ルテニウム中の酸化ルテニウム/チタニア担体の重量比が、好ましくは0.1/99.9〜20.0/80.0、より好ましくは0.3/99.7〜10.0/90.0、さらに好ましくは0.5/99.5〜5.0/95.0となるように、適宜調整すればよい。酸化ルテニウムがあまり少ないと触媒活性が十分でないことがあり、あまり多いとコスト的に不利となる。チタニアにシリカが担持されてなるチタニア担体を使用する場合、チタニア担体に担持されているシリカ1モルに対し、酸化ルテニウム含有量が0.10〜20モルとなるようにルテニウム化合物とチタニア担体の使用割合を調整するのが好ましく、0.20〜10モルとなるように調整するのがより好ましい。シリカ1モルに対する酸化ルテニウムのモル数が高すぎると、担持酸化ルテニウムの熱安定性が低くなることがあり、低すぎると、触媒活性が低くなることがある。
チタニア担体とルテニウム化合物及び溶媒を含む溶液との接触処理により、ルテニウム化合物がチタニア担体に担持される。該接触処理において、溶媒としては、水、アルコール、ニトリル等が挙げられ、必要に応じて、それらの2種以上を使用してもよい。水としては、蒸留水、イオン交換水、超純水などの純度の高い水が好ましい。使用する水に不純物が多く含まれると、かかる不純物が触媒に付着して、触媒の活性を低下させる場合がある。アルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール等の炭素数1〜6のアルコールが挙げられる。ニトリルとしては、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等の炭素数1〜6のニトリルが挙げられる。該溶液に含まれる溶媒の量は、使用するチタニア担体の総細孔容積から担持させるルテニウム化合物の体積を除いた量の70体積%以上であることが好ましい。上限は特に制限はないが、使用する溶媒量が多すぎると乾燥に時間がかかる傾向となるため、120体積%以下程度とすることが好ましい。該接触処理において、処理時の温度は、通常0〜100℃、好ましくは0〜50℃であり、処理時の圧力は通常0.1〜1MPa、好ましくは大気圧である。また、かかる接触処理は、空気雰囲気下や、窒素、ヘリウム、アルゴン、二酸化酸素等の不活性ガス雰囲気下で行うことができ、この際、水蒸気を含んでいてもよい。
接触処理としては、含浸、浸漬等が挙げられる。チタニア担体をルテニウム化合物及び溶媒を含む溶液で接触処理する方法として、例えば、(C)チタニア担体にルテニウム化合物及び溶媒を含む溶液を含浸させる方法、(D)チタニア担体をルテニウム化合物及び溶媒を含む溶液に浸漬させる方法等が挙げられるが、前記(C)の方法が好ましい。該接触処理により、チタニア担体にルテニウム化合物が担持される。接触処理においては、接触処理後に得られるルテニウム化合物及び溶媒を含むチタニア担体において、その溶媒の含有量がチタニア担体の重量を基準として15重量%を超える量となるように、チタニア担体に対する溶媒の使用量が調整される。
チタニア担体をルテニウム化合物及び溶媒を含む溶液で接触処理した後、得られたルテニウム化合物及び溶媒を含むチタニア担体を、溶媒の含有量がチタニア担体の重量を基準として0.10〜15重量%になるまで乾燥する。かかる乾燥において、その温度は、10℃〜100℃が好ましく、乾燥における圧力は、0.01〜1MPaが好ましく、より好ましくは大気圧である。乾燥時間は、適宜設定される。かかる乾燥は、空気雰囲気下や、窒素、ヘリウム、アルゴン、二酸化酸素の如き不活性ガス雰囲気下で行うことができ、この際、水蒸気を含んでいてもよい。また、空気、不活性ガス又は空気と不活性ガスとの混合ガスの流通下に乾燥を行ってもよく、この際、水蒸気を含んでいてもよい。水蒸気含有ガス流通下で乾燥を行う場合、水蒸気含有ガスにおける水蒸気の濃度は、乾燥条件における飽和水蒸気量未満の範囲で設定される。前記乾燥において、ガス流通下に乾燥を行う場合、該ガスの流通速度は、チタニア担体におけるガスの空間速度(GHSV)として、標準状態(0℃、0.1MPa換算)で10〜10000/hが好ましく、100〜5000/hがより好ましい。尚、空間速度は、乾燥処理を施す装置内を通過する1時間当りのガス量(L/h)を、乾燥処理を施す装置内のチタニア担体容量(L)で除することにより求めることができる。
前記乾燥における乾燥速度は適宜設定されるが、生産性の観点から、チタニア担体1gあたりの溶媒の蒸発速度として、0.01g/h以上が好ましく、0.02g/h以上がより好ましく、0.03g/h以上がさらに好ましい。乾燥速度の上限は適宜設定されるが、チタニア担体1gあたりの溶媒の蒸発速度として、0.50g/h以下が好ましい。かかる乾燥速度は、温度、圧力、時間、ガスの流通速度等の条件を調整することにより制御できるが、乾燥中において、これらの条件を変更して乾燥速度を変化させてもよい。
前記乾燥後に得られる乾燥物に含まれる溶媒の含有量は、チタニア担体の重量を基準として0.10〜15重量%であり、好ましくは1.0〜13重量%であり、より好ましくは2.0〜7.0重量%である。該乾燥物における、チタニア担体の重量を基準とした溶媒の含有量は、以下の式(2)で算出される。
乾燥物におけるチタニア担体の重量を基準とした溶媒の含有量(重量%)=[乾燥物における残存溶媒量(g)]/[乾燥物におけるチタニア担体の含有量(g)]×100 (2)
尚、チタニア担体とルテニウム化合物及び溶媒を含む溶液との接触処理を含浸により行った場合において、乾燥物における残存溶媒量は、接触処理に使用した溶媒の量から、乾燥前後の重量変化量を差し引くことにより求めることができる。
前記乾燥は、撹拌しながら行うのが好ましい。尚、撹拌しながらの乾燥とは、ルテニウム化合物及び溶媒を含むチタニア担体を静止状態ではなく流動状態で乾燥することを意味する。前記撹拌の方法としては、乾燥容器そのものを回転させる方法、乾燥容器そのものを振動させる方法、乾燥容器内に備えられた撹拌機により撹拌する方法等が挙げられる。
こうして得られる乾燥物を、チタニア担体の重量を基準として1.0〜15重量%の溶媒を含む状態で保持する。該保持は、乾燥物に含まれる溶媒の蒸発が抑えられた状態で行われ、その溶媒の蒸発速度は、チタニア担体1gあたり0.01g/h未満であるのが好ましく、0.001g/h以下であるのがより好ましい。かかる保持において、その温度は、0〜80℃が好ましく、5〜50℃がより好ましい。その保持時間は、溶媒の含有量や保持温度によって適宜設定されるが、10時間以上が好ましく、15時間以上がより好ましい。該保持は、チタニア担体の重量を基準として1.0〜15重量%の溶媒を含む状態で保持される限り、密閉条件下で行ってもよいし、開放条件下で行ってもよいし、ガス流通下で行ってもよい。また、乾燥時と同一の装置内で保持してもよいし、乾燥後、別の容器に移して保持してもよい。
前記乾燥の際に、チタニア担体の重量を基準とした溶媒の含有量が0.10重量%以上1.0重量%未満となった場合には、前記保持の前に、気化させた溶媒を含有するガスを流通させて乾燥物に接触させる方法や、溶媒が水である場合には大気中に放置する方法等により、乾燥物における溶媒の含有量がチタニア担体の重量を基準として1.0〜15重量%の範囲内となるようにしてから前記保持に供すればよい。
前記保持の後、酸化性ガスの雰囲気下で焼成を行う。かかる焼成により、担持されたルテニウム化合物は酸化ルテニウムへと変換され、酸化ルテニウムがチタニア担体に担持されてなる担持酸化ルテニウムが得られる。酸化性ガスとは、酸化性物質を含むガスであり、例えば、酸素含有ガスが挙げられる。その酸素濃度は通常1〜30容量%程度である。この酸素源としては、通常、空気や純酸素が用いられ、必要に応じて不活性ガスや水蒸気で希釈される。酸化性ガスは、中でも、空気が好ましい。焼成温度は、通常100〜500℃、好ましくは200〜400℃である。
前記焼成は、前記保持の後、乾燥物における溶媒の含有量がチタニア担体の重量を基準として1.0重量%未満になるまでさらに乾燥してから行ってもよいし、前記保持の後、還元処理を行ってから行ってもよいし、前記保持の後、乾燥物における溶媒の含有量がチタニア担体の重量を基準として1.0重量%未満になるまでさらに乾燥し、次いで還元処理を行ってから行ってもよい。かかる乾燥方法としては、従来公知の方法を採用することができ、その温度は、通常、室温から100℃程度であり、その圧力は、通常0.001〜1MPa、好ましくは大気圧である。かかる乾燥は、空気雰囲気下や、窒素、ヘリウム、アルゴン、二酸化酸素の如き不活性ガス雰囲気下で行うことができ、この際、水蒸気を含んでいてもよい。かかる還元処理としては、例えば特開2000−229239号公報、特開2000−254502号公報、特開2000−281314号公報、特開2002−79093号公報等に記載される還元処理が挙げられる。
前記焼成により得られる担持酸化ルテニウムにおいて、担持されている酸化ルテニウムにおけるルテニウムの酸化数は、通常+4であり、酸化ルテニウムとしては二酸化ルテニウム(RuO2)であるが、他の酸化数のルテニウムないし他の形態の酸化ルテニウムが含まれていてもよい。
得られる担持酸化ルテニウムが、チタニアにシリカが担持されてなるチタニア担体に酸化ルテニウムが担持されてなる担持酸化ルテニウムである場合には、該担持酸化ルテニウムにおけるシリカの含有量は、使用するチタニアの物性や、得られる担持酸化ルテニウムにおける酸化ルテニウムの含有量によって異なるが、好ましくは0.01〜10重量%、より好ましくは0.1〜5重量%である。
本発明の製造方法により得られる担持酸化ルテニウムは、好ましくは成形体として使用される。その形状としては、例えば、球形粒状、円柱状、ペレット状、押出形状、リング形状、ハニカム状あるいは成形後に粉砕分級した適度の大きさの顆粒状等が挙げられ、中でも、ペレット状であることが好ましい。この際、成形体の直径としては5mm以下が好ましい。成形体の直径が大きすぎると、酸化反応触媒として使用した際にその転化率が低くなることがある。成形体の直径の下限は特に制限はないが、過度に小さくなると、触媒層での圧力損失が大きくなるため、通常は0.5mm以上のものが用いられる。尚、ここでいう成形体の直径とは、球形粒状では球の直径、円柱状では円形断面の直径、その他の形状では断面の最大直径を意味する。
前記成形は、チタニア担体の調製時に行ってもよいし、チタニア担体に酸化ルテニウムを担持した後に行ってもよいが、チタニア担体の調製時に行うのが好ましい。チタニアにシリカが担持されてなるチタニア担体を使用する場合において、チタニア担体の調製時に成形を行う際は、シリカの担持前に行ってもよいし、シリカの担持後に行ってもよいが、チタニアへのシリカの担持前に行うのが好ましい。チタニア担体の調製時に成形を行う場合は、公知の方法に基づいて行うことができ、例えば、粉末状やゾル状のチタニアを混練、成形し、次いで熱処理したものをチタニア担体の成形体として用いることができる。具体的には、チタニア粉末やチタニアゾルを、有機バインダー等の成形助剤及び水と混練し、ヌードル状に押出成形した後、乾燥、破砕して成形体を得、次いで得られた成形体を空気等の酸化性ガス雰囲気下で熱処理することにより調製できる。前記酸化性ガスとは、酸化性物質を含むガスであり、例えば酸素含有ガス等が挙げられ、その酸素濃度は、通常、1〜30容量%程度である。この酸素源としては、通常、空気や純酸素が用いられ、必要に応じて不活性ガスや水蒸気で希釈される。酸化性ガスは、中でも、空気が好ましい。前記不活性ガスとしては、例えば窒素、ヘリウム、アルゴン、二酸化酸素等が挙げられ、必要に応じて水蒸気で希釈される。不活性ガスは、中でも、窒素、二酸化炭素が好ましい。前記熱処理を行う場合の処理温度は、通常、400〜900℃、好ましくは500〜800℃である。
前記成形体において、その細孔容積は、0.15〜0.40mL/gであることが好ましく、0.15〜0.30ml/gであることがより好ましい。尚、成形体の細孔容積は、上述の成形に付される原料の組成や、成形体の熱処理温度を調整することによって調節することができる。成形体の細孔容積は、例えば、水銀圧入法により測定することができる。
かくして製造される担持酸化ルテニウムを触媒に用い、この触媒の存在下で塩化水素を酸素で酸化することにより、塩素を効率的に製造することができる。反応方式としては、流動床、固定床、移動床等の反応方式が採用可能であり、断熱方式又は熱交換方式の固定床反応器が好ましい。断熱方式の固定床反応器を用いる場合には、単管式固定床反応器、多管式固定床反応器のいずれも使用することができるが、単管式固定床反応器を好ましく使用することができる。熱交換方式の固定床反応器を用いる場合には、単管式固定床反応器、多管式固定床反応器のいずれも使用することができるが、多管式固定床反応器を好ましく使用することができる。
この酸化反応は平衡反応であり、あまり高温で行うと平衡転化率が下がるため、比較的低温で行うのが好ましく、反応温度は、通常100〜500℃、好ましくは200〜450℃である。また、反応圧力は、通常0.1〜5MPa程度である。酸素源としては、空気を使用してもよいし、純酸素を使用してもよい。塩化水素に対する酸素の理論モル量は1/4モルであるが、通常、この理論量の0.1〜10倍の酸素が使用される。また、塩化水素の供給速度は、触媒1Lあたりのガス供給速度(L/h;0℃、0.1MPa換算)、すなわちGHSVで表して、通常10〜20000h−1程度である。
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではない。
以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
実施例1
(チタニア担体の調製)
チタニア粉末〔昭和タイタニウム(株)製のF−1R、ルチル型チタニア比率93%〕100重量部と有機バインダー2重量部〔ユケン工業(株)製のYB−152A〕とを混合し、次いで純水29重量部、チタニアゾル〔堺化学(株)製のCSB、チタニア含有量40%〕12.5重量部を加えて混練した。この混合物を直径3.0mmφのヌードル状に押出し、60℃で2時間乾燥した後、長さ3〜5mm程度に破砕した。得られた成形体を、空気中で室温から600℃まで1.7時間かけて昇温した後、同温度で3時間保持して焼成し、白色のチタニアの焼成物〔ルチル型チタニア比率90%以上〕を得た。
上記で得られたチタニアの焼成物の内60.0g(容量:46mL)を、200mLのナス型フラスコに入れ、回転式含浸−乾燥装置にセットし、テトラエトキシシラン〔和光純薬工業(株)製のSi(OC2H5)4〕1.06gをエタノール10.2gに溶解して調製した溶液を、チタニアの焼成物を仕込んだナス型フラスコを鉛直方向から60度傾けて80rpmで回転させながら該ナス型フラスコ内に20分間で滴下することにより該溶液を含浸させた。次いで、含浸後のチタニアの焼成物が入ったナス型フラスコを80rpmで回転させることにより該焼成物を撹拌しながら、ナス型フラスコ内の温度を30℃とし、ナス型フラスコ内に水蒸気と窒素との混合ガス(水蒸気濃度:2.7体積%)を277mL/min(0℃、0.1MPa換算)の流量で連続的に4時間30分の間供給し、流通させた。チタニアの焼成物の容量に対する該混合ガスの供給速度の比(GHSV)は、360/h(0℃、0.1MPa換算)であった。得られた乾燥物64.6gを、空気流通下、室温から300℃まで1.2時間かけて昇温した後、同温度で2時間保持して焼成し、チタニアにシリカが担持されてなるチタニア担体59.5gを得た。得られたチタニア担体について、ICP発光分析装置(日本ジャーレル・アッシュ(株)製、IRIS Advantage)を用いてICP分析を行うことによりシリカの含有量を求めたところ、0.49重量%(ケイ素含有量:0.23重量%)であった。
(担持酸化ルテニウムの製造)
上記で得られたチタニア担体の内50.17g(容量:38.6mL)を、200mLのナス型フラスコに入れ、回転式含浸−乾燥装置にセットし、塩化ルテニウム水和物〔NEケムキャット(株)製のRuCl3・nH2O、Ru含有量40.0重量%〕1.21g(4.79mmol)を純水10.27gに溶解して調製した水溶液を、チタニア担体を仕込んだナス型フラスコを鉛直方向から60度傾けて80rpmで回転させながら該ナス型フラスコ内に30分間で滴下することにより該水溶液を含浸させ、61.65gの固体を得た。得られた固体に含まれるチタニア担体の重量を基準とする水分量を下式により求めたところ、20.9重量%であった。
固体に含まれるチタニア担体の重量を基準とする水分量(重量%)=〔(含浸に使用した水の量(g))+(含浸に使用した塩化ルテニウム水和物に含まれる水の量(g))〕/(含浸に使用したチタニア担体の量(g))×100
次いで、上記の固体が入ったナス型フラスコを80rpmで回転させることにより該固体を撹拌しながら、ナス型フラスコ内の温度を35℃とし、ナス型フラスコ内に空気を1150mL/min(0℃、0.1MPa換算)の流量で連続的に2時間20分の間供給し、流通させることにより乾燥し、56.18gの乾燥物Aを得た。尚、チタニア担体の容量に対する空気の供給速度の比(GHSV)は、1800/h(0℃、0.1MPa換算)であった。乾燥物Aに含まれるチタニア担体の重量を基準とする水分量を下式により計算し、表1に示した。尚、乾燥における乾燥速度は、チタニア担体1gあたりの水の蒸発速度として、0.047g/hであった。
乾燥物Aに含まれるチタニア担体の重量を基準とする水分量(重量%)=〔(含浸に使用した水の量(g))+(含浸に使用した塩化ルテニウム水和物に含まれる水の量(g))−(乾燥前後の重量変化量(g)〕/(含浸に使用したチタニア担体の量(g))×100
上記で得られた乾燥物Aの内5.63gを、密閉容器中、10〜20℃で20時間保持した。保持後の乾燥物Aの重量は5.62gであった。保持後の乾燥物Aに含まれるチタニア担体の重量を基準とする水分量は9.8重量%と計算され、保持における水の蒸発速度は、チタニア担体1gあたり、1.0×10−4g/hであった。5.62gの保持後の乾燥物Aを、空気流通下、室温から280℃まで1.2時間かけて昇温した後、同温度で2時間保持して焼成し、酸化ルテニウムの含有量が1.25重量%、シリカの含有量が0.49重量%である青灰色の担持酸化ルテニウム5.02gを得た。
(担持酸化ルテニウムの初期活性評価)
上記で得られた担持酸化ルテニウム1.0gを、直径2mmのα−アルミナ球〔ニッカトー(株)製のSSA995〕12gで希釈し、ニッケル製反応管(内径14mm)に充填し、さらに反応管のガス入口側に上と同じα−アルミナ球12gを予熱層として充填した。この中に、塩化水素ガスを0.214mol/h(0℃、0.1MPa換算で4.8L/h)、及び酸素ガスを0.107mol/h(0℃、0.1MPa換算で2.4L/h)の速度で常圧下に供給し、触媒層を282〜283℃に加熱して反応を行った。反応開始1.5時間後の時点で、反応管出口のガスを30%ヨウ化カリウム水溶液に流通させることによりサンプリングを20分間行い、ヨウ素滴定法により塩素の生成量を測定し、塩素の生成速度(mol/h)を求めた。この塩素の生成速度と上記の塩化水素の供給速度から、下式より塩化水素の転化率を計算し、表1に示した。
塩化水素の転化率(%)=〔(塩素の生成速度(mol/h))×2÷(塩化水素の供給速度(mol/h))〕×100
(担持酸化ルテニウムの熱安定性試験)
上記で得られた担持酸化ルテニウム1.2gを、石英製反応管(内径21mm)に充填した。この中に、塩化水素ガスを0.086mol/h(0℃、0.1MPa換算で1.9L/h)、及び酸素ガスを0.075mol/h(0℃、0.1MPa換算で1.7L/h)、塩素ガスを0.064mol/h(0℃、0.1MPa換算で1.4L/h)、水蒸気を0.064mol/h(0℃、0.1MPa換算で1.4L/h)の速度で常圧下に供給し、触媒層を435〜440℃に加熱して反応を行った。反応開始50時間後の時点で、反応を停止し、窒素ガスを0.214mol/h(0℃、0.1MPa換算で4.8L/h)の速度で供給しながら冷却した。
(熱安定性試験後の担持酸化ルテニウムの活性評価)
上記熱安定性試験に付された担持酸化ルテニウム1.2gのうち、1.0gを分取し、上記初期活性評価と同様の方法で塩化水素の転化率を求め、表1に示した。
実施例2
(担持酸化ルテニウムの製造)
実施例1で得られた乾燥物Aの内5.63gを、密閉容器中、10〜20℃で96時間保持した。保持後の乾燥物Aの重量は5.61gであった。保持後の乾燥物Aに含まれるチタニア担体の重量を基準とする水分量は9.6重量%と計算され、保持における水の蒸発速度は、チタニア担体1gあたり、4.1×10−5g/hであった。5.61gの保持後の乾燥物Aを、空気流通下、室温から280℃まで1.2時間かけて昇温した後、同温度で2時間保持して焼成し、酸化ルテニウムの含有量が1.25重量%、シリカの含有量が0.49重量%である青灰色の担持酸化ルテニウム5.02gを得た。
(担持酸化ルテニウムの初期活性評価、熱安定性試験、熱安定性試験後の活性評価)
上記で得られた担持酸化ルテニウムについて、実施例1と同様に、初期活性評価、熱安定性試験、及び熱安定性試験後の活性評価を行い、結果を表1に示した。
実施例3
(担持酸化ルテニウムの製造)
実施例1で得られた乾燥物Aの内44.93g(容量:34.6mL)を、回転式含浸−乾燥装置にて、ナス型フラスコを80rpmで回転させることにより乾燥物Aを撹拌しながら、ナス型フラスコ内の温度を35℃とし、ナス型フラスコ内に空気を920mL/min(0℃、0.1MPa換算)の流量で連続的に1時間25分の間供給し、流通させることにより、さらに乾燥させ、42.68gの乾燥物Bを得た。尚、チタニア担体の容量に対する空気の供給速度の比(GHSV)は、1800/h(0℃、0.1MPa換算)であった。乾燥物Bに含まれるチタニア担体の重量を基準とする水分量を下式により計算し、表1に示した。尚、さらなる乾燥における乾燥速度は、チタニア担体1gあたりの水の蒸発速度として、0.040g/hであった。
乾燥物Bに含まれるチタニア担体の重量を基準とする水分量(重量%)=(乾燥物Bに含まれる水の量(g))/(乾燥物Bに含まれるチタニア担体の量(g))×100
尚、乾燥物Bに含まれる水の量及び乾燥物Bに含まれるチタニア担体の量は、それぞれ下式により計算した。
乾燥物Bに含まれる水の量(g)=(実施例1で得られた乾燥物A全量中に含まれる水の量(g))/(実施例1で得られた乾燥物Aの取得量(g))×(実施例3で使用した乾燥物Aの量(g))−〔(実施例3で使用した乾燥物Aの使用量(g))−(実施例3で得られた乾燥物Bの取得量(g))〕
乾燥物Bに含まれるチタニア担体の量(g)=(実施例1で含浸に使用したチタニア担体の量(g))/(実施例1で得られた乾燥物Aの取得量(g))×(実施例3で使用した乾燥物Aの量(g))
上記で得られた乾燥物Bの内5.35gを、密閉容器中、10〜20℃で96時間保持した。保持後の乾燥物Bの重量は5.32gであった。保持後の乾燥物Bに含まれるチタニア担体の重量を基準とする水分量は3.8重量%と計算され、保持における水の蒸発速度は、チタニア担体1gあたり、6.2×10−5g/hであった。5.32gの保持後の乾燥物Bを、空気流通下、室温から280℃まで1.2時間かけて昇温した後、同温度で2時間保持して焼成し、酸化ルテニウムの含有量が1.25重量%、シリカの含有量が0.49重量%である青灰色の担持酸化ルテニウム5.04gを得た。
(担持酸化ルテニウムの初期活性評価、熱安定性試験、熱安定性試験後の活性評価)
上記で得られた担持酸化ルテニウムについて、実施例1と同様に、初期活性評価、熱安定性試験、及び熱安定性試験後の活性評価を行い、結果を表1に示した。
比較例1
(担持酸化ルテニウムの製造)
実施例3で得られた乾燥物Bの内10.66gを、保持することなく直ちに、空気流通下、室温から280℃まで1.2時間かけて昇温した後、同温度で2時間保持して焼成し、酸化ルテニウムの含有量が1.25重量%、シリカの含有量が0.49重量%である青灰色の担持酸化ルテニウム10.08gを得た。
(担持酸化ルテニウムの初期活性評価、熱安定性試験、熱安定性試験後の活性評価)
上記で得られた担持酸化ルテニウムについて、実施例1と同様に、初期活性評価、熱安定性試験、及び熱安定性試験後の活性評価を行い、結果を表1に示した。
実施例4
(担持酸化ルテニウムの製造)
実施例3で得られた乾燥物Bの内21.32g(容量:16.4mL)を、回転式含浸−乾燥装置にて、ナス型フラスコを80rpmで回転させることにより乾燥物Bを撹拌しながら、ナス型フラスコ内の温度を35℃とし、ナス型フラスコ内に空気を460mL/min(0℃、0.1MPa換算)の流量で連続的に42分の間供給し、流通させることにより、さらに乾燥させ、20.86gの乾燥物Cを得た。尚、チタニア担体の容量に対する空気の供給速度の比(GHSV)は、1800/h(0℃、0.1MPa換算)であった。乾燥物Cに含まれるチタニア担体の重量を基準とする水分量を下式により計算し、表1に示した。尚、さらなる乾燥における乾燥速度は、チタニア担体1gあたりの水の蒸発速度として、0.033g/hであった。
乾燥物Cに含まれるチタニア担体の重量を基準とする水分量(重量%)=(乾燥物Cに含まれる水の量(g))/(乾燥物Cに含まれるチタニア担体の量(g))×100
尚、乾燥物Cに含まれる水の量及び乾燥物Cに含まれるチタニア担体の量は、それぞれ下式により計算した。
乾燥物Cに含まれる水の量(g)=(実施例3で得られた乾燥物B全量中に含まれる水の量(g))/(実施例3で得られた乾燥物Bの取得量(g))×(実施例4で使用した乾燥物Bの量(g))−〔(実施例4で使用した乾燥物Bの使用量(g))−(実施例4で得られた乾燥物Cの取得量(g))〕
乾燥物Cに含まれるチタニア担体の量(g)=(実施例3で得られた乾燥物B全量中に含まれるチタニア担体の量(g))/(実施例3で得られた乾燥物Bの取得量(g))×(実施例4で使用した乾燥物Bの量(g))
上記で得られた乾燥物Cの内5.23gを、密閉容器中、10〜20℃で96時間保持した。保持後の乾燥物Cの重量は5.23gであった。保持後の乾燥物Cに含まれるチタニア担体の重量を基準とする水分量は保持前と変化はみられず、水の蒸発量は0gであった。5.23gの保持後の乾燥物Cを、空気流通下、室温から280℃まで1.2時間かけて昇温した後、同温度で2時間保持して焼成し、酸化ルテニウムの含有量が1.25重量%、シリカの含有量が0.49重量%である青灰色の担持酸化ルテニウム5.09gを得た。
(担持酸化ルテニウムの初期活性評価、熱安定性試験、熱安定性試験後の活性評価)
上記で得られた担持酸化ルテニウムについて、実施例1と同様に、初期活性評価、熱安定性試験、及び熱安定性試験後の活性評価を行い、結果を表1に示した。
比較例2
(担持酸化ルテニウムの製造)
実施例4で得られた乾燥物Cの内10.39g(容量:8.0mL)を、回転式含浸−乾燥装置にて、ナス型フラスコを80rpmで回転させることにより乾燥物Cを撹拌しながら、ナス型フラスコ内の温度を35℃とし、ナス型フラスコ内に空気を230mL/min(0℃、0.1MPa換算)の流量で連続的に55分の間供給し、流通させることにより、さらに乾燥させ、10.23gの乾燥物Dを得た。尚、チタニア担体の容量に対する空気の供給速度の比(GHSV)は、1800/h(0℃、0.1MPa換算)であった。乾燥物Dに含まれるチタニア担体の重量を基準とする水分量を下式により計算し、表1に示した。尚、さらなる乾燥における乾燥速度は、チタニア担体1gあたりの水の蒸発速度として、0.017g/hであった。
乾燥物Dに含まれるチタニア担体の重量を基準とする水分量(重量%)=(乾燥物Dに含まれる水の量(g))/(乾燥物Dに含まれるチタニア担体の量(g))×100
尚、乾燥物Dに含まれる水の量及び乾燥物Dに含まれるチタニア担体の量は、それぞれ下式により計算した。
乾燥物Dに含まれる水の量(g)=(実施例4で得られた乾燥物C全量中に含まれる水の量(g))/(実施例4で得られた乾燥物Cの取得量(g))×(比較例2で使用した乾燥物Cの量(g))−〔(比較例2で使用した乾燥物Cの使用量(g))−(比較例2で得られた乾燥物Dの取得量(g))〕
乾燥物Dに含まれるチタニア担体の量(g)=(実施例4で得られた乾燥物C全量中に含まれるチタニア担体の量(g))/(実施例4で得られた乾燥物Cの取得量(g))×(比較例2で使用した乾燥物Cの量(g))
上記で得られた乾燥物Dの内5.15gを、密閉容器中、10〜20℃で96時間保持した。保持後の乾燥物Dの重量は5.15gであった。保持後の乾燥物Dに含まれるチタニア担体の重量を基準とする水分量は保持前と変化はみられず、水の蒸発量は0gであった。5.15gの保持後の乾燥物Dを、空気流通下、室温から280℃まで1.2時間かけて昇温した後、同温度で2時間保持して焼成し、酸化ルテニウムの含有量が1.25重量%、シリカの含有量が0.49重量%である青灰色の担持酸化ルテニウム5.04gを得た。
(担持酸化ルテニウムの初期活性評価、熱安定性試験、熱安定性試験後の活性評価)
上記で得られた担持酸化ルテニウムについて、実施例1と同様に、初期活性評価、熱安定性試験、及び熱安定性試験後の活性評価を行い、結果を表1に示した。
実施例5
(チタニア担体の調製)
実施例1(チタニア担体の調製)と同様の操作で白色のチタニアの焼成物を得た。得られたチタニアの焼成物の内50.2g(容量:38.6mL)を、200mLのナス型フラスコに入れ、回転式含浸−乾燥装置にセットし、テトラエトキシシラン〔和光純薬工業(株)製のSi(OC2H5)4〕0.88gをエタノール8.30gに溶解して調製した溶液を、チタニアの焼成物を仕込んだナス型フラスコを鉛直方向から60度傾けて80rpmで回転させながら該ナス型フラスコ内に20分間で滴下することにより該溶液を含浸させた。次いで、含浸後のチタニアの焼成物が入ったナス型フラスコを80rpmで回転させることにより該焼成物を撹拌しながら、ナス型フラスコ内の温度を30℃とし、ナス型フラスコ内に水蒸気と窒素との混合ガス(水蒸気濃度:2.7体積%)を231mL/min(0℃、0.1MPa換算)の流量で連続的に5時間20分の間供給し、流通させた。チタニアの焼成物の容量に対する該混合ガスの供給速度の比(GHSV)は、360/h(0℃、0.1MPa換算)であった。得られた乾燥物50.9gを、空気流通下、室温から300℃まで1.2時間かけて昇温した後、同温度で2時間保持して焼成し、チタニアにシリカが担持されてなるチタニア担体50.5gを得た。得られたチタニア担体について、ICP発光分析装置(日本ジャーレル・アッシュ(株)製、IRIS Advantage)を用いてICP分析を行うことによりシリカの含有量を求めたところ、0.47重量%(ケイ素含有量:0.22重量%)であった。
(担持酸化ルテニウムの製造)
上記で得られたチタニア担体の内40.18g(容量:30.9mL)を、200mLのナス型フラスコに入れ、回転式含浸−乾燥装置にセットし、塩化ルテニウム水和物〔NEケムキャット(株)製のRuCl3・nH2O、Ru含有量40.0重量%〕0.97g(3.84mmol)を純水8.70gに溶解して調製した水溶液を、チタニア担体を仕込んだナス型フラスコを鉛直方向から60度傾けて80rpmで回転させながら該ナス型フラスコ内に30分間で滴下することにより該水溶液を含浸させ、49.85gの固体を得た。得られた固体に含まれるチタニア担体の重量を基準とする水分量を実施例1と同様にして求めたところ、22.1重量%であった。
次いで、上記の固体が入ったナス型フラスコを80rpmで回転させることにより該固体を撹拌しながら、ナス型フラスコ内の温度を35℃とし、ナス型フラスコ内に空気を923mL/min(0℃、0.1MPa換算)の流量で連続的に5時間40分の間供給し、流通させ、41.14gの乾燥物Eを得た。尚、チタニア担体の容量に対する空気の供給速度の比(GHSV)は、1800/h(0℃、0.1MPa換算)であった。乾燥物Eに含まれるチタニア担体の重量を基準とする水分量を実施例1と同様にして計算したところ、0.41重量%であった。尚、乾燥における乾燥速度は、チタニア担体1gあたりの水の蒸発速度として、0.038g/hであった。
上記で得られた乾燥物Eの内10.11gを、大気下、10〜20℃で24時間放置したところ、乾燥物Eの重量は10.21gとなり、24時間放置後の乾燥物Eに含まれるチタニア担体の重量を基準とする水分量を下式により計算したところ、1.4重量%であった。
24時間放置後の乾燥物Eに含まれるチタニア担体の重量を基準とする水分量(重量%)=〔(放置前の乾燥物Eに含まれる水の量(g))+(放置後の乾燥物Eの量(g))−(放置前の乾燥物Eの量(g))〕/(放置後の乾燥物Eに含まれるチタニア担体の量(g))×100
尚、放置前の乾燥物Eに含まれる水の量及び放置後の乾燥物Eに含まれるチタニア担体の量は、それぞれ下式により計算した。
放置前の乾燥物Eに含まれる水の量(g)=(実施例5で得られた乾燥物E全量中に含まれる水の量(g))/(実施例5で得られた乾燥物Eの取得量(g))×(実施例5で使用した放置前の乾燥物Eの量(g))
放置後の乾燥物Eに含まれるチタニア担体の量(g)=(実施例5で得られた乾燥物E全量中に含まれるチタニア担体の量(g))/(実施例5で得られた乾燥物Eの取得量(g))×(実施例5で使用した放置前の乾燥物Eの量(g))
上記で得られた、チタニア担体の重量を基準とする水分量が1.4重量%である乾燥物E10.21gを、大気下、10〜20℃で72時間保持した。72時間保持後の乾燥物Eの重量は10.20gであった。保持後の乾燥物Eに含まれるチタニア担体の重量を基準とする水分量は1.3重量%と計算され、保持における水の蒸発速度は、チタニア担体1gあたり、1.4×10−5g/hであった。10.20gの保持後の乾燥物Eを、空気流通下、室温から280℃まで1.2時間かけて昇温した後、同温度で2時間保持して焼成し、酸化ルテニウムの含有量が1.25重量%、シリカの含有量が0.47重量%である青灰色の担持酸化ルテニウム10.02gを得た。
(担持酸化ルテニウムの初期活性評価、熱安定性試験、熱安定性試験後の活性評価)
上記で得られた担持酸化ルテニウムについて、実施例1と同様に、初期活性評価、熱安定性試験、及び熱安定性試験後の活性評価を行い、結果を表1に示した。
比較例3
(担持酸化ルテニウムの製造)
実施例5で得られた乾燥物Eの内20.94gを、放置、保持することなく直ちに、空気流通下、室温から280℃まで1.2時間かけて昇温した後、同温度で2時間保持して焼成し、酸化ルテニウムの含有量が1.25重量%、シリカの含有量が0.47重量%である青灰色の担持酸化ルテニウム20.64gを得た。
(担持酸化ルテニウムの初期活性評価、熱安定性試験、熱安定性試験後の活性評価)
上記で得られた担持酸化ルテニウムについて、実施例1と同様に、初期活性評価、熱安定性試験、及び熱安定性試験後の活性評価を行い、結果を表1に示した。
表1に示すとおり、チタニア担体をルテニウム化合物及び溶媒を含む溶液で接触処理した後、溶媒の含有量がチタニア担体の重量を基準として0.10〜15重量%になるまで乾燥し、次いで、得られた乾燥物をチタニア担体の重量を基準として1.0〜15重量%の溶媒を含む状態で保持した後、酸化性ガス雰囲気下で焼成して得られた担持酸化ルテニウムを触媒として使用した実施例1〜5では、熱安定性試験の前後で塩化水素転化率が維持されており、熱安定性及び触媒寿命に優れる担持酸化ルテニウムが得られ、長時間にわたり安定して塩素を製造することができることがわかる。これに対して、乾燥後の保持を行わずに焼成を行うことにより得られた担持酸化ルテニウムを触媒として使用した比較例1及び3、並びに、乾燥物をチタニア担体の重量を基準として1.0重量%未満の溶媒を含む状態で保持して得られた担持酸化ルテニウムを触媒として使用した比較例2では、実施例1〜5に対して、熱安定性試験の前後で塩化水素転化率が維持されておらず、塩化水素転化率の低下割合が大きいことがわかる。