JP5843819B2 - 表面処理された金属粉の製造方法 - Google Patents
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Description
(1)
湿式法で製粉されてD50が0.05μm〜1μmで、Dmaxが1μm以下である金属粉を、アルカリ性水溶液と混合した後に分離して、アルカリ処理された金属粉を得る工程、
アルカリ処理された金属粉を、酸性のカップリング剤水溶液と混合した後に分離して、カップリング剤処理された金属粉を得る工程、
カップリング剤処理された金属粉を、水性溶媒によって洗浄する工程、
水性溶媒によって洗浄された金属粉を、乾燥及び解砕する工程、
を含む、表面処理された金属粉の製造方法。
(2)
酸性のカップリング剤水溶液のpHが、pH1.0〜5.0である(1)に記載の方法。
(3)
金属粉がCu、Ni、Ag、Pd、Pt、Auのいずれかの金属粉である(1)〜(2)のいずれかに記載の方法。
(4)
カップリング剤がシラン、チタネート、アルミネートのいずれかである(1)〜(3)のいずれかに記載の方法。
(5)
(1)〜(4)のいずれかに記載の方法で製造された、焼結開始温度が500℃以上である、表面処理された金属粉。
(6)
STEMで得られる表面近傍のEDSの濃度profileにおいて、Al、Si、及びTiからなる群から選択された1種の元素を含む表面処理層の厚みをx(nm)、金属粉の焼結開始温度をy(℃)としたとき、次の式:
0.5≦x≦10
20x+530≦y
を満たす、(1)〜(4)のいずれかに記載の方法で製造された、表面処理された金属粉。
(7)
Al、Si、及びTiからなる群から選択された1種の元素の金属粉1gに対する付着量をx(μg)、焼結開始温度をy(℃)としたとき、次の式:
50≦x≦1500
0.2x+510≦y
を満たす、(1)〜(4)のいずれかに記載の方法で製造された、表面処理された金属粉。
(8)
金属粉に対するXPSのmultiplex測定によって、金属粉表面のAl、Si、及びTiからなる群から選択された1種の元素Aが原子濃度をx(atomic%)、焼結開始温度をy(℃)としたとき、次の式:
0.3≦x≦2.5
150x+390≦y
を満たす、(1)〜(4)のいずれかに記載の方法で製造された、表面処理された金属粉。
(9)
(5)〜(8)のいずれかに記載の表面処理された金属粉が、さらに有機化合物で表面処理されてなる、表面処理された金属粉。
(10)
(5)〜(9)のいずれかに記載の表面処理された金属粉を使用して製造された導電性金属粉ペースト。
(11)
(10)の導電性金属粉ペーストを使用して製造された、チップ積層セラミックコンデンサー。
(12)
内部電極断面に、直径10nm以上のSiO2、TiO2、又はAl2O3のいずれかが存在している、(11)に記載のチップ積層セラミックコンデンサー。
(13)
内部電極断面に、最大径0.5μm以上のSiO2、TiO2、又はAl2O3のいずれかが0.5個/μm2以下で存在している、(11)又は(12)に記載のチップ積層セラミックコンデンサー。
(14)
(11)〜(13)のいずれかに記載のチップ積層セラミックコンデンサーを最外層に実装した多層基板。
(15)
(11)〜(13)のいずれかに記載のチップ積層セラミックコンデンサーを内層に実装した多層基板。
(16)
(14)又は(15)に記載の多層基板を搭載した電子部品。
(17)
(1)〜(4)のいずれかに記載の製造方法によって製造された、表面処理された金属粉を、溶媒及び/又はバインダーと配合して、導電性金属粉ペーストを製造する方法。
(18)
(1)〜(4)のいずれかに記載の製造方法によって製造された、表面処理された金属粉を、溶媒及び/又はバインダーと配合して、導電性金属粉ペーストを得る工程、
導電性金属粉ペーストを基材に塗布する工程、
基材に塗布された導電性金属粉ペーストを加熱焼成する工程、
を含む、電極を製造する方法。
[表面処理された金属粉の製造方法]
本発明に係る表面処理された金属粉の製造方法は、湿式法で製粉されてD50が0.05μm〜1μmで、Dmaxが1μm以下である金属粉を、アルカリ性水溶液と混合した後に分離して、アルカリ処理された金属粉を得る工程、アルカリ処理された金属粉を、酸性のカップリング剤水溶液と混合した後に分離して、カップリング剤処理された金属粉を得る工程、カップリング剤処理された金属粉を、水性溶媒によって洗浄する工程、水性溶媒によって洗浄された金属粉を、乾燥及び解砕する工程、を行って、実施することができる。
表面処理に供される金属粉の金属としては、例えば、Ag、Pd、Pt、Ni、及びCuから選択された金属を使用することができ、好ましくは、Ag、Ni、及びCuから選択された金属を使用することができる。金属粉として、銅粉、銀粉、及びニッケル粉が好ましい。好適に使用できる金属粉として、次のような湿式法により製造された銅粉を挙げることができる。
好適な実施の態様において、湿式法による銅粉の製造方法として、アラビアゴムの添加剤を含む水性溶媒中に亜酸化銅を添加してスラリーを作製する工程、スラリーに希硫酸を5秒以内に一度に添加して不均化反応を行う工程、を含む方法によって製造される銅粉を使用することができる。この不均化反応の原理は次のようなものである:
Cu2O+H2SO4 → Cu↓+CuSO4+H2O
この不均化によって得られた銅粉は、所望により、洗浄、防錆、ろ過、乾燥、解砕、分級を行って、後の処理に供することができるが、好ましくは乾燥することなく、使用される。
上記の不均化法に加えて、例えば、化学還元法(特許第4164009号公報参照)によって得られる銅粉もまた好適に使用することができる。銅粉の他の金属粉についても、後述する実施例の記載、及び公知の技術にしたがって、湿式法によって製造することができる。
湿式法による金属粉は、アルカリ水溶液と混合した後に分離される。アルカリ水溶液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水溶液、例えば、0.01M〜2M(モル/リットル)の濃度の水溶液を使用することができる。混合は、公知の手段によって行うことができ、所望により撹拌してもよい。分離は、公知の手段によって行うことができ、上清の吸引、デカンテーション、ろ過、遠心分離、などを使用してもよい。アルカリ水溶液と混合して分離した後に、所望により、純水によって洗浄した後に、カップリング剤水溶液と混合してもよい。
アルカリ処理された金属粉は、酸性のカップリング剤水溶液と混合した後に分離される。酸性のカップリング剤水溶液のpHは、pH1.0〜5.0、好ましくはpH1.5〜4.5とすることができる。カップリング剤水溶液のpHは、公知の手段によって上記の範囲に調整することができ、例えば、塩酸、酢酸、硫酸等を滴下することによって、調製することができる。混合は、公知の手段によって行うことができ、所望により撹拌してもよい。分離は、公知の手段によって行うことができ、上清の吸引、デカンテーション、ろ過、遠心分離、などを使用してもよい。
カップリング剤としては、上記酸性のpH範囲で安定にカップリング可能なカップリング剤であれば、使用することができ、例えば、シラン、チタネート、アルミネートを使用することができる。カップリング剤の内、分子末端にアミノ基を有し、その隣接官能基が直鎖のカップリング剤は、上記酸性のpH範囲で安定にカップリング剤として使用することが難しい。本発明において、サイズが小さい金属粉でも良好に表面処理できる理由は不明であるが、水溶液を酸性にすることによって、アルコキシル基の加水分解、シラノール基の生成が促進されているためではないかと本発明者は考えている。プロポキシ基、ブトキシ基をアルコキシ基としたカップリング剤において、水溶液を酸性にすることによる効果が顕著であることは、この考えを支持する。本発明によれば、平均粒径1μm以下の金属微粉を表面処理することができ、好ましくは比較的早く加水分解をしてシラノール基を生成するアルコキシ基をもつカップリング剤を高濃度の水溶液として使用することができる。好適に使用されるカップリング剤には、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシランが挙げられる。また、カップリング剤濃度としては0.2%以上とするのが望ましい。
カップリング剤処理された金属粉は、水性溶媒によって洗浄される。洗浄と回収は、公知の手段によって適宜行うことができ、例えば、上清の吸引、デカンテーション、ろ過、遠心分離などを使用することができる。好ましくは、ろ過フィルターに載置された金属粉に対して、水性溶媒を連続的に注いで行うことができる。
水性溶媒としては、純水、又は水溶液を使用することができる。水溶液としては、例えば、無機酸、無機酸の塩、有機酸、有機酸の塩、水溶性のアルコール、及び水溶性のエステルから選択された1種以上の溶質又は溶媒が、溶解又は分散した水溶液を使用することができる。
水性溶媒によって洗浄された金属粉は、乾燥及び解砕される。乾燥及び解砕は公知の手段によって行うことができる。
回収された表面処理された金属粉に対しては、さらに後処理として表面処理を行ってもよい。防錆、あるいは、ペースト中での分散性を向上させること等を目的として、有機物等をさらに表面処理された金属粉の表面に吸着させてもよい。例えば、ベンゾトリアゾール、イミダゾール等の有機防錆剤による防錆処理を行ってもよい。
本発明は、上記製造方法によって製造された、表面処理された金属粉にもある。
表面処理された金属粉の表面にAl、Si、Ti、Zr、Ce、及びSnからなる群から選択された1種の元素、好ましくはAl、Si、及びTiからなる群から選択された1種の元素、さらに好ましくはSi又はTiが、吸着されて、表面処理層となっている。
好適な実施の態様において、この表面処理層の厚みx(nm)は、STEMで得られる表面近傍のEDSの濃度profileによって求めることができる。この表面処理層の厚み、例えば、Si含有層の厚み(Si厚み)は、表面処理された銅粉の表面の断面において、EDS(エネルギー分散型X線分析)による測定を行って、全原子に対するSi原子の存在比が最大となる深さでのSi原子の存在量を100%としたときに、Si原子の存在量が10%以上である範囲であると、規定したものである。表面処理された金属粉の表面の断面は、試料切片において観察した少なくとも100個以上の金属粉粒子のなかから、5個選択して、それぞれその最も明瞭な境界を、表面処理された金属粉の表面に垂直な断面であると扱って、測定及び集計を行うことができる。表面処理層の厚みは、Ti含有層の厚み(Ti厚み)、Al含有層の厚み(Al厚み)等の場合でも、Si含有層の厚み(Si厚み)と同様に、求めることができる。
表面処理によって金属粉の表面に付着した元素の付着量は、実施例に記載のように、ICP(誘導結合プラズマ原子発光分析法)によって求めることができる。好適な実施の態様において、表面処理された金属粉は、金属粉1gに対して、この元素の付着量が、例えば10〜10000μg、好ましくは50〜1500μgとすることができる。金属粉に対する元素の付着量を、ppmで表すこともでき、1ppmは金属粉1gに対して元素が1μgの付着量であることを表す。
表面処理によって金属粉の表面に付着した元素を対象として、XPSのmultiplex測定によって、次の条件で分析することができる:
表面Si、Ti: 直径0.5mmの円筒状の容器に金属粉0.5gを充填して、底面が隙間なく覆われるように敷きつめた。円筒容器に敷きつめられた金属粉の上面をXPS multiplex測定。(金属粉球体の上半分の表面に付着したSi、Tiの半定量分析)
装置:アルバックファイ社製5600MC
到達真空度:5.7×10-9Torr
励起源:単色化 AlKα
出力:210W
検出面積:800μmφ
入射角、取出角:45°
対象元素:C、N、Oの3種の元素
Ag、Ni、Cuからなる群から選択された元素
Ti、Si、Al、Sn、Zr、Ceからなる群から選択された元素
XPSのmultiplex測定によって、各種元素の光電子数(cps)と表面の濃度を測定することができる。好適な実施の態様において、表面処理された金属粉は、XPS(X線光電子分光)分析法のmultiplex測定で表面の、Al、Si、Ti、Zr、Ce、及びSnからなる群から選択された1種の元素Aが、例えば0.5%以上、0.6%以上、0.7%以上とすることができ、あるいは例えば4.0%以下、2.0%以下、1.9%以下、1.8%以下とすることができ、この元素の光電子が、例えば、直径800μmの円への照射(照射面積502655μm2)によって、100cps(count per second)以上、110cps以上、120cps以上とすることができ、あるいは例えば100〜9000cps、100〜8000cpsの範囲であるものとすることができる。
表面処理された金属粉を使用した導電性金属粉ペーストを製造して、これを焼結することによって電極を製造することができる。本発明による表面処理された金属粉は、優れた焼結遅延性を有する。焼結遅延性の指標である焼結開始温度とは、金属粉から成る圧粉体を還元性雰囲気中で昇温し、ある一定の体積変化(収縮)が起こったときの温度のことである。本発明では1%の体積収縮が起こるときの温度を焼結開始温度とする。具体的には、実施例の記載の通りに測定した。焼結開始温度が高いことは、焼結遅延性に優れていることを意味する。
好適な実施の態様において、表面処理された金属粉は、XPSのmultiplex測定によって、金属粉表面のAl、Si、及びTiからなる群から選択された1種の元素Aが原子濃度をx(atomic%)、焼結開始温度をy(℃)としたとき、次の式:
0.3≦x≦2.5
150x+390≦y
(ただし、濃度x(atomic%)は、Al、Si、Ti、Zr、Ce、及びSnからなる群から選択された1種の元素A、金属粉の金属の元素B、N(窒素)、C(炭素)、及びO(酸素)の5種類の元素を、XPSのmultiplex測定によって定量した値に対する、Al、Si、Ti、Zr、Ce、及びSnからなる群から選択された1種の元素Aの定量値を、百分率(%)で表した濃度の値である)
を満たすものとなっている。ただし、上記式において、定数150は[℃/atomic%]の単位を有する。
好適な実施の態様において、表面処理された金属粉は、STEMで得られる表面近傍のEDSの濃度profileにおいて、Al、Si、及びTiからなる群から選択された1種の元素を含む表面処理層の厚みをx(nm)、金属粉の焼結開始温度をy(℃)としたとき、次の式:
0.5≦x≦10
20x+530≦y
を満たすものとなっている。ただし、上記式において、定数20は[℃/nm]の単位を有する。
好適な実施の態様において、表面処理された金属粉は、Al、Si、及びTiからなる群から選択された1種の元素の金属粉1gに対する付着量をx(μg)、焼結開始温度をy(℃)としたとき、次の式:
50≦x≦1500
0.2x+510≦y
を満たすものとなっている。
表面処理された金属粉は、レーザー回折式粒度分布測定装置により測定した平均粒径D50が、0.05〜1μmの範囲、好ましくは0.05〜0.5μmとすることができ、最大粒子径Dmaxが1μm以下で二次粒子が存在しないものとすることができる。レーザー回折式粒度分布測定装置として、例えば、島津製作所製SALD−2100を使用することができる。本発明において、二次粒子とは、上記方法で粒度分布を測定したときに、極大値が複数ある場合の、大きい極大値側近傍の粒子のことを指す。上記方法で粒度分布の極大値が一つのみの場合、二次粒子が存在しないという。
表面処理された金属粉を使用して、導電性金属粉ペースト(導電性ペースト)を製造することができる。本発明に係る表面処理された金属粉は、ペーストを製造する場合においても、ペースト中で凝集することなく、容易に分散する。そして、得られた導電性ペーストは、粒子の凝集が低減されていることから、薄層電極に求められる平坦な塗膜を、容易に形成できるものとなっており、平坦な薄層電極の形成に好適なものとなっている。このように、本発明に係る表面処理された金属粉、及びこれを使用した導電性ペーストは、作業性及び生産性に優れたものとなっている。この導電性ペーストもまた、焼結遅延性に優れ、高い焼結開始温度を示すものとなっている。
導電性金属粉ペーストによる塗膜の平坦性は、実施例に記載のように、塗膜の最大山高さRzを、接触式表面粗さ計(小坂研究所製、SE−3400)によりJIS−BO601に従ってn=3で測定し、平均値を求めることで評価することができる。本発明による導電性金属粉ペーストは、本発明による表面処理された金属粉の低い凝集性と高い分散性を反映して、その塗膜は、Rzが小さく、高い平坦性を発揮できるペーストとなっている。
表面処理された金属粉は、その圧粉体を還元性雰囲気中で昇温して焼結体を形成することができる。得られた焼結体は、優れた電極として形成される。また、好適な実施の態様において、上述のように、粉体を配合した導電性金属粉ペーストを製造して、これを塗工した後に焼結して、電極を製造することができる。このように焼結して製造される焼結体(電極)は、平坦な薄層電極として好適であることから、特に、チップ積層セラミックコンデンサーの内部電極として好適に使用可能である。このチップ積層セラミックコンデンサーは、小型高密度の実装が可能であることから、多層基板の内層あるいは最外層に好適に実装して使用することができ、これを搭載した電子部品において、好適に使用することができる。
本発明の好適な実施の態様によれば、このように焼結して製造される電極(焼結体)は、その断面において、好ましくは、直径が10nm以上の、SiO2、TiO2、又はAl2O3のいずれかが存在しているものとすることができる。好適な実施の態様において、この焼結体は、その断面に、最大径0.5μm以上のSiO2、TiO2、又はAl2O3のいずれかが0.5個/μm2以下で存在しているものとすることができ、あるいは、例えば0.0〜0.5個/μm2の範囲で、例えば0.1〜0.5個/μm2の範囲で、存在しているものとすることができる。この最大径とは、SiO2、TiO2、又はAl2O3の粒子の最小外接円の直径をいう。本発明の好適な実施の態様において、SiO2、TiO2、又はAl2O3の粒子の析出はこのように制御されており、極薄電極の形成を可能にすると同時に、電極の信頼性(品質)を低下させることがない。
金属粉として、銅粉、ニッケル粉、銀粉を以下の手順で用意した。
(不均化法による銅粉 (実施例6以外で使用))
表面処理に供される銅粉20gを、上述した不均化法による湿式法によって製造した。これは具体的には以下の手順で行った。
(1) アラビアゴム0.05〜0.4g + 純水350mLに、亜酸化銅50gを添加した。
(2) 次に、希硫酸(25wt%)50mLを一時に添加した。
(3) これを、回転羽で攪拌後(300rpm×10分)、60分放置した。
(4) 次に、沈殿に対して、洗浄を行った。
得られた銅粉の粒子サイズ(D50、Dmax)を表2に、金属粉サイズ(処理前)として示す。測定は、レーザー回折式粒度分布測定装置(島津製作所製SALD−2100)を使用した。この不均化法によって得られた銅粉は、実施例6以外で使用される銅粉として使用した。
特許第4164009号公報に従い、化学還元法による湿式法によって銅粉を得た。すなわち、アラビアゴム2gを2900mLの純水に添加した後、硫酸銅125gを添加し撹拌しながら、80%ヒドラジン一水和物を360mL添加した。ヒドラジン一水和物の添加後〜3時間かけて室温から60℃に昇温し、更に3時間かけて酸化銅を反応させた。この後60分放置し、銅粉を沈降させた。この状態で粒度測定をレーザー回折式粒度分布測定(島津製作所SLAD−2100)で行い、表面処理前の粒度測定とした。この化学還元法によって得られた銅粉は、実施例6で使用した。
特開2010−59467に従い、ニッケル粉を得た。まず、6Lの純水にゼラチンを溶解させた後、濃度が0.02g/Lとなるようにヒドラジンを混合し、パラジウムと微量の銀の混合溶液を滴下してコロイド溶液とし、水酸化ナトリウムを加えることによりpHを10以上とした後、さらにヒドラジン濃度が26g/Lとなるまでヒドラジンを加えた。
一方、ニッケル濃度が100g/Lの塩化ニッケル水溶液に塩化クロム、及び塩化マグネシウムを、それぞれニッケルに対するクロム、マグネシウムの濃度が0.03%となるように添加した。これに前記ヒドラジン溶液を0.5L滴下して、ニッケルの還元析出を行い、ニッケル粉末を得た。この状態で粒度測定をレーザー回折式粒度分布測定(島津製作所SLAD−2100)で行い、表面処理前の粒度測定とした。
特開2007−291513に従って製粉した。すなわち、0.8Lの純水に硝酸銀12.6gを溶解させ、25%アンモニア水を24mL、さらに硝酸アンモニウムを40g添加し、銀アンミン錯塩水溶液を調整した。これに1g/Lの割合でゼラチンを添加し、これを電解液とし、陽極、陰極ともにDSE極板を使用し、電流密度200A/m2、溶液温度20℃で電解し、電析した銀粒子を極板から掻き落としながら1時間電解した。こうして得られた銀粉をヌッチェでろ過し、純水、アルコールの順に洗浄を行い、70℃で12時間大気雰囲気下で乾燥させた。この銀粉を乾式分級し、最終的にD50 0.1μm、Dmax 0.5μmの銀粉を得た。
次の各種のカップリング剤を使用したカップリング剤水溶液をそれぞれ50mL調製した。
シラン:
エポキシシランZ−6040(γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)
(東レダウコーニング社製)
3−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン(MOMENTIVE社製)
チタネート:
プレインアクト KR44TTS(味の素ファインテクノ社製)
濃度は0.2〜10vol%の範囲で調製した。一部の実施例では酢酸でpHを4付近まで調整した。
エポキシシランZ−6040(γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン):
3−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン:
C6H5−NH−C3H6−Si(OCH3)3
[表面処理]
上記湿式法で得られた金属粉スラリーから上澄み液を除去し、金属粉を乾燥させることなく、水酸化ナトリウム水溶液(5g/L)中で撹拌した。その後、静置し、上澄み液を取り除き、純水350mLとさらに撹拌した。再び、静置し、上澄み液を取り除き、調製したカップリング剤と金属粉を60分間、以下のいずれかの方法で混合させた。表面処理に供した金属粉の質量はカップリング剤水溶液50mLに対して、それぞれ20gとした。
(1)回転羽(300rpm)+超音波(株式会社テックジャム製、超音波洗浄器 3周波タイプ / W−113)(出力100W、周波数100kHz)
(2)回転羽(300rpm)のみ
(3)超音波のみ
次にこれらのカップリング剤水溶液をそれぞれアスピレーターで吸引ろ過したのち、金属粉の上に純水を加え、さらにろ過した。ろ過による洗浄は、洗浄後に金属粉の乾燥質量の5倍の純水を加えてろ過して得られたろ液をICP(高周波誘導結合プラズマ)分析した場合に、カップリング剤に由来するSi、Ti、Al、Zr、Ce又はSnの元素が50ppm以下の濃度となるまで行った。上記の場合、純水は約350mLを要した。ICP分析は、最後の約350mLをろ過後に約100mLを更にろ過し、この約100mLの濾液に対して行った。得られた残渣を窒素雰囲気下で70℃で1時間乾燥し、乳鉢で粉砕した。この状態で再度粒度測定を行った。このようにして表面処理された金属粉を得た。金属粉に対するこれらの表面処理の一覧を、表1に示す。
表面処理された金属粉の表面に付着したSi、Ti、を次の条件で分析した。この結果は、表3にまとめた。
表面N及び表面Si、Ti: 直径0.5mmの円筒状の容器に、表面処理された金属粉0.5gを充填して、底面が隙間なく覆われるように敷きつめた。円筒容器に敷きつめられた、表面処理された金属粉の上面をXPS multiplex測定。(表面処理された金属粉の球体の上半分の表面に付着したSi、Tiの半定量分析)
装置:アルバックファイ社製5600MC
到達真空度:5.7×10-9Torr
励起源:単色化 AlKα
出力:210W
検出面積:800μmφ
入射角、取出角:45°
対象元素:C、N、Oの3種
Ag、Ni、Cuからなる群
Ti、Si、Al、Sn、Zr、Ceからなる群
表面処理された金属粉によって、サンプルを作製して、TMA(Thermomechanichal Analyzer)を使用して、焼結開始温度を、次の条件で測定した。
サンプル作製条件
圧粉体サイズ:7mmφ×5mm高さ
成型圧力:1Ton/cm2(1000kg重/cm2)
(潤滑剤として0.5wt%のステアリン酸亜鉛を添加)
測定条件
装置:島津製作所TMA−50
昇温:5℃/分
雰囲気:2vol%H2−N2(300cc/分)
荷重:98.0mN
また、このTMAによる昇温によって形成された各焼結体をFIB加工して、断面のSIM像を撮影した。これを用いて最大径0.5μm以上のSiO2またはTiO2の個数を計数した。
これらの結果は表3にまとめた。
表面処理された銅粉の表面のSiO2及びTiO2厚みを、EDS(エネルギー分散型X線分析)によって、次の条件で分析した。この結果は、表3にまとめた。
SiO2厚み (TiO2厚みについても同様)
装置:STEM
断面TEM像倍率:2000000倍(200万倍)
特性X線
照射電子のビーム径:1nm
走査距離:500nm(銅粉の断面を走査)の5点平均
SiO2層定義:特性X線の深さ方向濃度プロファイルの最大値の10%となる領域。
上述の手順で得られた表面処理された金属粉を、エチルセルロースとテルピネオール(以下、TPO)からなるビークルと、テルピネオールとをミキサーで混練し、3本ロールに通して、表面処理された金属粉による金属粉ペーストを得た。重量組成は
表面処理された金属粉:TPO:エチルセルロース=51.5:46:2.5
とした。これをアプリケーターでPET上に塗工し、120℃で10分大気雰囲気下で乾燥させた。乾燥後の塗膜厚みが10μmとなるように塗工した。
得られた塗膜の最大山高さRzを、接触式表面粗さ計(小坂研究所製、SE−3400)によりJIS−BO601に従ってn=3で測定し、平均値を求めた。
これらの結果は、表2にまとめた。
比較例1、2、3では、上記で得られた不均化法による銅粉、銀粉をそれぞれベンゾトリアゾール水溶液(0.1g/L)100mL中に分散させ、回転羽で500rpmで10分間攪拌し、ろ過、乾燥(窒素雰囲気下で70℃×1h)させ、さらに、防錆処理された銅粉、銀粉、ニッケル粉を得た。これを例Aの手順で評価した。
比較例4、6〜9では、上記湿式法で得られた金属粉スラリーから上澄み液を除去し、金属粉を乾燥させることなく、調製したカップリング剤と金属粉を60分間、超音波を照射させながら、回転羽で混合した。次にこれらのカップリング剤水溶液をそれぞれアスピレーターで吸引ろ過したのち、金属粉の上に純水350mLを加えてろ過した。さらに、乾燥(窒素雰囲気下で70℃×1h)させ、各金属粉を得た。これを例Aの手順で評価した。
特開2012−140661にしたがって、扁平銅粉を作製した。すなわち、50℃の純水2Lに、硫酸銅3モルを添加して撹拌を行い、銅含有水溶液を得た。次に、この水溶液を撹拌した状態で、該水溶液にアンモニア水(アンモニアに換算して、銅1モルに対して1.77モル)を添加して、液中に酸化第二銅を生成させた。この時にケイ酸ナトリウムを銅1モルに対して0.016添加した。引き続き30分撹拌した後、ヒドラジンを銅1モルに対して0.53モル添加した。また、アンモニア水(アンモニアに換算して、銅1モルに対して0.81モル)を添加した。これによって、第一の還元反応を行い、酸化第二銅を酸化第一銅に還元させた。引き続き30分撹拌した後、液を撹拌した状態でヒドラジンを銅1モルに対して2.29モル一括添加して第二の還元反応を行い、酸化第二銅を銅に還元させた。引き続き1時間撹拌を行って反応を終了させた。反応終了後、得られたスラリーをヌッチェを用いてろ過し、次いで純水及びメタノールで洗浄し、更に乾燥させて扁平銅粉を得た。この特性を例Aの手順で評価した。
上記の比較例1〜9の他に、シランカップリング剤としてテトラエトキシシラン(TEOS)を用い、アンモニアを触媒として用いて銅粉に表面処理をして、比較実験を行ったが、テトラエトキシシランを用いた場合には、得られた表面処理銅粉が凝集してしまい、肉眼による観察によって、均一な表面処理と粒径が得られていないと思われる状態となっていた。この場合、表面処理前にD50=0.13μm、Dmax=0.44μmであったが、表面処理後にはD50=0.87μm、Dmax=3.1μmといずれも7倍程度大きくなっていた。また、粒度分布は表面処理前に1山であったものが2山となっていた。
上記で得られた不均化法による銅粉を例Aの手順でアルカリ処理後、純水と混合し、エポキシシランZ−6040の3水準の濃度の水溶液で、例Aの(1)の手順で60分間撹拌混合した。次にこれらのカップリング剤水溶液をそれぞれアスピレーターで吸引ろ過した。そして、純水による洗浄等を行うことなく、吸引ろ過後の残渣を窒素雰囲気下で70℃で1時間乾燥し、乳鉢で粉砕した。これを例Aの手順で評価した。
アルカリ処理後に酸性のシランカップリング剤水溶液処理をし、最後に水洗をした、実施例1〜7、11〜13、17〜19はカップリング剤処理をしていない比較例1〜3、カップリング剤処理前にアルカリ処理をしなかった比較例4、6、8,9と比較すると、焼結開始温度が310〜470℃から大きく上昇し、580℃以上であった。表面処理された金属粉は、表面処理後も原料粉と同じ大きさを維持したままであったことから、凝集することで表面積が減って焼結遅延性が向上したわけではなく、表面処理による何らかの変化によって、焼結遅延性が劇的に向上したと思われる。
化学還元法により得られた実施例6も、不均化反応で得られた銅粉と同じように、アルカリ処理をした後に酸性のカップリング剤水溶液処理によって、凝集することなく、焼結遅延性が大きく向上することが確認された。
アルカリ処理後に酸性のチタネートカップリング剤水溶液処理をし、最後に水洗をした実施例8〜10、14〜16、20〜22はカップリング剤処理をしていない比較例1〜3、カップリング剤処理前にアルカリ処理をしなかった比較例7と比較すると、焼結遅延性は大きく向上したと言える。
図1、2から示されるように、同じ焼結開始温度を得るのに必要なSi量、Al量はカップリング剤処理後に水洗をした方が少ない。常識的にはSi、Tiが多く付着していた方が金属粉表面をより完全に覆う可能性が高くなるので、有利だと考えられている。にもかかわらず、むしろ、Si、Tiを少なくした方が焼結遅延性向上に有利であることを上記の実験結果は示している。
また、カップリング剤処理後に水洗を行った場合は、ペースト塗膜のRzが減少しすなわちペーストが平坦になった。ペースト塗膜の平坦化は、薄い塗膜を形成した場合に重要となり、MLCCの内部電極の薄層化(1μm)に大きく貢献する。
TMA試験後の焼結体断面を観察したところ、上記表面処理された金属粉を使用したにもかかわらず、焼結体の断面において、大きな直径(粒子の最小外接円)のSiO2、TiO2粒子の個数(個数/μm2)が少ないものとなっていることが分かった。
Claims (6)
- 湿式法で製粉されてD50が0.05μm〜1μmで、Dmaxが1μm以下である金属粉を、アルカリ性水溶液と混合した後に分離して、アルカリ処理された金属粉を得る工程、
アルカリ処理された金属粉を、酸性のカップリング剤水溶液と混合した後に分離して、カップリング剤処理された金属粉を得る工程、
カップリング剤処理された金属粉を、水性溶媒によって洗浄する工程、
水性溶媒によって洗浄された金属粉を、乾燥及び解砕する工程、
を含む、表面処理された金属粉の製造方法。 - 酸性のカップリング剤水溶液のpHが、pH1.0〜5.0である請求項1に記載の方法。
- 金属粉がCu、Ni、Ag、Pd、Pt、Auのいずれかの金属粉である請求項1〜2のいずれかに記載の方法。
- カップリング剤がシラン、チタネート、アルミネートのいずれかである請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法によって製造された、表面処理された金属粉を、溶媒及び/又はバインダーと配合して、導電性金属粉ペーストを製造する方法。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法によって製造された、表面処理された金属粉を、溶媒及び/又はバインダーと配合して、導電性金属粉ペーストを得る工程、
導電性金属粉ペーストを基材に塗布する工程、
基材に塗布された導電性金属粉ペーストを加熱焼成する工程、
を含む、電極を製造する方法。
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