JP5844529B2 - 血中gip濃度上昇抑制剤 - Google Patents
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また、GIPは、膵β細胞からのインスリン分泌を促進し、インスリン存在下でのグルコースの脂肪細胞への取り込みを亢進することが知られている。そのため、GIPの作用が肥満の一要因になっているとも考えられ、事実、GIPの機能を阻害すると、肥満が抑制されるとの報告がある(非特許文献4参照)。
さらに、GIPはインスリン抵抗性の一因となることが報告されている(非特許文献4参照)。インスリン抵抗性を発症すると、インスリンによる糖の吸収作用が低下し、その結果、高インスリン血症を引き起こす。高インスリン血症は、肥満をはじめとする様々な生活習慣病の発症につながる根本的な原因であるとも言われており、インスリン抵抗性の予防・改善は生活習慣病のリスク軽減の面からも重要である。
これまでの研究によって、GIPの機能を阻害する物質として、3−ブロモ−5−メチル−2−フェニルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−オール(BMPP)やピラゾロピリミジン化合物が知られている。また、食後GIPの分泌を抑制するものとして、グアガム等が知られている(特許文献1及び2、非特許文献5〜10参照)。しかしながら、これらの物質は、安全性や効果の面で十分とはいえない。
発明の血中GIP濃度上昇抑制剤は、ポリグルタミン酸のカルシウム塩を有効成分として含有する。ポリグルタミン酸は、グルタミン酸のγ位のカルボキシル基とα位のアミノ基がペプチド結合したもので、その構造式は(-NH-CH(COOH)-CH2-CH2-CO-)nで表されるが、本発明に用いられるポリグルタミン酸のカルシウム塩は、前記構造式におけるカルボキシル基の水素原子の50%以上がカルシウムに置換されたものである。本発明に用いられるポリグルタミン酸のカルシウム塩は、前記構造式においてカルボキシル基の水素原子の60%がカルシウムに置換されたものであることが好ましく、さらに上記カルボキシル基の水素原子の70%以上、さらに80%以上、さらに90%以上、さらに95%以上、殊更99%以上がカルシウムに置換されたものであることが好ましいが、実質的にすべてのカルボキシル基がカルシウムに置換されたものであることが特に好ましい。また、前記構造式において末端に位置することになるカルボキシル基も、カルシウムで置換されたものであることが好ましい。また、前記構造式において末端に位置することになるカルボキシル基も、カルシウムで置換されたものであることが好ましい。
ポリグルタミン酸のカルシウム塩は、ポリグルタミン酸や、他のポリグルタミン酸の塩に比べて血中のGIP濃度上昇を顕著に抑制する作用を有する。従って、当該ポリグルタミン酸のカルシウム塩は、血中のGIP濃度上昇抑制剤として使用することができ、また、当該GIP上昇抑制剤を製造するために使用することができる。ポリグルタミン酸のカルシウム塩に血中GIP濃度の上昇を抑制する作用があることは今まで知られていなかった。また、ポリグルタミン酸のカルシウム塩に肥満やインスリン抵抗性の予防・改善効果があることも知られていない。
食事中に含まれるトリアシルグリセロールについては特に制限はなく、トリアシルグリセロールを多く含む脂質成分としては、具体的には、バター、ラード、魚油、コーン油、なたね油、オリーブ油、ごま油などが挙げられる。
食事中に含まれる糖質成分についても特に制限はなく、具体的には、米飯、澱粉、小麦粉、砂糖、果糖、ぶどう糖、グリコーゲンなどが挙げられる。
また、上記脂質及び糖質の摂取量としては、通常の食事に含まれる範囲の摂取量であれば特に制限されない。
本発明において、「血中GIP濃度上昇抑制」とは、主として、食後に生じる血中GIP濃度上昇を抑制することをいう。食後の血中GIP濃度上昇の抑制は、食後に引き起こされる血中GIPの濃度の上昇を必ずしも完全に抑制することを意味するものではなく、本発明の血中GIP濃度上昇抑制剤を投与していない場合に比べて、血中GIP濃度の上昇度合を穏やかにすることをも含む概念である。そして、本発明における「血中GIP濃度上昇抑制作用」は、消化管からのGIP分泌を抑制することで血中GIP濃度上昇を抑制するGIP分泌抑制作用、及び血中GIP濃度を低下させることにより血中GIP濃度上昇を抑制するGIP低下作用のいずれをも含む概念である。
本発明において用いられるポリグルタミン酸のカルシウム塩は、重量平均分子量が約500以上であることが好ましく、1,000以上であることがより好ましく、2,000以上であることがさらに好ましく、4,000以上であることがさらに好ましく、6,000以上であることがさらに好ましく、8,000以上であることが特に好ましい。
使用されるポリグルタミン酸のカルシウム塩の重量平均分子量の上限は約5,000,000であるのが好ましいが、製造面、及び本発明の血中インスリン濃度上昇抑制剤を経口用液体製剤としたときの喉ごし、ぬるつき、嚥下のしやすさなどの観点から、その粘度が比較的低い方が好ましく、使用されるポリグルタミン酸のカルシウム塩の重量平均分子量は1,000,000以下であることがより好ましく、500,000以下であることがさらに好ましく、100,000以下であることがさらに好ましく、50,000以下であることが特に好ましく、30,000以下であることが殊更好ましい。
より具体的には、本発明に用いるポリグルタミン酸のカルシウム塩の重量平均分子量は500〜5,000,000であることが好ましく、1,000〜1,000,000であることがより好ましく、2,000〜500,000であることがさらに好ましく、4,000〜100,000であることがさらに好ましく、6,000〜50,000であることが特に好ましく、8,000〜30,000、さらに8,000〜20,000であることが殊更好ましい。
重量平均分子量の測定は、例えば、ゲルろ過カラムを用いた高速液体クロマトグラフィーにより行うことができる。
上記各食品や製剤中の有効投与(摂取)量は、ポリグルタミン酸のカルシウム塩として、1日当たり0.001g/kg体重〜1.0g/kg体重とするのが好ましく、0.003g/kg体重〜0.5g/kg体重とするのがより好ましく、0.01g/kg体重〜0.2g/kg体重とするのが更に好ましい。また、本発明の血中GIP濃度上昇抑制剤は、食前・食中・食後に用いることができるが、食前もしくは食中に用いることが好ましく、食前1時間から食中に用いることがより好ましい。
投与又は摂取対象者としては、それを必要としている者であれば特に限定されないが、空腹時血糖値が100mg/dL以上、空腹時血中トリグリセリド値が100mg/dL以上、及び/又は、空腹時血中GIP値が10pg/mL以上の者が好ましい。また、肥満やメタボリックシンドローム者やその予備群も投与又は摂取対象者として好ましい。肥満の基準としては、日本においては、標準とされるBMIは22とされているため、BMI=22以上の者が好ましく、BMI=25以上の者がより好ましい。一方、欧米においては、肥満の基準としては、BMIが25以上は過体重とされているため、BMI=25以上の者が好ましく、BMI=30以上の者がより好ましい。メタボリックシンドロームの診断基準では、日本人の場合、男性であればウエストが85cm以上、女性であれば90cm以上の者であって、(1)血中トリグリセリドが150mg/dL以上又はHDLコレステロールが40mg/dL未満であること、(2)高血糖(空腹時血糖が110mg/dL以上)であること、(3)高血圧(130/85mHg以上)であることの3項目のうち1項目以上が当てはまる者が予備群とされ、2項目以上が当てはまる者がメタボリックシンドロームに該当するとされていることから、これらの者を投与又は摂取対象者とすることが好ましい。米国の場合は、腹囲(男性で102cm以上、女性で88cm以上)、高中性脂肪、低HDL、高血圧、高空腹時血糖のうち、3つ以上を満たすものがメタボリックシンドロームに該当するとされていることから、2つ以上に該当する予備群のものを含め、これらの者を投与又は摂取対象者とすることが好ましい。
ポリグルタミン酸のカルシウム塩の定量法及び重量平均分子量測定法:
ポリグルタミン酸のカルシウム塩の重量平均分子量測定は、D−6000(日立ハイテクノロジーズ社製)HPLCシステムを用いてゲルろ過法にて実施した。分析条件は、分析カラムにTSKGel G3000PWXLゲルろ過カラム(商品名、東ソー社製)を用い、溶離液に0.1M硫酸ナトリウムを使用し、流速0.8mL/分、カラム温度50℃とし、UV検出波長を210nmとした。重量平均分子量は、プルラン(商品名:Shodex STANDARD P−82、昭和電工社製)を用いて予め重量平均分子量を求めたポリグルタミン酸(明治フードマテリア社製、分子量9k)、ポリーヒドロキシプロリン(SIGMA−ALDRICH社製、分子量4k)を標準品として用い測定した。
重量平均分子量9,000のポリグルタミン酸のナトリウム塩(明治フードマテリア社製)を初発材料として、20%(w/w)水溶液を125mL作製し、氷冷下にて塩酸を用いてpH2以下に調整した。続いて、生成した酸沈殿物を8,000rpm、5分の遠心分離(商品名:himacCR21GIII、日立工機社製)にて回収し、得られた沈殿物を同量の蒸留水を用いて洗浄し、再度遠心分離に供した。この洗浄操作を2回繰り返し行なった後、得られた沈殿物を300mLの蒸留水に懸濁し、これをpH7以上となるように水酸化カルシウムを用いてそれぞれ中和した。この上記酸処理および水酸化カルシウムによる中和処理を再度実施し、得られた中和試料に対して2.5倍量のエタノールを添加し、氷冷下にて一晩放置した。このエタノール添加により生成した沈殿物を14,000rpm、5分の遠心分離(同上)にて回収し、回収試料を減圧乾燥に供して、カルシウム塩として19.0gの固形物を得た。この試料の重量平均分子量は前述の分析方法により、11,000と算出された。
重量平均分子量11,000(調製例1で調製)のポリグルタミン酸のカルシウム塩と、重量平均分子量9,000のポリグルタミン酸のナトリウム塩(明治フードマテリア社製)を用いて下記のように経口投与サンプルを調製した。
また、8週齢の雄性マウス(C57BL/6J Jcl:日本クレア社製)を各群7匹ずつ用いて下記のように経口投与試験を行った。
グルコース(関東化学社製)とトリオレイン(Glyceryl trioleate:Sigma社製)をレシチン(卵製、和光純薬社製)とアルブミン(ウシ血清由来、Sigma社製)を用いて乳化し、乳液を調製した。この乳液に、ポリグルタミン酸塩試料を添加し、最終濃度がポリグルタミン酸塩試料5(w/w)%、グルコース5(w/w)%、トリオレイン5(w/w)%、乳化剤(レシチン0.2(w/w)%、アルブミン1.0(w/w)%)となるよう、経口投与サンプルを調製した。なお、コントロールサンプルとして、ポリグルタミン酸塩の代わりに水を添加したサンプルを調製した。
一晩絶食させたマウスをエ−テル麻酔下、眼窩静脈よりヘパリン処理ヘマトクリット毛細管(VITREX社製)を用い、初期採血を行った。その後、経口投与サンプルを経口ゾンデ針にて経口投与し、10分、30分、1時間、2時間後にエーテル麻酔下、眼窩静脈より採血を行った。マウスに対する経口投与量を下記の表1に示す。
サンプル経口投与後の2時間後までの血中GIP濃度を測定した結果、血中GIPの濃度が最大となるのは投与後10もしくは30分後であることがわかった。そこで、血中GIP濃度の最大値(投与10分もしくは30分後)と初期値(初期採血時)の差(Δ値)を最大GIP濃度上昇と定義し、コントロール群を100としたときの値を表2に示した。
Claims (2)
- ポリグルタミン酸のカルシウム塩を有効成分として含有する血中GIP濃度上昇抑制剤。
- ポリグルタミン酸のカルシウム塩からなる血中GIP濃度上昇抑制剤。
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