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JP5875437B2 - 金属微粒子の製造方法 - Google Patents
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Description

本発明は、金属微粒子の製造方法に関し、特に、マイクロコンタクトプリント法やインクジェット法にて金属配線や透明導電膜等の所定膜を形成するのに利用される金属微粒子の製造方法に関する。
電子デバイスの製造工程において、金属配線膜や透明導電膜等の所定膜の形成に所謂インクジェット法を用いることが従来から知られている。このものでは、インクジェット式の塗布装置を用い、金属微粒子が分散した分散液を基材表面に直接塗布し、この塗布した分散液を乾燥、焼成する。分散液を焼成することで、金属微粒子の表面を覆う分散剤が脱離して金属微粒子同士が焼結し、上記所定膜が得られる。
上記インクジェット法では実現することが難しいサブミクロンサイズの導電パターンの形成に、マイクロコンタクトプリント法を用いることが提案されている(例えば、非特許文献1参照)。このものでは、例えばポリジメチルシロキサン(PDMS)からなり、導電パターンに対応する凹凸形状を有する版を用い、この版の凸部に分散液を塗布し、分散液を塗布した凸部を基材表面に密着させる。これにより、基材表面に上記凸部に対応した分散液が転写される。転写された分散液を焼成することで、分散剤が脱離して金属微粒子同士が焼結し、上記導電パターンが得られる。
このようなインクジェット法やマイクロコンタクトプリント法で用いられる金属微粒子を製造する方法としては、ガス中蒸発法や化学還元法を用いることが例えば特許文献1で知られている。ガス中蒸発法では、槽内に金属原料を収容し、減圧下で金属原料を蒸発させ、この蒸発させた金属蒸気を冷却捕集する際に、分散剤たる有機溶媒の蒸気を導入して金属が粒成長する段階においてその表面を有機溶媒と接触させ、得られる金属微粒子が単独でかつ均一に有機溶媒中にコロイド状に分散した金属微粒子含有液を得る。また、化学還元法では、有機金属化合物を非極性溶媒に溶解して得た液に分散剤たる還元剤を添加し、必要に応じて加熱することで、金属微粒子が分散した金属微粒子含有液を得る。
そして、このように得られた金属微粒子含有液に、金属微粒子の分散安定性を改善するためにアルキルアミン、カルボン酸アミド、アミノカルボン酸塩の中から選ばれた少なくとも1種を添加、混合する。次に、低分子量の極性溶媒を加えて該金属微粒子を沈降させ、その上澄み液をデカンテーションなどにより流出させる工程を複数回繰り返して有機溶媒を除去する。これにより、粒径100nm以下の金属微粒子が回収される。
ところで、近年では、基材として、ガラス基板以外に樹脂や紙製等の耐熱性の低いものが利用されている。上記非特許文献1には、基材として樹脂フィルムを用い、この樹脂フィルム上に電子ペーパーやフレキシブルディスプレイを駆動する有機TFTをマイクロコンタクトプリント法により形成することが記載されている。耐熱性の低い基材を用いる場合、分散液の焼成温度を150℃以下にする所謂低温焼成化が求められる。
低温焼成化を達成するために、表面が脂肪酸で覆われた金属微粒子を生成し、この脂肪酸の一部を炭素数1〜7のアミンで置換し、このアミンを炭素数8〜20のアミンで更に置換する方法が例えば特許文献2で知られている。脂肪酸の分解温度よりも炭素数8〜20のアミンの分解温度の方が低いため、焼成温度を低くすることができるものの、このように脂肪酸の一部を炭素数8〜20のアミンに置換するだけでは、充分な低温焼成化を達成できない場合がある。
ここで、分散液の焼成温度は、金属微粒子の表面を覆う脂肪酸(例えばカルボン酸)やアミンのような分散剤の分子量に依存する。このため、一層の低温焼成化を達成するには、金属微粒子の表面を分子量の小さい分散剤で覆うことが考えられる。
然し、例えばガス中蒸発法により金属微粒子を生成する場合に分子量の小さいカルボン酸を分散剤として用いると、このようなカルボン酸は蒸気圧が高いことから、蒸発中に槽内の圧力が上昇して金属微粒子が蒸発しなくなり、金属微粒子を安定に生成できないという問題があった。他方、例えば化学還元法により金属微粒子を生成する場合に分子量の小さい分散剤を用いると、金属微粒子の分散が不均一になり(金属微粒子の分散安定性が低下し)、金属微粒子を安定に生成できないという問題があった。このような金属微粒子の分散が不均一な分散液を、例えばインクジェット法で塗布するインクとして用いる場合、インクジェットヘッドの微細なノズルから安定に吐出させることが困難となる。
特開2002−121606号公報 特開2008−150701号公報
八瀬 清志、他1名、"フレキシブル基板へ有機薄膜トランジスタアレイを印刷"、2008年6月9日、独立行政法人産業技術総合研究所、インターネット(URL:http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2008/pr20080609/pr20080609.html)
本発明は、以上の点に鑑み、金属微粒子を安定に生成でき、金属微粒子の分散液を焼成するときに150℃以下の焼成温度で焼成可能な金属微粒子の製造方法を提供することをその課題とするものである。
上記課題を解決するために、本発明の金属微粒子の製造方法は、直鎖又は分岐構造を有する炭素数6〜18の第1のカルボン酸と直鎖又は分岐構造を有する炭素数6〜18の第1のアミンで表面が覆われた金属微粒子を生成する第1工程と、第1工程で生成された金属微粒子を、前記第1のカルボン酸とは異なる、ネオ分岐構造を有する炭素数5〜22の第2のカルボン酸と混合し、金属微粒子の表面を覆う第1のカルボン酸を第2のカルボン酸に置換する第2工程と、表面が第2のカルボン酸及び第1のアミンで覆われた金属微粒子を、前記第1のアミンとは異なる、直鎖又は分岐構造を有する炭素数4〜22の1級アミンである第2のアミンと混合し、表面が第2のカルボン酸及び第2のアミンで覆われた金属微粒子を得る第3工程と、を含むことを特徴とする。
本発明によれば、第1工程において金属微粒子の生成に適した第1のカルボン酸及び第1のアミンを分散剤として用いるため、金属微粒子を安定に生成することができる。このように生成した金属微粒子を第2のカルボン酸と混合することで、金属微粒子の表面を覆う第1のカルボン酸が第2のカルボン酸に置換される(第2工程)。さらに、第2のカルボン酸に置換された金属微粒子を、金属微粒子の分散に適した第2のアミンと混合することで、金属微粒子の表面が更に1級アミンによっても覆われるため、金属微粒子の高い分散安定性が得られる。このようにして得られた金属微粒子の表面は第2のカルボン酸で被覆されているため、金属微粒子に分散用の溶媒を加えて得た金属微粒子分散液を基材に塗布して焼成するときに150℃以下の低温で焼成しても、導電性に優れた導電膜及び導電配線パターンを形成することが可能となる。なお、本発明において、金属微粒子とは、平均粒径が100nm以下(代表的な粒径が1nm〜10nm)であるものをいう。また、本発明において、金属微粒子分散液とは、金属微粒子インクや金属微粒子ペーストを含むものとする。
本発明において、第2のカルボン酸として、ネオペンタン酸(ピバリン酸)、ネオヘキサン酸、ネオへプタン酸、ネオオクタン酸、ネオノナン酸、ネオデカン酸、ネオトリデカン酸、ネオドデカン酸から選択された少なくとも1つを用いることが好ましい。また、第1のカルボン酸として、ヘキサン酸、2メチルヘプタン酸、オクタン酸、2エチルへキサン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、2へキシルデカン酸、ステアリン酸、オレイン酸、イソステアリン酸から選択された少なくとも1つを用いることが好ましい。
本発明において、第2のアミンとして、へキシルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、テトラデシルアミン及びオレイルアミンから選択された少なくとも1つの1級アミンを用いることが好ましい。また、第1のアミンとして、へキシルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、テトラデシルアミン及びオレイルアミンから選択された少なくとも1つを用いることが好ましい。
本発明において用いられる金属は、Ag、Au、Ni、Pd、Rh、Ru、In,Sn,Cu及びPtから選択された少なくとも1種の金属又はこれらの金属の少なくとも2種からなる合金であり、目的・用途に応じて適宜選択することができる。本発明は、導電性の高いAg微粒子を形成する場合に適している。
以下、本発明の実施形態の金属微粒子の製造方法について、導電性に優れたAg微粒子を製造する場合を例に説明する。尚、金属としては、Agのほかに、Au、Ni、Pd、Rh、Ru、In、Sn、Cu及びPtから選択された少なくとも1種の金属又はこれらの金属の少なくとも2種からなる合金を用いることができる。
先ず、第1工程にて、10Pa以下の圧力下で高周波誘導加熱を用いる蒸発法により金属微粒子を生成する。この第1工程では、槽内で、Agを蒸発させることにより生成過程のAg微粒子に第1のカルボン酸と第1のアミンとを接触させた後、冷却捕集する。これにより、表面が第1のカルボン酸及び第1のアミンで覆われたAg微粒子の生成液が得られる。Ag微粒子の生成液にアセトンのような低分子量の極性溶媒を加えて撹拌し、静置して、Ag微粒子を沈降させた後、上澄み液を除去する。このような極性溶媒を用いたAg微粒子の洗浄を繰り返し、第1のカルボン酸及び第1のアミンで表面が覆われたAg微粒子を得る。
ここで、第1のカルボン酸及び第1のアミンとしては、Ag微粒子を安定して生成するのに適した、直鎖又は分岐構造を有する炭素数6〜18のものを用いることができる。第1のカルボン酸としては、例えば、ヘキサン酸、2メチルヘプタン酸、オクタン酸、2エチルへキサン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、2へキシルデカン酸、ステアリン酸、オレイン酸、イソステアリン酸から選択された少なくとも1つを用いることができる。第1のアミンとしては、例えば、へキシルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、テトラデシルアミン及びオレイルアミンから選択された少なくとも1つを用いることができる。
第2工程(酸処理工程)では、上記第1工程で得られたAg微粒子を、ネオ分岐構造を有する炭素数5〜22の第2のカルボン酸と混合し、攪拌する。これにより、Ag微粒子の表面を覆う第1のカルボン酸が第2のカルボン酸に置換され、表面が第2のカルボン酸と第1のアミンで被覆されたAg微粒子を含有するAg微粒子含有液が得られる。ここで、第2のカルボン酸の添加量は、Ag微粒子100重量部に対して10〜100重量部の範囲とすることが好ましい。第2のカルボン酸としては、例えば、ネオペンタン酸(ピバリン酸)、ネオヘキサン酸、ネオへプタン酸、ネオオクタン酸、ネオノナン酸、ネオデカン酸、ネオトリデカン酸、ネオドデカン酸から選択された少なくとも1つを用いることができる。
第2工程における撹拌を効率良く行うためには、超音波振動(例えば45kHz)を加えることが好ましい。第2のカルボン酸への置換率を高めるためには、第2工程を数回繰り返すことが好ましい。
ところで、第2工程中、Ag微粒子と第2のカルボン酸とが反応すると、第1のカルボン酸から第2のカルボン酸への置換効率が低下するという不具合が生じる。Ag微粒子と第2のカルボン酸との反応を抑制するために、第2工程の処理時間を2時間以下にすることが好ましく、また、処理温度を50℃以下にすることが好ましく、室温以下にすることがより好ましい。第2工程にて第2のカルボン酸と共にアミンを添加することによっても、Ag微粒子と第2のカルボン酸との反応を抑制できる。この場合、第2のカルボン酸とアミンとを反応させて得た反応物を添加してもよい。
上記第2工程で第2のカルボン酸に置換されたAg微粒子を、上記方法を用いて洗浄する。この場合、アセトンの添加量は、Ag微粒子含有液1容量に対して10容量とする。そして、第3工程(アミン処理工程)では、洗浄後のAg微粒子を、さらに、炭素数4〜22の第2のアミンと混合し、攪拌する。これにより、Ag微粒子の表面を覆う第1のアミンが第2のアミンに置換され、この第2のアミンと第2のカルボン酸とで表面が覆われたAg微粒子が得られる。ここで、第2のアミンとしては、Ag微粒子を分散させるのに適した炭素数6のへキシルアミン、炭素数8のオクチルアミン、炭素数9のノニルアミン、炭素数10のデシルアミン、炭素数12のドデシルアミン、炭素数14のテトラデシルアミン及び炭素数18のオレイルアミンから選択された少なくとも1つを用いることが好ましい。
第3工程における攪拌を効率的に行うために、攪拌時に超音波振動を加えることが好ましい。第2のアミンへの置換率を高めるためには、第3工程を数回繰り返すことが好ましい。
以上説明した実施形態によれば、真空蒸着法により、表面がAg微粒子の生成に適した第1のカルボン酸及び第1のアミンで覆われたAg微粒子を生成する。これにより、Ag微粒子の生成時に高い分散安定性が得られ、Ag微粒子を安定に生成することができる。このように生成したAg微粒子を、Ag微粒子分散液の調整に適した(即ち、低温焼成化に適した)ネオ分岐構造を有する第2のカルボン酸と混合して、Ag微粒子表面を覆う第1のカルボン酸を第2のカルボン酸に置換する。さらに、この第2のカルボン酸に置換されたAg微粒子を、Ag微粒子分散液の調整に適した第2のアミンと混合して、Ag微粒子表面を覆う第1のアミンを第2のアミンに置換する。このようにして得られたAg微粒子の表面は、Ag微粒子分散液の調整に適したネオ分岐構造を有する第2のカルボン酸と第2のアミンとで覆われることとなる。これにより、Ag微粒子をトルエン等の低極性溶媒に高い分散安定性で分散させることができるため、インクジェット法やマイクロコンタクトプリント法を用いて塗布或いは転写したAg微粒子分散液を、150℃以下の低温にて焼成することができる。また、インクジェット法を用いる場合、インクジェットヘッドの微細なノズルから安定に吐出させることができる。
Ag微粒子を孤立状態で分散させて分散液を得るための低極性溶媒としては、主鎖の炭素数が6〜18である有機溶媒を用いることが好ましく、上記のトルエン以外に、例えば、ヘキサン、へプタン、オクタン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、トリメチルデカンのような長鎖アルカンや、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロドデセンのような環状アルカン、ベンゼン、キシレン、トリメチルベンゼン、ドデシルベンゼンのような芳香族炭化水素、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、デカノール、シクロヘキサノール、テルピネオールのようなアルコール、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、ジヘキシルエーテル、テトラヒドロフラン、シクロペンチルメチルエーテルのようなエーテルを単独で又は混合して用いることができる。
以下、本発明の実施例について、ネオ分岐構造を有するカルボン酸で被覆されたAg微粒子を得て、このAg微粒子を含有するAg微粒子分散液をインクジェット法を用いてガラス基板上に塗布し、150℃以下の温度で焼成してAg薄膜を作製する場合を例に説明する。
(実施例1)
第1工程にて、蒸発法により、表面が2エチルヘキサン酸及び2エチルヘキシルアミンで覆われた平均粒径4nmのAg微粒子(アルバック製の商品名「Agナノメタル分散インク」)を得た。本発明者の実験では、このAg微粒子を含むAg微粒子分散液は、150℃で焼成しても導通が得られないことを確認した。上記Ag微粒子をトルエンに分散させてAg分散液を20g得た。この分散液中のAg含有量は6gであり、Ag濃度を30wt%とした。このAg分散液20gにネオペンタン酸を1.2g(Ag固形分に対して、20wt%)添加し、混合し、氷浴状態で30分の超音波処理を行ってAg微粒子含有液を得た(第2工程)。このAg微粒子含有液1容量に対し、アセトンを10容量添加して上記洗浄工程を複数回繰り返し、遠心分離処理により溶媒を除去することで、Ag微粒子の表面を覆う2エチルヘキサン酸がネオペンタン酸に置換された。このようにネオペンタン酸に置換されたAg微粒子を、トルエン14g及びドデシルアミン1.2gと混合し、室温で1時間攪拌してAg微粒子含有液を得た(第3工程)。このAg微粒子含有液1容量に対してアセトンを10容量添加して行う上記洗浄工程を複数回繰り返し、遠心分離処理により溶媒を除去することで、表面がネオペンタン酸とドデシルアミンで覆われたAg微粒子が得られた。
このように得られたAg微粒子をトルエンに分散させて、Ag濃度が30wt%のAg微粒子分散液(Ag微粒子インク)を調整した。調整した分散液をインクジェット法により、ガラス基板上に塗布し、150℃の温度で30分焼成することにより膜厚が0.3μmのAg薄膜を作製した。このAg薄膜の表面抵抗(比抵抗値)を測定した。測定結果を以下の表1に示す。表1には、焼成時間のみを5分、60分、120分、180分に変化させて作製したAg薄膜の比抵抗値を併せて示す。本実施例よれば、焼成時間を30分以上とすることで、比抵抗値が30μΩ・cm以下の低抵抗のAg薄膜が得られることが判った。
Figure 0005875437
(実施例2)
本実施例2では、第2工程での超音波処理時間を1時間にすることを除き、実施例1と同様の方法で、表面がネオペンタン酸とドデシルアミンで覆われたAg微粒子を含むAg微粒子分散液を得て、インクジェット法を用いてAg薄膜を作製した。作製したAg薄膜の比抵抗値の測定結果を以下の表2に示す。本実施例2によれば、焼成時間が30分以上の場合に、上記実施例1と同等の比抵抗値を有する低抵抗のAg薄膜が得られることが判った。
Figure 0005875437
(実施例3)
本実施例3では、第2工程での超音波処理時間を2時間にすることを除き、実施例1と同様の方法で、表面がネオペンタン酸とドデシルアミンで覆われたAg微粒子を含むAg微粒子分散液を得て、インクジェット法を用いてAg薄膜を作製した。作製したAg薄膜の比抵抗値の測定結果を以下の表3に示す。本実施例3によれば、焼成時間が30分以上の場合に、上記実施例1と同等の比抵抗値を有する低抵抗のAg薄膜が得られることが判った。
Figure 0005875437
(実施例4)
本実施例4では、第2工程を2回繰り返して行う点以外は実施例1と同様の方法で、表面がネオペンタン酸とドデシルアミンで覆われたAg微粒子を含むAg微粒子分散液を得て、インクジェット法を用いてAg薄膜を作製した。作製したAg薄膜の比抵抗値の測定結果を以下の表4に示す。本実施例4によれば、焼成時間が10分でも、比抵抗値が30μΩ・cm以下の低抵抗のAg薄膜が得られることが判った。これは、ネオペンタン酸への置換率が上記実施例1〜3よりも高いためであると考えられる。
(実施例5)
本実施例5では、第2工程を3回繰り返して行う点以外は上記実施例1と同様の方法で、表面がネオペンタン酸とドデシルアミンで覆われたAg微粒子を含むAg微粒子分散液を得て、インクジェット法を用いてAg薄膜を作製した。作製したAg薄膜の比抵抗値の測定結果を以下の表4に示す。本実施例5によれば、上記実施例4よりも一層低抵抗のAg薄膜が得られることが判った。
Figure 0005875437
(実施例6)
本実施例6では、Ag微粒子を分散させる低極性溶媒としてトルエンの代わりにシクロペンチルメチルエーテルを用いる点以外は上記実施例2と同様の方法で、表面がネオペンタン酸とドデシルアミンで覆われたAg微粒子を含むAg分散液(濃度30wt%のAg微粒子インク)を得て、インクジェット法を用いてAg薄膜を塗布し、120℃又は150℃の温度で、焼成温度を変化させて作製したAg薄膜の比抵抗値の測定結果を以下の表5に示す。本実施例6によれば、焼成温度が120℃の場合、焼成時間を60分以上とすることで比抵抗値が30μΩ・cm以下の低抵抗のAg薄膜が得られ、また、焼成時間が150℃の場合、焼成時間を30分以上とすることで比抵抗値が30μΩ・cm以下の低抵抗のAg薄膜が得られることが判った。
Figure 0005875437
(実施例7)
本実施例7では、第2工程にてネオペンタン酸1.2gと共にドデシルアミン2.4gを添加する点以外は実施例2と同様の方法で、表面がネオペンタン酸とドデシルアミンで覆われたAg微粒子を含むAg微粒子分散液を得て、インクジェット法を用いてAg薄膜を塗布し、焼成温度を100℃又は120℃とし、焼成時間を変化させて作製したAg薄膜の比抵抗値の測定結果を以下の表6に示す。本実施例7によれば、焼成温度が100℃の場合には焼成時間を180分以上とすることで、また、焼成時間が120℃又は150℃の場合には焼成時間を30分以上とすることで、比抵抗値が30μΩ・cm以下の低抵抗のAg薄膜が得られることが判った。
Figure 0005875437
(実施例8)
本実施例8では、第2工程にてネオペンタン酸1.2gの代わりにネオペンタン酸1.2gとドデシルアミン2.4gとを反応させて得た反応物を添加する点以外は実施例2と同様の方法で、表面がネオペンタン酸とドデシルアミンで覆われたAg微粒子を含むAg微粒子分散液を得て、インクジェット法を用いてAg薄膜を塗布し、焼成温度を100℃、120℃又は150℃とし、焼成時間を変化させて作製したAg薄膜の比抵抗値の測定結果を以下の表7に示す。本実施例8によれば、焼成温度が100℃の場合には焼成時間を180分以上とすることで、また、焼成時間が120℃又は150℃の場合には焼成時間を30分以上とすることで、比抵抗値が30μΩ・cm以下の低抵抗のAg薄膜が得られることが判った。
Figure 0005875437
以下、上記実施例に対する比較例を説明する。
(比較例1)
本比較例1では、ネオペンタン酸の代わりにオクタン酸を用いる点以外は実施例2と同様の方法で、表面がオクタン酸とドデシルアミンで覆われたAg微粒子を含むAg微粒子分散液を得て、インクジェット法を用いてAg微粒子分散液を塗布し、150℃の温度で焼成時間を変化させてAg薄膜を作製した。作製したAg薄膜の比抵抗値の測定結果を以下の表8に示す。本比較例1によれば、焼成時間が60分、120分の場合、導通せず(比抵抗値を測定出来ず)、容易に低温焼成化を実現できないことが判った。
Figure 0005875437
(比較例2)
本比較例2では、ネオペンタン酸の代わりにオレイン酸を用いる点以外は実施例2と同様の方法で、表面がオレイン酸とドデシルアミンで覆われたAg微粒子を含むAg微粒子分散液を得て、インクジェット法を用いてAg薄膜を塗布し、150℃の温度で焼成して作製した。焼成時間を3時間としても、得られたAg薄膜は導通せず、比抵抗値を測定できなかった。
なお、本発明は上記実施形態及び実施例に限定されない。例えば、上記実施形態及び実施例では、第1工程にてガス中蒸発法によりAg微粒子を生成しているが、Ag微粒子の生成方法はこれに限定されず、化学還元法によりAg微粒子を生成してもよい。
上記実施例では、Ag微粒子分散液をインクジェット法により塗布しているが、マイクロコンタクトプリント法やスクリーン印刷法等を用いることができる。また、上記実施例では、ガラス基板上にAg微粒子分散液を塗布しているが、基材としては、ガラス基板に限られず、樹脂や紙製等の耐熱性の低いものを用いることができる。

Claims (6)

  1. 直鎖又は分岐構造を有する炭素数6〜18の第1のカルボン酸と直鎖又は分岐構造を有する炭素数6〜18の第1のアミンで表面が覆われた金属微粒子を生成する第1工程と、
    第1工程で生成された金属微粒子を、前記第1のカルボン酸とは異なる、ネオ分岐構造を有する炭素数5〜22の第2のカルボン酸と混合し、金属微粒子の表面を覆う第1のカルボン酸を第2のカルボン酸に置換する第2工程と、
    表面が第2のカルボン酸と第1のアミンで覆われた金属微粒子を、前記第1のアミンとは異なる、直鎖又は分岐構造を有する炭素数4〜22の1級アミンである第2のアミンと混合し、表面が第2のカルボン酸及び第2のアミンで覆われた金属微粒子を得る第3工程と、を含むことを特徴とする金属微粒子の製造方法。
  2. 前記第2のカルボン酸が、ネオペンタン酸、ネオヘキサン酸、ネオへプタン酸、ネオオクタン酸、ネオノナン酸、ネオデカン酸、ネオトリデカン酸、ネオドデカン酸から選択された少なくとも1つであることを特徴とする請求項1記載の金属微粒子の製造方法。
  3. 前記第1のカルボン酸が、ヘキサン酸、2メチルヘプタン酸、オクタン酸、2エチルへキサン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、2へキシルデカン酸、ステアリン酸、オレイン酸、イソステアリン酸から選択された少なくとも1つであることを特徴とする請求項1または2記載の金属微粒子の製造方法。
  4. 前記第1のアミンが、へキシルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、テトラデシルアミン及びオレイルアミンから選択された少なくとも1つであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の金属微粒子の製造方法。
  5. 前記第2のアミンが、へキシルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、テトラデシルアミン及びオレイルアミンから選択された少なくとも1つであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の金属微粒子の製造方法。
  6. 前記金属が、Ag、Au、Ni、Pd、Rh、Ru、In、Sn、Cu及びPtから選択された少なくとも1種の金属又はこれらの金属の少なくとも2種からなる合金であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の金属微粒子の製造方法。
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