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JP5883306B2 - 剥離ライナー - Google Patents
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JP5883306B2 - 剥離ライナー - Google Patents

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Description

本発明は、剥離ライナー、より詳しくは、耐熱性に優れるとともに、耐引裂き性に優れ、製造時や加工時に破断や裂けが生じない、ポリ乳酸系フィルム又はシートを基材とする剥離ライナー(本明細書では「セパレータ」と称する場合がある)に関する。この剥離ライナーは、粘着テープ、粘着シート、ラベルなどの粘着剤層面を保護するために用いられる。
ポリ乳酸は植物由来のバイオマスポリマーであり、石油由来のポリマーに替わる樹脂として注目されている。ポリ乳酸は高弾性、高強度のポリマーであるが、靭性に乏しく、耐衝撃性、耐引裂き性、柔軟性が低いことが課題となっている。また、結晶化速度が遅いため、通常の結晶成長ではほとんど結晶成長せず、融点が170℃程度であるにも関わらず、ガラス転移温度の60℃以上の温度で熱変形を起こし、フィルム形状を保持できないことも重要な課題である。そこで、従来、ポリ乳酸系樹脂フィルムの耐熱性を改善するため、いくつかの方法が提案されている。
これらの対策として、ポリ乳酸に軟質かつ耐熱性を有するポリマーをブレンドすることで改善する方法が提案されている(特許文献1)。またポリ乳酸に脂肪族ポリエステル/コアシェル型ゴムを添加し、一軸、あるいは二軸伸長させる方法が提案されている(特許文献2)。いずれの方法も耐衝撃性/耐熱性の両立は可能であるが、石油由来のポリマー、添加剤を多量にブレンドしているために、植物由来成分比率(バイオマス度)が著しく低下するという問題があった。
また、ポリ乳酸フィルムに柔軟性および耐熱性を付与させる技術として、ポリ乳酸と可塑剤と結晶核剤とを含む樹脂組成物を、フィルム成形後に設けられた熱処理工程で、結晶化を促進することが提案されている(特許文献3)。しかし、この方法では、可塑剤を添加させるためにブリードアウトが生じる恐れがあり、また、柔軟性の改良効果は得られるものの、耐引裂性の改良効果は乏しいという問題があった。また、このようなフィルム又はシートを剥離ライナーないしセパレータの基材として用いると、セパレータの製造時や加工時にセパレータに破断や裂けが生じる場合があるという問題があった。
特開2006−70224号公報 特開2009−173715号公報 特許4699180号公報
従って、本発明の目的は、セパレータの製造時や加工時、ロール状に巻回する際等に破断や裂けが無い引裂強度を有し、しかも、100℃を超える高温においても、融解や変形が無いポリ乳酸系フィルム又はシートを基材とするセパレータを提供することにある。
本発明者らは、上記の目的を達成するため鋭意検討した結果、セパレータ基材として、引裂強度が一定値以上であり、且つ、加熱寸法変化率(%)及び加熱荷重寸法変化率(%)が一定値以内であるポリ乳酸系樹脂フィルム又はシートを用いることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、
セパレータ基材の少なくとも一方の面に剥離剤処理層を有するセパレータであって、
該セパレータ基材が、
ポリ乳酸(A)を含有し、
引裂強度(JIS K7128−3 プラスチック−フィルム及びシートの引裂強さ試験方法−第3部:直角形引裂法に準拠)が、少なくとも流れ方向(MD方向)に引裂いたときに100N/mm以上であり、
100℃の雰囲気下で1分間保存した時の下記式(1)
加熱寸法変化率(%)=(L2−L1)/L1×100 (1)
(式中、L1は試験前の標線長さ、L2は試験後の標線長さを示す)で求められる加熱寸法変化率が、流れ方向(MD方向)、幅方向(TD方向)ともに±3%以内であり、且つ
100℃の雰囲気下で、流れ方向(MD方向)に1mm2あたり300gの荷重をかけ、1分間保存した時の下記式(2)
加熱荷重寸法変化率(%)=(L4−L3)/L3×100 (2)
(式中、L3は試験前の標線長さ、L4は試験後の標線長さを示す)で求められる加熱荷重寸法変化率が、流れ方向(MD方向)に±3%以内である、
ポリ乳酸系フィルム又はシートで構成されていることを特徴とするセパレータを提供する。
該セパレータ基材を構成するポリ乳酸系フィルム又はシートは、さらに、改質剤(E)を含有していてもよい。また、該セパレータ基材を構成するポリ乳酸系フィルム又はシートは、該ポリ乳酸(A)に対して、該改質剤(E)として(a)ポリグリセリン脂肪酸エステル及び/又はポリグリセリン縮合ヒドロキシ脂肪酸エステルを、ポリ乳酸(A)と(a)ポリグリセリン脂肪酸エステル及び/又はポリグリセリン縮合ヒドロキシ脂肪酸エステルとの重量比率が99:1〜80:20(前者:後者((a)の総量))となるように含有していてもよい。
該セパレータ基材を構成するポリ乳酸系フィルム又はシートは、該ポリ乳酸(A)に対して、該改質剤(E)として(b)粒子状のゴムの外部にグラフト層を持つコアシェル構造重合体を、ポリ乳酸(A)と(b)粒子状のゴムの外部にグラフト層を持つコアシェル構造重合体との重量比率が99:1〜80:20(前者:後者)となるように含有していてもよい。
該セパレータ基材を構成するポリ乳酸系フィルム又はシートは、該ポリ乳酸(A)に対して、該改質剤(E)として(c)軟質脂肪族系ポリエステルを、ポリ乳酸(A)と(c)軟質脂肪族系ポリエステルとの重量比率が95:5〜60:40(前者:後者)となるように含有していてもよい。
該セパレータ基材を構成するポリ乳酸系フィルム又はシートは、さらに、ポリ乳酸(A)(但し、改質剤(E)が含まれる場合は、ポリ乳酸(A)及び改質剤(E)からなる組成物)100重量部に対し、酸価が10〜70mgKOH/g、重量平均分子量が10000〜80000である、酸性官能基変性オレフィン系ポリマー(B)を0.1〜10重量部含んでいてもよい。該酸性官能基変性オレフィン系ポリマー(B)の酸性官能基は、酸無水物基であってもよい。
該セパレータ基材を構成するポリ乳酸系フィルム又はシートは、さらに、ポリ乳酸(A)(但し、改質剤(E)が含まれる場合は、ポリ乳酸(A)及び改質剤(E)からなる組成物)100重量部に対し、フッ素系ポリマー(C)を0.5〜15重量部含んでいてもよい。フッ素系ポリマー(C)はテトラフルオロエチレン系ポリマーであってもよい。
該セパレータ基材を構成するポリ乳酸系フィルム又はシートは、さらに、ポリ乳酸(A)(但し、改質剤(E)が含まれる場合は、ポリ乳酸(A)及び改質剤(E)からなる組成物)100重量部に対し、結晶化促進剤(D)を0.1〜15重量部含んでいてもよい。
該セパレータ基材を構成するポリ乳酸系フィルム又はシートは、溶融成膜法、例えば、カレンダー法により成膜されたフィルム又はシートであってもよい。
また、本発明は、
溶融成膜法を用いてポリ乳酸(A)を含む樹脂組成物を成膜して得られるポリ乳酸系フィルム又はシートをセパレータ基材とする、セパレータの製造方法であって、
樹脂組成物を溶融成膜する溶融成膜工程と、
該溶融成膜工程後に、該樹脂組成物を冷却固化して、フィルム又はシートを得る冷却固化工程と、
該冷却固化工程後に、該フィルム又はシートを加熱し、該フィルム又はシートの結晶化を促進する結晶化促進工程とを有し、
該溶融成膜工程における樹脂温度が、該樹脂組成物の昇温過程での融解温度(Tm)−15℃から(Tm)+15℃の範囲内であり、
該結晶化促進工程の少なくとも一部において、樹脂組成物の昇温過程での結晶化温度(Tc)+10℃から(Tc)+50℃の温度範囲内で、該フィルム又はシートの結晶化が促進されることを特徴とする、セパレータの製造方法を提供する。
該セパレータの製造方法は、
該溶融成膜工程後、且つ、該冷却固化工程前に、残留応力緩和工程を有し、
該残留応力緩和工程において、該樹脂組成物を(Tm)−70℃から(Tm)−20℃の温度範囲内に保持してもよい。
該樹脂組成物は、さらに、改質剤(E)を含有していてもよい。
該樹脂組成物は、該ポリ乳酸(A)に対して、該改質剤(E)として(a)ポリグリセリン脂肪酸エステル及び/又はポリグリセリン縮合ヒドロキシ脂肪酸エステルを、ポリ乳酸(A)と(a)ポリグリセリン脂肪酸エステル及び/又はポリグリセリン縮合ヒドロキシ脂肪酸エステルとの重量比率が99:1〜80:20(前者:後者((a)の総量))となるように含有していてもよい。
該樹脂組成物は、該ポリ乳酸(A)に対して、該改質剤(E)として(b)粒子状のゴムの外部にグラフト層を持つコアシェル構造重合体を、ポリ乳酸(A)と(b)粒子状のゴムの外部にグラフト層を持つコアシェル構造重合体との重量比率が99:1〜80:20(前者:後者)となるように含有していてもよい。
該樹脂組成物は、該ポリ乳酸(A)に対して、該改質剤(E)として(c)軟質脂肪族系ポリエステルを、ポリ乳酸(A)と(c)軟質脂肪族系ポリエステルとの重量比率が95:5〜60:40(前者:後者)となるように含有していてもよい。
該樹脂組成物は、さらに、ポリ乳酸(A)(但し、改質剤(E)が含まれる場合は、ポリ乳酸(A)及び改質剤(E)からなる組成物)100重量部に対し、酸価が10〜70mgKOH/g、重量平均分子量が10000〜80000である、酸性官能基変性オレフィン系ポリマー(B)を0.1〜10重量部含んでいてもよい。該酸性官能基変性オレフィン系ポリマー(B)の酸性官能基は、酸無水物基であってもよい。
該樹脂組成物は、さらに、ポリ乳酸(A)(但し、改質剤(E)が含まれる場合は、ポリ乳酸(A)及び改質剤(E)からなる組成物)100重量部に対し、フッ素系ポリマー(C)を0.5〜15重量部含んでいてもよい。フッ素系ポリマー(C)はテトラフルオロエチレン系ポリマーであってもよい。
該樹脂組成物は、さらに、ポリ乳酸(A)(但し、改質剤(E)が含まれる場合は、ポリ乳酸(A)及び改質剤(E)からなる組成物)100重量部に対し、結晶化促進剤(D)を0.1〜15重量部含んでいてもよい。
該溶融成膜法は、カレンダー法であってもよい。
本発明のセパレータは、100℃を超える高温においても、基材の融解や変形が無く、また、基材本来の剛性を保持しつつ、セパレータの製造時や加工時、ロール状に巻回する際等に、張力がかかっても、破断や裂けが生じないという特性を有する。
本発明のセパレータのセパレータ基材(ポリ乳酸系フィルム又シート)を製造する際に用いられるカレンダー成膜機の一例を示す模式図である。 本発明のセパレータのセパレータ基材(ポリ乳酸系フィルム又シート)を製造する際に用いられるポリッシング成膜機の一例を示す模式図である。
[セパレータ基材]
本発明のセパレータの基材(セパレータ基材)として用いられるポリ乳酸系フィルム又はシートは、ポリ乳酸(A)を含む樹脂フィルム又はシートである。ポリ乳酸の原料モノマーである乳酸は、不斉炭素原子を有するため、光学異性体のL体とD体が存在する。本発明で使用するポリ乳酸(A)は、L体の乳酸を主成分とした重合体である。製造時に不純物として混入するD体の乳酸の含有量が少ないものほど、高結晶性で高融点の重合体となるため、できるだけL体純度の高いものを用いるのが好ましく、L体純度が95%以上のものを用いるのがより好ましい。また、ポリ乳酸(A)は、乳酸以外の他の共重合成分を含んでいてもよい。
前記他の共重合成分としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、グリセリン、ペンタエリスリトール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールAなどのポリオール化合物;シュウ酸、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジオン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビス(p−カルボキシフェニル)メタン、アントラセンジカルボン酸、4,4′−ジフェニルエーテルジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−テトラブチルホスホニウムイソフタル酸などの多価カルボン酸;グリコール酸、ヒドロキシプロピオン酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシ安息香酸などのヒドロキシカルボン酸;プロピオラクトン、バレロラクトン、カプロラクトン、ウンデカラクトン、1,5−オキセパン−2−オンなどのラクトンが挙げられる。これらの共重合成分は、ポリ乳酸(A)を構成する全モノマー成分に対し、0〜30モル%であることが好ましく、さらに好ましくは0〜10モル%である。
ポリ乳酸(A)の重量平均分子量は、例えば、1万〜40万、好ましくは5万〜30万、さらに好ましくは8万〜20万である。また、ポリ乳酸(A)の190℃、荷重21.2Nにおけるメルトフローレート[JIS K−7210(試験条件4)]は、例えば、0.1〜50g/10分、好ましくは0.2〜20g/10分、さらに好ましくは0.5〜10g/10分、特に好ましくは1〜7g/10分である。前記メルトフローレートの値が高すぎると、成膜して得られるフィルム又はシートの機械的特性や耐熱性が劣る場合がある。また、前記メルトフローレートの値が低すぎると、成膜時の負荷が高くなりすぎる場合がある。
なお、本発明において、「重量平均分子量」とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定されるもの(ポリスチレン換算)をいう。GPCの測定条件は下記の通りである。
カラム:TSKgel SuperHZM−H/HZ2000/HZ1000
カラムサイズ:4.6mmI.D.×150mm
溶離液:クロロホルム
流量:0.3ml/min
検出器:RI
カラム温度:40℃
注入量:10μl
ポリ乳酸の製造方法としては特に制限はないが、代表的な製造方法として、ラクチド法、直接重合法などが挙げられる。ラクチド法は、乳酸を加熱脱水縮合して低分子量のポリ乳酸とし、これを減圧下加熱分解することにより乳酸の環状二量体であるラクチドを得、このラクチドをオクタン酸スズ(II)等の金属塩触媒存在下で開環重合することにより、高分子量のポリ乳酸を得る方法である。また、直接重合法は、乳酸をジフェニルエーテル等の溶媒中で減圧下に加熱し、加水分解を抑制するため水分を除去しながら重合させることにより直接的にポリ乳酸を得る方法である。
ポリ乳酸(A)としては、市販品を使用できる。市販品として、例えば、商品名「レイシアH−400」、「レイシアH−100」(以上、三井化学社製)、商品名「テラマックTP−4000」、「テラマックTE−4000」(以上、ユニチカ社製)等が挙げられる。もちろん、ポリ乳酸(A)としては、公知乃至慣用の重合方法(例えば、乳化重合法、溶液重合法等)により製造したものを用いてもよい。
ポリ乳酸系フィルム又はシートにおけるポリ乳酸(A)の含有量は、バイオマス度を高める観点から、通常、60重量%以上であり、好ましくは70重量%以上、さらに好ましくは80重量%以上、特に好ましくは85重量%以上である。また、前記ポリ乳酸(A)の含有量の上限は、例えば、97重量%、好ましくは95重量%、さらに好ましくは93重量%である。ここでバイオマス度とは、フィルムまたはシートの乾燥重量に対する使用したバイオマスの乾燥重量の割合のことである。また、バイオマスとは再生可能な、生物由来の有機性資源で化石資源を除いたものである。
本発明において、セパレータ基材を構成するポリ乳酸系フィルム又はシートは、酸性官能基変性オレフィン系ポリマー(B)を含んでいてもよい。ポリ乳酸(A)に酸性官能基変性オレフィン系ポリマー(B)を配合することにより、ロール滑性を付与できる。このため、ポリ乳酸系フィルム又はシートをカレンダー成膜機等により溶融状態にし、金属ロール間の空隙を通過させて成膜させる際に、フィルム又はシートが金属ロールの表面から容易に剥離し、円滑に成膜することができる。酸性官能基変性オレフィン系ポリマー(B)は1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
酸性官能基変性オレフィン系ポリマー(B)の酸性官能基としては、例えば、カルボキシル基又はその誘導体基等が挙げられる。カルボキシル基の誘導体基とは、カルボキシル基から化学的に誘導されるものであって、例えば、カルボン酸の酸無水物基、エステル基、アミド基、イミド基、シアノ基等が挙げられる。これらのなかでも、カルボン酸無水物基が好ましい。
酸性官能基変性オレフィン系ポリマー(B)は、例えば、未変性ポリオレフィン系重合体に、上記の「酸性官能基」を含有する不飽和化合物(以下、「酸性官能基含有不飽和化合物」と略記する場合がある)をグラフトして得られる。
未変性ポリオレフィン系重合体としては、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリ−4−メチルペンテン−1、エチレンとα−オレフィンの共重合体、プロピレンとα−オレフィンの共重合体等のポリオレフィン類又はそれらのオリゴマー類;エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴム、ブチルゴム、ブタジエンゴム、低結晶性エチレン−プロピレン共重合体、プロピレン−ブテン共重合体、エチレン−ビニルエステル共重合体、エチレン−メチル(メタ)アクリレート共重合体、エチレン−エチル(メタ)アクリレート共重合体、エチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリプロピレンとエチレン−プロピレンゴムのブレンド等のポリオレフィン系エラストマー類;およびこれらの二種以上の混和物等が挙げられる。これらのなかでも、好ましくは、ポリプロピレン、プロピレンとα−オレフィンの共重合体、低密度ポリエチレン及びそれらのオリゴマー類であり、特に好ましくはポリプロピレン、プロピレンとα−オレフィンの共重合体及びそれらのオリゴマー類である。上記「オリゴマー類」としては、対応するポリマーから、熱分解による分子量減成法によって得られるもの等が挙げられる。オリゴマー類は、重合法によっても得ることができる。
酸性官能基含有不飽和化合物としては、例えば、カルボキシル基含有不飽和化合物、カルボキシル基の誘導体基含有不飽和化合物等が挙げられる。カルボキシル基含有不飽和化合物としては、例えば、マレイン酸、イタコン酸、クロロイタコン酸、クロロマレイン酸、シトラコン酸、(メタ)アクリル酸等が挙げられる。また、カルボキシル基の誘導体基含有不飽和化合物としては、例えば、無水マレイン酸、無水イタコン酸、クロロ無水イタコン酸、クロロ無水マレイン酸、無水シトラコン酸等のカルボン酸無水物基含有不飽和化合物;メチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリルアミド、マレイミド、(メタ)アクリロニトリル等が挙げられる。これらのなかでも、カルボキシル基含有不飽和化合物、カルボン酸無水物基含有不飽和化合物が好ましく、さらに好ましくは酸無水物基含有不飽和化合物であり、特に好ましくは無水マレイン酸である。
酸性官能基変性オレフィン系ポリマー(B)の重量平均分子量は、10000〜80000であることが重要であり、好ましくは15000〜70000、より好ましくは20000〜60000である。この重量平均分子量が10000未満では、フィルム又はシート成形後のブリードアウトの原因になりやすく、80000を超えると、ロール混練中にポリ乳酸(A)と分離する場合が生じる。ここで、ブリードアウトとはフィルム又はシート成形後に、時間経過により低分子量成分がフィルム又はシート表面に出てくる現象をいう。
酸性官能基変性オレフィン系ポリマー(B)中の酸性官能基は、オレフィン系ポリマーのどの位置に結合していてもよく、その変性割合は特に制限されないが、酸性官能基変性オレフィン系ポリマー(B)の酸価は、通常10〜70mgKOH/gであり、好ましくは20〜60mgKOH/gである。該酸価が10mgKOH/g未満では、ロール滑性の向上効果が得られず、70mgKOH/gを超えると、ロールへのプレートアウトを引き起こしやすくなる。ここで、ロールへのプレートアウトとは、金属ロールを用いて樹脂組成物を溶融成膜する際に、樹脂組成物に配合される成分又はその酸化、分解、化合若しくは劣化した生成物等が金属ロールの表面に付着又は堆積することをいう。なお、本発明において、「酸価」とは、JIS K0070−1992の中和滴定法に準拠して測定されるものをいう。
酸性官能基変性オレフィン系ポリマー(B)は、未変性ポリオレフィン系重合体と酸性官能基含有不飽和化合物とを有機過酸化物の存在下で反応させることによって得られる。有機過酸化物としては、一般にラジカル重合において開始剤として用いられているものが使用できる。かかる反応は、溶液法、溶融法のいずれの方法によっても行うことができる。溶液法では、未変性ポリオレフィン系重合体及び酸性官能基含有不飽和化合物の混合物を有機過酸化物とともに有機溶媒に溶解し、加熱することにより、酸性官能基変性オレフィン系ポリマー(B)を得ることができる。反応温度は、好ましくは110〜170℃程度である。
溶融法では、未変性ポリオレフィン系重合体及び酸性官能基含有不飽和化合物の混合物を有機過酸化物と混合し、溶融混合して反応させることによって、酸性官能基変性オレフィン系ポリマー(B)を得ることができる。溶融混合は、押し出し機、プラベンダー、ニーダー、バンバリーミキサー等の各種混合機で行うことができ、混練温度は通常、未変性ポリオレフィン系重合体の融点〜300℃の温度範囲である。
酸性官能基変性オレフィン系ポリマー(B)は、好ましくは無水マレイン酸変性ポリプロピレンである。酸性官能基変性オレフィン系ポリマー(B)としては、市販品を用いることができ、例えば、三洋化成工業社製の商品名「ユーメックス1010」(無水マレイン酸基変性ポリプロピレン、酸価:52mgKOH/g、重量平均分子量:32000、変性割合:10重量%)、「ユーメックス1001」(無水マレイン酸基変性ポリプロピレン、酸価:26mgKOH/g、重量平均分子量:49000、変性割合:5重量%)、「ユーメックス2000」(無水マレイン酸基含有変性ポリエチレン、酸価:30mgKOH/g、重量平均分子量:20000、変性割合:5重量%)等が挙げられる。
ポリ乳酸系フィルム又はシートにおける酸性官能基変性オレフィン系ポリマー(B)の含有量は特に制限されないが、例えば、ポリ乳酸(A)(但し、改質剤(E)が含まれる場合は、ポリ乳酸(A)及び改質剤(E)からなる組成物)100重量部に対し、酸価が10〜70mgKOH/g、重量平均分子量が10000〜80000である、酸性官能基変性オレフィン系ポリマー(B)を0.1〜10重量部含んでいてもよく、ロールへのプレートアウトがないロール滑性効果の持続性とバイオマス度維持の観点から、好ましくは0.1〜5重量部、特に好ましくは0.3〜3重量部である。酸性官能基変性オレフィン系ポリマー(B)の含有量が0.1重量部未満では、ロール滑性向上効果が得がたく、10重量部を超えると、添加量に応じた効果が得られず、またバイオマス度の低下が問題となる。
本発明において、セパレータ基材を構成するポリ乳酸系フィルム又はシートには、上記の成分のほか、フッ素系ポリマー(C)が用いられていてもよい。フッ素系ポリマー(C)は、例えば、溶融張力調整剤や、結晶化促進剤として利用される。フッ素系ポリマー(C)としては、例えば、テトラフルオロエチレン系ポリマー、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニルなどが挙げられる。フッ素系ポリマー(C)は1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。フッ素系ポリマー(C)としては、特に、テトラフルオロエチレン系ポリマー(C′)を好適に用いることができる。
前記テトラフルオロエチレン系ポリマー(C′)はテトラフルオロエチレンの単独重合体であってもよく、テトラフルオロエチレンと他の単量体との共重合体であってもよい。テトラフルオロエチレン系ポリマー(C′)として、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、パーフルオロアルコキシアルカン(テトラフルオロエチレンとパーフルオロアルキルビニルエーテルとの共重合体)、パーフルオロエチレンプロペンコポリマー(テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体)、エチレン−テトラフルオロエチレンコポリマー、テトラフルオロエチレン−パーフルオロジオキソール共重合体等が挙げられる。これらの中でも、ポリテトラフルオロエチレンが好ましい。テトラフルオロエチレン系ポリマー(C′)は1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
フッ素系ポリマー(C)をポリ乳酸(A)含有樹脂組成物に配合すると、溶融張力が向上するとともに、溶融粘度も上昇するので、例えばカレンダーロールを用いて成膜する場合において、成膜された樹脂組成物がロールから離れる際の伸びや剥離不良の発生を防止できる。また、特に、テトラフルオロエチレン系ポリマー(C′)などのフッ素系ポリマーは、ポリ乳酸(A)の結晶核剤としての働きも持ち合わせることから、成膜直後の樹脂組成物の温度を結晶化温度付近に設定することで、ポリ乳酸(A)の結晶化をさらに促進させることができる。このように、フッ素系ポリマー(C)[特にテトラフルオロエチレン系ポリマー(C′)]の配合によってポリ乳酸(A)の結晶化を促進でき、それによりポリ乳酸系フィルム又はシートのΔHc′を高めることができる。
テトラフルオロエチレン系ポリマー(C′)のポリ乳酸(A)に対する結晶核剤としての働きは、テトラフルオロエチレン系ポリマー(C′)の結晶構造に依存していると考えられる。広角X線回折を行ったところ、ポリ乳酸の結晶格子の面間隔が4.8オングストロームであるのに対して、テトラフルオロエチレン系ポリマー(C′)の面間隔は4.9オングストロームであった。このことより、テトラフルオロエチレン系ポリマー(C′)がエピタキシー的作用を有することにより、ポリ乳酸(A)の結晶核剤として働きうるものと考えられる。ここで、エピタキシー的作用とは、テトラフルオロエチレン系ポリマー(C′)の表面でポリ乳酸(A)が結晶成長し、テトラフルオロエチレン系ポリマー(C′)の結晶表面の結晶面にそろえてポリ乳酸(A)が配列する成長の様式をいう。
テトラフルオロエチレン系ポリマー(C′)の面間隔は、テトラフルオロエチレンと他の単量体との共重合体であっても、テトラフルオロエチレン部の結晶形態に支配されるため、面間隔はいずれも同じである。従って、ポリテトラフルオロエチレンの結晶形態が維持でき、物性が大きく変わらない程度であれば、共重合体の他の単量体成分の量は特に限定されないが、通常、テトラフルオロエチレン系ポリマー(C′)中の他の単量体成分の割合は5重量%以下であることが望ましい。
テトラフルオロエチレン系ポリマー(C′)としては、いかなる重合方法で得られたものであってもよいが、乳化重合で得られたものが特に好ましい。乳化重合で得られたテトラフルオロエチレン系ポリマーは、繊維化しやすいため、ポリ乳酸(A)中でネットワーク構造をとりやすくなり、ポリ乳酸(A)を含む樹脂組成物の溶融張力を向上させるのに効果的に作用するものと考えられる。
また、ポリ乳酸(A)中に均一に分散させるために、テトラフルオロエチレン系ポリマー(C′)の粒子を、例えば(メタ)アクリル酸エステル系重合体のようなポリ乳酸(A)との親和性が良好なポリマーで変性したものを用いてもよい。このようなテトラフルオロエチレン系ポリマー(C′)として、アクリル変性ポリテトラフルオロエチレンが挙げられる。
フッ素系ポリマー(C)[テトラフルオロエチレン系ポリマー(C′)等]の重量平均分子量は、特に制限されないが、通常100万〜1000万、好ましくは200万〜800万である。
フッ素系ポリマー(C)[テトラフルオロエチレン系ポリマー(C′)等]としては、市販品を用いてもよい。例えば、ポリテトラフルオロエチレンの市販品として、旭硝子社製の商品名「フルオンCD−014」、「フルオンCD−1」、「フルオンCD−145」等が挙げられる。アクリル変性ポリテトラフルオロエチレンの市販品としては、例えば、三菱レイヨン社製の商品名「メタブレンA−3000」、「メタブレンA−3800」等のメタブレンAシリーズが挙げられる。
ポリ乳酸系フィルム又はシートにおけるフッ素系ポリマー(C)の含有量[特に、テトラフルオロエチレン系ポリマー(C′)の含有量]は、特に制限されないが、例えば、ポリ乳酸(A)(但し、改質剤(E)が含まれる場合は、ポリ乳酸(A)及び改質剤(E)からなる組成物)100重量部に対し、フッ素系ポリマー(C)を0.5〜15重量部含んでいてもよく、溶融張力向上効果とバイオマス度の維持、及び良好な面状態を得るという観点から、好ましくは、0.7〜10重量部、さらに好ましくは1〜5重量部である。上記フッ素系ポリマー(C)の含有量[特に、テトラフルオロエチレン系ポリマー(C′)の含有量]が0.5重量部未満では、溶融張力向上の効果が得がたく、15重量部を超えると、添加量に応じた効果が得られず、またバイオマス度の低下が問題となる。
ポリ乳酸形フィルム又はシートを製造する具体的方法としては、特に制限されないが、例えば、(1)ポリ乳酸(A)を含む樹脂組成物をカレンダー成膜法等の溶融成膜法を用いて成膜する、(2)ポリ乳酸(A)に結晶化促進剤を配合した樹脂組成物を成膜する、(3)これらの組合せなどが挙げられる。溶融成膜法については後述する。
前記結晶化促進剤としては、上記フッ素系ポリマー(C)のうち結晶化促進剤として利用可能なフッ素系ポリマー[例えば、テトラフルオロエチレン系ポリマー(C′)など]以外のものを用いることもできる。このような結晶化促進剤[結晶化促進剤(D)と称する場合がある]としては、結晶化促進の効果が認められるものであれば、特に限定されないが、ポリ乳酸(A)の結晶格子の面間隔に近い面間隔を持つ結晶構造を有する物質を選択することが望ましい。結晶格子の面間隔がポリ乳酸(A)の結晶格子の面間隔に近い物質ほど、ポリ乳酸(A)の結晶核剤としての効果が高いからである。そのような結晶化促進剤(D)としては、例えば、有機系物質であるポリリン酸メラミン、メラミンシアヌレート、フェニルホスホン酸亜鉛、フェニルホスホン酸カルシウム、フェニルホスホン酸マグネシウム、無機系物質のタルク、クレー等が挙げられる。なかでも、最も面間隔がポリ乳酸(A)の面間隔に近似し、良好な結晶化促進効果が得られるフェニルホスホン酸亜鉛が好ましい。結晶化促進剤(D)は1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
結晶化促進剤(D)としては、市販品を用いることができる。例えば、フェニルホスホン酸亜鉛の市販品として、日産化学社製の商品名「エコプロモート」等が挙げられる。
ポリ乳酸系フィルム又はシートにおける結晶化促進剤(D)の含有量は、特に制限されないが、例えば、ポリ乳酸(A)(但し、改質剤(E)が含まれる場合は、ポリ乳酸(A)及び改質剤(E)からなる組成物)100重量部に対し、結晶化促進剤(D)を0.1〜15重量部、より良好な結晶化促進効果とバイオマス度維持の観点から、好ましくは0.3〜10重量部である。上記結晶化促進剤(D)の含有量が、0.1重量部未満では、結晶化促進の効果が得がたく、15重量部を超えると、添加量に応じた効果が得られず、またバイオマス度の低下が問題となる。なお、フッ素系ポリマー(C)としてテトラフルオロエチレン系ポリマー(C′)をポリ乳酸(A)(但し、改質剤(E)が含まれる場合は、ポリ乳酸(A)及び改質剤(E)からなる組成物)100重量部に対して0.1〜15重量部の割合で用いる場合、結晶化促進剤(D)の含有量は、ポリ乳酸(A)(但し、改質剤(E)が含まれる場合は、ポリ乳酸(A)及び改質剤(E)からなる組成物)100重量部に対して、より良好な結晶化促進効果とバイオマス度維持の観点から、好ましくは0.1〜5重量部、より好ましくは0.3〜3重量部である。この場合、上記結晶化促進剤(D)の含有量が、0.1重量部未満では、結晶化促進の効果が得がたく、5重量部を超えると、添加量に応じた効果が得られず、またバイオマス度の低下が問題となる。
本発明において、ポリ乳酸系フィルム又はシートは、引裂強度が、少なくとも流れ方向(MD方向)に引裂いたときに100N/mm以上であり、好ましくは、150N/mm以上である。このような引裂強度を有するポリ乳酸系フィルム又はシートをセパレータの基材として用いると、該セパレータを製造する際や、該セパレータを加工する際に、張力がかかる工程があっても、破断や裂けが生じない。また、ロール状に巻回したり、打ち抜き加工等の加工を施す際にも、破断や裂けが生じない。
本発明において、前記引裂強度は、JIS K7128−3 プラスチック−フィルム及びシートの引裂強さ試験方法−第3部:直角形引裂法に準拠して測定できる。引裂強度が、少なくとも流れ方向(MD方向)に引裂いたときに100N/mm以上であるポリ乳酸系フィルム又はシートは、前記のように、該フィルム又はシートの製造時だけでなく、ロール状巻回時、加工時等においても破断や裂けが生じないので、種々の加工が可能となり、利用範囲が飛躍的に拡大する。
本発明において、ポリ乳酸系フィルム又はシートは、加熱寸法変化率が、流れ方向(MD方向)、幅方向(TD方向)ともに、±3%以内であり、好ましくは、±2%以内であり、±1%以内である。このような加熱寸法変化率を有するポリ乳酸系フィルム又はシートをセパレータの基材として用いると、例えば100℃を超えるような高温条件下においても、融解、変形することが無くなり、耐熱性が必要な用途でも充分に使用可能となる。
本発明において、前記加熱寸法変化率は、100℃の雰囲気下で1分間保存した時の下記式(1)
加熱寸法変化率(%)=(L2−L1)/L1×100 (1)
(式中、L1は試験前の標線長さ、L2は試験後の標線長さを示す)で求められる。
本発明において、ポリ乳酸系フィルム又はシートは、加熱荷重寸法変化率が、流れ方向(MD方向)、幅方向(TD方向)ともに、±3%以内であり、好ましくは、±2%以内であり、±1%以内である。このような加熱荷重寸法変化率を有するポリ乳酸系フィルム又はシートをセパレータの基材として用いると、例えば100℃を超えるような高温条件下においても、融解、変形することが無くなり、耐熱性が必要な用途でも充分に使用可能となる。
本発明において、前記加熱荷重寸法変化率は、100℃の雰囲気下で、流れ方向(MD方向)に1mm2あたり300gの荷重をかけ、1分間保存した時の下記式(2)
加熱荷重寸法変化率(%)=(L4−L3)/L3×100 (2)
(式中、L3は試験前の標線長さ、L4は試験後の標線長さを示す)で求められる。
本発明において、ポリ乳酸系フィルム又はシートの物性をさらに向上させる具体的方法としては、例えば、ポリ乳酸(A)に改質剤(E)を配合した樹脂組成物を成膜する方法が挙げられる。
改質剤(E)としては、例えば、(a)ポリグリセリン脂肪酸エステル又はポリグリセリン縮合ヒドロキシ脂肪酸エステル、(b)粒子状のゴムの外部にグラフト層を持つコアシェル構造重合体、(c)軟質脂肪族系ポリエステル等が挙げられる。これらは、それぞれ、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明において、ポリ乳酸系フィルム又はシートは、該ポリ乳酸(A)に対して、改質剤(E)として(a)ポリグリセリン脂肪酸エステル及び/又はポリグリセリン縮合ヒドロキシ脂肪酸エステルを、ポリ乳酸(A)と(a)ポリグリセリン脂肪酸エステル及び/又はポリグリセリン縮合ヒドロキシ脂肪酸エステルとの重量比率が99:1〜80:20(前者:後者((a)の総量))となるように含有することが好ましく、95:5〜90:10(前者:後者((a)の総量))となるように含有することがさらに好ましい。ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合ヒドロキシ脂肪酸エステルは、それぞれ、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
(a)ポリグリセリン脂肪酸エステル及び/又はポリグリセリン縮合ヒドロキシ脂肪酸エステルの量が少なすぎると、物性改質効果が充分ではなくなる。一方で、(a)ポリグリセリン脂肪酸エステル及び/又はポリグリセリン縮合ヒドロキシ脂肪酸エステルの量が多すぎると、結晶化度、結晶化速度が低下しやすくなり、(a)ポリグリセリン脂肪酸エステル及び/又はポリグリセリン縮合ヒドロキシ脂肪酸エステルがブリードアウトする場合がある。(a)ポリグリセリン脂肪酸エステル又はポリグリセリン縮合ヒドロキシ脂肪酸エステルを上記の範囲で含有させたポリ乳酸系フィルム又はシートをセパレータの基材として用いると、耐熱性を低下させることなく、耐引裂き性を向上できるという効果を生じる。
前記(a)ポリグリセリン脂肪酸エステル又はポリグリセリン縮合ヒドロキシ脂肪酸エステルにおいて、ポリグリセリン脂肪酸エステルは、ポリグリセリンと脂肪酸とを反応して得られるエステルである。ポリグリセリン脂肪酸エステルの構成成分であるポリグリセリンとしては、例えば、ジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン、ペンタグリセリン、ヘキサグリセリン、ヘプタグリセリン、オクタグリセリン、ノナグリセリン、デカグリセリン、ドデカグリセリン等が挙げられる。これらは1種単独で又は2種以上の混合物として使用される。ポリグリセリンの平均重合度は、2〜10が好ましい。
ポリグリセリン脂肪酸エステルのもう一方の構成成分である脂肪酸としては、例えば、炭素数12以上の脂肪酸が用いられる。脂肪酸の具体例として、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エイコサジエン酸、アラキドン酸、ベヘン酸、エルカ酸、リシノレイン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、水添ヒマシ油脂肪酸等が挙げられる。これらは1種単独で又は2種以上の混合物として使用される。
ポリグリセリン縮合ヒドロキシ脂肪酸エステルは、ポリグリセリンと縮合ヒドロキシ脂肪酸とを反応して得られるエステルである。ポリグリセリン縮合ヒドロキシ脂肪酸エステルの構成成分であるポリグリセリンとしては、前記ポリグリセリン脂肪酸エステルの構成成分として例示したものが挙げられる。
ポリグリセリン縮合ヒドロキシ脂肪酸エステルのもう一方の構成成分である縮合ヒドロキシ脂肪酸はヒドロキシ脂肪酸の縮合体である。前記ヒドロキシ脂肪酸としては、分子内に1以上の水酸基を有する脂肪酸であればよく、例えば、リシノレイン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、水添ヒマシ油脂肪酸等が挙げられる。縮合ヒドロキシ酸の縮合度は、例えば、3以上、好ましくは3〜8である。縮合ヒドロキシ脂肪酸は1種単独で又は2種以上を混合して使用される。
ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合ヒドロキシ脂肪酸エステルとしては市販品を使用できる。ポリグリセリン脂肪酸エステルの市販品として、例えば、太陽化学社製の商品名「チラバゾールVR−10」、「チラバゾールVR−2」等のチラバゾールシリーズなどが挙げられる。
本発明において、ポリ乳酸系フィルム又はシートは、該ポリ乳酸(A)に対して、改質剤(E)として(b)粒子状のゴムの外部にグラフト層を持つコアシェル構造重合体を、ポリ乳酸(A)と(b)粒子状のゴムの外部にグラフト層を持つコアシェル構造重合体との重量比率が99:1〜80:20(前者:後者)となるように含有することが好ましく、97:3〜90:10(前者:後者)となるように含有することがさらに好ましい。(b)粒子状のゴムの外部にグラフト層を持つコアシェル構造重合体は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
(b)粒子状のゴムの外部にグラフト層を持つコアシェル構造重合体の量が少なすぎると、物性改質効果が充分ではなくなる。一方で、(b)粒子状のゴムの外部にグラフト層を持つコアシェル構造重合体の量が多すぎると、結晶化度、結晶化速度が低下しやすくなり、(b)粒子状のゴムの外部にグラフト層を持つコアシェル構造重合体がブリードアウトする場合がある。(b)粒子状のゴムの外部にグラフト層を持つコアシェル構造重合体を上記の範囲で含有させたポリ乳酸系フィルム又はシートをセパレータの基材として用いると、耐熱性を低下させることなく、耐引裂き性を向上できるという効果を生じる。
前記(b)粒子状のゴムの外部にグラフト層を持つコアシェル構造重合体において、コアを構成する粒子状のゴムとしては、例えば、アクリル系ゴム、ブタジエン系ゴム、シリコーン・アクリル系複合ゴムなどが挙げられる。また、シェルを構成するポリマーとしては、ポリスチレン等のスチレン系樹脂、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂などが挙げられる。
前記コアシェル構造重合体の平均粒子径(一次粒子の集合体)は、例えば、50〜500μm、好ましくは100〜250μmである。これをポリ乳酸(A)に配合して溶融混練すると、一次粒子となって分散する。一次粒子の平均粒子径は、例えば、0.1〜0.6μmである。
前記コアシェル構造重合体としては市販品を使用できる。前記コアシェル構造重合体の市販品として、例えば、ローム・アンド・ハース・ジャパン社製の商品名「パラロイドEXL2315」等のパラロイドシリーズ(特に、パラロイドEXLシリーズ)、三菱レイヨン社製の商品名「メタブレンS−2001」等のメタブレンSタイプ、「メタブレンW−450A」等のメタブレンWタイプ、「メタブレンC−223A」等のメタブレンCタイプ、「メタブレンE−901」等のメタブレンEタイプなどが挙げられる。
本発明において、ポリ乳酸系フィルム又はシートは、該ポリ乳酸(A)に対して、改質剤(E)として(c)軟質脂肪族系ポリエステルを、ポリ乳酸(A)と(c)軟質脂肪族系ポリエステルとの重量比率が95:5〜60:40(前者:後者)となるように含有することが好ましく、90:10〜80:20(前者:後者)となるように含有することがさらに好ましい。(c)軟質脂肪族系ポリエステルは、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
(c)軟質脂肪族系ポリエステルの量が少なすぎると、物性改質効果が充分ではなくなる。一方で、(c)軟質脂肪族系ポリエステルの量が多すぎると、結晶化度、結晶化速度が低下しやすくなり、(c)軟質脂肪族系ポリエステルがブリードアウトする場合がある。(c)軟質脂肪族系ポリエステルを上記の範囲で含有させたポリ乳酸系フィルム又はシートをセパレータのセパレータ基材として用いると、耐熱性を低下させることなく、耐引裂き性を向上できるという効果を生じる。
(c)軟質脂肪族系ポリエステルには、脂肪族ポリエステル、脂肪族−芳香族共重合ポリエステルが含まれる。(c)軟質脂肪族系ポリエステル(脂肪族ポリエステル、脂肪族−芳香族共重合ポリエステル)としては、ジオール等の多価アルコールとジカルボン酸等の多価カルボン酸とから得られるポリエステルであって、ジオールとして少なくとも脂肪族ジオールが用いられ、ジカルボン酸として少なくとも脂肪族ジカルボン酸が用いられているポリエステル;炭素数4以上の脂肪族ヒドロキシカルボン酸の重合体などが挙げられる。前記脂肪族ジオールとして、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の炭素数2〜12の脂肪族ジール(脂環式ジオールを含む)などが挙げられる。脂肪族ジカルボン酸として、例えば、コハク酸、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の炭素数2〜12の飽和脂肪族ジカルボン酸(脂環式ジカルボン酸を含む)などが挙げられる。前記ジオール成分として少なくとも脂肪族ジオールが用いられ、ジカルボン酸成分として少なくとも脂肪族ジカルボン酸が用いられているポリエステルにおいて、ジオール成分全体に占める脂肪族ジオールの割合は、例えば80重量%以上、好ましくは90重量%以上、さらに好ましくは95重量%以上であり、残余は芳香族ジオール等であってもよい。また、前記ジオール成分として少なくとも脂肪族ジオールが用いられ、ジカルボン酸成分として少なくとも脂肪族ジカルボン酸が用いられているポリエステルにおいて、ジカルボン酸成分全体に占める脂肪族ジカルボン酸の占める割合は、例えば20重量%以上、好ましくは30重量%以上、さらに好ましくは50重量%以上であり、残余は芳香族ジカルボン酸(例えば、テレフタル酸など)等であってもよい。前記炭素数4以上の脂肪族ヒドロキシカルボン酸としては、例えば、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシペンタン酸、ヒドロキシヘキサン酸、ヒドロキシデカン酸、ヒドロキシドデカン酸等の炭素数4〜12のヒドロキシカルボン酸などが挙げられる。(c)軟質脂肪族系ポリエステル(脂肪族ポリエステル、脂肪族−芳香族共重合ポリエステル)の重量平均分子量は、例えば、5万〜40万、好ましくは8万〜25万である。
(c)軟質脂肪族系ポリエステルの代表的な例として、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート、ポリエチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネートアジペート、ポリブチレンアジペートテレフタレート、ポリブチレンセバケートテレフタレート、ポリヒドロキシルアルカノエート等が挙げられる。
(c)軟質脂肪族系ポリエステルとしては市販品を使用できる。例えば、ポリブチレンサクシネートとしては、三菱化学社製の商品名「GS Pla AZ91T」、ポリブチレンサクシネートアジペートとしては、三菱化学社製の商品名「GS Pla AD92W」、ポリブチレンアジペートテレフタレートとしては、BASFジャパン社製の商品名「エコフレックス」が挙げられる。
本発明において、ポリ乳酸系フィルム又はシートは、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて各種の添加剤を含有していてもよい。このような添加剤としては、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、安定剤、離型剤、帯電防止剤、着色剤(白色顔料等)、ドリップ防止剤、難燃剤、加水分解防止剤、発泡剤、充填剤等が挙げられる。
本発明において、ポリ乳酸系フィルム又はシートは、結晶化の度合いが高いため、耐溶剤性にも優れる。例えば、前記ポリ乳酸系フィルム又はシートの膨潤度は、酢酸エチル、トルエンのいずれの溶剤に対して、例えば、2.5以下、好ましくは2.0以下である。なお、膨潤度は、フィルム又はシートサンプル(50mm×50mm×厚さ0.05mm)を溶剤に15分間浸漬し、取り出したフィルム又はシートサンプルの表面の溶剤をウエスで取り除き、浸漬後の重量を浸漬前の重量で割ることによって測定できる。
また、本発明において、ポリ乳酸系フィルム又はシートは、剛性等の機械的特性や弾性特性についても、高い水準を維持できる。例えば、本発明におけるポリ乳酸系フィルム又はシートの初期弾性率は、流れ方向(MD方向)において、通常1000MPa以上、好ましくは1500MPa以上である。初期弾性率の上限は、流れ方向(MD方向)において、一般に3500MPa程度(例えば、3000MPa程度)である。また、本発明におけるポリ乳酸系フィルム又はシートの破断強度は、流れ方向(MD方向)において、通常30MPa以上、好ましくは35MPa以上である。破断強度の上限は、一般に150MPa程度(例えば、120MPa程度)である。
さらに、本発明におけるポリ乳酸系フィルム又はシートの伸びは、流れ方向(MD方向)において、通常2.5%以上、好ましくは3.5%以上である。伸びの上限は、流れ方向(MD方向)において、一般に15%程度(例えば、12%程度)である。なお、改質剤(E)として(c)軟質脂肪族系ポリエステルを用いた場合には、ポリ乳酸系フィルム又はシートの伸びは、流れ方向(MD方向)において、通常5%以上、好ましくは10%以上、より好ましくは20%以上であり、伸びの上限は、流れ方向(MD方向)において、一般に150%、好ましくは120%、より好ましくは100%である。
なお、上記の初期弾性率、破断強度、伸びは、引張試験機を用い、JIS K 7161のプラスチック−引張特性の試験方法に準じて測定した。
装置:引張試験機(オートグラフAG−20kNG、島津製作所製)
試料サイズ:厚さ0.05mm×幅10mm×長さ100mm(なお、長さ方向に平行な方向がフィルム成膜時の流れ方向(MD)となるように切り出した)
測定条件:
チャック間距離:50mm
引張速度:300mm/min
本発明において、ポリ乳酸系フィルム又はシートの厚みは特に限定されないが、通常10〜500μm、好ましくは20〜400μm、より好ましくは30〜300μmである。
[セパレータの製造方法]
本発明におけるセパレータの製造方法は、
溶融成膜法を用いてポリ乳酸(A)を含む樹脂組成物を成膜して得られるポリ乳酸系フィルム又はシートをセパレータ基材とする、セパレータの製造方法であって、
樹脂組成物を溶融成膜する溶融成膜工程と、
該溶融成膜工程後に、該樹脂組成物を冷却固化して、フィルム又はシートを得る冷却固化工程と、
該冷却固化工程後に、該フィルム又はシートを加熱し、該フィルム又はシートの結晶化を促進する結晶化促進工程とを有し、
該溶融成膜工程における樹脂温度が、該樹脂組成物の昇温過程での融解温度(Tm)−15℃から(Tm)+15℃の範囲内であり、
該結晶化促進工程の少なくとも一部において、樹脂組成物の昇温過程での結晶化温度(Tc)+10℃から(Tc)+50℃の温度範囲内で、該フィルム又はシートの結晶化が促進されることを特徴とする。
例えば、ポリ乳酸系フィルム又はシートは、二軸押出機などによる連続溶融混練機、又は加圧ニーダー、バンバリーミキサー、ロール混練機などのバッチ式溶融混練機により、各成分を均一分散させたポリ乳酸(A)含有樹脂組成物を調製し、これを、Tダイ法、インフレーション法などの押出法又はカレンダー法、ポリッシング法などにより成膜、冷却固化することにより製造することができる。前記溶融成膜法としては、好ましくは、溶融状態の樹脂組成物が2本の金属ロール間の空隙を通過することで所望の厚さに成膜される手法であり、より好ましくは、カレンダー法、ポリッシング法であり、特に好ましくは、カレンダー法である。
該溶融成膜工程における樹脂温度は、該樹脂組成物の昇温過程での融解温度(Tm)−15℃から(Tm)+15℃の範囲内であるが、該樹脂組成物の昇温過程での融解温度(Tm)−15℃から(Tm)+5℃の範囲内であることが好ましく、該樹脂組成物の昇温過程での融解温度(Tm)−10℃から(Tm)の範囲内であることがより好ましく、該樹脂組成物の昇温過程での融解温度(Tm)−5℃から(Tm)の範囲内であることが特に好ましい。
特に、該樹脂組成物が、改質剤(E)を含有していない場合は、該樹脂組成物の昇温過程での融解温度(Tm)−15℃から(Tm)+5℃の範囲内であることが好ましく、該樹脂組成物の昇温過程での融解温度(Tm)−10℃から(Tm)の範囲内であることがより好ましい。
特に、該樹脂組成物が、さらに、改質剤(E)を含有している場合は、該樹脂組成物の昇温過程での融解温度(Tm)−10℃から(Tm)+5℃の範囲内であることが好ましく、該樹脂組成物の昇温過程での融解温度(Tm)−5℃から(Tm)の範囲内であることがより好ましい。
かかる温度範囲に設定することにより、成膜中の配向結晶化を抑制できるという効果を奏する。
特に、所定の温度に常に制御する観点から、該溶融成膜工程において、該樹脂組成物を、所定の表面温度の金属ロールと接触させることが望ましい。従って、当該工程においても、ポリ乳酸(A)含有樹脂組成物を金属ロールから簡単に剥離できる組成にすることが望ましく、この観点からも、上述の酸性官能基変性オレフィン系ポリマー(B)の添加が好ましい。
また、本発明におけるセパレータの製造方法は、該溶融成膜工程後、且つ、該冷却固化工程前に、該樹脂組成物を一定温度範囲内に保持することにより、該樹脂組成物の残留応力を緩和する残留応力緩和工程を有することが好ましい。該一定温度(残留応力緩和温度)とは、特に制限されないが、例えば、(Tm)−70℃から(Tm)−20℃の温度範囲内であり、好ましくは(Tm)−60℃から(Tm)−20℃の温度範囲内であり、より好ましくは(Tm)−60℃から(Tm)−23℃の温度範囲内であり、さらに好ましくは(Tm)−50℃から(Tm)−25℃の温度範囲内であり、特に好ましくは、(Tm)−50℃から(Tm)−30℃の温度範囲内である。
特に、該樹脂組成物が、改質剤(E)を含有していない場合は、残留応力緩和温度は、(Tm)−60℃から(Tm)−23℃の温度範囲内であることが好ましく、(Tm)−50℃から(Tm)−30℃の温度範囲内であることがより好ましい。
特に、該樹脂組成物が、さらに、改質剤(E)を含有している場合は、残留応力緩和温度は、(Tm)−60℃から(Tm)−20℃の温度範囲内であることが好ましく、(Tm)−60℃から(Tm)−23℃の温度範囲内であることがより好ましく、(Tm)−50℃から(Tm)−25℃の温度範囲内であることがさらに好ましく、(Tm)−50℃から(Tm)−30℃の温度範囲内であることが特に好ましい。改質剤(E)の種類等によって、好ましい温度範囲に違いがある場合もある。
かかる温度範囲に設定することにより、残留応力緩和の効果が一層高まり、得られたフィルム又はシートの使用時に極端な熱収縮を引き起こす危険性が一層低減されるため、得られた結晶化フィルムまたはシートは、ポリ乳酸の融点付近まで形状保持が可能であり、これまで使用できなかった耐熱性が必要な用途でも十分に使用可能となる。該残留応力緩和工程において、該樹脂組成物を一定温度に保持する具体的な方法は特に制限されないが、例えば、フィルムサンプルを一定温度に保持したテイクオフロールに接触させる方法等が挙げられる。
該結晶化促進工程の少なくとも一部において、樹脂組成物の昇温過程での結晶化温度(Tc)+10℃から(Tc)+50℃の温度範囲内で、該フィルム又はシートの結晶化が促進されるが、樹脂組成物の昇温過程での結晶化温度(Tc)+20℃から(Tc)+45℃の温度範囲内で結晶化が促進されることが好ましく、樹脂組成物の昇温過程での結晶化温度(Tc)+20℃から(Tc)+40℃の温度範囲内で結晶化が促進されることがより好ましい。かかる温度範囲に設定することにより、結晶化促進効果がより向上し、さらに、生産速度の向上につながるという効果を奏する。
特に、所定の温度に常に制御する観点から、該結晶化促進工程において、フィルム又はシートを、所定の表面温度の金属ロールと接触させることが望ましい。従って、当該工程においても、フィルム又はシートを金属ロールから簡単に剥離できる組成にすることが望ましく、この観点からも上述の酸性官能基変性オレフィン系ポリマー(B)の添加が好ましい。
なお、結晶化促進工程の時間はできるだけ長いほうが好ましく、最終的に該樹脂組成物の結晶化の度合いに依存するので、一概には指定できないが、通常、10〜120秒、好ましくは20〜90秒、より好ましくは30〜60秒である。
上記結晶化促進工程においては、他の結晶核剤の添加等で樹脂組成物の降温過程での結晶化温度(Tc)が変化しても、予め、示差走査熱分析装置(DSC)で測定を行い、降温過程での結晶化に伴う発熱ピークの最高点温度を把握しておくことにより、常に最適な結晶化促進工程の温度条件を得ることができる。その際、該温度での加熱により得られるフィルム又はシートの形状変化は、ほとんど考慮する必要はないが、得られるフィルム又はシートの加熱変形率が40%以下となるような温度であることが好ましい。
結晶化促進工程の前及び/又は後に、一軸又は二軸延伸処理(好ましくは二軸延伸処理)を施してもよい。延伸処理を施すことにより、さらに結晶化を高めることができる場合がある。延伸処理温度は、例えば、60〜100℃である。
上記結晶化促進工程を含むポリ乳酸系フィルム又はシートの製造方法としては、溶融成膜工程から冷却固化工程までを連続で行う方式が、処理時間の短縮となるため、生産性の点で好ましい。さらに、前記冷却固化工程後に連続して結晶化工程を設ける(例えば、加熱ロール等を通す等)ことがより好ましい。このような方法としては、カレンダー成膜機、ポリッシング成膜機等を用いる方法が挙げられる。
[カレンダー成膜]
図1に、かかる製造方法に用いられるカレンダー成膜機の1例の模式図を示す。以下に、図1を詳細に説明する。
第1ロール1、第2ロール2、第3ロール3、第4ロール4という、4本のカレンダーロール間で溶融状態の樹脂組成物を圧延して徐々に薄くしていき、最終的に第3ロール3と第4ロール4の間を通過した時に所望の厚さになるよう調整される。カレンダー成膜の場合、第1ロール1〜第4ロール4における樹脂組成物の成膜が「溶融成膜工程」に相当する。また、テイクオフロール5は、溶融成膜された該樹脂組成物8が最初に接触するロール群を示し、1つまたは2つ以上(図1では3本)のロール群で構成され、第4ロール4から溶融状態の該樹脂組成物8を剥離する役割を果たす。このように、テイクオフロール5が複数のロールから構成され、各々のロールの温度調整が可能である場合、各々のロールの温度は同じであることが好ましいが、所望の温度範囲内であれば、異なっていてもよい。
テイクオフロール5は、フィルムサンプルを該テイクオフロールに接触させることにより残留応力を緩和する役割を果たす(残留応力緩和工程)。その際には、(図1では3本の)テイクオフロールの表面温度を略同一とし、その温度を応力緩和温度(℃)とすることが多いが、3本のテイクオフロール温度が互いに異なった温度であっても良い。この場合には、これらのテイクオフロール温度は、いずれも上述した温度範囲内であることが好ましい。
二本の冷却ロール6及び7は、それらの間に該樹脂組成物8を通過させることにより該樹脂組成物8を冷却し、固化させるとともにその表面を所望の形状に成形する役割を果たす(冷却固化工程)。そのため、通常は一方のロール(例えば、冷却ロール6)が金属ロールで、該樹脂組成物8の表面形状を出すためにロール表面がデザインされたものであり、他方のロール(例えば、冷却ロール7)としてゴムロールが使用される。なお、図中の矢印はロールの回転方向を示す。9はバンク(樹脂だまり)である。
その後、図1には示さないが、冷却固化した成膜フィルムを任意の温度に制御した加熱ロールにて加熱し、結晶化を促進する(結晶化促進工程)。
[ポリッシング成膜]
図2に、かかる製造方法に用いられるポリッシング成膜機の1例の模式図を示す。以下に、図2を詳細に説明する。
押出機(図示せず)の押出機先端部10を、加熱した第2ロール2及び第3ロール3の間に配置し、予め設定された押出し速度で、第2ロール2及び第3ロール3の間に溶融状態の樹脂組成物8を連続的に押し出す。押し出された樹脂組成物8は、第2ロール2及び第3ロール3の間で圧延されて薄くなり、最終的に第3ロール3と第4ロール4の間を通過した時に所望の厚さになるよう調整される。ポリッシング成膜の場合、第2ロール2〜第4ロール4における樹脂組成物8の成膜が「溶融成膜工程」に相当する。その後、1つまたは2つ以上(図2では3本)のテイクオフロール5を通過し(残留応力緩和工程)、最後に冷却ロール(図2では、冷却ロール6及び7)を通過する(冷却固化工程)ことで、固化したフィルム又はシートが作製される。
その後、図2には示さないが、冷却固化した成膜フィルムを任意の温度に制御した加熱ロールにて加熱し、結晶化を促進する(結晶化促進工程)。
本発明において、セパレータ基材の表面には、必要に応じて、隣接する層との密着性を高めるため、慣用の表面処理、例えば、クロム酸処理、オゾン暴露、火炎暴露、高圧電撃暴露、イオン化放射線処理等の化学的又は物理的方法による酸化処理等が施されていてもよい。
[剥離剤処理層]
本発明のセパレータは、前記セパレータ基材の少なくとも一方の面に剥離剤処理層を有する。
剥離剤処理層を形成するために用いる剥離剤(離型剤)としては、特に限定されず、例えば、シリコーン系剥離剤、フッ素系剥離剤、長鎖アルキル系剥離剤、ポリオレフィン系剥離剤などを用いることができる。剥離剤は1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
また、剥離剤としては、セパレータ基材上に被膜を形成でき、該被膜が用途に応じた適度な剥離性を発揮しつつ、粘着剤への悪影響を及ぼすことのないものである限り特に制限されないが、例えば、粘着テープ又はシート等の粘着面に対して優れた剥離特性を発揮させる観点からは、該粘着面に対する剥離力が0〜25N/50mm程度(好ましくは0.1〜10N/50mm程度)となる被膜を形成できるものが好ましい。
前記剥離剤のなかでも、剥離性能などの点から、シリコーン系剥離剤が好ましい。シリコーン系剥離剤としては、特に限定されないが、その代表的なものとして、熱硬化性付加型シリコーン系剥離剤(熱硬化性付加型ポリシロキサン系剥離剤)が挙げられる。
熱硬化性付加型シリコーン系剥離剤は、分子中に官能基としてアルケニル基を含有するポリオルガノシロキサン(アルケニル基含有シリコーン)及び分子中に官能基としてヒドロシリル基を含有するポリオルガノシロキサンを必須の構成成分とする。
上記分子中に官能基としてアルケニル基を含有するポリオルガノシロキサンとしては、中でも、分子中にアルケニル基を2個以上有しているポリオルガノシロキサンが好ましい。上記アルケニル基としては、例えば、ビニル基(エテニル基)、アリル基(2−プロペニル基)、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基などが挙げられる。なお、上記アルケニル基は、通常、主鎖又は骨格を形成しているポリオルガノシロキサンのケイ素原子(例えば、末端のケイ素原子や、主鎖内部のケイ素原子など)に結合している。
また、上記主鎖又は骨格を形成しているポリオルガノシロキサンとしては、例えば、ポリジメチルシロキサン、ポリジエチルシロキサン、ポリメチルエチルシロキサン等のポリアルキルアルキルシロキサン(ポリジアルキルシロキサン)や、ポリアルキルアリールシロキサンの他、ケイ素原子含有モノマー成分が複数種用いられている共重合体[例えば、ポリ(ジメチルシロキサン−ジエチルシロキサン)等]などが挙げられる。中でも、ポリジメチルシロキサンが好適である。即ち、分子中に官能基としてアルケニル基を含有するポリオルガノシロキサンとしては、具体的には、ビニル基、ヘキセニル基等を官能基として有するポリジメチルシロキサンが好ましく例示される。
上記分子中に官能基としてヒドロシリル基を含有するポリオルガノシロキサン架橋剤は、分子中にケイ素原子に結合している水素原子(特に、Si−H結合を有するケイ素原子)を有しているポリオルガノシロキサンであり、特に分子中にSi−H結合を有するケイ素原子を2個以上有しているポリオルガノシロキサンが好ましい。上記Si−H結合を有するケイ素原子としては、主鎖中のケイ素原子、側鎖中のケイ素原子のいずれであってもよく、すなわち、主鎖の構成単位として含まれていてもよく、あるいは、側鎖の構成単位として含まれていてもよい。なお、Si−H結合のケイ素原子の数は、2個以上であれば特に制限されない。上記分子中に官能基としてヒドロシリル基を含有するポリオルガノシロキサン架橋剤としては、具体的には、ポリメチルハイドロジェンシロキサンやポリ(ジメチルシロキサン−メチルハイドロジェンシロキサン)等が好適である。
本発明における剥離剤には、室温における保存安定性を付与するために反応抑制剤が用いられていてもよい。例えば、剥離剤として熱硬化性付加型シリコーン系剥離剤が用いられている場合、具体的には、例えば、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、3−メチル−1−ペンテン−3−オール、3−メチル−3−ペンテン−1−イン、3,5−ジメチル−3−ヘキセン−1−インなどが挙げられる。
また、剥離剤には、上記成分の他にも必要に応じて、剥離コントロール剤等が用いられていてもよい。例えば、剥離剤として熱硬化性付加型シリコーン系剥離剤が用いられている場合、具体的には、MQレジンなどの剥離コントロール剤、アルケニル基又はヒドロシリル基を有しないポリオルガノシロキサン(トリメチルシロキシ基末端封鎖ポリジメチルシロキサンなど)などが添加されていてもよい。これらの成分の熱硬化性付加型シリコーン系剥離剤中の含有量は、特に限定されないが、1〜30重量%が好ましい。
さらに、剥離剤には、必要に応じて、各種添加剤が用いられてもよい。必要に応じて用いられる添加剤としては、例えば、充填剤、帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、着色剤(染料や顔料等)などが例示される。
剥離剤処理層の形成は公知乃至慣用の方法により行うことができる。例えば、剥離剤を含む剥離剤組成物をセパレータ基材(セパレータ基材上に中間層が存在する場合は、該中間層)上に塗布する方法等が挙げられる。塗布は、一般に剥離処理層の形成に用いられるコーター、押出機、印刷機などにより行うことができる。
剥離剤処理層の厚さとしては、用途等に応じて適宜選択でき、例えば、0.02〜1μm、好ましくは0.05〜0.7μm、さらに好ましくは0.1〜0.5μm程度である。
本発明のセパレータは、セパレータ基材と剥離剤処理層との間に、必要に応じて他の層(中間層)を有していてもよい。
以下、本発明について実施例及び比較例を挙げてさらに具体的に説明する。本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。なお、実施例等における評価は下記のようにして行った。
実施例等で用いた材料を下記に示す。
<ポリ乳酸(A)>
A1:商品名「テラマックTP−4000」(ユニチカ社製)
<酸性官能基変性オレフィン系ポリマー(B)>
B1:無水マレイン酸基含有変性ポリプロピレン(重量平均分子量32000、酸価52mgKOH/g、商品名「ユーメックス1010」、三洋化成工業社製)
<フッ素系ポリマー(C)>
C1:アクリル変性ポリテトラフルオロエチレン(商品名「メタブレンA−3000」、三菱レイヨン社製)
<結晶化促進剤(D)>
D1:フェニルホスホン酸亜鉛(商品名「エコプロモート」、日産化学工業社製)
<改質剤(E)>
E(a):ポリグリセリン脂肪酸エステル(数平均分子量Mn1300、商品名「チラバゾールVR−17」、太陽化学社製)
E(b):コアシェル構造重合体(アクリルゴム/ポリメチルメタクリレート−スチレン コアシェル構造重合体、商品名「パラロイドEXL2315」、ダウ・ケミカル社製)
E(c):軟質脂肪族系ポリエステル(ポリブチレンアジペートテレフタレート(商品名「エコフレックス」、BASF・ジャパン社製)
(実施例1〜7)
下記表1に示す配合割合で樹脂組成物を調製し、バンバリーミキサーにて溶融混練を行った後、逆L型4本カレンダーにて、厚さ50μmになるようにカレンダー成膜を行った(溶融成膜工程)。次に、図1のように溶融成膜工程の直後に、任意の温度に加熱可能なロール(テイクオフロール)を3本配し、溶融成膜された樹脂組成物が上下交互に通過できるようにし、その後に冷却ロールを通過することで樹脂組成物を固化し、フィルムを作製した。その後、下記表1に示すように、冷却固化した成膜フィルムを任意の温度に制御した加熱ロールにて加熱し、結晶化を促進した(結晶化促進工程)。
溶融成膜工程における樹脂組成物の温度(「溶融成膜工程の樹脂温度」)は、図1における第4ロール4に相当するロールの表面温度とした。結晶化促進工程における樹脂組成物の温度(「結晶化促進温度」)については、前記加熱ロールの表面温度を結晶化促進温度とした。成膜速度は5m/minとした。
(比較例1〜9)
結晶化促進工程を行わなかった以外は、実施例と同様に、下記表2に示す配合割合で樹脂組成物を調製し、下記表2に示す成膜条件でカレンダー成膜を行った。
基材の物性測定を以下のようにして行った。
<融解温度(℃)>
DSC(示差走査熱分析装置)にて測定した、成膜後の樹脂組成物の再昇温過程での融解に伴う吸熱ピークのトップ時の温度を融解温度(Tm;結晶融解ピーク温度ともいう)とした。
<結晶化温度(℃)>
DSCにて測定した、成膜後の樹脂組成物の室温からの昇温過程での結晶化に伴う発熱ピークのピークトップ時の温度を結晶化温度(Tc;昇温時結晶化温度、結晶化ピーク温度ともいう)とした。
<溶融成膜工程の樹脂温度(℃)>
上述のように、実施例、比較例共に第4ロールの表面温度を測定して「溶融成膜工程の樹脂温度」(溶融成膜工程における樹脂温度)とした。
<残留応力緩和温度(℃)>
本実施形態では、フィルムサンプルをテイクオフロールに接触させることにより残留応力の緩和を行った。その際に図1の3本のテイクオフロールの表面温度(テイクオフロール温度)を略同一とし、その温度を応力緩和温度(℃)とした。また該温度範囲内であれば、3本のテイクオフロール温度が互いに異なった温度であっても良い。
<結晶化促進温度(℃)>
本実施形態では、成膜フィルムを任意の温度に制御した加熱ロールにて加熱し、結晶化を促進した。この加熱ロール温度を結晶化促進温度とした。
<成膜性結果>
(1)ロールへのプレートアウト:ロール表面の汚れを目視により評価し、ロール表面の汚れがない状態を「○」(なし)、ロール表面の汚れがある状態を「×」(あり)と判定した。
(2)剥離性:図1の第4ロール4からの溶融成膜された樹脂組成物の剥離性により評価し、テイクオフロール5で引き取り可能である状態を「○」(良好)、テイクオフロール5で引き取り不可である状態を「×」(不良)と判定した。
(3)フィルム面状態:得られたフィルム面を目視で観察し、フィルム表面に粗さがなく平滑である状態を「○」(良好)、バンクマーク(樹脂の流れムラによる凹凸)やサメ肌、ピンホールがある状態を「×」(不良)と判定した。
<引裂強度(N/mm)>
JIS K7128−3 プラスチック−フィルム及びシートの引裂強さ試験方法−第3部:直角形引裂法に準じ測定した。使用した測定装置及び測定条件は、以下の通りである。
装置:引張試験機(オートグラフAG−20kNG、島津製作所製)
試料サイズ:JIS規格に基づいた試験片形状
条件:引張速度200mm/min
なお、評価に用いたサンプルは、引き裂かれる方向がフィルム成膜時の流れ方向(以下、MD方向という。)となるように切り出した。
引裂強度算出方法:以下の式(3)を用い算出した。
T=(F/d) (3)
T:引裂強度(N/mm)
F:最大引張荷重(N)
d:試験片の厚さ(mm)
<成膜後の結晶化熱量ΔHc′(J/g)>
DSCにて測定した、成膜後のフィルムサンプルの昇温過程での結晶化に伴う発熱ピークの熱量ΔHc(J/g)と、その後、200℃まで昇温し、0℃まで冷却した後、再度、昇温した時の融解に伴う熱量ΔHm(J/g)から、以下の式(5)を用いて、成膜後の結晶化熱量(成膜時結晶化部の融解吸熱量)であるΔHc′を算出した。
ΔHc′=ΔHm−ΔHc (5)
結晶化温度、融解温度、相対結晶化率、及び成膜後の結晶化熱量ΔHc′の測定で使用したDSCは、以下の通りである。
装置:エスアイアイ・ナノテクノロジー社製 DSC6220
測定条件は、以下の通りである。
測定温度域:20℃→200℃→0℃→200℃(すなわち、まず20℃から200℃への昇温過程での測定に続けて、200℃から0℃への降温過程での測定を行い、最後に0℃から200℃への再昇温過程での測定を行った)
昇温/降温速度:2℃/min
測定雰囲気:窒素雰囲気下(200ml/min)
なお、再昇温過程で、結晶化に伴う発熱ピークが無かったことから、2℃/minの降温速度で結晶化可能領域が100%結晶化するものと判断し、成膜後の結晶化熱量の算出式の妥当性を確認した。
<加熱寸法変化率>
フィルムを100mm×100mm切り出し、フィルム成膜時の流れ方向(以下、MD方向という。)と幅方向(以下、TD方向という。)のそれぞれに50mmの標線を書き込み、それを120℃に加熱したオーブンに1分間投入し、取り出した後の寸法変化を確認した。
加熱寸法変化率算出方法;試験前の標線長さL1と試験後の標線長さL2を測定し、以下の式(1)を用い算出した。
加熱寸法変化率(%)=(L2−L1)/L1×100 (1)
(合否判定) MD方向、TD方向ともそれぞれ±3%以内を合格とする。
<加熱荷重寸法変化率>
フィルムを100mm(MD方向)×20mm(TD方向)に切り出し、MD方向に50mmの評線を書き込み、MD方向に1mm2あたり300gの荷重をかけ、100℃に加熱したオーブンに1分間投入し、取り出した後のMDの寸法変化を確認した。
加熱荷重寸法変化率の算出方法;試験前の評線長さL3と試験後の評線長さL4を測定し、以下の式(2)を用い算出した。
加熱寸法変化率(%)=(L4−L3)/L3×100 (2)
(合否判定) ±3%以内を合格とする。
なお、本評価は、実際の粘着剤塗工時の乾燥工程を考慮した代用評価であり、フィルムにある程度の張力を加えてロール状に巻き取ることを想定した。
実施例1〜7及び比較例1〜9の評価結果を以下の表1及び2に示す。まず、改質剤未添加の実施例1および比較例1〜3において、実施例1は耐引裂性及び耐熱性が優れていることが示された。これに対し、結晶化工程を有しない比較例1は、耐引裂性は良好であるが、結晶化熱量が小さいため、加熱荷重変形に耐えられない。また、比較例2は、成膜中に結晶化しているため耐熱性は良好だが、耐引裂性が悪い。さらに、比較例3は、テイクオフロール温度が低いため、残留応力が緩和されず、耐引裂性、耐熱性のいずれも悪い。
改質剤としてE(a)を添加した実施例2〜3および比較例4〜5において、実施例2〜3は耐引裂性及び耐熱性が優れていることが示された。さらに、改質剤未添加の実施例1と比べても引裂強度が大きくなっており、改質剤配合の効果が見られる。これに対し、結晶化工程を有しない比較例4は、耐引裂性は良好であるが、結晶化熱量が小さいため、加熱荷重変形に耐えられない。また、比較例3は、成膜中に結晶化しているため耐熱性は良好だが、耐引裂性が悪い。
改質剤としてE(b)を添加した実施例4〜5および比較例6〜7において、実施例4〜5は耐引裂性及び耐熱性が優れていることが示された。さらに、改質剤未添加の実施例1と比べても引裂強度が大きくなっており、改質剤配合の効果が見られる。これに対し、結晶化工程を有しない比較例6は、耐引裂性は良好であるが、結晶化熱量が小さいため、加熱荷重変形に耐えられない。また、比較例5は、成膜中に結晶化しているため耐熱性は良好だが、耐引裂性が悪い。
改質剤としてE(c)を添加した実施例6〜7および比較例8〜9において、実施例6〜7は耐引裂性及び耐熱性が優れていることが示された。さらに、改質剤未添加の実施例1と比べても引裂強度が大きくなっており、改質剤配合の効果が見られる。これに対し、結晶化工程を有しない比較例8は、耐引裂性は良好であるが、結晶化熱量が小さいため、加熱荷重変形に耐えられない。また、比較例7は、成膜中に結晶化しているため耐熱性は良好だが、耐引裂性が悪い。
Figure 0005883306
Figure 0005883306
1 第1ロール
2 第2ロール
3 第3ロール
4 第4ロール
5 テイクオフロール
6 冷却ロール
7 冷却ロール
8 樹脂組成物
9 バンク(樹脂だまり)
10 押出機先端部

Claims (22)

  1. 剥離ライナー基材の少なくとも一方の面に剥離剤処理層を有する剥離ライナーであって、
    剥離ライナー基材が、
    ポリ乳酸(A)を含有し、
    引裂強度(JIS K7128−3 プラスチック−フィルム及びシートの引裂強さ試験方法−第3部:直角形引裂法に準拠)が、少なくとも流れ方向(MD方向)に引裂いたときに100N/mm以上であり、
    100℃の雰囲気下で1分間保存した時の下記式(1)
    加熱寸法変化率(%)=(L2−L1)/L1×100 (1)
    (式中、L1は試験前の標線長さ、L2は試験後の標線長さを示す)で求められる加熱寸法変化率が、流れ方向(MD方向)、幅方向(TD方向)ともに±3%以内であり、且つ
    100℃の雰囲気下で、流れ方向(MD方向)に1mm2あたり300gの荷重をかけ、1分間保存した時の下記式(2)
    加熱荷重寸法変化率(%)=(L4−L3)/L3×100 (2)
    (式中、L3は試験前の標線長さ、L4は試験後の標線長さを示す)で求められる加熱荷重寸法変化率が、流れ方向(MD方向)に±3%以内である、
    ポリ乳酸系フィルム又はシートで構成されていることを特徴とする剥離ライナー
  2. 剥離ライナー基材を構成するポリ乳酸系フィルム又はシートが、さらに、改質剤(E)を含有している請求項1記載の剥離ライナー
  3. 剥離ライナー基材を構成するポリ乳酸系フィルム又はシートが、該ポリ乳酸(A)に対して、該改質剤(E)として(a)ポリグリセリン脂肪酸エステル及び/又はポリグリセリン縮合ヒドロキシ脂肪酸エステルを、ポリ乳酸(A)と(a)ポリグリセリン脂肪酸エステル及び/又はポリグリセリン縮合ヒドロキシ脂肪酸エステルとの重量比率が99:1〜80:20(前者:後者((a)の総量))となるように含有している請求項2記載の剥離ライナー
  4. 剥離ライナー基材を構成するポリ乳酸系フィルム又はシートが、該ポリ乳酸(A)に対して、該改質剤(E)として(b)粒子状のゴムの外部にグラフト層を持つコアシェル構造重合体を、ポリ乳酸(A)と(b)粒子状のゴムの外部にグラフト層を持つコアシェル構造重合体との重量比率が99:1〜80:20(前者:後者)となるように含有している請求項2又は3記載の剥離ライナー
  5. 剥離ライナー基材を構成するポリ乳酸系フィルム又はシートが、該ポリ乳酸(A)に対して、該改質剤(E)として(c)軟質脂肪族系ポリエステルを、ポリ乳酸(A)と(c)軟質脂肪族系ポリエステルとの重量比率が95:5〜60:40(前者:後者)となるように含有している請求項2〜4の何れか1項に記載の剥離ライナー
  6. 剥離ライナー基材を構成するポリ乳酸系フィルム又はシートが、さらに、ポリ乳酸(A)(但し、改質剤(E)が含まれる場合は、ポリ乳酸(A)及び改質剤(E)からなる組成物)100重量部に対し、酸価が10〜70mgKOH/g、重量平均分子量が10000〜80000である、酸性官能基変性オレフィン系ポリマー(B)を0.1〜10重量部含む請求項1〜5の何れか1項に記載の剥離ライナー
  7. 該酸性官能基変性オレフィン系ポリマー(B)の酸性官能基が、酸無水物基である、請求項6記載の剥離ライナー
  8. 剥離ライナー基材を構成するポリ乳酸系フィルム又はシートが、さらに、ポリ乳酸(A)(但し、改質剤(E)が含まれる場合は、ポリ乳酸(A)及び改質剤(E)からなる組成物)100重量部に対し、フッ素系ポリマー(C)を0.5〜15重量部含む請求項1〜7の何れか1項に記載の剥離ライナー
  9. 該フッ素系ポリマー(C)がテトラフルオロエチレン系ポリマーである請求項8記載の剥離ライナー
  10. 剥離ライナー基材を構成するポリ乳酸系フィルム又はシートが、さらに、ポリ乳酸(A)(但し、改質剤(E)が含まれる場合は、ポリ乳酸(A)及び改質剤(E)からなる組成物)100重量部に対し、結晶化促進剤(D)を0.1〜15重量部含む請求項1〜9の何れか1項に記載の剥離ライナー
  11. 溶融成膜法を用いてポリ乳酸(A)を含有する樹脂組成物を成膜して得られるポリ乳酸系フィルム又はシートを剥離ライナー基材とし、且つ、当該剥離ライナー基材の少なくとも一方の面に剥離剤処理層を有する、剥離ライナーの製造方法であって、
    樹脂組成物を溶融成膜する溶融成膜工程と、
    該溶融成膜工程後に、該樹脂組成物を冷却固化して、フィルム又はシートを得る冷却固化工程と、
    該冷却固化工程後に、該フィルム又はシートを加熱し、該フィルム又はシートの結晶化を促進する結晶化促進工程とを有し、
    該溶融成膜工程における樹脂温度が、該樹脂組成物の昇温過程での融解温度(Tm)−15℃から(Tm)+15℃の範囲内であり、
    該結晶化促進工程の少なくとも一部において、樹脂組成物の昇温過程での結晶化温度(Tc)+10℃から(Tc)+50℃の温度範囲内で、該フィルム又はシートの結晶化が促進されることを特徴とする、剥離ライナーの製造方法。
  12. 該溶融成膜工程後、且つ、該冷却固化工程前に、残留応力緩和工程を有し、
    該残留応力緩和工程において、該樹脂組成物を(Tm)−70℃から(Tm)−20℃の温度範囲内に保持する請求項11記載の剥離ライナーの製造方法。
  13. 該樹脂組成物が、さらに、改質剤(E)を含有している請求項11又は12記載の剥離ライナーの製造方法。
  14. 該樹脂組成物が、該ポリ乳酸(A)に対して、該改質剤(E)として(a)ポリグリセリン脂肪酸エステル及び/又はポリグリセリン縮合ヒドロキシ脂肪酸エステルを、ポリ乳酸(A)と(a)ポリグリセリン脂肪酸エステル及び/又はポリグリセリン縮合ヒドロキシ脂肪酸エステルとの重量比率が99:1〜80:20(前者:後者((a)の総量))となるように含有している請求項13記載の剥離ライナーの製造方法。
  15. 該樹脂組成物が、該ポリ乳酸(A)に対して、該改質剤(E)として(b)粒子状のゴムの外部にグラフト層を持つコアシェル構造重合体を、ポリ乳酸(A)と(b)粒子状のゴムの外部にグラフト層を持つコアシェル構造重合体との重量比率が99:1〜80:20(前者:後者)となるように含有している請求項13又は14記載の剥離ライナーの製造方法。
  16. 該樹脂組成物が、該ポリ乳酸(A)に対して、該改質剤(E)として(c)軟質脂肪族系ポリエステルを、ポリ乳酸(A)と(c)軟質脂肪族系ポリエステルとの重量比率が95:5〜60:40(前者:後者)となるように含有している請求項13〜15の何れか1項に記載の剥離ライナーの製造方法。
  17. 該樹脂組成物が、さらに、ポリ乳酸(A)(但し、改質剤(E)が含まれる場合は、ポリ乳酸(A)及び改質剤(E)からなる組成物)100重量部に対し、酸価が10〜70mgKOH/g、重量平均分子量が10000〜80000である、酸性官能基変性オレフィン系ポリマー(B)を0.1〜10重量部含む請求項11〜16の何れか1項に記載の剥離ライナーの製造方法。
  18. 該酸性官能基変性オレフィン系ポリマー(B)の酸性官能基が、酸無水物基である、請求項17記載の剥離ライナーの製造方法。
  19. 該樹脂組成物が、さらに、ポリ乳酸(A)(但し、改質剤(E)が含まれる場合は、ポリ乳酸(A)及び改質剤(E)からなる組成物)100重量部に対し、フッ素系ポリマー(C)を0.5〜15重量部含む請求項11〜18の何れか1項に記載の剥離ライナーの製造方法。
  20. 該フッ素系ポリマー(C)が、テトラフルオロエチレン系ポリマーである請求項19記載の剥離ライナーの製造方法。
  21. 該樹脂組成物が、さらに、ポリ乳酸(A)(但し、改質剤(E)が含まれる場合は、ポリ乳酸(A)及び改質剤(E)からなる組成物)100重量部に対し、結晶化促進剤(D)を0.1〜15重量部含む請求項11〜20の何れか1項に記載の剥離ライナーの製造方法。
  22. 溶融成膜法がカレンダー法である請求項11〜21の何れか1項に記載の剥離ライナーの製造方法。
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